2013年05月25日(土)09:32 
┌───今日の注目の人───────────────────────┐



     「リーダーの原点はいつでも上機嫌で
希望の旗印を掲げ続けること」


           三浦雄一郎(冒険家)
 
               
              『致知』2004年3月号
               特集「壁を越える」より


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大きな山にチャレンジする際には、相当緻密な準備が必要です。
例えば建物でいうと、プレハブのような簡易住宅を建てるのなら、
設計図も要らない。

ところが超高層ビルを建てるとなったら、
ハイテクから地質調査から、
あらゆる現代科学、技術の粋を集め、プロを結集する。
そしてとんでもない歳月をかけ、犠牲を払う。

大きな山というのは、そういう要素があるわけです。
想像力を働かせて、あらゆる場面を先に予測して、
準備をしておかなければ死んでしまうわけですから。

また、一人でやっているわけではなくて、
国際協力というものがあります。

やはりそれは、信頼を得て、
この人ならということでやってくれるものです。

シェルパとも、いきなり組んでやるのではなく、
三年間、ずっとチームを組んでいました。

シェルパだって命懸けですから、
こいつなら命を預けられるというお互いの信頼関係がなければ、
逃げ出したりしますし、リーダーをバカにしたりします。

チームワーク能力も、コミュニケーション能力も、
リーダーシップも要求される一大事業です。

また、リーダーが暗ければ隊全体の士気が下がりますから、
リーダーは、いつでもどんなに落ち込んでいようが何しようが、
上機嫌で希望の旗印を掲げていなければいけない。

これを降ろしてしまったら、
誰もついてこなくなっちゃうわけです。

今回、天候が悪くて八千メートルを越えて五泊もしたんですが、
そのうち二泊は八千四百メートルを越えた所でした。
いままで八千四百メートルで二泊した人はいなかった。


【三浦敬三氏:それは酸素が足りなくなってしまいますからね。
       雄一郎もそれで苦労したんです】


そう、酸素ボンベの残量が尽きて、
頂上付近でゼロになってしまいました。
それでも登頂できたことが嬉しくて、約一時間とどまりました。

やっぱり頂上に行く前に夢を捨てないことと、
最後は笑って死ねばいいという覚悟があったから、
できたことだと思います。

そういう覚悟があると生きるんです。

半分助かろうということでは、何もできないですね。
昔の日本の武士道の「肉を切らせて骨を切る」というような、
捨て身の覚悟を持って臨まないと、
限界を越えていくことはできない。

2013年05月22日(水)10:20 
┌───今月の注目記事───────────────────────┐



     「奪い合えば足りず、分かち合えば余る」


        浅利妙峰(糀屋本店)

              『致知』2013年6月号
               特集「一灯照隅」より


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【記者:塩糀を現代の料理にアレンジされたところも、
    広く受け入れられた要因の一つでしょうね】
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私は「温故知新」という言葉が好きなのですが、
真理というものは何千年も何万年も前から
変わらず未来永劫に存している。

それをどう磨き出すかは
現代に生きる私たちに委ねられています。


糀は日本の食文化の根幹にありますが、
味噌や醤油をもう一度各家庭で手づくりしましょう、
というのは無理があります。

味噌や醤油は一年かかりますからね。
でも、塩糀は一週間あればつくれます。
簡単で、しかも料理はおいしい。
そういう点も、塩糀が現代社会のニーズに
合っているところだと思います。


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【記者:塩糀を蘇らせた立役者ですが、
    浅利さんは商標権を一切取らなかったそうですね】
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熱心に勧めてくれる人もあったのですが、
何もエジソンが電球をつくったような大発明ではなく、
たまたま文献の中から見つけ使い方をアレンジしただけ、
「塩糀」はもともと日本の食文化の中にあったものです。

また、糀菌が育つのは自然の作用です。
私たちも作り手として懸命に関わっています。
糀は人智を超えた力でつくられるもので、
それを一人の人間が勝手に取り扱うべきではないと。

現実的に考えても、うち一軒だけでは
ここまで広がらなかったでしょう。
大手の食品メーカーさんが参入されたから日本中に浸透し、
定着したと思います。


「奪い合えば足りず、分かち合えば余る」


といいますが、一人勝ちしようとすると、
絶対に長続きしません。


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【記者:いま全国の糀屋さんを訪ねて料理教室を開催し、
    応援しているのも、そういうお考えからですか】
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そうです。また、長い歴史の中で、
うちの先祖が助けられたこともあるでしょうし、
まだ見ぬ未来の子孫がどなたかに助けられるかもしれない。
お互い助け合う中で生きている。

情けは人のためならずの言葉のとおり、
善の種を蒔けば、どこかで
善の花が咲くことを信じていますし、実践しています。

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