2013年11月23日(土)18:29 
皆さんは「東京湾」と聞いて
どんなことを想像されるでしょうか。


「汚い」「死んだ海」
をイメージする方も多いでしょう。


しかし、実際には
スズキの水揚げは船橋漁港が全国一位。
東京湾は魚介類の宝庫なのです。


自ら漁業を営む傍ら、
他に先駆けて東京湾の環境保全活動に尽力してきた
船橋市観光協会会長の大野一敏氏は
いかにしてその道を開拓していったのでしょうか。


仕事を通じて見えてきた
「人生の引き潮にどう対処するか」とは――。



┌───────今日の注目ワード─────────┐



   「人生の引き潮にどう対処するか」
         


  大野一敏(船橋市観光協会会長・大平丸社長)



       ※『致知』2013年12月号
         特集「活路を見出す」より


└────────────────────────┘


――大野さんの斬新な発想力はどこから生まれるのでしょうか。


これも大学に行かなかったのが幸いしたのかな。
長年多くの人を見ていると、
与えられた枠にはまり過ぎていますね。


私はそうではない。
道具が3つしかなくて5つのことを求められたら、
工夫しながらそれをやってきた。
それが当たり前と思っています。


そういえば、ある時、台風で堤防の突端にある信号が
飛ばされてしまったことがあったんです。


そうとは知らずに私たちは夜、
2隻の網船で走っていました。
そうしたらドーンと堆積した石に乗り上げ、
船底のエンジンルームが裂けちゃった。
船は沈み始める。


その時どうしたか。
皆着ているものを脱いで海に飛び込んだんですね。
その服を船底から当てがって水の侵入を食い止めた。


これを船の上からやったのでは
圧力で飛ばされてしまう。
それをやった上でポンプで水を汲み出しながら
船を進めていきました。


万一の時は、こういう臨機応変な
対応ができなくては駄目です。


環境保全のプロジェクトも一緒ですよ。
きちんとした目的があって
なんとしても成し遂げようと思うと
解決策は見つかるものです。


もちろん道は直線ではないから、
時間をかけて根気強く方法を見つけることもあると思います。


何かにチャレンジする時、もう一つ大事なのは
仲間とコミュニケーションをよくして仲良くやることです。
仕事は絶対に一人ではできない。
それだけに普段の付き合いがとても大事なんです。


会議も形式ばったものではいい発想は生まれない。
だから私は会議の後の飲み会を
本会議と呼んでとても大事にしているんです(笑)。


人生は海と同じで満ち潮もあれば引き潮もあります。
引き潮の時に落胆していても仕方がない。
よい後は悪い、悪い後はよいと思っておかなきゃいけませんよ。


 * * *

「東京湾を宝の海に」という思いのもと、
環境保全活動に懸けてきた大野氏の半生とは。

続きはぜひ『致知』12月号P44をご一読ください。

2013年11月19日(火)09:55 
35年にわたる教師生活で
数々の少年問題を解決し、
「生徒指導にこの人あり」と謳われる
伝説の教師・占部賢志氏が語った
「褒め方、叱り方の極意」とは――。



┌───────今日の注目ワード─────────┐



    「褒め方、叱り方の極意」
         


      占部賢志(中村学園大学教授)



      ※『致知』2013年12月号
        連載「日本の教育を取り戻す」より


└────────────────────────┘


筆者には若い時から実践してきた指導法があります。


叱るときは本人を直接、
ほめる場合は誰かを介して伝えるというものです。


もちろんいつもそうとは限りませんが、
基本的にはこれが長年のスタンスです。


面白いもので、たまに間接的にほめますと、
生徒は驚くような反応を見せることがあります。


或る高校の男子クラスの担任を
していた時のことです。
割と明るい性格の生徒がいました。
ただ一面、そそっかしくて調子がいいところがあり、
一度筆者から叱られてシュンとなってしまったのです。


そんな状態がしばらく続いた頃、
皆勤だった、くだんの生徒が
発熱で2日ほど休んだのです。
珍しいことでした。


ちょうどその時、
PTAの役員会のため母親が来校し、
会議の合間に子供の様子を報告に来てくれたのです。


結局、用心のためもう一日
休ませることにしたのですが、
会議に戻る母親に一言こう付け加えたのです。


「あなたの息子は最近落ち着きが
 見えるようになりましたよ」と。


たったこれだけでしたが、
帰って寝ている息子に、


「今日学校で占部先生に会ったら、
 あんたに落ち着きが出てきたと
 おっしゃっていたわよ」


と話したらしいのです。


すると、これを聞いた生徒は
布団から跳ね起きて、
制服に着替えて登校してきたのです。


もう授業は終了し、
部活動の時間になっていましたが、
それでも彼はやってきたのです。


これが生徒です。
あの学校一怖い我が担任が
最近の僕をほめてくれた。


もう嬉しくて嬉しくて、
熱など吹き飛ばして
学校に来てしまったというわけです。


こういう事例ならいくらでもあります。


ほめ言葉であれ、悪口であれ、
直接聞くよりも人を介して間接的に耳に入ってくる方が
インパクトは遙かに強いものです。


ですから筆者は、生徒に問題があれば
フェイス・トゥ・フェイスで指導に当たり、
ほめてやるときは周囲の関係者にそっと伝えておく。


あなたはどんなふうに生徒をほめますかと問われたら、
そう答えることにしています。

2013年11月18日(月)08:47 
◆致知出版社の「人間力メルマガ」-----2013年11月18日 ◆



いま腰痛に悩む人たちが増えています。


その原因は

「デスクワークが長いから」
「運動不足だから」

と考えがちですが、
決してそうではないと語るのは、
四半世紀もの間、腰痛治療に携わってきた
聖和整骨院院長の金聖一院長。


なぜ腰痛が起こるのか。
そして、いかにして症状を改善させるのかーー。


┌────────今日の注目ワード──────────┐



  「朝30秒の正座で体のバランスを整えよう」
         


      金聖一(聖和整骨院院長)



        ※『致知』2013年11月号
           連載「大自然と体心」より


└──────────────────────────┘

     
ここからは私が提唱する「朝30秒の正座」の
実際のやり方をご説明しましょう。


この正座は一般の正座とは少し違います。
一番の特徴であり、最も大切なのは

「左右の踵をくっつけることを必ず意識する」

という点です。


まずは膝立ちになって踵をくっつけます。
そのままゆっくりお尻を落とし、
踵がお尻のくぼみにはめ込まれるイメージが
確認できたところで正座します。


この時、自然と背筋が伸びて
美しいS字カーブを描いています。


左右の足に均等に体重を乗せることを意識し、
そのままの姿勢を30秒間維持します。


やってみていかがでしょうか、
一般の正座と比べてなかなかきついことに
お気づきになると思います。


30秒座るのがやっと、という方も
いらっしゃるかもしれません。


正座をした時に踵が離れてしまう方は、
脛やふくらはぎの血流が悪いために
筋肉が伸びにくくなったと考えられます。


左右の膝や足首の硬さが違うと感じるのは、
日常生活で足を組んだりあぐらで座る癖がついているために
左右の筋肉の硬さに違いが出てしまうからです。


しかし、心配は無用です。
「朝30秒正座」を続けることで、
知らず知らずのうちに身についた
こういう体の癖が取れて健康になっていくことでしょう。


なかにはどうしても正座が難しい、
という方もいらっしゃると思います。


そういう方はタオルの助けを借りることをお勧めします。
タオルをお尻の下に敷いたり、
左右の足の微妙な差を埋めることで、
膝を楽に曲げたり、
両足にバランスよく体重を乗せることが
できるようになります。


このほかお風呂に浸かってやるのも一法です。
この時のお湯の深さはお臍より少し上。
水の浮力を借りることで無理なく正座を続けることができます。
 
いきなり正座ができないという方は、
以上のような方法で少しずつ体を馴染ませていくことが大事です。
続けることで正座と同じ効果が得られます。
 

2013年11月13日(水)13:51 
ちょうど田植えが終わった初夏でありました。

農民が、重労働が終わったと一息ついていたある日、
金次郎は大変な形相で村人全員にこう言ったのです。

「今年植えた米の苗、全部抜いてほしい」

彼はその日、ナスの漬け物を食べて驚愕したのです。
「秋ナスの味がする」と。

カレンダーではこれから夏が来るというのが常識であります。

ところが金次郎はいまが秋で、これから冬が来る、
つまり冷夏がやってくることを
ナスは伝えているのではないかと判断したのです。

そして寒さに弱い米から、稗などの
寒さに強い作物への植え替えを指導しました。

この年から、日本全国が地獄絵図になったと言われる
「天保の大飢饉」がやってきたのです。

しかし、金次郎がいた村では、
一人の餓死者も出しませんでした。
植え替えの結果、作物が実ったのです。

金次郎はこの事例を通して、
どんな環境の中でも必ず豊かさを手にして
生活できると実証してみせたわけです。

それは金次郎にしかできないのでは?
と思うかもしれません。

けれどもしそうであったなら、
六百もの村が再興することはなかったのです。

彼は村人一人ひとりが実践できるよう、
水車を使ってその方法を説明していきます。

水車と川の関係では、全然違う個性のもの同士が生かし合い、
さらにエネルギーが生み出されている。
金次郎はこれこそ理想的な現実の姿だと説きました。

皆さん、自分自身を水車、直面している現実を
川だと思ってください。

そこで重要なのは、どんな水車も思い切って
川に飛び込むところから回り始めるということです。
何が流れてこようとも、
頭から突っ込むことが始まりだというんです。

しかし、そのままでは水車は流されてしまいます。
水車にとってもう一つ大切なことは、
その場に踏みとどまり、
川とは逆向きに動くことであるわけです。

つまり彼は、私たちは現実に半分従い、
半分逆らって動けばいいと言うのです。

彼が言う「従う」とは相手を知ること、
さらには、どんな現実や相手でも、
覚悟を決めて受け入れることでありました。

そしてその上で大切なのは逆らうこと。
つまり現実に対して対策を立て、
実践することだというのです。
先ほどのナスの事例は、まさにこの通りでありました。

彼は冷夏をなくしたわけではありません。
ここは米のための土地だといったこだわりを捨て、
冷夏を生かす方法を考えたことで知恵が生まれたことが、
彼にとって最も大切なことでした。

そして彼が現実を知ることを重んじた背景には、
どんな現実も実りを生む力を持っているという
信念があったのです。

私たちは困難にぶつかった時
「自分って無力だなぁ」と思ってしまいがちです。

けれど金次郎は、一人として無力な人間はいない、
私たちが壁を越えられないのは、無力なのではなく
「無知」だからだと言い切ります。

彼は、実りを生み出すのは能力ではなく、
従い、逆らうことができるかどうかだと考えていたのです。


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先にご紹介したのは、今年の6月に開催された
二宮金次郎七代目子孫・中桐万里子さんの講演会の内容です。

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