2014年04月28日(月)13:08 
国際文学療法学会会長で
聖心会のシスターでもある
鈴木秀子さんにご紹介いただきます。


┌───────今日の注目の人─────────┐



     「人生で大切な心構え」
       〜幸せの秘訣〜
        

     鈴木秀子(文学博士)
   
      
    ※『致知』2014年4月号
     連載「人生を照らす言葉」より


└───────────────────────┘

人生にはバイオリズムがありますから、
波が下降している時は疲れが溜まったり、病気をしたり、
周囲に思わぬ出来事が起きたり、物をなくしたり、
大切なことを忘れたり、いろいろなことが起きがちです。


そうすると自分や他人を責めたり、
ゴミのような感情が湧き上がってきたりします。


そういう時は無理に自分を変えようとしないこと。


「ああ、いま自分にはこういう
 感情が起きているんだな」


とまるで人ごとのように心を静かに眺め、
じっと堪え忍びながら上昇の時を待つ訓練をすることです。


そのことに関連した話を最後にご紹介します。


香港に住んでいるインド人の女性が
実際に体験した出来事です。


この女性は末期がんに侵され、
息も絶え絶えの状態でいわゆる臨死体験をしました。


肉体を離れて自分が寝ている姿を空中から眺め、
やがて自分のすべてを受け入れてくれる
温かい光に包まれ、至福感を味わいます。


その時に、自分がなぜがんになったかが
はっきりと分かったというのです。


インドはとても競争の激しい社会です。


彼女は自分の正直な心をいつも押し殺して
人からよく見られたい、人の上に立ちたい、
出世競争を勝ち抜きたいという思いだけで
駆け上がってきていました。


臨死体験をとおして、そういう自分の生き方を振り返るとともに、
即物的な生き方がストレスとなり、
ストレスがいつしかがんに形を変えていったことが、
理屈抜きに理解できたといいます。


臨死体験後、
信じられないようなことが起きました。


彼女の体から奇跡的に
がんが消え去っていったのです。


驚いた医者がそれを学会で発表した記録も残っています。


やせ細った体が少しずつ体力を取り戻して
いよいよ退院となった時、
彼女はこれまでのような金儲け主義の生き方、
物や地位だけを追い求める生き方を
捨て去ろうと固く決意しました。


そして香港に移住。


質素ながら自分らしさを発揮できる仕事を探して、
現在はご主人と二人、静かに生活しています。


その彼女がこのように言っています。


「人生で大切なのは、本当に自分らしく生きることと、
 何事にも喜び楽しんでいられることです。

 あなたが機嫌よくしていさえすれば、
 それが何よりの社会貢献。

 あなたの周りにいる人をみな機嫌よく、
 気持ちよくできたら、
 こんな素晴らしいことが他にあるでしょうか」


そして彼女は


「そのためには、
 いつも正直でいることです」


と言葉を続けています。


余計なゴミを取り除いて幸せに生きる秘訣を
彼女は自らの体験をとおして私たちに教えてくれているのです。


いつも機嫌よく、しかも自分らしく正直に生きることができたら、
心にゴミが溜まることもなくなるでしょう。


自分を機嫌よくするのは自分自身です。
誰かが機嫌よくさせてくれるわけではありません。


これまで外界に向けていたエネルギーを
少し自分を機嫌よくするために使ってみてください。


人生はもっと豊かなものになるでしょう。


日々出合う一つひとつの出来事に深い意味があることを知ったら、
どんな些細なことも喜びに変わります。


生かされている命の素晴らしさを感じ、
喜びが心の内から湧き出る時、
私たちは意識せずとも上機嫌で生きられるはずです。

2014年04月15日(火)08:52 
伊與田覺(いよた・さとる)氏、99歳。


昭和の大碩学と謳われ、
歴代首相や財界リーダーたちから
師と仰がれた安岡正篤師の高弟です。


99歳のいまも3時間もの講義をこなし、
背筋のピシッとした立ち居振る舞いは
いささかも老いを感じさせず、
感動を禁じ得ません。


矍鑠たる人生の達人が語った
新入社員に贈る「仕事の心構え」とは──。


┌──────今日の注目の人───────┐



   「学び、そして覚ること」
        

   伊與田覺(論語普及会学監)
   
      
  ※『致知』2014年5月号
    連載「巻頭の言葉」


└────────────────────┘

私たちが天から与えられた「性(せい)」、
すなわち各人固有の特質を存分に発揮して
人間として完成するには、
その目標に到達するためのルール、
つまり「道」を知らなければなりません。


私たちに道を教えてくれるのが、
優れた先人です。


生きながらにして道を悟り、
人間完成に近づいた人が、
後から来る人のために残した道標が「教え」です。


私たちは、優れた古典を通じて
先人の教えを素直に学ぶことによって
道を知り、道を歩んで性に到達することができるのです。


しかし、道には近道もあれば遠回りもあり、
また、自分の足の力によって歩ける道も異なります。


孔子やお釈迦様の足と、
私たちの足が違うのは当然です。


ゆえに、学びを重ねていく中で、
自分はどの道を歩んでいくことが
一番適切かが分かることを「覚(さと)る」といいます。


「覚」(覺)という字は冠の下に見ると書き、
自分で見てちゃんと確かめることを表します。


学んだだけでは不十分であり、
学んだことを自分が納得、理解することによって、
天から与えられた道を自分の足で歩いて行けるのです。


覚るという言葉にはいろいろな漢字が当てはまり、
これらを見てゆくと、その真意が見えてきます。


「暁(あかつき)」という字を
「暁(さと)る」と読むのは、
明け方になって日が射してくると、
それまで暗闇で見えなかったものが
ハッキリと見えてくるところからきているようです。


「了(お)わる」という字を
「了(さと)る」と読むのは、
了わりを求めて歩み続けるところに
人間の尊さがあることを示唆しているように思われます。


また、「悟る」の五は五本の指であり、
「吾」はそれを口に当てて黙っている様子を表しています。


口では話せないのが本当の覚りの境地なのです。


商売のコツを覚っている人が、
いくら言葉を尽くして説明しても、
相手はその真意を本当に理解することはできないでしょう。


そのコツは、その人が成功したり、失敗したり、
様々な体験を重ねていく中で会得したものであり、
曰く言い難しなものだからです。


会社の仕事も同様です。


新入社員は新しい情報によく通じているでしょうが、
だからといって仕事を十分にこなし切れるわけではありません。


まだ仕事のコツを覚っていないからです。


その意味では、日々仕事に真剣に打ち込んで
キャリアを積み、コツ(骨)に近づいてゆくことはとても大切です。

2014年04月10日(木)09:35 
倒産寸前の状態から、現在グループ全体で
約790億円の売り上げを挙げるまでに発展させてきた
2代目社長の加治敬通氏が語った
「逆境を乗り越える魔法の言葉」とは──。


┌─────今日の注目の人───────┐



 「ピンチはチャンスだ、ありがとう」
        

   加治敬通(ハローデイ社長)

      
  ※『致知』2014年5月号
   特集「焦点を定めて生きる」


└───────────────────┘

ハローデイ経営理念の1番目は
「より多くのお客様に感謝する会社」とあって、
会社をよくしていく過程で
この理念の浸透にも力を入れてきました。


私は体験しているから分かりますが、
従業員にはいくら口で説明しても、
悲しいかな他人事でしかないから分からないんです。


ではどうすれば思いを伝えることができるかと
いろんな研修に参加した上で、
これはと思うものをベースに研修をつくりました。


──自ら研修をおつくりになられたと。


「お元気様研修」といって、
5つある経営理念をベースに2日間かけてやるんです。


例えば感謝について


「皆さんにとって感謝の原点はどこにありますか」


という感じで問い掛けます。


いろいろと答えが出てきますが、
答えは両親ですと。


「両親に感謝できない人が
 何で赤の他人のお客様に感謝できるんですか。
 絶対にできません」


というかたちで入るんですよ。


(中略)


それから研修では普段私たちが
よく使う言葉についても伝えています。


その中の一つに


「ピンチはチャンスだ、ありがとう」


という言葉が必ず出てくるんです。


例えば誰かが私にボコボコに怒られて落ち込んでいると、
皆が寄ってきて、


「よかったなおまえ、おめでとう。
 チャンスじゃないか」


と言って励ます時に使うんです。


このことを理解していただくには
火事事件についてもお話しする必要があって、
実は平成8年元旦の午前1時にお店が燃えたんですよ。


そのお店というのは20数年ぶりに
出したばかりの後藤寺店という新店で、
これが大当たりして
会社の経常利益の3分の2の利益を出していたんです。


その夜、除夜の鐘を聴きながら
営業報告を確認し終えて
やっと一息ついたところで、電話が鳴り響きました。


電話口から上ずった声で、


「火事です。後藤寺店が燃えています」


と聞こえてきた瞬間、もう真っ青になりました。


すぐに車に飛び乗ったのはいいのですが、
頭の中は悪いことばかりが次々と浮かんでくるものですから、
寒さではなくて怖さで震えが止まりません。


──あぁ怖さで震えが。


その時に私の好きな


「ピンチはチャンスだ! ありがとう」


という清水英雄先生の詩がふっと浮かんできたので、
それを必死で唱え始めたんです。


「つらいことがおこると/感謝するんです/
 これでまた強くなれると/ありがとう/
 
 悲しいことがおこると/感謝するんです/
 これで人の悲しみがよくわかると/ありがとう/

 ピンチになると感謝するんです/
 これでもっと逞しくなれると/ありがとう/

 つらいことも悲しいこともピンチものり越えて/
 生きることが人生だと言いきかせるのです……」


車内での40分間、
私はその詩を大声で繰り返しました。


店に着いた時にはゼェゼェいって喉がかれていたので、
店に向かって歩く間は


「ピンチはチャンスだ/人生はドラマだ」


と小声で何度も呟いていました。


すると私を見つけた店長がバッと走り寄ってきて


「すいませんでした」


と大声で謝ってきました。


その時私の口から出てきたのが、


「店長大丈夫や!
 改装費1億か2億かかっても、
 君ならまた取り戻せるやろ」


という言葉だったんですよ。


私は基本的に怖がりだし弱虫だから、
あの詩を口にしていなければ、
きっと店長をボコボコにしていたと思います。


だからその店長はいまだに言うんですよ。
あの時は半殺しまでだったら我慢しようと覚悟をしていたら、
思いもよらない言葉を掛けられて、
嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかったと。


──胸にグッと迫ってくるものがあります。


この話には後日談がありまして、
そのお店がオープンした時の売り上げ
というのが1700万円でした。


これはスーパーの売り上げとしては
驚異的な数字なんですよ。


ところが火事の1か月後に
再オープンした時の売り上げが
何と2300万円だったんです。


オープン時の売り上げをクリアするっていうことは
本来ありえないことなんです。


ですから「ピンチはチャンスだ、ありがとう」
というのはここからきているんですよ。


こういった話も2日間の研修に全部入っています。

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