2014年08月31日(日)14:22 
┌───────今日の注目の人─────────┐



     「人生とは心の反映である」


  稲盛和夫(京セラ名誉会長/日本航空名誉会長)  
         
      
  ※特典書籍『「成功」と「失敗」の法則』より
http://www.chichi.co.jp/kiji/36th_anniversary/entry_nr.html



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輝くような大成功を収め、
「あんなに幸せな人はいない」と人々の羨望を集めていた人が、
いつのまにか没落を遂げていく──


近年、そのようなことに
接することが数多くあります。


私は、そのたびに心を痛めると同時に、


「なぜ、いったん成功を手にしながら、
 それが持続しないのか」


ということを考えることがよくあります。
 

人は往々にして、たくさんの人々の支援を得て
成功を収めたにもかかわらず、
その原因を自分に能力があるからだと考え、
次第にその成果もすべて独り占めしたいと思うようになります。


このように、自分でも気づかないうちに、
少しずつ傲慢になっていくことで、
次第に周囲の協力が得られなくなります。
 

また、人は成功を収めても満足することなく、


「もっと有名になりたい」
「もっとお金持ちになりたい」と、


欲望を際限なくふくらませてしまいがちです。


そのようにして、生きていく上で最も大切な
「足るを知る」ということや謙虚さを忘れてしまうことから、
その成功が長続きしないのです。
 

私は、この宇宙には、すべての生きとし生けるものを、
善き方向に活かそうとする「宇宙の意志」が流れていると考えています。


その善き方向に心を向けて、ただひたむきに努力を重ねていけば、
必ず素晴らしい未来へと導かれていくようになっていると思うのです。
 

一方、足ることを忘れ、謙虚さを失い、
ただ「自分だけよければいい」というような利己的な思いを抱き、
自分勝手に行動するなら、宇宙の意志に逆行し、
一度成功したとしても、それが長続きしないのです。
 

そうであるなら、私たちは心の中に頭をもたげる
利己的な思いをできる限り抑えるように努め、
他に善かれと願う「利他」の思いが少しでも多く湧き出るように
していかなければなりません。
 

例えば、他人の幸せを妬ましく思う心を抑え、
一緒に喜んであげる、


また他人の悲しみを自分のことのように嘆き、
励ましてあげる、


さらには他人への怒りを抑え、
優しい思いやりの心で接する、というように、
「心を整える」ことに努めるのです。


ジェームズ・アレンは、その著書の中で、
「心を整える」ということを、次のように表現しています。
 

「人間の心は庭のようなものです。
 それは知的に耕されることもあれば、
 野放しにされることもありますが、
 そこからは、どちらの場合にも必ず何かが生えてきます。

 もしあなたが自分の庭に、美しい草花の種を蒔かなかったなら、
 そこにはやがて雑草の種が無数に舞い落ち、
 雑草のみが生い茂ることになります。

 すぐれた園芸家は、庭を耕し、雑草を取り除き、
 美しい草花の種を蒔き、それを育みつづけます」
 

「私たちも、もしすばらしい人生を生きたいのなら、
 自分の心の庭を掘り起こし、そこから不純な誤った思いを一掃し、
 そのあとに清らかな正しい思いを植えつけ、
 それを育みつづけなくてはなりません」
 

素晴らしい人生を送りたいと思うなら、
あたかも庭を耕すように、心の中にもたげる、
「悪しき思い」という雑草を取り除き、
「善き思い」という種を蒔き、
それを大切に育み続けることが大切だと、
アレンは述べています。


「知的に耕す」とは、理性をもって自分自身に、
「そうあれ」と繰り返し言い聞かせることです。
 

このようにして心を整えていくことで、
ともすれば私たちの心の中にもたげる、
欲にまみれた心、憎しみにまみれた心、怒りに満ちた心を取り除き、
慈悲の心、愛の心といった美しい「花」を咲かせることができるのです。
 

この「心を整える」ということは、
一見仕事や人生とは関係がないことであるかのように思いがちです。


決して、そうではありません。


仕事の成果も、人生の業績もすべて、
その人の心のまま現れてくるものです。


ならば、素晴らしい人生を送るための生き方も、
立派な業績をあげるための方法も、決して複雑なわけではありません。
 

成功を収めても、謙虚さを忘れず、足ることを知り、
すべてのことに感謝し続けること、


一方、不運に出遭っても、それを素直に受け入れ、
前向きな生き方を続けること、


そのようにして素晴らしい人格を身につけるよう、
常に心を整え、心を高める努力を倦まず弛まず
重ねていきさえすればいいのです。
 

私は、そのような一人ひとりの不断の努力こそが、
よい社会を実現する、唯一の方法であることを信じています。

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