2015年05月29日(金)10:26 
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┃┃致知出版社の「人間力メルマガ」 2015.5.17(日)
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誰しも人生では辛く、苦しいことに
出逢うことがあります。


そういう時であっても、
明るくイキイキとした人生を送るためには
何が大事なのでしょうか。


文学博士で国際コミュニオン学会名誉会長
として知られる鈴木秀子さんが語った
「明るくイキイキとした人生を送る秘訣」とは──。


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    「辛く苦しいことに出逢った時、
     その出来事をどう捉えるか?」


  鈴木秀子(国際コミュニオン学会名誉会長)


     ※『致知』2015年6月号
       連載「人生を照らす言葉」より


 http://www.chichi.co.jp/special/10mailmaga/


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自分自身をじっくり観察してみると、
いかに多くのことを先入観や既成の価値観で
決めつけてしまっているかに驚かされるのです。


一つのものの見方しかできず、
全く一方的な判断を急速に下してしまいます。


私の親しい友人に、ある大学教授夫人がいました。
夫の父も学者でした。


彼女は結婚するに当たって、
夫となるべき人からこう言われました。


「母が、烏が白いと言ったら、烏は黒色ではなく、
 白い色に見えるような目を持つように」


彼女は、この夫の言葉が何を意味したかが、
結婚したその日から嫌でも身にしみて分かりました。


老夫婦、若夫婦一緒に住む家庭で、
姑の言葉は絶対の力があったのです。


嫁は、姑が白と言えば黒いものでも白く見えるように、
自分に言い聞かせました。


彼女の結婚は想像以上に惨めなものであり、
忍耐と自分との闘いとの連続でした。


それが、ある時、久しぶりに彼女と会うと、
明るく溌剌として、自信に溢れ、若々しくなっているのです。


私は驚いて、どんな変化が彼女の境遇にあったかを聞くと、
周りは何一つ変わっていないといいます。


そして彼女は次のような意味の説明をしてくれました。


「私は自分の考えや思っていることを、
 はっきり表明する決心をしたのです。

 辛い体験をとおして私が結婚生活から学んだことは、
 他の人が、物事を必ずしも
 私の目に映るとおりには見ないということです。

 私の目に黒と見えることでも、
 白に見えている場合があると分かったのです。

 10人いれば文字どおり10色の物の見方があることをまず許し、
 それを理解し、その上で私も自分の考えや意見を述べようと決心したのです」


彼女の話を聞きながら、心の持ち方次第で
人がこのようにも変わるものかと、私は、ただ驚いていました。


そして、性急に物事を既成概念や先入観で決めつける習慣が
私の中にいかに根深いかを反省し、
彼女の辛い体験の実りから私も学ばせてもらいたいとつくづく考えたことでした。


他の人の立場をあるがままに受け入れることに、
まず大きな勇気と寛い心が必要です。


苦しい一生を送りながら、聖者と讃えられる人々の記録を見ると、
何と多くの祈りが「勇気と寛大な心を与えてください」という
叫びに満ちていることでしょうか。


世界中のどの人にとっても、いきいきと生き抜くには、
真の勇気と寛い心が土台として必要なのです。

2015年05月07日(木)08:43 
◆致知出版社の「人間力メルマガ」-----2015年5月6日 ◆


先日、王貞治氏の持つ最多得点記録を
日米通算で抜いたイチロー選手。


23年連続となる今季第1号ホームランを放っては、
通算70度目の1試合2盗塁を決めるなど、
41歳にして衰えるどころか、ますます進化を見せています。


そんなイチロー選手の専属打撃投手をかつて務め、
最も身近で支えてきた奥村幸治さんが語った
イチロー選手の「プロの流儀」とは──。


┌───────GWに読みたいイイ話─────────┐


   “最多得点記録・イチロー選手の「プロの流儀」”


   奥村幸治(NPO法人ベースボールスピリッツ理事長)

     
      ※『致知』2010年6月号
        特集「知識・見識・胆識」より
 

└──────────────────────────┘

オリックスで打撃投手を務めていた頃、
不調に陥った選手に「投げましょうか?」と声を掛けると、
ほとんどの場合、「頼む」と答えが返ってきた。


練習することによって、少しでも不安を取り除きたいと
思うのが人情というものだろう。


そんな中、私の申し出に一人だけ首を振った選手がいた。
当時20歳だったイチロー選手である。


試合後にその理由を尋ねてみたところ、
彼は「僕はこんな心境で試合に臨みたいんです」と言う。


「どんなに好きな野球でも、毎日続けていると、
 もう疲れた、きょうは嫌だなと思う時ってないですか? 

 そうなっては、自分の能力って絶対に発揮できないですよ。
 バットが持ちたくて持ちたくてしょうがない。
 そういう心境で、僕は試合に臨みたいんです」


そして彼はこう後を続けた。


「初めてお父さんとキャッチボールした時、
 どんな気持ちになりましたか? 
 またやりたいなと思ったでしょ。

 その気持ちなんですよ。
 そういう気持ちが自分でしっかりつくれれば、
 絶対に技術って向上していくと思いますよ」


イチロー選手のプロ入り3年目の年、
彼の専属打撃投手となった私は、
寮生活で1年間寝食をともにし、多くのことを教わった。


例えばこんな調子である。


「奥村さん、“目標”って高くし過ぎると絶対にダメなんですよね。
 必死に頑張っても、その目標に届かなければどうなりますか?
 諦めたり、挫折感を味わうでしょう。
 それは、目標の設定ミスなんです。

 頑張れば何とか手が届くところに
 目標を設定すればずっと諦めないでいられる。
 そういう設定の仕方が一番大事だと僕は思います」


二軍時代のイチロー選手は、
マシン相手に数時間の打撃練習をしていたが、
普通の選手に同じことをやれと言っても、
それだけの時間、集中してスイングすることはできない。


それがなぜ彼には可能なのかといえば、
私はこの「目標設定の仕方」にあるのではないかという気がする。


イチロー選手には自分にとっての明確な目標があり、
その日にクリアしなければならない課題がある。


その手応えをしっかりと自分で掴むまで、
時間には関係なくやり続けるという練習のスタイルなのだ。


私が彼の基盤として考えるもう一つの要素は、
継続する力、つまりルーティンを
いかに大切にしているかということである。


ある時、イチロー選手にこんな質問をしたことがあった。


「いままでに、これだけはやったな、と言える練習はある?」


彼の答えはこうだった。


「僕は高校生活の3年間、1日にたった10分ですが、
 寝る前に必ず素振りをしました。

 その10分の素振りを1年365日、3年間続けました。
 これが誰よりもやった練習です」


イチロー選手は卓越したセンスを持ちながらも、
ひたすら継続を重ねる。


私はこれこそが、彼の最大の力に
なっている源ではないかと思う。

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