■2011年03月27日(日)  計画停電・復興資金

┏━■〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『計画停電・復興資金
    〜一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ』
 
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東京電力 1都8県を5つに分け計画停電を実施
東北地方 復興資金
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 ▼東電の計画停電は愚の骨頂、問題解決になっていない
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東京電力は、14日から区域の1都8県を5つのグループに分けて
 順番に電力供給を停止する計画停電を開始しました。

 しかし対象地域やグループ分けは毎日変更され、停電実施日に実際
 のグループと一致していない例も多いなど、混乱が続いています。

 この混乱は東京電力が機能不全に陥っている証拠だと私は思って
 います。今回の計画停電について、いくつか指摘したいポイントが
 あります。

 まず第1に、東京電力は現代の「コンピューター社会」を理
解して
 いないのか?という点です。

 今の社会で電気の消費量が多いのはコンピューターです。特に
 コンピューターの起動などのタイミングで多くの電力が消費されます。

 この点について全く配慮されていません。私に言わせれば、東京電力
 に泣きつかれて、菅首相は計画停電を「了承した」ということですが、
 一体何を持って了承しているのか理解に苦しみます。

 第2に計画停電の実施状況に明らかな「差別」「恣意」を感
じます。
 千代田区・港区などを避けて群馬県などの弱い立場にある地域に
 集中しています。

 こうした姿勢も非常に「東京電力らしい」ところです。真っ先に
 自社のビルから停電にするくらいの誠意を見せるべきだと私は思い
 ます。

 第3に、大切なのは「節電」ではなく「集中排除」だという
ことです。
 どんなタイミングでブラックアウトが起きるのかと言えば、電力消費
 がピークに達した時です。蓮舫節電啓発担当相も必死になって「節約
 ・倹約」を訴えていますが、「ピーク時の電力消費量」が低くならな
 ければ意味がありません。

 ですから、消費量が低い真夜中にあえて暖房を止めて寒い思いをし
 てまで「節電」する必要はないでしょう。もちろん一般的に無駄な
 電力を節約するのは良いことですが、今回の趣旨とは違うということ
 です。

 これらの事実を踏まえて、私は次のような方法を提案します。
 まず電力を「15%」削減できる3つの施策を重ねて実
行します。

 ・4月からサマータイムを採用し、時間を2時間早める
 ・企業や工場は週5日間を選択制で操業し電力需要を平準化する
 ・夏の甲子園を中止、または春か秋に変更する

 これから春・夏を迎えます。朝6時半から動き出すのではなく、
 2時間ずらして朝4時半からに変更するのです。太陽
光をエネルギー
 にするのではなく、別の意味で太陽の力を借りるということです。
 私の試算ではこれだけで4〜5%の削減できる可能性
があります。

 東京電力管内の曜日別の電力需要量を見ると、土日が少なくなって
 いて、平日のピーク時は平均よりも約7%需要量が多くなっ
ています。

 そこで、企業や工場は操業する曜日を週5日間から選択する
ことで
 平準化を図ります。もちろん多少の不便はあると思いますが、
 これで約7%の削減が可能になると思います。

 そして1年間の中で最も電力消費量が多い8月への対
策として、
 夏の甲子園を中止・延期します。甲子園で使われる電力の削減、
 そしてそれを冷房の効いた部屋で観戦する分の電力削減を狙います。

 さらに電力の東西グリッドの完全接続を実現します。日本では静岡県
 の富士川と新潟県の糸魚川付近を境にして、東側は50Hz、西側は
 60Hzの電気が送られています。

 これを完全に接続するためには相応の工事費用がかかるとのこと
 ですが、今回の混乱を見れば、世論も工事費の負担を受け入れて
 くれるのではないでしょうか。

 今後、復旧まで3年〜5年ほど東京電力では発電量は
20%減になる
 と思います。東西の日本でいつでも電力の貸し借りができる体制を
 今こそ作るべきです。

 リーダーシップさえ持っていれば今の国民感情を考えれば、すぐに
 これらを実施に移すことができると私は思います。

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 ▼ 復興資金は、消費税と節電ルールから生み出す
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 復興資金の捻出には大きく2つの方法が考えられます。

 1つは「期間限定・目的限定被災地救済消費税」の導入です。最大
 で2%の税率アップで約4兆円の復興資金を確保する
ことができる
 はずです。そのうち、2兆円を「被災地の住民」に、残りの
2兆円
 を「公共・産業インフラ」に対する復興費用に充てます。

 消費税が上がると消費が冷え込むという見方もあるでしょうが、
 そこはリーダーシップを発揮して「大いに使って、飲んで、食べて
 東北地方に復興資金を送ろう」という雰囲気を創り出すべきです。

 もう1つは「節電のノルマ化と電気料金のレビュー化」です。まず
 料金単価が安く設定されている大口顧客には、逆に「高い」もしく
 は我々と同程度の「普通」の金額設定に納得してもらうべきでしょう。

 そして国民一人ひとりには「15%の削減ルール」を設定します。
 過去3ヶ月の平均使用量を基準として、以下のように電気の
消費量
 に応じて料金を定めます。

・85%以下(15%以上の削減):同一料金
・85〜94%(10%程度の削減):料金を10%
アップ
・94〜100%(5%程度の削減):料金を
15%アップ
・100%以上(削減できず):料金を20%アップ

 このようなルールを設定すれば、自分の財布に直撃することですか
 ら真剣に「節電」について考え始めるでしょう。

 蓮舫節電啓発担当相がどれほど声を大にして訴えかけるよりも効果的
 だと私は思います。そして料金のアップ分を「復興資金」として
 東北地方へ送れば良いでしょう。

 例えばGDPを例に取れば、幸いなことに日本はピーク時から
 経済規模は拡大していない状態ですから、新たな原子力発電所を
 作る必要はありません。

 今ある原子力発電所を大切にしながら、企業・国民が力を合わせて
 電力の削減に努め、5〜15%の削減を重ねていけば良いでしょう。

 政府は未だに具体的な方針を示していませんが、リーダーシップを
 発揮してすぐにでも着手して欲しいと思います。

■2011年03月18日(金)  さすがに大前さん

┏━■〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『東北地方太平洋沖地震
    〜復興のための消費税「1%」増で「強い日本」に!』
 

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災害対策
衆参両院の国会審議を取りやめ
与野党
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 ▼万一に対応できる街づくりを設計思想に取り入れるべき
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 11日の東北地方太平洋沖地震を受け、与野党は14日
の衆参両院の
 国会審議をすべて取りやめる方針を固めました。

 14日に衆院災害対策特別委員会の理事懇談会を開き、今後
の対応を
 協議するなど各党は国会対応などで協力し、災害対策に全力を
 挙げる考えとのことです。

 今回の地震で被災地の中には緊急度・優先順位の関係で、未だに
 ライフラインの確保を含め十分な公的な支援がなかなか受けられずに
 困っている方々が沢山いると思います。

 この事態を避けるためには、一定区間ごとに「非常用のジェネレー
 ターセット・緊急食糧・医療器具」などを配備し、街全体の設計にも
 「電線を埋設する」「軟弱地盤を強化する」などの工夫が必要です。

 私が東京都知事選に立候補したのは1995年の4月です
が、同年1月の
 阪神淡路大震災を受けて私は東京でこのコンセプトに基づく街づくりを
 提案しました。

 今回の地震で千葉県の一部地域では軟弱地盤が液状化しているよう
 ですが、東京でも起こりうることであり、お金をかけて作り替える
 必要があると思います。

 そして「強化策」と同時に「街並み」を整備することも提案したの
 ですが、以来16年経過しても未だに実現されていません。結局、
 こうした地道な「準備」を怠らないことが重要ではないかと思います。

 またライフラインの確保という意味では、個人レベルでも「電気・
 電池」をどのように確保するのか、というのが大きな課題でしょう。

 携帯電話、iPhone、iPadなどの端末に頼っていた人
が殆どだと思い
 ますが、電池がなくなってしまっては使い物になりません。

 私の場合、3重のバックアップ体制をとっています。メイン
の携帯
 電話に加えて、スペアの携帯電話を1つ用意し、それぞれの携帯を
 常にフル充電しています。そして充電もできる電池パックを1つ
 予備で持ち歩いています。

 これだけの体制をとっていても、実際にどこまで持つのか?と考え
 出すと切りがありませんが、携帯電話が我々のライフラインとして
 欠かせないものになっている以上、「電気がない状態で携帯などを
 どうやって動かすのか」というのは今後も課題として残るでしょう。

 一方、混乱状態で電話が通じなくなってしまったのに対して、
 インターネット(特にTwitter、Skype)で連絡が取
り合えたと
 いうのは大きな収穫と言えると思います。

 特にTwitterはワンパケットだけでメッセージを送信できる
ので、
 混雑した回線の中でも切れずに済んだのだと思います。この点、
 1つのメッセージ送信にあたって複数パケットを必要とするメール
 に比べてもはるかに優れていました。

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 ▼ 復興費用は、1年間限定で消費税率を6%にして
捻出する
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 また今回の地震に対する日本の対応能力について、海外のメディア
 が高い評価を与えています。CNN・BBCニュースでは
「有史以来
 最悪の地震が、世界で一番準備され訓練された国を襲った。

 犠牲は出たが他の国ではこんな正しい行動はとれないだろう。
 日本人は文化的に感情を抑制する力に優れている」と
 取り上げられました。

 中国でも、混乱に乗じで盗みもせずに整然とコンビニに列をなして
 いる日本人に対して、改めて日本人の道徳の高さに驚いているとの
 ことです。

 こういう点では、日本にとって「良い面」もあったと言えるかも
 しれません。ただ私はより正確に言えば、今の日本人は「正直な
 ところ、呆気に取られて何をやっていいのか分からない」状態に
 なっているのだと見ています。

 今後、仮設住宅での暮らしが長引き、村全体の壊滅的な被害状況
 などが明らかになってくると、精神的なダメージと疲れが押し寄せて
 くると思います。

 その落胆をどう乗り越えていくのか、どう克服していくのか、
 というのが本当の意味で日本人に問われている「強さ」だと
 思います。

 恐らく阪神淡路大震災と比べても、想像を絶するくらい大変です。
 私は阪神淡路大震災の際、現地に行ったことがありますが、今回の
 東北地方はそれと比べても比較にならないほど「跡形もない」状況
 だと思います。これからが本当の正念場でしょう。

 こうした状況の中で、私は知り合いの民主党議員にオーストラリア
 の「ギラード首相」を見習った政策を薦めています。

 オーストラリアはクイーンズランド州の大洪水で被害を受けた
 インフラや家屋、企業などの復興資金を調達するため、一時的な
 課税策を導入しました。

 年間5万豪ドルを超える所得に0.5%、年間10
万豪ドルを超える
 収入には1%の税率で所得税が課される仕組みで、洪水被害
を受けた
 家庭は課税が免除されます。

 これに倣って、例えば「来年1年間のみ復興費用の捻出のため、
 消費税率を1%増税させて欲しい」と国民に説明すれば良いと
 思います。

 もちろん被災地は除くという条件付きでも良いでしょう。1年間
 だけでも消費税率を1%上乗せすれば、2兆円規模の
資金を捻出
 することができます。

 この仕掛けならば、2兆円の前借りであって日本国債に悪影響を
 及ぼすことはないでしょう。

 政府は2000億円規模の臨時予算を検討しているとも聞こえてきま
 すが、この状況でさらに赤字国債を発行すると日本国債暴落の
 危険性があります。

 地震による被害に加えて、国債が暴落する事態まで引き起こして
 しまったら、本当に目も当てられません。

 日本国民全員が救済のために「1%」の消費税の増税を
「1年間だけ」
 認めること、そしてその「2兆円」を「復興費用」に充てる
こと。
 この政策には資金的なインパクトもあると同時に、「国民の結束感」
 を生む効果があるのではないかと私は思っています。

 そして2兆円を使えば、例えば高台に街を築き、その下に公
園など
 を配置するという以前よりも綺麗かつ安全な街づくりを行えるで
 しょう。

 このようなことを行うことで、日本はより「強い」国になることが
 できると思います。

 こうした提案を実行に移すことができれば、もしかすると死に体の
 「菅政権」も復活するかも知れません。

 「鉄の女」と呼ばれ長期政権を誇ったサッチャー英元首相も、
 フォークランド紛争においてリーダーシップを発揮することで、
 それまでの低支持率からの回復を果たしました。

 今は多くの国民が混乱している状況だと思います。ここで足踏み
 することなく、1%の増税施策などを実施し復興への足掛かりに
 することができれば、「強い日本」になると私は思います。
 ぜひ、政府には検討してもらいたいと思っています。 

■2011年03月10日(木)  北方領土問題
┏━■〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『北方領土問題
    〜現状を理解せず、外交姿勢も一貫しない前原外相に猛省を促す 』
 
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北方領土問題
ロシアが実効支配を一層強化
タス通信「大統領は日本との対話を閉じた」
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 ▼ 歴史認識を改めないと、ロシアと議論することはできない
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ロシアのメドベージェフ大統領が9日、北方領土の実効支配を
 軍事・経済両面で一層強める意向を明言したことについて、
 イタル・タス通信は、「大統領は事実上、領土問題をめぐる日本との
 今後の対話を閉じた」と報じました。

 そうした中、モスクワを訪問した前原誠司外相は11日、ロシアの
 外務省でラブロフ外相と約2時間近くに渡って会談しました。

 ラブロフ外相は会見で、メドベージェフ大統領の国後島訪問を
 「許し難い暴挙」と非難した菅首相の発言に不満を表明し、
 議論は平行線を辿りました。

 菅首相も前原外相も、ロシアとの外交について点数をつければ
 「0点」と言わざるを得ないでしょう。

 従来、北方領土問題は専門家同士の話し合いによって交渉が
 行われてきたので、ロシア国民の中には詳しい事情を知らない人
 も多かったはずです。

 ところがメドベージェフ大統領の国後島訪問をキッカケにして
 事態が変わりました。

 日本の反発がロシアでも報道され、北方領土問題についてロシア
 全国民が知るところとなったのです。

 結果、日本大使館の前で日本の国旗が焼かれるなど、ロシアの
 一般市民も興奮し始めてしまいました。

 前原外相との会談でラブロフ外相は、「第2次世界大戦の結果を
 認めない限り、話し合いは無意味」という趣旨のことを述べたそう
 です。

 第二次大戦末期、ヤルタ会談でドイツ降伏後のソ連による対日参戦
 と、千島列島をソ連に引き渡すことが、米ルーズベルト大統領とソ連
 スターリン書記長の間で取り決められました。

 また、終戦までに、トルーマン大統領はスターリン書記長による
 北海道分割という提案を拒否し、北方四島をソ連に譲ることに
 ついて承諾したとも言われているなど戦後を見据えた米ソに激しい
 駆け引きがありました。

 この事は「戦争の結果」であって、今さら「固有の領土」という
 概念を持ち出してみてもロシアが受け入れることはないでしょう。

 もしその議論が成立するなら、米国は「固有の領土」をネイティブ
 インディアンに返還し、国民は英国に戻りなさいという話になって
 しまいます。

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 ▼ 前原外相は、力の外交を展開するなら徹底的にやれ
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 歴史的な背景を認識しつつ、今日の日ロの友好関係から、ロシア側
 は「2島先行返還」「面積等分」などのプランを提示し歩み
寄る姿勢
 を見せていたのに、それを全くの無駄にしてしまったのです。

 余りにも前原外相の態度がひどいために、ロシア側も「そこまで
 言うなら、2島先行返還もない」と態度を変化させてしまい
ました。

 前原外相は松下政経塾のOBですが、「日本外交の基礎・第
1章」
 くらいしか理解していないのではないかと皮肉の1つも言いたく
 なります。

 さらに言えば、「外交態度に一貫性がない」ことも致命的だと
 私は感じています。

 例えば、ロシアは中国や韓国の企業と合弁で北方領土での事業を
 開始するような動きを見せていますが、前原外相はこれについて
 どのように対処するつもりでしょうか?

 もし私が前原外相ならば、「ロシアとの合弁事業を始めた企業には、
 今後一切、日本との交渉・交易を認めない」という強い姿勢を打ち
 出し、抑止力として利用することを考えます。

 もちろん、私はこのような姿勢に同意もしませんし、推奨もしません。

 しかし、今行われている前原外相の外交からすれば、このような
 態度に出ないとつじつまが合わないはずです。外交の一貫性が
 失われます。

 ロシアの合弁事業の呼びかけに対して、大連のある企業が手を挙げ
 ているとの噂がありましたが、大連市当局はすぐに否定し、該当
 企業の特定に乗り出す姿勢を見せました。

 なぜ大連市がこうした行動に出るのかと言えば、大連にとっては
 「ロシアよりも日本が大切」であるためです。ゆえに、大連市の
 企業はロシアとの合弁事業には参加しないと表明するのです。

 前原外相が「力の外交」を押し通そうとしているならば、ここまで
 徹底的にやらなくては意味がありません。韓国でも中国でも、ロシア
 と北方四島の合弁事業に手を出すなら、一切日本との交易を認めない
 と表明し、企業名を名指しで公開しても良いくらいだと思います。

 そこまでの覚悟もなく、だらしない外交を展開しているのですから、
 全く目も当てられない状況です。

 また枝野官房長官にしても、先日海上保安庁の航空機で北方領土を
 上空から視察し、「思った以上に近い。皆が近さを知れば、関心は
 大きくなる」と述べたとのことですが、そんなものは「Google
 Earth」を利用すれば済むことであり、どんな外交的な意味が
 あるのか私には理解できません。

 菅首相、前原外相、枝野幹事長のいずれも、もう1度「外交
の基礎」
 から学び直してもらいたいと私は思います。
  ==========================================================
  この大前研一のメッセージは2月20日にBBT757ch
で放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
  ==========================================================

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 ▼ 今週の大前の視点はいかがでしたでしょうか。
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 北方領土問題は、これまでも様々な視点から議論されてきましたが、
 大前は、KON330およびKON333にあるように、
まずは実効支配
という事実を前提に、前に進むことを考えています。

 また、その後外相の外交上の「ブレ」や「一貫性」の無さも
指摘していますが、これらはいわゆる「考えの軸足」を持つことの
重要性を示しています。

 論理的に、客観的に考えることは大切なことですが、
 それ以前に考える軸足を定めておかなくては、間違った方向に
話を進めてしまう可能性があります。

 何を大切にするのか、また何を達成したいのか。
 このような軸や目的を明確にしてから思考を巡らせることで、
 初めて自身が望む解決に近づくことができます。

■2011年03月04日(金)  カンニングで答えが見つかる試験から
┏━■〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『大学入試〜
カンニングで答えが見つかる試験から
学生も大学も汗をかく選抜方法に変えるべし』
 

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大学入試
 入試問題 ネット投稿
 京都大、早稲田大、立教大、同志社大
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 ▼世の中に出れば、「カンニング」した者が勝ちだ
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 先月25日と26日に行われた京都大学の入試で、試験問題の一部が
 試験時間中にインターネットの質問掲示板に掲載されていたことが
 分かりました。

 またその後の調べで、同志社大(8日)、 立教大(11日)、
 早稲田大(12日) でも同様のカンニングが行われていたことが
 明らかになったとのことです。

 韓国では2004年の大学修学能力試験(日本の大学入試センター
 試験に相当)の際に、携帯電話を使ったカンニングなどの不正受験
 が多数発覚し、逮捕者が出るなど大きな問題となったことがあります。

 韓国では事件後、試験場への携帯電話の持ち込みが禁止され、電子
 機器を所持していないか調べるために小型の金属探知機が使われる
 こともあるそうです。

 日本でも同じような展開が予想されますが、この処置は「対処療法」
 に過ぎません。今回のカンニング事件は不正ではありますが、発想
 を変えて見ると興味深いことが見えてきます。

 10年以上に渡ってサイバー授業を展開しているBBTでは、
 「カンニング」を推奨しています。

 なぜなら、学校を卒業して社会に出たら、「カンニング」した者が
 勝つからです。例えば、事業を興そうと思えば過去の事例をくまなく
 調べて参考にするでしょうし、同時に競合他社の状況についても
 徹底的に調べるはずです。これらの行為は「カンニング」と同様です。

 もちろん知的所有権のあるものについて「カンニング」するのはNG
 ですが、世の中の大半のことについては「カンニングOK」だと
 私は実感しています。

 広い意味で言えば、世の中の様々な人の意見を聞いて参考にして、
 自分が間違った道に進まないように修正していくというのも同様の
 ことだと思います。

 今の世の中で求められているのは、「答えを知っている」ことでは
 ありません。

 「カンニング」をして自ら情報を収集し、その得られた情報から
 最後は自分自身の頭で考えてまとめ直し、「これが一番だ」と思える
 ものを実行に移すというスキルであり、行動力が求められている
のです。

 極論すれば、広い意味での「カンニング」をしてはいけないと
 いうこと自体、私は間違っていると思います。

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 ▼ 大学・文科省が検討すべき入試制度
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 では現実的に大学では「カンニング」に対してどう対処すれば
 良いでしょうか?BBTについて、サイバー授業・試験の場合、
 生徒同士が携帯電話で相談したり、答えを教えたりするのでは?と
 質問されることがよくあります。

 しかし私に言わせれば、生徒同士が軽く相談したくらいで「答え」
 を見つけられる問題を出している学校側が悪いのです。BBT
の場合
 には、例えば次のような形式で問題を出します。

 ・まず生徒に論文を書かせ、それを教師が読み込みます
 ・最終試験では個々人の論文の内容について、それぞれ別の質問
をします
 ・生徒はそれぞれが違う質問をうけて、それを2時間800
字でまとめます

 このようにすると、仮に全く同じ論文であったとしても質問内容が
 異なりますから、生徒同士が携帯電話で相談しても意味はありません。

 そして、教師が生徒の論文を読んで質問をし、生徒はその質問に
 ついてすぐに回答できるかどうかも試されるのです。

 「全員に同じ質問をしない」というのが重要なポイントです。この
 部分は労働集約型の作業ですから確かに教師側は大変ですが、私は
 「先生・教師側も、少しは汗をかくべきだ」と思います。

 今回の件について言えば、携帯電話で検索をすればすぐに答えが
 分かる程度の問題を出している大学も、入試の見直しを再考する契機
 にすべきだと私は思います

 大学入学と言えば、人生の運命を決める可能性がある大きな一歩です。
 その入試問題が、他人に聞けば簡単に答えがわかる問題であって
 いいのでしょうか?

 大学の重要性を謳うなら、それこそ長大な論文を生徒に書かせ、
 教師側も死ぬ気で論文に目を通して成績をつけるべきではないかと
 私は思います。

 またその意味では「面接」も非常に有効な手段であり重要です。BBT
 では必ず面接を実施しています。

 面接をする余裕すらないというマンモス大学もあるでしょうが、
 その時点で「教育を諦めている」と言わざるを得ません。であれば、
 選抜の方法も何でも良いのではないかと正直感じます。

 今回のカンニング事件についての不正を論じることとは別の課題と
 して、今一度、大学・文科省は「あの程度の問題で生徒の人生を
 決めていいのか?」ということを問い直すべきでしょう。

 そして大学にはもっと自ら汗をかき、創意工夫を重ねてもらいたい
 と強く思います。

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