2012年06月29日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『原発と電力問題 〜話題の見方を考える』
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 原発建設     日立の原発建設に議会承認
 原発再稼働問題  3原発を再稼働候補に
 電力問題     計画停電を見直し

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 ▼ 今は、外国の原発建設で実績と経験を積んでおく
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 リトアニア政府は21日、日立と交渉中だった原発の建設事業権契約について、
 議会の承認を賛成多数で得たと発表しました。

 原発から送電するラトビアなど周辺国から合意を得た後、
 正式契約するとのこと。

 福島第1原子力発電所事故で国内での原発新設が難しいなか、
 事故後の日本の原発プラント輸出の第1弾となる予定です。

 日立・米GE連合、東芝・米ウエスチングハウス連合、三菱重工のそれぞれの
 原発建設の受注状況を見ると、様々な地域の国から引き合いがあるようです。

 日本国内では、福島第一原発事故の影響のため日本の原発建設メーカーは
 敬遠されると言う人もいますが、実際には日本企業は非常に優秀です。

 世界的に見ても原発建設産業では、日本勢に匹敵しうるのは、
 フランスのアレヴァ社くらいしか見当たりません。

 この市場に対しては、韓国や中国も参入を虎視眈々と狙っていますが、
 日本の実績とは比べ物になりません。

 また福島第一原発事故の後、日本メーカーの原発は安全性が格段に
 上昇しています。

 私もレビューに参加させてもらいましたが、東芝・米ウエスチングハウス連合
 の新型炉である「AP1000」は、仮に福島第一原発と同じ状況になっても
 最後まで自力で冷却できるという設計になっています。

 今は日本国内で新しい原子炉を建設することは難しいでしょうが、
 20〜30年先、再生可能エネルギーの限界が見えてきたときに
 もう1度カムバックする機会があるかも知れません。

 ぜひ今は外国からの需要に応え、実績と経験を数多く積んでいて
 もらいたいと思います。

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 ▼ 原発の危険性を「客観的に」「冷静に」判断する
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 日本国内の原発に対する姿勢を見ていると、特にマスコミ報道が少し過剰に
 反応している側面があると私は感じています。

 例えば、経済産業省原子力安全・保安院は3つの原子力発電所の
 ストレステスト(耐性調査)結果の審査を8月までに終える方針を固め、
 関西電力大飯原発の次に再稼働させる具体的な作業を進めていますが、
 「住民からの反対」を容易に想像できます。

 「福島第一原発事故の反省をしていない」「政府の説明が下手」という点が
 根本的な問題ですが、加えて大飯原発の再稼働においても住民からの反発が
 強くなってしまったのは、小さな問題が発生するたびにマスコミが大きく
 取り上げて騒いでいたからだと思います。

 そもそも原発の稼働にあたって、小さな問題が発生することは日常茶飯事です。

 だからこそスタートアップする際には3週間〜4週間の時間を確保するのです。

 原発という巨大なプラントにおいて、いちいち小さな問題まで全て発表して
 騒ぐという姿勢は、いい加減に改めるべきでしょう。

 また「放射線量が多い地域を発見した」といって除染するなど、
 体内被曝の問題も大きく取り上げられることが多いようですが、
 これについても同じような側面があると思います。

 被曝量が絶対量として多い少ないと議論するつもりはありません。

 しかし「医療被曝」による被曝量と比較して見たとき、どうして
 医療被曝については大騒ぎしないのか?と疑問を感じてしまいます。

 日本医学放射線学会など12学会・団体は、CT検査などの普及で医療の検査、
 治療による被曝が増えていることを受けて、患者ごとに医療被曝の
 総線量を把握する仕組み作りに乗り出しています。

 がんによる死亡率が0.5%増すと言われている被曝量(年間)が
 100ミリシーベルト、職業被曝の年間限度が、50ミリシーベルトです。
 そして、CT検査は1回で5〜30ミリシーベルトと推定されています。

 CT検査を複数回受けたら、一体どの程度の被曝量になってしまうのか、
 恐ろしい数値になります。

 日本では複数の病院でそれぞれCT検査を受けることはそれほど
 珍しくありませんが、これはどれほどの危険性なのでしょうか?

 福島第一原発事故の影響だけを大きく取り上げて騒ぐのではなく、
 こうした医療被曝についても心配するべきではないでしょうか。

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 ▼ 計画停電は何が何でも避けるべき
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 原発や放射能に過敏に反応しすぎる反面、計画停電による経済的な
 影響については鈍感に過ぎると私は思います。

 政府は22日、電力需給の関係閣僚会議を開き、今夏の計画停電の手順と
 節電目標の見直しを決め、北海道、関西、四国、九州の4電力管内で
 需給が逼迫した場合に計画停電する方針で、1回2時間、1日1回が
 原則と定めるとのことです。

 今年の夏がどういう気候になるのか分かりませんが、兎にも角にも
 「計画停電は絶対に避けなければならない」というのが私の意見です。

 計画停電は病院や工場にとって恐ろしく大変な事態を引き起こしますし、
 レストランやホテルなどの営業活動にも甚大な被害があります。

 1回2時間だろうが1日1回だろうが、断じて許可するべきではないと思います。

 そのために、例えば私たち国民は電力消費量が95%を超えたらテレビや冷房を
 使わないという形で協力すれば良いですし、工場は操業時間を早めたり、
 休日をずらすことで消費電力が少しでも分散するよう計らうことが
 できるでしょう。

 それぞれの立場で協力できることを行い、何が何でも計画停電を避けることが
 何より重要だと私は思います。


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  この大前研一のメッセージは6月24日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 一つの視点のみでニュースを見るのではなく、多角的な視点で
 見ていくと、盲点だった部分に気付くことがあります。

 通常と逆の視点は何か、またその間の視点は何か、などいくつかの
 切り口で現象を見定めていかなくてはなりません。

 これは日頃のビジネスでも言えること。
 論理的思考を使い、俯瞰的に判断することが大切です。
  

2012年06月22日(金) 
今週の「ニュースの視点」は、無借金経営とJAL再上場について、
 大前研一が解説します。
 

INDEX ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【1】今週の 〜大前研一ニュースの視点〜

   『 無借金経営とJAL再上場 〜企業の成長を考える 』
 

【2】問題解決力トレーニングプログラム より

   ◆ Facebookページ『大前流 問題解決者の視点』更新中 ◆
      
    〜あなたのビジネスでも活かせる! 問題解決を
     学んだ方々の体験談を事例とともに紹介しています〜
   

【3】クリックアンケートのお願い


【4】あとがきに代えて

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┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『無借金経営とJAL再上場 〜企業の成長を考える』
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 上場企業
 実質無借金の上場企業1681社
 日本航空
 9月中旬に株式再上場へ

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 ▼ 日本国内への利益還元は減っていく
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 日本経済新聞社の調べによると、上場企業の半数が2011年度末で無借金
 となり、社数、比率がともに2年連続で過去最高となったことが
 明らかになりました。

 かつての日本企業は「借金をすること」で同時に成長をしていく、
 という方法を採っていました。企業そのものの成長機会がなくなれば、
 借金をする必要もなくなり、無借金となったということでしょう。

 また、日本企業の株主資本配当率が伸びてきている点にも注目です。

 銀行金利が1%台であるのに対して、株主資本配当率は2%台に達して
 いますから、銀行に預けるよりも株を保有していた方が得という状態です。

 米国企業の株主資本配当率4%台に比べれば、まだまだ数字は低い水準
 であり、今後の伸びに期待したいところです。

 2012年1月経産省が調べたところによると、海外利益の国内還元方針の
 調査結果として次のようなことが判明しています。

 すなわち、これまで大企業の56.6%は「海外利益の国内還元を優先」
 としてきましたが、今後も国内優先としている企業は42.9%に
 減少しています。

 逆に「海外再投資優先」とする企業が16.2%から31.8%へ上昇しています。

 中小企業においてはこれまでと同様、約60%が国内還元を優先するという
 立場に変わりありませんが、大企業の方針は大きく変化しています。

 海外の利益は海外においてそのまま再投資するということになるので、
 日本へ資金が還流してくることは少なくなります。

 日本経済としてはこの点に留意するべきだと思います。

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 ▼ 上場にあたっては成長シナリオを見よ
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 日本航空は9月中旬に株式を再上場する方針を固めました。

 2010年1月の会社更生法適用申請から、約2年8カ月で株式市場に
 スピード復帰するとのことです。

 日本航空の上場時の時価総額は6000億〜7000億円となる見通しで、
 官民ファンドの企業再生支援機構が日航に出資した約3500億円の公的資金の
 価値が約2倍になる計算だと、新聞は書き立てています。

 「国が関与した破綻企業再生での資金回収としては最高額」だという
 のですが、私に言わせれば、何を脳天気なことを記事にしているのか、
 と思います。

 というのは、今回の上場にあたって
 「日本航空としての今後の成長シナリオ」が未だに明確に
 示されていないからです。

 日本航空は稲盛氏の経営改革により、確かに現時点でピカピカの
 経営状態になりました。

 稲盛氏の経営手腕は、実に見事で素晴らしい成果を残したと思います。

 日本航空の総事業収益とコスト構造を比較してみると、2008年から
 2011年にかけて事業費は約1兆7000億円から約8500億円へ半減しています。

 これに伴い販管費も半減(約3000億円から約1500億円)し、
 営業損益は約500億円の赤字から約2000億円の黒字へ転換しています。

 リストラを実施して、路線を減らし、徹底的にコストを削減して、
 これまでの無駄を省き、「事業そのものを縮小すること」で利益が出る
 体制を作り上げたのが、今の日本航空の状態です。

 そして、現在ここまで利益が出ているのは、資産価値の見直しや特例に
 よる減価償却の減少、法人税の支払い不要など、会社更生法適用の影響も
 否めないでしょう。

 広告宣伝費なども勝手に話題になっていたために
 自然と圧縮されていたものと思います。

 しかし今後、稲盛改革に続く「成長シナリオ」という観点で見ると、
 課題が見えてきます。

 上場するからには「成長シナリオ」を示す必要が出てきます。

 ところが、全日空と日本航空の旅客数の推移を見ると、2009年半ばに
 逆転されたまま日本航空の旅客数は減少しています。

 事業を縮小していたのですから当然のことなのですが、「成長シナリオ」
 を描かなくてはならないとすれば、「このまま」では許されないでしょう。

 成長するという点で言えば、「残った路線で便数を増やす」もしくは
 「もう1度路線を増やす」という方法しかありません。

 残った路線で便数を増やすと、安売りしない限り難しいでしょうから、
 結果としてコストの増加が予想されます。

 そうするとせっかく稲盛改革でコストを削減したのに、
 再びコスト増による赤字転落に陥る可能性が極めて高いと思います。

 では路線を増やす方法はどうかというと、実際日本航空は今年の4月、
 成田−米ボストン線を開設し、最新鋭中型機のボーイング787を就航させています。

 私も学生時代、散々ボストンへ行っていた身ですから直行便ができたのは
 嬉しい限りですが、現実的にこの便が採算に合うかと言えば難しいと思います。

 というのは、HISなどを探せばニューヨークなら時期や条件にもよりますが、
 5万円程度の往復便を見つけることもできるからです。

 そして、ニューヨークからボストンなら1万円くらいの金額で移動できる
 こともあります。

 このような現状で、日本航空のボストン便に「正規料金」を支払って
 利用する人はどのくらい居るでしょうか?

 また自社でも格安航空会社(LCC)に参入しているわけですから、
 競合する路線もでてくるでしょう。

 こうした状況を踏まえると、日本航空は「今が最も良い状態」だと言えます。

 稲盛氏の経営改革の成果は、「本当に素晴らしい」の一言です。
 100点満点を超える結果だと思います。

 しかし、上場となれば今後の「成長シナリオ」が描けるのか?という点が重要です。
 
 残念ながら現時点で日本航空の今後の「成長シナリオ」は示されていません。

 それを考慮せずに、「上場すれば資金が2倍回収できる」などと報じているのは、
 あまりにも脳天気に過ぎると私は思います。


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  この大前研一のメッセージは6月17日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 一見、無借金経営というとポジティブなイメージがあります。
 
 しかし裏返しの視点で見てみると、企業成長の機会を無くして
 しまっているという捉え方がができます。
 
 またJALに関して、短期的な視点では優れた結果を出しましたが、
 長期的には成長戦略が描けていない点が気になります。

 ニュースを読み解く際、このようにいくつかの視点を持つことが大切です。
     

2012年06月15日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『新興国の経済成長 〜低迷の背景を考える』
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 円・人民元取引 円と人民元の直接取引開始
 インド経済 1−3月期GDP 前年同期比5.3%増
 インドネシア財政 約4000億円の緊急融資枠を要請
 ブラジル経済 政策金利を8.5%に引き下げ


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 ▼ BRICsの経済がスローダウン。数年前とは違うそれぞれの経済状況は?
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 円と中国の通貨・人民元を直接交換する為替取引が1日、
 東京、上海の両市場で始まりました。

 東京市場では取引開始直後に、国内銀行間の取引で、1元=12円33銭の
 初値が付きました。

 1日の取引額としては100億円程度と小規模になっています。

 決済額はまだまだ小さいものの、ドルを介さない直接取引の魅力ですから、
 今後はコスト面での優位性もあり、大いに期待したいところです。

 そのためには、人民元をもう少し国際化してもらう必要があると
 私は思っています。

 この取引が始まって、元安へと進みました。
 
 この値動きを意外だと指摘する人もいましたが、私はそうは思いません。

 今、中国政府は人件費を上げていますから、むしろ元高になる要素は
 なくなりつつあると思います。

 中国政府としては矛盾を抱えた状態になってしまっていると言えるでしょう。

 インド政府は31日、1〜3月期の国内総生産(GDP)が前年同期比で
 実質5.3%増だったと発表しました。

 市場予想の6%増を下回り、成長率の鈍化はこれで4四半期連続
 とのことです。

 昨年前半までの金融引き締めで内需が伸び悩んでいることが背景にあると
 見られていますが、もう1つ忘れてはいけないのが欧州経済の不況に起因する
 「欧州資金の引揚げ」です。

 新興地域の対外債務に占める欧州銀行の割合を見ると、インドの対外債務も
 約半分を欧州の銀行に占められていることが分かります。

 インドルピーの下落、株式市場の低迷に繋がってしまうのも
 致し方ないでしょう。

 とは言え、成長率は未だに5%〜6%というレベルを維持している
 わけですから、破壊的なレベルではないでしょう。

 また為替の動きとして、気になるのがロシアのルーブルです。

 天然ガス価格、原油価格が下落しロシア経済が危ぶまれつつあります。

 ルーブルは、ドルとユーロに対しても安くなっていて、
 円に対してはさらに安い状態です。

 先日、日産ルノーがロシアの自動車最大手アフトバズの株式を買い増し、
 買収することで基本合意したという報道がありましたが、大チャンスです。

 ロシアの企業などを買収するなら今は狙い目だと思います。

 インドネシア政府は年内に総額50億ドル(約4000億円)の緊急融資枠を
 国際金融機関などに要請する方針を明らかにしました。

 欧州債務危機による市場資金の流出や燃料補助金の増大による
 財政負担の拡大に対応。50億ドルのうち20億ドルについては世界銀行が
 このほど融資を決定したとのことです。

 インドネシア経済は、今後経常収支で赤字に転落する予想です。

 かつてはエネルギー輸出国でしたが、国内経済の発展に伴い、エネルギー
 輸入国へ変わってしまいました。

 新しい輸出品目が出てくるまで、インドネシア経済は
 苦しい台所事情が続くと思います。

 ここをファイナンスするのは、大いに意味があると思います。

 世界銀行が20億ドル融資したということですが、残額は全て
 日本が融資しても良いくらいだと私は考えています。

 日本の銀行が直接支援してもらいたいところです。

 ブラジル中央銀行は30日開いた通貨政策委員会で、政策金利である
 基準金利を0.5%引き下げて過去最低の年8.5%にすると発表しました。

 高金利により通貨レアルが値上がりし国内製造業の低迷も
 続いていることから利下げで景気を下支えする狙いです。

 ブラジルはルーラ前大統領の後、あまり経済状況が良くありません。

 ついに金利を史上最低レベルに下げたとのことですが、これでも経済は
 浮上しないのではないかと危惧されています。

 オリンピック、ワールドカップという大イベントのために相当の
 資金が必要とされるブラジルですが、当然のことながら産油国として
 深海油田を掘るための莫大な資金も必要です。

 これから4〜5年間の資金繰りは非常に難しいでしょう。

 この問題解決にあたって、ルセフ大統領では少々心もとないかも知れません。

 
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  この大前研一のメッセージは6月3日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 欧州経済の話題はユーロ圏のみに焦点が当てられがちです。
 
 しかし今回のニュースのように新興国の観点から見てみると、
 いかに事の影響する範囲が広いかが分かります。
 
 起こっている現象の本質を把握する際は、より大きな視点で
 見てみる必要があります。
 
 今週末に行われるギリシャの再選挙にも目が離せません。
 

2012年06月13日(水) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『スペイン・アイルランドと欧州財政 〜ユーロの本質を考える』
 ──────────────────────────────────

 スペイン中央銀行 オルドネス総裁が辞任へ
 アイルランド財政 EU財政協定を可決
 ユーロ圏経済 ユーロ圏の運命、ドイツが救うか崩壊か

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 ▼ スペイン、ギリシャ、アイルランド。各国の状況は?
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 スペイン中央銀行は、10日オルドネス総裁が辞任すると発表しました。
 
 辞任理由について触れていませんが、スペイン政界では銀行部門の
 財務悪化の責任を問う声が強まっていました。

 これを受けて、任期より約1カ月早い退任となった模様です。

 今月中旬に予定されている20カ国・地域(G20)首脳会議までの数週間、
 スペイン経済にとっては正念場といったところでしょう。

 スペインは欧州第4の経済大国ですから、万一破綻という状況になれば
 ギリシャとは比べ物にならない影響が考えられます。

 今スペインの失業率は全体で約25%、若者に限ると約50%という高水準です。
 
 こうした状況に鑑みると、スペインの破綻は経済問題だけに留まらず、
 治安の問題に発展する可能性も高いと思います。

 ギリシャのようにEUが頑張って支援をすれば、欧州中央銀行(ECB)が
 救済に乗り出せば、何とかなるというレベルではありません。

 G20で何らかの解決策が見いだせれば良いですが、もしそうでなければ
 スペイン経済は相当ひどい状況に追い込まれてしまうと思います。

 これからの数週間は、特に目が離せません。

 ユーロからの離脱が秒読みと言われているギリシャですが、ユーロから
 離脱し、以前の通貨であるドラクマに戻ることで、今よりも貿易収支は
 良くなるのでは?という意見があります。

 財源が乏しくなるため輸入が大幅に減少し、現在の輸入超過状態
 (輸出:265億ドル、輸入:593億ドル)が改善するというものです。

 また、通貨安となるため観光を含むサービス収支は増加すると
 予測されています。

 皮肉なことですが、経済的に貧しい頃のギリシャに戻った方が
 良いということでしょう。

 しかし一方で、大卒者レベルの人の53%が
 「国を出ていきたい(移民したい)」と考えていて、すでに17%の人は
 その準備を終えているという統計もあります。

 ギリシャという国に残って何とか貢献したいという人は、わずか14%しか
 いないということです。

 もしこの通りになったら、ギリシャ国内に残るのは高齢者や年金受給者
 ばかりになってしまいますから、この点で見ると非常に厳しい将来だと
 言わざるを得ません。

 またギリシャ、スペインに先んじてすでに経済破綻したアイルランドでは、
 1日、財政規律を強める欧州連合(EU)の新条約「財政協定」への参加の
 是非を問う国民投票の集計作業が終わり、賛成が60.3%で批准が
 決定しました。

 EUなどの支援が受け続けられる道筋がついたとのことです。

 アイルランドは他国よりも先に経済破綻したため、一足早く救済を
 受けることができたのは幸運だったと言えるでしょう。
 
 加えて、今回の国民投票の結果に表れた「アイルランド国民の意識」は
 評価に値すると思います。

 EUの新条約「財政協定」は「財政赤字をGDPの0.5%以内にする」という
 相当に厳しい条件を提示しています。

 しかしそれを承諾しなければ援助を受けることはできません。
 これを国民の約6割が受け入れたのです。

 EU加盟国の中でも、アイルランドは
 「EUに加盟したメリットが最も大きかった国」と言われています。

 おそらく国民もその恩恵を感じているのでしょう。

 アイルランドは「財政赤字をGDPの0.5%以内にする」という条件を
 「憲法」に定めることになりました。

 この厳しい状況を乗り越えようという国民の覚悟も見て取れます。
 
 実際にこのルールを守れるのかどうかは分かりませんが、
 ギリシャやスペインよりもはるかに物分かりが良く、
 当面支援を受けられるようになったのは大きいと思います。

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 ▼ ユーロの通貨統合は失敗だったのか?何が問題だったのか?
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 結局、ユーロの通貨統合は失敗だったのか?という議論が活発になりつつ
 ありますが、私は「政治統合していなかった」ということが最大の問題
 だったと感じています。

 通貨統合だけを焦って進めてしまったため、ユーロから離脱する
 ルールさえ定めないままに現在に至っています。

 そして今、ギリシャが離脱寸前の状況になり、慌てて走りながら
 考えているという状況です。

 ユーロ加盟国は、マーストリヒト条約に定められた条件
 (財政赤字はGDPの3%以内、累積赤字はGDPの30%以内など)を守らなくては
 ならないわけですが、現実的にはほとんどの国がルール違反をしています。

 これは「政治統合」をしていなかったことが大きな原因です。

 もう少し具体的に言えば、政治統合をしていないために、各国が

 1.自由に国家予算を立てられること
 2.自由に国債を発行できること

 この2点が根本的な問題だと私は考えています。

 これらを制限すること、すなわち、予算をユーロ全体で承認するようにして、
 各国での国債発行を禁止し、ユーロ債のみの発行とすれば、
 状況はかなり改善されるはずです。

 実際、フランスのオランド大統領はユーロ債の提案をしています
 (しかし、現時点ではドイツが反対しています)。

 今のまま、走りながら考えて対処するという方法でも、もしかしたら上手く
 事が運ぶかも知れませんが、ドイツが救済に反対し、一気にユーロ崩壊に
 向かう可能性も十分に残されていると思います。

 また、スペインがユーロから離脱した時には、スペイン経済は一度地獄を
 見ることになるでしょう。

 すべての人にとって、相当厳しい状況が予想されます。

 ただし、一方的に悲観する必要もないと思います。

 歴史を振り返れば、「金本位制の廃止」「ニクソン・ショック」など、
 幾つもの経済的なショックを克服してきました。

 ショックは必ず克服できますから、あまり恐れないことです。

 「何が上手く機能しなかったのか」「どこが悪かったのか」ということは
 明白になってきています。

 欧州の指導者に、この点に目を向けて議論する「冷静さ」が残っていれば、
 この危機も乗り越えられるのではないかと私は見ています。

 
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  この大前研一のメッセージは6月3日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 予断を許さない状況が続く欧州財政です。
 
 しかし、経済的ショックを克服してきたこれまでの歴史から学ぶことは
 多いはず。
 
 一度冷静になり、欧州の問題を考え直す必要があります。

2012年06月08日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『スペイン・アイルランドと欧州財政 〜ユーロの本質を考える』
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 スペイン中央銀行 オルドネス総裁が辞任へ
 アイルランド財政 EU財政協定を可決
 ユーロ圏経済 ユーロ圏の運命、ドイツが救うか崩壊か

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 ▼ スペイン、ギリシャ、アイルランド。各国の状況は?
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 スペイン中央銀行は、10日オルドネス総裁が辞任すると発表しました。
 
 辞任理由について触れていませんが、スペイン政界では銀行部門の
 財務悪化の責任を問う声が強まっていました。

 これを受けて、任期より約1カ月早い退任となった模様です。

 今月中旬に予定されている20カ国・地域(G20)首脳会議までの数週間、
 スペイン経済にとっては正念場といったところでしょう。

 スペインは欧州第4の経済大国ですから、万一破綻という状況になれば
 ギリシャとは比べ物にならない影響が考えられます。

 今スペインの失業率は全体で約25%、若者に限ると約50%という高水準です。
 
 こうした状況に鑑みると、スペインの破綻は経済問題だけに留まらず、
 治安の問題に発展する可能性も高いと思います。

 ギリシャのようにEUが頑張って支援をすれば、欧州中央銀行(ECB)が
 救済に乗り出せば、何とかなるというレベルではありません。

 G20で何らかの解決策が見いだせれば良いですが、もしそうでなければ
 スペイン経済は相当ひどい状況に追い込まれてしまうと思います。

 これからの数週間は、特に目が離せません。

 ユーロからの離脱が秒読みと言われているギリシャですが、ユーロから
 離脱し、以前の通貨であるドラクマに戻ることで、今よりも貿易収支は
 良くなるのでは?という意見があります。

 財源が乏しくなるため輸入が大幅に減少し、現在の輸入超過状態
 (輸出:265億ドル、輸入:593億ドル)が改善するというものです。

 また、通貨安となるため観光を含むサービス収支は増加すると
 予測されています。

 皮肉なことですが、経済的に貧しい頃のギリシャに戻った方が
 良いということでしょう。

 しかし一方で、大卒者レベルの人の53%が
 「国を出ていきたい(移民したい)」と考えていて、すでに17%の人は
 その準備を終えているという統計もあります。

 ギリシャという国に残って何とか貢献したいという人は、わずか14%しか
 いないということです。

 もしこの通りになったら、ギリシャ国内に残るのは高齢者や年金受給者
 ばかりになってしまいますから、この点で見ると非常に厳しい将来だと
 言わざるを得ません。

 またギリシャ、スペインに先んじてすでに経済破綻したアイルランドでは、
 1日、財政規律を強める欧州連合(EU)の新条約「財政協定」への参加の
 是非を問う国民投票の集計作業が終わり、賛成が60.3%で批准が
 決定しました。

 EUなどの支援が受け続けられる道筋がついたとのことです。

 アイルランドは他国よりも先に経済破綻したため、一足早く救済を
 受けることができたのは幸運だったと言えるでしょう。
 
 加えて、今回の国民投票の結果に表れた「アイルランド国民の意識」は
 評価に値すると思います。

 EUの新条約「財政協定」は「財政赤字をGDPの0.5%以内にする」という
 相当に厳しい条件を提示しています。

 しかしそれを承諾しなければ援助を受けることはできません。
 これを国民の約6割が受け入れたのです。

 EU加盟国の中でも、アイルランドは
 「EUに加盟したメリットが最も大きかった国」と言われています。

 おそらく国民もその恩恵を感じているのでしょう。

 アイルランドは「財政赤字をGDPの0.5%以内にする」という条件を
 「憲法」に定めることになりました。

 この厳しい状況を乗り越えようという国民の覚悟も見て取れます。
 
 実際にこのルールを守れるのかどうかは分かりませんが、
 ギリシャやスペインよりもはるかに物分かりが良く、
 当面支援を受けられるようになったのは大きいと思います。

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 ▼ ユーロの通貨統合は失敗だったのか?何が問題だったのか?
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 結局、ユーロの通貨統合は失敗だったのか?という議論が活発になりつつ
 ありますが、私は「政治統合していなかった」ということが最大の問題
 だったと感じています。

 通貨統合だけを焦って進めてしまったため、ユーロから離脱する
 ルールさえ定めないままに現在に至っています。

 そして今、ギリシャが離脱寸前の状況になり、慌てて走りながら
 考えているという状況です。

 ユーロ加盟国は、マーストリヒト条約に定められた条件
 (財政赤字はGDPの3%以内、累積赤字はGDPの30%以内など)を守らなくては
 ならないわけですが、現実的にはほとんどの国がルール違反をしています。

 これは「政治統合」をしていなかったことが大きな原因です。

 もう少し具体的に言えば、政治統合をしていないために、各国が

 1.自由に国家予算を立てられること
 2.自由に国債を発行できること

 この2点が根本的な問題だと私は考えています。

 これらを制限すること、すなわち、予算をユーロ全体で承認するようにして、
 各国での国債発行を禁止し、ユーロ債のみの発行とすれば、
 状況はかなり改善されるはずです。

 実際、フランスのオランド大統領はユーロ債の提案をしています
 (しかし、現時点ではドイツが反対しています)。

 今のまま、走りながら考えて対処するという方法でも、もしかしたら上手く
 事が運ぶかも知れませんが、ドイツが救済に反対し、一気にユーロ崩壊に
 向かう可能性も十分に残されていると思います。

 また、スペインがユーロから離脱した時には、スペイン経済は一度地獄を
 見ることになるでしょう。

 すべての人にとって、相当厳しい状況が予想されます。

 ただし、一方的に悲観する必要もないと思います。

 歴史を振り返れば、「金本位制の廃止」「ニクソン・ショック」など、
 幾つもの経済的なショックを克服してきました。

 ショックは必ず克服できますから、あまり恐れないことです。

 「何が上手く機能しなかったのか」「どこが悪かったのか」ということは
 明白になってきています。

 欧州の指導者に、この点に目を向けて議論する「冷静さ」が残っていれば、
 この危機も乗り越えられるのではないかと私は見ています。

 
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  この大前研一のメッセージは6月3日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 予断を許さない状況が続く欧州財政です。
 
 しかし、経済的ショックを克服してきたこれまでの歴史から学ぶことは
 多いはず。
 
 一度冷静になり、欧州の問題を考え直す必要があります。
  

2012年06月01日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『原発再稼働問題と生活保護 〜迷走の原因を考える』
 ──────────────────────────────────

 原発再稼働問題
 期間限定稼働の再考を要請
 生活保護制度
 生活保護費を適正化方針

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 ▼ 約1ヶ月、日本が無政府状態だったという事実に目を向けよ
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 関西電力大飯原発3、4号機を夏の電力需要のピーク時に限って再稼働
 させる案について、藤村修官房長官が「念頭にない」と否定したことを
 受けて、大阪市の橋下徹市長は21日、政府に再考を求めました。
 
 橋下市長が言う「3ヶ月限定」という提案に対しては、私も政府と同様、
 賛成できません。

 1つには原子炉の安全性の観点からすると、飛行機が離陸時と着陸時に
 最も危険が高いのと同様、原子炉のリスクが高くなるのは始動と停止の
 タイミングだからです。

 一度稼働して定常状態になればそれほどリスクは高くありません。
 
 またもう1つには、再び福島第一原発を襲ったレベルの津波や地震が
 来た場合に対処できるのかというと、大飯原発の3、4号機に関して
 言えば問題ないからです。

 これは私自身も証明していますし、この点については橋下市長も
 他の専門家の話も聞いた上で、安全性を認めています。

 万一の際、「橋下ブラックアウト」と呼ばれてしまうのを嫌い、
 「3ヶ月限定の再稼働を」という姿勢には賛成できませんが、
 今の政府が原発再稼働をさせるには信用出来ないという点では
 私も橋下市長に賛成です。

 規制庁にせよ、原子力安全委員会にせよ、新しい法律を
 定めるわけでもなく、安全宣言も示されていません。

 福島第一原発事故の本当の原因すら迷走している始末です。

 そんな政府のもと、原子炉を再び運転するのは確かに危険ですし
 賛成できません。

 いま政府の事故調査委員会が、菅直人前首相や枝野経産大臣などを呼び、
 調査をしているそうですが、現実を知らない人たちが当時の週刊誌や
 新聞を読みながら質問しているだけで、全く事実をカバーしていません。

 率直に言えば「でたらめ」だらけです。

 枝野経産大臣などは菅前首相の責任を口にしているそうですが、
 そもそもあの3月11日からの1ヶ月を振り返ると、本当の問題点は
 「日本が無政府状態」にあったことだと私は思っています。
 
 菅前首相がどうこう言うよりも、日本政府が自らの判断ではなく
 米国政府からの圧力に屈していたということを重く見るべきです。
 
 「首都圏全体から避難勧告を」「浜岡原発を停止」など、
 明らかに米国の強い意向でしょう。
 
 およそ1ヶ月の間、無政府状態にあったという事実が、今の日本という
 国を知る上で極めて重要だと思います。
 
 無政府状態だったが故に、現場に全ての対処が
 任されていたというのが実態です。
 
 菅前首相を一人だけ「悪者」にしてしまえばいいという問題ではありません。
 
 枝野氏・海江田氏も、当時「官房長官」「経産大臣」としての役割を
 きちんと果たせていたかと言えば、お粗末極まりなかったと
 私は言いたいところです。
 
 今の事故調査委員会は単なる「3面記事」ショーを作っているだけです。
 
 最低でもそれぞれの人間の役割を理解し、その上で調査を
 進めて欲しいところです。
 
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 ▼ 高所得者の子供は親を扶養する義務がある?
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 全国で209万人が受給する生活保護費の適正化に向けて
 政府が動き出しました。

 小宮山厚生労働相は25日、経済的な余裕がある受給者の親族に
 保護費の返還を積極的に求める考えを表明しました。

 また返還に応じなかったり、扶養を拒んだりした場合、法的手続きを
 取る方針で、支給水準の引き下げも検討するとのことです。

 生活保護の受給者数の推移を見ると、この十数年うなぎのぼり状態です。

 総額も2兆5000億円と言われていますから、当然馬鹿にならない規模です。
 また受給者の多くが本来受給対象にならない人が「偽装離婚」などに
 よって受給しているといった実態もあります。

 特に受給者の多い大阪府では、生活保護の「不正受給Gメン」を配置し、
 実態の把握に乗り出しています。

 国民背番号制度など、国民の実態を把握する仕掛けがなく、
 透明性に欠けるというのが基本的な問題だと言えるでしょう。

 ただ今回のニュースに関して言うと、お笑い芸人の河本氏が
 「高所得者の息子が親の扶養をしないのはおかしい」ということで
 槍玉に上がっているようですが、私は不思議に感じました。

 「いつの間に子供が親の保護をすることが法律で義務付けられたのか?」
 と思ったからです。

 私が知るかぎり、このような法律はないと思います。
 
 親も子も独立していて生活拠点も違うのであれば、お互いに
 「独立した大人」なのですから、それぞれ別々に考えるのが筋だと思います。
 
 もし仮に「高所得者の子供は親の扶養義務がある」というような
 法律があるのなら、その場合には「税金の還付」くらいあっても
 然るべきではないでしょうか。

 通常親を扶養するといった場合には、所得税などの税金を収め手元に
 残った現金から「仕送り」として送るということになると思いますが、
 これを義務とするなら家族手当などと同様に課税対象から免除する
 といった配慮がなければ、おかしな議論になります。
 
 このような議論もせずに、いきなり
 「金持ちなんだから扶養しないのはおかしい」というのは
 どこか間違っていないでしょうか。
 
 ちなみに、この議論を進めていくのなら、世界の他の国々の対応策は
 参考になります。
 
 生活保護費を「お金」で支給するのではなく、「食料品」を買える
 スタンプを配布するなど、現金以外の支給方法によって
 不正受給などを防ぐ方法があります。
 
 また消費税率のアップにともなって、基本的な食料品の料金も
 値上がりしてしまうと金銭的に厳しいという人もいるでしょうから、
 生活保護費の代用として食料品の消費税率だけを下げるといった
 方法もあります。
 
 これは以前から私が提唱している方法です。
 
 生活保護という制度についての議論も、本質的な問題がどこにあるのかを
 考えると「お金を支給する」「不正受給を取り締まる」
 「金持ちは扶養せよ」という次元ではなく、
 より視野の広い政策案が出てくるはずだと思います。
 
 
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  この大前研一のメッセージは5月27日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 国民に対する政府の役割と、親に対する子どもの役割。
 それぞれの在り方が疑問視されている話題です。  
 
 どこからどこまでが責任を負うべき範囲であるのか。
 
 これをきっかけに、自らに求められている役割は何なのか、
 その本質をゼロベースで考え直してみるのも良いかもしれません。
 

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