2012年09月28日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛ 『 シャープ・ルネサスと日本経済の行方〜新しい構想とリーダーシップを考える 』
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 シャープ 米インテルと資本提携交渉
 ルネサスエレクトロニクス 国内官民共同出資案が浮上
 日本経済 「2050年の世界」がベストセラーに

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 ▼ シャープもルネサスも、生き残りには厳しい道のり
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 シャープが、半導体世界最大手の米インテルと資本提携に向けて交渉を
 進めていることが明らかになりました。
 
 インテルはシャープの中小型液晶パネルの技術を高く評価しており、
 自社製半導体を使ったスマートフォンなどの協業相手として有望視。
 
 インテルがシャープに300億円超を出資する方向で協議しており、
 早ければ10月中にも合意したい考えとのことです。
 
 シャープの現在の株価に対して300億円の出資をすると、
 持ち株比率で10%を超えます。
 
 ただしインテルの狙いは資本提携ではなく、中小型スマートフォンの液晶パネル
 にインテルのチップを組み込むという技術レベルの提携にあるとも聞きます。

 技術レベルの提携であれば、本来あえて資本を入れる必要はありませんが、
 今はシャープが資金を必要としているので、特別な状況だということでしょう。

 インテル以外にも様々な企業がシャープに提携の打診を始めているようです。

 では、液晶技術に絞ってシャープが生き残っていけるのか?
 と言うと、難しいと思います。

 もともとシャープは総合家電メーカーですから事業をバラバラにしても
 ダメですし、液晶事業は赤字事業の最たるものですから、
 その点で考えても厳しいでしょう。

 また、経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスを支援するため、
 官民ファンドの産業革新機構と国内自動車メーカーなどによる共同出資案が
 浮上していることが明らかになりました。

 年内をめどに総額1000億円超を集め、株式の過半数を握ることも視野に入れ、
 出資を提案している米投資ファンドに対抗し、国内資本を軸に
 再建を進める狙いとのことです。

 ルネサスエレクトロニクスという会社は、マイコンの世界シェアが高く、
 自動車関連には非常に強いという特徴があります。

 この強い部分を欲している企業はたくさんいますが、コスト構造が悪く
 利益が上がらない工場が目の上のたんこぶになっています。

 誰かがこれらの工場を整理してくれれば、多くの企業が手を上げてくると思います。

 台湾のTSMCもルネサスを虎視眈々と狙っていると思いますが、今自ら積極的に
 動かなくても、KKRにせよ産業革新機構にせよ、結局はエグジット戦略として
 最終的にはTSMCに売却せざるを得ない状況になるかも知れません。

 そして、ルネサスエレクトロニクスの再興にあたって重要なのは、
 「誰が」経営するのか?ということです。
 
 KKRであれば優秀な経営者を連れてくるとおもいますが、
 産業革新機構の場合には相当怪しいと私は感じています。

 現在のごたごたした状況を統合し、リーダーシップを発揮できる人がいなければ、
 何をしてもお金の無駄になってしまうでしょう。
 
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 ▼ 2050年の日本は「暗たんたる状況」に陥っている
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 イギリスの経済誌『エコノミスト』編集部がまとめた『2050年の世界』が、
 発売1か月で4万部を超え、ベストセラーになっています。
 
 『エコノミスト』誌といえば、1962年に「驚くべき日本(Consider Japan)」
 という特集を組み、日本が世界第2位の経済大国に成長していくストーリーを的中
 させていますが、今回は日本が世界史上最も高齢化の進んだ社会になると予測。
 
 国家間の貧富の差が縮まっていく中、相対的に地位を下落させていく
 先進国の中でも、とりわけ日本は「暗たんたる状況」と分析しています。
 
 エコノミスト誌は日本について他にも様々な予測を発表しています。
 今回の件について私の率直な感想を言えば、「日本が繁栄する」理由は
 今のところ全くありませんから、当たり前だ、ということです。
 
 日本政府も2050年の人口動態を発表していますが、3人に1人が高齢化し、
 その高齢者を支える税金も労働力もないという状況です。
 
 エコノミスト誌の予測を聞くまでもなく、世界で最高に高齢化が進んだ社会で、
 「どうやって日本という国を運営していくのか?」というのは明白な
 大きな課題です。
 
 しかしながら今回の自民党の総裁選で、この問題に言及している人は
 いませんでした。これが日本の厳しい現状だと思います。
 
 新しい国家像を創り、そこに向けて進んでいかない限りは、エコノミスト誌が
 指摘するような「暗たんたる状況」になってしまうのは避けられないでしょう。
 
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  この大前研一のメッセージは9月23日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 厳しい局面にあるシャープとルネサスエレクトロニクス。
 そして危惧される日本社会の将来。
 
 持続的な発展のため、新しい構想を創り実現していくリーダーの
 存在が、それぞれの舞台に必要なのではないでしょうか。
 
 また先日、自民党に新しい総裁が生まれました。日本を「暗たんたる状況」
 に陥らせない、強いリーダーシップの発揮が期待されます。
 

2012年09月21日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『 IBMと日本の電機メーカー 〜コモディティ化を考える 』
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 日本IBM 設立75周年祝い フォーラム開催
 シャープ 追加リストラ策を発表
 
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 ▼ IBMが世界一のシェアを誇ったPC事業から撤退した理由
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 日本IBMは11日、設立75周年を祝うフォーラムを開催しました。
 
 その中で、サミュエル・パルミサーノ会長が講演し、
 「企業リーダーは日々の業務をマネージすると同時に
 未来も創造しなければならない」と強調。
 
 長期的な視野にたって経営するため、常に自らに投げかけるべき
 「5つの問い」を紹介しました。
 
 このパルミサーノ氏の5つの問いは非常に参考になるので、
 ぜひビジネスパーソンなら目を通してもらいたい内容です。
 
 私がその中でも特に重要だと感じたのは、
 「コモディティ化にどう対処すべきか?」というものです。
 
 ご存知のように、IBMは
 「世界一のシェアだったパソコン事業からいち早く撤退」しています。
 
 これが問いに対する答えそのものでしょう。
 
 すなわち、どれほど現在利益が出ている中核事業であっても、
 それがコモディティ化しつつあり、将来の中核事業には
 なりえないのならば、速やかに撤退するということです。
 
 いかにその決断を早くできるか、それが重要だということでしょう。
 
 IBMが当時世界一のパソコン事業を投げ出した時に、「もったいない」と
 言っていた人も大勢いましたが、IBMは「コモディティ化の恐ろしさ」を
 分かっていたのです。
 
 IBMのような給与が高い大企業において、中核事業がコモディティ化
 してしまったら絶対にやっていけないと知っていたのです。
 
 結果、IBMにしかできないソリューションカンパニーとして
 生き残る道を選び、見事にメインフレーム事業の再生に成功しました。
 
 私もマッキンゼーで20数年間にわたって世界一高いコンサルティングを
 提供していたので「コモディティ化の恐ろしさ」は理解しているつもりです。
 
 私の場合で言えば、「コンサルティングノウハウ」と呼べるようなものは、
 全て本で公開しました。
 
 ノウハウを超えた部分で付加価値を創りだし、それを提供できたからこそ、
 私は半年で1億円を超えるほどの金額でサービスを提供できたのだと思います。
 
 次の軸足になる事業が見つかっていないと中核事業から撤退できない、
 と考える人もいるかも知れませんが、先に手放すことを考えるべきだと
 私は思います。
 
 将来性のない事業に「しがみつく」企業では勝ち残ることはできないでしょう。

 パソコン事業にしがみついたヒューレット・パッカードが今どれほど
 苦労しているかを見れば明白だと思います。

 
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 ▼ コモディティ化した事業にしがみつく日本企業の苦戦は必至
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 コモディティ化する事業にしがみついてしまい困っている企業は、
 日本にもたくさんあります。
 
 プラズマテレビ事業でコモディティ化の波に飲まれたパイオニアは、
 次のGPS事業でも全く同じ道を辿りました。
 
 十数万円するGPS機器を販売していたものの、コモディティ化した市場では
 世界標準は約4万円になり、ついにはiPhone・iPadが登場し無料でGPSが
 使えるようになってしまいました。
 
 今、十数万円を出費して車にGPS機能をつける人がどれだけいるでしょうか?
 
 NEC、富士通、シャープなど、日本の電機メーカーのほとんどが
 同じ状況にあるのではないかと思います。
 
 今、経営不振で騒がれているシャープにしても、
 液晶テレビ事業がコモディティ化し、それにしがみついた結果が
 「3000億円の赤字」です。
 
 シャープは、従業員の賞与と給与を削減する追加リストラ策を発表し、
 人件費の削減効果は140億円を見込んでいるとのことですが、
 3000億円の赤字ですからこの程度の削減策では全く足りません。
 
 今シャープの経営陣は、「なぜこの会社がトラブルを抱えているのか」
 「どうしたら状況を打開できるのか」全く分かっていないと思います。
 
 この期に及んで、時間が解決してくれると考えている節があります。
 
 今月末に銀行から3000億円の借入を行うようですが、
 これから先は地獄のような状況しか待ち受けていないでしょう。
  
 コモディティ化の恐ろしさを理解し、その兆候が見え始めた時に、
 いかに素早く意思決定できるか。
 
 この重要性をぜひ今回のパルミサーノ氏の5つの問いから
 学んでもらいたいと思います。
 
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  この大前研一のメッセージは9月16日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 すさまじい速さで変化するビジネスシーン。
 過去の習慣や成功事例は通用しなくなっています。

 皆さんはこのような中、変化の兆しを掴み取り、素早い意思決定を
 行うことは出来ていますか? 今取り組んでいるビジネスからは
 撤退しないという前提を作り出していませんか?
 
 コモディティ化の恐ろしさを知り、将来のために、
 冷静な判断ができる思考をもつことが大切です。

2012年09月14日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『 韓国公営企業と国債〜経済成長に潜むリスクを考える 』
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 韓国公営企業
 純資産価値約14兆円
 韓国国債格付け
 韓国格付けを引き上げ
 
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 ▼ 日本と韓国では、国営・公営企業に対する国家の運営方針が全く違う
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 韓国の公営企業は、資産から負債を差し引いた純資産価値が
 1777億ドル(約14兆円)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国28カ国で
 最も大きくなっています。

 一方で、韓国の公営企業は負債が大幅に増加しています。

 韓国企画財政部によると、286機関の昨年の負債総額は
 463兆5000億ウォン(約32兆円)に膨れ上がりました。

 海外の格付け会社は、韓国経済のリスク要因として警告しています。

 公営企業の資産価値総額が14兆円というのは、
 かなり大きな数値だと思います。

 率直に資産内容の良さには驚きました。

 一方日本では全ての公営企業を足しあわせても「マイナス」になっています。

 ここには、日本と韓国の国家運営における
 方針の違いが如実に表れています。

 韓国の場合、ガス、石炭、石油、電力、国際空港、道路、水資源など、
 多くの公営企業がありますが、これらの企業には国家が独占性を与え、
 税金の負担を少なくしています。

 健全経営ができるような国家によるバックアップがあると言えます。

 一方、日本の場合には「なんちゃって」国営、公営と
 言わざるを得ないでしょう。

 赤字を積み重ねて、最後はJRのように数十兆円の赤字を抱えたまま、
 国民に売りつけるという始末です。
 
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 ▼ 国債格付けで上回ったものの、手放しに喜んでいる場合ではない
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 欧州系大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは6日、
 韓国の国債格付けを「シングルAプラス」から、上から4番目の
 「ダブルAマイナス」に1段階引き上げ「シングルAプラス」の
 日本を上回りました。
 
 格上げの理由として、世界経済が不安定な中でも経済、金融が安定
 していることや、持続的な財政規律など堅実なマクロ経済政策を
 実行していることを挙げています。
 
 朝鮮日報を読むと、このニュースは「韓日経済の歴史的な事件」として
 大々的に報じられていました。
 
 98年のIMF危機で国家破綻した韓国からすれば、わずか十数年のうちに
 日本の国債格付けを上回るまで回復できるとは、
 正直想像していなかったでしょう。
 
 この十数年の経済回復力には目を見張るものがあったと思いますが、
 だからと言って手放しに韓国経済を賞賛するわけにもいきません。
 
 というのは、ミクロ的な視点で直近の韓国経済の状況を見てみると、
 驚くほど悪いからです。
 
 最も象徴的なのは、若年層の失業率の高さです。
 
 若年失業率は異常に高くなっていて、雇用機会が失われてきているのが
 分かります。
 
 格付け機関のレーティングも「後出しじゃんけん」のような
 側面もあるので、今回のニュースだけで、韓国国債には将来性があり
 韓国経済の未来は明るい、と判断してしまうのは早計でしょう。
 
 また他社の格付けを見ると、未だに日本国債はネガティブウォッチでは
 あるものの、韓国と同等、あるいは上回る水準にあります。
 
 韓国としては「韓日経済の歴史的な事件」と喜びたい気持ちも分かりますが、
 実際には手放しに喜んでいられる状況ではないと私は思います。
 
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  この大前研一のメッセージは9月2日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 一見すると目を見張る経済回復を遂げた韓国。
 しかし一つのデータのみならず、多面的にデータも見る必要があります。
 
 例えば解説の中では失業率の高さや、格付けの信頼性について
 触れてもいます。

 ニュースを見て「なるほど!」で終わるのではなく、今回の話題で言えば
 なぜそう評価されているのか、逆に懸念はないのか、と考えてみることが
 日頃のニュースを通した思考力の鍛錬に繋がります。
  

2012年09月07日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『 エレクトロニクス業界の低迷〜状況の正しい把握を考える 』
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 NEC 縮小均衡の連鎖にはまったNEC
 鴻海精密工業 シャープ出資見直し 結論は9月以降に
 ルネサスエレクトロニクスに約1000億円出資提案
 
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 ▼ NECとは何か?経営の軸がぶれているNEC
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 8月25日付けの産経ニュースは、
 『縮小均衡の“連鎖”にはまったNEC 成長戦略いまだ見えず』という
 記事を掲載しました。
 
 経営不振にあえぐシャープよりも、NECの方が「もっと厳しい」とする
 大手行幹部の発言を紹介。
 
 半導体、パソコンなど次々と主力事業を切り離し、身軽になったものの、
 成長戦略は見えないまま先行き不透明感が高まっていると指摘しています。
 
 かつては通信技術では世界的にも活躍したNECですが、旧電電ファミリー
 としての威光も通じない時代になってきて、日本一だったパソコンの分野でも
 今では他社に製造してもらった製品を売る立場になっています。
 
 一方で、半導体事業では富士通・NTTドコモと新会社を設立するなど、
 結局、「NECは何の会社なのか?」という部分が見えにくくなってきている
 と感じます。
 
 わずか6〜7年前には4兆5000億円あった売上高も3兆円まで落ち込み、
 リーマン・ショック以降、株価も低迷し100円を割り込むことさえあります。
 
 確かにこのような状況を見ていると、まだシャープの方がましだと
 言われても仕方ないかも知れません。
 
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 ▼ 3月から話を進展させていないシャープの怠慢
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 そのシャープにしても、依然として厳しい状況が続いています。
 
 経営再建中のシャープと資本・業務提携している鴻海精密工業の
 郭台銘会長は28日、東京都内で毎日新聞などの取材に応じ、
 
 「我々はベストを尽くし、シャープと十分にやっていく。
 我々の目指すものに変わりはない」
 
 と述べ、シャープを支える考えを表明しました。

 しかし堺工場で予定していた記者会見を急遽中止し、またシャープの
 奥田社長は鴻海にシャープ株の取得価格を引き下げる交渉を
 していることを明らかにしました。
 
 鴻海のシャープへの出資というニュースで一時的に回復した株価も、
 再び低い水準に戻ってしまいました。
 
 シャープの株価が約550円だった3月に合意した内容は、
 鴻海が約660億円を出資し、9.9%の持ち株比率になるというものでした。
 
 今でもシャープ側は9.9%の持ち株比率を希望していると言われています。
 
 現在の株価から計算すると、出資額は約200億円まで下がる見込みです。
 
 1兆円を超える借金を抱え、早急に2000億円規模の資金調達が
 必要だと言われているシャープは、銀行からのさらなる借入が必須でしょう。
  
 しかし鴻海との話が進まないとなると、それも難しいかも知れません。
 銀行としても困ったところだと思います。
 
 シャープは、社長と会長あるいは元会長の間で意思統一がされないまま、
 3月からこの問題を抱えていて未だに鴻海との話を進めていません。
 
 私に言わせると、交渉のスタートラインに立てていないという
 レベルだと思います。
 
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 ▼ 日本のエレクトロニクス業界は、台湾と韓国の草刈り場と化しつつある
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 NECやシャープと同様、全く良い所がないまま、台湾企業の草刈り場と
 化しているのが、ルネサスエレクトロニクスです。
 
 先日ルネサスエレクトロニクスに、米投資ファンド、
 コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が約1000億円の出資を
 提案したことが明らかになりました。

 ルネサスの時価総額は同日現在約950億円で、KKRの出資が実現すれば、
 ルネサス株の過半を握ることになるとのことでした。
 
 NEC、三菱電機、日立製作所の3社から分社化する形で誕生した
 ルネサスエレクトロニクスですが、売上高はこの3年間で1兆2000億円から
 8000億円に減少し、一度も黒字を経験していないという状況です。

 元の3社の工場19個を足しただけで、1つも閉鎖していないのは驚きです。
 
 今後KKRが考えているシナリオは、残っている株を買い集めて非上場にし、
 3年から5年かけて会社を叩き直してから売却する、というものだと思います。

 売却先の有力候補としては台湾のTSMCが考えられます。

 KKRはファンドですから、年利20%が確保できればOKという感覚でしょう。

 またファンドが長期間にわたって経営をすることは考えにくいですから、
 今回の件も「誰か」に依頼された可能性が高いと思います。

 おそらく「台湾勢」「韓国勢」のどちらかではないかと私は見ています。

 NEC、シャープ、ルネサスエレクトロニクス、いずれの経営状態を見ても
 全く良いところはなく、残念ながら日本のエレクトロニクス業界は、
 台湾と韓国の草刈り場と化しつつある、というのが厳しい現実だと思います。

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  この大前研一のメッセージは9月2日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 低迷する日本のエレクトロニクス業界。 
 皆さんは本日挙げた3社の経営状況を見てどう思われましたか?
 
 厳しいときこそ求められる、状況を正確に判断する能力。
 そして正確な判断さえ出来れば取るべき選択肢が見えてくるもの。

 このように、状況を突破する手段の一つとして問題解決力があります。
  

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