2012年11月30日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『ソニー・王子製紙・任天堂〜ビジネスのプラットフォーム化と環境変化を考える』
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 国内電機大手 ソニー、パナソニックを「投機的」に格下げ
 国内製紙大手 王子HD国内2000人削減へ
 任天堂 「Wii U」をアメリカで先行発売

 -------------------------------------------------------------
 ▼ ソニーにはプラットフォーム化の概念がなかった
 -------------------------------------------------------------

 欧米格付け会社フィッチ・レーティングスは22日、ソニーを3段階引き下げて
 「BB(ダブルB)マイナス」に、パナソニックも2段階引き下げて
 「BB」にしたと発表しました。

 双方とも「投機的」と言われる水準で、世界経済の減速や販売競争で
 厳しい状況に置かれていることが理由とのことです。

 3段階引き下げられてしまったソニーを見ていると、一体何をやりたいのか、
 どのような方向性に進んでいきたいのか、私には全く理解できません。

 出井氏、ハワード・ストリンガー氏の時代を経て、
 「ソニーらしさ」を失ってしまったことが大きな要因でしょう。

 加えて戦略的には、「プラットフォーム化」という概念を持たなかったことが
 残念でなりません。

 ソニーはEdyのような非接触ICカード技術を開発していたのに、
 それをプラットフォーム化して展開するのではなく、
 「単に部品として売る」という選択肢を取ってしまいました。

 またApple社がiPodを発売しiTunesStoreというプラットフォームを
 展開した時にも、そこに乗ることを拒否しました。

 結果、数年の遅れをとったと思います。

 電子書籍リーダーに関しても、「プラットフォーム化+Eコマース」の
 意識がなかったために、せっかくソニーリーダーという質の高い「ハード」を
 持っていたにも関わらず、本という「ソフト」を押さえなかったのが致命的です。

 ハードとソフトの両方を押さえたアマゾンには勝てないでしょう。

 ソニーらしさを取り戻し、どのような戦略で進んでいくのかを明確にしなければ、
 ソニーが復活する見込みは薄いと私は感じています。
 
 
 -------------------------------------------------------------
 ▼ 製紙業界、ゲーム業界には環境変化の波が押し寄せている
 -------------------------------------------------------------

 王子ホールディングスは22日、2016年3月末までに国内の全従業員の
 1割にあたる約2000人の削減を柱とするリストラ策を明らかにしました。

 内需の縮小、円高による輸入紙の定着で国内市場が厳しさを増すと判断、
 一段の構造改革に踏み込む考えです。

 また、日本格付研究所は19日、日本製紙グループ本社の長期発行体格付けを
 「シングルAプラス」から「シングルA」に1段階引き下げたと発表しています。

 王子製紙といえば、日本でも有数の地主であり、そのような企業が
 苦境に追い込まれているというのは注目すべきだと思います。

 電子化によって紙媒体が衰退し、かつ輸出が減り輸入が増えるという
 状況になっています。

 原材料自体も輸入品を使わなければコスト高になるため、
 森林という最高の資産を保有しながらも、それを活用できないという
 ジレンマに陥っています。

 そして、今後は「格付けの下落→リストラ→さらなる格付けの下落」
 という悪循環が待っています。

 これはかつて繊維業界が陥った状況と全く同じで、
 大きな環境変化によってビジネスモデルの根幹が揺らいでしまっているのです。

 また、大きな環境変化という意味では、ゲーム業界も注目したいところです。

 任天堂は18日、家庭用ゲーム機で6年ぶりとなる新型機「Wii U」を
 米国で先行発売します。

 手元のコントローラーに6.2インチの液晶タッチパネルを搭載、
 テレビと液晶画面の両方で遊べるのが特徴。

 2012年3月期に上場後初の最終赤字を計上した任天堂の業績回復の鍵を握ると
 見られています。

 本体にはテレビ電話・カラオケ・インターネットの機能が備わっていて、
 高精細画像でゲームが楽しめます。

 そして手元のコントローラーだけでも独立して遊べ、
 かつスマートフォンよりも本格的なゲームができる点が「売り」になっています。

 しかしスマートフォンで「手軽に遊べる」ことを覚えてしまった人が、
 果たして多くの機能が盛り込まれたコンソールゲーム機に戻ってきてくれるか?
 というと、私は疑問を感じざるを得ません。

 任天堂は依然多額の現金を保有する企業ですから、単年度赤字くらいで
 屋台骨が揺らぐことはありませんが、そうは言っても、コンソールゲーム機に
 固執すると将来的に大きなダメージを被る可能性が高いと私は思います。

 仮に今回の商品が売れたとしても、次のコンソールゲーム機が
 同じように売れる保証はありません。

 約3万円という高額コンソールゲーム機を買ってくれる人が、
 将来的にいつまでいてくれるでしょうか?

 そして、スマートフォンのゲームに対して、コンソールゲーム機で対抗する場合、
 「外した」ときの損害が大きいというのが非常に痛いところです。

 スマートフォンとそれによる大きな環境変化をどのように受け入れるべきか、
 どのように対応していくべきか、改めて考える必要があると思います。
 

2012年11月24日(土) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『次期衆院選挙の動向〜実態なき第三極。リードすべきは自公・民主』
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 衆院選選挙 選挙戦がスタート
 核兵器廃絶 「核廃絶だけ叫んでいても何も動かない」
  
 -------------------------------------------------------------
 ▼ 安倍総裁の右傾化した日本への持論は不必要
 -------------------------------------------------------------
   
 衆院は16日の本会議で解散され「12月4日公示・16日投開票」の日程で
 総選挙が行われることが正式に決定しました。
 
 野田総理は目標を「比較第1党」とし、現政権を維持できる「単独過半数」の
 確保は厳しいとの認識を示しました。
 
 一方、政権奪還を狙う自民・公明両党は「自公で過半数」を目指し、
 日本維新の会など第三極を目指す勢力との三つ巴の構造となっています。
 
 第三極などと呼ばれていますが、ほとんど実態がない政党ばかりですから、
 「三つ巴」ではなく、もっと「自公」「民主」がしっかりしてくれないと困る
 というのが私の率直な感想です。
 
 その意味で懸念しているのは、自民党の安倍総裁の演説内容です。
 
 持論である「右傾化した日本」についての発言が多く、
 防衛面ではもはや海外と揉めるのが前提になっているような話しぶりです。

 憲法改正という点では私も賛成ですが、
 その改正内容という意味では180度違う見解です。
 
 これからの日本の将来を考えると、国際的に活躍できるような
 開かれた国家を目指していくべきだと思います。
 
 残念ながら安倍総裁の話を聞けば聞くほど、それとはかけ離れた国家像が
 浮かび上がってきます。
 
 今、安倍総裁はおかしな持論を持ち出すべきではなく、
 「自民党として十分反省した」ということ、
 そして「民主党政権の3年間がいかに無意味だったのか」ということ、
 この2点について国民に話をするべきでしょう。
 
 -------------------------------------------------------------
 ▼ 橋下氏・石原氏に国政レベルで期待できることはない
 -------------------------------------------------------------
  
 「太陽の党」との合併を表明した「日本維新の会」は、
 12月4日公示・16日投開票の衆院選に向けて3ケタの数の候補者擁立を
 目指す考えを示しているとのことです。

 松井幹事長の影響なのか、あるいは一時期の圧倒的な人気で政権を取れると
 判断したのか、いずれにせよ橋下大阪市長は国政に乗り出した結果、
 自分自身を見失いつつあると私は感じています。

 今の橋下市長の動きを見ていると、「こういう大阪を作りたい」
 「そして大阪を足がかりとして、日本を変えていきたい」という
 明確なポリシーが感じられません。

 頭の中は「いかにして目の前の選挙に勝つか」ということで
 満たされています。

 石原前都知事と手を組んだのも、選挙に勝つために自分が足りない部分を
 埋めたい一心なのだと思います。
 
 また橋下市長は、核兵器廃絶に関連して
 「政治は現実に即して戦略を考える必要がある。
 スローガンだけ掲げるような政治はもうやめないといけない」
 とも発言しました。
 
 これも一種のパフォーマンスなのでしょうが、私に言わせれば
 「今、こんなことに時間を無駄にしている暇があるのですか?」
 と尋ねたい気持ちです。
 
 このようなことは周知の事実であり、沖縄返還、北方領土問題など
 自民党が隠してきた嘘というのはたくさんあります。
 
 橋下市長の政治家人生において、「今ここで言う必要があるのか?」
 ということをもう1度考えてもらいたいと思います。
 
 橋本市長と手を組む石原前都知事について言えば、
 「野球に例えるなら、ワンポイント先発ピッチャー」などと発言したよう
 ですが、いい加減無責任なことはやめて欲しいと心から思います。
 
 そもそも中国との関係性が悪化した原因を作った張本人が、
 何ら責任を取らないまま、日本を指導しているがごとく振る舞うのは
 無責任極まりないことです。
 
 せめて中国との関係が悪化したことについて、
 どれほどの責任を感じているのか説明するべきでしょう。
 
 今後の日本にとっては「経済」「外交」が最重要課題ですが、
 橋下氏、石原氏のいずれもこの点についての提案は全くありません。
 
 どのように日本経済を立て直すのか?
 中国、韓国、ロシアとの外交をどう進めていくのか?
 
 石原氏は言うまでもなく、結局のところ橋下氏も地方政治家に過ぎず、
 国政レベルで期待するのは難しいということでしょう。
 
 橋下氏は国政に乗り出す前に、もう1度「大阪をピカピカにする」
 という原点に戻るべきだと私は思います。
 
  ==========================================================
  この大前研一のメッセージは11月18日にBBT557chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
  ==========================================================
    
 ------------------------------------------------------------- 
 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
 ------------------------------------------------------------- 
 
 総選挙を控え、各政党が動きを見せ始めています。
 このタイミングで考えなくてはいけないのが、
 今の日本にとっての重要課題とは何か?ということ。
 
 政治はその課題をしっかりと認識した上で、解決に向けた指針を
 掲げなければなりません。
 
 三つ巴の状態を解消し、まずは政治の本質に目を向け直すことが
 必要なのではないでしょうか?
  

2012年11月17日(土) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『米大統領選に見る人種対立と財政問題〜オバマ再選後の現実を考える』
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 米大統領選
 激戦州の大半制しオバマ大統領が再選
 世界経済
 成長維持に必要な政策 総動員で合意
 
 -------------------------------------------------------------
 ▼ 大統領選挙に見えた、米国の人種的な分裂状況
 -------------------------------------------------------------
   
 6日投票の米大統領選は即日開票の結果、民主党のオバマ大統領が
 激戦州の大半を制し再選を果たしました。

 7日未明には財政再建と経済成長の両立に取り組む考えを示しましたが、
 米議会選挙は野党共和党が下院の過半を維持しており、
 政策運営には不安が多い状況です。

 今回の大統領選挙を終えて感じるのは、米国には「徒労感が残っただけ」
 ということです。

 1年半という選挙期間は「列車時代」の過去の産物であって、
 今の時代に合わせるなら3ヶ月程度でも良いと思います。

 またその長期間にわたって、膨大なお金を無駄にしつつ候補者同士が
 お互い中傷合戦を繰り広げるため、結果として国を2分してしまうのです。

 オバマ大統領の再選が決定した直後は盛り上がりを見せましたが、
 すぐに「これからの新しい4年間には何ら変化は期待できない」というような
 倦怠感に似たムードが漂い始めました。

 株式市場が4日続落したのも、こういうムードを受けた結果だと思います。

 選挙期間だけでなく、最多得票数を得た候補者がその州の選挙人票を
 すべて獲得できる「選挙人団制度」にも問題があると私は感じています。

 米国は選挙制度そのものを見直す時期にきているのではないでしょうか。

 また、今回の選挙結果について「属性別の支持率」を見ると、
 米国は人種的な分裂が非常に大きいという事実が浮かび上がってきます。

 ・白人(男):ロムニー、オバマ:62:35
  ・白人(女):ロムニー、オバマ:56:42
 ・黒人(男):オバマ、ロムニー:87:11
  ・黒人(女):オバマ、ロムニー:96:3
  ・ラティーノ(男):オバマ、ロムニー:65:33
 ・ラティーノ(女):オバマ、ロムニー:76:23
 
 注:CNN調べ
 
 上記を見て分かる通り、米国には「白人対その他」の
 明確な人種的な対立が存在しています。
 
 年代の違い、主義主張の違い、など様々な観点がありますが、
 最も大きなものは「人種的な対立」という観点であり、
 それがここまで明確に表れたことは今までにはありませんでした。
 
 また州ごとの支持政党もほとんど固まっていて、
 ごく一部のスイングステートを除き変化が見られません。
 
 州、人種レベルで支持する人(政党)が固定化してしまっているので、
 本当の意味で「米国が変化する」ことは現実的に非常に厳しいと
 私は感じています。
 
 -------------------------------------------------------------
 ▼ オバマ大統領ゆえに、財政の壁はより危機的になっていく
 -------------------------------------------------------------
  
 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は5日閉幕しました。
 
 閉幕に先立ち採択された共同声明では、日米欧が取り組むべき課題を明記し、
 日本には特例公債法案を早期に成立させ、今年度の予算執行のための
 財源を確保するよう求め、米国には大型減税の失効と歳出の強制削減が重なる
 「財政の崖」の回避を要請。

 また欧州には債務危機の克服に向け、ユーロ圏の銀行を欧州中央銀行(ECB)が
 一括監督する銀行監督の一元化を2013年中に実施することを促しました。

 再選したオバマ大統領に求められているのは、
 兎にも角にも「財政の崖」の回避です。

 米国の財政収支の推移を見ると、「夢の8年」と言われる90年台後半の
 クリントン政権後期に財政黒字に転換した後、ブッシュ政権では戦費が
 かさんだ上にリーマン・ショックの影響で一気に財政は悪化しました。

 その後を引き継いだのがオバマ大統領です。

 リーマン・ショックの影響という大きなハンディキャップがあったことは
 確かですが、明確な改善案を打ち出せず、結局無駄遣いをしただけと
 指摘されても致し方ない結果だと思います。

 今後、ブッシュ減税の失効などによって財政政策がなくなり、
 同時期に自動歳出削減も始まる予定で景気への悪影響が予想されます。

 また、財政赤字の改善についても、支持基盤が黒人やヒスパニック中心なので
 オバマ大統領は大胆な歳出削減施策を打ち出せず、
 「歳出減少」に関して明確なポリシーを示していません。

 経済、財政面から見ると、オバマ大統領のイメージは完全にマイナスだと
 言わざるを得ないでしょう。
 
 「財政の崖」の問題は、「オバマ大統領であるがゆえに」さらに
 危機的な状況に陥りつつあると私は危惧しています。

  ==========================================================
  この大前研一のメッセージは11月11日にBBT557chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
  ==========================================================
   
 ------------------------------------------------------------- 
 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
 ------------------------------------------------------------- 
 
 米大統領選で明らかになった「白人対その他」の構造。
 そのような中、支持層である黒人やラティーノをも巻き込んだ財政改善策が
 オバマ大統領には求められています。
 
 一方、日本では衆議院の解散が表明されました。
 総選挙が始まることとなりますが、同じく日本でも財政問題は大きな課題。
 自分の考えを持って政党を支持していくことが大切です。
 

2012年11月09日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『パナソニック経営難の解決策とは?〜パラダイムシフトを考える』
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 パナソニック 純損失6852億円
 スクウェア・エニックスHD 純損失が54億円
 シャープ 格付けを6段階引き下げ
 
 -------------------------------------------------------------
 ▼ パナソニックに求められているのは、パラダイムシフト
 -------------------------------------------------------------
   
 パナソニックが先月31日発表した2012年4月から9月までの中間決算は
 6852億円の最終赤字となり、通期でも7650億円の最終赤字との予想を
 発表しました。

 これにより、パナソニックは2年連続の巨額赤字を計上する見込みです。
 業績の悪化を受けて、株価も400円を割り込みストップ安を記録しています。

 このような状況のパナソニックについて心配している人は多いと思います。

 パナソニックの津賀社長は「パナソニックは普通の会社ではない、
 それをしっかりと自覚しなくてはならない」と記者会見で述べていましたが、
 結局のところ「今後パナソニックは何に集中するつもりなのか」という点は
 何も説明しておらず、未だに模索中ということでした。

 「パナソニックはこういう会社になります」という発表ではなかったため、
 ますます投資家にパニックを引き起こしただけ、と私は感じました。
 
 例えば、フィリップスは家電から手を引き、LEDや医療関係向け製品に
 特化する方向性を示しました。

 IBMもかつては「箱売り(ハードウェア販売)」をしていましたが、
 今ではソリューション提供中心にシフトしています。

 つまり、必要とされているのは「パラダイムシフト」なのです。

 パナソニックは大々的に事業部編成を行うそうですが、それだけではなく
 「ある特定の1つか2つの分野で世界一を目指す」というような方向性を
 示すべきだったと思います。

 スマートハウスを軸にしたハウジング分野、あるいはメディカル・医療分野
 などは絶好の候補でしょう。

 新たな道を示す明確な方向性を早く示して欲しいと思います。

 また、パナソニックの赤字とは意味合いが異なりますが、
 スクウェア・エニックス・ホールディングスが中間決算で
 初の純損益が54億円の赤字になるとの見通しを発表しました。

 ゲームメーカーの純損益を見ると、ゲームソフト販売構成が「据置型」から
 「携帯型」へいち早く転換できたか否かで明暗が別れたことが分かります。

 セガ、カプコン、バンダイナムコ、コナミなどは早いタイミングで
 「携帯型」へ転換できたので、未だに利益が出ていますが、
 一方のスクウェア・エニックス、任天堂は、非常に厳しい状況に
 追い込まれています。

 これもパラダイムシフトに乗り遅れた一つの事例です。

 -------------------------------------------------------------
 ▼ 日本は、際限なくモラルハザードが広がる国
 -------------------------------------------------------------
 
 先日格付け大手フィッチ・レーティングスは、シャープの格付けを
 これまでより6段階引き下げ、投機的水準の「シングルBマイナス」としたと
 発表しました。
 
 私が問題だと感じているのは、どこから見ても「投機的」でしかない
 シャープに対して、日本の銀行が3500億円もの資金を融資していることです。
 
 これほど財務状況が悪化した企業に銀行がお金を貸す、
 というのは通常考えられません。
 
 私はそんなことがまかり通る国を見たことがありません。
 
 銀行が「政府の御用聞き」に成り下がってしまい、金融機関としての
 機能を果たせていないと言わざるをえないと思います。
 
 財務省が銀行を救済し、今度は銀行が企業を救済するという構図ですが、
 完全にモラルハザードに陥っています。

 中小企業金融円滑化法の問題点については今さら指摘する必要はないと
 思いますが、本来時限立法であったこの法律は延長を繰り返し、
 問題の先送りを続けています。

 おそらく来年の期限切れのタイミングでも、
 再び延長が検討されるのではないかと思います。

 日本という国は、モラルハザードが際限なく広がる国になってしまった、
 そう強く感じてしまいます。
   
  ==========================================================
  この大前研一のメッセージは11月4日にBBT557chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
  ==========================================================
   
 ------------------------------------------------------------- 
 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
 ------------------------------------------------------------- 

 過去の習慣や成功事例が通用しなくなっている世の中、様々な産業で
 パラダイムシフトが求められてくるのではないでしょうか。
 
 皆さんの会社は、市場の変化やチャンスを察知できていますか?
 既存の事業に固執してはいませんか?
 
 大局的な視点を持って世の中の流れを見ることは、
 現状から脱却する新しい方向性の発見につながります。 

2012年11月03日(土) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ 『ソフトバンクのM&Aと今後の課題〜買収後の黒字化戦略を考える』
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 ソフトバンクがM&A加速
 イー・アクセスと経営統合
  
 -------------------------------------------------------------
 ▼ ソフトバンクとスプリント・ネクステルが合併しても、状況は厳しい
 -------------------------------------------------------------
   
 ソフトバンクとイー・アクセスは1日、両社の経営統合とソフトバンクモバイル
 とイー・アクセスのLTE回線の相互乗入れを発表しました。

 またソフトバンクは15日、米携帯電話会社大手スプリント・ネクステルを
 買収すると発表。

 買収総額は1兆5709億円にのぼる見通しとのことです。
 イー・アクセスとの経営統合は、帯域のカバーを狙っているのでしょう。

 テザリングへの対応を含め、NTTドコモとKDDIに遅れを取らないよう
 意識を強めていると感じます。

 一方でスプリント・ネクステルの買収については、その「真意」を
 図りかねるというのが率直な感想です。

 ソフトバンクの発表によると、スプリント・ネクステルを買収することで
 契約者数は9000万人に達し、NTTドコモの6000万人を超えるということです。

 しかし日米という異なる国の契約者数を足し合わせても、
 単純には比較できないので意味がないと思います。

 またスプリント・ネクステルの契約件数は米国では3位の携帯電話会社ですが、
 AT&T(1位)とベライゾン(2位)との差が大きく開いています。

 契約者数はかろうじて約2倍の差で収まっていますが、
 売上高では約3倍〜4倍、時価総額では約10倍の違いがあります。

 さらには、AT&Tとベライゾンが約2000億円〜3500億円もの安定した利益を
 出しているのに対し、スプリント・ネクステルは赤字です。

 最近では契約者数も減少傾向で、基本的にかなり「苦しい状況にある会社」
 と言わざるをえないと思います。

 日本の3位であるソフトバンクが、米国3位とは言いつつも苦しい状況にある
 スプリント・ネクステルを買収しても、1位や2位との差は大きく、
 収益的にも上手くいくのかどうか私には疑問です。

 3位同士が手を組んでみたが
 「結局、日本でも米国でも(どこでも)利益は出なかった」
 という事態に陥る可能性も大いにあると思います。

 -------------------------------------------------------------
 ▼ ソフトバンクは、スプリント・ネクステルを黒字化できるか?
 -------------------------------------------------------------

 スプリント・ネクステルを買収した後、どのように活用できるでしょうか?

 世界共通のシステムにすることで、スプリント・ネクステルのプログラムを
 日本でも使えるようにできれば、海外に出かけた時もローミング不要で
 自動的にスプリント・ネクステルの回線に切り替わる、
 ということが可能になるでしょう。

 ただし、かつて同じようなことをボーダフォンも試みていましたが、
 基本的には国内インフラが重要であり、実現しても重要な意味を持たない
 施策だと言えます。

 ソフトバンクの孫社長のことですから、何か狙いがあるのでしょう。
 
 ドイツテレコムでも黒字化できなかったスプリント・ネクステルを、
 ソフトバンクがどのように黒字にさせるのかお手並拝見したいと思います。

 ソフトバンクはボーダフォン買収に際して抱えた2兆5000億円の
 有利子負債の完済を目指し順調に負債を減らしてきていましたが、
 今回の買収で再び2兆円を超える有利子負債を抱えることになります。

 国内のNTTドコモ、KDDIとの争いが泥仕合の様相を呈してきて、
 再びここで大きな負債を抱えることで、ある種の「緊張感」を
 孫社長が求めているのではないかと私は感じてしまいます。

 フリーキャッシュフローもマイナスで、多額の有利子負債を抱えた
 スプリント・ネクステルという赤字会社を買収し、AT&Tやベライゾンという
 圧倒的な巨人に対して、ソフトバンクがどのような戦略に打って出るのか、
 今後注目したいと思います。

過去ログ 2010年12月 
2011年01月 02月 03月 04月 05月 
2012年05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2013年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2014年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2015年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2016年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2017年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2018年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月