2013年04月28日(日) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『異次元緩和効果と金相場〜現状の背景と実態を理解する』
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 異次元緩和効果
 新発10年物国債利回り 一時0.65%
 金相場
 金の国際相場が急落

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 ▼ 先進国へお金が流れ始めたというのは、全くの勘違い
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 新発10年物国債の利回りは15日、一時前営業日よりも
 0.03%高い0.65%まで上昇しました。

 一方、東京証券取引所が18日発表した売買動向によると、
 黒田総裁率いる日銀が「量的・質的金融緩和」を発表した翌週の
 4月第2週に海外勢は日本株を1兆5865億円買い越し、
 週間で過去最高を更新したことがわかりました。

 このような事態を受けて、日経新聞は
 「世界の投資マネーが新興国から先進国へ回帰し始めた」などと
 報じていますが、私は賛同できません。

 もう少し資金の性格を見抜いてから記事にすべきだと思います。

 今、日本に流れてきている資金はサヤ取り業者の短期的なものです。
 
 決して長期滞在型の資金ではありません。

 買い越しのピークから売り越しのピークへの変化など、
 一瞬で起こってしまうでしょう。

 今、日本国債の利回りはかなり乱高下しており、
 危険な状況だと私は見ています。

 利回りが上がった時に一気に外国のヘッジファンドが仕掛けてくると、
 今や外国人保有率が10%に達していますから、長期保有していた人も
 不安心理に煽られて日本国債を売ってしまうでしょう。

 すると利回りはさらに上昇し、暴落へのトリガーを引くことに
 つながります。

 日本の為替と株で昨年の秋から1000億円規模で収益を上げている
 某ヘッジファンドの担当者と最近会う機会がありました。

 彼らは民主党政権は長く持たないと踏んで、一般的な日本人よりも
 先に動き始め、円安が進行し、うまく儲けることができたという
 ところでしょう。

 安倍総理の政策を信用して預けようという、
 長期滞在型の資金ではありません。

 米国にお金が戻っているのは、本当だと思います。

 シェールガス革命の影響を考えれば、頷けるところです。

 しかし日本の場合は違います。

 そもそも全世界に4,000兆円もあるホームレスマネーのうち、
 7兆円が日本に流れたからと言って、先進国へお金が流れ始めた
 などと言うのはおかしな話です。

 しっかりとそのお金がどのような性格を持っているのかを
 見抜く目を持って欲しいと思います。

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 ▼ 金相場も日本円、日本国債と同様、荒れ始めた
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 金相場は12日、米大手金融機関が大量の売りを出したという情報が
 市場に流れたのがきっかけに週明けの15日も大幅な下落が続き、
 下げ幅は2日間で200ドルを超えました。

 2000年からずっと上昇傾向にあった金の価格が、1,800ドルに
 迫る勢いから一転、1,500ドルを下回る日も出てくるという、
 急激な下落傾向を示しています。

 CNNの番組では、金のトレーディングに25年間携わっている人が、
 「あんな動きを自分は見たことがない」と、先日のわずか2日間で
 200ドル以上の下落をした相場に驚きを隠せない様子でした。

 金相場は必ずしも日本の影響ではなく、キプロスの影響も
 大きいと言われていますが、金、日本円、日本国債の相場が
 少し荒れ始めているのは確かです。

 サヤ取り業者は何かしらの信念を持っているわけではありません。

 すなわち、安倍総理と黒田日銀総裁が正しいと信じているわけでは
 ないでしょう。

 今は乗っかったほうが儲けやすいと思っているだけです。

 タイミングが来れば、あっさりと離れていくことは明白です。

 おそらく黒田総裁がきちんとした出口戦略を持っていないと踏んで、
 自分たち自身で明確な出口戦略まで考えていると思います。

 日本円、日本国債、金相場といったものの動きを見るとき、
 日本の報道機関などを見ても視野が短期的になりすぎる
 傾向があります。

 もっと広い視野で見て、なぜそれが起こっているのか?
 を自分で考えられるようになってほしいと思います。

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 この大前研一のメッセージは4月21日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 海外投資家による日本株の買い越しが進んでおり、
 多くの資金が日本に流れ込んでいるようです。

 しかし、現在日本に集まっているのは、短期的な性質を持ち、
 すぐに引き上げられる可能性のあるお金。

 今回大前は、そうしたお金が持つ背景や実態を
 理解した上で、国債、為替、金の値動きを
 解説していきました。

 一時的なトレンドに左右されないためにも、
 今起きている出来事の背景や実態を理解する
 努力を怠ってはいけません。
 

2013年04月12日(金) 
      
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『アメリカ・中国・新興国経済〜既存情報に工夫を加えて正しく理解する』
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 米中経済
 上向くアメリカ・中国の景気
 新興国経済
 BRICSから東南アジアへ

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 ▼ 史上最高値と言っても、米国経済は浮かれる余裕はない
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 日経新聞は1日、「上向く米中景気」と題する記事を発表しました。

 これは米国株価指数のダウ工業株30種平均が5年5か月ぶりに
 最高値を付けたことを受けて、ウォルト・ディズニー、IBM、
 マクドナルドなど日本でも有名なグローバル企業が牽引したと紹介。

 また個人消費も勢いをつけているとし、
 課題は雇用回復ペースの遅さと指摘しています。

 一方、中国経済については中国政府が昨年夏以降に行った
 インフラ投資の規制緩和の効果で、景気が底入れしたものの、
 実態は今なお官製経済と分析しています。

 記事で指摘していることはごく当たり前のことばかりですが、
 米国の経済が上向きの兆候を見せており、期待したい気持ちが
 高まっているのでしょう。

 ただ、今回株価が史上最高値をつけたと言って
 過剰に期待しすぎるのもどうかと私は思います。

 確かに史上最高値ではありますが、「株価の伸びている期間」
 で見るとそれほど特別な状況ではありません。

 3月18日号のBloomberg Businessweek誌には
 「かつての景気回復局面での株価の伸び」と題する記事が
 掲載されていました。

 S&P500インデックスの上昇率をみると、今回の景気回復局面では、
 2009年から2013年にかけての約1500日間で129%株価が
 上昇しています。

 ところが、実は歴史的には2000日を超える例もいくつかあり、
 最長期間で言えば1987年から2000年にかけて
 株価が582%上昇しています。

 今の状況に浮かれすぎて良いものか
 私は疑問に感じてしまいます。

 そして最近の米国の悩みは、株式市場の上昇に対して
 景気の高揚感がないということです。

 すなわち、IBM、マクドナルドなど世界に展開して
 勝負している企業は業績が上向き株価が上がっていますが、
 それは国内の景気に反映されていません。

 実際、失業率は未だに7%台を超えており雇用環境が
 改善されたとは言えません。

 株価と実体経済が乖離し始めているのです。

 これが最近の米国経済の特徴であり、
 実は日本も全く同じ状況になっています。

 また中国企業の直近の決算状況を見ると、
 消費財メーカーが厳しい状況に追い込まれています。
 
 太陽電池のサンテックが破綻し、国美電器、李寧、ZTEは
 赤字に転落しました。

 景気の上昇局面では安売りで伸びたものの、
 消費が低迷し値引きした結果、赤字に転落してしまいました。

 これらの企業は高度成長期に固定投資を行い固定費が
 伸びてしまったため、少しでも売上が減ってしまうと
 厳しいのです。

 かつての日本企業は石油ショックなどを経験し、
 必死に固定費を下げて生産性を上げる努力をしました。

 誕生してからずっと高度成長が続いてきたこれらの
 中国企業には、そうした厳しい状況を乗り越えた
 経験がありません。

 内需の陰りが一気に消費財メーカーを直撃し、
 それに耐えうる経験が圧倒的に足りていないのだと思います。


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 ▼ ASEANの好調は、数年前からわかっていたこと
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 日経新聞は1日、「新興国牽引役はBRICSから東南アジアへ」
 と題する記事を掲載しました。

 これはBRICSが高成長を実現し、新興国ブームのきっかけを
 作ったものの、リーマンショック後は南アフリカを除いて
 奮わないと紹介。

 一方、ASEAN各国は消費意欲が旺盛な中間所得層が
 大幅に増えているとし、またASEAN域内で国境を超えた
 生産分業体制が整っているのも魅力と分析しています。

 数年前からASEANのことを指摘していた私に言わせれば、
 「何を今さら」という気持ちです。

 インドネシアの有望さなど、
 何年も前からわかっていたことです。

 BRICSと東南アジア主要国のGDP成長率の推移を見ても、
 右肩下がりのBRICSに対して東南アジア諸国は
 好調を維持しているのがわかります。

 フィリピンは史上最高値、インドネシアも6%台の成長を
 続けています。

 洪水に見舞われたタイも頑張っていますし、
 マレーシアも堅調です。

 ASEAN諸国の特徴としては、中国と直接ぶつかることなく、
 補完関係にある国も多いということだと思います。

 対中貿易がプラスの国も多いのです。

 ゆえに中国に目をつけられることもなく、
 強かに生き残っています。

 ASEAN諸国の好調さは、
 ごく当たり前のことだと私は思っています。


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 この大前研一のメッセージは4月7日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 アメリカの株価指数が史上最高値をつけ、
 景気回復への期待感が高まってきています。

 しかし、「株価の伸びている期間」に視点を移してみると、
 過去と比べて、現在の株価の伸びは決して特別な状況では
 ないことがわかります。

 このように、既存の情報を違った視点で分析したり、
 組み合わせたりすることで、状況を正しく理解することができます。
 

■2013年04月05日(金)  EV
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『ブリヂストンと電気自動車〜顧客を理解して戦略を決める』
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 ブリヂストン
 ブランド戦略を見直し
 電気自動車
 EV試作第3号車「シム・セル」を発表

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 ▼ タイヤメーカーのブランド戦略が、今必要か?
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 ブリヂストンの津谷正明最高経営責任者(CEO)は27日、
 グループ全体で整合性が取れた1つのブランド戦略をまとめたいとの
 見解を示しました。

 ブリヂストンの他、ファイアストン、デイトンなど複数のブランドを
 保有していますが、地域によって混在しており、ブランド戦略を
 統一することで新興国を含めたグローバル展開を加速する方針です。

 正直、今になってなぜブランド戦略を見直す必要があるのか、
 私には理解出来ません。

 例えば、ファイアストンブランドは米国でも
 よく知られたブランドですが、特段傷ついたブランドでもありません。

 今、価格別にブランドを統一する意味があるのでしょうか?

 そもそも、タイヤにとってブランド力がどれほど重要か?
 という点について、消費者の立場から考えるべきでしょう。

 車を持っている人に、自分が乗っている車の
 タイヤメーカーを聞いても、まともに正解できる人は
 そう多くないはずです。

 車メーカーは摩擦、音、重量などを考慮して車種ごとにタイヤを
 共同開発しますから、タイヤメーカーに対する意識は高いですが、
 消費者はタイヤメーカーをそれほど気にしていないのが
 実情だと思います。

 そして車メーカーがタイヤを選ぶ際は、
 技術的な観点から厳格にそれぞれの車種にあったタイヤを選びます。

 あるいは、古くから付き合いが深いメーカーのものを
 選ぶということもあるでしょう。

 いずれにせよ、ブランド力が大きな影響力を持っている
 とは感じません。

 ブランド戦略を見直すのは結構なことですが、
 その前にお客さんとなる消費者に目を向けて考えるべきです。

 お客さんの頭にあるのは、タイヤメーカーのブランドではなく、
 車メーカーのブランドではないでしょうか?

 実際、車のシェアとその車が使っているタイヤのシェアは
 ほとんど同じになりますから、タイヤ単独のブランド力は
 ほとんど関係がないと言えるでしょう。

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 ▼ 電気自動車のポイントは、量産体制を築き上げられるかどうか
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 慶応義塾大学発電気自動車(EV)開発ベンチャーの
 シムドライブは27日、始動から4.2秒で時速100キロメートルまで
 加速できるEVの試作第3号車「シム・セル」を発表しました。

 2015年の量産をめざすとのことです。

 シムドライブは、車輪のホイールにモーターを組み込む
 「インホイールモーター」の採用による低コストなEVの量産化を
 掲げたベンチャー企業です。

 会長には、その趣旨に賛同したベネッセコーポーレションの
 福武總一郎会長が就任しています。

 今回発表されたEVの性能を見ると、ものすごい加速力で
 シムドライブの技術力をうかがい知ることができます。

 時速も最高300キロ近くに達するそうです。

 ただし、重要なのは「性能」ではなく「量産化」です。

 インドなどで量産化をする計画だと思いますが、
 果たしてどこまで「量産体制」を築き上げられるでしょうか?

 2015年を目処にしているとのことなので、
 それまでが勝負時だと思います。


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 この大前研一のメッセージは3月31日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 ブリヂストンがブランド戦略の見直しを行うようですが、
 ユーザーは自分がどこのタイヤを使っているかを
 あまり気にしていないため、戦略に効果があるかは疑問です。

 企業が戦略を立案する上で忘れてはいけないことは、
 それが消費者にとってどのような影響を与えるかを考えること。

 どんなに手間をかけて立案した戦略も、
 ユーザーである顧客との繋がりがなければ、
 効果を発揮することは難しいかもしれません。 
 

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