2013年05月31日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『日本の標準時間と国家戦略特区〜類似した事例を調べて施策の有効性を考える』
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 東京都・猪瀬知事
 標準時間を2時間早める提案
 国家戦略特区
 新特区構想案を発表

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 ▼ 東京で標準時間を2時間早めるのは、物理的に難しい
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 東京都の猪瀬直樹知事は「日本の標準時間を2時間早める」
 という構想を発表しました。

 22日の産業競争力会議で、無駄にしていた日照時間を有効活用でき、
 消費電力が抑制できること、明るい時間に仕事が終わり、
 アフターファイブ需要が生じるなどと利点を強調したとのことです。

 都知事として産業競争力会議で何かしらの提言をしようと試みた、
 という点では評価できますが、現実的には難しいと
 言わざるを得ません。

 私は以前、北海道にサマータイムを導入することを提案したことが
 あります。

 北海道の場合には、朝4時台くらいには明るくなってきますから、
 夏に限れば2時間ずれても問題はありません。

 そして、その結果としてロシアと同じ時刻になるという
 大きなメリットを狙ったものでした。

 これは、シンガポールの狙いと同じです。

 シンガポールが今の標準時を採用したのは、
 中国と合わせることで経済活動をスムーズに行いやすくする
 という意図がありました。

 また猪瀬都知事の提案するように東京で2時間標準時間を
 変更しても、金融機関が東京に集まってくるという
 保証はありません。

 市場が成り立てばいいだけなので、必ずしも東京に金融機関が
 集まる必要はないからです。

 そして、現実的に難しいのは「物理的な」理由も
 大きく影響します。

 冬の東京では、夕方6時にはすでにかなり暗くなっています。
 これが2時間ずれると夕方4時になるわけです。

 朝は真っ暗闇の中通勤することになるでしょう。
 こういうことを考えると、おそらく相当の反発が予想されます。

 猪瀬都知事の提案とは全く関係なく、私は1時間ほど標準時を
 ずらす意味があると思っています。

 帰宅してもまだ明るいうちに2時間〜3時間あれば、
 何かやりたいことをする時間にもなるでしょう。

 また、かつて私が試算したときには、サマータイムを
 導入することで消費電力が15%程度少なくできると見積もりが
 出ました。

 しかし大きな反発があることを、私は身を持って
 体験しているので分かります。

 明るい時間帯でサラリーマンが家に帰るとなると、
 いわゆる夜の街で働く人たちから反対を受けます。

 また戦後の米軍が駐留している時にサマータイムを
 経験している年配の方からは、サマータイムは嫌だという
 感情的な反対も受けました。

 猪瀬都知事の意気込みは感じますが、
 この問題は一筋縄ではいかないものです。

 現実的に今回の提案が実現することは難しいでしょう。

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 ▼ 外国企業のみの「特区」を作っても意味が無い
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 政府が地域を限って大胆な規制緩和や税制優遇を検討する
 新特区「国家戦略特区」に関する東京都の構想案が
 21日明らかになりました。

 誘致した外国企業の法人実効税率を
 20%まで引き下げる目標を掲げ、海外の名門大学の誘致などで
 外国人向け教育や医療を充実させる狙いとのことです。

 法人税率を20%にすることで世界から日本へ誘致したいと言っても、
 世界にはアイルランド(12.5%)やシンガポール(17%)が
 あるので、それほど効果はないと私は思います。

 もし本当に誘致を狙うのであれば、さらに法人税率を下げる
 必要があるでしょう。

 根本的な点を指摘すると、私はそもそも「外国企業」のみに
 適用するのではなく、「日本企業」にも適用するべきだと
 思っています。

 というのは、こんなことをしたら日本企業が本社を海外に
 移してしまうからです。

 ロシアは今回の「国家戦略特区」と同様に「外国企業」に
 対してのみ法人税の優遇があります。

 結果、ロシアはどうなったか?と言うと、キプロスに資金を
 持ちだして、キプロス経由で外国名義でロシアに
 投資をするようになりました。

 ロシアへの投資額が一番大きいのはキプロスですが、
 これはキプロス人ではなく、ロシア人がキプロス経由で
 投資しているのです。

 日本の場合に想定されるのは、シンガポールに会社を移して、
 シンガポール経由で「特区」の恩恵を受ける企業が
 続出することです。

 せっかく特区などを作っても、結果としては日本企業の本社が
 外国に出て行くだけでおわりです。

 これがグローバル企業の動きであり、今回の提案は
 このような動きを全く知らない人が作ったとしか思えません。

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 この大前研一のメッセージは5月26日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 今回明らかになった「国家戦略特区」の構想案は、
 外国企業のみを対象に法人税率を下げるという内容でした。

 ロシアではすでに海外企業に対して優遇措置を取っていますが、
 結果として多くのロシア企業が外へ出て、キプロスを通じ、
 外国企業として自国に投資を行っているのが現状です。 

 もしも、日本で同じことをすれば、ロシア同様、
 日本企業は次々と海外へ出て行ってしまうかもしれません。

 このように、似た事例を外から探してきて、自分たちの事例と
 比べてみることも、解決策を考える上で有効となります。

 施策を実行する前に、類似したケースを参考にして、
 その施策の妥当性や、問題点を理解する姿勢が重要です。

2013年05月24日(金) 
     
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『シャープ・ソニー・ダイキン・ファミリーマート〜外部環境に応じた意思決定を考える』
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 シャープ 高橋副社長が社長に昇格
 ソニー サード・ポイントがソニーに事業分離を提案
 ダイキン 連結売上高 1兆7600億円
 ファミリーマート 韓国コンビニ、日本離れ

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 ▼ シャープの再建に必要なこと/ソニーは事業分離提案を受け入れない
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 シャープは13日、高橋興三代表取締役副社長執行役員が6月下旬に
 社長に昇格する人事を固めました。

 同社は2013年3月期まで2期連続の巨額の最終赤字を計上しました。

 主力取引銀行から追加支援を受けることも決まっており、
 経営体制の刷新で再建を急ぐ考えです。

 率直に言って、お家騒動で揉めている現状を考えると、
 副社長が昇格する人事では再建することは難しいと思います。

 日産をV字回復させたカルロス・ゴーン氏のように、お家騒動には
 縁もゆかりもない人が来て、内部の対立に一切関係なく、
 正しいことを実行する体制を作ることが必須でしょう。

 記者会見では、2014年までに損益分岐点まで回復させると
 発表したそうですが、現在の右肩下がりの状況を
 どう打開するのか?具体的な点が見えて来ません。

 白物家電、情報機器では黒字ですが、AV通信機器も含めて
 その他多くの事業が赤字です。

 これらのことを踏まえた上で、
 こういう戦略で損益分岐点まで持っていくと言えなければ
 意味が無いと思います。

 家電業界ではソニーも非常に厳しい状況に立たされています。

 そのソニーに、米有力ヘッジファンドのサード・ポイントは14日、
 映画や音楽などの事業を分離し、米国で上場するよう提案した
 とのこと。

 ソニーはグループの一体戦略を加速させる方針で難色を示す
 公算が大きいですが、サード・ポイントは米ヤフーに取締役交代や
 戦略の転換を要求し実現したこともあり、
 今後の動向に注目が集まっています。

 私はサード・ポイントの提案は、面白い提案だと思います。

 しかし今のソニーには受け入れられないと思います。

 なぜなら、今回の提案はこれまでのソニーの戦略と正反対のものに
 なるからです。

 ソニーは様々な事業を子会社として分社化して、
 そのたびに大きな収益を上げてきました。

 そして、ソニー本体の収益が悪化したときには、
 分社化した会社を再び吸収することで、ソニー本体の収益改善を
 図ってきました。

 今は、ちょうどソニー本体に吸収したタイミングです。

 ソニーのセグメント別の業績を見ると、モバイルは赤字、
 金融はセグメント中最大の黒字、家電・音響が赤字、
 音楽・映画は黒字となっています。

 この中で音楽・映画分野を独立させて、米国で上場をさせる
 というのが今回の提案ですが、実はそれほど大きなインパクトは
 残せないと思います。

 私としてはこれらの事業を米国に持っていくのは面白いと
 思いますが、現状の数値を見せた上で大きな絵を描いて
 示してくれないと、もう1つ説得力に欠けるという印象です。

 ソニーは6月下旬に退任するハワード・ストリンガー取締役会議長
 の後任に中外製薬の永山治会長兼最高経営責任者を起用するとの
 ことです。

 ハワード・ストリンガー氏よりはよほど良い仕事をしてくれると
 思いますし、期待したいと思います。

 それでも今のソニーのメンタリティではサード・ポイントの
 提案は否決されることになると思います。

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 ▼ 順調にグローバル展開するダイキン/寝首をかかれたファミリーマート
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 ダイキン工業が示した2014年3月期の業績予想は、
 連結売上高は前期比36%増の1兆7600億円、
 営業利益は41%増の1250億円を見込んでいます。

 営業利益は08年3月期の過去最高に迫る勢いで、
 建機や自動車など日本企業が苦戦する中国市場で
 快進撃を続けていることが寄与しているとのことです。

 ダイキンと言えば、コマツと並んで日本を代表する
 グローバル企業と言えます。

 2008年のリーマン・ショックで打撃を受けましたが、
 見事に回復しました。

 ダイキンの空調事業の地域別売上高の推移を見ると、
 欧州での強さ、そして中国での拡大が光っています。

 コマツにしてもダイキンにしても、当然のことながら
 様々な経営課題は抱えていますが、日本企業の中で数少ない
 グローバル展開に成功している企業です。

 ぜひ頑張って欲しいと思います。

 14日の日経新聞では「韓国コンビニ、日本離れ」と題する記事を
 掲載しました。

 これは、コンビニ大手ファミリーマートが韓国のFC先の
 普光グループと取り組んできた韓国展開について、
 昨年6月時点で出店数7,000店超と韓国首位に立ったのを機に
 普光グループがファミリーマートからの独立を打ち出したと紹介。

 かつての電器・自動車等と同様、日本企業の技術支援を受けた
 韓国企業は途中から独立性を強め、やがて日本企業の強力な
 ライバルとなる現象がコンビニ業界でも起きていると
 指摘しています。

 ファミリーマートは韓国のコンビニ市場で圧倒的な強さを
 誇っていましたが、いわゆる「パートナーに寝首をかかれた」
 形になります。

 かつて横浜ゴムからの技術提供を受けたタイヤメーカーの
 ハンコック、ヤマハの技術提供を受けたピアノメーカーの
 サミックなどと同様、「よくある物語」の1つに
 なってしまいました。

 ファミリーマートの場合、現在展開している韓国内の
 7000店舗をどちらが運営するのか?によって話は
 大きく変わってくると思います。

 普光グループが新しくゼロから展開するのかどうか、
 この点が現時点では分かっていません。

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 この大前研一のメッセージは5月19日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 なかなか収益改善が進まないソニーは、米サード・ポイントから
 事業を分離して、米国で上場させるという提案を受けました。
 
 一方、普光グループから独立を表明されたファミリーマートは、
 かつてのパートナーが強力なライバルに変貌しつつある状態を
 迎えているようです。

 変化の激しい中で、ステークホルダーや外部パートナーとの
 関係性も常に安定しているとは限りません。

 企業は外部環境の変化に対応して、状況に応じた意思決定を
 していくことが重要となります。

2013年05月17日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『日本維新の会・民主党・自民党〜マイナンバー法案と高校授業料無償化を考える』
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 日本維新の会 「橋下氏が参院選に出るべき」
 民主党 「96条先行」に反対で一致
 マイナンバー法案 社会保障・税の共通番号法案
 高校授業料 年収900万円軸に制限へ

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 ▼ 維新の会の賞味期限は必然、民主党の空中分解
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 日本維新の会の石原共同代表は7日、
 「党の旬が過ぎ、賞味期限が近づきつつある」として共同代表を
 務める大阪橋下市長の参院選への出馬論を唱えました。

 橋下氏は「(国会議員と自治体首長を)兼職できるなら挑戦も
 あり得るが、市長を辞職することはできない」と出馬に
 慎重な姿勢を示しています。

 私は石原氏の発言は非常に無責任だと思います。

 橋下氏は出馬するべきではありません。

 もし参院選に出馬すれば、せっかく進めている大阪都構想が
 無駄になってしまいます。

 日本維新の会は、いずれにせよ賞味期限を迎えているので、
 橋下氏の出馬の問題は関係ないでしょう。

 橋下氏はまだ若いですから、急ぐ必要はなく、
 今は大阪都の実績を積むことが大切だと思います。

 民主党は7日、憲法改正の発議要件を定める96条を
 他の条文より先行して改正することに反対する方針で
 一致しました。

 海江田代表や桜井政調会長は96条の改正自体に反対する
 姿勢を示していましたが、党内の改憲積極論に配慮し、
 改正の是非に踏み込むのを避けた形です。

 みんなの党、維新の会、自民党、最後には公明党も
 憲法改正には同調するでしょうから、完全に民主党が
 空中分解する図が出来上がってしまいました。

 今回の96条問題の是非は民主党が終焉を迎える「踏み絵」
 みたいなものかも知れません。

 憲法96条の改正はもとより、そもそも憲法とは
 どうあるべきか?どのようにゼロベースで考えるべきか?
 という点については、拙著「平成維新」(1989年)を
 読んで頂きたいと思います。

 他国の参考になる憲法から、ゼロベースで私が憲法を
 考えるならどうするか?という点まで全て書いてあります。

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 ▼ 日本の政治では、制度が果たすべき役割を議論することすらできていない
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 社会保障・税の共通番号(マイナンバー)法案が9日、
 与党や民主党などの賛成多数で可決されました。

 同日中に参院に送付され、今国会中に成立する見通しです。

 2016年1月から年金などの社会保障給付と納税を1つの個人番号で
 一元管理する共通番号制度が始まる予定とのことです。

 このようなものをそのままニュースとして報道するとは、
 今の新聞記者の勉強不足さが表れていると私は思います。

 本来、政府がどのようなサービスを提供すべきかを議論した上で
 マイナンバーを活用するとどのようなコストが削減され、
 どのようなサービスが向上するのかを考えるべきです。

 現状のサービスの限界は何なのか?
 さらにこういうサービスを追加してみてはどうだろうか?

 そのような議論は全く行われていないでしょう。

 政治家もまるで各種業界から接待せれるがまま、
 「マイナンバー」と言われているだけで、
 全く上記のような発想を持っていないと思います。

 全く機能しなかった住基ネットの延長線にある
 マイナンバーなど、お話になりません。

 私はこの点について、デンマークや韓国など他国の事例と
 比較して何が問題なのかということを数年前から
 ずっと指摘しています。

 パスポートの電子申請の失敗などと全く同じ結末を迎える気が
 しています。

 ICカードそのものに付加機能を持たせるなどしていれば、
 まだ将来的な対応が出来たかも知れませんが、そのような
 設計にもなっていないようなので、かなり厳しい状況だと思います。

 同じように全く制度としての根本が議論されていないのが、
 高校の授業料実質無償化という制度です。

 文部科学省は、民主党政権が導入した高校の授業料の実質無償化に
 ついて、新たな給付型奨学金の創設などに財源を活用したいとして、
 世帯の年収で900万円を軸に所得制限を設ける方向で調整に
 入ったとのことです。

 そもそも高校を無償化する理由・大義名分が全くありませんから、
 その点から考え直すべきでしょう。

 もし考えなおすなら、高校を義務教育にするかどうかです。
 義務教育とするなら理解出来ます。

 その場合には、同時に成人年齢を18歳とすることも
 定めるべきでしょう。

 世帯年収の900万円というのも安直過ぎます。
 おそらく生活保護の時と同様、偽装離婚などの問題が
 出てくるでしょう。

 もし年収によって差別化するなら、900万円で一線を引いてしまう
 のではなく、500万円で半額負担、1000万円以上なら無保証など、
 せめて段階別にするべきです。

 今回の世帯年収900万円ということからは少しズレるかも知れませんが、
 基本的に日本の政治家の頭の中には「選挙」しかありませんから、
 困ったときには「金持ち」にしわ寄せがいきます。

 金持ちの割合は少ないですから、選挙での影響が少ないのです。

 そのような乱暴な発想を続けている限り、
 日本にまともな制度が生まれてくることはないと私は思います。

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 この大前研一のメッセージは5月12日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 憲法96条改正に向けて、各党が動きを見せはじめていますが、
 そもそも「憲法のあるべき姿」とは何でしょう?

 大前は、憲法がどうあるべきかをゼロベースで考え、
 その内容を著書「平成維新」の中に記しています。

 問題に対する打ち手を考える際、目的に立ち返って考えなければ、
 制度ありきの対策を講じてしまうかもしれません。

 マイナンバー法案や高校の授業料無償化でも同じです。

 制度の是非について議論をする前に、
 まずは目的からゼロベースで考えることが大切です。
 

2013年05月10日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『憲法改正への有権者意識と国会のあり方〜憲法改正議論のポイントを考える』
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 憲法改正
 現行憲法
 「改正すべき」56%
 「現在のままで良い」28%

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 ▼ 第9条の改正には、日本の冷静な判断能力が問われる
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 日本経済新聞社とテレビ東京は共同で世論調査を実施し、
 夏の参院選の争点に浮上している憲法改正への有権者の
 意識を探りました。

 現行憲法を「改正すべきだ」との回答は56%に上り、
 「現在のままでよい」の28%を上回りました。

 現状維持が3割を下回ったのは2005年の調査以来
 8年ぶりとのことです。

 マスコミは否定的でしたが、以前から私は憲法改正が
 参議院選挙の争点になると述べていました。

 現在の世論では、
 「第96条だけ変えるのか?それとも他も変えるのか?」
 という「改正」が前提になっています。

 憲法改正論がマスコミの間で広がってきた結果、いつの間にか
 憲法を改正すべきとの回答者が56%に達したとのことですが、
 私としては「簡単に決めすぎていないか?」とも感じます。

 逆に現行憲法のままで良いと回答した人が28%とのことですが、
 一度憲法を読んでみて欲しいと思います。

 私に言わせれば、日本語のレベルとしても
 疑いたくなる文章であり、内容も然りです。

 どの点が現行のままで良いのか議論して欲しいところです。

 憲法第9条の改正となると、日本に集団的自衛権が必要なのか?
 という点が議論も発生してきます。

 もともと自民党は自由に憲法を解釈することで、
 憲法改正をしなくてもいわゆる防衛力を整備してきました。

 今回、安倍首相はこれまでのなし崩し的な形ではなく、
 憲法によって明確な立場を取りたいということだと思います。

 ドイツは多大な犠牲を払ってアフガニスタンに派兵しましたが、
 国際社会の一員として日本も同じくらいのことはするべきだと
 考えているでしょう。

 当然これまでのように、武器が制限され、後方支援のみ、
 ではなく他の国の軍隊と同様の任務を遂行するものとして
 派遣できることが前提だと思います。

 集団的自衛権の行使が憲法で定められたならば、
 今以上に日本には冷静な判断能力が求められると思います。

 例えば、サダム・フセインを追い詰めた米大統領の
 間違ったキャンペーンに乗っかるべきではありません。

 あくまでも人類の大義のために集団的自衛権を行使することが
 重要であり、米国にしっぽを振るものではありません。
 
 安倍首相が想定している集団的自衛権が間違っていないことを
 願っています。

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 ▼ 憲法改正において議論すべきテーマは?
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 先ほども見たように今回の世論調査では、
 「憲法改正すべき」が56%で、「現在のままで良い」の28%の
 2倍になっています。

 具体的な改正のポイントはどこかと言うと、まず二院制など
 国会のあり方です。

 橋下氏は一院制を推していますが、私も新大前研一リポートで
 発表して以来、元祖一院制論者です。

 私の場合には、一院制+道州制であり、加えて国民投票です。

 衆議院で結論を出す一方、重要事項については国民が
 直接承認する方法が良いと考えています。

 憲法改正の要件を緩和すべき、すなわち第96条の改正も
 ポイントになっています。

 おそらく参議院選挙で自民党が憲法改正を争点にすれば、
 第96条が前面に出てくることになると思います。

 第9条の改正を争点にしてしまうと、収集がつかなくなる
 可能性が非常に高いので、そこは避けてくるでしょう。

 第96条の議論であれば、みんなの党、維新の会も足並みを
 揃えていけるので好都合です。

 参議院選挙の争点にするには間に合わないと思いますが、
 安倍政権には次の3つの課題も残されています。

 すなわち、前回の安倍政権で定めた国民投票法案に定められた
 附則事項です。

 「18歳選挙権実現の法整備」では、
 18歳以上に国民投票の投票権を与えたものの、
 公職選挙法の選挙権や民法との整合性をどうするのか?

 「公務員の政治的行為」では、政治的行為に制限を受けている
 公務員について、国家公務員、地方公務員の規定にどのような
 変更を加えるのか?

 「国民投票の対象拡大」では、国民投票を憲法改正以外にも
 適用出来るのか?

 上記の点は具体的に議論を進めていく必要があると思います。

 例えば、国民投票の対象拡大が首相の選任に適用された場合、
 今の日本国民の政治に対する関心の低さを考えると、マスコミの
 人気投票になってしまうリスクを考える必要があるでしょう。

 今の日本だと著名人・芸能人が首相に選ばれる可能性も
 大いにあります。

 実際、過去数十年の首相に選びたい人のランキングを見ると、
 田中真紀子氏や石原慎太郎氏が上位にいます。

 憲法改正にあたっては、こうした諸々の問題も具体的に
 議論していく必要があります。

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 この大前研一のメッセージは5月5日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 憲法改正の是非に関する議論が活発になっています。

 世論調査の結果を見ると、改正すべきとする声が多数派の
 ようですが、熟慮した上での結論かは疑問です。

 逆に「現在のままでいい」と結論付ける場合、
 どの点が現行のままでいいのかを議論する必要があります。

 実際に自分で憲法に書かれている内容を読み、自ら考えることで、
 テレビや新聞の言う事に踊らされず、客観的な視点で憲法改正の
 問題を捉えることができるかもしれません。

2013年05月03日(金) 
      
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『日産・ヤクルト・米ボーイング社・ANA〜企業の取り組みや考え方を理解する』
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 日産・ルノー連合 夏までにルノー工場で日産車生産
 ヤクルト本社 海外での提携を解消
 米ボーイング 787運行再開へ向け改修作業完了
 ANA 連結営業利益1100億円

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 ▼ 日産はゴーン氏と袂を分かつか逆買収せよ
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 日産・ルノー連合のカルロス・ゴーンCEOは、先月13日、
 「夏までにルノーの工場で日産車を生産する計画を発表できるだろう」
 との見通しを示しました。

 現在、両社の業績格差は広がっていますが、フランス政府も
 日産がルノーを手助けするのは当然とコメントするなど圧力を
 強めており、負担を強いられる日産社内からはルノーへの
 出資比率を引き下げる議論も出始めたということです。

 これは非常におかしな話だと思います。

 ルノーの純利益算定の構造を見ると、2012年の利益の大半は
 日産が生み出したものです。

 今では「ルノー=日産」と言っても過言ではありません。

 それなのに、オランド仏大統領は、
 「フランスで日産の車を作り、ルノーの工場を閉鎖しないように」
 と言っています。

 フランス政府はルノーの株式を保有している株主ですから、
 ルノーの得になることを提言しているのです。

 こうした状況に対して日本政府が黙っている理由はありません。

 「日本の雇用を考えてもそんなことは受け入れられないし、
 ルノーのことはルノーが考えろ」と主張するべきだと私は思います。

 確かに、日産がV字回復を成し遂げることが出来たのは、
 カルロス・ゴーンCEOのお陰ですが、もうその義理も
 果たしたのではないでしょうか。

 今、ゴーン氏の給与の大半は日産から支払っています。

 それにも関わらず、ゴーン氏は日本に不利な動きばかりして、
 フランス政府にベッタリ近づいています。

 もうそろそろ、ゴーン氏と袂を分かつか、あるいは日産が
 ルノーを逆買収するということも検討しても良いと私は思います。

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 ▼ ヤクルトはTOBの危険性が大
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 ヤクルト本社は26日、同社の筆頭株主の仏食品大手ダノンとの
 戦略的提携関係を解消することで合意したと発表しました。

 ヤクルト株を20%持つダノンは株式の買い増しや提携関係の強化を
 求めていましたが、条件が折り合わなかったためです。

 戦略提携を解消することは両社の決別を意味するのではなく、
 むしろダノン社によるヤクルトのTOBへとつながる
 可能性がある動きです。

 すでに20%の株式を保有しているわけですから、
 33.3%まで買い増していくことはそれほど難しい話ではありません。

 ヤクルトとしては防ぐのは難しいかも知れません。

 ヤクルトは、乳酸菌の研究などが進んでいるため、世界的に見ても
 非常に評価が高い企業ですから、TOBの可能性は大いにあります。

 これまでにもヤクルトの経営陣は様々なトラブルを
 起こしてきましたが、今回のような事態を招いてしまったのも、
 ひとえにヤクルト経営陣の怠慢さだと私は思います。

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 ▼ ボーイング787の運行停止がむしろプラスに働いた
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 米ボーイングは新型機「787」の運航再開に向けた改修作業を
 週内にほぼ終える見通しです。

 改修が終われば米連邦航空局(FAA)など各国当局が正式に
 営業運航の許可を出します。

 1月の相次ぐ発煙事故で起きた安全問題はヤマ場を越え、
 同社にとっては、運航停止に伴う航空会社との補償交渉と
 信頼の回復が次の課題となる見通しです。

 日本でもすでに国交省の承認がおりて、6月から就航開始が
 決定しています。

 実は面白いのは、ボーイング787の運行が停止していたのに、
 全日空の決算を見ると全く数字が悪くないということです。

 むしろ、ボーイング787の運行が停止していたから良かったと
 さえ言えるかも知れません。

 全日空は、赤字になりそうな路線に対して、燃料効率が良いという
 理由でボーイングの新型機「787」を割り当てました。

 しかし結局、運行することができず、赤字になりそうな路線が
 飛ばなかったおかげで、驚くべき数字が出てきたのです。

 全日空の連結営業利益は1000億円を超え、前期比7%増です。

 コスト削減の結果だと発表されていますが、
 私は「787」の運行停止がプラスに働いたのではないかと見ています。
 
 結果論ですが、燃料効率が良い飛行機が開発されたからと言って、
 手放しに不採算路線を復活させるのは危険だと言えるでしょう。

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 この大前研一のメッセージは4月28日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 ルノーの手助けを求められている日産と、
 ダノンとの戦略的提携の解消によりTOBの危険性を
 抱えるヤクルト。

 それぞれの置かれた状況を見ていくと、
 相手企業の思惑や狙いが見えてきます。

 企業の動向を分析する際、相手の取った手段と、
 そこに潜む狙いを理解することで、自分たちが
 置かれている状況を把握でき、次の打ち手が見えてきます。

 自社でも競合でも、まずは各企業の
 取り組みや考え方を理解する必要があります。
 

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