2013年07月26日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『甲状腺被ばく・もんじゅ・節電対策・韓国電力事情〜データに基づいて状況を把握する』
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 甲状腺被曝 100ミリシーベルト超の作業員 推定1973人
 もんじゅ 敷地内の断層調査を終了
 節電対策 家庭向け節電対策メニューを紹介
 韓国電力事情 韓国の電力危機に動じぬサムスン

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 ▼ 1ミリシーベルトの基準は除染利権を生むだけ
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 東京電力福島第1原発事故で、放射性ヨウ素を体内に取り込んだこと
 による甲状腺被曝(ひばく)線量(等価線量)が100ミリシーベルト
 を超える作業員は、推計で1973人に上ることが判明したとのことです。

 この人数は当初の発表よりもはるかに多い人数です。

 東電は最初から正直に発表する謙虚な企業姿勢を
 示すべきだったと思います。

 ただし、100ミリシーベルトを超えるからといって、
 早急に危険だということでもありません。

 例えば、統計値で見ると100〜200ミリシーベルトだと癌になる確率が
 1.08倍になる試算です。

 野菜不足や受動喫煙がこの範囲にあります。

 さらに高い数値である200〜500ミリシーベルトには運動不足、
 高塩分食品、500〜1000ミリシーベルトには肥満、痩せ。

 さらには1000ミリシーベルト以上だと毎日3合以上の飲酒、
 喫煙者が含まれ、このレベルになると癌になる確率も1.6倍になります。

 もちろん100ミリシーベルトが安全だと言うつもりはありませんが、
 1ミリシーベルトを基準として大騒ぎするのは行き過ぎだと思います。

 先日、福島第一原子力発電所の事故の現場で指揮を執った吉田元所長が
 食道がんのため亡くなりましたが、これを福島での被ばくと
 関連付ける人もいるようですが、それは違います。

 0歳〜5歳の子どもが100ミリシーベルトを超える被ばくを経験したとき、
 20年後に甲状腺がん、乳がんになったという事例はありますが、
 数年のうちに食道がんを発病するというのはまず考えにくいことです。

 以前、東京大学大学院教授が内閣官房参与を辞任しました。

 その際、記者会見で「10ミリシーベルトでは子供たちがかわいそうだ」
 と涙を流しました。

 この涙の辞任記者会見を受けて政府は発作的に、福島の除染を
 「1ミリシーベルトを目標に」となったわけですが、
 私に言わせれば1ミリシーベルトは自然の放射能と同じレベルです。

 1ミリシーベルトの除染を目指すとなると、
 永遠に除染は終わらないでしょう。

 結局、除染利権を生んだだけで全く効果はないのです。

 ただちに目指す水準を10〜20ミリシーベルトに引き上げるべきでしょう。
 
 私としては、30ミリシーベルトくらいの水準でも問題はないと
 思っています。

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 ▼ 活断層の有無に関わらず、もんじゅは停止するべき
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 原子力規制委員会の調査団は18日、日本原子力研究開発機構の
 高速増殖炉もんじゅの敷地内にある断層について、
 2日間の現地調査を終えました。

 調査団の島崎委員長代理は「すぐ結論が出る状況ではない」
 と述べました。

 17日に指示した追加調査の結果を見てから判断する意向で、
 結論が出るのが長引く可能性もあるとのことですが、そもそも
 活断層によってもんじゅの再稼働を決定すること自体がズレていると
 私は思います。

 客観的に言って、活断層の有無に関わらず国民世論から見て、
 もんじゅの再稼働はありえません。

 稼働している期間に、ある程度のデータも取得できたはずですから、
 それを後世に残すことを考えるべきです。

 米国も英国もフランスも、高速増殖炉を停止しています。

 日本にしても、すでにもんじゅに1兆円規模の資金を投じています。
 もう潮時だと思います。

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 ▼ 今年の夏も、節電の工夫で乗り切れる
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 夏の節電要請を1日から行っている政府は、家庭向けの
 節電対策メニューを節電ポータルサイト(http://setsuden.go.jp/
 で紹介しています。

 例えば、エアコンの設定温度を26度から28度に設定すれば
 電力使用量を10%削減可能。

 日中の照明消灯で5%削減が可能になるということです。

 エアコンの温度調整など具体的な指示があって、
 これは有効な指示だと思います。

 さらに言えば、夏の甲子園をテレビで見るときなど電力消費が
 ピークを迎えるときには、エアコンを動かさないなど工夫をすれば、
 今年の夏も何とか乗り越えられるでしょう。

 一方で、電力危機問題が取り沙汰されているのが韓国です。

 日経新聞は16日、「韓国 電力危機、動じないサムスンの「特権」」
 と題する記事を掲載しました。

 23基ある原子力発電所の3分の1が不祥事などで稼働を停止するなど、
 この夏、未曾有の電力危機が訪れると指摘されています。

 しかしそうした中、サムスングループを筆頭に大手企業に混乱は
 広がらないということですが、これは中小零細企業など規模の
 小さい企業から電力カットになるため、当面の間サムスンなどの
 大企業は心配がいらないということです。

 率直に言って、韓国というのはとんでもない対応をする国だと感じます。

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 この大前研一のメッセージは7月21日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 東日本大震災から2年4ヵ月が経ちましたが、現在も原発事故後の
 除染活動は各地で行われています。

 福島での除染活動は、1ミリシーベルトを目標に行われている
 ようですが、そもそも安全な基準とはどれほどの量なのでしょうか?

 今回大前は、甲状腺被曝(ひばく)線量ごとの発がんリスクと
 生活習慣による発がんリスクを統計値で比べて見ていきました。

 このデータにより、数値ごとの放射線量が、発がんリスクに
 どれだけ影響を与えるかが見えてきます。

 このように、他のデータを探して比較してみることで、
 これまで気づくことができなかった角度から状況を
 把握できるようになるかもしれません。
 

2013年07月19日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『永住権・オーストラリア経済・捕鯨問題〜本質的問題を捉えて解決策を考える』
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 永住権 新たな永住権創設を検討
 オーストラリア経済 オーストラリア経済にもたらす「成長の果実」
 捕鯨問題 捕鯨裁判で日本側が反論

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 ▼ 永住権の創設だけで簡単に移民は増えない
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 政府は成長戦略の一環として優れた能力を持つ外国人を呼び込むため、
 経営者や技術者を対象にした新しい永住権の創設を検討する方針を
 発表しました。

 日本に3年間滞在すれば申請でき、通常の永住権では認められない
 配偶者の就労や親、家政婦の帯同が可能になるとのこと。

 専門性の高い外国人が長期滞在しやすい環境を整え、
 外資系の誘致や日本の研究開発力の向上につなげる狙いです。

 これは就労人口が年々減っている日本にとっては、当然必要なことです。
 
 似たようなルールはすでに適用されていますが、
 実際に永住権を取得する高度人材の外国人が急増しているわけでは
 ありません。

 住環境の整備、子供の教育問題など、何かしら外国人が
 日本に移住する妨げになっていることがあるのだと思います。

 今回の新しい永住権の創設だけで、オーストラリアのように
 多数の移民が日本に入ってくるという状況を作るのは難しいでしょう。

 日本は世界的に見ても、外国人労働者が少ない国です。

 米国は別格としても、ドイツやシンガポールにもはるかに及びません。

 シンガポールなどは能力を基準に永住権を付与していますが、
 この点も日本が苦手とするところです。

 工事現場での労働力として外国人労働者を雇うことはしてきましたが、
 特殊技能を持つ優秀な人材を受け入れることは、
 これまでの日本ではほとんど実績がありません。

 しかも当然のことながら、特殊技能を持つ優秀な人材は
 世界中の国から引く手あまたです。

 こうした点を考慮しても、日本が新しい永住権の創設をしても、
 それだけ簡単に移民が来てくれると考えるのは甘いと思います。

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 ▼ 日本はオーストラリアの移民政策に学ぶべき
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 ロイター通信は、移民受け入れで人口拡大、豪経済にもたらす
 「成長の果実」と題する記事を掲載しました。

 経済成長が続いているオーストラリア経済について、
 毎年約25万人に上る移民の受け入れが同国の成長要因の一つ
 であることは見過ごされがちと指摘。

 移民受け入れにより、住宅や自動車、教育から医療に至るまで、
 あらゆる分野での需要が支えられていると紹介しています。

 一時期、人口が1500万人から増えなかったオーストラリアが、
 移民受け入れに舵を切り、現在人口は2300万人近くまで
 増加しています。

 若く、能力が高く、高所得層の人材です。

 こうした25万人もの移民のおかげで、今オーストラリアは
 新興国のような特徴を持ち始めています。

 GDPの成長率も順調ですし、総じてオーストラリア経済は堅調です。

 かつて資源価格の乱高下によって、国の経済が影響を受けた頃とは
 明らかに違う国になっています。

 オーストラリアは2300万人の人口で、
 毎年、正味で20万人ほどの移民を受け入れています。

 同じレベルで言えば、日本は100万人規模の移民受け入れが必要です。

 私は常々、80万人の移民受け入れを提言してきました。

 このくらいの規模で移民を受け入れなければ、
 日本の就労人口の減少は抑えられないでしょう。

 GDPの維持すら難しい状況になると思います。

 ぜひオーストラリアを参考にして、移民政策を検討して欲しいと
 思います。

 そのためにも、日本は非建設的な役人体質から
 いち早く脱却することも大切でしょう。

 日本のくだらない役人体質が見事に表れてしまったのが、
 捕鯨問題です。

 日本の捕鯨は国際条約に違反するとしてオーストラリア政府が
 国際司法裁判所に起こした裁判で、日本側は2日、オーストラリアの主張は
 文化の押し付けだとし、捕鯨による両国の考え方は文化の違いによるもの
 だと反論しました。

 1946年の国際捕鯨取締条約では科学調査目的の捕鯨が認められており、
 日本はこれを根拠に南極海で毎年調査捕鯨を続けていますが、
 オーストラリアは日本が商業捕鯨という真の目的を隠ぺいしている
 と訴えています。

 毎年この議論は平行線をたどっているわけですが、
 率直に言えば日本の言い分は、嘘・イカサマです。

 調査目的と言いながら、鯨を販売しているのは明らかです。

 農水省の利権を守るためであって日本の文化・伝統も関係ありません。

 実は先日の裁判で、日本側にある1つの質問がありました。

 それは、
 「もし調査目的だと言うのなら、殺さずに調査する方法はないのか?
 キャッチアンドリリースすることはできないのか?」というものでした。

 実にシンプルな質問ですが、本質に迫る質問です。

 日本側はまともに回答することができませんでした。

 結局、調査目的などと役人のイカサマで物事を進めようとするから、
 こういう事態になるのです。

 「我が国の漁民の生活もあるので一定量の捕獲は認めて欲しい」と
 素直に言えばいいと思います。

 実際、アイスランドはそのように主張しています。

 日本はおかしな役人体質から脱却し、いい加減態度を変えるべき
 時期が来ていると思います。

 捕鯨問題に限らず、非建設的・非生産的な役人思考ではなく、
 問題の本質を的確に捉え、それを解決する思考を
 身につけて欲しいと思います。

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 この大前研一のメッセージは7月14日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 政府が新たな永住権創設を検討する方針を発表しました。

 労働人口が減っている日本にとって、今回のルール作りにより、
 外国人が永住権を取得しやすくなりますが、それだけでは
 海外の優秀な労働力を呼び込むことは難しいかもしれません。

 そもそも、なぜ日本で働く外国人は少ないのでしょうか?

 大前が言うように、日本は住環境の整備や子どもの教育など、
 外国人が安心して住む上で障害となる問題を抱えています。
 
 外国人が、日本に住むという選択をしない本質的な原因を
 突き止めない限り、有効な施策を打つことは難しくなります。

 このように、問題を解決するためには、まず本質的問題を
 明確にしてから、それを基にして解決の方向性を
 導いていかなければいけません。
 

2013年07月15日(月) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『生保年金マネー・公的年金・国内住宅事情〜長期的な時間の流れで考える』
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 生保・年金マネー 米ミシガン州の火力発電所を買収
 公的年金 2012年度運用益 11兆2222億円
 国内住宅事情 40歳未満の持ち家比率 25年間で14pt低下

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 ▼ 日本の年金基金は、カナダなどから学ぶべきことが多い
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 三菱商事や企業年金連合会、みずほ銀行、国際協力銀行は
 カナダの公的年金と共同で、月内に米ミシガン州の火力発電所を
 買収すると発表しました。

 買収総額は2000億円弱で、民間資金によるインフラ整備が
 世界の潮流となるなか、株式や債券以外にも投資先を探す日本の
 年金マネーを呼び込むモデルケースとなる見込みです。

 今日本では金余り状態が続いていますから、
 非常に良いことだと思います。

 欲を言えば、日本の発電所も含まれていて欲しいところです。

 カナダの年金ファンドの運用実績を見ると、
 非常にしっかりしていることが分かります。

 インフラファンドへの投資家としては、公的年金基金、企業年金基金、
 保険会社、銀行、アセットマネージャー、
 そしてスーパーアニュエーションなどがあります。

 スーパーアニュエーションというファンドは
 オーストラリア独自のファンドで、リゾートなども取り扱っています。

 ですので、年金を買った人は、安い金額でリゾート地への旅行が
 可能になることもあります。

 引退したら、こういう仕組みを利用できるのは
 大いにメリットがあるでしょう。

 世界のインフラ投資ファンドを見ても、カナダ、アメリカ、
 オーストラリアは非常に経験豊富です。

 正直、三菱商事だけでは不安です。

 カナダの公的年金と共同というのは、良い勉強にもなるでしょうし、
 非常に良いことだと思います。

 日本の年金基金の運用利回りは、カナダ、アメリカ、オーストラリア
 に比べると、まだまだ低い水準です。

 国民年金と厚生年金の積立金を運用する
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2日発表した2012年度の
 運用成績は運用利回りが10.23%と過去最高になったとのことですが、
 逆に言えば過去最高で「10%」なのです。

 過去の運用実績を四半期別に見ると、マイナスの時期もあったので
 全体の平均では10%には遠く及びません。

 GPIFが公表している名目運用利回りの目標である3.2%にも
 届いていないことも少なくありません。

 一方、カナダやシンガポールの年金基金は、
 巧妙な運用で知られています。

 アベノミクスのフェイントによって瞬間風速で10%の運用利回りは
 すごいと言われても、今年の後半まで持つのかどうかさえ
 不安に感じてしまいます。

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 ▼ 今の日本では、持ち家ではなく賃貸のほうが圧倒的にリーズナブル
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 国土交通省は2日、2012年度の国土交通白書を発表しました。

 それによると、40歳未満の若者の持ち家比率が1983年から08年の25年間で
 42.2%から28.4%へと約14ポイント低下したとのことです。

 このニュースについて、私は非常にポジティブに捉えています。

 というのは、今の日本の状況に鑑みれば、持ち家ではなく
 賃貸という選択肢を取るのは間違っていないと思うからです。

 日本は空き家の比率が13%もあり、地価は上がらない状況です。

 その上、今後人口は減っていきますから、さらに空き家は増えるでしょう。

 この状況からすれば、無理をして持ち家を買うのではなく、
 賃貸のほうが明らかにリーズナブルです。

 しかも日本はこの十数年で年収も減っています。

 無理をして持ち家を買うために、数千万円の借金を抱えるのは
 得策とは思えません。

 自分で余裕を持って支払える範囲内で賃貸を利用するほうが
 良いと思います。

 フランスでは年収の5倍、ドイツでは8倍が持ち家価格の限界と
 言われています。

 日本はかつて年収の20倍の持ち家を買っていました。

 「将来間違いなく地価が上がるから今買っておかないと損だ」という
 時代であれば、確かに多少無理をしてでも持ち家を買うほうが得策です。

 とは言え、バブル時代の日本で地価が上がり続けると思って持ち家を
 買った人達は未だにそのときの借金を抱えている人が多くいます。

 非常に不幸な財務バランスになってしまっています。

 人生の財務バランスを考えた時、大きな金額で持ち家を買って、
 いきなり大きなマイナスからスタートするのは避けたほうが
 良いと思います。

 また住む場所を固定してしまうと、何かあっても自由に動くことが
 難しくなります。

 日本では持ち家がないとクレジットカードの審査で不利になるなど
 不便な側面もありますが、それを考慮しても、今の日本では
 持ち家ではなく賃貸という選択肢のほうがリーズナブルだと思います。

 それでも人生の最後には持ち家が欲しいという人もいるでしょう。

 そのような場合には、定年退職後に避暑地などでリーズナブルな
 家を見つけると良いと思います。

 そして、定年後の20年間住む家を持つというのも
 1つの選択肢ではないでしょうか。

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 この大前研一のメッセージは7月7日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が発表した2012年度の
 運用成績で、運用利回りが10.23%と過去最高との結果が
 報告されました。

 しかし、過去の運用実績を四半期別に分けて見てみると、
 全体の平均は高くなく、今回の結果が一時的なものである
 ことがわかります。

 今回のような速報値を扱ったニュースを見る際は、
 その値が一時的な結果ではないかと疑って、
 過去の数値にも目を向けることが必要です。

 大切なのは、その一時的な結果を鵜呑みにせず、
 自らデータを確かめ、長期的な時間の流れで見ていくことです。
 

2013年07月05日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『中国株式・影の銀行・中国経済・コマツ〜過去の事例と照らし合わせて考える』
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 中国株式 上海総合指数が急落
 影の銀行 「理財商品」残高 約130兆円
 中国経済 経済成長鈍化を容認
 コマツ 株価が一時5%安

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 ▼ 住専、サブプライムと同じ問題が中国でも起こっている
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 中国の代表的な株価指数である上海総合指数が24日に急落しました。

 前週末比5.3%安となり、心理的な節目である2000を約半年ぶりに
 割り込みました。

 そんな中、米ヘッジファンド、
 グランドマスター・キャピタル・マネジメントのパトリック・ウルフ氏は、
 中国の腐敗や不良債権の増加が危険な状態に達しており、
 今後株価が急落する可能性があるとの見方を示しています。

 今週は少し落ち着きを見せましたが、
 上海銀行間の金利は乱高下を続けていて、13%まで金利が
 上昇する局面もありました。

 上海総合指数は下降傾向が続いており、今中国は非常に
 手が出しづらい状況です。

 中国経済の大きな問題の1つは「シャドーバンキング」です。

 かつての日本の「住専問題」や米国の「サブプライムローン問題」
 と同じように裏金融が膨れていくという問題です。

 先月29日には中国の銀行業監督管理委員会の尚主席が、
 高利回りの資産運用商品である理財商品の2013年3月末の残高が
 8兆2000億元(約130兆円)に達したと明らかにしています。

 理財商品は銀行の通常の預金・融資とは別ルートで資金を集める
 中国の「シャドーバンキング(影の銀行)」の代表的な存在であり、
 理財商品を通じて企業や個人から集まった資金は主に地方政府の
 不動産・インフラ投資に流れています。

 地方政府の悪党役人が、自分のプロジェクトのために
 シャドーバンキングから資金を借りまくっているのですが、
 当然支払い能力がありません。

 中国経済のバブルが崩壊したとき、この問題が表面化してくるでしょう。

 日本が住専につけかえたように、中国もほとんど似たような状況に
 なるのではないかと思います。

 約130兆円という規模は中国のGDPの16%程度です。

 当時の日本よりはやや軽くなりますが、それでも中国経済に
 打撃を与えるに違いありません。

 多くのアナリストが、この問題を中国の「住専」、
 中国の「サブプライムローン」と判断し、警戒を始めています。

 中国の場合、中央政府が強引に問題解決に乗り出して資金を
 提供してしまえば、ある程度は対処できるかも知れません。

 しかしその場合には、これまで悪事を働いてきた人も
 救済することになってしまうので、舵取りが難しいところでしょう。

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 ▼ 中国経済は爆発寸前か?コマツへの影響は?
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 中国の習近平指導部が経済成長の鈍化を容認する路線に傾いています。
 
 前指導部時代が残した課題を一掃する政治的な思惑も働き、
 安易な景気刺激策には動かない構えです。

 そんな中、産経新聞のメディアが
 「中国経済、7月恐慌!6大時限爆弾が破裂寸前」と題する記事を
 掲載しました。

 輸出の鈍化、消費低迷などに加え、地方政府の巨額債務や
 「影の銀行(シャドー・バンキング)」など六重苦が連鎖しており、
 いったん火が噴けば、危機が連鎖する「複合恐慌」となりかねないと
 指摘しています。

 今、巷にはこの手の情報が溢れています。

 これを反転させるのは、習近平政府にとっても至難の業だと思います。

 ロバート・フェルドマンをして、バブル崩壊直前の日本経済は
 「逆立ち」しなければ良い面は見えてこないと言われましたが、
 まさに今の中国経済に関する報道も似たような状況になっています。

 中国経済のバブル崩壊という地雷は、まさにこの7月にも
 爆発するのではないかと言われています。

 中国経済に暗雲が漂い始め、日本企業にもその影響が見え始めてきました。

 25日の東京株式市場でコマツ株が一時、前日比120円(5%)安と
 急落しました。

 中国市場での短期金利上昇などを受け、現地ユーザーの資金調達が
 難しくなるとの懸念が台頭したためで、市場の関心は中国金融市場の
 動揺が建設機械市場にどう波及するかに向かい始めた模様です。

 コマツは中国でも上手に事業展開をして、かなり好調でした。

 しかしここに来て、やや中国での状況に変化が現れてきました。

 「日本(コマツ)が輸出するショベルカーなどに搭載されている
 GPS機能で、中国の個人情報を盗んでいる」などと報じられる
 事態も発生しています。

 ただ実際のところ、コマツの株価が下落したのは、
 中国経済がパワーダウンし、ブルドーザーやショベルカーなどの
 高額商品を購入できる企業が少なくなったからだと私は思います。

 中国の問題が大きく騒がれていますが、コマツの売上に占める
 中国の割合はそれほど大きくありません。

 中国よりも、アジア全体のほうが大きいですし、中南米、北米、
 オセアニアでも強さを見せています。

 全体的に非常にバランスが良い状態なのです。

 中国での問題によってコマツは久しぶりに問題を抱えていますが、
 それでもコマツの経営は安定しており大勢には影響はないと見て
 良いと思います。

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