2013年09月27日(金) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『集団的自衛権・尖閣諸島・韓国済州島〜集団的自衛権における安倍政権の方針を紐解く』
 ──────────────────────────────────

 集団的自衛権 行使地域をめぐり政府内にズレ
 尖閣諸島問題 日本政府の姿勢を批判
 韓国済州島 韓国人が懸念、済州島が中国人に乗っ取られる

 -------------------------------------------------------------
 ▼ 集団的自衛権については、3つの質問に回答すれば解決する
 -------------------------------------------------------------

 19日、自民党の安全保障合同部会が開かれました。

 政府が集団的自衛権の行使を認める場合、
 「自衛隊は地球の裏側に行って戦争をするのか」と問われた
 高見沢官房副長官補は、
 「『絶対、地球の裏側に行きません』という性格のものではない」
 との見解を示しました。

 集団的自衛権については、シンプルに次の3つの質問に答えることで、
 安倍政権の方針が分かるようになります。

 1つ目は、「中近東について米国に従うのかどうか」です。
 
 中近東は米国が紛争に巻き込まれやすい地域です。
 今回ニュースで取り上げられた「地球の裏側」はイラクやシリアの
 ことで、まさにこのケースに当てはまります。

 2つ目は、「中国に対して米国に従うのかどうか」です。

 もし中国が武力行使をしてきた場合には、沖縄の米軍が狙われます。
 その際、日本の領海に侵入してくる前に、米軍に同調して中国に
 先制攻撃をするかどうかということです。

 3つ目は、「オーストラリア・米国に従い、インドネシアへの攻撃を
 許可するのかどうか」です。

 日本はオーストラリア・インドネシアのいずれとも良好な関係性を
 維持しています。

 ところが、(現在はそれほどではありませんが)オーストラリアと
 インドネシアは伝統的に仲がよくありません。

 米国はオーストラリアと軍事同盟を締結しています。
 万一争いが起きた場合、日本は米国に従い、オーストラリアに
 与するのかどうかということです。

 日本とインドネシアの関係を考えると、おそらく答えは
 「ノー」でしょう。

 世間でも複雑に論じられることが多いですが、
 集団的自衛権については、この3つの質問に
 「イエス」「ノー」で回答すれば解決するはずです。

 ところが実際には、米国に依頼されるまでは何とも言えない、
 というのが日本政府の態度です。

 ドイツのように、「イラクはノーだが、アフガニスタンはイエス」と、
 自分たち自身で答えを出せれば良いのですが、残念ながら今の日本は、
 米国との関係性がこじれるのを恐れてしまい、
 自分たちで判断する力がありません。

 -------------------------------------------------------------
 ▼ 密約をベースにした国と国の約束をやめるべき
 -------------------------------------------------------------

 中国の王毅外相は20日、尖閣諸島について、
 「日本が41年前の日中合意を否定して国有化したため、
 中国としても対抗措置をとらなければならない」と述べ、
 日本政府の姿勢を批判しました。

 王毅外相は口が滑ってしまったのでしょう。

 41年前の周恩来氏と田中角栄氏による日中合意というのは、
 いわゆる2者間で交わされた「密約」です。

 正式な文書にもなっていないでしょう。

 それを反故にしたと言われても、安倍総理としては
 「どこにそんな文書があるのか?」と言うだけです。

 当時の田中派以外は「そんなものは知らない」で済ませることが
 可能だからです。

 こうした背景も理解した上で、私が今提案したいのは、
 密約ベースのものを国と国の約束にするのではなく、
 もう1度やり直すことです。

 周恩来氏と田中角栄氏はそれぞれ非常に優秀な政治家ですが、
 ボスの政治家同士で決めたことは、ボスが変わると
 上手く機能しなくなってしまう、ということでしょう。

 中国国営新華社通信の情報サイトは、21日、中国の無人偵察機の
 開発スピードは世界最速、日本を無限に混乱させることも可能と
 報じました。

 これに対し日本側も撃ち落とす研究を早速開始したとのことです。

 無人偵察機とは言え、攻撃力を有していますから
 当然の対応でしょう。

 これにより、今後、日中間では偶発事故が起こる可能性は
 非常に高くなってしまいました。

 これは米国が懸念していることの1つです。

 また中国の元大連市長の薄熙来氏に対して、公金横領や
 職権乱用などの罪で無期懲役の判決がくだりました。

 一方ニューヨーク・タイムズ紙で、莫大な隠し財産を報じられた
 温家宝首相についてはお咎めなしということで、この中国の
 対応については世界から批難の声が上がってくると思います。

 中国は政治優先の社会であり、司法と行政・立法が
 独立してはいません。

 昔から中国の権力闘争というのは、大抵がこのようなパターンです。

 今後、世界の批判を受けながら、中国はますます信頼を
 失うことになると思います。

 そんな中、中国国営新華社通信は、
 「韓国人が懸念、『済州島が中国人に乗っ取られる!』」
 と題する記事を掲載しました。

 韓国の済州島では中国資本が大規模な不動産開発を行っています。

 韓国政府に対し、中国人の投資移民の受け入れを再考するよう
 求める声もあがってきているとのことです。

 しかし、これは韓国が済州島を豊かにするために、約50万ドルの
 お金を持ち込めば永住権を与えるなどの政策を打ち出しているので、
 致し方ないことだと私は思います。

 これまでは済州島に訪れる観光客のトップは日本人でしたが、
 今は完全に中国人です。

 中国人がお金を落としてくれているわけですから、
 これを否定するのはおかしな話です。

 もし、韓国政府がそれを望まないのなら、済州島に対する
 優遇政策をやめれば良いだけだと私は思います。

 ==========================================================
 この大前研一のメッセージは9月22日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
 ==========================================================

 ------------------------------------------------------------- 
 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
 ------------------------------------------------------------- 

 戦後、日本国憲法が制定されてから、憲法の解釈をめぐって
 長い間議論されてきた集団的自衛権。

 日本が集団的自衛権の行使を認める場合、どのようなことに
 注意して考えていかなければならないでしょう?

 今回大前は、集団的自衛権について、3つのシンプルな
質問で論点をまとめ、解説していきました。

 このように問題を考える際、正しく論点を設定することで、
 考えるべきことが絞られ、問題解決のスピードと精度を
 上げることができます。

2013年09月20日(金) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『東芝・サントリー・マクドナルド・セブン-イレブン・アマゾン〜プラットフォーム戦略を考える』
 ──────────────────────────────────

 東芝 印ヴィジャイの変圧器事業を買収
 サントリー食品 英グラクソと飲料事業買収で合意
 日本マクドナルドHD 立地特性に応じて価格を9段階に設定
 セブン-イレブン・ジャパン 2014年度に1600店を出店へ
 アマゾンジャパン 新設物流センターを稼働

 -------------------------------------------------------------
 ▼ 立地で価格を変えるマクドナルドの経営姿勢に問題あり
 -------------------------------------------------------------

 東芝は10日、インドの重電メーカー、ヴィジャイエレクトリカルの
 変圧器事業などを買収すると発表しました。

 買収額は200億円で、ヴィジャイの変電所向け変圧器の工場や
 販売網を活用し、経済成長が続くインドの送配電機器事業に
 本格参入するとのことです。

 日立や東芝などは、大胆に鉄道を始めとした欧州のインフラ投資に
 乗り出しています。

 経営力が伴っていけば、これらの海外投資はかなり良い成績を
 上げてくれると期待できます。

 またサントリー食品インターナショナルは9日、飲料事業の
 買収交渉をしていた英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)
 と基本合意しています。買収金額は2000億円超とのことです。

 サントリーとしては上場によって得た資金の使い途として
 考えたのでしょう。

 悪くはありませんが、この程度の会社しかなかったのかとも思います。

 一方日本国内では、これまで圧倒的な成績を上げてきた
 マクドナルドが動きを見せています。

 日本マクドナルドホールディングスは13日から価格を立地の特性に
 応じて9段階に分けると発表しました。

 従来は都道府県別の6段階でしたが、同じ自治体内でも観光名所や
 空港など需要が旺盛な場所を最も高くします。

 全国一律を基本としてきた日本の外食産業の価格戦略に影響すると
 見られています。

 私は最近のマクドナルドの戦略について、牛丼チェーン店や
 コンビニエンスストアなど惣菜市場を考慮していない点に
 問題があると指摘してきました。

 しかし、今回の方針はこれまでの何にも増して
 「お粗末な決定」だと思います。

 このようなことを平気で実行するということは、今マクドナルドは
 「お客さんに向いていない」ということです。

 そんな不道徳な経営は許しがたいと思います。

 海外では実施されているということを言い訳にして、客の弱みに
 付け込むような方針には、正直言って辟易してしまいます。

 -------------------------------------------------------------
 ▼ アマゾン一人勝ち。勝因はプラットフォーム戦略にあり
 -------------------------------------------------------------

 セブン-イレブン・ジャパンは2014年度、過去最高となる
 1600店のコンビニエンスストアを開く見通しです。

 大都市圏を中心に店舗網を広げ、日常の買い物に不便を感じている
 シニア層や働く女性の需要を取り込む狙いとのことです。

 10年ほど前までは、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート
 の出店数は6,000から9,000の範囲で拮抗していましたが、
 ここに来て完全に出店スピードに差がついて、セブン-イレブンの
 一人勝ちの様相を呈してきました。

 昨年四国に初めてのセブン-イレブンが出店したというのですから、
 まだまだ出店できる場所はあると言えると思います。

 一方で、人口密集地ではすでに過当競争になっていますから、
 既存店舗の整理も必要になるでしょう。

 いずれにせよ、過去最高の出店数を目指すというのは、
 かなりリスクの高い戦略です。

 おそらく半径300メートルという近距離でカバーすることになるので、
 コンビニを超えてコンシェルジュ機能を備えるなど、
 従来のコンセプトを変えることが必要だと思います。

 さらに順調に日本国内で一人勝ち状態になっているのが、
 アマゾンジャパンです。

 アマゾンジャパンは神奈川県小田原市に物流センターを新設し、
 3日、稼働を始めました。

 同社の物流拠点としては国内最大で、約1千人の雇用を創出します。

 また、出版業界の9団体は9月中に、海外から電子書籍を配信する
 事業者へ公平に消費税を課す要望書を政府の税制調査会に
 提出するとのこと。

 海外にサーバーを置く企業が配信する電子書籍には消費税が
 課税されないことを問題視したものです。

 アマゾンが脅威になるというのは、以前から分かりきっていたこと
 ですが、東日販の存在があるので大丈夫だと高をくくっていたので、
 このような事態になってしまったのです。

 私は十数年前から「アマゾンは利益を出す企業になる」と
 指摘していました。

 その理由は明白で、次の3つを備えたプラットフォーム戦略に
 則っていたからです。

 すなわち、「ポータル機能」「帳合(決済)機能」
 「配送(物流)機能」の3つです。

 ポータルサイトを保有し、その場でクレジットカードを使って
 決済が可能で、その後の配送も請け負えるというのは
 「プラットフォーム」として大きな強みになります。

 日本では東日販が価格統制をして値引きができませんが、
 その分、物流機能の充実に努めて、今では午前中に注文したら
 午後には配送される仕組みを作り上げてしまいました。

 米国にも巨大な配送センターをいくつも保有していますが、
 日本でも巨大なものを小田原に新設するということです。

 物流が強くなることで、アマゾンは当初の書籍だけではなく、
 アパレルから食品までありとあらゆる商品を扱えるように
 なりました。

 靴や洋服などは、「試着して返品も自由にできる」という
 仕組みまで作っています。まさに、物流機能の勝利です。

 日本の出版社や電子書籍関連企業にも期待していましたが、
 結局のところ全てアマゾンに持っていかれるという
 状況になっています。

 アマゾンのプラットフォーム戦略に、
 その勝因があると私は思います。

 ==========================================================
 この大前研一のメッセージは9月15日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
 ==========================================================

 ------------------------------------------------------------- 
 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
 ------------------------------------------------------------- 

 神奈川県小田原市に物流センターを新設し、
 日本国内で一人勝ち状態になりつつあるアマゾン。

 その強さの要因はどこにあるのでしょうか?

 大前はその理由を、アマゾンのプラットフォーム戦略の
 中にある、「配送(物流)機能」に着目して解説していきました。

 東日販による価格統制により、価格で差別化ができない中、
 アマゾンは物流機能を充実させることで、他社との差別化を
 実現させました。

 物流機能の充実による収益拡大の可能性を見いだし、
 長期間をかけて強いプラットフォームを作り上げたからこそ、
 今のアマゾンがあるのです。

 このような強いプラットフォーム戦略を持ったことで、
 今後もアマゾンの快進撃は続きそうです。

2013年09月13日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『中国理財商品・中国外資誘致策・中国工業団地開発・シェールガス〜直面する中国の課題を考える』
 ──────────────────────────────────

 中国理財商品 中国銀行全体の残高145兆6000億円
 中国外資誘致策 外資系企業に関わる法律変更認める決定
 中国工業団地開発 大型工業団地開発が頓挫
 シェールガス 中国のシェールガス開発課題山積で振り出しに

 -------------------------------------------------------------
 ▼ 中国のバブル崩壊は秒読み段階に入った
 -------------------------------------------------------------

 銀行業監督管理委員会によると、6月末の中国の銀行全体の
 理財商品の残高は9兆800億元(145兆6000億円)で、
 昨年末に比べて28%増加しました。

 中国の銀行金利も決して高い水準ではないので、
 高い利回りを求めるとなると、理財商品に行き着きます。

 結果として、地方政府の傘下にあるディベロッパーなどに
 その資金が流れていきます。

 今中国では窓口規制が始まり、普通に銀行からお金を借りることが
 出来ないので、高い金利であっても、このような場所で
 借りるしか方法がなくなっています。

 しかし、これでは国家が「利ざや稼ぎのゲーム」に
 参加しているようなものです。

 日本のバブル崩壊直前、米国のバブル崩壊直前
 と全く同じような現象が起きています。

 中国経済のバブル崩壊も秒読み段階に入ったと言えるでしょう。

 そんな中、上海と香港でおかしな動きを見せています。

 立法機関の全国人民代表大会常務委員会は30日、上海の自由貿易試験区内で
 「外資企業法」など外資系企業にかかわる法律を変更する権利を
 10月1日から3年間、国務院(政府)に与えることを決定しました。

 上海は常に香港を意識してきたのでしょうが、外資系企業に対する
 自由の点で、香港にはなかなか及ばず、思ったように香港から上海に
 外資系企業が誘致できていないという状態が続いています。

 そこで、上海を香港並みに「緩める」という方向で調整するようですが、
 香港はこれに対して反感を持っていて、一生懸命ロビー活動を
 展開しています。

 上海と香港で騙し合いの様相を呈してきました。

 -------------------------------------------------------------
 ▼ シェールガスの探査は進まず、工業団地開発は暗礁に
 -------------------------------------------------------------

 ロイターは6日、世界最大の埋蔵量といわれる中国の
 シェールガスの開発が、振り出しに戻りつつあると報じました。

 シェールガス開発に参入する企業の多様化や国有会社の
 消極的な投資姿勢で、開発が進んでいない現状を紹介しています。

 中国の石油関係は、習近平に睨まれているので、その影響も
 あるのかも知れません。

 米国やアルゼンチンよりも、国のシェールガス埋蔵量は多いものの、
 掘り出しにくいという弱点があります。

 シェールガスがあっても、水のない場所のため水圧破砕法による
 安価な採取ができないこともあるでしょう。

 中国にはシェールガス採取のための技術も資金も不足している
 という状況です。

 第2次シェールガス開発入札では、中国企業16社が探査権を
 落札しましたが、結局のところ1社も実際に「穴を掘った」
 ところはありません。

 ロイターの報じているところだと、中国政府に中国での
 初のシェールガス生産物分与契約(PSC)を承認された、
 ロイヤル・ダッチ・シェルでさえ、何もしてないということです。

 また、もう1つ習近平体制に移行してからは関心が低下していると
 報じられているのが中国の大型の工業団地開発プロジェクトです。

 かつて中国の胡錦濤前指導部が国家プロジェクトと位置付けた
 大型の工業団地開発が暗礁に乗り上げています。

 当時の温家宝首相が来日時にPRするほど重視していた
 中国河北省唐山市の開発区「曹妃甸(そうひでん)」が
 話題になっています。

 かつて江沢民政権下の上海では浦東地区の開発をすごい勢いで
 進めていましたが、まさにあれは国家プロジェクトと呼ぶに
 相応しかったと思います。

 しかし、唐山市・曹妃甸の開発はもともと盛り上がりが
 今ひとつだったという印象を拭えません。

 渤海湾の周辺には、大連・天津がありますから、
 唐山が盛り上がらないのは必然といえるかも知れません。

 外資系企業にしても、天津の方が便利ですから、唐山まで行く
 必然性がありません。

 おそらくこの工業団地開発プロジェクトは、胡錦濤の置き土産
 としてこのまま終了してしまう可能性が高いでしょう。

 ==========================================================
 この大前研一のメッセージは9月8日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
 ==========================================================

 ------------------------------------------------------------- 
 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
 ------------------------------------------------------------- 

 ロイターの報道によると、中国でのシェールガス探査は
 あまり進んでおらず、探査権を落札した企業のほとんどが、
 穴も掘っていない状況にあるということでした。

 世界最大の埋蔵量があると言われている中国で、
 なぜこのような事態になっているのでしょう?

 今回の解説では、参入企業の多様化や、国有会社の投資姿勢、
 石油業界と政府の関係、中国の地理的な特徴など、多くの
 要因が挙げられました。

 このように、実際に起きている現象を見ていくと、
 複数の要因が絡み合って発生している場合がたくさんあります。

 そうした複数の要因を抜け漏れなく見つけるためには、
 全体像を理解しようとする姿勢が必要です。

 問題の本質を理解する際、全体像を意識してみることで、
 抜け漏れなく情報を集めることができます。

2013年09月06日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『マクドナルド・パナソニック・ソニー・カーナビ業界〜日本独特の競争環境を考える』
 ──────────────────────────────────

 日本マクドナルド 原田会長兼社長が退任
 パナソニック 個人向けスマホ事業撤退で最終調整
 カーナビ大手 カーナビ大手の株価下落
 ソニー ヒトゲノム解析事業に参入

 -------------------------------------------------------------
 ▼ マクドナルドが低迷した原因は、日本独特の激しい競争環境
 -------------------------------------------------------------

 日本マクドナルドホールディングスは先月27日、傘下の事業会社、
 日本マクドナルドの原田泳幸会長兼社長が社長を退任し、後任に
 マクドナルド・カナダ出身のサラ・カサノバ氏が就任する人事を
 発表しました。

 「100円マック」のヒットなどでデフレの勝ち組と言われた
 日本マクドナルドですが、足元の業績は低迷。

 原田氏は同社の会長とホールディングスの会長兼社長には
 留まるものの、今後は米国本社主導で立て直しが
 進むと見られています。

 以前原田氏はマクドナルドの低迷の原因の1つとして、
 特に東日本大震災以降の日本人の心理変化を
 挙げていましたが、私はその意見には与しません。

 これまでの実績を見れば、経営者として優れた人物だと
 思いますが、この点についての認識は正しくないと私は思います。

 マクドナルドの低迷の原因は、日本人の心理が変わったから
 ではなく、マクドナルドを取り巻く競争環境が変化し
 多様化する中で、マクドナルドが対応できていないからです。

 コンビニ弁当・お惣菜、立ち食いうどん・そば、
 すき家・吉野家の牛丼など、かなりバラエティにあふれています。

 このような状況において、マクドナルドが売っているものの
 魅力が薄れているのだと思います。

 健康志向の食べ物でもありませんし、
 特別に安いわけでもありません。

 セットメニューも「バリューセット」の名前ほど、
 手ごろ感はないと感じる人も多いと思います。

 日本のコンビニ弁当などは世界でも類を見ないほど
 充実しています。

 加えて、牛丼チェーン店もかなりの強豪です。

 こうした状況は日本独特のものなので、
 果たしてカサノバ氏がどこまで対応できるのか、
 一筋縄ではいかないでしょう。

 原田氏でさえ理解していなかった、
 この日本の市場環境について、米国本社は
 どれくらい理解できているのかは疑問です。

 今でも世界的に見れば、マクドナルドは非常に立派な会社ですが、
 「日本独特の競争環境」について理解して臨まなければ、
 日本を立て直すことは難しいと私は見ています。

 -------------------------------------------------------------
 ▼ スマホ、カーナビ市場の時代の流れ。ソニーは医療市場に活路を見いだせるか。
 -------------------------------------------------------------

 マクドナルドにおいて原田氏の退任が1つの時代の終わりだとすれば、
 スマホ事業から撤退するというパナソニックでも1つの時代が
 終わろうとしています。

 パナソニックは国内の個人向けスマートフォン(スマホ)事業から
 撤退する方向で最終調整に入りました。

 来年3月までに唯一の自社拠点であるマレーシア工場での生産を
 停止する方針で、販売不振で営業赤字が続いており、
 立て直しが難しいと判断したとのことです。

 今でもパナソニックは国内で290万台の携帯電話を出荷していますが、
 それでも撤退という事態になりました。

 基地局事業まで売却するということです。

 今後どこで利益を上げていくつもりなのか、課題は山積みといった
 ところでしょうが、時代の流れの中では致し方ないのかも知れません。

 先月28日、東京株式市場でカーナビゲーションシステム大手の株価が
 下落したと報じられました。こちらもほとんど同じような状況でしょう。

 JVCケンウッドとパイオニアが年初来安値を更新、クラリオンも
 年初来安値に接近。

 格安なカーナビの増加に加え、スマートフォン(スマホ)の普及により
 自動車用品店で販売するカーナビ市場が縮小。

 4〜6月期はそろって営業赤字となるなど、業績悪化が
 嫌気されているとのことですが、私に言わせれば、
 未だに株価が付いていることが不思議です。

 日本のカーナビは世界的に見ても高額でした。

 海外に行けばカーナビは4〜5万円で購入出来ます。

 それも今では2万円台に価格が下落しています。

 さらに次のバージョンでは、スマートフォンを車のダッシュボードに
 取り付けて、カーナビの代わりになると言われていますから、
 ますます状況は厳しくなっていくでしょう。

 また経営再建中のソニーは、ヒトゲノム解析事業に
 参入するとのことです。

 米国の遺伝子解析装置大手イルミナと合弁会社を設立し、
 製薬会社や研究機関などから受託し、イルミナの装置を使って
 解析を進める方針で、データベース化した情報の国内製薬会社への
 販売することも計画しているそうです。

 ぜひ頑張って欲しいところですが、医療関係の市場環境は、
 世界中で非常に厳しくなっています。

 また個人情報の取り扱いやモラルの問題など、
 他の市場よりも慎重にすべきことも多々あります。

 医療分野に活路を見出そうとして、ソニーが向こう岸まで
 泳ぎきれるのか注目したいと思います。

 ==========================================================
 この大前研一のメッセージは9月1日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
 ==========================================================

 ------------------------------------------------------------- 
 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
 ------------------------------------------------------------- 

 日本マクドナルドの原田泳幸会長兼社長が、退任を発表しました。

 大前は、同社の昨今の業績低迷の理由として、日本が持つ独特の
 競争環境を挙げていましたが、では、日本におけるマクドナルドの
 競争相手は誰になるのでしょうか?

 たしかにハンバーガーショップの中では優位に立っていますが、
 コンビニ、牛丼チェーンなどが台頭する日本のファーストフード市場
 の中では、マクドナルドの存在感が薄れてきているのかもしれません。

 このように、競争相手が誰かを理解することで、その企業を
 取り巻く環境が見えてきます。

 特にニーズが多様化している現代において、常に今までとは違う、
 新しい競争相手がいることを認識しておく必要があります。

過去ログ 2010年12月 
2011年01月 02月 03月 04月 05月 
2012年05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2013年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2014年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2015年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2016年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2017年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2018年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月