2013年10月25日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『パナソニック・三洋半導体・NEC〜柱となる事業の軸を考える』
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 パナソニック プラズマテレビ向けパネル生産停止へ
 三洋半導体 最大910人を削減
 NEC NECビッグローブを売却

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 ▼ パナソニックは、松下幸之助時代に逆戻りしている
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 日経新聞が報じたところによると、9日、パナソニックは
 2013年度末をめどにプラズマテレビ向けパネル生産を
 停止する方針を固めました。

 生産拠点の尼崎工場も売却する方針で同事業から完全撤退。

 プラズマテレビ事業は同社が13年3月期まで2年連続で7500億円を
 超える最終赤字を計上する要因の一つでした。

 最大の懸案に区切りがつくことで同社の構造改革が
 大きく前進する見込みとのことです。

 パナソニックは、いわゆる「プラズマテレビ VS 液晶テレビ」
 の戦いに敗北しました。

 性能的には大きな差はなかったと思います。

 しかし、生産コスト、ディスプレイの巨大化への対応の面で
 液晶に軍配が上がりました。

 とはいえ、液晶テレビの勝者であったはずのシャープも、
 厳しい経営状況に追い込まれていますから、結果として言えば
 「ダブルノックアウト」状態といったところでしょう。

 問題は、パナソニックが今後の事業の軸を
 どこに定めていくのか?ということです。

 日本では白物家電や住宅関連が好調ですが、どちらも海外では
 ほとんど実績を作れていません。

 今パナソニックは再び「松下幸之助時代」に逆戻りした
 状況だと言えると思います。

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 ▼ パナソニック、三洋の苦しみを引き継いだだけか?
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 米半導体メーカーのオン・セミコンダクターは8日、
 子会社の三洋半導体で同社の全社員の半分近くに相当する
 最大910人を削減すると発表しました。

 埼玉県の工場を2014年6月までに閉鎖し、希望退職も募集します。

 事業体制を見直し、年間5000万ドル(約48億円)規模の
 コスト削減につなげるとのことです。

 今回46億円のコスト削減につなげるということですが、
 歴史を紐解くと、非常に悲しい物語があります。

 まず2004年に新潟中越地震で被災し、
 700億円の損失を計上しています。

 その後、分社化して三洋半導体の売却先を募集し、
 2007年にはアドバンテッジパートナーズが名乗りをあげるものの、
 実現には至らず。

 結局、パナソニックが買収し、1200人の人員削減と
 海外工場の集約(7箇所→4箇所)が行われました。

 そして、2011年になって米オン・セミコンダクターが360億円で
 買収しましたが、タイのアユタヤにある工場が洪水で
 閉鎖に追い込まれてしまいました。

 米オン・セミコンダクターとしても、
 本当に買収したことが良かったのか?

 単に三洋とパナソニックの苦しみを引き継いだだけ
 ではないのか?という気がしてしまいます。

 パナソニック、三洋と同じように、
 厳しい環境に追い込まれているのが、NECです。

 NECはインターネット接続子会社のNECビッグローブを
 売却する方針を固めたと報じられました。

 NECは7月にスマートフォン事業から撤退するなど、
 消費者向けの事業を縮小しています。

 経営資源を成長の柱に位置付ける社会インフラ事業に
 振り向ける方針とのことです。

 NECビッグローブは売上が700億円〜800億円あるので、
 そこそこの金額で買収が成立すると思います。

 時代の流れを見ると、ブロードバンドサービスは、
 固定系サービスから移動系サービスに軸が移ってきています。

 固定系では、業界4位で個人を中心に302万人の会員がいる
 NECビッグローブ。

 おそらく、携帯系サービスを展開する企業が、顧客ごと
 買収する形になるのではないかと思います。

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 この記事は10月13日にBBT Chで放映された大前研一ライブの
 内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 苦戦を強いられている日本の電機業界。
パナソニックは不採算部門であったプラズマテレビの生産を
 停止することになりました。

 またNECは、消費者向け事業を縮小させ、
 成長の柱である社会インフラ事業に経営資源を集中すべく、
 子会社売却の方針を固めました。

 今後の事業の軸が定まらないまま不採算部門の精算を行った
 パナソニックに対して、NECは子会社売却後に注力する軸が
 明確になっていることが分かります。

 刻々と変化する外部環境。
 それに合わせて自社の事業軸を新たに設定し、
 次の打ち手を考えていく必要があります。
 

2013年10月11日(金) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『消費増税・堺市長選・政党支持率〜日本の税金全体の設計を考える』
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 消費増税 2014年4月の消費税率8%引き上げを決定
 堺市長選 竹山修身氏が再選
 政党支持率 共産党が2位浮上

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 ▼ 5兆円の無駄遣いをするための、消費増税。
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 政府は1日、2014年4月の消費税率8%への引き上げを決定しました。

 安倍首相は、増税に備えて企業向け減税に加え、
 5兆円規模の経済対策を策定すると表明しました。

 3%分の引き上げで消費税収は年8.1兆円増える見通しですが、
 初年度の14年度は約5兆円増にとどまる見込みとのことです。

 全くおかしな話です。
 これでは5兆円の無駄遣いをするために増税するのと同じです。

 消費増税は税制改善のためにやるべきことなのに、
 全くそうなっていません。

 増加する税収も5兆円程度では、景気の腰折れを招くでしょう。

 これは完全にペテンであり、お金をばらまいて票を買う、
 という自民党が戻ってきたとしか言えません。

 来年は8%、その次は10%までの引き上げという話でしたが、
 それはやめておこうという流れになっているようです。

 しかし国と地方の基礎的財政収支の推移を見れば、
 厳しい日本の財政は一目瞭然です。

 国際比較をすると、消費税率8%程度は決して高くなく、
 EUは15%程度を推奨しているという人もいます。
 
 しかし、日本は法人税も相続税も高く、
 一概に消費税率だけで比較しても意味はありません。

 法人税、所得税、相続税など、全てを考慮して
 税金全体の設計を見直すことが重要であり、
 今日本はそのタイミングが来ているのだと思います。

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 ▼ 堺抜きで大阪都を実現せよ。
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 堺市長選は29日投開票され、無所属で現職の竹山修身氏が、
 「大阪維新の会」公認の元堺市議、西林克敏氏を破って
 再選しました。

 予想通り、竹山氏の再選となり、大阪維新の会は
 惨敗した形になりました。

 これにより、橋下大阪市長が推進しようとしている
 「大阪都構想」に堺を含めることができなくなり、
 計画の頓挫が懸念されています。

 橋下市長は「潔く負け」を認めると言っていますが、
 負けを認めることよりも重要なのは、戦略を変更することです。

 堺が抜けようとも、あくまで「大阪都」を作ろうとするなら、
 松井大阪府知事、橋下大阪市長がいれば、
 「大阪都」を実現することができます。

 東京都でも23区に入らず、「市」になっている地域が
 いくつかありますが、同じように「大阪都」も「堺市」を
 残したままにすれば良いのです。

 もちろん、堺を含めて大阪都を実現するのが理想ですが、
 それが無理であってもこの際「大阪都」は
 実現させてしまうべきだと思います。

 大阪都が東京都と同じように力を持ってくれば、
 「堺市」も言うことを聞かざるを得ない状況になるでしょう。

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 ▼ 10年後に現れる本物の政治家に期待。
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 日経新聞によると、世論調査の政党支持率で、
 共産党が前月に比べて2ポイント増の6%と自民党の55%に次いで
 2位に浮上したとのことです。

 これは2001年2月以来の高支持率で、
 民主党は同2ポイント減の5%で、1997年9月と並ぶ結党以来最低を
 記録しています。

 共産党が2位とは言え、政党支持率の推移を見れば、
 自民党以外は「地を這うミミズ」と同じレベルです。

 ただし、今はこの世の春を謳歌している自民党も、
 民主党がそうであったように、
 いつまた落ちてしまうかも知れません。

 日本人は、ほんの少しの過失で一気に支持しなくなる傾向があります。

 それにしても、自民党は相変わらず「ばらまき」をしているだけで、
 実質的には何も有効な政策を実行していません。

 先に見た税制問題を見てもわかるように、もう少し国の
 抜本的な部分を変える必要があります。

 そういう意味で、私が期待しているのは「10年後」です。

 今の日本のバイオリズムだと、
 10年に1度「メサイア(救世主)」的な存在が登場します。

 かつての細川氏、小泉氏などです。

 今回、橋下氏にその役割を期待していましたが、
 どうやら無理そうです。

 私は、安倍政権は経済問題に対処できず、
 10年持たない可能性が高いと見ています。

 もし仮に10年後まで存続したとしても、その時には
 安倍首相の復古主義的な思想が表面化し、
 それが理由で崩壊すると思います。

 そのとき、10年後に「本物」の人物が出てきてくれることを
 私は期待しています。

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 この大前研一のメッセージは10月6日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 安倍政権が正式に来年4月からの消費税引き上げを発表しましたが、
 皆さんは今回のニュースをどのように考えますか?

 国際比較をしてみると、増税後の8%はEU諸国と比べれば
 低いと感じられるかもしれません。

 しかし、大前の解説の通り、法人税や相続税など、
 他の税金も含めた全体設計の中で今回の消費増税を考えなければ、
 本当にあるべき消費税率は見えてきません。

 ビジネスの現場でも、全体像が見えていないまま、
 部分的な情報だけで結論を出してしまっていないでしょうか。
 
 問題解決においては、まず全体像を理解してから
 部分的な情報を見るプロセスが重要となります。

2013年10月04日(金) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『東京エレクトロン・LIXIL・東レ〜各企業のM&A戦略を考える』
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 東京エレクトロン 2014年後半の経営統合を発表
 LIXILグループ 独グローエ買収を発表
 東レ 米ゾルテックを買収

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 ▼ 半導体製造装置メーカーが、規模の経済で半導体メーカーに対抗する
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 半導体製造装置の国内首位で世界3位の東京エレクトロンと
 世界首位の米アプライドマテリアルズが、先月24日、2014年後半に
 経営統合すると発表しました。

 スマートフォンの普及で進む半導体の高機能化に対応するため、
 経営統合により開発費を分担。

 今後、次世代技術である450ミリウエハー向け製造装置の実用化や
 メモリーの大容量化に対応した技術開発を進める意向とのことです。

 東京エレクトロンもアプライドマテリアルズも、
 非常に高収益企業でしたが、ここ最近伸び悩んでいました。

 業界2位にいるオランダのASMLに脅威を感じた、3位と1位が
 手を組んだという形です。

 この経営統合でシェアは25.6%となり、ASMLの2倍になります。

 半導体製造装置メーカーは、巨大になりすぎた半導体メーカーから、
 厳しい仕打ちを受けています。

 半導体メーカーは、アップルやクアルコムから発注を受けると、
 半導体製造装置メーカーに厳しい条件を突きつけてきました。

 今回の経営統合は、規模経済によって半導体メーカーに
 対抗できるようになるため、というのが最も大きな目的でしょう。

 本社はオランダとのことですが、ここはほぼペーパーカンパニーに
 近いでしょう。

 実際のオペレーションは日本と米国でそれぞれ行うはずです。

 ただし、半導体メーカーとの交渉は一本化し、
 対抗する姿勢を示してくるものと思います。

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 ▼ LIXILは買収後のマネジメントを引き締めることが大切
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 LIXILグループは26日、日本政策投資銀行と共同で
 ドイツの住宅用機器大手グローエを買収すると正式発表しました。

 負債の承継を含めた買収総額は約29億ユーロ(約3800億円)。

 欧米などの独禁当局の許可を得て2014年前半に買収を完了する予定です。

 先日、私はこのテーマをケース・スタディで扱った時、
 今後LIXILが狙うべきM&Aの対象は、欧州市場の水回りメーカー、
 北米の建材メーカーだと提案しました。

 LIXILはすでにアメリカンスタンダードを買収済みですから、
 まさに私の推薦はグローエでした。

 グローエといえば、超高級メーカーの代名詞のような存在です。
 
 超一流ホテル、超大金持ちの家は、水回りやキッチンが
 グローエになっています。

 グローエを使っているだけで、お金持ちだとわかるほどです。

 アメリカンスタンダードとは対照的なブランドになりますから、
 その意味でもLIXILにとっては非常に良い買収になると思います。

 LIXILがアメリカンスタンダードとグローエを
 どう使い分けていくのか、楽しみにしています。

 LIXILの藤森社長は、海外・国内でそれぞれ1兆円という規模を
 託されているそうですが、今回の買収で6000億円が
 見えてきましたから、あと4000億円です。

 GEの副社長としても敏腕を振るった藤森社長なら、
 おそらく実現させると思います。

 ただし、気をつけなくてはいけないのは、買収後の
 マネジメントとインテグレーションです。

 当然、GEのノウハウを持っているとは思いますが、
 それでもプライドの高い会社を買収した後、
 マネジメントしていくのは大変です。

 買収戦略で成長しているジョンソン・アンド・ジョンソンや
 ネスレ、そして藤森社長の古巣であるGEなどは、
 必ず「買収後の3ヶ月でやるべきこと」が決まっています。

 LIXILが同じようなことができれば、日本で例外的に
 成功した会社として名を残すことができるでしょう。

 LIXILと同様、こちらも期待したいのが東レです。

 東レは27日、炭素繊維大手の米ゾルテックを買収することで
 合意したと発表しました。

 買収額は600億円〜700億円で世界首位の東レは高機能品を
 主力としており、廉価品でトップメーカーのゾルテックを
 傘下に収めることで、炭素繊維の新たな用途を開拓する考えです。

 東レは炭素繊維生産能力シェアで現在トップです。

 ゾルテックは業界シェア3位ですが、東レとは異なり廉価品の
 炭素繊維を扱っています。

 東レはゾルテックを買収することで、既存のハイエンド品と
 廉価品の両方を抑えシェアは30%に達します。

 LIXILと東レの動きは日本企業にとっては、頼もしい限りです。
 今後の両社に期待したいと思います。

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 この大前研一のメッセージは9月29日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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 ▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか。
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 東京エレクトロン、LIXIL、東レの各社がM&Aの戦略を打ちだしました。

 今号ではこの話題を取り上げ、その背景や期待される効果を見ていき、
 各社の今後の展開について解説を行いました。

 M&Aを成功させるためには、自社の取り巻く環境を把握した上で、
 買収先をどこにすべきか?そして買収後どのようにマネジメント
 していくのか?という点まで考えなければなりません。

 現状突破するための解決策を考えていくと、このようなM&Aも
 一つの選択肢となります。

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