2014年01月31日(金) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『サムスン電子・韓国クレジット情報流出事件・北朝鮮情勢
                     〜価値ある情報を創造する』
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韓国サムスン電子 サムスン電子なき韓国経済に備えよ
韓国クレジット情報流出事件 流出カード会社に最長3ヶ月の業務停止処分
北朝鮮 ソウルに「北朝鮮臨時亡命政府」を

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▼ サムスン電子のピークは過ぎ去った
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朝鮮日報は8日、「サムスン電子なき韓国経済に備えよ」という
社説を発表しました。

サムスン電子の昨年10−12月期の業績は、
営業利益は8兆3000億ウォン(約8100億円)にとどまっています。

これは前期比で売上高0.14%減、営業利益では
なんと18.3%減になっています。

韓国経済に影響を及ぼす事態に備えるのは、
韓国政府がやるべき仕事であると指摘しています。

私は以前、ある雑誌で「サムスン電子は今がピーク」だと
指摘したことがあります。

根拠の1つとして挙げたのは、スマートフォンでした。

おそらくスマートフォンは、将来的に1万円、5000円といった価格帯が
主流になっていくと予想し、サムスン電子のコスト構造では、
この価格帯には対応するのは難しいのではないか、ということです。

サムスン電子を除いた場合の韓国経済の指標を見ると、
営業利益のマイナスは拡大し、輸出、売上高は
多少のプラスだったものが、マイナスに転じてしまいます。

いかにサムスン電子の影響が大きいか理解できます。

サムスン電子は時価総額20兆円規模の会社であり、
韓国経済の約2割に相当します。

LGや現代自動車などもありますが、サムスン電子は
別格で代わりを務められる企業はないでしょう。

サムスングループの会長である李健煕(イ・ゴンヒ)氏は、
創業者の三男であり、天才肌で独裁者の色合いが強い人物です。

今のところ、それが良い影響に出ていますが、
今後、誰かが引き継いでいけるか?と言われると難しいかもしれません。

サムスングループも万能ではなく、今がピークではないかと
言われても仕方ない状況になりつつあります。

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▼ ソフトバンクのように、セキュリティ対策の強化が必須
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韓国の大手クレジットカード3社から個人情報が大量流出した事件で、
韓国政府は22日、再発防止策を発表しました。

流出させたカード会社に最長3カ月の営業停止処分を科すことを
視野に入れるとともに、新たな流出が起きた場合の過怠金も
積み増すとのことです。

韓国の場合には決済手段として、クレジットカードの
ウエイトが非常に高いという特徴があります。

クレジットカードのデータにもとづくマーケティング利用は
当然のこととして、トトカルチョやくじ引き、宝くじなど、
様々に活用されています。

今回、暗証番号は流出していないということですが、
仮に流出していたとしても事実を公表できないでしょう。

1億5000万人分のデータということですから、
韓国の人口から考えると、ほぼ全ての人の
データ(大手3社×5000万人のデータ)が流出しています。

出入りの業者がSDカードでデータを持ちだしたということですが、
セキュリティ強化に努めることは必須でしょう。

かつて日本ではヤフーで同じようにデータを持ちだされました。

その事件を踏まえて、ソフトバンクは
日本最強のデータ管理体制を構築するに至りました。

韓国でも、今後、セキュリティ面での強化対策は必須でしょう。

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▼ 北朝鮮が危惧する亡命政権の可能性
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朝鮮日報は12日、『ソウルに「北朝鮮臨時亡命政府」を』
と題する記事を発表しました。

現在、韓国社会には多くの脱北者が生活しており、
北朝鮮の民主化に向けて積極的な活動を続けていると紹介。

北朝鮮変革という大義名分のもと力を結集する時が来たと
報じています。

これは海外から北朝鮮に揺さぶりをかけるという方法です。

その意味で北朝鮮が最も恐れているのは、
金正日の長男・金正男が北朝鮮を離れて、その亡命政府に
参加するような事態が実際に生じた場合でしょう。

カンボジアのシアヌーク殿下のように、海外にいながら
祖国に影響を及ぼす臨時亡命政府を演じられては
困ると考えていると思います。

世界を見渡すと、こうした事例はいくつか存在します。

脱北者同士は仲が悪く、以前から1つの意見として
亡命政府の話は出ていました。

話題そのものは目新しいものではありませんが、
北朝鮮からの批難を覚悟の上で朝鮮日報が記事にしたのは、
大胆なことだと思います。

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この記事は1月26日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております。
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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朝鮮日報は8日「サムスン電子なき韓国経済に備えよ」という
社説を掲載し、韓国経済に影響を及ぼす事態に備えるのは、
政府がやるべき仕事であると指摘しました。

では、サムスンが韓国経済に与える影響とは、
どれほどインパクトの大きいものなのでしょうか?

今回大前は、韓国経済の指標(営業利益、輸出、売上高)を
サムスン電子の情報を入れた場合と除いた場合に分けて見ることで、
同社の影響の大きさを明確にしました。

このように、経済指標や企業の業績など既存のデータを
目的に合わせて組み合わせることで、新たな視点から見える
価値ある情報を手にすることができます。

2014年01月25日(土) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『インターネット課税・国富・シニア消費
                 〜顧客の特性を理解する情報収集法』
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インターネット課税 海外ネット配信に課税へ
国富 国全体の正味資産 2012年末に微増
シニア消費 伸び鮮明

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▼ インターネット課税の実現には、相当なパワーが必要
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政府は海外からインターネットを通じて日本に配信される音楽や
書籍などへの消費課税を2015年度にも始める方針を固めました。

欧州連合(EU)を参考に日本の個人向けにネット配信する
海外企業に国税当局への登録を義務付け、徴税する予定。

2015年10月に予定する消費税率10%への引き上げに
間に合わせる見込みとのことです。

日本は税収が不足しているので、それを補いたい気持ちは
よく理解できます。

ただ欧州ではいち早く導入されている制度ですが、
受け入れられるまでには色々な問題を乗り越えた経緯があります。

日本でも、一筋縄ではいかないでしょう。

音楽などはわかりやすいですが、ソフトウェアの場合など、
どのように課税するのか難しいところです。

特に、私が難しいと思うのはBtoBで
サービスが提供される場合です。

BtoCの場合なら、販売元である海外の会社が
直接課税されます。

ところが、BtoBの場合には海外の販売元の会社ではなく、
国内のサービス提供会社が課税されます。

これはリバースチャージ方式と呼ばれるもので、
納税義務が国内の事業者に転換されるのです。

BtoBにおいて、このようなネットで報告するメカニズムが
機能するのかどうか、やや疑問です。

経験のあるEUを参考にするにしても、これを成立させるのは
相当にパワーが必要となる作業だと思います。

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▼ 個人金融資産は大きく、シニア消費が活発化
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内閣府が17日発表した2012年度の国民経済計算によると、
土地などの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は
12年末に前年に比べて1.1兆円(0.04%)増の3000.3兆円となりました。

わずかながらプラスに転じ、5年ぶりに国富が増えたとのことです。

5年ぶりの微増とは言え、ピーク時には3500兆円ありましたから、
そこから比べると相当に低い水準になっています。

世界と比べて日本の国富の特徴は、個人の金融資産が大きい反面、
負債が極めて小さいことです。

これは米国などと比べると一目瞭然です。

大きなお金を借りて住宅を買っても、
すぐに返済しようとするわけです。

総じて言えば、個人で大きなプラスがある一方で、
公共の数値がマイナスで、相殺されています。

国や公共団体の借金を個人が負担する形になっていて、
結局、国や公共団体はそれに甘んじて、
未だに無駄遣いを続けているということです。

日経新聞は、9日「シニア消費 伸び鮮明」
と題する記事を掲載しました。

年280兆円規模の国内個人消費で、60歳以上の高齢者を
世帯主とする家計の存在感が一段と高まっています。

政府の家計調査によると、2013年11月の2人以上の世帯では
65〜69歳の消費額が前年同月比8.3%増え、
全世帯の伸び率を上回っています。

一生懸命働いて貯めたお金は、元気なうちに使おうという
気持ちになる人が増えてきているということでしょう。

私もアクティブシニアタウンを手がけていて
肌で感じていることですが、旅行にしても趣味にしても、
明らかにシニア世代による「大胆な消費」が増えていると感じます。

話題になったJR九州の「ななつ星 in 九州」なども、
シニア消費が大きいと思います。

東京に「予約で1年待ち」という人気の寿司屋がありますが、
こういうお店もシニア消費に向いています。

仕事を引退し、時間的に余裕のあるシニアなら、
その待ち時間さえも楽しく過ごせるからです。

シニア消費は、従来のビジネスマンの消費とは
全くパターンが異なり、非常に面白いところだと思います。

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この記事は1月19日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております。
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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政府の家計調査によると、65〜69歳の消費額が増加し、
いわゆるシニア消費が存在感を増してきているようです。

今回大前は、シニア消費について、
具体的にシニア世代から人気を集める商品を見ながら、
従来のビジネスマンの消費とは異なる特徴を説明しました。

家計調査などの定量情報と、具体的な商品などの定性情報を
集めて考えることで、対象の特徴はより明らかになります。

このように効果的な情報収集を行うことで、顧客を正しく
理解することができ、更に次のビジネスチャンスを
見つけることも可能となります。

2014年01月18日(土) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『2013年国内市場・日本の現状と問題点〜問題解決力で日本の先を見通す』
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2013国内市場 日経平均株価6年ぶりに1万6000円台
外国人投資家 2013年の日本株買越額
自社株買い 2013年初から自社株買い
1人当たりGDP 日本の1人当たりGDP4万6537ドル
中小企業支援 個人保証制度改正で経営者以外も容認へ

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▼ 年明けから、日本経済の勢いに対する潮目が変わりつつある。
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2013年末の日経平均株価は1万6291円と前年末から
56.7%上昇しました。

年間の上昇率は1972年(91.9%)以来、41年ぶりの上昇率。

安倍首相は先月30日、東京証券取引所の大納会に出席し
「来年もアベノミクスは買いだ」とあいさつしたそうです。

昨年末の大納会の時点での日経平均株価を見ると、
確かにある種の勢いを感じられたのですが、
年が明けて少々様相が変わってきていると私は感じています。

アベノミクスや金融緩和である程度の成果が見られた一方で、
その後遺症があるのも事実です。

実態を超えて株価が上がり続けることはありませんし、
世界経済の動きから見ても風向きが変わりつつあると感じます。

円安になっているのに実際の輸出量は増えていないですし、
円安についても欧州では一部の企業から悲鳴が上がり始めていて、
円に対する歯止めがかかり始めています。

エコノミストや証券会社に言わせると、株価は2万円を
突破するとか、円は130円を突破するとか、昨年の勢いのままに
好き放題に言うと思いますが、私は年明けから「潮目」が
変わり始めていると思っています。

日本の株価を支えている1つの大きな要因と言われる
外国人投資家による日本株売買についても、
手放しで安心していられる状況ではないでしょう。

東京証券取引所がまとめたところによると、
2013年12月第3週の海外投資家の売買高は
8803億円の買い越しでした。

買い越しは8週連続で、買い越した金額はこれまでの過去最高を
上回る約14兆円超を記録しているとのことですが、
これもいつムードが一変するかわかりません。

過去の外国人投資家の日本株売買状況を見ると、
入っては出ての繰り返しであり、
ぬかりなく便乗している姿勢が伺えます。

もちろん長期的なスタンスで投資している場合も多いですが、
ヘッジファンドなども確実に入り込んできています。

新興国でも実際に起こっているように、こうした外国人投資家は
ムードが変われば、さっと手を引いていきます。

現時点において外国人投資家による買い越しが
大きいのは事実ですが、これから先はわかりません。

先日、日本の1人あたりGDPが3年連続で過去最高になったと
発表されましたが、こうしたニュースも、安倍首相は「見せ方」が
上手なので、しっかりと事実を知ることが大切でしょう。

発表された数字は2012年のGDPですが、これは為替実効レートが
79円だったことが大きく影響しています。

つまり、為替の影響を無視できません。

もし他の条件を一切除外し、単純に2013年の為替レートで
換算すれば、日本の1人あたりGDPはオーストラリアや米国を下回り、
ニュージーランドやイタリア並みに落ち込む計算になります。

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▼ 金余り状態、モラルハザードに見る日本経済の問題点。
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金融情報会社のアイ・エヌ情報センターによると、
2013年初からの自社株買いは合計約2兆1000億円。

昨年1年間の実績を4割近く上回りました。

一般に株高局面では進みにくいのに、2013年は企業業績の回復を
追い風に取得額が膨らんだとの見解ですが、
私は少し違う感想を持ちました。

というのは、日本経済は「カネ余り」状態になっていて、
企業は余った資金を持て余しているからです。

日本企業の内部留保は総額で約230兆円と言われています。

自社株買いが増えていると言われますが、
投資先も見つけられず、行き先のない資金になっています。

経営者は、資金を使うアイディアを出せずに困っているという状況です。

そして銀行も同じくらいの金額の資金を持っていますが、
貸出先がなく、持て余しています。

それにも関わらず、日銀がさらにカネ余り状態を助長している状況です。

積極的に自社株買いが進んでいるというよりも、
このカネ余りという状況をしっかりと認識することが重要だと思います。

先日、銀行などが中小企業へ融資する際の個人保証の制度改正を巡り、
引き受け側の自発的な意思が確認できれば、
経営者以外にも保証を認める方向となりました。

今、日本の銀行はカネ余り状態ですから、とにかく
「お金を借りてほしい」と思っています。

ですから、貸出をするとなれば、金利をゼロでも貸し出します。

ところが、そんな状況にあっても経営的に不安がある場合には、
保証(担保)を取らなければ貸さない、ということです。

本来、銀行は経営者や経営戦略から融資判断をすべきですが、
結局、担保でしか判断しないのであれば、本来の機能を
失っていると言わざるをえないでしょう。

さらに今おかしい状況になっているのは、中小企業金融円滑化法が
終了しているにも関わらず、金融庁の指導によって、
本来の処理をしていないことです。

本当なら「破綻懸念先」に分類し、引当金を
計上しなければならないものでも、金融庁の許可を得て、
「健全先」として分類したままにしています。

あってはならないモラルハザードだと思います。

亀井氏が推し進めた悪法(中小企業金融円滑化法)は、
30万社を巻き込んだまま、未だに問題を先送りにしています。

それでも、超カネ余り状態ゆえ誰も痛痒を感じていないのが
恐ろしいと私は思っています。

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この記事は1月12日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております。
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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外国人投資家が日本株を買い越し、株価が上昇し、
そしてGDPも上がったことで、年末は日本経済の勢いが感じられる
ニュースが多く報道されました。

しかし今回、大前はそれらのニュースについて
その背景や本質を捉え、日本が抱えるリスクを指摘していきました。

一見すると日本経済に明るい兆しが出ているように感じますが、
いつ状況が一変するかは分かりません。今後どのようなリスクが
考えられるか、予め先を見通しておく必要があります。

問題解決の視点を身につけることで、世の中で起きている
現象の本質を捉え、そしてその先を見通す力を養うことができます。

2014年01月10日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
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┗━┛『道州制・大阪府政〜冷静に現象を捉える視点を鍛える』
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道州制 同床異夢の道州制
大阪府政 泉北高速鉄道 三セク売却議案が否決

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▼ 道州制の実現に向けて、各論レベルでの議論が重要
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日経新聞は12月20日、「同床異夢の道州制」と題する記事を掲載しました。

これは19日に開催された全国知事会議で、先の臨時国会において
道州制推進基本法案の提出を見送った自民党に抗議文が
提出されたと紹介。

日本維新の会との連携を探る政策として道州制を重視した自民党も、
日本維新の会が橋下共同代表の慰安婦発言などで勢いを失うと、
熱気が急速にしぼんだと指摘しています。

これは本当に残念なことです。もし橋下氏が、道州制のみに
集中してやっていれば、こんな事態にならず、
実現に向けて動いていたと思います。

また日経新聞がいう「同床異夢」というのは的を射た表現です。

地方に権限を持ってくるということで、全国各地の知事も
道州制に「総論」としては賛成しています。

しかし「各論」になってくると、反対する立場をとる人もいます。

例えば、福島県は東北ではなく関東と一緒になることを望んでいたり、
四国と中国で一緒になることはお互いに望んでいないなど、
それぞれ意見が異なります。

道州制の実現にあたり、地域によっては経済的に独立できるのか
不安視されているところもありますが、私に言わせれば
「四国だけでもデンマーク並みの経済がある」のだから、大丈夫です。

実現しようと思えば、やれるはずです。

私は今後も道州制の実現に向けて尽力していきたいと思っていますが、
返す返すも橋下氏の勢いが削がれてしまったのが残念です。

もし橋下氏があのままの勢いで道州制を推し進めていれば、
自民党も民主党も従うしかなかったと思います。

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▼ 大阪府政の根本的な問題は、橋下氏の政治的な力が衰えたこと
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大阪府が泉北高速鉄道を運営する第三セクターの株式を
米投資会社に売却するための関連議案が12月16日の
府議会本会議で否決されました。

大阪維新の会は会派として賛成方針を決めていましたが、
所属4議員が反対。

大阪維新は市議会に加え、府議会でも単独過半数の勢力を
維持できなくなり、看板政策「大阪都構想」への影響は
必至の様相です。

地下鉄の民営化も計画倒れに終わり、
この案件も非常に面白い試みでしたが否決されてしまいました。

すでに、大阪維新の会はガタガタの状態になっています。

地元大阪でも決定事項を通すことができず、府議会、市議会でも
過半数を割り込んでいます。

かつて橋下氏と維新の会に勢いがあった頃は、
下手に反対すると「橋下氏が怖い」という感覚があったはずです。

郵政選挙で刺客を送り込んだ小泉元首相のように、
何かあれば橋下氏が対立候補を送り込んできて
痛い目にあうかもしれない、という怖さです。

ところが前回の堺市長選挙で、すでに橋下氏と維新の会には、
その力がないことが露呈してしまいました。

だから、今は誰も怖れる人はいないでしょう。

橋下氏の影響力が低下し、今回の三セク売却議案だけでなく、
すべてが巻き戻されてしまうと思います。

当然、大阪都構想も白紙になるでしょう。
非常にもったいないことです。

外資系ファンドへの恐怖が原因という人もいますが、
より根本的には橋下氏や松井氏の力がなくなってしまった
ことだと私は思います。

そして、そもそも外資系ファンドだからと言って
敬遠すること自体、私には理解できません。

外資系ファンドであっても法律には従うわけですから、
何か法に抵触することがあれば訴えればいいだけです。

外資系というだけで「黒船」を例に出して、
恐怖心を煽る人がいますが、黒船にしても日本の開国のきっかけを
作ってくれたのですから、感謝すべきです。

戦後の財閥解体なども、より日本の財閥系企業を強くする
結果になっていますから、私は良かったと思っています。

外資というだけで盲目的に怖いと考えるのではなく、
冷静に客観的に見るべきでしょう。

大阪府政の根本的な問題は、橋下氏の政治的な力が衰えたことです。
今回の件も、それが表面化した一例に過ぎないと思います。

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この記事は12月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております。
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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米国投資会社への第三セクター株式売却議案が否決された
ニュース解説の中で、大前は外資系企業の存在について触れています。

大前は黒船来航や戦後の財閥解体などの歴史的事件を挙げて、
外資系企業を警戒する見方に疑問を呈しました。

思い込みなどから、異質な組織や文化に対し
警戒してしまうということはビジネスの現場でもよくあります。

そういった思い込みから脱却するためには、
正しいロジックに基づいて冷静に現象を捉える必要性があります。

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