2014年02月28日(金) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『SCE・日本マクドナルド〜競合を正しく把握して打ち手を考える』
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SCE 「PS4」販売台数が530万台超
日本マクドナルド 原田泳幸氏が退任

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▼ PS2の夢をもう1度、というコンソールに固執する発想を捨てるべき
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ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は18日、
欧米で先行発売した新型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の
販売台数が530万台を超えたと発表しました。

PS4は昨年11月の欧米を皮切りに56の国・地域で販売。

当初は2014年3月期中に500万台を販売する計画でしたが、
前倒しで達成したとのこと。

ですが、実際にはそれほど大きな成果とは
言えないと私は感じています。

これまでに発売された先行機種の販売台数を見ると、
2000万台、3000万台は当たり前ですし、PS2にいたっては
累計で1億5000万台という数字でした。

アナリストの予想を上回ったと言っても、500万台では
安心できる数字ではないでしょう。

今後、どれだけソフトが登場して売上を伸ばしていけるか
ということが重要です。

ソニーは任天堂ほどスマートフォンに対する拒否反応は
ないでしょうから、ぜひ連動することを考慮して欲しいと思います。

コンソールにこだわって「5万円からの値引きで4万円で」
と言われても、スマホユーザーの心には響かないでしょう。

このままコンソールに固執すると、いつ窒息死してもおかしくないと
私は懸念してしまいます。

いつまでも「PS2の夢をもう1度」などと考えていては、
どんどんスマートフォン市場から遅れるだけですから、
そのような発想は捨てるべきです。

そのソニーよりも、問題が深刻だと言わざるを得ないのが任天堂です。

先日のTIME誌でも
「スーパーマリオほどスマートフォンに相性が良いものはないのではないか?」
と提言されていました。

世界中の至るところで、なぜ任天堂はスマートフォンに
手を出さないのか?と言われ続けています。

任天堂の社内的な事情を見ると、
宮本茂専務の存在が大きいのだと思います。

任天堂を世界的な企業に押し上げた立役者であり、
もはや神様のような存在の人です。

故山内氏ならともかく、今の岩田社長では
コントロールできないと思います。

そして、宮本氏がコンソールにこだわっているから
任天堂はスマートフォンに舵を切れないのでしょう。

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▼ 単なるファミリー志向では、マクドナルドの問題は解決しない
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日本マクドナルドホールディングスは19日、
原田泳幸会長兼社長兼最高経営責任者が会長に退き、
傘下の事業会社、日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長兼CEOが
後任に就く人事を正式発表しました。

原田氏は
「この2年間は後継者の育成と業績を上げ続けることの両立が難しかった」
と振り返りました。

原田氏は格好良く発表していますが、米国企業である
マクドナルドの方針は、シンプルに「原田氏をアウトに」ということです。

それ以上でもそれ以下でもないでしょう。

今後も取締役会の議長を務めるそうですが、それを発表した席上で
「他にいい仕事があればやる」と述べていました。

このあたりのセンスは、私には理解できません。

10年頑張って売上も伸ばしましたが、
結局そういうパターンの人なのか、と思います。

本質的な点を言えば、原田氏が気づかなくてはいけなかったのは、
マクドナルド=ハンバーガー市場の問題点や課題ではありません。

惣菜、うどん、そば、牛丼などあらゆる種類の「食」に関する事業が
展開されている日本においては、ハンバーガー同士の争いで勝てても、
それだけではダメなのです。

日本人の胃袋に対する競争に勝つ必要があるのです。

財布に占めるマクドナルドのシェアが落ちてきているという
認識を持ち、そこを根本的に見なおして解決する必要があります。

カサノバ氏は「ファミリー志向」という戦略を打ち出している
そうですが、正直、そんな生易しいものでは無理だと思います。

そもそもを言えば、これまでにカサノバ氏が経験してきた
米国やカナダは、惣菜、うどん、そば、牛丼など様々な強豪が
うごめいている日本に比べると、間食市場は非常に緩いと思います。

その経験値で、日本で戦っていくのは厳しいのではないかと私は見ています。

一つの事例を挙げれば、スターバックスです。

Wifi環境を整備して、おしゃれな仕事空間を演出することで、
ビジネスマン需要に応えるという形をとっています。

このとき、スターバックスの価値は「食べ物」ではなく、
「仕事場の提供」なので、他の間食事業者とは
一線を画すことができていると思います。

マクドナルドとも競争していません。

今、マクドナルドはどこに目を向けるべきなのか?

まず、この点を間違えないようにしなければ、
何をしても効果は薄いでしょう。

(※この記事は2月23日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
-------------------------------------------------------------

原田泳幸氏が会長に退き、日本マクドナルドに
新しくサラ・カサノバ社長が就任しました。

原田氏について、大前はハンバーガー市場での競争でなく、
「食」に関係するあらゆる事業との競争を意識すべきであった
と指摘しています。

食の多様化が進んでいる日本において、マクドナルドの競合は、
同じハンバーガー市場だけに留まらず多岐に渡ります。

自分たちの競合がどこにいるのかしっかり把握した上で
打ち手を考えなければ、効果的なものであるとは言えません。

ビジネスの世界で厳しい競争を勝ち残るには、
まず自分たちが戦うべき競争相手をしっかり理解する必要があります。

2014年02月21日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『気象異変・診療報酬〜不確実な現象に備えた対策を考える』
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気象異変 世界に波紋
診療報酬 診療報酬改定を答申

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▼ 気象異変がどうかよりも、現実的な対策と準備を
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米国を断続的に襲う寒波、日本での度重なる大雪に加え、
世界各地で「異変」が起きています。

英国は記録的な大雨に見舞われ、南米は高温・乾燥に直面。

今のところ生産活動への影響は限定的ですが、
コーヒー豆などの国際価格にも上昇圧力がかかり始めています。

米国の寒波も凄まじいものがありました。

また英国の南部の洪水も内陸30キロ付近まで水没するなど、
高波と呼べるほどの規模のもので、私も初めて見ました。

地元の人ですら、初体験というのですから、相当なものです。
海水の塩分にやられて、農作物に影響が出てしまいました。

その他、南米や日本でも異常気象と言われるような現象が
発生していますが、果たしてこれが本当に「異常」なのか、
それとも数年に一度はこのようなことが起こるのか、
正確には、実態は明らかになっていません。

ただ何にせよ重要なのは、こうした経験を踏まえて
「準備」を進めることでしょう。

こうした気候が続くとすると、首都圏の鉄道、高速道路、
空港は脆弱すぎます。

しかし、技術的に対応することは可能なはずです。

例えば、米国では最低気温が「マイナス20度〜40度」に
達するウィスコンシン州ミルウォーキーの空港が、
きちんと稼働しています。

今回の大雪で、東京電力の電線が雪の重さに耐えられず
停電したり、東横線では雪でブレーキが効かずに
事故が発生したりしています。

おそらく雪が電車の構造内に入ってしまう仕掛けに
なっているのでしょうが、技術的には十分対応できるはずです。

事実、新幹線は東北地方など雪が多い地域でも
走っているのですから。

気候が「異常」か否かを議論するよりも、
現実的に影響があるのですから、そこに目を向けて
「準備」を進めることが重要だと私は思います。

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▼ 主治医制度ではなく、パーソナルケアに目を向けるべき
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中央社会保険医療協議会は12日、
診療報酬の2014年度改定を決定し、田村厚労相に答申しました。

消費増税に併せて4月から初診料を120円、再診料を30円
引き上げるのが柱で、全体で0.1%の増額改定となります。

国民医療負担費が40兆円規模になり、
確かに大きな負担になっています。

この20年で約2倍の規模になってしまいました。

入院、外来、薬の処方などを抑える方向に
動いていくというのは、必要があると思います。

ただ、「主治医」制度を新設するなど
在宅医療を促すという方針には、少し不安を感じます。

英国などでも主治医制度は導入されていますが、
必ずしも上手く機能していません。

主治医が気に入らないなど、
トラブルも多く発生しているからです。

主治医という発想だけでなく、
ドイツを参考にして「パーソナルケア」などにも
目を向けるべきだと思います。

ドイツのパーソナルケアという制度では、
例えばリスクが高くない医療行為であれば、
個人が自分自身で実施することができます。

そのためのホームケア、パーソナルケアの道具が
たくさん揃っています。

例えば、採血までは自分がやって、それを病院に送ると、
病院から必要に応じて連絡が入るという流れになります。

日本では医師以外に認められた医療行為は
非常に限定的なので、当然、
このような検査も限られたことでしか実施できません。

医療行為の中でも、慣れた患者や定期的で
簡単なものであれば、個人が実施することは可能だと思います。

私も数回痛風になったことがあるため、
20年間にわたって痛風の薬を処方してもらっていますが、
毎月同じ処方してもらうだけで非常に手間がかかっています。

本当に重要な事は、個人にイニシアティブを取らせることです。

ないしは、誰か患者をケアする人がいるのなら、
その人が医師に代わって簡単な医療行為を
行ってあげられる仕組みを作ることでしょう。

単に価格を改定し、主治医の制度を、
というだけでなく、このような点まで
踏み込んで考えてもらいたいと思います。

(※この記事は2月16日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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2月に入ってから日本各地で大雪が降り、
インフラなどに大きな影響を与えましたが、
日本だけでなく世界中で気象異変が観測されているようです。

今回大前は、そうした異常気象について議論する前に、
現実的に打てる対策を行う必要性を指摘しました。

天候に限らず、ビジネスの現場でも不確実なことは起こるものです。

そうした事態を目の前にした時、
まず、どのように対応できるかを考える姿勢が必要です。

2014年02月18日(火) 

┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『国内株式市場・NISA・住宅ローン金利〜他国のケースと比較して見る』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

国内株式市場 日経平均が今年最大下げ幅
NISA 開始1ヶ月人気首位は武田薬品工業
住宅ローン金利 「フラット35」の2月適用金利を発表

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▼ 国内株式の下落は、アベノミクスへの調整の結果
-------------------------------------------------------------

4日の東京株式市場では日経平均株価の終値が前日に比べ
610円安となり、今年に入り最大の下げ幅を記録しました。

外国為替市場では円相場が一時1ドル=100円台に上昇しました。

テレビや新聞などは、新興国経済を巡る警戒感に加え、米国景気の
先行きに対する懸念も浮上し、投資家が運用リスクを回避する姿勢を
一段と強めたなどと報じていますが、これは間違いです。

誰も米国の経済を心配しているわけではなく、
日本の経済を心配し、それが株価に影響しているのです。

今年になってからアベノミクスが見直され始め、
明らかに「潮目」が変わったと、私はすでに何度も述べてきました。

昨年1年間、世界の株式市場で最も伸び率を記録したのが日本です。

しかし一方で、今年になってからの下落率もトップです。

これは過大な期待を寄せられていたアベノミクスに、
調整が入ったと見るべきだと私は思っています。

冷静に日本経済を見てみれば、
今の水準が妥当だと判断されているわけです。

業績回復を見せている日本企業ですが、赤字事業の撤退など
引き算で業績回復を図ったところが多かったのも特徴です。

新しいものを生み出し、足し算で業績を回復させた企業は
非常に少ないと言わざるを得ません。

アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」などは
まるで実行されていません。

株価の下落などの兆候が現れると、
すぐに日本のマスコミは米国など「外」に原因を求めますが、
基本的にはほとんどの場合、的外れです。

原因は自分たち自身にあるのです。

-------------------------------------------------------------
▼ 結局、NISAは形を変えた定期預金
-------------------------------------------------------------

NISAの開始から個人が買い入れた人気銘柄では武田薬品工業が
トップになりました。

他の人気銘柄は、みずほフィナンシャルグループ、キヤノン、
トヨタ自動車など、武田と同様、配当利回りが比較的高い
大型株が並んでいるとのことです。

ブルーチップについて言えば、どこの国に目を向けても
同様の傾向が見られます。

将来的な見通しが良いというわけではありませんが、
とりあえず資金が潤沢にあり、
自社株買いと配当をしてくれそうな企業に人気が集まります。

本来、株価は将来に対する期待から購入するものですが、
このような判断になってしまうのも致し方ないかも知れません。

銀行の預金金利が低いので、定期預金よりも金利がいいから
NISAを使おうという判断です。

武田薬品の例で言えば、時価総額に対して3%ほどの配当
になるでしょう。

すなわち、これは「形を変えた定期預金」であり、
個人の資産運用の方法が「株」にシフトした
というものではないと私は見ています。

ゆえに、将来性ではなく、
現時点での配当が判断基準になってしまうのです。

ブルーチップという概念そのものが、銀行預金よりも安定する
「長期安定銘柄」に流れていく傾向があり、私に言わせれば、
NISAもその「つまらない」流れに乗ってしまったと思います。

米国では1兆円規模の自社株買いを行い、
5%〜7%の配当を出す企業もあります。

このままだと、日本も同様に、
自社株買いと配当の国になってしまいます。

非常につまらない結果だと私は感じています。

そんな日本では、もし今、家を建てるつもりなら
世界で最も恵まれた条件が整っていると言えます。

住宅金融支援機構は4日、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の
2月の適用金利を発表しましたが、それによると主力の返済期間35年以下は、
取扱金融機関の最低金利が1.79%と前月比で0.01%下がり、
昨年4月以来10カ月ぶりに過去最低を更新したとのことです。

35年間の固定金利でこの利率というのは、
世界でも類を見ない数字です。

残念ながら、日本は空き家率が13%もあり、
今後は家を欲しがる人が少なくなるかもしれませんが、
この数字だけを見れば「家を建てたい人には天国」と言える条件です。

いずれ日本にハイパーインフレが起きると、
このような数字は維持できないでしょうから、
その意味でもチャンスかも知れません。

==========================================================
この記事は2月9日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております。
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
-------------------------------------------------------------

NISAの開始から1ヵ月が経ち、配当利回りが比較的高い
大型株に人気が集まっている傾向が明らかになりました。

貯蓄から投資への流れを促し、経済を活性化させることを
目的にはじまったNISAですが、実際に個人の資産は
投資に移ってきているのでしょうか?

現状の本質を理解するためには、
類似したケースに目を向け、観察する方法があります。

今回大前はブルーチップ(優良株式銘柄)の概念を挙げ、
他国の事例とあわせて観察することで、
NISAが投資ではなく、形を変えた定期預金に
なっていることを指摘しました。

このように、他国のケースと比較して見ていくことで、
新しい施策の実態や今後の見通しが見えてきます。

2014年02月14日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『国内株式市場・NISA・住宅ローン金利〜他国のケースと比較して見る』
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国内株式市場 日経平均が今年最大下げ幅
NISA 開始1ヶ月人気首位は武田薬品工業
住宅ローン金利 「フラット35」の2月適用金利を発表

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▼ 国内株式の下落は、アベノミクスへの調整の結果
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4日の東京株式市場では日経平均株価の終値が前日に比べ
610円安となり、今年に入り最大の下げ幅を記録しました。

外国為替市場では円相場が一時1ドル=100円台に上昇しました。

テレビや新聞などは、新興国経済を巡る警戒感に加え、米国景気の
先行きに対する懸念も浮上し、投資家が運用リスクを回避する姿勢を
一段と強めたなどと報じていますが、これは間違いです。

誰も米国の経済を心配しているわけではなく、
日本の経済を心配し、それが株価に影響しているのです。

今年になってからアベノミクスが見直され始め、
明らかに「潮目」が変わったと、私はすでに何度も述べてきました。

昨年1年間、世界の株式市場で最も伸び率を記録したのが日本です。

しかし一方で、今年になってからの下落率もトップです。

これは過大な期待を寄せられていたアベノミクスに、
調整が入ったと見るべきだと私は思っています。

冷静に日本経済を見てみれば、
今の水準が妥当だと判断されているわけです。

業績回復を見せている日本企業ですが、赤字事業の撤退など
引き算で業績回復を図ったところが多かったのも特徴です。

新しいものを生み出し、足し算で業績を回復させた企業は
非常に少ないと言わざるを得ません。

アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」などは
まるで実行されていません。

株価の下落などの兆候が現れると、
すぐに日本のマスコミは米国など「外」に原因を求めますが、
基本的にはほとんどの場合、的外れです。

原因は自分たち自身にあるのです。

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▼ 結局、NISAは形を変えた定期預金
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NISAの開始から個人が買い入れた人気銘柄では武田薬品工業が
トップになりました。

他の人気銘柄は、みずほフィナンシャルグループ、キヤノン、
トヨタ自動車など、武田と同様、配当利回りが比較的高い
大型株が並んでいるとのことです。

ブルーチップについて言えば、どこの国に目を向けても
同様の傾向が見られます。

将来的な見通しが良いというわけではありませんが、
とりあえず資金が潤沢にあり、
自社株買いと配当をしてくれそうな企業に人気が集まります。

本来、株価は将来に対する期待から購入するものですが、
このような判断になってしまうのも致し方ないかも知れません。

銀行の預金金利が低いので、定期預金よりも金利がいいから
NISAを使おうという判断です。

武田薬品の例で言えば、時価総額に対して3%ほどの配当
になるでしょう。

すなわち、これは「形を変えた定期預金」であり、
個人の資産運用の方法が「株」にシフトした
というものではないと私は見ています。

ゆえに、将来性ではなく、
現時点での配当が判断基準になってしまうのです。

ブルーチップという概念そのものが、銀行預金よりも安定する
「長期安定銘柄」に流れていく傾向があり、私に言わせれば、
NISAもその「つまらない」流れに乗ってしまったと思います。

米国では1兆円規模の自社株買いを行い、
5%〜7%の配当を出す企業もあります。

このままだと、日本も同様に、
自社株買いと配当の国になってしまいます。

非常につまらない結果だと私は感じています。

そんな日本では、もし今、家を建てるつもりなら
世界で最も恵まれた条件が整っていると言えます。

住宅金融支援機構は4日、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の
2月の適用金利を発表しましたが、それによると主力の返済期間35年以下は、
取扱金融機関の最低金利が1.79%と前月比で0.01%下がり、
昨年4月以来10カ月ぶりに過去最低を更新したとのことです。

35年間の固定金利でこの利率というのは、
世界でも類を見ない数字です。

残念ながら、日本は空き家率が13%もあり、
今後は家を欲しがる人が少なくなるかもしれませんが、
この数字だけを見れば「家を建てたい人には天国」と言える条件です。

いずれ日本にハイパーインフレが起きると、
このような数字は維持できないでしょうから、
その意味でもチャンスかも知れません。

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この記事は2月9日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております。
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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NISAの開始から1ヵ月が経ち、配当利回りが比較的高い
大型株に人気が集まっている傾向が明らかになりました。

貯蓄から投資への流れを促し、経済を活性化させることを
目的にはじまったNISAですが、実際に個人の資産は
投資に移ってきているのでしょうか?

現状の本質を理解するためには、
類似したケースに目を向け、観察する方法があります。

今回大前はブルーチップ(優良株式銘柄)の概念を挙げ、
他国の事例とあわせて観察することで、
NISAが投資ではなく、形を変えた定期預金に
なっていることを指摘しました。

このように、他国のケースと比較して見ていくことで、
新しい施策の実態や今後の見通しが見えてきます。

2014年02月07日(金) 
┏━■ 〜大前研一ニュースの視点〜
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『任天堂・ソニー・ルネサスエレクトロニクス・日立製作所
                      〜成功のカギを発見する』
───────────────────────────────────

任天堂 健康テーマの新規事業展開を発表
ソニー アメリカでの特許出願代行を開始
ルネサスエレクトロニクス 液晶向け半導体から撤退
日立製作所 連結営業利益5100億円見通し

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▼ 任天堂はコンソールに執着しすぎて、自らの首を絞めている
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任天堂の岩田社長は30日、「健康」をテーマにした
新規事業を展開する方針を示しました。

健康領域に関して岩田社長は、これまでゲームを主力としてきた
任天堂の事業領域を「一歩広げて考える」と指摘。

2014年中に事業内容の詳細を示して2015年度中に
開始する予定とのことです。

就任後しばらくは良かったのですが、
最近の任天堂を見ていると、
私は岩田社長の舵取りに不安を感じます。

スマホには手を出さず、従来からのコンソール商品に
こだわり続けて、ついに任天堂は赤字に転落しました。

任天堂はずっと6000億円程度の売上で安定してきた会社ですが、
2008年〜2010年頃にかけて圧倒的なピークを迎えました。

それをもたらしたのは、任天堂DSとWiiの大ヒットでした。

ところが、あっという間に主体は変わり、
今はもうそれぞれの後継機種が発売されています。

残念ながら、任天堂DSやWiiほどの大ヒットにはなっていません。

ここに任天堂の大きな課題があります。
すなわち、コンソール商品の寿命が短すぎるのです。

あれだけの大ヒット商品の寿命がわずか3年です。
これは任天堂がコンソールに執着し過ぎているからでしょう。

普通であれば、コンソール商品を出してヒットしたら、
そこで使えるソフトを次々と発売していくべきです。

そうすれば、コンソールの価値はますます高まり、
寿命も長くなるはずです。

新しいコンソール商品をすぐに発売してしまうのは、
自らの首を締めているようなものだと私は思います。

Xboxがソフトを充実させることで
順調な様子を見せているのですから、
任天堂もそれに倣うほうが良いと私は感じています。

この状況で、さらに健康をテーマにした新規事業と言われても、
何とも不安は拭えません。

今さら健康業界で爆発するとは思えません。

3期連続赤字の責任をとり、岩田社長は報酬を
5カ月間半減させると発表していましたが、そんなことよりも、
今示している方向性に私は大いに不安を感じてしまいます。

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▼ 特許出願代行は、ソニーでなくとも、インドに多くの会社がある
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ソニーはインドの特許業務受託大手イーバリューサーブなどと組み、
米国での特許出願業務を担う合弁会社を設立します。

人件費の安いインドで書類を作成。

自社以外の日本企業からも業務を受託し、
規模の利益で費用を下げるとのこと。

特許訴訟の頻発で米国での特許出願を増やす日本企業の需要を
開拓する見込みだそうですが、今さら何を言ってるんだ?
というのが私の正直な感想です。

すでに私は、今から約20年前のインドで、世界各地の特許について
必要な言語に翻訳し、特許出願などの業務を代行してくれる会社を
いくつか紹介されました。

その1つがイーバリューサーブです。

英語力の高さなどもあり、インドというのは、
この種の業務に昔から非常に強いのです。

確かに特許訴訟件数は増えているので需要は高まっていくと
思いますが、私ならソニーに依頼するまでもなく、
直接インドの会社を探してきて依頼してしまうでしょう。

そのソニーに工場売却を決定したのが、
経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスです。

ルネサスエレクトロニクスは液晶向け半導体から
完全撤退する方針を固めたとのことです。

スマホなどに搭載する中小型液晶用半導体の開発子会社を売却し、
自動車向けに経営資源を集中し再建を急ぐとのことですが、
果たして持ちこたえることができるのかどうか、
難しいところかも知れません。

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▼ 日立の本当の意味での再建には、キーとなる事業が求められる
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日立製作所は2014年3月期の連結決算で、営業利益が23年ぶりに
最高を更新する見通しを発表しました。

予想は5000億円でしたが、鉄道インフラや自動車関連事業などの
好調で5100億円(前期比21%増)に上振れする見込み。

リーマン・ショック後に進めてきた不採算事業売却や
グループ再編も実を結んだ形になりました。

日立の再建は、儲かっている会社があればそれを取り込む
という形で行われました。

日本で最大級の会社の1つですが、最近の決算をみると、
売上は伸びていないが利益は回復しているのがわかります。

つまり、成長産業をみつけて参入した結果、
大きな利益を上げたというものではなく、赤字事業を
どんどんリストラして、スリムになった結果だと言えるでしょう。

ゆえに、これから先、さらに売上を伸ばしながら
好業績を維持できるのか?と問われると、
なかなか難しいかも知れません。
キーとなる事業が必要です。

欧州でも受注するなど、日立は鉄道にも力を入れていますが、
毎年安定的に売上が上がる事業ではないので、
キーとなる事業という意味では、
さらに別の事業が求められると思います。

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この記事は2月2日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております。
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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任天堂の岩田社長が「健康」をテーマにした
新しい事業を展開する方針を示しました。

3期連続赤字の任天堂にとって、新規事業の展開は
打開策として機能するでしょうか?

今回大前は、任天堂のこれまでの売り上げの中身を
観察していき、コンソール商品の寿命の短さを
課題として挙げました。

任天堂DSやWiiなどのヒット商品を出しても、後継機種を
すぐに投入してしまうため、コンソール商品の価値が上がらず、
それが結果として任天堂の成長を妨げる要因となっています。

コンソールを強化するべきか、中身のソフトを充実させるべきか、
常に成功のカギがどこにあるかを追求していかなければ、
ビジネスで勝ち抜くための打ち手が見えてきません。

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