2014年08月29日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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訪日外国人客・ラオックス・韓国・朴大統領報道問題〜市場や企業の動向を読む

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訪日外国人客: 7月の訪日外国人客数126万9700人
ラオックス羅社長: 中国旅行客増加に手応え
韓国・朴大統領報道問題: 産経ソウル支局長に2度目の聴取

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▼ 中国人観光客の増加、消費増税で、ラオックスの業績が好調
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日本政府観光局(JNTO)が20日発表した7月の訪日外国人客数は、
前年同期比27%増の126万9700人で単月として過去最多になりました。

中国からは前年同月の2倍の旅客が訪れたとのことです。

これに伴い手応えを感じているのが、ラオックスです。

ラオックスは12日、2014年12月期通期の連結営業損益が
7億8000万円の黒字(前期は16億円の赤字)になりそうだと
発表しました。

従来予想は2億7500万円の黒字でしたが、
中国や東南アジアなどから訪日する外国人観光客が増えており、
国内店舗が好調。

国内の新規出店の効果も出ており、
営業損益の予想を上方修正しています。

非常に面白いのは、消費税が上がったことが
好影響していることです。

ラオックスの場合、お客さんの約8割が海外旅行客なので、
彼らは消費税が免税されます。

つまり、常に「8%引き」状態になるのです。

ラオックスは2009年に中国・蘇寧電器の傘下に入りました。

ゆえに、中国でもラオックスは非常に有名で、
中国人観光客が日本でラオックスに行くのも
当然の流れになっています。

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▼ 中国も韓国も、ネット上では「まともな議論」が展開されつつある
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反日感情が強い中国でもインターネット上では、
日本の実情について「まともな議論」が展開されつつあります。

中国のネットを見ていると、なぜ日本が嫌いなのに旅行に行くのか?
という話題とともに、実際に日本に旅行した人が、中国政府の
プロパガンダとは異なる日本の実態について紹介しています。

総じて、ネットでの日本の評判は高くなっています。

例えば、ある中国人観光客が携帯電話をどこかに忘れたまま
タクシーで帰ったところ、後から別のタクシーが追いかけてきていて、
乗っていた2人の女性が落とした携帯電話を届けくれた、
という様なエピソードもありました。

日本人の親切さ、民度の高さ、街の清潔さ、サービス精神など、
ほとんど悪口を書いているところはありません。

実は、同じような現象が韓国でも起きています。

ソウル中央地検は20日、朴大統領の名誉を毀損した
として市民団体から告発された産経新聞の加藤達也支局長に
対する2度目の事情聴取を行ったと報じましたが、
これに対して韓国のネットユーザーから疑問が投げかけられています。

「なぜ朝鮮日報を調査しないのか?」

「そもそも問題になってる時間帯の大統領の所在を
 大統領府が発表すればいいだけではないか?」

多くの韓国ネットユーザーも、
半ば呆れて筋違いではないかと指摘しています。

これは非常に「まともな議論」だと思います。

中国にしても韓国にしても、政府のプロパガンダによる
情報に惑わされることなく、ネット上では「まともな議論」が
展開されつつあるのは、非常に良いことだと思います。

(※この記事は8月24日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しています)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は業績好調のラオックスの話題を中心に、大前がニュース解説を行いました。

記事の中で、ラオックスが2009年に蘇寧電器の傘下に入ったこと
について言及していましたが、当時のラオックスは業績が伸び悩んでおり、
現在のような勢いのある企業ではありませんでした。

しかし蘇寧電器は、訪日外国人客の増加を予想してラオックスを傘下に入れ
免税事業を強化し、更に増税の追い風も加わったことで見事に黒字決算を達成させました。

このように、あらかじめ市場や企業の動向を読むことで、
将来起こるリスクを軽減し、大きなチャンスを掴むことが可能となります。

■2014年08月22日(金)  朝日の犯罪
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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従軍慰安婦問題・日韓関係・欧州戦後問題〜問題解決の基本的態度を考える

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従軍慰安婦問題 自社報道の検証作業
日韓関係 ヘイトスピーチに規制必要
欧州戦後問題 敵対関係を超えて共有進む虐殺の記憶


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▼ 朝日新聞は自らの責任を認め、国家と国民に謝罪すべき
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朝日新聞が5日付けの朝刊で、「慰安婦問題」を検証する特集記事を掲載しました。

これは、韓国済州島で女性を強制連行したとする吉田清治氏の証言にもとづく記事について、
証言が虚偽だと判断し記事を取り消すとしたものです。

これを受けて自民党の石破幹事長は、
「真実が何かを明らかにしなければ、平和も友好も築けない。書いたものとして責任を果たして欲しい」と
朝日新聞関係者の国会招致を求める可能性に言及しました。

私も石破氏の見解に同意で、この問題は非常に大きいと感じています。

韓国は「日本が歴史を正しく認識していない」と指摘してきたわけですが、
その大きな要因を作ったのが、今回取り下げると発表された朝日新聞の一連の捏造記事です。

朝日新聞としては、国家・日本国民に迷惑をかけたという認識を持つべきだと思います。

自分たちの捏造記事のせいで、韓国の反日感情を産んだという責任を感じるべきです。

従軍慰安婦の問題という個別の視点ではなく、
「もし自分たちが記事を書いていなければ、日本と韓国の歴史はどうなっていたと思うのか?」
ということを追求し、「できれば新しい歴史を作り直したい」という前向きな謝罪をしてほしい、
と私は強く感じています。

日本のインテリ世論には、朝日新聞の影響が強いので、そのような事態には発展しないでしょうが、
今回の件は、朝日新聞の閉鎖に追い込まれてもおかしくない出来事だと思います。

かつて文藝春秋が発行していた雑誌「マルコポーロ」がユダヤ系の記事掲載の問題で、
米国のユダヤ人団体やイスラエル大使館から激しい抗議を受けて、廃刊に追い込まれたことがあります。

その事件と比べても、全く遜色はありません。

また、朝日新聞はこの事件をカモフラージュするためとしか感じられないような
「戦後70年へ」と題する特集記事の連載を開始しましたが、これも非常に残念です。

11日の記事では「敵対関係を超えて 共有進む虐殺の記憶」と題し、
ドイツとフランスが様々な共同行事を通じて、歴史を振り返りながら戦争の記憶の共有を進めていると紹介しました。

両国が戦争のたびに奪い合ってきた係争地に合同のテレビ局を設立し、
共通の視点から捉えた歴史番組を制作する試みが成功していることなどを取り上げ、
負の歴史を共有する周辺国との関係改善においては、相互理解の地道な積み重ねに解決の糸口があるとしています。

内容は正しいものですし、納得もできますが、「朝日新聞に言われたくない」というのが感情でしょう。

この記事の内容そのものは非常に重要な事が書かれていますし、
参考になる部分も多いので、朝日新聞以外が取り上げてほしいところです。

朝日新聞に今求められているのは、客観的な検証記事でも欧州の事例記事でもなく、新聞社として謝罪することです。

まず責任を取ることからはじめるべきでしょう。

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▼ ヘイトスピーチを取り締まりたいなら、東京都知事として取り組めばいい
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安倍首相は7日、舛添要一東京都知事と総理官邸で会談し、
人種や民族などの差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)について、
何らかの規制が必要との認識を示しました。

舛添東京都知事は、「オリンピックの返上」などの発言でネット上で「炎上」しているようですが、
確かにヘイトスピーチそのものは私も残念に感じています。

今回、舛添東京都知事が、安倍首相に規制を依頼したとのことですが、どこか根本的におかしいと思います。

石原元東京都知事や安倍首相は、いわゆるネトウヨ(ネット右翼)を煽る存在と言う声もあります。

安倍首相など、彼らを前にして「自分は同志だ」とスピーチしたほどです。
どこまで、本気で規制に乗り出すのか私には疑問です。

ただ、そもそもを言えば、舛添東京都知事が「日本と韓国の仲を取り持とう」という
動きをしていることが、余計なお世話だと思います。

わざわざ韓国まで出かけていますが、それは東京都知事の仕事ではありません。

元東京都知事の石原氏にしても、大阪市長の橋下氏にしても、全く同様です。

なぜ、余計なことをして事を荒立てたりするのか、私は理解に苦しみます。

東京都も大阪市も、基本的に関係ない話です。

舛添東京都知事がヘイトスピーチを取り締まりたいのなら、東京都知事として取り組めば良いのです。

本来の自分の責務ではないことに、余計な口出しをしたり煽ったりするのは、いい加減やめて欲しいと思います。


(※この記事は8月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しています)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は波紋を呼んでいる朝日新聞の話題を中心に取り上げました。

歴史問題という慎重にならざるを得ない話題にも関わらず、
なぜ客観的検証がないまま記事を投稿してしまったのでしょうか?

政治のみならず、ビジネスの現場でも同じことが言えます。

例えば、利害関係者の多い複雑な事象に対して言及するときや、
キーパーソン説得のためにプレゼンテーションをするとき。

このような大事な局面においては、ファクトとロジックを用いて
正しいコミュニケーションを取る技術が求められます。

これは問題解決のための基本的な考え方です。

2014年08月15日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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空き家問題・国内経済〜心理経済学の観点から消費増税を考える

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空き家問題: 国内空き家率13.5%
国内経済: 増税後の谷、予想以上

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▼ 空き家問題は、各自治体が積極的に問題解決に乗り出すべき
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総務省が29日、発表したところによると、
国内の住宅総数に占める空き家の割合が2013年10月時点で
過去最高の13.5%になりました。

人口減少が深刻な地方を中心に増え、
戸数も最多の820万戸に上っています。

中古住宅の活用が進まないうえ、空き家を取り壊すと
税負担が重くなる制度も空き家が増える原因と見られています。

また65歳以上の高齢者がいる世帯が2013年10月時点で
2086万世帯となり、全体の40%に達したとのことです。

おそらく、今後このような世帯も空き家化していく
ことになるでしょう。

空き家率は1本調子で上昇しており、820万戸というのは
大きな数字です。

空き家がさらに拡大して、「空き村」「空き町」
になっている地域もあります。

空き家は固定資産税も支払っていないでしょうから、
市町村にとっても意味が無い存在だと言えます。

自治体がポリシーを決めて、積極的に問題解決に
取り組むことが重要になってくると思います。

都道府県別の空き家率を見ると、
トップが17.2%の山梨県で、愛媛県、高知県と続いています。

田舎は厳しいのでは?と感じるかも知れませんが、
決してそうではありません。

例えば、沖縄県、宮城県、山形県などは
空き家率は10%程度で高くありません。

空き家をどうするか?というのは、その活用を考えれば
商売・ビジネスにもつながるはずですから、民間の解決策も考慮に入れつつ、
各自治体が積極的に問題解決に乗り出す必要があると私は感じています。

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▼ 消費税率を10%にするかどうか。ポイントは心理予測。
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日経新聞は、先月31日『増税後の「谷」予想以上』
と題する記事を掲載しました。

経済産業省が発表した6月の鉱工業生産指数速報値は前月比3.3%
低下したことを受け、民間のエコノミストがまとめた推計で、
実質国内総生産(GDP)は4〜6月に年率7.1%減となりました。

1997年の消費増税時よりも大きく減った形で、
冷え込んだ個人消費がどう立ち直るかが、
景気の先行きを左右すると指摘しています。

増税前の政府の自信に満ちた演説によれば、
「増税後の谷は乗り越えられる」という話でしたが、実質GDPは
7%も低下し、年間で見ても、2%成長は絶望的な状況です。

おそらく1.2%程度で推移するでしょう。

このような事態になると、結局、アベノミクスという
経済政策は何だったのか?という根本を問われることになるでしょう。

消費活動の内訳を見ると、一部だけ活況で大部分は
倹約型になっています。

これは、消費税8%という数字に対する「心理的な抵抗の大きさ」
を乗り越えられていないからです。

買い物をするとき、自分の予算に8%の消費税が加わると、
予算を上回るように感じてしまうのだと思います。

オーストリアなどを旅行すると、消費税率25%で支払うわけですが、
旅行者としての立場と生活者としての立場では意味合いが違います。

生活をしながらの8%は大きい数字であり、
来年10%にするかどうかは議論すべきでしょう。

経済予測というよりも、
10%になったときの消費者の心理予測が重要です。

今は高齢者の人たちが頑張ってお金を使っていますが、
一般の人達の心理は冷え込んでいます。

このような現状を見ると、消費税率を10%にするのならば、
生活必需品には軽減税率を導入することも
検討する必要があると思います。

私は長年にわたり心理経済学を提唱していますが、
消費税の問題はまさに「消費者の心理」をどう読み解くかが
ポイントになるでしょう。

(※この記事は8月3日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しています)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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日経新聞の記事によると、消費税を8%引き上げたことにより
個人消費が冷え込み、前回増税時よりもGDPが大きく減少しているようです。

この話題について大前は、以前から心理経済学の重要性を挙げており、
21世紀の経済の新しい原理として提起してきました。

かつて政府が行ってきたバラマキや金利の調整なども、
国民の消費マインドが凍てついている中では効果が出ません。

経済を考える上で、財政投入や金利を重視した経済政策とは決別し、
消費者の「心理」を動かすことに重きを置く心理経済学の観点から
考えていくことが大切です。

2014年08月08日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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H2Oリテイリング・ユニクロ・ベネッセHD・白元・シーガイア〜顧客目線で企業を分析する

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H2Oリテイリング: ニッパチが消えたH2O
ユニクロ: ウルトラライトダウン発売
ベネッセHD: 連結最終赤字136億円
白元: 再建支援先をアース製薬に決定
シーガイア: オーシャンドームを取り壊し

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▼ 小売業界の革命H2O/ウルトラライトダウンはコンセプトが普通の服とは違う
-------------------------------------------------------------

日経新聞は、先月28日、『「ニッパチ」が消えたH2O』と
題する記事を掲載しました。

エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが運営する
阪急うめだ本店は、通常消費が盛り上がらない真冬の2月と
真夏の8月も変わらない売上高で推移し、
利益目標に達しているとのこと。

リピーターを増やすための品揃えやイベントなど、
同店の取り組みを紹介しながら、規模を追うより顧客満足度を高め、
安定的に稼げる仕組みを作ることが成熟時代の成長の条件であると
分析しています。

これは小売業界では画期的な事態です。あべのハルカスなど
大改装したにも関わらず、その効果が薄く、とんでもない
状況になっていますが、阪急うめだはオープン以来、
好調を維持し続けています。

ロケーションの良さもあるでしょうが、それだけで
片付けてはいけないでしょう。

イベント性を高めてフロアごとに様々な提案をする仕掛けを
作っていること、阪急沿線には高齢者が多いことから
外商に力を入れたこと、ネット通販も積極的に活用したこと、
これらの工夫の成果だと私は感じています。

小売業界においては、この阪急うめだの成功事例は
大きな研究テーマとして見るべきだと思います。

ユニクロは先月28日、「軽い」「薄い」「暖かい」を
コンセプトにした軽量ダウン「ウルトラライトダウン」
の販売を開始。

小さくまとめて折り畳める「コンパクトダウン」やベスト、
ジャケット、パーカーを取り揃えたもので、シーンや季節を
超えた新しい使い方を提案するということです。

この商品がヒットする可能性は非常に高いのではないかと
私は思っています。

私は世界中を飛び回って、かなり旅行している人間ですが、
それでも「温度・気温」を読み違えることはよくあります。

そんなとき、この折りたたみ式のダウンを持っていれば、
非常に助かるでしょう。

先日も北海道で予期せずコートを購入することに
なってしまったのですが、このウルトラダウンがあれば
避けられた事態です。

ファッションとして購入するというよりも、旅行するなら
「いざという時のために」「1人1つ」は持っておいたほうがいい、
という購買動機になるでしょう。

小さく折りたたんでアタッシュケースに入れておけば、
全く邪魔になりません。

このコンセプトが非常に面白いし、実際に旅行を
たくさんしてきた経験からも、
大いに需要が見込めると感じています。

-------------------------------------------------------------
▼ ベネッセ全体への影響を免れない/アース製薬&白元、シーガイヤそれぞれの課題
-------------------------------------------------------------

ベネッセホールディングスが先月31日発表した
2014年4〜6月期の連結決算は、
136億円の最終赤字になりました。

4〜6月期として初の最終赤字です。

通信講座などの顧客情報の漏洩で、おわびにかかる費用など
260億円の特別損失を計上したとのことです。

問題が業績に与える影響を見積もれないとして、
15年3月期の業績予想を取り下げたそうですが、
実際今回のことが影響して、どれほど進研ゼミへの入会者数が
減るのか予想するのは難しいでしょう。

ベネッセは英会話教室のベルリッツを買収するなど、
多角化も進めていますが、やはり未だに国内教育の占める割合は
大きいので、今回の事件がベネッセ全体に及ぼす影響は
無視できないと思います。

また、民事再生手続き中の日用品メーカー、白元は先月31日、
再建に向けた支援を受けるスポンサーに殺虫剤大手の
アース製薬を選んだと発表しました。

「従業員の雇用やブランド維持の観点から、
アース製薬がスポンサーとして適任と判断した」とのことで、
アースは8月8日に受け皿会社、白元アースを設立し、
9月1日に白元の全事業を75億円で引き継ぐ予定とのことです。

アース製薬が引き受けた事自体、私は悪いことではないと思っています。

しかし、懸念している点もあります。
それはアース製薬と白元の事業が一部重なっていることです。

そのことが相乗効果につながればよいですが、
逆効果になるリスクもあり得ます。

この先、白元部隊とアース部隊の領域を整理し、一緒にやるべき分野、
シナジーを発揮できる分野、別々にやる分野などを
明確にしていく必要があります。

これが非常に大変な作業になるでしょう。

またアース製薬はすでに180億円で買収したバスクリン事業についても、
これから力を入れていかねばならない状況です。

やや取り組むべきテーマが多すぎて、
1つ1つに集中しきれないのではないかと懸念しています。

大型リゾート施設「シーガイア」を運営するフェニックスリゾートは1日、
閉鎖中の世界最大級の屋内プール「オーシャンドーム」を取り壊すと
発表しました。

オーシャンドームは1993年に開業したシーガイアの目玉施設として
420億円をかけて建設、利用者の減少で2007年に閉館していました。

あまりに巨大な施設で、壊すにも費用がかかるので壊すに壊せない
状態でしたが、ついに老朽化で改装費用が多額になるため
取り壊しが決まりました。

壊した後は、残る8万平方メートルの土地の有効活用を
考えなくてはいけません。

何とも巨大すぎて、手に余ります。

シーガイアには、もう1つ巨大なカンファレンスホールがあって、
これも巨大さゆえに有効活用しきれずに困っています。

シーガイアといえば、80年代銀行から多額の融資を受けて、
ハワイを彷彿とさせる豪華な施設を作りましたが、
航空運賃が下がり「本物のハワイ」に行く方が
安くなってしまいました。

「本物よりも高額な偽物」では、まさに本末転倒でした。

そんな施設をようやく取り壊しとなったわけですが、
すでにゴルフ場もありますし、残った土地の有効活用は
一筋縄ではいかないでしょう。

取り壊し後も、まだまだ課題は山積み状態だと
言わざるを得ないでしょう。

(※この記事は8月3日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回の大前の解説では、阪急うめだ本店の成功事例やユニクロの
新商品を取り上げて、それぞれの強みについて解説していきました。

サービスや製品の特徴やコンセプトを分析することで、
その企業の強みが見えてくることがあります。

企業を分析する際、損益計算書や貸借対照表をはじめ、数値的なデータを
見ていく必要がありますが、価値ある情報はそれだけではありません。

実際に店舗に足を運び、製品を手に取ったりサービスを受けてみたりすることを通じ、
顧客目線でその企業を分析することができます。

2014年08月08日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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H2Oリテイリング・ユニクロ・ベネッセHD・白元・シーガイア〜顧客目線で企業を分析する

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H2Oリテイリング: ニッパチが消えたH2O
ユニクロ: ウルトラライトダウン発売
ベネッセHD: 連結最終赤字136億円
白元: 再建支援先をアース製薬に決定
シーガイア: オーシャンドームを取り壊し

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▼ 小売業界の革命H2O/ウルトラライトダウンはコンセプトが普通の服とは違う
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日経新聞は、先月28日、『「ニッパチ」が消えたH2O』と
題する記事を掲載しました。

エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが運営する
阪急うめだ本店は、通常消費が盛り上がらない真冬の2月と
真夏の8月も変わらない売上高で推移し、
利益目標に達しているとのこと。

リピーターを増やすための品揃えやイベントなど、
同店の取り組みを紹介しながら、規模を追うより顧客満足度を高め、
安定的に稼げる仕組みを作ることが成熟時代の成長の条件であると
分析しています。

これは小売業界では画期的な事態です。あべのハルカスなど
大改装したにも関わらず、その効果が薄く、とんでもない
状況になっていますが、阪急うめだはオープン以来、
好調を維持し続けています。

ロケーションの良さもあるでしょうが、それだけで
片付けてはいけないでしょう。

イベント性を高めてフロアごとに様々な提案をする仕掛けを
作っていること、阪急沿線には高齢者が多いことから
外商に力を入れたこと、ネット通販も積極的に活用したこと、
これらの工夫の成果だと私は感じています。

小売業界においては、この阪急うめだの成功事例は
大きな研究テーマとして見るべきだと思います。

ユニクロは先月28日、「軽い」「薄い」「暖かい」を
コンセプトにした軽量ダウン「ウルトラライトダウン」
の販売を開始。

小さくまとめて折り畳める「コンパクトダウン」やベスト、
ジャケット、パーカーを取り揃えたもので、シーンや季節を
超えた新しい使い方を提案するということです。

この商品がヒットする可能性は非常に高いのではないかと
私は思っています。

私は世界中を飛び回って、かなり旅行している人間ですが、
それでも「温度・気温」を読み違えることはよくあります。

そんなとき、この折りたたみ式のダウンを持っていれば、
非常に助かるでしょう。

先日も北海道で予期せずコートを購入することに
なってしまったのですが、このウルトラダウンがあれば
避けられた事態です。

ファッションとして購入するというよりも、旅行するなら
「いざという時のために」「1人1つ」は持っておいたほうがいい、
という購買動機になるでしょう。

小さく折りたたんでアタッシュケースに入れておけば、
全く邪魔になりません。

このコンセプトが非常に面白いし、実際に旅行を
たくさんしてきた経験からも、
大いに需要が見込めると感じています。

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▼ ベネッセ全体への影響を免れない/アース製薬&白元、シーガイヤそれぞれの課題
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ベネッセホールディングスが先月31日発表した
2014年4〜6月期の連結決算は、
136億円の最終赤字になりました。

4〜6月期として初の最終赤字です。

通信講座などの顧客情報の漏洩で、おわびにかかる費用など
260億円の特別損失を計上したとのことです。

問題が業績に与える影響を見積もれないとして、
15年3月期の業績予想を取り下げたそうですが、
実際今回のことが影響して、どれほど進研ゼミへの入会者数が
減るのか予想するのは難しいでしょう。

ベネッセは英会話教室のベルリッツを買収するなど、
多角化も進めていますが、やはり未だに国内教育の占める割合は
大きいので、今回の事件がベネッセ全体に及ぼす影響は
無視できないと思います。

また、民事再生手続き中の日用品メーカー、白元は先月31日、
再建に向けた支援を受けるスポンサーに殺虫剤大手の
アース製薬を選んだと発表しました。

「従業員の雇用やブランド維持の観点から、
アース製薬がスポンサーとして適任と判断した」とのことで、
アースは8月8日に受け皿会社、白元アースを設立し、
9月1日に白元の全事業を75億円で引き継ぐ予定とのことです。

アース製薬が引き受けた事自体、私は悪いことではないと思っています。

しかし、懸念している点もあります。
それはアース製薬と白元の事業が一部重なっていることです。

そのことが相乗効果につながればよいですが、
逆効果になるリスクもあり得ます。

この先、白元部隊とアース部隊の領域を整理し、一緒にやるべき分野、
シナジーを発揮できる分野、別々にやる分野などを
明確にしていく必要があります。

これが非常に大変な作業になるでしょう。

またアース製薬はすでに180億円で買収したバスクリン事業についても、
これから力を入れていかねばならない状況です。

やや取り組むべきテーマが多すぎて、
1つ1つに集中しきれないのではないかと懸念しています。

大型リゾート施設「シーガイア」を運営するフェニックスリゾートは1日、
閉鎖中の世界最大級の屋内プール「オーシャンドーム」を取り壊すと
発表しました。

オーシャンドームは1993年に開業したシーガイアの目玉施設として
420億円をかけて建設、利用者の減少で2007年に閉館していました。

あまりに巨大な施設で、壊すにも費用がかかるので壊すに壊せない
状態でしたが、ついに老朽化で改装費用が多額になるため
取り壊しが決まりました。

壊した後は、残る8万平方メートルの土地の有効活用を
考えなくてはいけません。

何とも巨大すぎて、手に余ります。

シーガイアには、もう1つ巨大なカンファレンスホールがあって、
これも巨大さゆえに有効活用しきれずに困っています。

シーガイアといえば、80年代銀行から多額の融資を受けて、
ハワイを彷彿とさせる豪華な施設を作りましたが、
航空運賃が下がり「本物のハワイ」に行く方が
安くなってしまいました。

「本物よりも高額な偽物」では、まさに本末転倒でした。

そんな施設をようやく取り壊しとなったわけですが、
すでにゴルフ場もありますし、残った土地の有効活用は
一筋縄ではいかないでしょう。

取り壊し後も、まだまだ課題は山積み状態だと
言わざるを得ないでしょう。

(※この記事は8月3日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回の大前の解説では、阪急うめだ本店の成功事例やユニクロの
新商品を取り上げて、それぞれの強みについて解説していきました。

サービスや製品の特徴やコンセプトを分析することで、
その企業の強みが見えてくることがあります。

企業を分析する際、損益計算書や貸借対照表をはじめ、数値的なデータを
見ていく必要がありますが、価値ある情報はそれだけではありません。

実際に店舗に足を運び、製品を手に取ったりサービスを受けてみたりすることを通じ、
顧客目線でその企業を分析することができます。

2014年08月01日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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国内経済・人手不足問題・外国人労働者・起業支援・最低賃金〜外国人労働者の受け入れを考える

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国内経済: 2014年度GDP成長率
人手不足問題: パート・アルバイト「不足」が7割
外国人労働者: 日本人並み給与を義務付け方針
起業支援: 起業準備中も失業手当支払いへ
最低賃金: 時給664円、働けど

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▼ 時給2000円でもアルバイトが集まらない地域もある
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政府は22日、経済財政諮問会議を開き、
2014年度の実質国内総生産(GDP)成長率が1.2%になるとの
見通しをまとめました。

先週0.1ポイントに続いて、
また今週0.1ポイント下落となっています。

輸出の伸び悩みと言われていますが、
実際にGDP成長率の内訳を見ると、輸出の伸び悩みよりも、
「民間最終消費支出」が伸びていないとわかります。

政府としては、この事実を言いたくないがために、
「輸出」を言い訳にしているのでしょう。

今の日本経済の実態について、朝日新聞は24日
「時給664円、働けど」という記事を掲載しました。

安倍政権が成長戦略の中で2年連続で最低賃金の引き上げを
明記した一方、地方の経営者の多くは昨年のような
賃金引き上げは厳しいと指摘しています。

少々この指摘は的外れと言わざるを得ません。

実際には時給664円では人は集まらないでしょうし、
そもそも私に言わせれば、国が時給を決めているのが
おかしいと思います。

どのくらいの時給が適正なのかは
地域によっても異なりますし、市場原理に任せるべきです。

例えば、私の友人に聞いたところでは、軽井沢では
時給2000円でアルバイトを募集しても
満足に集まってくれず困っているそうです。

無限に時給を高くするわけにはいかないでしょうから、
オペレーションに問題が出てくる可能性が高いでしょう。

特に小売りや外食の店舗運営に欠かせないパート・アルバイトの不足については、
日本経済新聞社が主要企業に調査したところでは、回答企業の約7割が
不足していると回答したということですから、他の地域でも
同様の問題が起こっているかも知れません。

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▼ 外国人労働者を「テンポラリー」な存在と考えてはいけない
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政府は来年度から受け入れを拡大する建設業の外国人労働者について、
同じ技能を持つ日本人と同等以上の給与を支払うよう
受け入れ企業に義務付ける方針を固めたとのこと。

これは日本人の労働者のポジションを確保する意味でも、
良いことだと思います。

ただし、外国人労働者について「テンポラリー」な存在として
捉えている今の姿勢は改めるべきだと思います。

現在、外国人技能実習制度が補完され、最長で6年の滞在が
認められるようになっています。

6年滞在して問題のない人なら60年滞在しても
何ら問題にはならないはずだと私は思います。

また、技能実習制度で来日した経験がある研修生が
再来日する場合、帰国後1年未満なら2年、1年以上では3年の滞在を、
それぞれ特定活動として認めるとなっていますが、
全く理屈に合っておらず、私には理解できません。

その人が日本にとって必要であり、有能な人材ならば、
条件を満たす限りグリーンカードを発行して
就業できるようにすべきです。

今、特に建築の解体工事などで人材が不足しているようですが、
日本人がいないなら外国人が何年でも働けるようにすれば良いのです。

外国人労働者に対する意識が低い一方で、
政府は起業を志す人には気の利いた施策を打ち出しました。

現状、起業準備段階の人は「自営業者」とみなして失業手当を
支払う対象としないことが多いのですが、
今後は原則として払うように運用を改めると発表しました。

最長1年間で、前職の賃金の5〜8割の失業手当を給付するそうですが、
起業支援という意味では良いことだと思います。

ここまで気が利くのなら、外国人労働者に対する
グリーンカードについても思いを巡らせて欲しいところです。

(※この記事は7月27日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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大前は著書『クオリティ国家という戦略』の中で、
日本もスイスのように、小規模でも一人当たりのGDPが高く
世界の繁栄をうまく取り込んでいく国家モデルになるべきと提唱しています。

これは国土も資源も小規模で、加えて人口減少が進んでいる問題を
抱えている日本にとって一つのあるべき形かもしれません。

日本は外国人労働者の規制が厳しく、
世界の繁栄をうまく呼び込めていないのが実情です。

少子化が深刻化している現在、労働人口を海外から受け入れることも考えなければ、
日本は世界の競争から遅れをとってしまいます。

規制によってグローバル競争から自分たちを守るという発想から抜け出し、
世界と戦っていくために必要なものを考えることが重要となります。

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