2014年09月26日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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イスラム国・スコットランド情勢〜意思決定の方法を考える

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イスラム国 :シリアにも空爆拡大へ
スコットランド情勢 :スコットランドで英残留訴え

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▼ 湾岸戦争やイラク戦争と同じように、イスラム国に対処できない
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オバマ米大統領は10日、ホワイトハウスで国民向けに演説し、
「イスラム国は野蛮な行為で米国人記者2人の命を奪った」と非難し
「イラク政府と協力し、米要員保護と人道支援以外にも空爆を広げイスラム国を攻撃する」と訴えました。

また米国のシリア領での軍事行動の拡大は、イスラム国との全面対決を示すとされており、
オバマ外交は大きな転換点を迎えていると報じられています。

しかし、私には米国の態度は「当てにならない」と感じられます。

例えばパレスチナ問題において、以前はハタファに対して登場したハマスを
「敵」とみなす立場を表明していたにも関わらず、最近ではハマスと対立する
イスラエルとの間を仲介し、両者に話し合いを求めるようになりました。

今はイスラム国を「敵」とみなしていますが、今後はどうなるかわかりません。

そもそもイランから共闘をもちかけられてイスラム国に対峙しているのも、
欧米にとっては悪の枢軸は「イラン、イラク、北朝鮮」だったわけですからおかしな話です。

また湾岸戦争やイラク戦争の時と、今回のイスラム国では大きく条件が違う部分があります。

それは戦闘員の多くが「外国人」であることです。

イスラム国には約3万人の戦闘員がいますが、そのうち1万人は「外国人」だと言われています。
内訳を見ると、チュニジアが最も多く、英国からも500人の戦闘員が参加しています。

イスラム国へ攻撃をした場合、その1万人の戦闘員が母国に戻り、テロリスト活動に走るリスクがあるのです。

中東の地域で戦争をする分には構わないでしょうが、
国内のテロリスト活動を刺激するとなると慎重にならざるを得ないところです。

米国が呼びかけている「有志連合」に対する中東主要国の動きを見ても、
基地の供給や訓練の容認をするものの、もう一つ歯切れの悪い態度を示しています。

イスラム国の実態がわかりにくいという点も問題です。

カリフ制イスラム国家の樹立を宣言していますが、国境は定まっていませんし、
イスラム過激派集団であることに変わりはないでしょう。

アサド政権は米国に共闘をもちかけていますが、これまでアサド政権を避難してきた
米国オバマ大統領としては、簡単に受け入れるわけにもいかないでしょう。

対立の構図も非常にわかりにくい状況になっています。


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▼ 地域国家は、国として独立する必要はない
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英北部スコットランドの独立の賛否を問う18日の住民投票を控え、
キャメロン首相ら英主要政党の党首らは10日、急きょスコットランドに入り
英国への残留を訴えました。

英政府は税などの権限を一部移譲する懐柔策で、独立を回避を狙いました。

一時、世論調査では独立賛成派が急速に支持を伸ばし賛否が拮抗していましたが、
最終的に住民投票は否決されました。

ただ、賛成派と反対派が最後まで伯仲した今回の投票劇は、
英国だけでなく、欧州連合EUや世界に波紋を広げました。

スペイン北東部のカタルーニャ自治州でも11日、
独立を問う住民投票を求める50万人以上の大規模なデモが発生しています。

影響は欧州にとどまらず、カナダや中国にも及びつつあります。

私は地域国家論を提唱しているので、
何度もこのような地域の人から講演を依頼されたことがあります。

しかし私が提唱しているのは、必ずしも「国からの独立」を意味しているものではありません。

世界全体の中で、自らの地域を1つの国家のごとく、地域国家として定義し、
ボーダーレス経済の中で繁栄するべきだと述べたのです。

私がアドバイスした中国の大連などが良い事例です。

日本語や朝鮮語の能力を生かした間接業務のアウトソーシングの基地としての地域国家を作り上げ、
結果として世界中から資本と企業が集まるようになりました。

ですから今回のスコットランドの独立というのは、
私が提唱する地域国家論とは趣旨が異なります。

最終的に独立は否決されましたが、もし独立するとなっていたら、
英国としては大変な事態だったと思います。

スコットランドが独立すれば、北アイルランドも同じように独立を求めたでしょう。
独立してアイルランドと一緒になる可能性も高いと思います。

その意味でも、今回のスコットランドの独立を踏み留めることができたのは大きいと言えるでしょう。

また英国以外でも、中国は内モンゴル自治区、スペインはカタルーニャ州、カナダはケベック州など、
世界には同じような動きに発展する地域がいくつかあります。

それらの地域にとっては他人ごとではないと思います。

今後、こうした地域でどのような動きが出てくるのかは注意して見ておくべきでしょう。

※この記事は9月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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記事中、イスラム国への攻撃が外国でのテロリスト活動に
つながる恐れがあると大前は指摘しました。

このリスクを考えると攻撃は慎重にならざるを得ません。

そこで「イスラム国を攻撃すべきか?」という
大きなイシューを分解する必要性が出てきます。

このように、意思決定をする際は、
イシューを分解し実行条件を分析するための技術が求められます。

2014年09月19日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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吉田調書・朝日新聞〜ファクトのない日本のマスコミを考える

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政府が吉田調書を公表
海水注入「絶対やめるな」
朝日記事は誤り、取り消し

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▼ 朝日新聞の転落の物語が始まった
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政府は11日、東京電力福島第1原子力発電所事故時の状況に関し、
政府の事故調査・検証委員会が吉田昌郎元所長から聞いた「吉田調書」を公表しました。

原子炉を冷やす海水注入に首相官邸内で慎重論があったにもかかわらず
「絶対に中止してはだめだ」と部下に命じ注水を続けたと証言したことが明らかになりました。

調書の公表を受け、朝日新聞社の木村伊量社長は、同日、
「所員が吉田氏の命令に違反し撤退した」などと報じた記事は誤りで取り消すと発表しています。

まるで朝日新聞の転落の物語を読んでいるようです。

このようなお粗末な事例は、今回の件だけではありません。
14日にも朝日新聞社は、任天堂と読者に謝罪しています。

それは、2年前に経済面に掲載した記事で、任天堂の岩田聡社長が公式サイトの動画で発言した内容を
インタビューしたかのように掲載していたというのが理由とのことです。

こんなことがあり得るのか?と感じるかも知れませんが、
私は何度も新聞社の取材を受けたことがあり、日常茶飯事だと知っています。

かつて私のところへ取材に来た、ある新聞記者は「締め切りまで時間がなくて急いでいる…」
などと前置きしつつ、インタビューはわずか10分ほどで終わらせ、
あとは私の著作を参考に追加的な内容を記事にしても良いか?と許諾を求めてきました。

要するに、私に取材・インタビューをする前から記事は出来上がっているのだと思います。

まともに取材・インタビューをしようとする姿勢を感じません。

記者が想定している内容と実際にその時私が伝えようとする内容は違うのだ、
などと話し始めると非常に面倒な事態になります。

ですから、私はある時期からテレビ番組にも出演しないと決めましたし、
基本的に新聞社の取材も受けていません。

従軍慰安婦、吉田調書の一連の朝日新聞の誤報について、
大きな問題だと感じることの1つは、朝日新聞の左翼的な勢力のせいで
日本の外交問題に発展していることです。

これら2つの記事は、左翼的な思想の元、日本という国を実態とは異なる姿で伝えています。

そして中国、韓国では、これらの記事を読んで日本という国を理解し、語ろうとするわけです。
影響力は大きく、かつ重要な問題だと思います。



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▼ 日本のマスコミには、真実を伝えようという気持ちがない
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また、これは朝日新聞社だけではなく、どこの新聞社にも共通することですが、
日本の新聞社は「大本営発表をそのまま伝えるだけ」という戦争時の姿勢と
本質は全く変わっていないというのが、大きな問題だと私は感じています。

例えば、私は震災直後の3月19日の時点で、
「福島第一原発はメルトダウンどころかメルトスルーしている」と指摘していましたが、
当時は東電も事実を認めていませんでしたし、当然どのマスコミもそのような報道はしていませんでした。

その後、ようやく12月になって東電が事実を認めました。
私はこの時、いくつかの新聞社に「東電も認めたのだから、事実を書け」と指摘しました。

しかし、いずれの新聞社も「今さら、そんなことは書けない」と言うのです。

要するに、毎日のように政府の発表をそのまま報道し解説までしていたのに、
まともな取材や事実確認をしなかったことを認めて、すべてひっくり返すことはできない、ということでしょう。

これでは、大本営発表をそのまま報道しておいて、
「いまさらミッドウェー海戦以降は勝っていませんでした」とは言えなかった、という戦時中と全く同じです。

さらに言えば、こうした体質は新聞社だけでなく、他のマスコミも同様です。

NHKにしても、従軍慰安婦の報道、福島第一原発の報道、
いずれに対しても朝日新聞と同じような論調でずっと報道しており、
その後、報道内容を大幅に修正して発表などをしていません。

何十年後になれば、NHKスペシャルのような番組で発表するかもしれませんが、
現時点で言えばほとんど何もしていないというレベルだと思います。

このようなマスコミの体質を見ていて、私はもはや何も期待していません。

彼らには「真実を伝えよう」という気持ちがないのですから、話になりません。
もし、実態はどうなっているのか?という気持ちがあるなら、絶対に調査から始めるはずです。
自分の足で調べるはずです。

投げ込みの記事を書いたり、記者会見で聞いたりしたことをそのまま記事にするだけ。

そんな記者があふれている現状には期待するほうが無理なことです。
原子炉の問題など、自分の足で調べれば、すぐに真実は分かったはずです。

マスコミの責任と役割などと言われますが、いかにエリートが集まっていても、
今の日本のマスコミの姿勢では、「責任」や「役割」を論じる以前の問題だと私は思っています。

※この記事は9月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しております


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は報道の信ぴょう性に関する解説をお届けしました。

その都合の良さのあまり、マスコミは現場を取材して報道するという
スタンス自体が問われています。

では、ビジネスの現場ではどうでしょうか?
事実に基づかない恣意的な論理展開では、正しい意思決定を行えません。

大前が記事中で指摘しているように「実態はどうなっているのか?」という
ファクトベースの姿勢を持つことが大前提となります。

根拠となるファクトが抜けている、もしくはファクトを見誤っていては、
成果を出すことはできないのです。

2014年09月13日(土) 
(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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地方創生・安倍首相〜人口減少の過程で何があったのか?

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地方創世 :まち・ひと・しごと創世本部が本格始動
安倍首相 :最大の課題は豊かで明るい地方をつくること

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▼ 国家が主導して再生した田舎はない
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安倍政権が重要課題に掲げる地方創生の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」が5日、
本格始動したとのことです。

全閣僚が参加する初会合を12日にも開き、今月半ばから首相と関係閣僚を加えた
有識者会議で具体策の検討に入るそうですが、これは「最悪の戦略」だと私は思います。

まず世界を見渡してみても「国が主導して」田舎を再生できた例はほとんどありません。

私が知るかぎりで言えば、フランスのラングドッグが唯一の成功事例です。

私はUCLAで地域国家論の授業を担当したこともありますが、都市に人口が集中しすぎるという
「都市問題」は、世界中の全ての国に共通するテーマ・問題です。

ゆえに、世界中の国がどのようにすればよいか?を考えて対処しようと試みています。

しかし、国策として取り組んで田舎を再生できた国は、ほとんどありません。

では田舎は再生できないのか?というと、そんなことはありません。

田舎の再生というのは「国が主導」して成功するものではなく、「自然に」成功するものなのです。

米国のバーモント州やニューハンプシャー州などは、国が経済的に投資することもなく、
長い間「放って置かれた」状態でした。

放って置かれたゆえに、「昔ながらの風景」がそのままに残っていたのです。

何かのタイミングで、そういう自然を求めて人が集まるようになってくると
「自然に」再生することがあるのです。

世界の事例を見ても、田舎が再生する理由のほとんどは「何もしなかったから」です。

まず、この事実を知る必要があるでしょう。


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▼ 補助をするべきは、第2次産業。雇用創出しなければ意味がない
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先日、佐渡へ行く機会があり、そこでもこの都市問題に直面しました。

かつて12万人だった人口が半減し、6万人になってしまったというのです。

理由を聞くと明確で、かつては携帯電話の組み立て工場などがあり
若者が働く場所があったけれど、最近はそうした組み立て産業もなくなってしまったそうです。

働き口がなければ、若者は本土へ行かざるを得ません。

このままでは、佐渡に「発展の絵」を描くことは不可能でしょう。

このような状況に対して、地方創世と称して国が推し進めようとしているのは農業補助です。

日本は世界最大規模の農業補助を行っている国です。

しかし、農業補助をいくら充実させても、
佐渡の例に見たような「雇用」問題を解決することはできません。

ここに大きな問題があります。

農業ではなく、もし佐渡に製造業が戻ってくるなら雇用創出にもつながるでしょう。

例えば、製造業への補助金を出して中国と勝負できるくらい
価格競争力を持たせることができれば、大きな意味があるはずです。

すなわち、補助すべきは農業(第1次産業)ではなく、雇用創出につながる第2次産業なのです。

安部総理が農業補助を叫んでいるのは、選挙対策でしょう。

農民票を獲得するための政策だと私は見ています。

皮肉な言い方をすれば、地方に雇用創出をして地方創世をするためではなく、
「自民党の」雇用創出をするための施策だと言うことです。非常に情けない限りです。


※この記事は9月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しています。


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は地方創生に関する話題を中心に取り上げました。

記事中、大前は佐渡でのインタビューを事例に挙げ、
地方の人口減少の原因と、農業補助政策の誤りを指摘しています。

減少するプロセスで一体何があったのか?

いま起こっている問題の原因を把握するためには、
時間の流れで情報収集・整理をすることが有効です。

問題解決に向けた最初のステップは、
このように問題を発見するところからスタートします。

2014年09月05日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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ケンコーコム・大塚製薬・ネスレ・マクドナルド〜バリューチェーンで施策を考える

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ケンコーコム: 後藤玄利社長が退任意向
大塚製薬: ブラジル・ジャスミンを買収
ネスレ: コーヒーマシンを無償設置
マクドナルド: マクドナルド負の連鎖

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▼ 特許切れ問題を買収なくして乗り切る大塚製薬
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ケンコーコムは27日、後藤玄利社長が
辞任の意向を表明したと発表しました。

同社は後藤氏退任について、
「楽天グループとのシナジーを最大化することにより企業価値を
向上させるのにふさわしい経営陣に移行するのが最善」と
理由を説明していますが、私は本当の理由ではないと感じています。

OTC医薬品(通称:大衆薬)のネット販売について、
矢面に立たされて国と戦わされることに疲れたのだろうと思います。

最近はOTC医薬品以外のものについても、
楽天グループとして取り組みを命じられているようですし、
ずいぶんと悪者にされています。

直接話を聞いたわけではないので、推測の域を出ませんが、
おそらく現状に耐えかねたのではないでしょうか。

私でも、都合の悪い国の相手ばかりやらされていては
嫌になると思います。

大塚製薬は28日、ブラジルの健康・機能性食品最大手、
ジャスミンをフランス子会社のニュートリション・エ・サンテを
通じて買収すると発表しました。

ジャスミンの全株を月内に取得し、費用は数十億円とみられています。

大塚グループが南米で食品事業を展開するのは初めてとのことです。

また先日発表された中期経営計画では、主力の抗精神病薬
「エビリファイ」が米国で15年4月に特許切れを迎えるものの、
新薬の販売拡大などで18年業績回復を目指すと発表しています。

エビリファイと言えば、大塚ホールディングスの売上の
約4割を占める主力商品です。

世界的な製薬会社の特許切れ問題への一般的な対処方法は、
他社の買収です。

例えば、武田薬品は、米ミレニアム・ファーマシューティカルズや
スイスのナイコメッドなど約2兆円の買収をしています。

マーケットも特許切れ問題の影響を危惧していましたが、
中期経営計画によれば買収などをせず、ほとんど
自社の商品だけで乗り越えられるという見通しとのことで、
非常に好印象を残しました。

その後、大塚ホールディングスの株価は上場来高値をつけています。

正直言って、少し出来すぎの感もあります。

ボンカレーやポカリスエットで有名ですが、メインは医療会社であり、
今期は日本で一番の収益を上げた製薬会社になりました。

特許切れ問題を自社製品だけで乗り越えていくというのは、
世界的に見ても珍しく、非常に特徴的です。

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▼ ネスレ、マクドナルド、LINEに見るそれぞれの課題
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ネスレ日本は独自開発のコーヒーマシンを活用して
コーヒー需要を開拓すると発表しました。

企業向けのマシン無償貸し出しで運輸業界や高齢者施設などへの
設置を始め、顧客数を2020年までに現在の3倍の50万件を目指します。

シェアは家庭向けが37%なのに対しオフィス向けを含む家庭外は
3%にとどまっています。

一杯だけコーヒーを作れる独自開発のコーヒーマシンを使い、
家庭外での需要を掘り起こす狙いとのこと。

日本人は相変わらず、インスタントコーヒーの割合が一番多く、
レギュラーコーヒーがそれに続いています。

この市場に対し、ネスレは「レギュラーソリュブル」という
新製法のコーヒーを展開しているわけですが、
これが非常にわかりづらいと私は思います。

「インスタントではない」という切り口で訴求しよう
というのはわかりますが、日本人に馴染みがない言葉なので、
この名前ではピンとくる人はいないでしょう。

お茶で「朝摘み」や、『綾鷹』のコピーのように「急須で入れたような」
などと聞けばイメージできますから、飲む気になりますし、
売れるのもわかります。

天下のネスレにしては、あまりにも初歩的なミスだと思います。

もっとネーミングに工夫をするべきでしょう。
この時点で戦略を間違っていると言わざるを得ません。

先月31日、日本経済新聞は「マクドナルト負の連鎖」と
題する記事を掲載しました。

中国上海市の仕入れ先が使用期限切れの鶏肉を使用していた
事件が起きて、日本マクドナルドホールディングスの
既存店売上高は急落し、業績の予想すらできない窮状に陥っています。

一方でキャンペーンを展開するマックウィングの販売価格を
米国本社が管理しきれず、国内全体の8割以上で過剰請求していた
問題も発覚しました。

これは原田前社長の「負の遺産」であることを
見逃してはいけません。

原田マジックと称された原田前社長の経営ですが、
実際にはフランチャイズ店を売却した利益が大きかっただけで、
既存店の売上は減少していました。

これは、売上高の対前年同月比の推移を見ればわかることです。

今になって、売却対象となるフランチャイズ店もなくなり、
収益を上げる材料がなくなってきて、追い打ちを掛けるように
食品問題が浮上したという格好です。

まさに負の連鎖です。

原田前社長が用いていた「経営手法」に問題があった
ということが重要なポイントだと私は思います。

無料対話アプリのLINEは先月27日、電子商取事業に
本格参入すると発表しました。

商品を共同購入すると最大半額で買えるほか、
プレゼントを贈り合う仕組みなどを導入し、国内に5200万人いる
会員間の「つながり」を消費につなげる狙いとのことです。

急成長を続けるLINEですが、アプリのダウンロードとは違って
大きな壁があることを認識することが大切です。

それは、決済と物流です。

どれだけユーザーを獲得しようと、ECを展開する以上、
「どうやって決済してもらうのか?」「どうやって届けるのか?」
というのは外せない要素です。

そして、この2点において楽天よりも圧倒的に強い仕組みを
構築したのがAmazonであり、ゆえにAmazonが日本一になったのです。

「決済」と「物流」の仕組みをどう構築するのか?

これは一筋縄では行きません。時間もかかるし、大変だと思います。

(※この記事は8月31日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し、本メールマガジン向けに編集しています)

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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LINEが会員間の「つながり」を活用して、
電子商取事業に本格参入することを発表しました。

こちらのニュースについて大前は、
LINEの参入障壁が「決済」と「物流」にあることを挙げました。

大前が例に出しているAmazonはポータルサイトを保有し、
クレジットカードでの決済を可能とし、またその後の配送も請け負える
プラットフォームを構築することで日本一となりました。

Amazonはこのプラットフォームを構築する重要性を認識しており、
神奈川県小田原市に大規模な物流センターを建設するなど、
時間と費用をかけて整備することで、絶対的な強みを手に入れてきました。

このように、バリューチェーンを分析してみることで、 
他社と差別化を図るための成功の鍵が徐々に見えてきます。

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