2014年12月26日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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民主党・法人増税・地方創生〜民主党は少子化対策や移民政策を議論せよ

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民主党 海江田万里氏 落選で代表辞任
法人減税 「3年で20%台」を検討
地方創生 本社の地方移転に税優遇

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▼民主党は、安倍政権が敬遠している少子化問題などに取り組むべき
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民主党代表選に立候補を表明した細野豪志元幹事長は19日、
野党再編について「争点にならない。党の自主再建を実現したい」との考えを示しました。

また、岡田代表代行と前原元代表も立候補を検討する考えを表明しています。

誰が民主党代表にふさわしいのか?というと、私は細野氏以外には考えられません。

理由は非常に明白です。岡田氏も前原氏も、すでに党代表を経験していますが、
何も効果はもたらしませんでしたし、リーダーシップもありませんでした。

細野氏を圧倒的に支持する理由があるわけではありませんが、
「手垢がついてない」という意味で、一人しか該当者がいないということです。

そして民主党が取り組むべき問題も、明白です。

この点については、インターネット上で「【向研会】人口減少の衝撃 〜少子高齢化の現状と将来課題〜」
というタイトルで公開している内容を含めて、「少子化問題」「経済見通し」など
私が提唱する解決方法をすでに民主党の有力者には伝えてあります。

少子化対策、移民政策は、安倍総理が最も嫌いな領域であり、これを議論すべきです。

またアベノミクスのイカサマについても、指摘していくべきでしょう。

「円安になれば、産業が海外から戻ってくる」と主張していますが、そんなことはあり得ません。
過去に事例もありません。

日本企業が海外進出をしてきたこの15年間で、
大学進学率は上昇し、中卒・高卒で就職する人は減少しています。

「海外から産業が戻ってくる」と口だけで言っていますが、
例えば「キャノンが10万人の雇用を新たに必要としている」となったら、
日本国内でその人数を採用できるでしょうか?

中卒、高卒のブルーカラーの労働人口が減少している日本では、対応できないのです。

さらに言えば、部品会社が海外に進出していることも多いので、
組み立てるメーカーだけが日本に戻ってきても、部品がなければ意味がありません。

むしろ部品の輸入にとっては円安は逆効果です。

私は個々の企業の状態を知っていますから、こうした事実を元に話をします。

しかし多くのマクロエコノミストは違います。
こうした事実を踏まえず、企業経営の基本を知らないままにでたらめなことを言っているだけです。

または古い時代の発想のままなのです。
現役の経営者なら、「円安になれば海外から産業が戻ってくる」という感覚を持ちあわせていないはずです。


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▼法人税を引き下げても、それが投資につながるとは限らない
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来年度税制改正の焦点である法人実効税率について、
政府・与党が「3年間で20%台に引き下げる」との案を検討しています。

来年度の引き下げ幅は2.4%台とする方向で赤字企業にも
負担を求める外形標準課税の拡大など財源確保策と一体で詰める方針です。

法人税について日本が抱えている問題は、
赤字のために法人税を払わないという「欠損法人」が多いことです。

国別で比較してみると、日本が他の国に比べて際立って高いことが見て取れます。

本当だったら個人で消費していることも、会計上経費として扱い、
赤字決算にして法人税を払わないという方法が横行しています。

こちらの問題を解決することが先決だと私は思います。

また、経団連などが法人税の引き下げを推奨しているわけですが、
私に言わせれば、彼らは「企業経理の基本・問題」を全く理解していないとしか思えません。

不景気が続く日本でも、企業に積極的に「投資」をしてもらいたいという狙いで、
経団連などは法人税の引き下げを声高に叫んでいます。

しかし、法人税を引き下げても、企業の投資を促進することにはつながらないのです。

法人税を引き下げると、配当に回るお金、又はそこから残る内部留保が大きくなるだけです。
投資にお金を回そうとはならないのです。

正解は「逆」です。世界で投資に積極的にお金を回している国を見ればわかります。

「税金が高い国」のほうが、国にお金を持っていかれるのを嫌い、
「投資」にお金を回すようになるのです。

極端なことを言えば、法人税率を100%にすれば、
「どうせ利益を出しても全て持って行かられるなら」と考えて、投資しようとなるはずです。

財界人や学者が間に入って、法人減税を推奨する論調を作り出しているようですが、
私には何を考えているのか、理解に苦しみます。

1回でも企業経営をしたことのある人なら、こんな的はずれなことは絶対に言わないでしょう。


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▼企業が簡単に本社機能・営業機能を地方へ移すことはあり得ない
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政府・与党は17日、企業が本社機能を地方に移転する際、
社屋などへの投資額の最大7%を法人税額から差し引けるようにする調整に入りました。

地方からの人口流出を抑え、地方経済の底上げにつなげる狙いで、
30日にまとめる来年度の与党税制改正大綱に盛り込むとのことです。

これも一言で言うと、「バカ」な施策です。

経験のある企業人なら誰でもわかりますが、
企業は「東京の中でさえも、いかにセンターポジションをとるか」で争っているのに、
地方へ行くなど考えられません。

例えば、サントリーは赤坂からお台場へ移転しましたが、
不便で仕事にならないため、営業機能は赤坂に戻ってきています。

お台場でさえも不便を感じるのに、
あまつさえ地方への移転など考えられません。

品川・大崎でも、不便を感じている企業も多いはずです。

社屋への投資額の最大7%の法人税引き下げなどを狙って、
本社登記だけを移すということはあり得るでしょう。

要するに、「なんちゃって移転」です。

しかし、実態として本社機能や営業機能を地方へ移すのは無理です。
一連の産業競争力会議などの動きを見ていると、呆れるばかりです。

こんな「姑息」なことで企業が発想を変えると思っているのが私には理解できません。

安倍総理の周りに集まっている学者や役人の発想なのでしょうが、
いわゆるマイクロマネージメントとして細かく管理しようとしているだけで、
何1つ本質的な部分を解決していません。

2014年12月19日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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原子力政策・原発再稼働問題・太陽光発電〜現実的な数値に目を向けた冷静な対処が必要

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原子力政策 被曝限度引き上げ検討
原発再稼働問題 高浜原発3、4号機 安全審査合格内定へ
太陽光発電 電力大手の受け入れ容量

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▼ 放射線被ばくに対して、日本は神経質過ぎる
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原子力規制委員会は10日、原発事故の発生時に現場で緊急対応する作業員の放射線への被曝限度を、
現行の100ミリシーベルから、250ミリシーベルトを軸に引き上げる方向で検討に入ったとのことです。

すでに250ミリシーベルトの被曝量を超えている人が、東電の関係者には数十人以上はいるはずです。

その人たちは今回の「引き上げ」対象者ということになるわけですが、
もっと重要な議論すべきことがあります。

それは、そもそも「250ミリシーベルトの被曝量で安全(大丈夫)なのか?」ということです。

被曝量の多寡は発がんリスクとの関係性で判断できますが、
例えば200ミリシーベルトレベルは「野菜不足」「受動喫煙」と同レベルで、
200〜500ミリシーベルトでも「運動不足」「肥満」「激痩せ」などと同レベルです。

そう考えれば、250ミリシーベルトがどのような量なのか判断しやすいでしょう。
また日本の場合には、特に100ミリシーベルト以下の基準に問題があります。

法律上、一般人の線量限度は「1ミリシーベルト/年」ですが、
自然界からの放射線量だけでも「2.4シーベルト/年」に達します。

X線CTを受ければ、1回あたり6.9シーベルトになります。

小学校の校庭で、1ミリシーベルト以上の放射線量が検出されたと大騒ぎして、
数千億レベルの予算を割いて除染をしていますが、はっきり言って意味がありません。

放射線は一様に広がるのではなく、ピンポイントで溜まる特徴があり、
そこがホットスポットになります。

そこだけを集中的に対策すれば良いのに、それすらもわかっていません。

東京大学の某教授の発言を引き金に、このような異常に神経質な対応をすることになったのですが、
私に言わせれば、これは民主党政権が残した負の遺産の最たるものです。

もっと現実的な数値に目を向けて、冷静に対処するべきだと思います。

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▼ 全ての原発を停止する必要があったのか?
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関西電力の高浜原子力発電所3、4号機が、
再稼働に向けて原子力規制委員会による原発の安全審査の
合格内定を年内に得られる見通しになりました。

九州電力の川内原発に続く審査合格の2番手となります。
また、原子力規制委員会は12日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の
事故対策や設備に関する現地調査を開始しています。

ようやく、原発の再稼働についても冷静に現実的に検討できるようになってきました。

福島第一原発の事故以降、最初は何においてもおっかなびっくりの対応で、
「とにかく全てのことはNO」という判断しかしていませんでした。

福島第一原発の事故を受けて、日本は他の原発も停止しました。

これは国にとっても非常に高い代償を払う結果になりました。
他国の事例で見れば、チェルノブイリ原発事故後のウクライナでも、
スリーマイル原発事故後の米国でも、その他の原発は停止させていません。

日本の対応には異常なアレルギーを感じますし、もはや理不尽なレベルです。

同じような原発事故を起こさない対策をした上で、冷静に対処するべきです。
柏崎刈羽原発の6、7号機の事故対策については私も見たことがありますが、
あれだけの対策をしていれば福島第一原発と同じような状況になっても大丈夫なはずです。

地元の支持が得られるかどうかがポイントですが、
地元が前向きならば、原発再稼働に向けて進むべきでしょう。

それぞれの原発の事故対策よりも、
むしろ私が懸念しているのは国としてやるべきことが残っていることであり、
国の組織運営体制に不安を感じます。

民主党政権が残した負の遺産のもう1つが、再生可能エネルギー施策です。

九州電力など大手電力5社の太陽光発電の受け入れ容量が国の認定した
再生可能エネルギー事業者の計画の半分程度にとどまることがわかり、
特に九電、東北電力で大幅に不足する見通しとのことです。

民主党政権は、2020年までに再生可能エネルギーを20%にすると提案し、
風力発電、太陽光発電による電力の高値買付けを義務付けました。

当時から私は「リスクが高い」と指摘していましたが、
民主党政権は事態を甘く見ていたということでしょう。

再生可能エネルギーは操業度が安定しないのが特徴です。

設計能力を100とすると、太陽光発電の平均値は12、風力発電は19です。
100発電されるときもあれば、12、19のときもあれば、場合によっては0のときもあるかも知れません。

水力発電や地熱発電は比較的安定していますが、その他の発電方法では変動幅が激しすぎるのです。

そのような状況にも関わらず、再生可能エネルギーによって大量の電力を生み出しても、
受け入れるグリッド(送電網)も整備されていなければ、電気を貯めておく蓄電池もありません。

今回は電力会社が受け入れを拒否したということですが、
他にも問題は山積しています。

民主党政権によるお粗末な政策だったわけですから、
修正するのが当たり前のことだと私は思います。

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※この記事は12月25日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は記事中、被ばく量と発がんリスクの関係性について、
データを基に解説していきました。

自然界の放射線量より低い1ミリシーベルトのために、
除染作業をする必要があったのか?

不安心理からくる思い込みをベースとした判断は、
多くの場合、意味のない無駄な行動となってしまいます。

どうなったときに除染すべきなのか、事実データを基に分析し、
正しい意思決定をしていかなくてはいけません。

問題解決における基本は事実と論理です。
経験則や思い込みを抜きにした冷静な判断力が求められるのです。

2014年12月12日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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国内株式市場・円相場・日本国債〜2020年までの財政健全化のためには大増税が必要

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国内株式市場 7年4ヶ月ぶりに1万8000円台回復か
円相場 一時1ドル121円69銭
日本国債 米ムーディーズ 日本国債を一段階格下げ

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▼ 株式市場、為替相場、いずれを見ても危険な徴候
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日経新聞は、8〜12日の週の日経平均株価は7年4カ月ぶりに1万8000円台を回復し、
上値を試す展開になると予想する記事を掲載しました。

11月の米雇用統計は雇用者数の伸びが市場予想を大きく上回ったことや、
7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値の上方修正が予想されており、
相場の支援材料になる可能性が高いとのことです。

日経平均株価が1万8000円に近づいているとのことですが、これは危機の前兆でしかありません。

なぜなら、株価が上昇する正当な理由がないからです。

今、上がっている株を見ると、日経225や日経400といったインデックス銘柄です。

日経インデックスに関連している銘柄に集中していて、個別銘柄には何も意味がありません。
完全に作られたマーケットであり、官製相場になっています。
年金ファンドなども利用されており、やり過ぎだと思います。

実体経済と株価の差は、どんどん大きくなっています。

このような株式相場の事実を見ると、「安心感」など持てるはずもありません。
むしろ、危機感を募らせるばかりです。

また、円安が進み輸出関連企業に有利だと言われていますが、
円安もここまで進むとマイナス要因が大きくなり、私は非常に深刻な状況だと見ています。

5日のニューヨーク外国為替市場で円相場は大きく下落し、
一時は121円69銭まで下げ、2007年7月20日以来およそ7年4カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けました。

日銀が10月末に追加金融緩和に踏み切って以降、10円強の円安が進んだ形です。

また、貿易相手国通貨に対する円の総合的な価値を示す実質実効為替相場は
1973年1月以来、約42年ぶりの弱さとのことです。

対米ドルで為替の推移を見ると、乱高下のイメージがあるかも知れませんが、
古くは360円からスタートし、一時は80年台の異常値の時代もあり、
今は過去20年の平均値に戻ってきている、という状態です。

輸出額と円相場の推移を見ると、円安が進んでいるのに全く輸出が増えていないことがわかります。
日本企業は為替によって輸出を増やしてはいない、ということです。

円ベースで増えていないということは、米ドルベースで見れば
むしろ輸出額は減っているというのが現実です。

日本と中国のGDPの推移を見ても、米ドルベースで見ると、2009年に中国が逆転し、
2012年頃まではそれほど差は開いていませんでしたが、この円安の影響もあって今となっては2倍の差になっています。

さらには、ドイツにも急速に近づかれつつあります。

このような状況を見ていると、何も良いことはありません。

安倍総理は必死に円安のプラス効果を強調していますが、全く何もわかっていないのでしょうか。

日銀の黒田総裁は、さすがに一方的な円安容認の姿勢に変化を見せ始めており、危険性を理解しているのだと思います。


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▼ 2020年までの財政健全化のためには、大増税が必須
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米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、
日本国債の格付けを最上位から4番目の「Aa3」から「A1」に1段階引き下げたと発表しました。

安倍政権の消費再増税の先送りなどを受けて、
2020年の財政健全化目標達成の不確実性が高まったことなどが要因とのことです。

またムーディーズは2日、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行など
邦銀5行と日本生命保険など生命保険2社の格付けを1段階引き下げたと発表しています。

日本国債格下げの影響が国債を大量に持つ金融機関にも波及した格好です。

これも非常に深刻な問題です。
日本のランクは、ボツワナやスロバキアと同じで、韓国を下回っています。

主要投資家別の日本国債の保有残高を見ると、
日銀が国債を買い込んでいる実態がわかります。

国内銀行は日銀に国債を売っている形で、日銀の保有残高は200兆円を超え、
保険会社の保有残高を上回って最大の保有主体になっています。

それでも、保険会社で約190兆円、国内銀行でも約130兆円の国債を保有しています。

日本国債の格付けが下がれば、金融機関の格付けも下げられてしまうのは致し方ないでしょう。

このような日本経済の状況から、2020年の財政健全化は可能なのか?
というと、かなり難しいでしょう。

歳出を減らし、増税するしか方法はありません。

今、日本は約100兆円の予算を組んでいますが、
そのうち約50兆円強は社会保障と過去の借金返済に割り当てるもので、減らすことはできません。

実質的に削減できるのは40%程度の項目ですが、それを実行するしかないでしょう。

また「増税」は必須であり、しかも消費税で言えば、20%程度が必要とされます。

消費税10%では、2020年までに財政健全化(プライマリーバランスの均衡)を実現することは不可能です。

消費税を2%増やしたところで、せいぜい経済効果は5兆円程度です。

その程度の増税すら先送りするのが、今の日本の政治家です。全く情けない限りです。

こんなレベルでは、2020年までに財政健全化は無理ですから、むしろ発表しないほうがマシだと私は思ってしまいます。

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※この記事は12月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は解説の一つに増税の話題を取り上げました。

消費税10%では2020年までの財政健全化は難しく、
20%程度の税率が必要であると、大前は記事中で指摘しています。

その打ち手は本当に目標達成に向けた大きな成果につながるのか?
このような視点から予めインパクトを予測し、
解決策を選択していく必要があります。

例えそれが阻害要因の多い選択肢であっても、
正しい打ち手を取っていくことが真の問題解決者の姿勢なのです。

2014年12月05日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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衆院選・アベノミクス効果〜数字の実態を考える

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衆院選: 投票したい政党
衆院解散・総選挙: アベノミクス継続訴え
アベノミクス効果: 100万人雇用拡大の実情

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▼ 投票したい政党がないのが事実。橋下氏の不出馬は、ビッグミステイク
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日本経済新聞社とテレビ東京が先月21〜23日に実施した世論調査で、
衆院選で投票したい政党や投票したい候補者がいる政党を聞くと、
自民党が35%で最も多かったことがわかりました。

また、安倍首相が衆院選の争点とする経済政策「アベノミクス」については
「評価しない」が51%で「評価する」の33%を上回ったとのことです。

今、日本の国民がどれほど今回の選挙に「憤慨」しているか、
このアンケート結果からも伺えます。

実施機関によっては、直近の結果ではついに内閣支持率も不支持が上回りました。

内閣に対する不信感があっても、
民主党も相変わらず低迷しているのは情けないところです。

政権枠組みについての世論調査を見ると、自公連立を希望する人が34%、
自民独立が20%、野党中心が18%となっていて、
ここでも野党への期待感はまるでなく盛り上がりようがありません。

そもそも、野党の数が多くなり過ぎて国民にとって非常にわかりづらい状況です。

正直に言えば、自民党もその他野党も投票したいところがない、というのが実態でしょう。
おそらく投票率は下がるだろうと私は見ています。

維新の会の橋下氏が出馬を見送ったことが話題になっていましたが、
これは大きな判断ミスだと私は思います。

一部には、衆院出馬によって「大阪都構想」を投げ出す形になる批判を避けたのでは?
と言われていますが、大阪府知事から大阪市長になるときに同じことをやっていますから、
それは考えられないでしょう。

来年には大阪市長の任期が終了します。
仮に再選されたとしても、今の状況を見ると市議会や府議会で
橋下氏の主張を通すことは、まず無理でしょう。

橋下氏が推し進めた数少ないクリーンヒットの政策であった、
大阪市営地下鉄・バスの民営化議案も、先月21日否決されました。

余語氏が立案した黒字化できる素晴らしい計画でしたが、
これを見ても、大阪市議会、府議会がとんでもない状況にあると理解できます。

衆院選に出馬していれば、比例区で票を集めることもできたでしょう。

任期を考えても、大阪の状況を考えても、
ここは出馬しておくべきだったと私は思います。

おそらく次の4年間は、安部総理は何があっても絶対に自ら解散しないでしょう。

その意味でも、今回の橋下氏の判断はビッグミステイクだったと言えます。


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▼ アベノミクスの実態が明らかに。自民党の放送局への圧力は危険信号
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自民党は25日、衆院選で訴える政権公約を公表しました。

アベノミクスの柱である2%の物価安定目標について
「早期達成に向け、大胆な金融政策を推進する」と改めて明記。

地方創生の推進策としては「地方創生特区」の創設による規制改革を打ち出しました。
経済再生を柱とし、アベノミクスの継続を訴えるとのことです。

そもそも、「アベノミクス」が上手くいかなかったから、
景気条項を発動し、消費増税を1年半延期したのに、
「アベノミクスの継続」を訴えると言われても、困ってしまいます。

ついに国民のアベノミクスへの評価も「評価しない」人が50%に達し、
事実がわかってきた状況です。

アベノミクスの実態という意味では、ハフィントン・ポストが先月26日掲載した
『65歳以上の就業者が激増中!アベノミクス100万人雇用拡大の実情』と題する記事もあります。

これは、安部総理が政権発足後、雇用が100万人以上増加したと強調したことを受けて、
各統計に照らしながら検証したものです。

結果、正社員雇用はほぼ変わらず、
シニア世代の非正規社員が大幅に増加した実情が浮き彫りになったとのことです。

非正規雇用が増加し、正規雇用が増えていないのは、これまでにも知られていた事実でしたが、
シニア世代が増加しているというのは非常に重要な事実です。

すなわち、「将来に対する不安」があるから引退できないという心理です。

1600兆円の個人金融資産はその1%でも市場に出てくれば、
非常に大きな経済効果を生むのですが、これでは依然として眠ったままでしょう。

安部総理は100万人の雇用が拡大し、GDPも伸びたと主張していますが、
雇用については上記の通りですし、政権発足直後と、直近の為替レートで単純換算すると
GDPも対ドルベースで見れば30%下落した、というのが事実です。

記者会見を見る限りでは、1つもまともな解釈をしていなかったと私は感じました。

とはいえ、安部総理の発言はおそらく内閣官房参与の飯島氏の戦略・シナリオ通りなのだと思います。

飯島氏は小泉内閣の主席秘書官を務め、郵政解散・総選挙においても大きな役割を果たした人物です。

また、今回の総選挙に際して、自民党が在京キー局に事実上「自民党批判封じ込め」の
通達をしたという件について、私も非常に「危険」な状況になってきていると感じます。

特に、今回の選挙はほぼ勝ちが決まっているのですから、もっと横綱相撲をとってほしいところです。

自民党以外に期待できる政党もいないだけに、危機感を覚えざるを得ません。

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※この記事は11月30日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は衆院選とアベノミクスの話題を取り上げました。

雇用が100万人以上増えたという言葉を聞くと、
政策の効果が出ていると受け取ってしまいがちですが、
その中身を見てみるとシニア世代が増加しているのが実情です。

皆さんは、数字をしっかり読み取れていますか?
実態まで把握することができていますか?

誤った事実の理解から導き出す施策では、
インパクトある成果を出すことはできません。

事実を正しく解釈し、正しい行動に結び付けることが、
問題解決において重要となります。

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