2015年02月27日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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ソニー・パナソニック・トヨタ自動車・サントリーHD〜新しい生態系の中でどう生き残るか?

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ソニー エレクトロニクス全事業を順次分社
パナソニック AV機器事業の本拠地 三井不動産に売却
トヨタ自動車 新型プリウスを年内発売
サントリーHD 連結売上高2兆4552億円

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▼分社化しても、スマートフォンという新しい生態系の中で生き残れない
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ソニーは18日、本体で手掛けるエレクトロニクス事業の全事業を順次、分社する方針を明らかにしました。

まず携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」やブルーレイ・ディスク録画再生機などを扱う
AV(音響・映像)事業を、10月1日を目処に分社すると発表しました。

競争環境は厳しさを増しており、意思決定を早めて環境変化に素早く対応し、
利益重視の経営を徹底する考えです。

ソニーの問題点は、色々なことに手を出しすぎて、
全てにおいてポイントを外してしまっていることだと私は思います。

エレクトロニクス事業を分社化し、意思決定を早めるとのことですが、
それがソニーの問題解決になるとは思えません。

ソニーはウォークマンがあったためにiPodに敗北し、
さらにiPhoneへの流れの中で、ソニーが手がけていたものは、
ほとんどスマートフォンに取り込まれてしまいました。

気づいてみたらiPhone6でかろうじてカメラのモジュールとして
ソニーのものが使われているという程度です。

ソニーは電子部品で生き残ろう、と言われても、何とも残念です。

電話、カメラ、音楽などあらゆる機能を取り込んでいるスマートフォンというのは、
新しい生態系・新しい大陸であり、ここに対してどのような策を打つべきかを考えることが重要です。

バラバラの事業部になれば、確かに個々の意思決定は早いかも知れませんが、
スマートフォンという新しい生態系・新しい大陸との整合性が取れていないと私は感じます。

* * * * *

パナソニックは大阪府門真市の本社にあるAV(音響・映像)機器事業の本拠地を
売却することで三井不動産と基本合意したと発表しました。

AV拠点は社内で「本社南門真地区」と呼ばれ、1970年代からカラーテレビなどの
主力製品を生み出してきましたが、同社はデジタル家電事業を縮小し、
車載分野などへのシフトを進めており、好立地の不動産を有利な条件で売却できると判断したものです。

パナソニックの業績を見ると、自動車関連事業は非常に高い利益を出しています。

また、住宅システム、白物家電でも堅実な利益を上げています。
かつての中核事業であるAV機器事業は、黒字ですがそれほど大きな利益にはなっていません。

テレビ製造も撤退を決定したため、工場を含めた門真南を売却するということです。

非常に大きな土地であり、良い値段で売却できるのならば問題ないかも知れません。

ららぽーとになれば、パナソニックの社員、その家族がお客さんにもなるでしょうし、
成功する可能性も高いと思います。

それにしても、創業当時からの土地であり、
松下幸之助氏が生きていれば何と言うだろうなどと思うと、私としてはちょっとした寂寥を覚えます。


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▼ハイブリッド戦略を強化するのは、トヨタとして正しい方向性
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トヨタ自動車はガソリン1リットルで40キロメートル超を走るハイブリッド車(HV)の
新型「プリウス」を年内に発売する見通しです。

10年前と比べて燃費を3割超改善し、
欧州など世界各地で自動車の環境規制が強化されるのに備える考えです。

世界各地で、例えば以下のような法律的な環境規制を明示しています。

・日本:2020年までに、1リットルあたり20.3キロ
・中国:2020年までに、1リットルあたり20キロ
・米国:2025年までに、1リットルあたり23.2キロ

世界中がこの方向性に向かっており、チャンピオンの立場にあるプリウスとしては、
今年中に1リットルあたり40キロの車を発表するということです。

水素自動車なども話題になっていますが、現実的に考えると、
ハイブリッドが中核を担うのは間違いありません。

ガソリンに対して、ハイブリッドは数%のシェアを占めるまでになっていますが、
その他のものは数値としてカウントできるレベルではありません。

ゆえに、トヨタとしてハイブリッドを追求していくのは間違いではないと私は思います。


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▼一方で、国内首位になったサントリーが目指す方向性は正しいのか?
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サントリーホールディングス(HD)が国内食品メーカーの首位に立ちました。

16日発表した2014年12月期の連結売上高は13年12月期比20%増の2兆4552億円。

欧州の清涼飲料事業や14年5月の米蒸留酒最大手、
ビーム(現ビームサントリー)の買収などで海外売上高を7割伸ばしています。

これについて新浪社長は「2020年にはウイスキーで世界一を目指す」と力を込めて発表しました。

売上でも営業利益でも、キリン、アサヒを圧倒している状況になりました。
ただし、海外事業の展開にあたり、借金の額も大きくなっています。

世界的に見ると、この業界にはディアジオなど、さらに規模が大きい競合が存在しています。

新浪社長は、サントリーの売上高が2兆円のときにバトンタッチを受けました。
おそらく新浪社長に託されたのは、海外事業の倍増と売上高4兆円規模の達成ではないかと私は見ています。

そのためか、今回の記者会見でも「日本一」は単なる通過点に過ぎないという印象で、
淡々とした記者会見でした。

新浪社長は「2020年までにウイスキーで世界一を目指す」と発表していましたが、
この点について私はやや懐疑的です。

世界的に見てもハードリカーの需要は減りつつありますし、
日本のハイボールのブームもいつまで続くのか、わからない状況です。

ハードリカーの健康への影響問題が湧き上がる可能性もあるかも知れません。

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※この記事は2月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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エレクトロニクス事業のほとんどがスマートフォンによって
とりこまれてしまったソニー。

抜本的な対策が必要とされる中、分社化戦略を取った同社ですが、
果たしてそれは正しい選択なのでしょうか?

変化が激しいビジネス社会においては、
取り巻く環境を把握し、自社の立場を理解することが求められます。

この変化を正しく読み取らない限り、向かうべき方向は見えてきません。
そして本質的な問題解決も行うことはできません。

2015年02月20日(金) 
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【1】今週の 〜大前研一ニュースの視点〜
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>農協改革・統一地方選・財政再建 〜政府は農協の株式会社化を主導すべき

農協改革 農協改革狭義で大筋合意
統一地方選 統一選、見えぬ自・民対決
財政再建 「別目標」浮上のワケ


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【2】問題解決力トレーニングプログラム より
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>受講料最大5万円オフ。100期開講記念キャンペーン実施中です!

3月1日開講へのお申込みは2月23日(月)15時まで!
この週末に、是非ご検討ください。


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【3】問題解決力トレーニングプログラム より
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>1万人以上が受講。プログラム修了生が語る学習成果談

修了後にはどのような効果があったのか?
問題解決を学び、実務で成果を出している修了生30名の声を公開中!


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【4】リーダーシップ・アクションプログラム より
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>4人のLAP卒業生が行動変容を起こせた理由とは?

2015年、リーダーシップを本気で修得したい方へ。
次回10期(5月開講)の全国ガイダンスを実施中です!


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【5】クリックアンケートのお願い
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【6】あとがき
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■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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農協改革・統一地方選・財政再建〜政府は農協の株式会社化を主導すべき

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農協改革 農協改革狭義で大筋合意
統一地方選 統一選、見えぬ自・民対決
財政再建 「別目標」浮上のワケ

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▼農業を成長産業にするためには、農協の株式会社化を政府が主導せよ
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政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の農協改革をめぐる協議が9日決着しました。

全中の監査・指導権をなくし、2019年3月末までに
一般社団法人に転換することが取り決められたとのことです。

農協分野の岩盤規制を崩すと騒いでいましたが、結局は全中をつぶすだけであり、
大山鳴動して鼠一匹といったところでしょう。

農家戸数の推移を見ると、専業農家の数はそれほど減っておらず、
第2種兼業農家(農業所得よりもその他の所得が多い農家)の数が減少していることが分かります。

また、農協の組合会員数を見ると、准組合員数が増加し、正会員数は減少しています。

農協の会員になっていると、金融関係で有利な条件を得ることができます。
それを得たいがためだけに会員になる人が多いということです。

農業の総産出額は、30年近く減少し続けており、
インターネットを利用した直販も普及してきた結果、農協の取扱額も減少傾向です。

安倍総理は「農業を成長産業に」と主張していますが、もう少し「具体策」が必要だと感じます。

今回全中を潰したのは良かったと思いますが、それでも80億円の上納金がなくなるだけであって、
農業を成長産業にするためには、ここから何に取り組むかが重要でしょう。

農業を独自産業化し成長させていくためには、
政府が主導して「各地の農協を株式会社化すること」を促すことも検討すべきだと私は思います。

今、政府は「株式会社化を許可する」という、各農協に「任せる」姿勢を見せていますが、
このままでは物事は進まないでしょう。

私は予てから、商店街も株式会社化しなければ生き残れないと指摘してきました。

しかし、商店街の組合制度では「みんなが賛成しないと決定できない」となってしまい
意見がまとまらないまま、大型店に遅れをとり、各地の商店街はシャッター街になってしまったのです。

農協を株式会社化すること自体は正しいと思いますが、
意思決定の仕掛けは政府主導にしなければ進展しない可能性が高いでしょう。

政府にはぜひ積極的に動いてもらいたいと思います。


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▼今後の知事選はおもしろくない/アベノミクスGDP成長率の嘘
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日経新聞は、『統一地方選、見えぬ「自・民対決」』と題する記事を掲載しました。

それによると、4月の統一地方選まで2カ月をきり、10道県の知事選など981件の選挙が予定されていますが、
知事選では自民、民主両党が擁立した候補が真っ向から対決するような構図はまだ見えておらず、
現職を相乗りで推薦しようとする動きが見えているとのことです。

選挙結果が政権運営に与える影響は前回までと異なり限定的になりそうだと指摘しています。

佐賀県知事選、沖縄県知事選など、自民党は3連敗を喫し、
もう選挙に負けるのを避けたいという気持ちになっているのでしょう。

自民党が歩み寄ってくれるのなら、民主党としても渡りに船とばかりに好都合だと判断しているのだと思います。

自民党は衆院選では大勝しました。しかし比例区で復活しただけで、小選挙区では負けた地方もあります。
知事選になると、この弱さが露呈してしまいます。

自民党、民主党どちらにとっても、「負けたくない一心」で接近したということでしょう。
これによって、今後予定されている10道県の知事選は「非常に面白みのない知事選」
になることが決まってしまいました。

* * * * *

日経新聞は15日、『「財政再建の別目標」浮上のワケ』と題する記事の中で、
昨年12月22日の経済財政諮問会議で、安倍総理は財政再建を進める上で、
基礎的財政収支だけでなく、債務残高のGDP比にも着目すべきだと訴えたと紹介しました。

背景には政府は基礎的財政収支を2020年度に黒字化する目標を掲げているものの、
この目標は達成のメドがたっていないと指摘しています。

ここで歳出の削減など痛みを伴う改革に踏み込まないで易きに付けば、
財政の健全化はますます遠のくとしています。

アベノミクスで掲げていたGDP成長率2%は、かなり厳しい状況です。

しかもそれが実現したとしても、基礎的財政収支が2020年に黒字化する姿は見えてきません。

「諦めていない」のは結構なことですが、現実を見れば単なる嘘つきであり、
お粗末に過ぎると言わざるを得ません。

「GDP成長率2%」という目標も、今や「成長」という言葉が禁句になってしまったと言えるでしょう。

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※この記事は2月15日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は農協改革に関する話題をお届けしました。

大前は記事中、農協に関するファクトやその背景を提示し、
成長産業化に向けた具体策が必要と解説しています。

問題解決において、大きな方向性を示すだけでは意味がありません。
具体的な解決策を示し、実行に移すことでしか結果を出すことはできません。

そこで必要となる考え方が、インパクトのある解決策を導き出すための
「仮説思考」と、成果を出すための「仕組み作り・仕掛け作り」です。

問題解決を行うためには、このような一連のプロセスを
描くことが求められます。

2015年02月13日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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ニコン・JT・日本マクドナルドHD〜企業を取り巻く環境について考える

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ニコン 連結純利益200億円
JT 清涼飲料の製造・販売事業から撤退へ
日本マクドナルドHD 連結営業赤字67億円

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▼厳しい状況に追い込まれたニコン/JTは加工食品事業にテコ入れを
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ニコンは5日、2015年3月期の連結純利益が前期比57%減の200億円と、
従来予想(19%減の380億円)から減益幅が拡大する見通しだと発表しました。

ニコンのデジカメの出荷台数を見ると、レンズ一体型のデジカメは
2008年をピークに大幅に落ち込んでいるのがわかります。

そして、緩やかに増加傾向だった一眼レフ等のレンズ交換式も
2012年をピークに減少に転じています。

出荷金額の落ち込みもひどく、デジカメ業界のトップに君臨しているキャノン、
ニコンには非常に厳しい状況になっています。

デジカメ以外でもプリンターや複写機も扱っているキャノンに比べると、
顕微鏡や望遠鏡に頼る他ないニコンにとって、より厳しい現実でしょう。

優良企業の代表格であったニコンが、今後何を主力として生きていくのか?
非常に大きな課題です。

三菱系の企業ですから、最後はサポートがあるのでは?という気もします。

しかし三菱自動車の救済が上手くいかなかったように、
最終的にはニコン自身で自らのビジネスを立て直す気概がなければ成功しないと私は思います。

* * * * *

日本たばこ産業(JT)は4日、9月末をめどに清涼飲料の製造・販売事業から撤退すると発表しました。

自動販売機を主力販路として缶コーヒーの「ルーツ」や清涼飲料水「桃の天然水」などを
展開してきましたが、コンビニエンスストアをはじめとする他の販路との競争が激しく
今後の成長が見込めないと判断したとのことです。

JTのセグメント別業績を見ると、海外・国内共にたばこ事業が堅調で、収益も十分にあげています。

特に買収の結果として、海外たばこ事業は国内の倍近い売上高になっています。
一方でマイナス収益から脱却できていないのが、飲料事業、加工食品事業、医療事業です。

今回飲料事業の撤退が発表されましたが、JTにはいわゆる「手売り」部隊がおらず自販機頼りでした。
自販機業界では、サントリー、コカ・コーラが圧倒的な強さを見せており、
さらにはキリン、アサヒビールが続きます。

JTも強化策は打っていましたが、さすがに限界が来たというところでしょう。

JTの今後の戦略としては、たばこ事業で稼いでいる資金を使って、他の事業の立て直しを図るべきだと私は思います。

医療事業はテコ入れだけでも、1兆円規模の資金が必要になるでしょうから、現実的ではありません。

その点、有望なのは加工食品事業です。
マイナス幅も小さいですし、ニチレイなどと提携してみるのも面白いと思います。


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▼マクドナルド不振の原因は不祥事に非ず
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日本マクドナルドホールディングスが5日発表した2014年12月期の連結営業損益は
67億円の赤字(前の期は115億円の黒字)でした。

「使用期限切れ鶏肉」の問題を受け、客離れが加速。

売り上げの落ち込みが響いて、01年の上場来初の営業赤字に転落したとのことです。

これまでにも私は何度もマクドナルドの不振について意見を述べてきましたが、
マクドナルド不振の「本当の原因」は、一連の不祥事ではありません。

マクドナルドを取り巻く環境、すなわち日本の昼食、
間食市場が世界にも例がないほど、競争が激しい市場だからです。

米国ではハンバーガーは8兆円の巨大市場であり、
競合と言えばハンバーガーチェーン店でしょう。

しかし日本には、バラエティに富んだお弁当を揃えたコンビニがあり、
さらには、うどん屋・蕎麦屋・牛丼屋・カレー屋など、
安く食べられる飲食店が非常に多く、それらが競争相手として存在しています。

確かに日本人はマクドナルドを食べますが、これらの競争相手との兼ね合いもあって、
マクドナルドへ通う頻度は決して高くなっていないはずです。

今の状況だと、「期限切れの鶏肉のせいで」と言い訳しやすいと思いますが、
それで終わりにしていては再起を図ることはできないでしょう。

この「日本独特の構造的な問題」への対策は非常に難しいと思いますが、
日本マクドナルドとしては、まずこの問題に気付き、
目を向けることから始めなければいけないでしょう。

また世界的に見ても、「健康志向」の食事を求める傾向になりつつあり、
コカ・コーラやマクドナルドにとっては向かい風が吹いています。

マクドナルド自身が、「健康的なマクドナルド」という新しいコンセプトを打ち出して、
状況を打開していくしかないでしょう。

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※この記事は2月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は企業動向に関する話題をお届けしました。

売上不振が続いているマクドナルド。
その原因は、多数の競合プレイヤーによる競争激化や
消費者の健康志向化にあると大前は指摘しています。

普段のニュースに触れているだけだと、不祥事に理由があるのでは?
と思い込んでしまいがちです。

しかし、情報を鵜呑みにしたままでは実態に迫ることはできません。
自ら疑問に思い、その背景にある因果を確かめる必要があります。

まずは企業を取り巻く環境を正しく理解すること。
これは本質的問題の発見にあたり、重要なステップです。

2015年02月06日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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中国電子商取引・インドIT産業・経済自由度指数〜データの意味合いを考える

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中国電子商取引 2014年の取引額 約247兆5000億円
インドIT産業 バンガロール沸く
経済自由度指数 香港が21年連続1位

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▼アジア・太平洋は、Eコマースが発展する条件が整っている
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中国商務省は、2014年の中国の電子商取引(EC)額が13兆元(約247兆5千億円)と
前年比25%増えたと発表しました。

中国は経済成長に陰りが見え始めたとはいえ、厚みを増してきた中流層を中心に、
インターネット通信販売などの市場拡大は当面続く見通しで、
EC関連企業の間で競争も激しくなっているとのことです。

今回発表された電子商取引額は、B2Cなのか、B2Bを含むのか、
また「広義」と「狭義」のいずれで捉えたものなのか、計算の根拠がはっきりしません。

広義で捉えた場合、コンピュータを利用した商取引となり、
日本でも年間250兆円規模の商取引が発生していますから、全く驚くほどの数字ではありません。

一方、いわゆるEコマース(ネットショッピングやオークション)で捉えた数字ならば、
大きなものだと言えるでしょう。

中国ではEコマースで1日1兆円の売上が上がることもありますから、
あり得る話ですが、実際のところはわかりません。

世界のEコマースの市場規模の推移を見ると、2014年時点では北米地域がトップですが、
2017年にはアジア・太平洋地域が逆転し、北米の2倍弱の規模になると予測されています。

アジア・太平洋地域は、店舗網のインフラ整備が遅れているという環境が、
Eコマースにうってつけなのです。

最も大きな市場の1つである中国はGmailの使用を禁止するなど、
排他的な動きを見せているため、この点を懸念する人も多いと思います。

しかし、このようなことは中国に限ったことではないので、
取り立てて大袈裟に捉える必要はないと思います。

米国やその他の国でも、似たようなことは行われています。

米国もテロ対策の一環として、サーバ情報の監視などを行い、
危険な情報を検知しているはずです。

中国の場合に特筆すべきなのは、政府の転覆をおそれるが余り、自国民を監視していることです。

国民にほとんど言論の自由がないレベルまで監視・規制されています。

中国企業、産業の保護というよりも、中国政府を守るためです。


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▼バンガロールは第二のシリコンバレーに/香港、21年連続経済自由度指数1位
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日経新聞は、20日、「バンガロール沸くインドIT都市」と題する記事を掲載しました。

かつての下請けから脱し、企業の意思決定まで左右する
高度なサービスが台頭していると紹介されています。

欧米企業が多くの開発拠点をインドに設けている一方、日本は出遅れており、
増殖するインドの頭脳をどのように取り込むかがグローバル経営のテーマです。

ビッグデータの分析などはインド人が最も得意とする分野です。

バンガロールには、インドを代表する大学の一つ「インド工科大学(IIT)」もあります。
古くは、システム開発のインフォシスなどもある都市です。

私も90年代半ば、インフォシスと合弁会社を作っていましたから何度もインドへ足を運びました。

当時から人材は豊富でしたが、最近はさらに世界中から優秀な人材が集まってきつつあります。

このまま行くと、バンガロールは第二のシリコンバレーになり、
いずれIPOブームが訪れることになるでしょう。

プネー、ハイデラバードといた都市もありますが、
学問の中心でもあるバンガロールには及ばないと思います。

バンガロールの今後には期待したいところです。

* * * * *

アメリカのヘリテージ財団により発表された2015年の国別経済自由度指数で、
香港が21年連続で1位を獲得しました。

香港は、「腐敗や汚職」の評価項目で0.5点のマイナスとなり、
2位のシンガポールとの差が詰まりました。

日本においては2014年発表の25位から20位へと評価を上げています。

香港は不動産売買で汚職が発覚し、ポイントを下げたということですが、
それでも摘発された公務員は数名で、全体としてみれば「クリーン」だと言えます。

1位の香港、2位のシンガポールは非常に経済自由度指数が高い国です。

特に香港の場合に興味深いのは、政治的な自由度と経済的な自由度は相関してないことです。

政治的な自由度がなくても、それによって経済的な自由度は影響を受けていません。

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※この記事は2月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は中国の電子商取引に関する解説をお届けしました。

2014年の電子商取引額が247兆円になった中国。

この発表に対し、日本では年間250兆円の商取引が発生しているため、
驚く数字ではないと大前は指摘しています。

数字を見る際、そのデータだけ見ていては解釈ができません。
比較分析の中で意味合いを読み取る必要があります。

更に、データの裏にある因果を推測し、検証し、そして真実に迫ること。
問題解決において重要なステップです。

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