2015年03月27日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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中国投資銀行・中国経済政策・STX大連〜中国投資銀行設立の狙いとは?

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中国投資銀行 仏、独、伊も参加へ
中国経済政策 経済成長目標「7%前後」
STX大連 破産手続

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▼中国が投資銀行を設立したい本当の理由/日本は米国に振り回されるな
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17日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、中国主導で年内発足を目指す
アジアインフラ投資銀行(AIIB)に、フランス、ドイツ、イタリアも参加すると報じました。

英国に続き、欧州主要国が加盟で合意したことは、
投資銀に距離を置くよう働き掛けてきたオバマ米政権の「打撃」になると分析しています。

欧州主要国など様々な国の参加が決まり、
当初の予定を上回り最終的には中国が資本金の3割程度を提供する形に落ち着きそうです。

なぜ、今になって中国がこのような動きを見せているのか?

世界銀行もアジア開発銀行も先進国が牛耳っていますが、
まだまだアジアにはインフラを整備する必要があり、
そこに投資を集中する銀行が必要だ、というのが理由です。

これに対して日米は運営の透明性を問題にしているようですが、
IMFにしろ、世界銀行にしろ、運営の透明性という点では似たようなものだと私は感じます。

そして、中国がこの銀行を設立したいと考える、
より本質的な理由は「中国経済のスローダウンと崩壊」に関係があります。

中国は巨大な建設機械を使い、鉄道、道路、橋などを次々と建設してきましたが、
今や中国経済はスローダウンし、中国の建設市場も失速しています。

このまま巨大な機械を中国国内に鎮座させていても、何も意味はありません。
中国企業に限界が来る前に、早く巨大な機械をアジアに持って行かなくてはいけないと考えているはずです。

ここに来て、日本も参加するような姿勢を見せていますが、
最初から参加表明をしているフランス、ドイツ、イタリアを中国は優遇し、
当初反対姿勢だった日本が優先されることは考えにくいと思います。

日本の態度に一貫性がないのは、米国の意向を受けて態度を決めかねているからです。
何ともみっともない話です。

中国主導の投資銀行に参画するのか、
あるいは別の道を行くのか、明確に態度を決定すべきだと思います。

中国と袂を分かつというのならば、アジア開発銀行で同じようなインフラを作れば良いでしょうし、
もし中国と一緒にやるのなら、中国に次いで資本を入れるくらい積極的にならなければ意味がないでしょう。

注意したほうが良いのは、今、中国は「焦り」を感じており、
そのようなときには、投資判断が間違う可能性は高いということです。

投資するのは良いですが、実際に回収できるのか?
途上国に投資してリターンがあるのか?このあたりを考えると、決して簡単な道のりではないと思います。

その意味でも、中国とは別の道を選び、
アジア開発銀行でアジアのインフラ整備をするというのも、一つの選択肢として検討するべきでしょう。


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▼李克強指標(インデックス)に見る中国の成長率/造船業では日本企業が健闘
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15日に閉幕した全国人民代表大会は2015年の成長率の目標を前年よりも
0.5ポイント低い「7%前後」とする方針を正式に確認しました。

李克強首相は小刻みな政策対応で安定成長を続ける
「新常態(ニューノーマル)」を保つとしながら、この目標の実現も「簡単ではない」と認めました。

人民銀の周総裁が、預金金利の上限撤廃をなくすと発表するなど、
全人代では様々な意見が出たようですが、そもそも気になるのは
中国が公式発表している成長率の数値への疑念です。

中国の場合、GDPの算出にあたり、どのような統計を使い、
どのような計算をしているのかという点が明確になっていません。

中国経済の成長率を測る経済指標に、「李克強指標(インデックス)」と呼ばれるものがあります。

これは、「電力消費」「鉄道貨物取扱量」「銀行融資」といった
実体経済にリンクした数字がどのくらい動いているかを見て成長率を測るもので、
李克強首相が遼寧省で党委書記を務めていた時に着眼していた指標です。

李克強指標(インデックス)によると、直近の成長率は5%程度です。

中国政府が受け入れるかどうかは別として、公式発表の数値に信頼が置けない以上、
こういう指標を使わざるを得ないというのが問題でしょう。

また、李克強首相にはこんな逆風も吹いています。

韓国STXグループ傘下で、中国最大級の外資系造船所STX大連が経営再建を断念し破産手続きに入りました。

李克強首相が遼寧省トップ時代に誘致し、東北振興の目玉事業と位置づけられたプロジェクトですが、
2008年のリーマン・ショックを機に造船不況が深刻化し受注が低迷。

従業員は一時、2万人に達し今も数千人いますが、全員解雇になるとのことです。

李克強首相にとって最大級の痛手であり、中国造船の不況は相当厳しいものがあります。

実は中国だけではなく、韓国の造船もそれほど調子が良くない状況になっています。

一時の中国の勢いを見ていたら、日本も韓国も枕を並べて討ち死にかと思っていましたが、
円安の追い風も手伝って意外と今治造船などが健闘しています。

現在の造船業では、世界最大級のコンテナを積み込めるスーパータンカーが競争優位のポイントになっています。

スーパータンカーの受注状況などを見ると、
日韓で半々ずつという形になっていて、まさにヒュンダイや今治造船が競い合っています。

最近、韓国では日本の競争力に大騒ぎになっています。

韓国のインターネットなどを見ていると、韓国も競合しているように見えるが、
「結局のところ、部品は日本からの輸入に頼っているため、最終的に日本には敵わない」という意見も見られます。

韓国の苦戦どころか、中国はこの競争に参画すらできていないのが実態ですから、
李克強首相にとっても厳しい状況だと言わざるを得ないでしょう。

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※この記事は3月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は中国主導の投資銀行に関する話題をお届けしました。

今になりこのような動きを見せている中国。
大前は記事中、その本質的な理由を
中国経済のスローダウンと崩壊にあると指摘しています。

その現象はなぜ起こっているのか?
現象の背景を推測し、仮説を立てることが分析に当たって重要となります。

闇雲に分析を始めようとしては、効率が悪くなるばかりです。

問題解決においては、このような仮説思考による取り組みが、
大きなインパクトを創出することに繋がっていきます。

2015年03月20日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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ブラザー工業・IoT・日本マクドナルド〜ラーソン氏に立て直しは期待できない

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ブラザー工業 英ドミノ・プリンティングを買収
IoT 防げサイバー攻撃
日本マクドナルド 新会長にラーソン氏

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▼堅実経営のブラザー工業の飛躍に期待
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ブラザー工業は11日、ロンドン証券取引所に上場する産業用印刷機大手の
英ドミノ・プリンティング・サイエンシズを買収すると発表しました。

買収額は10億3千万ポンド(約1890億円)で、ブラザーとしては過去最大となります。

ブラザー工業と言えば、かつてはミシンを主力としていました。
その後、ミシン市場が縮小し厳しくなった時、見事にプリンター市場へ転換しました。

キャノンなどの競合がいる市場に参入しながらも、プリンター、
FAX一体機などでシェアを獲得し、堅実な経営を続けてきました。

売上高の内訳を見ると、やはりプリンティング事業がけん引していて、
ミシンでは工業用のものが主力です。

ドミノ・プリンティングは売上高が約600億円で、今回の買収額は約1800億円になっています。

おそらく、昨年の値段なら買収額は半額以下でしょう。

売却時は数字を「ドレスアップ」するものですから、この数字をそのまま鵜呑みにすることはできません。

しかし、売上も利益も順調で利益も500億円を超える規模になってきていますから、
この先ブラザー工業が飛躍していくことを期待したいと思います。


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▼ハッカーのサイバー攻撃は脅威
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日経新聞は、10日「防げサイバー攻撃」と題する記事を掲載しました。

パナソニックが、自動車の電子制御システムをサイバー攻撃から守る技術の開発に乗り出したと紹介し、
化学工場や発電所でも不正侵入に備えた各社の研究が始まり、あらゆるモノがネットワークでつながる
「IoT」の時代にはすべての機器が脅威にさらされ、対策は新たな局面に入ったとしています。

確かに指摘の通りですが、パナソニックが「開発に成功した」のではなく
「開発に乗り出した」という段階では発表するほどのことでもないでしょう。

「IoT」と言うと、あたかも新しい概念のようですが、
一昔前の「Machine To Machine(マシン・トゥ・マシン)」のことです。

機械同士の自動制御は、工場ではすでに欠かせない技術になっています。

しかし、これをもっと広い領域で使おうとすると、
確かに悪意のある連中によってハッキングされることによるリスクは非常に大きくなります。

実際、北朝鮮は韓国の原子炉のハッキングを試みていると言われています。

中国、米国、ロシアなどはお互いにやりあっているでしょう。

非常に重要な問題だと思います。
この問題が解決されないと、ハッカーが世界をコントロールすることになりかねません。

イスラム国、北朝鮮のような存在を考えても、非常に大きな脅威になることが分かると思います。


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▼日本マクドナルドは、日本コカ・コーラを見習え
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業績が悪化している日本マクドナルドホールディングスは10日、25日付で会長を退任する原田氏の後任に、
米マクドナルドのアジア太平洋部門の副社長を務めるロバート・ラーソン氏を充てると発表しました。

マクドナルドグループの在籍年数は40年を超え、米国のほか欧州やアジアなどで
店舗運営に携わってきた人物で、豊富な経験を生かしてカサノバ氏をサポートすると見られます。

ラーソン氏は40年を超えるマクドナルド歴で、現在58歳ということですから、
学生のアルバイトなどからマクドナルドに関わっている人だと思います。

残念ながら、このような経歴の人では、今の日本マクドナルドを立て直すことは難しいでしょう。

というのは、これまでのマクドナルドでは
「拠点戦略」に基づくオペレーションが優れていれば出世できたからです。

しかし、今日本のマクドナルドが抱えている問題は根本的に全く異なります。

日本のマクドナルドの競争相手は、ハンバーガーショップだけではありません。

その戦いにはマクドナルドは勝利しています。しかし、コンビニ、うどん、牛丼など、
その他の業態の競合が日本にはたくさん存在し、そこに勝たなければならないのです。

米国ではマクドナルドの競争相手はぐっと少ない状態ですし、
米国人は毎日マクドナルドを食べても平気かもしれませんが日本人はそうではありません。

この問題の本質に、マクドナルド本社は気づいていないのでしょう。

日本のマクドナルドが置かれた状況を考えると、例えばマクドナルドでおにぎりをメニューに入れるのか?
うどんをどうするのか?そんな発想を持って戦略を練る必要が出てくるでしょう。

ラーソン氏にそれを期待するのは厳しいでしょう。

良い事例になるのは、日本コカ・コーラです。日本コカ・コーラは、
米国本社とは全く違う日本独自の状況に合わせた戦略を展開してきました。

伊藤園に対抗して「お茶」を、UCCに対抗して「コーヒー」を、
ポカリスエットに対抗して「アクエリアス」を展開しました。

だからこそ、日本コカ・コーラは生き残れているのだと思います。

米国では炭酸離れ、コカ・コーラ離れが起こっていますが、
米国本社は日本コカ・コーラのようなことは何一つやってこなかったために、今苦労しています。

対策は簡単で、日本コカ・コーラの真似をすれば良いのです。

マクドナルドは、米国本社も売上が伸び悩み苦労しています。
本社のベテランを送り込んだから日本を立て直せると思うのは、大きな勘違いです。

日本を理解していない証拠でしょう。
対前年比で25%落ち込むというのは、非常事態だと言えます。

日本の問題を理解し、日本コカ・コーラと同じくらいのことを実行しなければ、
立て直すことはできないでしょう。

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※この記事は3月15日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は日本マクドナルドの企業動向をお届けしました。

同社は、従来の拠点戦略に基づく取り組みではなく、
日本市場における本質的問題に対する戦略立案が求められています。

変化の激しいビジネス環境。
過去の成功事例の繰り返しは通用しない「答えなき時代」になりました。

このような時代において、問題解決の考え方は
全てのビジネスパーソンにとって必要不可欠です。

思い込みや経験を抜きに「ファクトとロジック」に基づいた正しい思考をし、
解決に向けた行動を起こしていく問題解決者だけが、
企業を成功に導くことができるのです。

2015年03月13日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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シャープ・ジャパンディスプレイ・ファミリーマート・ピジョン〜プレーヤーの強みを考える

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シャープ 連結最終赤字2000億円
ジャパンディスプレイ スマホ用高精細液晶パネル
ファミリーマート ユニーグループHD
ピジョン 連結純利益89億円見通し

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▼経営実態を失ったシャープ/再建に成功したジャパンディスプレイ
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経営再建中のシャープの2015年3月期連結決算で、
純損益の赤字額が2千億円近くに膨らむ見通しになっていると報道されました。

広島にある電子部品の4工場を閉鎖するなどリストラの追加を検討しているとのことです。

また、主要取引銀行に協力を要請し、借入金を株式に振り替えてもらい、
「債務の株式化」を実施するなどで、計1750億円の資本増強を目指す考えです。

シャープの再建に関しては、ファンドからの出資、工場の閉鎖、
銀行借入の株式化(デッド・エクイティ・スワップ)など、色々な情報が飛び交っています。

さらには、三菱自動車の救済策と同様、
銀行の傀儡ベンチャー企業を立ち上げて支援するという方法もあります。

シャープの業績推移を見ると、V字回復などと言われていましたが、
報道されているように2000億円の赤字を出すとすれば致命的です。

おそらく、すでに「経営の実態」はなく、
自ら経営ができる状態ではなくなっているのでしょう。

鴻海会長の郭台銘(テリー・ゴウ)が買収交渉を再開したとも言われていますが、
正直、私は厳しいと感じています。

部分的に良いところはあるでしょうが、全体として経営が崩壊しているからです。

相当厳しいリストラを敢行し、ルネサスエレクトロニクスのようになれば良いですが、
現状を見ていると、しばらくの間、上昇してくるのは難しいと私は見ています。

シャープとは対照的に、上手に回復を果たしたのがジャパンディスプレイです。

ジャパンディスプレイは6日、石川県白山市にスマートフォン(スマホ)用の
高精細液晶パネルの新工場を建設すると発表しました。

投資額は1700億円で、大半を主要な納入先である米アップルが負担するとみられ、
2016年夏に稼働して全社的な生産能力を2割強増やす考えです。

整理するものをきちんと整理し終えたら、アップルから供給安定を求められ、
同時に資金まで提供してもらえる状況になりました。

シャープもこのようなスタイルをとることができれば良かったのですが、
中途半端な立場を取ってしまったのが致命的だったのでしょう。


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▼セブン-イレブンが強い理由/ピジョンの将来性は有望
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国内コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスを
傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(GHD)は経営統合に向けて交渉に入るとのことです。

実現すればコンビニ事業の売上高は首位のセブン-イレブン・ジャパンに次ぐ2位に浮上します。

と言っても、1店舗当たりで見ると、売上高ではセブン-イレブンが他社を圧倒しています。

セブン-イレブンの売上高は約3兆8000億円です。
ファミリーマートとサークルKサンクスを足しても約2兆8000億円で、約1兆円の開きがあります。

また、セブン-イレブンが四国に進出した際、他のコンビニからセブン-イレブンに
切り替えた店舗の中には、売上が2倍近くになったところもあったそうです。

重要なのは店舗数ではなく、個々の商品です。
その商品力が勝負の鍵を握っています。

セブン-イレブンは商品開発力が高く、おそらくメーカーにも厳しく指導しているはずです。

店舗の数だけ合わせても、セブン-イレブンに追い付くのは難しいと思います。

* * * * *

ピジョンは2日、2016年1月期の連結純利益が前期比5%増の89億円になる見通しだと発表しました。

中国向けの育児用品が貢献し、6期連続で最高益を更新するとのことです。
2年以上前ですが、私はピジョンをケーススタディで取り上げ、
中国への進出に可能性があることを示しました。

ここに来て、ようやく売上に利益がついてくるようになって、
私の予想通りピジョンは非常に良い状況になっています。

中国では、国内製の哺乳瓶や粉ミルクよりも日本製のほうが、人気があるほどです。
今後も中国市場は伸びていくでしょう。

ピジョンはすでに国内の利益よりも海外のほうが大きくなっています。

中国では一人っ子政策が緩和され、子供の数が増える傾向にあります。
私が経営している大連の会社でも、1割近くの従業員が産休を活用しています。

このような状況を見ても、ピジョンは非常に将来有望だと私は見ています。

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※この記事は3月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はコンビニエンスストアの業界動向の解説をお届けしました。

ユニーとファミリーマートが統合した場合、業界第2位に浮上しますが、
第1位のセブンイレブンとはそれでも約1兆円の開きがあります。

では、セブンイレブンが強い理由は何でしょうか?
大前は、同社は商品力に強みがあると指摘しています。

市場を分析する際、業界プレーヤーはどのような強みを持っているか、
把握しておくことが必要です。

特に、主要プレーヤーについてはウェブサイトなどから定量情報を確認するだけでなく、
日々の行動の中で様々な定性情報を手に入れることが大切です。

競合の顧客像やバリューチェーンの取り組みを正しく理解することは、
インパクトを生み出す次なるアクションにつながっていきます。

2015年03月13日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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シャープ・ジャパンディスプレイ・ファミリーマート・ピジョン〜プレーヤーの強みを考える

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シャープ 連結最終赤字2000億円
ジャパンディスプレイ スマホ用高精細液晶パネル
ファミリーマート ユニーグループHD
ピジョン 連結純利益89億円見通し

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▼経営実態を失ったシャープ/再建に成功したジャパンディスプレイ
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経営再建中のシャープの2015年3月期連結決算で、
純損益の赤字額が2千億円近くに膨らむ見通しになっていると報道されました。

広島にある電子部品の4工場を閉鎖するなどリストラの追加を検討しているとのことです。

また、主要取引銀行に協力を要請し、借入金を株式に振り替えてもらい、
「債務の株式化」を実施するなどで、計1750億円の資本増強を目指す考えです。

シャープの再建に関しては、ファンドからの出資、工場の閉鎖、
銀行借入の株式化(デッド・エクイティ・スワップ)など、色々な情報が飛び交っています。

さらには、三菱自動車の救済策と同様、
銀行の傀儡ベンチャー企業を立ち上げて支援するという方法もあります。

シャープの業績推移を見ると、V字回復などと言われていましたが、
報道されているように2000億円の赤字を出すとすれば致命的です。

おそらく、すでに「経営の実態」はなく、
自ら経営ができる状態ではなくなっているのでしょう。

鴻海会長の郭台銘(テリー・ゴウ)が買収交渉を再開したとも言われていますが、
正直、私は厳しいと感じています。

部分的に良いところはあるでしょうが、全体として経営が崩壊しているからです。

相当厳しいリストラを敢行し、ルネサスエレクトロニクスのようになれば良いですが、
現状を見ていると、しばらくの間、上昇してくるのは難しいと私は見ています。

シャープとは対照的に、上手に回復を果たしたのがジャパンディスプレイです。

ジャパンディスプレイは6日、石川県白山市にスマートフォン(スマホ)用の
高精細液晶パネルの新工場を建設すると発表しました。

投資額は1700億円で、大半を主要な納入先である米アップルが負担するとみられ、
2016年夏に稼働して全社的な生産能力を2割強増やす考えです。

整理するものをきちんと整理し終えたら、アップルから供給安定を求められ、
同時に資金まで提供してもらえる状況になりました。

シャープもこのようなスタイルをとることができれば良かったのですが、
中途半端な立場を取ってしまったのが致命的だったのでしょう。


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▼セブン-イレブンが強い理由/ピジョンの将来性は有望
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国内コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスを
傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(GHD)は経営統合に向けて交渉に入るとのことです。

実現すればコンビニ事業の売上高は首位のセブン-イレブン・ジャパンに次ぐ2位に浮上します。

と言っても、1店舗当たりで見ると、売上高ではセブン-イレブンが他社を圧倒しています。

セブン-イレブンの売上高は約3兆8000億円です。
ファミリーマートとサークルKサンクスを足しても約2兆8000億円で、約1兆円の開きがあります。

また、セブン-イレブンが四国に進出した際、他のコンビニからセブン-イレブンに
切り替えた店舗の中には、売上が2倍近くになったところもあったそうです。

重要なのは店舗数ではなく、個々の商品です。
その商品力が勝負の鍵を握っています。

セブン-イレブンは商品開発力が高く、おそらくメーカーにも厳しく指導しているはずです。

店舗の数だけ合わせても、セブン-イレブンに追い付くのは難しいと思います。

* * * * *

ピジョンは2日、2016年1月期の連結純利益が前期比5%増の89億円になる見通しだと発表しました。

中国向けの育児用品が貢献し、6期連続で最高益を更新するとのことです。
2年以上前ですが、私はピジョンをケーススタディで取り上げ、
中国への進出に可能性があることを示しました。

ここに来て、ようやく売上に利益がついてくるようになって、
私の予想通りピジョンは非常に良い状況になっています。

中国では、国内製の哺乳瓶や粉ミルクよりも日本製のほうが、人気があるほどです。
今後も中国市場は伸びていくでしょう。

ピジョンはすでに国内の利益よりも海外のほうが大きくなっています。

中国では一人っ子政策が緩和され、子供の数が増える傾向にあります。
私が経営している大連の会社でも、1割近くの従業員が産休を活用しています。

このような状況を見ても、ピジョンは非常に将来有望だと私は見ています。

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※この記事は3月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はコンビニエンスストアの業界動向の解説をお届けしました。

ユニーとファミリーマートが統合した場合、業界第2位に浮上しますが、
第1位のセブンイレブンとはそれでも約1兆円の開きがあります。

では、セブンイレブンが強い理由は何でしょうか?
大前は、同社は商品力に強みがあると指摘しています。

市場を分析する際、業界プレーヤーはどのような強みを持っているか、
把握しておくことが必要です。

特に、主要プレーヤーについてはウェブサイトなどから定量情報を確認するだけでなく、
日々の行動の中で様々な定性情報を手に入れることが大切です。

競合の顧客像やバリューチェーンの取り組みを正しく理解することは、
インパクトを生み出す次なるアクションにつながっていきます。

2015年03月06日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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ホンダ・スカイマーク再生・雪国まいたけ〜ホンダイズムの観点で考えるトップ交代

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ホンダ 八郷隆弘氏が社長昇格へ
スカイマーク再生 包括的支援策を提案
雪国まいたけ 米ベインキャピタル TOB実施

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▼実態を見れば、ホンダはそれほど悪い状況ではない
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ホンダは先月23日、八郷隆弘常務執行役員が6月の株主総会後に社長に昇格する人事を発表しました。

八郷氏は鈴鹿製作所や欧州研究開発部門のトップを歴任し、中国専用車の開発もけん引した人物で、
八郷氏をトップに据えることで、新興国を中心に世界展開を加速する考えです。

伊東社長は何かと問題を指摘されていましたので、私としては「遅すぎた」と感じています。

とはいえ、ホンダの業績はそれほど大きな問題を抱えているというわけでもありません。

営業利益が3兆円に達する勢いを見せるトヨタの好調ぶりに比較すると見劣りしますが、
日産よりも良い業績を示しています。

それほど悪い業績ではないですが、「ホンダイズム」という観点から言うと、
課題ありという状況なのでしょう。

ゆえに、八郷氏のような、開発・技術畑出身で、かつ海外経験が豊富な人がけん引し、
ここから加速していこうと目指しているのだと思います。

実態を見れば、ルノーと蜜月になり過ぎてゴーン氏以外には後継者が育たない環境にある日産のほうが、
ホンダよりも大きな問題を抱えているのですが、株価ではホンダのほうが低迷しています。

最近のビジネス書などで「ホンダ、どうした?」という類のものが多く、
この手のビジネス書による先入観も働いているのかも知れません。

また、タカタのエアバッグリコール問題の影響もあるでしょう。
タカタのエアバッグはホンダの要請で作ったものですから、ホンダも直撃を受けた格好です。

いずれにしても、このタイミングでトップを交代させることで、
今後の流れを変えていこうということです。

敢えて言えば、伊東社長が相談役になるという人事が「ホンダイズム」から外れていないか?
という指摘があるかも知れません。

創業者の本田宗一郎氏、右腕であった藤沢氏は、相談役などの役職に就かず、すっぱりと辞めています。
そのような姿勢に、ホンダイズムを感じるのも確かです。


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▼ANA、エアアジア、デルタ、アメリカンの4社が有力
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ANAホールディングスは先月23日、民事再生手続き中のスカイマークに
出資を含めた包括的な支援策を提案すると発表しました。

スカイマークが募集している共同スポンサーに名乗りを上げるもので、
スカイマークは他の提案と比較した上で3月上旬にも複数の共同スポンサーを選出する方針です。

当初、スカイマークがANAに泣きついた時には、国土交通省は否定的な態度を示していたのに、
スカイマークが破綻に至ったら、態度を改めています。私にはその姿勢が解せません。

スカイマークのスポンサーに名乗りを上げている中で注目すべきは、
ANA、エアアジア、デルタ、アメリカンという航空会社4社といったところでしょう。

各社ともはスカイマークが持っている羽田枠に魅力を感じているはずです。

この4社であれば、エアバスに対する700億円〜800億円と言われる
大型発注のキャンセルを吸収できるので非常に現実的です。

その他、オリックス、HISなども名乗りを挙げているようですが、
少なくとも有力な選択肢が4つ揃ってきたと見て良いと思います。


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▼創業者交代の難しさ
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米大手投資ファンドのベインキャピタルは先月23日、
東京証券取引所第2部に上場する雪国まいたけにTOBを実施し、
子会社化すると発表しました。

全株式の買付けも想定しており、取得額は最大で約95億円。

ベインキャピタルは主要取引銀行や現経営陣と協力し、
創業者・大平喜信元社長らの影響力を排除し、経営の立て直しを急ぐ考えです。

「まいたけ」という業界、市場の将来性について私は若干の懸念を感じてしまいます。
中国製の安価なまいたけが入ってきていて、日本製のまいたけの競争力が落ちてきているからです。

ベインキャピタルは、すかいらーくの立て直しなどの実績もあるので、
すでに検討しているはずですので、もしかしたら他に技術を持っているのかも知れません。

創業者が経営交代をしても、株主としてのポジションもあり、思うように再建できないなど、
創業者をめぐる問題はなかなか難しい側面があります。

大塚家具も、高級路線を目指したい父親と安価な路線を目指したい娘で対立が起きています。

私としては、どちらの戦略もやや時代に遅れていると感じています。

海外で買い付けた高級家具を、丁寧に接客しながら高価な値段で売るというのも、
市場が縮小していると思いますし、一方で安価な家具の販売となると、
ニトリなどと競争しなくてはいけません。

本気でニトリと競合するのならば、ボリューム、拠点なども非常に重要になってきますから、
そこから明確な戦略を練り直さなければ、勝てないでしょう。

かつての栄光を追い求める高価格戦略も、ニトリに対抗する低価格戦略も、
両方とも厳しいと感じます。

どちらも時代が去ってしまったということを認めるべきと思います。

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※この記事は3月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています


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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は企業動向に関する話題をお届けしました。

記事中、大前はホンダの業績について、
「大きな問題を抱えているわけではない」と解説しています。

同社はタカタのリコール問題などの影響を大きく受けていると
思い込みがちですが、競合である日産の業績と比較することで、
その状況を理解することができます。

・根拠となる数値をしっかり把握しているか?
・ただ単に数値を見るだけでなく比較して意味合いを考えているか?

このような視点を抜きに、現象を正しく考えることはできません。

思い込みを排除し、事実に対して忠実になる姿勢が、
問題解決者になるための第一歩目です。

過去ログ 2010年12月 
2011年01月 02月 03月 04月 05月 
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