2015年10月30日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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ビール世界大手・東芝・電子部品大手〜日本ビール4社は国際化に失敗している

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ビール世界大手 英SABミラー買収で合意
サントリーHD 青島ビールとの合併解消
東芝 画像用半導体事業をソニーに売却で最終調整
米サンディスク 米ウエスタン・デジタルが買収
電子部品大手 6社の受注総額約1兆4500億円

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▼日本ビール4社は国際化に失敗している
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ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)は13日、
2位の英SABミラーを買収することで基本合意したと発表しました。

買収金額は13兆円という大きな規模になっています。

この合併により、世界のビール販売量のシェアを見ると、
「アンハイザー・ブッシュ・インベブ(20.8%)+SABミラー(9.1%)」で
約30%のシェアを占めることになります。

3位に続くのがハイネケンで9.1%です。

日本では、キリン、アサヒ、サッポロ、サントリーの4社が熾烈な
争いを繰り広げていると言われますが、
世界市場から見ると「その他」に分類されるレベルに過ぎません。

国内だけでなく、ボーダレスワールドを意識して、
もっともっと世界に目を向けるべきでしょう。

かつてアサヒビールは、オーストラリアのビール大手フォスターズの
株式を保有していましたが、結局は維持できずに、そのほとんどを売却してしまいました。

カナダのモルソン・クアーズの買収なども視野に入れて
世界へ打って出るチャンスでしたが、今では見る影もありません。

また最近では、サントリーが中国ビール2位、青島ビール(山東省)
との合弁を解消すると発表しています。

ジンビームの買収の影響もあり、キャッシュを手に入れておきたいのでしょう。
上海周辺ではシェア3位までになっていたのに、
結局は中国にも入り込むことはできずに終了するということです。

国内トップの4社が、いかに国際化できていなかったのか。
その課題があらためて浮き彫りになったと言えるでしょう。

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▼東芝の最後の砦はフラッシュメモリー事業
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東芝はスマートフォン(スマホ)などに使う画像用半導体事業を
ソニーに売却する最終調整に入ったと発表しました。

CMOS市場ではソニーが圧倒的なトップシェアを獲得しています。
世界中のスマホがソニーの画像センサーを使うため、
ソニーは生産能力の増強、設備投資を予定していました。

東芝の同事業は1.9%程度のシェアしか持っていませんでしたから、
売却してしまうのも頷けます。

一方で大分工場は、数千億円規模のものですから、
今回の売却額の約200億円では正直もったいないと感じます。

しかし、東芝の現状を考えると背に腹は代えられないところでしょう。

今後、さらに東芝が資金を必要とした場合、
最後の拠り所になるのはおそらくフラッシュメモリー事業だと思います。

* * *

先日、米ハードディスク駆動装置大手のウエスタン・デジタルが、
米メモリーカード大手のサンディスクを買収すると発表しました。

買収総額は約190億ドル(2兆2800億円)とのことでした。

フラッシュメモリー市場のシェアで見れば、サンディスクは末席です。
東芝のフラッシュメモリーの事業規模から考えると、
おそらく5兆円規模にはなると予想できます。

今は家電事業など、細かい整理を進めているようですが、
最後の最後に行き着くのは、このフラッシュメモリー事業だと思います。

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▼部品事業は未だに日本勢が強いが、コモディティ化した技術は中国へ
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村田製作所やTDKなど電子部品大手6社の2015年7〜9月期の受注総額は
前年同期比14%増の約1兆4500億円と、四半期で過去最高となったとのことです。

中国経済が傾こうが、電子部品6社は伸びており、
日本の部品に対する需要の高さが証明されています。

スマホが高機能化し、それこそCMOSやフラッシュメモリーなど
部品は未だに強い状況で日本勢が牽引していると言っても良いでしょう。

一方で、コモディティ化した商品では苦労しています。
液晶テレビなどが代表例です。

シャープは自分たちの技術だと自負しているようですが、
技術が定番化してしまうと、一気に中国などに持って行かれてしまいます。

先日も、中国企業が薄型テレビやスマートフォンなどに搭載する
液晶パネルの大幅な増産に乗り出すと発表がありました。

京東方科技集団(BOE)など大手4社が中国国内7カ所に巨大工場を新設し、
3年間の総投資額は3兆円という莫大な規模になるとのことです。

こうなってしまうと、シャープには売り物がなくなってしまいます。

それでも製造機械は日本が作っているので、部品メーカーは問題ないでしょうが、
液晶パネルそのものは中国にシフトしてしまう、というのが厳しい現実です。

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※この記事は10月25日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はフラッシュメモリーや電子部品の話題をお届けしました。

コモディティ化してしまった液晶パネル。
その製造は中国にシフトしつつあります。

テクノロジーの進化が激しい中で、
ビジネスの勝ちパターンも変化していきます。

かつての成功を自負するのではなく、
次の新しい一手を考え、打ち出していくことが重要です。

変化を読み解くための市場分析の視点が求められます。

■2015年10月23日(金)  ほら見ろ

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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新3本の矢の評価・設備投資〜新3本の矢はどこかで見た"夢物語"

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新3本の矢の評価〜日経新聞
設備投資 企業に積極投資を促す官民対話の初会合

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▼新3本の矢は、どこかで見た夢物語
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日経新聞は、15日「新3本の矢の評価」と題する記事を掲載しました。
新しい3本の矢にはかなり疑問点が多いとし、GDP600兆円などの目標達成は
困難なのにもかかわらず実現のための手段が明示されていないと指摘。

これまでの3本の矢は、経済の沈滞ムードを払拭するのに一定の役割を果たしたものの、
新3本の矢は政策的裏付けのない望ましいゴールを示しただけという評価になるとしています。

私に言わせれば、望ましいゴールですらなく、これはもはや「どこかで見た夢」の話です。

戦略を考える際には、ある程度その達成手段に目処をつけなくてはいけませんが、
何一つそれが見えてきません。

これまでの安倍内閣の経済政策は必ずしもうまく機能していません。

それなのに、いきなり600兆円です。
500兆円のGDPを600兆円にするためには、20%も伸びなくてはいけません。

出生率1.8%実現というのも、非現実的です。

もはや結婚したい人が全員結婚して、その上全員が子供を生むレベルです。

この政策を実現するためには、移民を増やす、
戸籍を廃止するということも必要になってくるはずですが、理解しているのでしょうか。

また、こうした政策の先駆的存在であるフランスやスウェーデンは、
GDPの3.2%〜3.75%を家族関係社会支出としています。

日本はGDP1%程度の自衛隊の安全保障費で大騒ぎしているレベルです。

介護離職者をゼロにするというのは、さらに実現するのが難しいでしょう。

非常勤を含めた介護職員数が130万人。年間の介護離職者が約10万人。

この10万人を誰がどうやって代替すればいいのでしょうか?
あまりにも唐突過ぎて、言葉になりません。

新3本の矢を提唱する前に、安倍首相としては前回の3本の矢について反省をするべきです。

もっと怖いのは、マスコミが批判も何もしない点です。

これだけおかしな話を連発しているのに、それをそのまま伝えてしまうマスコミにも、
大いに問題があると思います。

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▼生産性を上げる=人が余剰になる
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政府は16日、企業に積極的な投資を促すための官民対話の初会合を開きました。

設備投資の拡大を求める政府に対し、
経済界は法人実効税率の引き下げや労働規制など岩盤改革が先決だと主張。

新興国減速などで企業の収益環境は険しさを増しており、
民間の経営判断に再び「介入」の動きを強めようとする政府の動きには
経済界で反発もひろがっているとのことですが、
私が首相なら「投資しろ」ではなく、「なぜ投資しないのか?」と聞くでしょう。

つまり、財界の人に次のように投げかけます。

「皆さんの企業の手元流動性は高まっているはず。政府としてもお金は供給している。
これが吸収されない理由は何か?なぜ、投資しないのか?有効に使われないのか?」
その理由を教えてほしい、と。

そして、その理由が政府にあるのなら、規制緩和を含めて対応します。

経営者も単に反発しているわけではありません。お金の使い途がないのです。
使い途があるとすれば国外でしょうが、国内にはニーズがないのが現状です。

ここを理解せず、とにかく「投資しろ」では話が通じるわけがありません。

さらに、「投資して生産性を上げろ」というのは全く経済を理解していない人間の発言です。

生産性を上げれば、必ず人は余剰になります。
企業側からすれば、「じゃあ、クビにしても問題がない法律を作ってくれ」と言いたいでしょう。

ドイツなどでは、「生産性を上げる」ことの意味を理解していますから、
この言葉は禁句になっています。

もし議論になれば、組合が猛反発してきます。もちろん需要が拡大しているなら、
生産性を上げつつ雇用も確保することができるでしょうが、今の日本はそうではありません。

財界の人たちも安倍首相の発表を聞いていて、何一つ指摘しないのは、情けない限りです。

そんな財界のレベルも低いと言わざるを得ないですが、
安倍首相のレベルの低さは次元が違います。

もう少し経済のことについて、勉強して頂きたいと強く思います。

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※この記事は10月18日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今回は新3本の矢について解説をお届けしました。

GDP600兆円の達成など新しい目標を掲げた安倍首相。
これに対して、大前は政策的裏づけのない「夢物語」であると指摘しています。

この目標に、果たしてリアリティはあるのでしょうか?
明確な達成手段のない戦略は、企画倒れになってしまいます。

どのようにしたら実現できるのか、
プロセスを一つずつ描くことで初めて周囲の理解を得られます。

解決策の実行においては、その道筋の描き全体像を示すことが重要です。

2015年10月16日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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TPP・メキシコ情勢〜TPPはこれから数ヶ月が本当の山場

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TPP 12カ国が大筋合意
メキシコ情勢 2014年自動車生産336万台

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▼TPP大筋合意とはいえ、これから数ヶ月が本当の山場
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環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する日米など12カ国は5日、
閣僚会合後に共同記者会見して大筋合意に達したと発表しました。

全31の分野をカバーする大型の通商協定の締結で工業品の関税は99.9%が撤廃され、
知的財産権や環境保護まで幅広いルールが整備されます。

アジア太平洋地域のヒトやモノの移動が活発になり、
長い目でみた地域の成長や安定につながることが期待されています。

と言うものの、これから米国、日本など、
それぞれの国の議会や国会で承認されることが条件になっていますので、
これからの数ヶ月が本当の山場かも知れません。

米国議会では共和党が反対に回ることが予想されます。

また民主党内にも、医療、知的所有権などの分野では賛同者が多いものの、
ヒラリー氏を筆頭に工場労働者を抱える一部の議員は反対する可能性が高いでしょう。

日本の国会でも承認は一筋縄でいかないと思います。

もともと賛成派の民主党も、今は政府を叩く道具として、
重箱の隅をつつくような形で反対してくることが予想されます。

発表を見ていると、すぐにでも安くて美味しい豚肉が
食べられるようになると思ってしまいますが、
8年、あるいは10年以上の時間がかかる項目もあります。

またTPPによって被害を受ける農家の駆け込み寺がすでに出来始めています。

政府は「対策室」の名のもとにお金での解決を図っていく姿勢です。

米国、日本だけでなく、ニュージーランドやオーストラリアなどの他国でも
承認にはいくつかの障壁があります。

プラス面が多い政策ですが、一部のマイナス面を拡大し、
被害を受ける人をクローズアップされると、スムーズに進めることは難しいと思います。

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▼メキシコは自動車産業をフックにして上昇していく方向へ
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国際自動車工業連合会(OICA)によると、
2014年のメキシコの自動車生産台数は前の年に比べて10%増の336万台となり、
ブラジルを抜いて世界7位になったとのことです。

ペーニャ・ニエト大統領になって、かなり調子が上向いてきています。

南北格差の問題などもありますが、自動車産業に焦点を当てると、
世界の自動車メーカーは「メキシコから米国へ」「メキシコから南米へ」
という動きを加速させています。

日本でも、マツダやスズキも興味を持っていると言われています。

日産は古くからメキシコを利用していて、一時期、メキシコ・ペソが下落した時には
苦汁をなめましたが、今はそれがプラスに転じています。

米国とメキシコの国境に自動車産業クラスターができていて、
日本からも800社以上の企業が進出しています。

この5年間で2倍の規模になっており、メキシコブームと言っても良いでしょう。

メキシコの自動車生産台数は世界7位になりましたが、
ペーニャ・ニエト大統領はさらに韓国とインドを追い抜いて
5位になることを目指していると公言しています。

一見、無謀に見えるかもしれませんが、タイの状況に鑑みると、
私は決して不可能な数字ではないと感じています。

タイはアジアの拠点として機能することに成功しました。

メキシコも、北米・南米への拠点として確固たる地位を築ければ、
十分可能性があると思います。

韓国などはこれ以上増産することはないでしょうから、
次第にメキシコで生産して米国へ持っていくということになるでしょう。

現在、メキシコの輸出品目のトップは自動車・同部品になっています。

特区などに期待せずとも、競争力を持つ地域も出始めています。
大いに期待したいところです。

麻薬問題、南北格差問題など、メキシコは苦労も多いでしょうが、
少なくとも1つの産業で「当たり」を引くのは今後のメキシコにとっても非常に重要です。

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※この記事は10月11日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はTPPの話題をお届けしました。
大筋合意に達したものの、今後は議会での反対勢の説得が課題となります。

いかに障壁を乗り越えていくか?

多くの場合、施策の実行にあたり阻害要因はつきものです。
これら要因を正しく理解し、それに合った対処方法を検討することが現場では求められます。

問題解決は解決策だけを考えて終わりではありません。
それを実現するための緻密な仕組みや計画作りまでが必要となります。

2015年10月09日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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カタルーニャ情勢・ドイツ情勢〜カタルーニャの独立は、スコットランドとは状況が違う

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カタルーニャ情勢 マス知事率いる独立賛成派が過半数獲得
ドイツ情勢 東西統一25周年で記念式典

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▼カタルーニャの独立は、スコットランドとは状況が違う
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スペインのカタルーニャ自治州で先月27日、州議会選挙が投開票され、
中央政府からの独立を主張するマス知事率いる保守系与党を中心とした
独立賛成派が過半数を押さえ、勝利しました。

マス知事は勝利集会で「計画を進めるための大きな力を得た」と述べました。

一方、スペイン中央政府は独立を認めない構えで、
今後は激しい駆け引きが繰り広げられる見込みです。

カタルーニャは人口も多く、経済的に豊かな地方です。
実は首都のマドリッドよりもGDPは大きくなっています。

カタルーニャの独立にあたり、スコットランドと同じ運命をたどるのでは?
と思う人もいるかも知れませんが、状況は異なります。

イギリスはユーロに加盟していないので、通貨はポンドを使用しています。

イングランドがスコットランドにポンドを使わせないと言えば、
これにはEUも関与することはできませんでした。

一方、スペインはユーロに加盟しています。

マドリッド側は、カタルーニャが独立したらユーロから離脱することになるが、
独自通貨でも発行するのか?と指摘していますが、私はそうはならない気がしています。

カタルーニャは、パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリ、
アントニオ・ガウディなど数々の天才を生んでいます。

そんな歴史を持つカタルーニャに対して、
欧州の人たちは、感情的には好意的に受け止めているように感じます。

もしカタルーニャが独立を宣言し凄惨な戦いになったら、
欧州の人たちはカタルーニャに味方するのではないかと思います。

少なくとも、スコットランドとは違う空気が流れているのを私は感じています。

スペイン政府は、カタルーニャの独立を違憲だと主張していますが、
スコットランドのときよりも厳しい状況にあるのは、間違いないでしょう。

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▼ドイツ統一後、25年の歩み
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ドイツは3日、1990年の東西統一から25周年を迎え、西部フランクフルトで
ガウク大統領やメルケル首相ら約1300人が出席して記念式典が開かれました。

統一の象徴となっている首都ベルリンのブランデンブルク門前で
コンサートが行われるなど各地でイベントがあり、
ドイツは数日間にわたって祝賀ムードに包まれています。

ドイツの統一は、当時のヘルムート・コール元首相のおかげで成し遂げられました。

東ドイツにハンディキャップを与えて、
西ドイツとの差が少ないところまで持って行きました。

マルクの比率では、本来ならば「10対1」くらいの差があったのに、
「2対1」と定めて東ドイツをバックアップしました。これは、本当に大英断だったと私は思います。

私は当時の東ドイツを訪れたことがありますが、それはひどい状況でした。
ドルトムントなども、すべてがくすんで見えました。

公害は垂れ流しで、家を見れば建物も汚く、裸電球1つで薄暗い中で生活している人が大勢いました。

そんな状況から25年で、今の状況まで復興したのは、見事だと思います。

西ドイツの人たちが、そのために負担に耐えぬいたのも感嘆に値します。

沖縄統一後の25年に比べると、ドイツの方が上回っていると言わざるを得ません。

またもし、朝鮮半島が統一することがあっても、
北朝鮮を今のドイツと同じような状況まで持っていくのは相当大変だと思います。

おそらく韓国の人たちは、そのための負担に反対するでしょう。

統一後ドイツが歩んできた道のりとその結果を見て、
本当に心からドイツの人たちに拍手を送りたいと思います。

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※この記事は10月4日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はカタルーニャ情勢について解説をお届けしました。

スコットランドの独立運動と同様の結末を迎えるのでは?
と捉えることもできる話題ですが、それとは状況が異なると大前は指摘しています。

これらの現象はそれぞれ何がどう違うのか?

一見すると似たような現象であっても、比較することによって違いは見えてきます。
そして異なる点が分かることによって、初めて意味合いを見出すことができるのです。

正しく意味合いを抽出することで、筋の良い仮説を導き出すことができます。

2015年10月02日(金) 
■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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独フォルクスワーゲン・仏アレバ・世界ビール大手〜VWの違反の影響は計り知れない

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独フォルクスワーゲン VW、アウディ車に大気浄化法違反の疑い
仏アレバ 三菱重工に仏アレバNPへの出資要請
世界ビール大手 英SABミラーに買収打診

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▼ディーゼル市場全体が消し飛ぶ可能性もあるフォルクスワーゲンの不正
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米環境保護局(EPA)は18日、独フォルクスワーゲン(VW)と
傘下の独アウディの自動車で大気浄化法違反の疑いが見つかったと発表しました。

EPAによるとVWなどは排ガスに関する試験をクリアするために、
違法なソフトウエアを使っていたとのことです。

ピエヒ会長とヴィンターコーン社長とのお家騒動もあったフォルクスワーゲンの様子を見ていると、
東芝と非常によく似ていると感じます。

競合のトヨタが米国で調子が良いところで苦戦するフォルクスワーゲンにとって、
米国での成功は至上命題でした。

その結果、生まれたのが今回発覚した違法ソフトだったのでしょう。

今や欧州全体を見ると、半分はディーゼルという時代ですから、この事件の影響は計り知れません。

「ディーゼルは経済的に成り立つのか?」「本当にクリーンエネルギーになるのか?」という
根本的な点に疑念を抱かれてしまうでしょう。

マツダもディーゼルを扱っていて、基準をクリアしたと言われていますが、
煽りを食って疑われてしまう可能性も高いと思います。

どういうディーゼルは良いのか、どういうディーゼルはダメなのか、基準を設けることです。
下手をするとディーゼル全てが否定される状況にもなりかねません。

フォルクスワーゲンは、トヨタ、GMと世界のトップを競っていました。
3社の業績などを見ると、ディーゼル化によって急激にフォルクスワーゲンが伸びてきたことがわかります。

今年の前半だけで言えば、トヨタを抜き去りました。
ベントレーやポルシェなど、ブランドも数多く保有しています。

ただし時価総額はトヨタの24兆円に対して10兆円程度で、収益性が低いという課題を抱えていました。

そんなフォルクスワーゲンの焦りは、米国市場でした。
欧州はともかく、かつてビートルで席巻した市場ですが、今は見る影もありません。

米国はクリーンエネルギーの規制が厳しい場所ですが、そこで地位を確立することが重要課題でした。
そうして目をつけたのが、ディーゼルの規制をごまかす不正ソフトです。

検査・テストのときだけ、排ガスの数値を低く見せるというもので、
実際の走行中には、検査時の40倍の数値を示したと言います。

現在、約3兆円〜4兆円ほど時価総額が落ち込みましたが、これでは済まないでしょう。
タカタのエアバッグ問題は「事故」でしたが、フォルクスワーゲンの場合は「確信犯」です。

またそもそも規制をクリアしているディーゼル自体が開発されているかもわからないので、
リコールで収まるかも不明です。

フォルクスワーゲンは解体に追い込まれると思います。
最終的には、フォルクスワーゲンとアウディ以外の保有するブランドも売ることになるかも知れません。

このタイミングでトヨタが手を出すと批判があるかも知れませんが、
ポルシェやベントレーなどをトヨタが手に入れるのも面白いと思います。

いずれにせよ、フォルクスワーゲンとアウディのみで何とか生き残るしか道は残されていないと私は見ています。

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▼三菱重工がフランスの犠牲者にならないために
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三菱重工業は24日、経営再建中の仏原子力設備大手アレバの原子炉子会社アレバNPへの出資について、
仏側と協議していると発表しました。

これは三菱重工にとって、毒入りきのこ弁当を食べるようなものでしょう。

仏電力公社(EDF)がマジョリティを持つということは、フランスが絡んでくるということになります。

日産、ルノーでもさんざん痛い目にあっていますが、フランスは非常に余計なことをしてくる厄介な存在です。

三菱重工に出資を要請しつつ、中国企業にも同様の動きを見せています。
ゆえに、この枠組に入ると、三菱重工が開発するノウハウを中国に持っていかれる可能性が非常に高いと思います。

と言って要請を断れば、協業関係から閉めだされるのは間違いありません。
その場合には、国際化への対応を自力でやり直す必要が出てきます。
日立・GE側と一緒に、という方向性しかないでしょう。

フランスが関わってくるとなると、主導権は握れません。
行くも地獄、去るも地獄という厳しい状況ですが、それでも今の三菱重工にとってやらざるを得ない選択肢です。

ノウハウが流出しないように、いかに自制を要求できるか、課題は山積しています。
フランスはイスラエルに核兵器の作り方を教えたこともあるなど、何とも「調子がいい国」で油断できません。

三菱重工が犠牲者にならないことを祈るばかりです。

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▼世界シェアの3分の1を占める合併は、独禁法に抵触しないのか
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ビール世界首位でベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)は16日、
同業2位の英SABミラーに買収を提案すると発表しました。

両社を合算すると世界シェアの約3分の1を占めるため、規制当局が買収を認めるかは不透明とのこと。

この合併が実現すると、他の企業は「やってられない」状況になるでしょう。

ハイネケンも健闘していますがまだまだ小さいですし、日本勢にいたっては逆立ちしても及びません。

この合併を認めるなら、独禁法の意義が問われると私は思います。

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※この記事は9月27日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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三菱重工や中国企業に出資要請している仏アレバ。

大前は、この協業を進めた場合に
三菱重工のノウハウが中国に流れる恐れがあると指摘しています。

グローバルマーケットで戦うためには自社のみのリソースでは難しく、
様々な海外プレーヤーとの協業が求められます。

ただし利害関係の調整は簡単なことではないため、
ステークホルダーとの関係を慎重に作り上げていくことが重要です。

自社にとってのリスクを把握した上で、
事業を前に進める実行力が必要となります。

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