2015年11月27日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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国内経済・アベノミクス・国内企業業績・内部留保課税〜政府はまったくもって経営・経済を理解できていない

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国内経済 7-9月期GDP
アベノミクス 息切れしている〜ウォール・ストリート・ジャーナル〜
国内企業業績 経常利益率6.6%で9年ぶり過去最高
内部留保課税 財務省内での検討を否定

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▼ アベノミクスは最初から方向性を間違えている
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内閣府が16日発表した2015年7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値は、
物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%減、年率換算では0.8%減になりました。

企業の設備投資は1.3%減と、2四半期連続の減少。
輸出や個人消費も力強さを欠き、景気の足踏みが長引いています。

安倍首相の演説を聞いていると、「あれも伸びて、これも伸びて」と順調そうに聞こえますが、
実質GDP成長率の推移を見れば、明らかに間違っているとわかります。

安倍首相が就任してからのGDPの内訳を見ると、公共投資を一部伸ばしたり、
直近では輸出が伸びたりしていますが、もっとも重要な民間消費支出を伸ばせていません。

この厳しい事実が突きつけられているにも関わらず、
未だに黒田バズーカーに期待しているのは日本だけでしょう。

米ウォールストリート・ジャーナル紙は17日、安倍政権の経済政策について
「アベノミクスが息切れしている(Abenomics Sputters in Japan)」と題した社説を掲載しました。

アベノミクスの財政出動で「日本の借金は国内総生産(GDP)の250%に近づく一方、
銀行の貸し出しが増えず、デフレが続いている」と指摘しています。

このようなことは、私が数年前から一貫して指摘している通りです。

安倍首相は反論したそうですが、誰がどう見ても「事実の数字」を見れば日本経済は休止しています。

当初の予定では、2年後に物価上昇率と言っていたのに、未だ達成できていません。

もっと謙虚になって、経済が伸びない原因を分析するべきです。

経済学者もいい加減な姿勢で安倍首相にアドバイスするのではなく、
きちんとした分析をして国民に説明しないと恥ずかしいでしょう。

私に言わせれば、原因の分析もせず、ただ同じ対策を繰り返すというのは理解に苦しみます。

息切れするのも当然でしょう。

20世紀の古い経済学を振りかざして「もう1発、黒田バズーカー」などと言っている場合ではありません。

今の日本経済が停滞している理由は、何度も私は説明していますが、「低欲望社会」だからです。

この社会構造において、GDPを伸ばしていくのは容易ではありません。

日本のように低欲望社会が進むと、
20世紀の経済学を使っても「全くお金が経済に吸収されない」のは実証済みです。

日本の「低欲望社会」の原因を究明し、野心と欲望を国民が持つようにすることが、
今最も求められている対策です。

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▼ 内部留保を「設備投資」「給与」に回せというのは、全くのお門違い
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政府は、いまだに「低欲望社会」に陥っている日本経済停滞の根本原因を理解しておらず、
約320兆円もある企業内部留保の資金を「投資に回せ、給与に回せ」と主張していますが、
全くの的外れです。

確かに、企業業績は好調です。

日経新聞は、15年4〜9月期決算を終えた3月期企業1530社(金融など除く)の今期見通しを集計しました。

経常利益率(原則連結)は6.6%と、金融危機前の07年3月期の6.5%を上回り、
経常利益の合計額も今通期で34兆887億円と、過去最高だった前期から6.9%増える見通しです。

業績が好調だからといって、政府が求めるように「設備投資」「給与」に
お金を使うのは現実的な経営の観点からすれば、あり得ません。

海外での設備投資なら需要があるでしょうが、
日本国内には「実際にやりたい設備投資」はないでしょう。

政府は全くもって経営・経済を理解できていないと言われても仕方ないレベルだと思います。

政府は、法人税減税を理由に「設備投資」「給与の引き上げ」を経団連に要求しているようですが、
「法人税を引き下げて残るのは何か?(内部留保と配当)」ということすら分かっていない証拠です。

また一部では、企業の内部留保に課税する動きもあると言われていますが、
さすがにそれに対しては麻生財務相も菅官房長官も否定的な見解を示しています。

* * *

麻生財務相は20日、自民党内で企業の内部留保への課税を検討する動きがあることに関し
「二重課税になり得るのはいわずもがなの話だ。内部留保課税の話を(財務省内で)
検討させているという事実はない」と述べました。

また菅官房長官も内部留保課税について「そこまでしなければ経済界のマインドが変わらないのか、
政策的な議論を深めることが先決だ」と、慎重な姿勢を示したとのことです。

二人とも内部留保課税に否定的な考えを示す一方で、現在の企業姿勢には疑問符をつけ、
企業が内部留保せずに「設備投資」「給与」にお金を回すようにすべきとの見解を示しています。

結局、麻生財務相も菅官房長官も、大切なことを理解できていません。

政府が経営のことをわかりもしないで、思いつきレベルの提言をするのはいい加減やめてほしいと思います。

またアドバイザーを求めるなら、政府は経済学者ではなく、実際に経営経験を積んだ人に依頼するべきです。

いずれにせよ、今の政府の動きはあまりにお粗末に過ぎます。

的外れの経営指南をしている場合ではなく、
基本的な「アベクロ経済政策」が機能していないのですから、
まずは謙虚になって徹底的に原因を究明し、対策を立て直すべきでしょう。

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※この記事は11月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は国内経済の話題をお届けしました。

経営を理解していない政府。
大前は、学者ではなく経営経験を積んだ実務家にアドバイザーを
依頼すべきと指摘しています。

問題解決の学びについても同じことが言えます。

実務経験が豊富で、今も成果を出し続けているプロフェッショナルだからこそ、
「考える技術」を正しく教えることができます。

問題解決の学びは実学です。現役を退いたり、
知識だけ持ち合わせている人からは、学び取ることができません。

2015年11月20日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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三菱航空機・東芝・東洋ゴム工業・LIXILグループ〜東洋ゴム工業は同じ過ちを繰り返している

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三菱航空機 MRJが約1時間半の初飛行
東芝 米WHが計約1600億円の減損損失計上
東洋ゴム工業 非タイヤ抜本改革へ新体制発足
LIXILグループ 最終赤字228億円

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▼ MRJの初飛行に喜んでいる場合ではない
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三菱航空機の国産ジェット旅客機「MRJ」の試験機が11日、約1時間半にわたり初飛行しました。

日本メーカーが民間旅客機の胴体や操縦システムまで開発するのは
1962年に初飛行した「YS11」以来、半世紀ぶりです。

このニュースに日本中が沸きましたが、本当に「長い」のはこれからです。

FAA(アメリカ連邦航空局)による厳しい型式認定を取得できなければ、
米国で販売できず、元も子もありません。

かつて三菱航空機は、MU-2というビジネス機(ターボプロップ機)を開発しました。

米国での評判も非常に良く、かなり販売も好調でした。
それを受けて、MU-2よりもワンランク上の高級ビジネス飛行機を計画しました。

MU-300(海外では「ダイヤモンドI」)と呼ばれたその機種は、
100件ほどの仮受注を受けて量産体制に入ったものの、
米国のFAAから型式認定を得ることが出来ませんでした。

ようやく型式認定を受けた時には、「時すでに遅し」で相次ぐキャンセルなどで、
三菱航空機は大打撃を受けました。

今回の「MRJ」もこれから米国の型式認定を受けることになります。

1時間半飛行したと喜んでいますが、米国の型式認定では2500時間ほど飛行し、
あらゆるケースでのテストを繰り返します。

まだまだ手放しに喜べる状況ではありません。

また、MRJは「燃費がいい」ことが大きなウリになっていますが、
エンジンは三菱が開発したものではないので、ボンバルディア、エンブラエルを始め、
競合メーカーも追随してくるでしょう。

2年ほど先を歩んでいると言われてきましたが、
今回のMRJ開発の遅れでその優位性も失われています。

エンジン以外に目を向けても、機体の設計などそれほど大きな差が生まれる部分ではありません。

FAAの認可を受けられたら、その先は「販売力」の勝負ですが、
三菱航空機は競合メーカーに比べて海外の販売力は強くありません。

逆に、ブラジルのエンブラエルなどはかなり売る力を持っている企業です。

すると、三菱航空機としては結局のところ、ボーイングと提携して販売してもらう、
というような形に落ち着くしかないでしょう。

日本の誇り、零戦の伝統が活きている、などと報道されていますが、
現実的にはそれほど甘いことはなく、むしろ開発の遅れで厳しい状況に立たされています。

三菱航空機の航空機開発は日本の「国策」ですから、
「恥をかかなければいい」くらいで考えれば良いと私は見ています。

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▼ 東芝はウェスチングハウスの償却処理を一気に進めるべき
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東芝は12日、子会社の米原子力発電会社ウェスチングハウス(WH)で原発建設などが思うように進まず、
2012、13年度の決算で合わせて約13億ドル(約1600億円)の減損損失を計上していたことが明らかになりました。

東芝が先週末の決算発表で損失額を発表した際は、金額を公表しておらず、
巨額な損失を積極的に開示しなかった姿勢に批判の声もあがっています。

これは違法ではありませんが、限りなく「黒に近い灰色」でしょう。

私は、WHにはもっと大きな問題が隠れていると思っていましたが、
この程度ならば一気に公表して償却処理を進めるほうが良いでしょう。

ただでさえ信用を失っているタイミングで、こんなところにも隠蔽があったとなると、
そのほうが大きな問題です。

ソフトバンクが保有しているスプリントも似たような状況で、損失があるのに計上されていません。

東芝としてはソフトバンクも同じだから、という言い訳をしたいのかも知れませんが、通じないでしょう。

東芝としてはすでに俎上に載せられている状況なので、一刻も早く対応するべきです。

* * *

相次ぐ不祥事に揺れる東洋ゴム工業は12日、新しい経営体制を発足させました。

京セラ元専務の駒口氏が会長、常務執行役員だった清水氏が社長に就任するものです。

清水氏は「創業70年の会社有史以来の危機的な岐路に立っている」と危機感を示すとともに、
駒口氏は「全てのウミを出し切る」と強調し、免震ゴムと防振ゴムの問題解決に全力を挙げる考えを示したとのことです。

しかし、この方法では絶対に上手くいかないと私は思います。

膿を出し切るのではなく、全てを表に出して、社内のマイナー事業をやっている日陰者ではなく、
プライドを持った人が経営にあたるべきです。

具体的に言えば、非タイヤのゴム事業に専念する会社を作り、その会社で全責任を追って取り組むべきだと私は思います。

巨大なタイヤメーカーの10%程度に過ぎない一事業ではダメなのです。
タイヤメーカーが取り組んでいる体制自体に問題があります。

東洋ゴムという企業は、同じような過ちを何度も繰り返しています。

* * *

LIXILグループが2日発表した2015年4〜9月期の連結決算は、最終損益が228億円の赤字でした。

主力の水回り事業が国内外で好調で、売上高は前年同期比10%増の8774億円、営業利益は2.4倍の320億円でしたが、
中国で水回り事業を手がける子会社「ジョウユウ」の経営破綻に伴い、
関係会社投資関連損失281億円を特別損失に計上したのが響いたとのことです。

売上、営業利益は順調ですから、臨時の損失だと理解できます。

一方、1兆円規模の企業にしては営業利益が低いことが気に懸かります。
それほど、「遊び」はない状況かも知れません。

世界一の道を歩んでいますが、もう少し収益基盤を強化する必要があるでしょう。

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※この記事は11月15日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は東洋ゴム工業に関する話題をお届けしました。

経営体制を刷新し、免震ゴムと防振ゴムの問題解決に全力を挙げることを示した同社。
しかし大前は、今回の方法でも上手くいかないのでは?と指摘しています。

なぜ、同じような過ちを繰り返してしまうのでしょうか?
それは企業の本質的な問題を把握していないためです。

取り組むべき問題の認識がずれていては、成果をあげることはできません。

まず最初に、問題がどこにあるかを正しく見極めること。
抜本的な問題解決を行うに当たり必要なステップです。

2015年11月13日(金) 

■(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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中台関係、南シナ海〜中国には台湾を運営するノウハウがない

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中台関係 1949年の中台分裂後初の首脳会談
南シナ海 「航行の自由」作戦 米国側はどう報じているのか?

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▼ 中国との首脳会談の定例化は、馬英九氏の最後の一仕事
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中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統は7日、シンガポールで会談しました。

両首脳は中国と台湾が不可分の領土であるとする「一つの中国」の原則のもと、
経済・文化交流を拡大することを確認しました。

双方どちらも「1つの中国」を主張していますが、
思い描いている「1つの中国」像は異なります。

中国:中華人民共和国(毛沢東)であり、台湾:中華民国(蒋介石)となります。

実際のところ、両者が1つの国になることがあるのか?というと、私は難しいと感じています。
さらにいえば、今の中国に台湾を飲み込む資格がありません。

台湾は中国系の国家として初めて民主主義国家として国家元首を決める国になりました。

人口2300万人、憲法、通貨、軍隊などの統治機構を持っており、国境も明確です。

主権国家論でいえば、完全に1つの国として成り立っています。

中国は香港と同じように、掠め取ろうと画策するかも知れませんが、
軍隊の強さや米国との関係性を見ても、完全に征服するのは至難の業だと思います。

また、中国では台湾を征服したところで、
今の台湾を運営するノウハウがないので、経営が成り立たないでしょう。

台湾には危機感を抱えている人が多く、そのため語学の勉強に励み、
米国への留学などにも積極的で起業をする人も多くいます。

技術力、経営力は群を抜いています。北京語が話せる高スキルの人材です。

このような人たちが、資本主義について何もわからない中国に来てくれたことで、
中国はかなり助けられています。鴻海は100万人の雇用を生み出しています。

中国と台湾の関係性は、「今まで通り」で何も問題がありません。

ではなぜこのタイミングで両首脳会談が行われたのか?というと、
私は馬英九総統の「最後の一仕事」だと思っています。

来年1月の総統選では蔡英文氏が台湾総統になることが、ほぼ確実と言われています。

馬英九氏が今年から中国との首脳会談を再開し、
「定例化」することで来年以降、蔡英文氏も中国との関係性を築きやすくなります。

そこを見据えて、馬英九氏が最後の台湾への貢献として実現させたのだと思います。

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▼ 南シナ海問題に、日本は関係を持たないほうがいい
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「南シナ海『航行の自由』作戦、米国側はどう報じているのか?」
という記事が一部メディアに掲載されました。

戦略学者の奥村真司氏が米国サイトの記事を紹介・解説しています。

領海と経済的排他水域の領有権について、国連海洋法条約の定義を示す一方、
米国と中国でその解釈が異なると指摘しました。

現在の米国の行動はまだメッセージ性が弱いものの、
我々は情勢を注視していく必要があるとしています。

米国も中々いい加減な国で、国連海洋法に基づいて12カイリに入っていると主張していますが、
そもそも米国は国連海洋法を批准していません。慣例として守っているという形です。

一方の中国は国連海洋法を批准していますが、守っていません。

中国は、かつて日本が沖ノ鳥島の周辺の岩礁を埋め立て、
護岸工事を行った事例を参考にして「領土」として主張しているので、
日本としてもあまり大きな批判はしにくいかも知れません。

米国というのは、常に自国の正当性を主張する国ですから、
日本が一緒になってこの手の問題に絡むと非常に厄介だと思います。

私としては、今回の問題には関係を持たないのが一番得策だと思いますが、
米国に要請される可能性はあるでしょう。

何とか突っぱねて、米国に巻き込まれないようにしてもらいたいところです。

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※この記事は11月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は中台関係の話題についてお届けしました。
記事中、大前は台湾の高スキル人材の存在に注目しています。

さて、グローバルな環境でも通用する人材の要件とは何でしょうか?
その一つに挙げられるのが、論理的思考力です。

異なる文化や意見を持った相手を前にしたとき、
論理的思考力は求められてきます。

この力なくして、グローバルにおける活躍はあり得ません。

2015年11月06日(金) 
(1)〜大前研一ニュースの視点〜
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自動車ブランド調査、ホンダ、ルノー・日産連合〜自動運転の実用化への道のりは長い

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自動車ブランド調査 「レクサス」が3年連続首位
ホンダ 高速道路での自動運転機能2020年に実用化
ルノー・日産連合 日産保有のルノー株への議決権付与に反対

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▼ コンシューマー・リポートに見るブランド戦略の成否
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米有力消費者情報誌「コンシューマー・リポート」の2015年の自動車ブランド信頼度調査で、
トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」が3年連続で首位になりました。

欧州勢では、独フォルクスワーゲンは傘下の「アウディ」が3位、
「VW」は13位(調査は不正発覚前)となっています。

米国勢では、最大手ゼネラル・モーターズの「ビュイック」が7位で唯一トップ10入りしています。

米国では車を買う前に必ず読まれるものなので、コンシューマー・リポートは非常に重要です。

「レクサス」「トヨタ」で1位、2位を独占し、米国ではレクサスのブランド戦略は非常に上手く行っています。
日本とは異なり、レクサスのポジショニングが確立されています。

「アウディ」もお客さんへのケアで有名ですが、高い評価を受けています。

「マツダ」「スバル」が4位、5位に食い込んだのも興味深いところです。

マツダはフォードの子会社でしたが、そこから離れて独自で歩みだしたらブランドイメージが向上した形です。

一方で、ホンダ、日産が凋落しておりトップ5にも入っていないのも注目すべきことでしょう。

* * *

ホンダは、2020年をめどに車の自動運転の実用化をめざす方針を固めています。

ホンダは今年から一部車種で自動ブレーキや道路脇の歩行者への衝突回避などの機能をパッケージした
「ホンダ・センシング」を搭載スタート。

高速道路での追い越しや先行車への追随などの機能を市販車に搭載を目指すとのことです。

自動運転の実用化には各社が様々な取り組みをしています。
三菱グループなどGPSを利用した自動運転にチャレンジしているところもありますが、
長いトンネルで事故が起きた場合の対処など、リスクが高いと指摘されています。

また、現在の技術では一般道の「右折」が難しいと言われています。

対向車との距離から右折できるかどうかを判断するのが難しいそうですが、
そう言われても「左折」ばかりするわけにも行きませんから、
まだまだ一般道の自動運転の道のりは遠い状況です。

ホンダが目指しているような「高速道路に限った自動運転」なら
技術的にはクリアできるかもしれません。

しかし一方で、高速道路は交通ルールを守らずに運転する人が多いのが実態であり、
「ルールを外せるボタン」などが求められる気がします。

そのようなものを国交省が認可するとも思えず、障害になる可能性があるでしょう。

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▼ 超ナショナリズムの動きを見せるフランス政府、時すでに遅し
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フランスのマクロン経済産業デジタル相は、ルノー・日産自動車連合が日産の持つルノー株への
議決権付与を検討していることについて「アライアンスを傷つけるリスクがある」と述べ、
ルノーの筆頭株主として反対する意向を表明しました。

また、「長期で投資すれば、リターンがあるのが普通だ」と
仏政府の対応の正当性を訴えたとのことです。

私が恐れていた事態になっています。

ゴーン氏が5〜6年前からきちんと対応していればこのようなことにはならなかったはずですが、
「時すでに遅し」といったところでしょう。

フランス政府の嫌らしさが見事に出てきました。
フランス政府はルノー株を買い増し、議決権は約28%にまで高まっています。

当初、私はゴーン氏が裏でフランス政府と手を結んで
日産を好き勝手に食い物にしてしまうのではないかと危惧していました。

今でもその疑念は消え去っていませんが、フランス政府側にはその意向はないようです。

マクロン経済産業デジタル相のポジションは、まさに
「ゴーン氏が将来狙っているポジション」の1つでしたが、今回ゴーン氏は突き放された形です。

日産の役員、日本の経産省ももっと早いタイミングで動くべきでした。

最後になってドタバタして、ゴーン氏が日産の議決権をフランス政府並みに高めるよう画策していましたが、
すでに遅かったと言わざるを得ません。

こうなってしまうと、フランス政府は超ナショナリズムですから、もはや信頼できません。

フランス政府のマクロン氏は「リスクがあるときに投資したのだから、リターンは当然」と言いますが、
それだけでは、今恩恵があるタイミングになって15%から28%に買い増しする理由にはなりません。

私に言わせれば、明らかに議論が破綻しています。

しかし、すでにルノーの支配権を持っているので、
ゴーン氏を始めとして誰もフランス政府に突っ込めない現状になっています。

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※この記事は11月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は自動車業界の話題について解説をお届けしました。

車の自動運転の実用化を目指しているホンダ。
大前は、実用化までの道のりはまだ遠いと指摘しています。

テクノロジーの進化スピードはどれくらいか?
それは、消費者の生活にどのような影響を及ぼすのか?

今起こっている現象から未来を見通す「先見力」を持つことが、
ビジネスチャンスの獲得につながります。

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