2016年02月26日(金) 
今週の 大前研一ニュースの視点

消費支出・マイナス金利・不動産市場〜経済の「膨らみ」を作ることが大切
消費支出:2015年実質消費支出 前年比2.3%減
マイナス金利:当座預金10〜30兆円対象 市場反応読みづらく
不動産市場:不動産融資、26年ぶり最高
経済の「膨らみ」を作ることが大切

総務省が16日発表した2015年の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は月平均28万7373円となり、前年に比べて2.3%減少しました。2年連続のマイナスで、2014年4月の消費増税以降、消費の手控えムードが長引いている現状が改めて示されました。
先日も「200円カレーが東京に上陸」という話題がありましたが、他にもガストなどローエンド商品が好調な様子を見せています。安倍首相は賃金が上がったと主張していますが、実際には消費に結びついておらず、再びデフレに戻っているというのが実態でしょう。
消費支出の推移からも、実質消費支出は冷え込んでいるのは一目瞭然です。内訳を見ると、衣服、教養・娯楽などが落ち込んでいます。国民が「身構えている」のがわかります。その上、今の日本はお金を使わなくてもいいように、様々な低価格サービスが充実しています。
私もCoCo壱番屋のカレーを食べますが、600円そこそこで食べられる「あさりカレー」など十分な味だと思います。このような店が他にもたくさんあります。だからこそ重要なのは、「ドーンとお金を使いたくなるもの」だと私は思います。
欧米では「大きなお金を使うもの」があります。米国の場合、セカンドハウスです。部課長クラスの人なら、引退後に過ごすセカンドハウスを南の地域に買います。働いている間は貸し出して、年間2回ほど使い、引退後は今の家を売却し、セカンドハウスへ移ります。これは非常に大きなお金が動きます。
欧州では「バケーション・旅行」が同じ役割を果たしています。かつてはバケーションを取らないと言われたドイツ人も、今は夏2週間、冬1週間のバケーションが普通になりました。イタリア人など、収入の1/3をバケーションに使うと言われています。やはり、これも非常に大きなお金が動きます。
日本の課題は、「経済の膨らみ」の部分がないことです。カレーやハンバーガーで少々高級なものが出まわっても、日本全体から見れば誤差に過ぎません。
デフレは構造的なものですから、それ以外の部分で経済を膨らませる仕掛けを作らないと、1700兆円の個人金融資産は市場に出てきません。倹約する部分ははっきりしていますから、それとは別に人間の「高欲望」を刺激するようなものを作ることが非常に重要だと思います。
政府・日銀は相変わらず、今の日本人に「お金を使おう」というメンタリティがないという課題を理解していません。
先日、日経新聞が「当座預金の10〜30兆円対象 市場反応読みづらく」と題する記事を掲載しました。金融機関が日銀に預ける当座預金の一部に年0.1%のマイナス金利を導入することで、日銀は世の中の様々な金利を押し下げる狙いと紹介。しかしその経路は複雑で、実際に市場金利が円滑に下がるかどうかは不透明としています。
こんなニュースを見れば、暗くなるのは当然ですし、お金を使おうというメンタリティが育つわけもありません。便乗値下げも横行し、何をやっているのかと思います。
すでに不動産市場のピークは過ぎている

日経新聞は「不動産融資 26年ぶり最高」と題する記事を掲載しました。これは、2015年の不動産業向け新規貸し出しは10兆6730億円となり、前年比6.1%増になったと紹介。
低金利を背景に住宅やオフィスビルの需要が底堅く、日銀の異次元緩和でマネーが不動産市場に流れ込んでいることが要因としています。銀行の不動産向け新規貸出額の推移を見ると、確かに今80年代の水準に近い数値になっていますが、私の肌感覚では不動産市場は昨年11月がピークだったと感じています。
市場が冷え込んでいるとまでは言いませんが、急速に不動産の値上がりがとまった印象があります。中国人のお金持ちが、国外にお金を持ち出すことができず滞留しているということも影響していると思います。
今はすでにそれほど売りやすいタイミングではなく、このニュースは2ヶ月ほど遅れていると感じます。
この記事は2月21日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週は消費支出に関する話題をお届けしました。
大前は、消費支出の情報をもとに「国民は身構えている」と分析し、それに対して高欲望を刺激する策が必要と解説しています。
データから世の中の現状を見出すことは、本質的な問題発見につながります。そして、マクロ情報だけでなく身近な変化を丁寧に観察していくことで、世の中のトレンドを理解できます。
ニュースの情報などを鵜呑みにするのではなく、ファクトをもとに自分の頭で論理的に考える。そうすることで、いま、本当に取るべき問題解決策が見えてきます。

2016年02月19日(金) 
01 今週の 大前研一ニュースの視点

シャープ・山崎パン・アサヒグループHD・米インテル〜マイクロソフト依存体質から脱却したインテル
シャープ:鴻海・郭氏、思い届くか
山崎パン:「ナビスコ」ライセンス契約を8月末で終了
アサヒグループHD:英SABミラー傘下の欧州ビール事業を買収
米インテル:インテル「3本の矢」育つ
鴻海はシャープが求める誓約書など無視するべき

日経新聞は10日、「鴻海・郭氏、思い届くか」と題する記事を掲載しました。
これは、シャープ買収へ並々ならぬ意欲を見せてきた郭台銘董事長は、資本提携が破談となった2013年以降も買収の機会を探ってきたと紹介。前回の反省から今回はいつもの強硬姿勢を抑えて交渉に挑んでおり、郭氏の5年ごしの悲願がなるか注目が集まっていると報じています。
郭台銘氏の悲願につけ込んで、シャープ側の態度が図々しくなり過ぎていて、私は呆れ返りました。産業革新機構からは、1万人のレイオフ・経営陣の退任を突きつけられたシャープでしたが、鴻海には逆に、人員削減、経営陣の退任や事業の切り売りをしないよう誓約書の提出を求めたそうです。
厚顔無恥も甚だしい限りです。経営陣など、自分たちの経営に問題があったために今の状況を招いたというのに、このような条件を出すとは信じられません。これだけでも、今のシャープには未来がないと感じます。
先日、「シャープにプライドはないのか」というタイトルで夕刊フジに私の意見が掲載されました。なんと、それを読んだ郭台銘氏から、お礼メールを受け取りました。おそらく、今はかなり神経質になって様々な情報をキャッチしているのだと思います。
郭台銘は40歳未満の雇用は守ると公言していますが、それ以外の場合はケース・バイ・ケースでしょう。これ以上、細かいことは発言しないほうが良いと思います。
あまりにシャープ側が図々しいなら、勝手にしろと突き放しても良いと私は感じます。それほど、シャープ側の態度はひどすぎます。
ブランドを持っているからといって、自分勝手過ぎる

山崎製パンは12日、「ナビスコ」ブランドを保有する米モンデリーズ・インターナショナルと結ぶライセンス契約を8月末で終了すると発表しました。これにより、ビスケット菓子「オレオ」や「リッツ」など4ブランドは、9月からモンデリーズ社の日本法人が販売するということです。
バーバリーを長年日本で根付かせてきた三陽商会も契約を切られましたが、まさしく同じような状況だと思います。ヤマザキナビスコは40年以上にわたって、非常によくやってきたと思います。
2000年、米クラフト・フーズがナビスコと事業統合し、北米以外のスナック事業をモンデリーズ・インターナショナルとして分社化しました。この会社が、日本の自社展開を目指し、山崎を切るという判断をしました。しかも、山崎側には、販売は自分たちでやるから「下請けとして製造だけやってくれ」とオファーしたそうです。山崎は断ったとのことですが、当然だと思います。
山崎の売上高は約1兆円で、今回ライセンス契約が終了するお菓子の売上は150億円程度ですから、それほど大きくはありません。ただし、利益で見ると全体の10%を占めているそうなので、かなり儲けている分野です。今後は、ヤマザキビスケットとして再出発するそうですが、ぜひ失地回復をして欲しいと思います。
三陽商会を切ったバーバリーも、今回のモンデリーズも、ブランドを持っているからと言って、あまりに勝手気まま過ぎます。私は許しがたいことだと思います。ヤマザキビスケットの将来を応援したいと思います。
アサヒの欧州ビール事業買収額3300億円は、高すぎる

アサヒグループホールディングスは10日、英ビール大手SABミラー傘下の欧州ビール事業の一部を買収することで合意したと正式発表しました。買収額は約3300億円で、アサヒは欧州市場を足がかりに海外事業を強化する考えです。
買収した、イタリアの老舗「ペローニ」はイタリアのトップシェア(17.4%)、オランダ「グロルシュ」は3位(13.9%)、英クラフトビール「ミーンタイム」、英ビール販売会社「ミラーブランズ」です。買収4社の売上合計は1296億円で、アサヒの国際事業全体の売上高が4000億円強になります。国内売上は約9000億円ですが半分は税金ですから、ほぼ同レベルになるということです。
また、現在は海外でほとんど利益は出していませんが、買収後のEBITは110億円になります。110億円の利益はありがたいことですが、110億円に対して3300億円という買収額は高すぎます。利益に対して買収額が30倍以上になっています。普通なら12〜13倍ですから、随分高い値段をつかまされたということでしょう。
マイクロソフト依存体質から脱却したインテル

日経新聞は9日、「インテル『3本の矢』育つ」と題する記事を掲載しました。これは、データセンター、IoT、メモリーの3分野に重点投資により、3事業の営業利益の合計が2015年にPC事業を初めて上回ったと紹介。縮小が続くパソコン市場に依存していた体質からの脱却を図る取り組みが功を奏したということです。
"Intel Inside"として、マイクロソフトと共に歩んできたパソコン戦略。マイクロソフトに頼りきりでしたが、軸足をずらし始めています。クライエントコンピューティング、パソコン事業は依然として利益は出ています。加えて、データセンター事業が利益を出せるようになり、IoTもそこそこ利益が見込めるようになってきています。
「マイクロソフト様様」だったインテルが、そこから脱却しつつ新しい事業展開を模索しているこの戦略は非常に参考になる事例だと思います。
日本の半導体メーカーは一本調子で、全部足しても負けるという状況ですから、ぜひ参考にしてほしいと思います。
この記事は2月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週はインテルの話題をお届けしました。
3事業の成功により、パソコン市場から脱却した同社。大前は、日本の半導体メーカーが参考にすべき事例と紹介しています。
縮小する一つの市場に頼っているだけでは、長期的な成長は期待できません。更なる成長のためには、複数事業の展開も視野に入れる必要があります。
自社の強みを把握し、それを活かすことのできる事業戦略を描くことが、問題解決につながっていきます。

2016年02月12日(金) 
三菱重工・トヨタ自動車・東芝・シャープ〜鴻海・郭会長が夢見るのは自社ブランド
三菱重工:2番船の引き渡しが半年以上延期見通し
トヨタ自動車:国内全16工場を生産停止
東芝:連結最終赤字7100億円
シャープ:高橋興三社長ら経営陣と会談
鴻海・郭会長が夢見るのは自社ブランド。技術力に不安など微塵もない

シャープの経営再建を巡り、台湾の鴻海精密工業の郭台銘会長は5日、大阪市のシャープ本社を訪れ、同社買収に向け高橋興三社長ら幹部と会談に入りました。
会談の後、郭会長は「優先的な交渉権を得てサインした。90%は乗り越えた。残りは法律的なことで問題はないと思う」と述べたとのこと。
私は産業革新機構よりも鴻海のほうが良いと思っていましたが、その通りの展開になりました。産業革新機構は、私に言わせれば「事業をLEGOのようにくっつけているだけ」であり、何ら経営的な手腕はありません。
液晶事業ならジャパンディスプレイのように、短絡的に事業をくっつけるだけでは、絶対に成功しません。知恵のカタマリ・鴻海の郭会長に勝てるべくもありません。おまけに、税金を使うのですからお粗末な話です。
産業革新機構は海外の企業に売却すると「技術流出が起こる」などと言っていますが、鴻海の郭会長がシャープ買収に乗り出しているのは、技術が欲しいのではなく、シャープのブランドでしょう。
そもそも、シャープに鴻海以上の技術はありません。シャープに本当に液晶の技術力があるなら、例えばアップルが液晶メーカーとして選んでいたでしょう。そのアップルから5億台ものiPhoneの生産を任されているのが鴻海です。
その他、ゲームで言えば任天堂、マイクロソフトのXbox、ソニーのプレステ、更にはソフトバンクの孫社長イチオシのペッパー君も鴻海が作っています。液晶テレビにしても、OEMで扱っているVIZIO(ビジオ)は米国でシェアを伸ばしていますから、技術力には全く問題ありません。
その結果、15兆円の売上をあげる企業になりましたが、いずれも作ってきたのは「他人様のモノ」です。ゆえに、郭会長が1つだけ満たされない部分があるとすれば自社ブランドだと私は思います。一から「自分で」作り上げる商品・ブランドを夢見ているはずです。
今の鴻海からすれば、7000億円が丸々損失になっても大丈夫でしょうから、郭会長は相当お金を使ってでもブランドを大事に育てていくつもりだと私は見ています。
技術立国・三菱重工の苦難/トヨタは差別問題の火消しを

三菱重工業が客船世界最大手、米カーニバル系向けに建造中の大型客船の2番船が、3月の納入予定から半年以上遅れる見通しであることが分かりました。
2015年度内の引き渡しをめざす1番船については既に3回延期しており、2番船の納入遅れで、さらに損失が膨らむ恐れが出てきたとのことです。2番船を含め、3回も火事が発生していますし、もう納品をやめたほうがいいのではないか、というほどひどい状況です。
1日納期が遅れると、1000分の1ずつ損失になると言われています。1番船だけで1600億円の特別損失とのことですから、大きな数字です。
三菱重工は、飛行機ではMRJの開発スケジュールが遅延し、原発では米サンオノフレ原発で三菱重工製の蒸気発生器からの放射能漏れ問題で廃炉になり、訴訟を起こされています。その上、造船で今回の事態です。
現状では、そこそこ収益は出ていますが、さすがにこのような問題が続いていくと、三菱重工とはいえ、屋台骨が揺らぐ可能性もあるでしょう。
また技術立国の三菱重工として、このような事態は起こっていることが深刻だと思います。
* * *
トヨタ自動車は1日、8日から13日までの6日間、国内車両工場の全ラインの稼働を停止すると発表しました。1月8日に発生したグループの愛知製鋼の爆発事故の影響で、エンジンや変速機などに使う一部の特殊鋼部品の確保が難しくなったためとのことです。
史上最高益を叩き出し、生産台数も順調なトヨタです。好事魔多しというところでしょうか。私としては、米国子会社がローンの際、「人種で差別していた」という問題のほうが気にかかっています。損害賠償、不買運動など大きな事態になってしまう可能性もあるので、早急に是正処理を進めることが重要だと思います。
また、トヨタとスズキの海外市場での業務提携については、トヨタにとってプラスになる点が多いでしょう。国内を除いてみれば、トヨタ・ダイハツが得意なインドネシア、スズキが得意なインド、というように、国・地域がズレているので良い補完関係が築けると思います。
凋落する東芝と、途上国に光を見るヤマハ

東芝は4日、2016年3期の連結業績見通しを下方修正し、最終赤字が7100億円になると発表しました。昨年12月に発表した予想(5500億円)から一段と拡大するもので、電力・社会インフラ部門の採算が悪化したほか、パソコンやテレビといった家電、半導体部門でもリストラ損失などが膨らむとのことです。
7000億円の赤字は、もう「気持ちいい」レベルです。このくらいの赤字になると、ちょっと利益を出そうという気持ちもなくなるのではないでしょうか。
お金がないので、東芝メディカルシステムを売却する動きを見せていますが、まさに悲劇です。私ならば、東芝テック、東芝メディカルシステムは絶対に売りませんが、現在の東芝には他に打てる手がないのでしょう。
* * *
ヤマハの株価が5日、一時、ストップ高にあたる前日比502円高い3175円まで上昇しました。世界トップシェアを握る楽器販売が各地で好調なことを背景に、前日2016年3月期の業績予想を上方修正したことが好感されました。
ヤマハの業績が調子良いというのは、この30年間ほとんど耳にしたことがありませんでした。確かに赤字も出していましたが、現在は好調です。
楽器市場は日本では期待できませんが、中国やインドネシアなど途上国で大きな伸びを見せています。一人あたりGDPが1万ドルを超えるようになってくると、ヤマハの楽器を使うようなライフスタイルを求めるようになるのは、どこの国でも共通なのでしょう。
この記事は2月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週は鴻海とシャープに関する話題をお届けしました。
7000億円でシャープを買収しようとしている鴻海。その目的は、技術ではなくブランドがほしいためと、大前は解説しています。
通常、ブランドを産み出し、そして成長させるまでには時間がかかります。しかし買収を通じてそのプロセスを省略することが可能です。
自社の将来の戦略を描くに当たっては、グローバルM&Aの選択肢も考える必要があります。そして、その成功確率を上げるための、プロフェッショナル人材がいま求められています。

2016年02月05日(金) 
ミクシィ・ニトリHD・キヤノン・シャープ〜ゲーム業界は1勝14敗で成立する大相撲のようなもの
ミクシィ:連結純利益590億円見通し
ニトリHD:白井俊之副社長が社長昇格
キヤノン:真栄田雅也専務が社長兼COOに昇格
シャープ:3000億円出資など柱の再建策提示
1勝14敗で成立する大相撲のようなもの

ミクシィは21日、2016年3月期の連結純利益が前期比79%増の590億円になるとの見通しを発表しました。
過去最高を見込んでいた従来予想(58%増の520億円)からさらに増益幅が拡大。世界の累計利用者数が3000万人を突破したスマホゲーム・モンスターストライク(モンスト)の課金収入拡大が寄与しているとのことです。
11年〜14年にかけて利益が出ない時期が続き「ミクシィは終わったか?」と言われましたが、モンスターストライクで一発逆転満塁ホームランでした。
純利益が590億円ですから、ものすごいホームランです。今後、モンスターストライクに陰りが見え始めると、会社としてどうするのかを問われることになるでしょうが、次も狙うのはホームランしかありません。
この業界では、小さい当たりを出してもそれほど意味はありません。ホームランを当てられるかどうか。それがなかなか当たらずに空振りすることもあり、苦労するわけです。
任天堂の故・山内氏が「我が業界は、1勝14敗で成立する大相撲のようなもの」と言っていましたが、まさにその通りです。
山内氏曰く、大企業は「8勝7敗」を目指すから失敗すると指摘していました。とは言え、任天堂ですら最近は「(大当たりの)1勝」を当てるのが難しくなってきていますから、そう簡単なことではないのも事実です。
ニトリ白井氏が表舞台に/キヤノン御手洗氏は残るべきではない

家具小売り国内最大手のニトリホールディングス(HD)は26日、白井俊之副社長が社長に昇格する人事を発表しました。創業者の似鳥昭雄社長は代表権を持つ会長に就きます。
執行体制の若返りとともに、中核事業会社ニトリの社長を務める白井氏を両社のトップに据え、意思決定の迅速化を狙う考えとのことです。
似鳥氏が代表権を持つ会長なので、実質的にはほとんど何も変わらないと思います。ニトリは、似鳥氏と白井氏がずっと二人三脚でやってきた会社です。白井氏は大学卒業後にニトリに入社し、長年パートナーとして一緒にやってきました。
ニトリは自社で製造販売する収益性の高いビジネスモデルです。今日のニトリを創りあげた功労者が、似鳥氏と白井氏の2人です。
似鳥氏が会長に残るため、実態はさほど変わらないとは思いますが、白井氏のような人が社長に就任し、表舞台に出てくるのは良いことだと思います。
* * *
キヤノンは27日、社長兼最高執行責任者(COO)に真栄田雅也専務が昇格する人事を固めました。御手洗冨士夫会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)は会長兼CEOとしてグループ全般の経営の指揮を執るとのことです。
私は御手洗氏が会長兼CEOに残ることに、賛同できません。一時期内田氏に社長を譲った時期はありますが、結局この10年間もほぼ御手洗氏が経営の舵取りしてきました。そして、その間の業績は低迷しています。
御手洗氏が居なくなると困ることもあるでしょうが、私に言わせれば最初に社長に就任した1995年から20年間の時間があったわけですから、自分が居なくても問題ない体制を作り上げておくべきでしょう。
真栄田氏はカメラ部門での功績が非常に高かったと言われます。現在、カメラはスマホに吸収されつつあり、将来の伸びは期待できません。
一方でセキュリティ関連事業など、まだまだ伸びると思います。この分野への進出などを考えても、御手洗氏が会長兼CEOとして残ることに疑問を感じます。
産業革新機構に経営力はない

官民ファンドの産業革新機構は、シャープ本体に3000億円を出資することなどを柱とする支援策を同社に提示しました。これには、高橋興三社長ら3首脳の退任を求めていることなども含まれています。
鴻海に6000億円で買収してもらえばいいものを、「技術の流出」などと言って、産業革新機構に任せるのは理解に苦しみます。
産業革新機構など、経営力は全くありません。まるでLEGOでも組み立てるように、事業同士をくっつけようとするだけです。
太陽光なら昭和シェルと一緒に、等と言われても、企業として経営のやり方がまるで違うので、「ただくっつけただけ」で上手く行くはずがありません。その上、産業革新機構は税金を使っているわけですから、目も当てられません。
鴻海の郭台銘会長としては、シャープを買収することで自らモノを作るような「経営」にチャレンジしたいのだと思います。そこには、アップルの受注生産では得られないものがあるのでしょう。
現時点で言えば、1兆円くらい失っても問題ない経営状態ですから、シャープを6000億円で買収しても全く問題はないでしょう。
この記事は1月31日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週はミクシィの企業動向をお届けしました。
同社の増収増益に大きく寄与したモンスター・ストライク。大前は、ゲーム業界ではホームランを当てることが重要と解説しています。
自社が属する業界構造を理解することは、勝ちパターンの発見につながってきます。
業界の原理原則はどのようなものか?企業の成功要因は何なのか?
業界の勝ちパターンを発見するためには戦略的思考の体得が求められます。この視点を持って業界を理解することが、問題解決において必要なのです。

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