2016年03月25日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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労使交渉・個人資産調査〜最も効果が高いのは「自分の頭」に投資すること労使交渉・個人資産調査〜

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労使交渉 主要企業が一斉回答
個人資産調査 「老後に備えて資産形成」

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▼ 若者の給料をあげても、日本の景気は回復しない
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2016年春の労使交渉で、主要企業が16日、
賃金水準を底上げするベースアップや一時金を労働組合に一斉回答しました。

これを受けて日経新聞社が経営者を対象に行なった緊急アンケートによると、
最高水準が相次いだ2015年度に比べるとベアが縮小する企業が約6割で、
賃金を決める際の理由については、半数近くが「業績の先行きが不透明」をあげたことがわかりました。

安倍首相からの圧力もあって、企業側の対応も大変だったと思います。

ベアは一時金と異なり構造的に残るものですから、今回はかなり腰が引けたことでしょう。

安倍首相など政府が期待するのは、「給料を上げる→使うお金が増える→景気が回復」
という回転ですが、そもそもこの考え方が根本的に外れています。

今の日本でお金が余っているのは高齢者であって、勤労所得者ではありません。

勤労所得者の給料を2%程度上げてみても、
ギリギリの生活を送っている層ですから、消費に回ることはほとんどないでしょう。

私は何度も指摘していますが、働いていない高齢者が握っている家計金融資産1700兆円の
大部分を消費につなげるように、安心して使えるようにしない限り、日本の景気は良くなりません。

日本の景気とベアとは全く関係ないと考えるべきです。

安倍首相にしても、そのアドバイザーにしても、この点を理解していないのか、ずっと的はずれです。─────────────────────────

▼ 民泊が変えるキャッシュフローモデルの未来図
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フィデリティ投信の調査結果によると、
30歳代で老後に備えた資産形成を始めている人が62%に上ることがわかりました。

特に保有資産が100万〜500万円の層が64%と前年比5ポイント上昇しています。

フィデリティ投信としては資産運用に促したいのでしょうが、
残念ながら「運用益がプラス」になっている人は少ないのが実態でしょう。

私に言わせれば、このような発表をするなら「この投資は大丈夫だ」という
ファンドの1つでも示して欲しいと思います。

若い頃から老後に備える、というのは心配症の日本の国民性でしょう。

若いころなら、保険のほうが適していると私は思います。

一か八かという形になりますが、運用益が出ない可能性が高い資産運用よりも、
万一のことがあったとき、保険があれば家族が路頭に迷わずにすむからです。

老後に備えた資産運用という意味でいうなら、
「不動産からキャッシュを生む」「キャッシュを生む不動産」に注目すべきです。

REITも戻ってきていますし、エアビーアンドビーの影響もあって、今後ますます期待できると思います。

銀行預金の金利があまりに低い日本ですから、銀行に預けていても老後に備えることはできません。

つまり、キャッシュを金利で回すのは難しいということです。
そうではなく、(不動産という)資産をキャッシュに変えていく、という発想です。

例えば、蓼科にリーズナブルな別荘を買うとします。

週末は蓼科で過ごし、その間都心の自分の家を貸し出します。
すると、別荘のローン分を都心の家の家賃で稼ぐこともできたりします。

そして、老後は引退して蓼科で暮らせばいいのです。都心の家はずっと稼ぎ続けることができます。

こういう「運用」ができるかどうか。
自分が持っている資産で、ローンを上回る稼ぎが出せる時代になっています。

この時代の流れを抑えて、老後に備えていくべきだと私は思います。

民泊が認められるようになって、従来のキャッシュフローモデルから大きく変化しようとしています。

キャッシュと不動産を組み合わせて、資産がキャッシュを生み、
キャッシュが不動産を購入し、その不動産が再びキャッシュを生む。

このサイクルを回し始めることが、非常に重要だと私は感じています。
フィデリティ投資ではここまで教えてくれないでしょうから、自分で勉強してぜひ身に付けてもらいたいと思います。

そして、それ以上に大切で最も投資効果が高いのは、「自分の頭に投資」することです。

どんなに時代が変化しても、お金を稼げる自分になっていることが最も重要だと私はいつも思っています。

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※この記事は3月20日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はキャッシュフローモデルについての話題をお届けしました。

記事中、時代が変化しても稼ぐことができるよう、
"自分の頭"に投資することが重要であると、大前は解説しています。

変化のスピードが速い現代のビジネス環境。
過去の前例にとらわれずに、自分で答えを創り出していく力、
すなわち"問題解決力"がすべてのビジネスパーソンに求められています。

このサバイバルツールを身につけ、自ら未来を切り開く姿勢と
考え方を持つことが、確かな成果を出す上で必要不可欠です。


2016年03月04日(金) 
シャープ・産業革新機構〜鴻海は偶発債務を慎重に判断すべき
シャープ:買収交渉期限延長で合意
産業革新機構:シャープ出資交渉から撤退
竹中工務店:京都・東山地区に高級ホテル建設へ
鴻海は偶発債務を慎重に判断すべき

シャープと鴻海精密工業は26日、買収交渉の期限を当初の2月29日から延長し、3月7日の契約を目指すことで合意しました。シャープが24日に負債となる恐れのある偶発債務のリストを提出したことを受けたものです。
鴻海は弁護士や公認会計士らをシャープに派遣し、債務内容を精査する方針です。偶発事象のうち、可能性が高いものは有価証券報告書に開示する必要があります。シャープの有価証券報告書に開示されていた偶発債務は800億円でしたが、今回の取締役会決議の前日に提出された偶発債務は、3500億円になっていました。
産業革新機構は、ある程度この事実を掴んでいたそうですが、鴻海からすれば寝耳に水だったでしょう。
偶発債務は発生するかどうか未定のものですが、今回のシャープの偶発債務を見ると、発生する可能性が高いと私は感じています。例えば、日本政府による貸付など産業革新機構が相手であれば返済不要となるかも知れませんが、鴻海には返済を求める可能性は大いにあると思います。その他、訴訟案件なども発生する可能性が高いでしょう。
こうして見ると3500億円という金額は「リアル」なものとして受け止めたほうが良いと思います。債務が3500億円に膨れ、債務超過に陥りかねない状況です。
債務超過になりかねない立場にありながら、交渉相手を天秤にかけている場合ではない、というのが実態だと思います。本来ならば、会社更生法を申請した上でモノを言うべきです。役員の身分を保証しろだの、社員をクビにするなだの、そのような要求をできる立場ではないでしょう。
この状況を踏まえると、鴻海側も今回の買収を白紙に戻す、あるいは、交渉条件を大きく変更してくる可能性は大いにあると思います。今なら銀行やシャープに身奇麗になってからもう1度、と言えます。しかし、買収後は誰も責任をとってくれません。偶発債務が発生したら、かなりの痛手です。
焦って郭台銘会長が一人乗り込んで決定する状況ではなく、かなり慎重にすすめる必要があると思います。買収してしまったら、もう何も言えなくなりますから、鴻海にとって今がラストチャンスです。
トップの内紛が招く恐ろしい影響

官民ファンドの産業革新機構は26日、意思決定機関の産業革新委員会を開き、シャープが鴻海精密工業への傘下入りを決めたことを報告しました。機構の志賀俊之会長兼最高経営責任者は「今日の報告をもって案件はクローズする」と話し、シャープとの出資交渉から撤退する考えを表明しました。
志賀氏と言えば、現在日産の代表取締役副会長であり、かつてはカルロス・ゴーン氏の元で、日産リバイバルプランの立案・実行に力を振るった人です。
日産リバイバルプランは、本当に厳しいものでした。もし志賀氏がゴーン氏の教え子だとすれば、シャープにとって産業革新機構に任せたほうが厳しかったかも知れません。鴻海の郭台銘会長に比べて、志賀氏のほうが柔和な印象がありますが、実際のところ志賀氏はトップ3人の退任と1万人の解雇を宣言していました。
産業革新機構はシャープと東芝の白物家電部門を統合させるつもりでしたが、東芝はパートナーがいなくなったということで、トルコの電機大手「アーチェリック」と新たに交渉を開始したとのことです。
また、シャープの液晶はジャパンディスプレイとの統合に向けて動いていましたが、こちらもすでにジャパンディスプレイがJOLEDを買収する交渉を開始したと報じられています。
このような状況の中、鴻海が手を引いてしまったら、一体シャープはどうするのか?まさにシャープはお粗末な会社と言わざるを得ません。
シャープにしろ、東芝にしろ、またかつてのNEC、富士通など、全て問題が起こっている会社の根源にあるのは「トップの内紛」です。トップの内紛がどれほど恐ろしいものか、他の企業にとっては他山の石とすべきものだと思います。
竹中工務店の京都高級ホテルには外資系が殺到する

竹中工務店は観光名所として知られる京都・東山地区に高級ホテルを建設します。老舗料亭から敷地の一部を借り、歴史ある街並みと調和した和風な外観にする計画とのこと。外資系を含めた大手ホテル会社への運営委託を検討しているということです。
老舗料亭「京大和」の一部を借りるそうですが、ここは抜群のロケーションです。円山公園から清水寺に歩いていく途中にあり、近くには高台寺もあります。藤の花がきれいで、五重塔を一望できる最高の場所です。
本当はもっと高い位置から展望したいところですが、京都の場合そうはいきませんから、地下を3階までにする予定とのことです。京大和に外国人を案内すると、みんな感動します。多少プランに中途半端な部分があると感じるところもありますが、とにもかくにも場所が秀逸です。
ここに高級ホテルを作るということですから、おそらくシャングリラホテルなども含め、外資系のホテルが殺到してくると思います。
この記事は2月28日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週はシャープの話題を中心にお届けしました。
鴻海の傘下入りを決めた同社。大前は、問題が起きている企業の根源にはトップの内紛があると解説しています。
トップの本来の役割は企業が向かうべき方向を示すことにあります。これは、問題解決者としてのあるべき姿でもあります。どこに問題の原因があり、どのようにすれば解決に近づくことができるのか?本質的な分析に基づき、その方向性を考えていかなければなりません。
徹底的に考え、決断し、人を巻き込んでいくこと。このような資質が問題解決者には求められます。

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