2016年04月29日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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トヨタ自動車・三菱自動車・独フォルクスワーゲン・自動車排ガス問題〜

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トヨタ自動車 全国の完成車工場生産を段階的に停止
三菱自動車 「eKワゴン」「eKスペース」など4車種で燃費不正
独フォルクスワーゲン 約57万台の顧客対応策まとめ
自動車排ガス問題 各国自動車大手が排ガス量調整ソフトを搭載

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▼ 災害時対応が必要なサプライチェーン
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トヨタ自動車は、18〜23日に全国の完成車工場の生産を段階的に停止しました。

熊本地震の影響で、トヨタグループのアイシン精機が熊本市の子会社で扱う
ドアやエンジンなどの部品の生産が止まったことを受けたものです。

東日本大震災のときも大変でしたが、九州には多くの自動車会社、半導体会社、
タイヤ会社などがあるので今回も大きな影響があるでしょう。

東日本大震災、タイ洪水、中越沖地震などの自然災害によって、工場が受ける被害は甚大です。

いわゆるトヨタ方式で無駄な在庫を持たないサプライチェーンは稼働時には良いのですが、
不測の事態で停止してしまうと、逆に何もできなくなってしまいます。

その点を考慮すると、物流面で見て多少のバッファが必要だと感じます。

今回に関して言えば、アイシン精機という基幹会社が打撃を受けたため、
これだけ大きな影響が出てしまいました。

1つの供給源ではなく、複数の工場を持つことでリスク分散することも重要でしょう。

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▼ 三菱自動車に残された道は?
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三菱自動車が軽自動車4車種で燃費を実際より良く見せる不正を意図的に行っていました。

軽自動車分野で提携する日産が燃費性能を調べたところ数値に開きが見つかり、三菱自の社内調査で不正が発覚しました。

あらためて経営責任と企業体質が問われています。

もはや企業体質、染色体に刻まれていると言われてもしょうがない事態です。

燃料問題はフォルクスワーゲンも苦しんでいるほどですから、かなり難しい問題なのは間違いありません。

軽自動車の新車販売台数のシェアを見ると、ダイハツ、スズキが圧倒的です。
かつてのトップであるホンダでさえ3位で苦しんでいます。

そのような中、三菱自動車は5位。ここに焦りがあったのかも知れません。

唯一、不幸中の幸いだったのは、軽自動車はほとんど米国市場で関係がないことです。

米国がデータを提出しろと求めているそうですが、軽自動車はほとんど輸出対象にはならないので、問題ないでしょう。

私はパジェロに乗っていますが、今のところパジェロは「グレー」だそうです。

個人的には燃費が悪くなったとしても、ほとんど気にすることはありませんが、
中にはエコカー減税など税金の補助をもらっている人もいるでしょう。その場合には少し厄介です。

今回の影響を数値に直していけば、三菱自動車は倒産・破産に追い込まれる可能性があると思います。

現時点でいえば、すぐにひっくり返ることはありませんが、
自動車産業に身をおく限り、今後も前へ進んでいくためにはお金が必要です。

特に、環境に関しては世界的に厳しいハードルが待ち構えています。

2020年、2025年など米国が発表している基準もあり、そこまで対応できるのか?となると難しいかも知れません。

今回のことで、三菱自動車の時価総額は1兆円から4〜5000億円にまで落ち込んでいます。

そうなると、自社だけで環境問題に対応できない中国企業が三菱自動車の買収に名乗りを上げる可能性があると思います。

テスラ、グーグルなど資金に余裕がある米国企業が、三菱自動車が持つ、
リアルに車を作ることが出来る工場を求めて買収してくる可能性も否定できません。

これらの企業にとって、4〜5000億円程度は全く問題ありません。

三菱自動車の失態は過去にもありましたから、三菱グループとしてさすがに救済に乗り出すことはできないでしょう。

売却というオプションは現実的だと思います。
そうなってくると、意外に三菱自動車の時価総額は持ち直すかも知れません。

シャープ化するか、あるいは新興企業の中から良い貰い手が現れるか、今後の展開に注目したいと思います。
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▼ 排ガス問題の影響は大。フォルクスワーゲンにとっても試練。
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独フォルクスワーゲンは21日、米国での約57万台の排ガス不正対象車について、顧客への対応策をとりまとめました。

リコール(回収・無償修理)を行っても、燃費が適正値に戻れば走行性能が落ち、顧客利便を損なうとの批判に配慮し、
一部車の買い取りや金銭補償など異例の手厚い措置を含めたものになっています。

業績への影響がどこまで広がるかは依然不透明です。

米国では50万台に対して、1台当たり1万ドルの保証とそのままの利用、という形をとることになりそうです。

この試算で行くと、1100億円ではなく5000億円近い負担になります。

一方、ドイツでは保証がゼロということですが、これで満足するとは思えません。

全体としては1兆5000億円〜2兆円になるのではないかと私は見ています。
現状、まだ入り口を覗いただけで、今後数字は膨らんでいくでしょう。

そのときには、さすがのフォルクスワーゲンも厳しい局面に立たされることになると思います。

ドイツ運輸当局は22日、国内外メーカーのディーゼル車を対象にした排ガス調査の結果を発表しました。
調査した53モデルのうち16ブランドの22モデルで基準値を超える窒素酸化物が検出されたということです。

ドイツでは米GMのオペル、日本でも日産などが今回の検査に引っかかったということです。

エンジンの問題は、作った側の責任なのか、売った側の責任なのか、という問題もあります。

排ガス問題は社会的に大きな問題ですし、国としても取り組む必要があります。

日本では、今になって第3者機関によるチェックが必要などと言っているレベルなので、
今後やるべきことは山積していると言えるでしょう。

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※この記事は4月24日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は三菱自動車の話題をお届けしました。

燃費をより良く見せる不正を意図的に働いた同社。
大前は、業界5位の立場に焦りを感じていたのでは?と推察しています。

その場しのぎの対処療法では、後で大きなツケを払うことになります。
企業が他社との競争に勝っていくためには、長期的な視点で成長戦略を描かなくてはいけません。

本質的な問題を理解しない限り、大きな成長は望めません。
自社の問題の根本は何なのか?このような視点を持ち、解決策を検討していくことが重要です。



2016年04月22日(金) 

タカタ・ヤマトHD・中国関税〜中国人の「爆買い」は終焉を迎えるか?
タカタ:8月にスポンサー選定、経営体制刷新へ
ヤマトHD:中国・京東集団と提携
中国関税:海外購入品への関税引き上げ
タカタはスポンサー探しをしている場合ではない

エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題が深刻になっているタカタが12日、8月末までにスポンサー企業を決めて新たな再建案を策定する方針を、自動車メーカーや銀行に伝えたことがわかりました。
スポンサー企業から経営陣を受け入れ、創業家の高田重久会長兼社長は退任する見通し。リコール費用の負担などについても、9月をめどに自動車メーカーや銀行団との合意をめざす考えです。
これは当然といえば当然のことでしょう。今まで会長兼社長を続けていたことに驚きます。リコール費用の全貌は明らかになっていませんが、2兆円は下らないとの見通しです。
タカタは非常に優秀な会社でした。世界中50ヶ所以上に拠点を持ち、様々なメーカーと取引をして、売上高も順調でした。しかし今回の事故に対する責任の取り方、そして責任の認め方に問題がありました。米国政府との話し合いについても、率直に言うと、愚鈍すぎた点が否めません。創業家も手を引き、新しい人に来てほしい、ということですが難しい状況です。
おそらく自動車会社はタカタに手を出さないでしょう。カナダ、米国、欧州には自動車部品会社も多数ありますが、2兆円の事後処理がある企業のスポンサーに名乗り出るのは考えにくいと思います。
また、産業再生機構なども難しいと思います。ゆえに、この会社は「破綻」するしか道は残されていないでしょう。
創業家の株を失うだけではなく、再生処理に持っていくしかありません。この期に及んでスポンサーを見つけようというのが、ポイントがズレてしまっていると私は感じます。

中国人の「爆買い」が終焉を迎える?

ヤマトホールディングス(HD)は中国インターネット通販2位の京東集団(JDドットコム)と提携する方針を明らかにしました。中国の消費者がネットで注文した日本製品を日本から最短4日で消費者の手元に届けるもので、国境をまたいだ宅配サービスの提供で日本企業の商機が広がりそうとのことです。
ポイントは税関・関税手続きでしょう。輸送期間が最短4日というのは、非常にメリットが大きいと思います。
JDドットコムはアリババに次いで中国インターネット通販2位。ヤマトと提携し、日本のサイトで販売するとなると、売れるものはたくさんあるでしょうし、大きく発展する可能性は高いでしょう。
競合になるアリババはソフトバンクが株式を保有しているので、ヤフーとの結託を強めていくことになるでしょう。インターネット事業を展開している同士で相性は良いと思いますが、「物流」の担い手がいません。ヤマトに匹敵する物流を誰がやるのか?という点が課題になるでしょう。
いずれにせよ、中国人が中国にいながら普通に日本のサイトで買い物ができる環境が向上することは間違いありません。
BtoCのEC市場規模を見ると、中国は米国を抜いてトップに立っています。日米中の越境ECの市場規模を見ると、中国は米国と日本から半々の割合で、総額1兆2000億円の買い物をしています。この数値を見ても、日本のサイトから購入することに、抵抗感も障害もないでしょうから、さらに大きく伸びると思います。
一方で、いわゆる「爆買い」は今後減っていくことになると思います。

中国政府は8日、海外で購入した商品に課す関税を引き上げるとともに、税関当局が空港で行う検査を強化しました。
中国政府は、中国人観光客が日本など海外で大量の買い物をする「爆買い」が国内消費の低迷につながっていると見ており、関税の引き上げにより、中国国内での買い物を促す狙いです。
今どき、これも極端な政策だと思います。時計、お酒、化粧品などの高級品への関税が60%になるということで、そうなるとこれら高級品に対する購買意欲は一気に激減すると思います。
しかし一方で、日本に来ている中国人観光客の「爆買い」を見ていると高級品ばかりではなく、日用品も多いことが分かります。目薬や魔法瓶など、ドラッグストアーなどで安く売っているものも「爆買い」の対象になっています。
中国人観光客のプランを見ると、3泊4日で5万円のツアーで来て、15万円の買い物をしていくという人が大勢います。ショッピングツアーとなっているのでしょう。
日本も古き良き時代、ハワイに行ってマカデミアナッツやお酒など大量のお土産を買ってくる人が大勢いましたが、中国の消費者はまさに同じ状況です。
中国の関税引き上げによって、高級時計でスイス、酒・化粧品で欧州と米国が影響を受けるでしょう。そして、化粧品では韓国も打撃が大きいと思います。
日用品の「爆買い」もある日本への影響は、他と比べるとそれほど大きなものにはならないと私は見ています。いずれにせよ、60%の関税によって中国国民の不満は高まるでしょう。
この記事は4月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週は中国関税の話題をお届けしました。
海外での爆買いを抑えるため、高級品の関税を引き上げた中国。これに対し大前は、日本では安価な商品も爆買いの対象になっているため、その影響は他国と比較して大きくならないと指摘しています。
一見するとインバウンド需要に影響がありそうですが、「中国人観光客は何を買っているか?」という視点で冷静に考えると、他国と比べ大きくは関係しないであろうことが推測されます。
現場を観察し、ファクトを集めることは問題解決の基本です。思い込みに囚われずに、実態に基づいて考えることが重要です。


2016年04月15日(金) 

01 今週の 大前研一ニュースの視点

訪日外国人客・ホテル稼働率・ファーストリテイリング・しまむら〜政府は数字遊びではない現実的な問題解決を考えよ
訪日外国人客:2020年に4000万人目標
ホテル稼働率:都市部シティホテルの稼働率 全国平均79.9%
ホテルの容積率:建物の容積率緩和を検討
ファーストリテイリング:3月の国内既存店客数前年同月比8.6%減
しまむら:V字回復の理由は「値上げ」にあった
訪日外国人数増加。数字遊びではなく、現実的な問題解決を。

政府は30日、訪日外国人数を2020年に現在の2倍の4000万人、30年には同3倍の6000万人に増やす新しい目標を決めたとのことです。政府は数字を「言うだけ」ですから簡単ですが、これは現状から考えれば不可能な数字です。
まず何よりも宿泊インフラが足りません。現在、訪日外国人数が2000万人で国内のホテルは埋まっています。
都市部にあるシティホテルの2015年の稼働率は全国平均で79.9%となっています。宮崎県など一部の県は低下する一方で、大都市圏は上昇し、稼働率は約9割に達しています。シティホテルの稼働率も然ることながら、東京に出張できないほどビジネスホテルの稼働率も上昇しています。
博多に4000人の観光客を乗せたクルーズ船が到着すると、バス100台ほどで対応する必要があります。そのバスも調達できない状況があります。いすゞ自動車などは3000台ずつ年間生産台数を増加させていますが、万一、状況が変化した時のことを考えると、かつてのバス不況のような事態を招いてしまいますから油断はできません。
訪日外国人観光客数の推移を見ると、特に去年からの上昇率が凄まじいので、大きな期待を抱いてしまうのでしょう。私に言わせれば、10年かけて追加で1000万人をこなせるようになったら、それだけでも日本は笑いが止まらないでしょう。
2020年までに2000万人、2030年までに6000万人となればフランス並みですから、まず不可能な数字です。このあたりの現実をもう少し冷静に見る必要があると思います。旅行消費額は今後減少するから、現状のまま楽観視できませんし、その他にも細かい点で色々な問題が想定されます。
外国人観光客を案内する通訳案内士の数も足りません。これに対して観光庁は「通訳案内士」の国家資格がなくても外国人相手に有料観光案内ができるよう、法改正を検討する方針を示しているそうですが「無資格」はあり得ないと私は思います。
通訳案内士は、地理・歴史・法律など問われる知識が広範囲に渡るので、若干緩和したとしても、ジュニアコース、ビギナーコースなどを設けて対応すべきだと思います。
最大の問題である宿泊インフラについても、国土交通省が、ホテルの新築や建て替えをする際、同じ敷地面積でもこれまでより大きなホテルを建てられるよう、建物の容積率を緩和する方針を固めたそうですが、全く見当違いな施策です。こんなことをしても、ホテルを建設して、その他事務所ビルを併設すれば儲かるという事態を招くでしょう。

 値上げ戦略に失敗したユニクロ、値上げ戦略で成功したしまむら

ファーストリテイリングが4日発表したカジュアル衣料品店「ユニクロ」の3月の国内既存店客数は前年同月比8.6%減。売上高も0.3%減と前年実績を3カ月ぶりに下回りました。
ファーストリテイリングはこれまでにも、数々の困難を乗り越えてきているので、今回も対処していくと思いますが、なかなか厳しい状況です。「値段が安くて良いモノ」というのがユニクロのウリでしたが、それを値上げしてしまったことが裏目に出ました。その後、値下げしましたが、思うようにお客が戻ってこない状況です。
ユニクロのように「値段が安い」というブランドイメージが定着している場合には、あまり値段をいじらないほうが良く、逆に、ユニクロほどイメージが定着していないなら、値上げが上手くいくケースもあります。
東洋経済オンラインは6日「しまむら、V字回復の理由は「値上げ」にあった」と題する記事を掲載しました。2015年の秋冬シーズンに売り出しヒットした「裏地あったかパンツ」は、同社にしては高価格帯にも関わらずヒットし、3年ぶりの営業増益を牽引したとのことです。
ユニクロは対前年比でマイナスになることが多いですが、しまむらは対前年比マイナスが非常に少なくなっています。
同じように値上げ戦略をとりながら対照的な結果になっているユニクロとしまむら。この違いに注目することが大切だと思います。
この記事は4月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの
内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今回は訪日外国人数ついて解説をお届けしました。
2020年までに訪日外国人を4000万人まで増やすと決めた政府。これに対し、大前は宿泊インフラが足りない現状では不可能な数字と指摘しています。
この目標に、果たしてリアリティはあるのでしょうか?明確な達成手段のない戦略は、企画倒れになってしまいます。
どのようにしたら、理想像を実現できるのか。プロセスを一つずつ描くことで、初めて周囲の理解を得られ、巻き込むことができます。
問題解決の実行においては、その道筋の全体像を示すことが重要です。
字に躍らされることなく、もう少し現実的に物事を捉えて欲しいと思います。

2016年04月08日(金) 
韓国タイヤメーカーの勢いが止まらない

タイヤ世界7位の韓国ハンコックタイヤは先月22日、初の米国工場を2016年末までに稼働させると発表しました。総額8億ドル(約890億円)を投じて建設を進める方針で、アジアを中心とする供給網を北米に広げ、現地生産で米自動車市場を開拓する考えです。
ここに来て、韓国のタイヤメーカーの伸びが目立ちます。ヒュンダイに支えられつつ、日本企業を上手く利用した結果と言えるでしょう。日本企業と提携し、技術などを習得し、寝首をかいて自らが世界化することに成功しました。今では世界的な競争相手に成長し、日本企業としては二度と手を結びたくないと思っているでしょう。
タイヤ業界の市場を見ると、ブリヂストンがトップシェアで、ミシュラン、グッドイヤーで御三家を形成しています。その次に、ドイツのコンチネンタル、イタリアのピレリ、住友ゴムと続きます。住友ゴムもダンロップを買収して、頑張っています。
そして、その次にハンコックタイヤが続き、すでに横浜ゴムよりも大きな規模になっています。さらに「その他」に分類されるシェアも多く、中国、トルコの会社、韓国のクムホタイヤなどもここに属しています。
いずれの韓国のタイヤメーカーからも、勢いを感じます。ヒュンダイの存在は大きいですが、それだけではない部分もあります。
レース用、航空機用のタイヤなどは作るのが難しく、これまでブリヂストンやミシュランくらいしか作れないモノでしたが、ハンコックはリスクを取りながらここにも手を伸ばしてきています。リスクテイカーとして失うものがない、という勢いで参入してきます。今のタイヤ業界においては、ある意味、台風の目になっています。
かつてブリヂストンも、同じような立場でした。ファイアストーンの社名に似ている日本のタイヤメーカーは米国メーカーから煙たがられながらも、勢いに乗って成長しました。同じようなものを感じます。
タイヤ業界の特徴として注目したいのは、御三家によって寡占化していないことです。グッドイヤーの衰退もあって、以前は御三家だけで60%近いシェアを持っていたのに、今では40%にも満たないレベルに落ち込んでいます。「その他」に分類される小さい企業も非常に多いのが面白いところです。
この他に、発展途上国に行くと「リトレッドタイヤ」があります。古いタイヤの上に新しいゴムを被せて溝を作るというものです。この部分は市場に含まれていません。世界の御三家といえども、「その他」もろもろに押し込まれているのが現状です。
普通の市場であれば寡占化していくものですが、その逆になっているのがタイヤ市場の特徴であり、今後の展開に注目したいところです。

今後NTTにとってペロー・システムズは米国進出の大きな足がかり

NTTは28日、米デルからITサービス部門を買収することで同社と合意したと発表しました。デルが2009年に買収した旧米ペロー・システムズを中核に関連の3社の株式を、NTTデータが全額取得する方針で、株式取得額は30億5500万ドル(約3500億円)になるとのことです。
この3500億円という買収金額はそれほど悪いものではないと思います。デルが買収したときの金額も同程度でした。
ペロー・システムズは、ロス・ペロー氏が創業した病院のシステム等に強みを持つ会社ですが、デルに買収された後、弱体化したという話も聞いていません。
デルはストレージメーカー大手のEMCを買収するなど、別の方向性を目指し始めています。そのための売却ですから、これはチャンスでした。
NTTは以前からこの手の会社を狙っていました。かつてロス・ペロー氏が創業したEDSという会社も候補の1つでしたが、残念ながらGMに売却されてしまいました。その意味でも、今回のペロー・システムズは申し分がない相手だと思います。
なお、ロス・ペロー氏はGMにEDSを売却する際に「同業はスタートしない」と約束させられていましたが、その後大統領選に敗れ、ペロー・システムズを創業しています。正確に言えば契約違反だと思いますが、すでに期限も切れているでしょうし、NTTに累が及ぶことはないでしょう。
ペロー・システムズを手に入れることで、NTTは米国のメジャーな部分へ入り込むことが出来ます。インサイダーとしての橋頭堡を築いたと言えるでしょうが、問題は今後の運営です。下手に手を出すと上手くいかないでしょうから、任せる部分は任せて、NTTデータとして得意なものを持ち込むという方針が良いと思います。
NTTの米国進出は苦戦の連続でした。携帯会社、サーバー会社など様々な買収を試みましたが、どれも上手くいきませんでした。ぜひ今回の買収は成功させて欲しいと思います。
の展開に注目したいところです。

2016年04月01日(金) 
タイ鉄道建設・ミャンマー情勢〜スー・チー氏はミャンマーの将来を担えるか
タイ鉄道建設:中国との長距離鉄道計画を大幅縮小
ミャンマー情勢:ティン・チョー氏を次期大統領選出
中国企業には、海外インフラ案件を扱うスキルも経験もない

タイのアーコム運輸相は先月25日、中国の協力を受けて敷設を計画していた長距離鉄道を大幅に縮小すると発表しました。最大5300億バーツ(約1兆7000億円)とされた事業費の分担や、中国からタイへの融資条件で折り合えなかったということです。
以前から中国の問題を指摘してきた私に言わせれば、「だから言ったじゃないか」という問題です。今回のノンカイ・バンコク間の長距離鉄道は、必要な場所にしぼってタイ側が資金を出して何とかするようですが、この案件以外にも中国企業が受注し問題が指摘されているインフラ案件はたくさんあります。
タイ・ラオスのビエンチャン・バンコク間の高速鉄道計画は、中国側が事業費を引き上げ着工期間が1年以上伸びています。フィリピンでは、通勤鉄道計画が放棄されました。日本のODAで一部工事が再開されているのが救いでしょう。インドネシアのジャカルタ・バンドン間の高速鉄道計画は、15年の着工を断念し19年開業予定ですが見通しは立っていません。
冷静に考えれば、成功するわけがありません。中国企業は海外のインフラ案件を扱った経験はほとんどありません。フィージビリティ・スタディすら、まともにできないレベルですし、プロジェクトマネジメントのスキルも不足しています。お金があって人がいますから、プロジェクト自体は受注しますが、問題はその後です。

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