2017年03月31日(金) 
01 今週の 大前研一ニュースの視点

豊洲汚染問題・豊洲移転問題 〜小池氏のやり方は、謀略政治スタイル。決して都民ファーストではない
豊洲汚染問題 環境基準100倍のベンゼン検出
豊洲移転問題 石原氏追求は空振り
小池氏のやり方は、謀略政治スタイル。決して都民ファーストではない

豊洲市場の安全性について検討している東京都の専門家会議が19日、地下水モニタリングの再調査の結果を公表し、29箇所の調査地点の多くで、環境基準を上回るベンゼンやシアン、ヒ素などが検出されたことがわかりました。
しかし、平田座長は「地上と地下は別」とし「地下水対策をすれば将来環境基準を満たすことは可能」との見方を示しました。参加者からは「一般消費者はそうは思ってくれない」など、豊洲の安心に批判的な声が相次いだとのことです。
私が考える最も大きな問題は、この移転問題に小池都知事が「謀略政治スタイル」で取り組んだことです。豊洲市場への移転は11月に決定していた事項でした。本来なら、予定通り移転を完了し、その上で自分が感じている疑問点、懸念点について専門家に調査を依頼するべきだったと思います。そして必要であれば、解決策を講じれば良かったのです。これが「経営スタイル」の解決法です。
ところが、小池都知事は移転を止めてしまいました。結果として、移転予定だった人たちへの補償費も発生し、豊洲市場へ移転することで費用が安くなるはずだったのに、一層高い負担をする羽目になっています。経済性の議論から言っても、小池都知事の言う「都民ファースト」からは程遠い結果です。私に言わせれば、稚拙な意思決定だと言わざるを得ません。
さらには、地下水モニタリングの再調査といって、あちこち掘り返していますが、豊洲に限らずどこの土地であっても、掘り返せば何かしら問題はあります。そうではなくて、豊洲市場を機能させる上で、現実的なオペレーションレベルで何か問題があるのか、という点に目を向けるべきしょう。
例えば、豊洲のコンクリートの上を調査した結果、汚染レベルが基準値を超えるというならば、それは問題として取り上げるべきです。その上で、「裸の魚は直にコンクリートの上に置かない」といったオペレーションにするなど、解決策を考えていけば良いだけです。
小池都知事のやり方は、いたずらに都民を不安にさせています。昨年、日経ビジネスオンラインに「豊洲市場の土壌汚染問題、健康被害はあるのか」という記事が掲載されました。産業技術総合研究所の中西氏と、京都大学の藤井氏に、土壌汚染の考え方についてインタビューした内容でした。
・有害物質が地下水に入っているといっても、どのくらい人体に入るのか確認が必要
・有害物質そのものが拡散することは考えにくい
・地下水の水質管理の環境基準は、毎日2リットルの水を70年間飲み続けた場合に健康被害が出ることをふせぐための飲料水基準と同じ設定であり、今回の件に当てはめるべきか疑問
・過剰リスクを報道することで、それに怯えてゼロリスクを国民が要求するのは問題
・一連の騒動で風評被害が懸念される
など、中西氏と藤井氏の回答はほぼ私と同意見でした。今の小池都知事のやり方、報道は「汚染の全ては石原都政の問題」として追求しています。そこまで言うなら、築地の地下も調査してみればよいでしょう。小池都知事は決して「都民ファースト」ではなく、「小池ファースト」だと私は感じます。
ポイントは豊洲利権ではなく、築地利権

日経新聞は21日、「石原氏追及は空振り」と題する記事を掲載しました。20日の東京都議会百条委員会の証人喚問に石原元都知事が登場したことを紹介。石原氏は、市場移転の決定責任を認める一方、「記憶にない」「報告を受けていない」を連発し、議員側の追及も決め手を欠いたと指摘。
前日の浜渦元副知事に続き、真相が明らかにならない展開に、傍聴した都民らからは不満や失望の声があがったとしています。
石原氏が「記憶にない」「報告を受けていない」を連発したとのことですが、おそらく覚えていないだけでしょう。私も何度となく、石原氏に報告をしたことがありますが、「それはよくわからないから、誰それに言っといて」と言われました。報告を受けていても、基本的にすぐに他人に振っていたので、自分の記憶に残っていないのだと思います。
石原氏の対応はさておき、本件の中核は浜渦氏であり、ここを理解していないと事実を見誤ってしまいます。元々、浜渦氏は「青年作家・石原慎太郎を総理に」という運動に参加していた人物で、その頃からの付き合いです。2000年石原氏のもとで東京都副知事になり、一度は罷免されたものの、石原氏によって都の参与に任命されています。
重要なポイントは、浜渦氏が「築地の利権」を握っている人物である、ということです。豊洲利権ではなく、「築地の跡地利用の利権」です。浜渦氏は、副知事を辞職した後、東京交通会館の副社長も務めたこともありますが、ここも跡地利用に含まれます。
今回の都議会百条委員会で質問した議員の人たちは、この点について追求すれば、もっと別の結果を得られただろう、と思います。
石原氏が3期務めた都知事を辞した後、石原氏と浜渦氏が「築地利権」の後継者として選んだのが、神奈川県知事の経験のあった松沢氏でした。ところが、東国原氏が立候補するとなって問題が起こりました。世論調査の結果、東国原氏が圧倒的な優勢を示したのです。東国原氏が都知事になれば、「築地利権」は失われます。当時、石原氏は本当に辞めたがっていましたが、「築地利権」を確保するため、致し方なく再度立候補しました。
その後のことも含め、浜渦氏と築地利権という点に焦点を当てていれば、質問内容も代わっていたでしょう。浜渦氏はおそらく偽証もしておらず、堂々と全ての質問を弾き返していましたが、そもそも質問のポイントがズレていたと指摘したいと思います。
東京には多くの「利権」があります。オリンピック利権もその1つです。今回の問題で言えば、ポイントは豊洲ではなく築地だったということです。極端なことを言えば、豊洲でなくても移転先はどこでも同じです。このポイントを抑えていなかったので、問題を見誤り、追求するものも追求できない形になってしまいました。
この記事は3月26日にBBTchで放映された大前研一ライブの 内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週は、豊洲移転の話題についてお届けしました。
11月に決定していた豊洲移転を止めた小池都知事。
この問題に対して大前は、本来なら、予定通り移転を完了し、その上で自分が感じている疑問点、懸念点について専門家に調査を依頼するべきで、小池都知事の言う「都民ファースト」からは程遠い、稚拙な意思決定だと指摘しています。
意思決定を行うにあたっては、正しく問題を認識し、問題を解決するための具体的な行動案を設計し、その効果や影響、費やされるコストを評価し選択する必要があります。
このように、影響の連鎖の探求やリスク許容限界の設定などを行ったうえで、意思決定を行っていきます。

2017年03月25日(土) 
01 今週の 大前研一ニュースの視点

米労働市場・米ウーバーテクノロジーズ・PSA・プジョーシトロエン 〜高関税や入国禁止では防ぐことができない、米国が抱える課題
米労働市場 米「完全雇用」の死角
米ウーバーテクノロジーズ 米ウーバーが四面楚歌
PSA・プジョーシトロエン 独オペルを買収
高関税や入国禁止では防ぐことができない、米国が抱える課題

米労働市場で給与水準の高い製造業の雇用者数が減少する一方、給与の低いサービス業では増加しているとのこと。日雇いといった形態を含む労働のアウトソーシングの広がりも背景にあるとし、製造業の空洞化を加速させるこれらの構造変化に向き合わなければ、トランプ氏の経済政策の成功はおぼつかないとしています。
現在の米国失業率は約5%で実質的に完全雇用の状況ですが、指摘の通り、製造業で価値の高い仕事をする給与も高い人が減少しています。トランプ大統領は中国を批判していますが、中国以前の問題として、米国内で安く請け負う企業への外注が増えています。
日本からすれば当たり前の話ですが、これまで米国企業は垂直統合型で進めてきた歴史があるので、問題となっています。具体的にはメキシコ国境に近い地域に、安い価格で請け負う下請け業者がたくさん存在しています。
例えば、ニューメキシコにある繊維会社など法的に見ればブラック企業です。すでに米国内にいる1000万人ほどの外国人が、こうした企業に関わっています。このような「経済」が存在しているのです。
トランプ大統領は中国やメキシコを批判し、高関税や入国禁止などを打ち出しています。しかし、この問題はすでに米国内に入り込んでいる人たちが形成している経済ですから、今のトランプ大統領の対応では、問題を解決することはできません。
性格の悪さが企業のDNAになってしまったウーバー

日経新聞は9日、「米ウーバーが四面楚歌」と題する記事を掲載しました。女性社員に対するセクハラやカラニックCEOの暴言、規制をかいくぐる脱法ソフトの存在など次々と表面化し、ウーバーテクノロジーズが窮地に立たされています。批判の声は不買運動にまで発展し、開発に注力する自動運転技術を巡ってもグーグル系企業との裁判を抱えているとのことです。
潜在時価総額は6兆円規模に達し、順風満帆に思えたウーバーですが、カラニックCEOの性格の粗さから様々な問題が表面化してしまいました。カラニックCEOの性格の悪さが露呈したのは、彼がウーバーを呼んで乗車した際に、運転手に悪態をついた様子を録画されていて、それをYoutubeなどで公開されてしまったからです。私も映像を見ましたが、とても6兆円の企業を率いるトップとしては相応しくないですし、がっくりくるのも頷けます。
カラニックCEOだけでなく、女性副社長もなかなか荒っぽい性格のようで、そういう性格が「ウーバーのDNA」になってしまったのではないかと感じます。女性社員へのセクハラなども、その一端だと思います。
自動運転をめぐって訴訟を抱えていたり、「グレイボール」という脱法ソフトを開発していたというのも、企業としての在り方、性格そのものに問題があると言わざるをえないでしょう。グレイボールは数年前から運用されていたようで、顧客情報から判断し、敵対する規制当局や警察、競合他社の人間の乗車を巧妙に拒否していたそうです。
この2〜3週間で次々と問題が表面化してきました。デジタル・ディスラプターの旗手とも言われるウーバーですが、皮肉なことに自分自身がディスラプト(破壊)される側になってしまう可能性すらあると私は感じています。
プジョーにとってオペル買収は重荷

フランスの自動車大手グループPSA・プジョーシトロエンは6日、米ゼネラル・モーターズの欧州子会社、独オペルを買収すると発表しました。買収総額は22億ユーロ(約2650億円)。これにより、GMは欧州から事実上撤退し、世界販売台数は独フォルクスワーゲン、トヨタ自動車に次ぐ3位から、4位に落ちる見通しです。
オペル、ボクソール(オペルの英国ブランド)は、GMがずっと黒字化できずにいた部分ですから、GMにとっては正しい判断だと思います。一方、プジョーにとってはどうか?というと懸念を感じてしまいます。
プジョー自体が病み上がりであり、いまだにフランス政府が株式を保有している状況です。元ルノー日産のCOO・カルロス・タバレス氏が積極的に打って出てきたということでしょうが、自動運転や無人運転などの次世代をにらむ状況でトラブルカンパニーを引き継ぐのはリスクが高いと感じます。GMも黒字化できなかったわけですから、相当な苦労が予想されます。
欧州ではフォルクスワーゲンが圧倒的に強く、約350万台を販売しています。次いでルノー、プジョーとなります。プジョーは約144万台で、買収するオペルは100万台弱。販売台数は増加しますが、シェアをひっくり返すほどのインパクトは出せません。
一方、GMはこの売却によってほぼ欧州から撤退になります。トランプ大統領のもと、国内集中という路線になっているのかも知れません。
この記事は3月19日にBBTchで放映された大前研一ライブの 内容を一部抜粋し本メールマガジン向けに編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?

今週は、米労働市場の話題についてお届けしました。
垂直統合型で進めてきた歴史があった中、労働のアウトソーシングが広がり、製造業の空洞化を加速させる構造変化が起きている米労働市場。
これに対して大前は、今のトランプ大統領の対応では、問題を解決することはできないと指摘しています。
大前は記事中、すでに米国内に入り込んでいる人たちが形成している経済の問題をあげていますが、このように、起きている現象を正しく捉えなければ、本質的な問題を発見することはできません。
また、誤った事実の理解から導き出す施策では、インパクトのある成果を出すことはできません。
問題解決において、事実を正しく捉えた上で、解決策を導き出し実行することは非常に重要です。

2017年03月17日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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三越伊勢丹・東芝・情報通信機器 〜百貨店業界が生き残るには?GINZA SIXが示す新しい方向性

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三越伊勢丹HD 大西洋社長が辞任へ
東芝 LNGでもリスク・・最大1兆円損失
情報通信機器 かつての「電線御三家」、なぜ今絶好調なのか

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▼ 百貨店業界が生き残るには?GINZA SIXが示す新しい方向性
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三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長が3月末で辞任することがわかりました。
大西氏は2012年に社長に就任。消費者との接点を広げる小型店の積極出店や
事業の多角化を目指した外部企業との提携も推進してきましたが、
消費者の百貨店離れが進むなか成果を挙げられなかった責任を取るとのことです。

私は大西氏が進めていた方向性そのものは正しかったと感じています。
結果が出なかったのは残念です。
1980年代のクーデター劇で有名な三越ですから、「またお家騒動か」という印象です。

大西氏が辞任したところで、百貨店業界が置かれた状況は変わりません。
百貨店事業という本業だけで回復するのは難しいはずです。
今後も大西氏と同じ方向性で進む以外には道はないでしょう。

伊勢丹新宿本店の売上推移を見ても、「爆買い」で一時的にバブルがきたものの、
百貨店事業は横ばい、下降傾向にあるのは明らかです。
純利益も決して安心できるものではありません。
それでも百貨店事業で利益は出ていますが、将来それを補える他の事業が育ってきていません。
一方、阪急阪神や高島屋は、百貨店事業以外の多角化に取り組み成果を上げています。
高島屋の安定的な利益は、タイムズスクエアを始め不動産業が強いことにあります。

また、三越伊勢丹は百貨店のメイン店がターミナル店ではないのが、
阪急や高島屋と大きく異なる点です。
阪急の梅田や高島屋の名古屋などは大きな利益を上げていますが、
それらに匹敵する店舗が三越伊勢丹にはありません。

ターミナル店ではない店舗の参考事例になりそうなのが、
4月20日オープン予定のGINZA SIXです。
松坂屋跡地にできる銀座エリア最大級となる商業施設で、
早くも銀座の顔になるのでは?と言われています。

今後、GINZA SIXのような店舗が百貨店業界の(ターミナル店ではない)
スタンダードになる可能性は大いにあると思います。
実際、どのようなお店になっているのか、自分自身で足を運んで見ておくとよいでしょう。


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▼ 東芝の「底」は見えない。管理体制の甘さが露呈
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毎日新聞は8日、「LNGでもリスク…最大1兆円損失」と題する記事を掲載しました。
これは2013年に当時割安だった米国産LNGを仕入れる契約を結んだものの、
販売先探しが難航していると紹介。
原油価格の高騰などで米国産LNGの価格競争力が失われたためで、
販売先が見つからなければ2019年3月期から損失を計上する必要があり、
経営危機に陥っている東芝への追い打ちになるとしています。

東芝は奈落の底へ突き進み続けています。
1兆円規模で次々と、このようなものが発覚しています。
2兆円の価値はあると言われている半導体事業も売却予定とのことで、
もはや東芝に残るのは、エレベーター事業くらいしかありません。

今回のLNG事業の損失は、東芝の管理体制の甘さを指摘せざるを得ないと思います。
一体、誰が責任をとるのか?全く不明だからです。
東芝にはLNG事業部すらありません。この状況事態が異常です。
こうした緩さは、銅取引で巨額の損失を出した住友商事に似ているところがあります。

東芝は旧三井銀行系ということで、三井住友銀行が資金提供するようです。
2兆円くらいまでなら耐えられると思いますが、今の東芝の状況を見ていると
「いくらまで貸すべきなのか?」見当もつかないでしょう。
先行きがあまりに不透明なら、三井住友銀行内でも、
旧住友系からの反発が出て来る可能性もあります。
おそらく半導体事業を2兆円で売却しても、それだけでは間に合わないほど、
東芝の底は想像以上に深いと感じます。


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▼ 日本勢が光ファイバー事業への転換に成功した理由
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東洋経済オンラインは8日、『かつての「電線御三家」、なぜ今絶好調なのか』
と題する記事を掲載しました。古河電気工業、住友電気工業、フジクラの3社が
光ファイバーなどの需要拡大で業績が好調です。中国勢が安値攻勢を
かけているものの、大容量通信などの主要部品では日本勢が世界シェアトップで、
来年度まで「作れば売れる」状況が続くだろうと紹介しています。

光ファイバー事業の大手と言えば、世界一のコーニングを筆頭に
元々ガラス製品を作っていた企業がほとんどです。日本ではこの流れと異なり、
古河電気工業、住友電気工業、フジクラなど電線事業社が、
光ファイバーへ上手に乗り換えることに成功しました。光ファイバーは
コネクター部分などの細かい技術の難易度が高く、日本勢が強みを発揮しています。

世界を見ると、ほとんどの電線事業社は時代の波に飲まれてしまい、
光ファイバーへの転換に失敗しました。その中で、なぜ日本勢だけは成功できたのか?
なぜ世界の企業はうまくいかなかったのか?これは非常に重要な経営のテーマの1つです。

世界の電線事業社は、カルテル行為をやっていたからだと私は見ています。
かつて電線業界では、世界的にカルテル行為が繰り返されていました。
このために「外に目を向ける」ことができなかったのだと思います。
光ファイバーの波がきていても、業界内ではカルテルによって仕事が回ってきますから、
それをいち早く感じて対応することができなかったのです。

その中で日本勢は上手く世界化し、技術力を活かすことにも成功しました。
これは日本企業として誇れるテーマであり、とても明るい話題だと思います。


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※この記事は3月12日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、百貨店業界に関する話題をお届けしました。

大きな利益を上げている阪急の梅田や高島屋の名古屋などと異なり、
メイン店がターミナル店でない三越伊勢丹。

大前は、ターミナル店ではない店舗の参考事例になりそうな、
4月にオープン予定のGINZA SIXに自分自身で足を運んでみるとよい
と今回の記事で言及しています。

問題解決にあたり、類似した事例を調べて施策の有効性を考えることは重要です。
また、データも大切ですが、数字などでは計れない、定性的な情報も不可欠です。

現場に足を運ぶことで、自分の目で確認しないと分からない
「定性的な情報」を得ることができます。

2017年03月11日(土) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米ツイッター・米スナップ・鴻海精密工業 〜ツイッターの課題は、ビジネスモデルがないこと

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米ツイッター 約8億円の自社株買いを発表
米スナップ 米スナップが上場
鴻海精密工業 「米国第一」に模範解答

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▼ ツイッターの課題は、ビジネスモデルがないこと
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米ツイッターのジャック・ドーシーCEOは先月14日、
700万ドル(約7.9億円)相当の自社株を買い戻すことを発表しました。
また同15日、ゴールドマン・サックスのテクノロジーカンファレンスに登壇し、
「近年のツイッターはユーザー体験やプロダクトを磨き上げることから目をそらし、
新規ユーザーの獲得や新機能の追加に力を注ぎすぎていた」と語ったとのことです。

ツイッターはメディアとしての影響力は抜群ですが、お金に換える明確なビジネスモデルがありません。
視聴率で言えばテレビ並みの媒体なので、例えばトランプ大統領の
ツイッターの発言を読む人が多くいたら、その人数に応じて課金するということが
できれば良いのですが、それがうまくいきません。

数百億円の赤字がつづき、株価も低迷している状態です。
同じく大きな影響力を持つインターネットメディア・フェイスクブックとの一番大きな違いは、
ビジネスモデルの有無でしょう。

ジャック・ドーシーCEOは、ツイッター社だけでなく、
2015年上場した決済会社・スクエア社のCEOも兼ねています。
ドーシーCEOが離れている間に、ツイッター社の有力な人材は去ってしまいました。
難しい状況かもしれませんが、ビジネスモデルをどうするかという課題を
解決しなくては前へ進めないと思います。


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▼ スナップチャット創業者とイーロン・マスク氏の違い
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写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップが2日、
ニューヨーク証券取引所に上場しました。
公募・売り出し価格の17ドルに対し、初値は24ドル。
終値ベースの時価総額は283億ドル(約3兆2000億円)とIT関連の米市場での新規株式公開としては、
2014年の中国電子商取引大手アリババ集団以来の規模となりました。

あっという間に売り出し価格を上回ってしまいました。
24時間で映像が消えるというコンセプトなどが「今」の時代にマッチしているサービス
ということでしょう。2011年7月カリフォルニアで創業。
創業者エヴァン・スピーゲルが26歳、ボビー・マーフィーが28歳という若さです。

KPCB、セコイア、アリババ、政府系ファンドGIC(シンガポール)、
テンセント、ヤフーなどから8回ほどの投資を受けながら、見事に上場を果たしました。
SNS系ベンチャー企業のイグジット価格では、フェイスブックに次ぐ約236億ドル。
LINEが69億ドルですから約3倍になるのですごい価格です。
とは言え、ウーバー、小米、エアビーアンドビーなど、さらに上を行くユニコーン企業があります。

26歳で5000億円の資産を得て、時の人になりつつあるエヴァン・スピーゲル氏。
イーロン・マスク氏のような起業家なのか?というと、少し毛色が違うと私は感じています。
例えるなら、「同好会スタイル」という印象です。
映像で自己主張したい、映像を共有したいというシンプルなことを、
学校の友だち同士で面白いから実現してみたという感じです。

ペイパルを創業したピーター・ティール氏やイーロン・マスク氏は、
ペイパルというサービスで「世の中のお金の仕掛けを変えてやろう」という想いを
持っていたと思います。その他のペイパル出身者を含め、ペイパル・マフィアと
呼ばれる彼らの「ペイパル後」の動向を見ていても、ヴァン・スピーゲル氏とは違う部分を感じます。

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▼ シャープ再建に成功した鴻海の次の一手
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日経新聞は先月21日 『「米国第一」に模範解答 鴻海、巨額投資の深謀』と題する記事を掲載しました。
これは鴻海精密工業が米国への投資をいち早く表明した背景には、
現在同社が中国で行っている「HUB(ハブ、部材倉庫)」機能を米国で実現するため、
サプライヤーに協調投資を促す狙いがあると指摘しています。

また同社が今後注力するとみられる電子白板は、
アップル、シスコ、HPなど現在の主要な顧客もターゲットに出来るほか、
現地生産のメリットも享受できる領域としています。

鴻海はソフトバンクが発表した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」にも参加を表明しています。
ソフトバンクグループがサウジアラビアと発足させる投資ファンドで、
運用規模は10兆円超になる見込みとのことですが、
これも利用しながら鴻海としては米国への展開を考えているのでしょう。
実際のところ、トランプ大統領が主張する「雇用創出」につながるという意味では
鴻海が一番だと思います。

またシャープ買収後の立て直しに成功し、シャープは四半期で黒字化しました。
すでに再上場の可能性がささやかれています。
シャープが一件落着したので、次の一手として米国戦略ということかもしれません。
トランプ大統領を喜ばせて、米国政権に取り入ってしまおうという流れなのでしょう。


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※この記事は3月5日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、ツイッターの課題に関する話題をお届けしました。

メディアとしての影響力は抜群のツイッター。

しかし、たとえ大きな影響力を持っていたとしても、
ビジネスモデルがなければ戦っていくことはできません。

ビジネスモデルの策定については、様々な事例の研究を通して、
自社にも適用できるベストプラクティスを発見することも有効です。

ベストプラクティスを自社のバリューチェーンにも当てはめることによって、
業績にインパクトをもたらす仕組みを構築することができます。

2017年03月03日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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世界海外旅行者数・民泊・決済サービス 〜4000万人対応には民泊を活用せざるを得ない

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世界海外旅行者数 2016年で約12億3500万人
民泊 年間営業日数の上限を条例で制限
決済サービス 2020年までに日本の決済システムが激変

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▼ 4000万人対応には民泊を活用せざるを得ない
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国連世界観光機関(UNWTO)は、2016年の国際観光客到着数は、
前年比3.9%増の12億3500万人と発表しました。
テロの影響で外国旅行を手控える動きが一部に出たものの、
世界的な経済成長とグローバル化の進展を背景に7年連続のプラスで過去最高を更新しています。

将来的に2020年までに4000万人の外国人が来日すると言われていますが、
それでも世界の12億人という人数から考えれば小さ過ぎると私は思います。

旅行産業というのは 今最も成長が確実な産業といえます。
人々は豊かになると車を買って乗るという生活スタイルから卒業して、
観光・旅行にでかけるという時代になってきています。
旅行先としての一番人気はフランスで、年間約8000万人です。
昨年テロがありましたが、おそらくそれでも激減はしないと思います。
フランス以外にも、スペインイタリアなど欧州は人気が高い地域です。
アジアで見ると中国やタイといった国が日本よりも人気があります。

日本は4000万人の外国人観光客に対応するとなると、民泊を使わざるを得ない状況です。
すでに1900万人で既存の旅館やホテルは年間稼働率が80パーセントで満杯状態。全く予約が取れません。
このままで、一体どうやって4000万人に対応するというのでしょうか。

このような状況の中、民泊をめぐる法整備について、
政府・自民党は先月8日、年間営業日数の上限を地域の実情に応じて制限する調整に入りました。
国土交通・厚生労働両省は昨年12月、上限を180日にする妥協案を決定しましたが、
これに対し、旅館業界や自民党の一部が「長すぎる」と反発。
生活環境の悪化などを招く場合、地方自治体が営業日を減らす条例を定められるようにする方針です。

昨年1900万人の外国人観光客でホテル旅館は満杯になったため、
実際には370万人はエアビーアンドビーを使っていたことがわかっています。
もしこれがなかったら、4000万人どころか昨年の2000万人レベルでも対応できていないということです。
それにも関わらず、未だに民泊を制限しようと動いています。
これは既存のホテルや旅館の人たちが働きかけています。
私に言わせれば、「そんな権利があるのか?」と、問いただしたくなります。

民泊に関する様々な問題(納税や自治体への届け出等)は、
積極的にエアビーアンドビーが対応して解決に向けて動いています。
これは非常に良いと思います。
しかし一方で、180日制限などを受けると、既存の空きスペースならいいでしょうが、
新築だとペイしない、あるいは鍵の管理などに人を雇うのもむずかしくなるなどの問題があります。

お役所仕事なので、完全に自己矛盾に陥っています。
国は民泊を制限するということで4000万人の受け入れをあきらめるのか、
それとも4000万人を受け入れるために民泊を活用していくのか。どちらか方針を決めるべきです。


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▼ 世界標準はアリペイ。すでにほぼ勝負はついている。
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日経新聞は先月8日、2020年までに激変する日本の決済システムを予測する記事を掲載しました。
記事によると、QRコードを使うなど新たな決済サービスが普及、非接触IC決済端末が国際規格に対応、
FeliCaが国際的に普及など3つのシナリオが考えられるということで、
それぞれの最新動向も交えて解説しています。

日経新聞は上記のように書いていますが、実際にはすでに「終わって」います。
QRコードを使いスマホだけで決済が完了(銀行口座から直接引き落とし)するアリペイ、
ウィチャットペイが圧倒的です。
日本もフェリカで対抗しようとしていますが、香港などで多少使われているに過ぎず、
国際的には約10億人が利用するアリペイ、ウィチャットペイで決まりでしょう。

もともと、Edyはソニーが開発した技術でした。
ユーロ、ドル、円という主軸通過を不要にするという非常に優れた発想と技術でしたが、
当時のソニー経営陣は単なる「部品」としてこの技術をJR東日本に売ってしまいました。
このとき国際標準になる千載一遇の好機を逸してしまいました。

現在、アリペイ、ウィチャットペイの利用者は約10億人。
5億人くらいは重複していると思いますが、それでも圧倒的な数字です。
QRコードで読み取るという方式が世界標準になっていくと私は思います。
すでに日本でも、免税店ではない3000の小売店がアリペイやウィチャットペイ対応を
せざるを得ない状況であり、他のお店も追従するでしょう。
楽天ペイもありますが、5億人が使う決済システムの実績とシェアには勝てないと思います。


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※この記事は2月26日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、民泊の重要性に関する話題をお届けしました。

4000万人の外国人観光客対応には民泊を活用せざるを得ない状況の中、
年間営業日数の上限を地域の実情に応じて制限する調整に入った政府・自民党。

これに対して、民泊の制限で4000万人の受け入れをあきらめるのか、
受け入れるために民泊を活用していくのか方針を決めるべきと大前は指摘しています。

大前が観光客の人口数を挙げて指摘しているように、
定量的なデータを意識しなければ、
本来打つべき施策とは異なる方向に進んでしまいかねません。

問題解決にあたっては、
ありたい姿を定量的にしっかりと定義しておくことが大切です。

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