2017年09月29日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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朝鮮半島情勢/米トランプ大統領/北朝鮮核開発問題 〜国連の場では隠していた中国の本音とは?

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朝鮮半島情勢 韓国をリスクにさらさない
米トランプ大統領 北朝鮮、イランなどを「ならず者国家」と批判
北朝鮮核開発問題 新たな経済制裁を発表

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▼米国が恐れているのは、韓国に駐留する米軍への打撃
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米国のマティス国防長官は18日、北朝鮮を巡る危機対応について、
韓国を大きなリスクにさらさない方法での
軍事行動の選択肢もあるとの考えを示しました。
また朝鮮半島に核兵器を再配備する案について、
韓国側と協議したことも明らかにしましたが、
具体的な検討項目については言及しませんでした。

韓国をリスクにさらさないといっても、昔から北朝鮮は、
ミサイル攻撃でソウルを火の海にできると公言していますし、
確かに技術的には可能なのです。

そして、その被害は甚大です。
もちろんその場合、韓国の報復により、
次の瞬間には北朝鮮も火の海になっているでしょうから、
必然的に全面戦争に突入します。
第3次世界大戦の可能性すらあるかもしれません。

米国本土への北朝鮮からの遠距離ミサイルについていえば、
実はそれほど被害は大きくありません。それでもなお、
米マティス国防長官が韓国を含めた危機対応について発言をしたのは、
米国内の世論への対応の意味が大きいと私は見ています。

ソウルにミサイルが撃ち込まれれば、
駐留している米軍も被害を受けますから、
他人事として片付けることはできません。

一般的に、北朝鮮の危機対応においてソウルを
リスクにさらさない方法などないと言われてきました。
あえてそれをひっくり返すような発言をせざるを得ない状況なのでしょう。



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▼北朝鮮と一触即発の状況。米軍は大々的な戦争を避けたい考え
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トランプ米大統領は19日、国連総会で北朝鮮やイラン、
ベネズエラなどを「ならず者国家」と呼び、対決姿勢を鮮明にしました。
また、弾道ミサイル発射を繰り返す金正恩委員長を「ロケットマン」
と呼び「自殺行為をしている」と批判。
「米国と同盟国を守ることを迫られれば、
北朝鮮を完全に破壊する以外の選択はない」と強調しました。

かつてジョージ・Wブッシュ元大統領(息子)が、
北朝鮮、イラン、イラクを悪の枢軸と批判したのを思い出させます。
今回トランプ大統領はベネズエラまで含め、
「ならず者国家」と批判しています。

そして、トランプ大統領は北朝鮮を完全に破壊すると発言しました。
そもそも北朝鮮の金正恩委員長は体制の完全崩壊を恐れて、
せめて自分と身内だけでも守るための保障の手立てとして
水爆やICBMを利用してきました。
しかし、もし今トランプ大統領が言うように、
米軍が完全に北朝鮮を破壊する行動に出たら、
北朝鮮としては手も足も出ないでしょう。

それゆえ、金正恩委員長自ら、直接声明を出して猛烈に反発しています。
一触即発という状況で、いつ軍事行動が開始されてもおかしくないと思います。

トランプ大統領は「口だけ」だとも指摘されていますが、有事の際、
実際どこまで行動力を発揮するのか読めない部分もあります。
ただ、軍事関連のことについてはマティス国防長官が
仕切っていますから、トランプ大統領とは言え、
何でも好き勝手にできるわけでありませんので
暴走しすぎることはないでしょう。

もし軍事行動に出るとしても、おそらく大々的な戦争は
避ける方向で動くと思います。個人的に金正恩委員長を狙うような、
ピンポイント爆撃などが現実的なところでしょう。
最近、米軍が爆撃機を北朝鮮のすぐ近くまで飛ばしているのは、
「金正恩をピンポイントで狙うこともできるのだ」
という布石になっていると私は感じています。



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▼国連の場では隠していた中国の本音とは?
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トランプ米大統領は21日、安倍首相、
韓国文在寅大統領とニューヨークで会談し、
「致死的兵器を開発する北朝鮮の資金源を絶つ」と述べ、
北朝鮮と取引する海外企業・銀行や個人に
新たな経済制裁を科すと発表しました。また、
「中国の中央銀行が他の銀行に対し、北朝鮮とのビジネスを直ちに止めるよう伝えた」
とも述べ、中国の対応を称賛しました。

国連で決議された制裁はもう少し緩やかでしたが、
今回のトランプ大統領が発表したものは米国独自の制裁です。
中国とも話し合いをしていて、実は中国が8月ごろから
同じような制裁を開始していたことが判明しました。

中国としては、自国内にいる制裁対象となる企業や個人に対して、
先んじて自分たちが手を打っていたということです。
これは中国全体として米国の銀行が使えなくなるのを避けるためです。

世界の基軸通貨は米ドルですから、
米国の銀行を利用する必要があります。
万一、米国から制裁を受けて、全体に影響が及んでしまうと、
中国としても非常に困ってしまいます。
その事態を避けるために、国連の決議以上に厳しい制裁を
個別に始めていたということでしょう。

トランプ大統領は中国を賞賛していますが、
私には言わせれば意外に中国もずるいところがあると思います。
国連の場には米国を嫌っている国も多いですから、
厳しい制裁には反対の態度を示しておきながら、
裏では米国からの制裁を避けるために先駆けて動いていたということです。
ロシアも中国も、おそらく北朝鮮以上に
米国からの制裁は絶対に避けたいと思っているでしょう。



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※この記事は9月24日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、朝鮮半島情勢の話題を中心にお届けいたしました。

北朝鮮ミサイル問題に対する緊張感が日々高まり、
各国の次の動きに注目が集まっています。

緊急事態こそ、正しい意思決定が求められてきます。

意思決定を行うにあたっては、正しく問題を認識し、
問題を解決するための具体的な行動案を設計し、
その効果や影響を評価し選択します。

このように、影響の連鎖の探求やリスク許容限界の設定などを
行ったうえで、意思決定を行っていきます。

2017年09月22日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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中国自動車市場/三菱自動車/欧州自動車市場/ソーラーカー 〜急速なEV化は日本の自動車産業の裾野を破壊する

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中国自動車市場 ガソリン車やディーゼル車の製造・販売禁止を検討
三菱自動車 中国での販売店舗 2017年度に300店へ
欧州自動車市場 欧州勢のEVシフト鮮明
ソーラーカー ソーラーカーの新星続々

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▼急速なEV化は日本の自動車産業の裾野を破壊する
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中国政府がガソリン車やディーゼル車の製造・販売禁止
の検討を始めたことが分かりました。
フランスと英国が2040年までに禁止を表明したことに追随し、
導入時期の検討に入ったものです。
EVを中心とする新エネルギー車に自動車産業の軸足を移し、
環境問題などに対応する考えです。

中国の自動車産業は今でも2500万台規模ですが、
仮にこれが実現すれば中国の電気自動車は
世界最大規模になるでしょう。カリフォルニア州と中国は、
EVのみを許可するとも言われていますが、
中国はフランスと同じようにプラグインハイブリッド車も
認めるのではないかと私は見ています。

EV化の波は、この1ヶ月で急速にトレンドが形成されました。
日本も対応を誤ると、大変な事態を迎えることになると思います。
ただ厄介なのは、EV化対策に成功し、
上手にシフト出来た場合にも、日本には課題があります。
それは日本が世界に誇る部品産業が大打撃を受けるということです。
EV化は数十年かけてやるくらいで考えないと、
日本にとっては自動車産業の裾野の部分が
大きく壊されるリスクがあると私は感じています。

三菱自動車は中国での販売店舗を2017年度に
16年度比4割増の300店に増やす方針を明らかにしました。
環境規制強化でガソリン車の販売が禁止されることをにらみ、
プラグインハイブリッド車など新エネルギー車の投入に備えるものです。
販売が好調なロシアとインドネシアでは増産を検討するとのことです。

昨年、日産自動車が三菱自動車の約3割の株式を保有し、
アライアンスを組みました。私に言わせれば、
なぜ100%保有しないのか理由がわかりません。
いずれにせよ、三菱自動車は経営陣がしっかりしていれば、
日産・ルノーにとっても大きな役割を果たしてくれる存在になります。
三菱自動車の強みは、日産・ルノーが弱い地域で強いこと、
そして電気自動車に強いことです。

三菱自動車の地域別販売台数を見ると、
ロシア、北米、日本、中国となっていて、
日本以外での販売台数が多くなっています。
また、「その他」の地域での販売台数も多く、
中東、アフリカ、中南米などにおいても、20万台も販売しています。
パジェロ、ランサーなどが田舎の悪路で人気を得ているのでしょう。

将来の電気自動車を見据える意味もありつつ、
現時点でも地域補完の効果は大きく、
日産・ルノーにとっては非常にありがたい存在になっていると思います。


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▼理想的なEVのあり方は、プラグインハイブリッド車
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日経新聞は「欧州勢のEVシフト鮮明」と題する記事を掲載しました。
ドイツで12日、フランクフルト国際自動車ショーが開幕し、
独フォルクスワーゲンは約300ある全車種に電気自動車(EV)か
ハイブリッド車(HV)のモデルをそろえることを明らかにしました。
またダイムラーやBMWもEVの品揃えを拡充する方針で、
これまでの自動車と同様、いかに使いやすく魅力的なEVを
低価格で提供できるかの勝負になってきたとしています。

各社の電動化戦略を見ると、VW、ダイムラー、BMW、ルノー、
ジャガー・ランド・ローバーなどは明確に方針を示しました。
一方で、トヨタは全方位体制で、
ホンダも若干腰が引けている状態です。

とはいえ、トヨタは本格的に取り組み始めれば、
すぐにでも優位性を発揮できると思います。
というのは、理想的なEVのあり方は、
プラグインハイブリッド車になるからです。
これまでのハイブリッド車では、
馬力を必要とする時に動力源を切り替えていましたが、
これからのEVは都市部ではバッテリーで動くようにして、
バッテリー充電が不足する可能性が高い郊外では
ガソリンで動くようにする、という形になるでしょう。

この形式のプラグインハイブリッド車が主流になれば、
現在のEVよりも圧倒的に安定感が増すはずです。
ハイブリッド車に関して、
トヨタには多くの経験とノウハウがありますから、
優位性を確保することは難しくないでしょう。

一方、EVのダークホースとして頭角を現しつつあるのが、
ソーラーカーです。日経新聞は12日、
『「充電なしでEV走れます」ソーラーカーの新星続々』
と題する記事を掲載しました。

オランダアイントホーフェン工科大学の卒業生が立ち上げた
ライトイヤー社が自社で開発したソーラーカーの予約を開始したと紹介。
また中国の漢能(ハネジー)控股集団も昨年、
太陽光発電だけで走る試作車を公開したとのことです。

ソーラーカーは屋根にパネルを入れることで、
走行中に太陽光発電により充電し、
プラグインを必要としない仕組みです。
もちろん、天候による影響も大きく受けますが、
EVのあり方としては、ダークホース的な存在として見逃せません。


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※この記事は9月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、自動車市場の話題を中心にお届けいたしました。

EV化の波は、この1ヶ月で急速にトレンドが形成されました。

日本も対応を誤ると、大変な事態を迎えることになると
指摘する一方、EV化対策に成功し、上手にシフト出来た場合にも、
日本が世界に誇る部品産業が大打撃を受ける
という課題が日本にはあるとも指摘しています。

このような不確実な世の中で成功を収めるには、
状況の変化に応じて競合よりも早く行動を起こすことが重要です。

そのために必要なことは、不確実要因の展開によって
可能性のある将来に応じた一連のシナリオを用意し、
それぞれのシナリオにおける脅威や機会を議論しておくことです。

そうすることで、環境変化の予兆を早く感じることができ、
いざその時が来た際に迅速に行動に移すことができます。

2017年09月15日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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ロシア情勢/日ロ関係 〜極東を重視するプーチン大統領の意図

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ロシア情勢 危険度増すプーチン大統領の「奇妙な戦争」
日ロ関係 北朝鮮は「深刻な脅威」で一致

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▼ハイブリッド戦争を仕掛けるロシア
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ロイターは2日、危険度増すプーチン大統領の「奇妙な戦争」
と題する記事を掲載しました。ロシアと西側の直接衝突が
悲惨な結果を招くことを双方が理解しているため、
広範囲、かつ奇妙な形で対立するに至っていると紹介。
プーチン大統領が自国民に西側諸国への敵対心を
煽るメッセージを発信し続けていることやハッキング、
フェイクニュースの流布及び軍事演習などがその例とし、
皮肉なことにこうしたことで世界は増々ロシアへの
警戒を強めるだけとしています。

ロシアは軍事力だけでなく、フェイクニュース、
サイバー戦争などを仕掛けています。
ロシアとドイツの例を見ても、これは明らかです。
メルケル首相も対応し、プーチン大統領に警告を発しています。

日本も、サイバー攻撃、ハイブリッド戦争に対する準備が
十分できていないと言わざるを得ません。
今回のことは日本にとって、この分野に対する
能動的な準備をすると良いのではないか?という、
ある意味「目覚まし」になるのではないかと思います。

今回の北朝鮮のミサイル発射で、中国では
日本のJアラートシステムに対する評価が高まっています。
わずか6分で国民に緊急事態を知らせることができるシステム。
中国にはこのようなシステムはありません。
もともと、他の目的で作られたJアラートシステムですが、
今回はそれがタイミングよく稼働し、中国も驚いたという事態です。


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▼極東を重視するプーチン大統領の意図
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安倍首相は、ロシアのプーチン大統領と会談を行い、
核ミサイル開発を続ける北朝鮮は国際社会にとって
深刻な脅威であるとの認識で一致しました。
また安倍首相はプーチン大統領に、講道館柔道の創始者、
嘉納治五郎が残した「精力善用」との書を贈りました。
鍛えた心身を社会のために有効に使うとの意味で、
プーチン氏は「すてきなプレゼントだ」と謝意を述べたとのことです。

何のためにウラジオストクまで行ったのか?
安倍首相は全く理解していません。
ウラジオストクで行われたのは経済会議だったにもかかわらず、
日本の随行記者は、政治部の記者ばかりでした。

「北朝鮮は深刻な脅威との認識で一致した」と報道されていましたが、
ロシアにとっては脅威でもなんでもありません。
ロシアが本気になって北朝鮮をひねろうと思えば
いつでも可能でしょう。永田町の政治部の記者が、
安倍首相に言われるがまま記事にしただけに過ぎません。

武道会館がウラジオストクに新設される予定で、
その定礎には「人に勝つより自分に勝て」という
嘉納治五郎氏の言葉が刻まれるそうです。
私はロシアのニュースを直にチェックして知りましたが、
これも日本では報道されていません。

そもそも今回の目的は、3回目の開催になる東方経済フォーラムでした。
モンゴルの大統領、韓国の大統領と一緒に、
もちろん安倍首相も参加していましたが、
まるで話を聞いている様子ではありませんでした。

東方経済フォーラムの注目すべきポイントとしては、以下の様なものでした。
・山下泰裕氏の名を冠した柔道大会の開催
・間宮海峡、宗谷−サハリンの架橋
・香港の富豪 RONNY CHANG氏の参加
・60社以上の企業が参加し、5兆円の商談が締結
・日本の副総理にロシア担当を設けるべき
・北朝鮮に対してはロ中の提案しているロードマップに沿って対話すべき

ところが、実際には随行していたのは政治部のぶら下がり記者ばかりだったので、
こうしたロシアの裏口が見えるところが何も報道されていません。
そもそも、東方経済フォーラムだったことすらも
正確に報道されていないのは、情けない限りです。

ロシアの8連邦管区の面積と人口を見ると、
極東は圧倒的に人が足りていません。
面積は620万平方キロメートルで日本の約15倍もあるにもかかわらず、
人口は約620万人で横浜市の人口レベルに過ぎません。
隣の中国東北3省の人口は、1億5,000万人です。
ロシアとしては恐ろしくてしょうがないでしょう。
中国と仲良く振舞っていますが、
この人口差はロシアにとって大きな悩みの種です。
もし北朝鮮が本当につぶれて、
例えば2000万人の難民が押し寄せることになったとしたら、
ロシアは歓迎するでしょう。

ロシア極東連邦管区の人口推移を見ると、
年々減っているのが分かります。
今ロシアではこの地域に移り住んでくれたら、
1万平方キロメートルの土地を無償で提供する
というキャンペーンを展開しています。
モスクワに在住する人たちに働きかけていますが、
ほとんど効果は見られません。
プーチン大統領の最大の悩みは、アジアへの窓口です。
それがハバロフスク、ウラジオストクなのです。

ロシアとの関係性では、このプーチン大統領の意図を
理解することは極めて重要です。
主目的であった東方経済フォーラムについてすら、
まともに報道しない日本のマスコミは、
全く話にならないレベルだと私は思います。



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※この記事は9月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日ロ関係の話題を中心にお届けいたしました。

ロシア東部への投資の促進を目的とした
国際会議『東方経済フォーラム』。
ロシア政府が国内の最重要地域と位置づける
極東への開発協力を各国に呼びかけています。

大前は記事中で、プーチン大統領の最大の悩みは、
アジアへの窓口で、それがハバロフスク、
ウラジオストクなのだと指摘していますが、
戦略を描く際には、市場のカギとなる場所を見つけることは
非常に重要です。

どの場所から進行して広げていくのか?
このようなストーリーを描くことが大切です。

2017年09月08日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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北朝鮮情勢/米移民問題/米トランプ大統領/米大型ハリケーン 〜トランプ大統領で北朝鮮を制御できるのか?

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北朝鮮情勢 豊渓里付近でM6.3規模の揺れ
米移民問題 移民めぐり対立再燃、トランプ政権とシリコンバレー
米トランプ大統領 トランプ氏の元保安官恩赦は三権分立の侵害
米大型ハリケーン 記録的豪雨で大洪水

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▼トランプ大統領で北朝鮮を制御できるのか?
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日本時間3日午後0時29分ごろ、北朝鮮北東部の豊渓里付近で、
M6.3前後の人工的な揺れが観測されました。
朝鮮中央テレビは、午後3時から重大報道を行い、
「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験に完全成功した」
と発表。昨年9月に続く6回目の核実験を公式に認めました。

今回の規模からすると、おそらく「水爆」で間違いないと思います。
私も揺れている現地の映像を見ましたが、非常に大きな揺れ方でした。
これまでの実験で観測されていた揺れは、
M5.3〜M5.4という範囲でしたが、
今回はM6.3となりこれまでの10倍の大きさになります。

北朝鮮がこの規模の実験に成功する段階まで
来てしまったということです。
米国も北朝鮮に対する分析を改め、現在の北朝鮮は
核爆弾を60発ほど持てるようになったと認識しています。
核爆弾の燃料はウクライナあるいはロシアから購入したのか不明なまま、
いずれにせよ、北朝鮮は恐ろしいまでの攻撃力を持ち、
米国まで届くミサイルまで保有できるようになってきています。

北朝鮮のミサイルが3つに割れたという報道がありましたが、
これは映像が乱れただけではないかと思っています。
米国やロシアであれば、ミサイルのヘッド部分を切り離し、
その部分だけを操作することも可能ですが、
さすがに北朝鮮にそこまでの技術はまだないでしょう。

トランプ大統領は金正恩に騙されて、
「オレの言うことを聞くようになった」
などと2週間前に発言していましたが、
舌の根も乾かぬうちに今回の事態を迎えています。
トランプ大統領ごときの発言で、
腰が引ける金正恩ではなかったということでしょう。

ニューズウィーク誌やTIME誌を見ると、
トランプ大統領が本当に戦争を始める気なのか?
といった特集が組まれています。このような状況でも、
北朝鮮に米国人観光客がいるそうで、何とも呑気な話です。

現時点ではこの事態に対して、ロシアの方が
真剣に話し合いをしようと試みています。
朝鮮半島で大規模な戦争が起こるとロシアにとっても
非常に困ることになります。プーチン大統領としては
何とかして朝鮮半島の戦いを避けたいと思っているのでしょう。



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▼政治、経済問題でもトランプ政権の問題は山積み
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外交問題以外でも、米国・トランプ大統領が抱える問題は山積しています。

日経新聞は2日、「移民めぐり対立再燃」と題する記事を掲載しました。
幼少時に親と米国に不法入国した若者に滞在許可を与える制度(DACA)
の撤廃を検討中のトランプ政権に対して、
アップルやグーグルなどの企業トップら300人超は
連名で制度の維持を要請しました。
仮に制度がなくなれば約80万人の移民が強制送還の対象となります。

DACA取得者数を見ると、圧倒的にメキシコ人が多く、
意外なことに韓国人も上位に入っています。
米国の労働者数の推移を見ても、外国人労働者数は
特にカルフォルニアなどの地域で伸びており、
もし移民が強制送還されるとなると、
米国企業は相当大きな影響を受けることになります。

またフィナンシャル・タイムズは先月28日、
「トランプ氏の元保安官恩赦は三権分立の侵害」
と題する社説を掲載しました。
法廷侮辱罪の有罪判決を受けた
ジョー・アルパイオ氏に恩赦を与えることは、
米国の根本的原則である三権分立への攻撃だと指摘。
これまでトランプ主義を拒否する共和党員と保守派は
中南米系市民の取り込みを模索してきましたが、
今回のトランプ氏の一件がそこに長期的な打撃を
与えた可能性があるとしています。

ジョー・アルパイオ氏と言えば、
移民に対する態度が非常に厳しかった人物です。
本来、恩赦が与えられるためには、司法省が提言をして
大統領がそれを認めて署名するという流れになります。
ところが、今回は司法省の提言なしにトランプ大統領が
直接署名をして、恩赦を与えました。
すなわち、司法ではなく行政による決定であったことが
「三権分立の侵害である」という指摘になっています。
これはまさにその通りだと思います。

様々な問題への対処が求められているトランプ大統領ですが、
オバマケアの見直し、財政赤字拡大の懸念を払拭できるか、
といった経済対策についても非常に厳しい状況になっています。
法人税率を15%に引き下げると言っていますが、
現実的に20%台前半が限界でしょう。
記録的な豪雨で大洪水をもたらした大型ハリケーン「ハービー」
の被害でも5000億円以上の出費が試算されています。
このままだと連邦政府がデフォルトすることになってしまいます。
早く議会を再開し、連邦政府の債務上限引き上げを
行う必要がありますが、議会にも共和党にも反トランプが続出していて、
一筋縄ではいかないでしょう。

仮に法人税率を20%台前半まで引き下げたとして、
足らない財源はどうするべきか?
最も良いのは、アイルランドを始め、
世界に進出している米国企業に課税できるようにすることです。
結局のところ、ここ抑えなければザルで水漏れしているのと
同じ状態だと私は思います。




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※この記事は9月3日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、北朝鮮情勢やトランプ大統領の話題を
中心にお届けいたしました。

大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験の
完全成功を発表した北朝鮮。

北朝鮮は恐ろしいまでの攻撃力を持ち、
米国まで届くミサイルまで保有できるようになりました。

この事態に対して、現時点では、ロシアの方が
真剣に話し合いをしようと試みていますが、
このような事態にリスクを最小限に抑えるためには、
現在世界中で起こっていることや、今後起こりそうなことに注意を払い、
重要な変化を迅速に認識し、変化に適応することです。

もちろん、これは経営においても同じです。

事前に複数のシナリオを想定し、
どの状況にも耐えうるようにすることで、
想定外の出来事でも慌てずに意思決定を行うことができます。

2017年09月01日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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中国ファーウェイ/中国ネット市場/米スプリント/ローソン/小売提携 〜世界トップ10に名を連ねる中国企業の実力は本物

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中国ファーウェイ 2018年初にアメリカでスマホ販売開始
中国ネット市場 止まらぬ中国ネット2強
米スプリント 一人負けスプリント、Tモバイルと「5G再編」の現実味
ローソン ローソン成長てこ入れ不可欠
小売提携 資本業務提携を発表

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▼世界トップ10に名を連ねる中国企業の実力は本物
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フォーブスは7日、ニュースメディアの報道として
中国のファーウェイが米国のAT&Tとの販売契約を固め、
2018年初頭に米国でスマートフォンの販売を開始すると発表しました。
ファーウェイの世界シェアは約10%に達していますが、
現状売上の大半は中国と欧州で、提携が実現すれば、
サムスンとアップルの2強体制を揺るがすことになります。

ファーウェイの経営者が中国共産党、
軍との関係性を疑われていたため、
長い間米国に受け入れてもらうことができませんでした。
スリーコムを買収しようとしたこともありましたが、
今回はAT&Tと提携し、AT&Tに米国内で販売してもらう形です。
AT&Tがファーウェイの携帯電話を見て、その質の高さから
商品として受け入れることを許諾したと言われています。

今後のファーウェイの米国市場での展開は注目したいところです。
ファーウェイを含め、中国企業の強さが目立つようになってきています。

日経新聞は先月19日、「止まらぬ中国ネット2強」
と題する記事を掲載しました。
年初来、株価はアリババ集団が85%上昇、テンセントが74%上昇し、
時価総額はそろって4000億ドル(約44兆円)を超えたと紹介。
中国政府が事実上、ネット市場から外国企業を締め出す中、
両社は守られた市場で膨大な利用者を取り込んでおり、
買収や出資で素早くサービスを増やして
収益を拡大する戦略に陰りは見られないとしています。

世界トップ10に匹敵するのは、アリババだけだと思っていたら、
ゲーム事業を中心にしたテンセントも頭角を現し始めました。
両社は株価も上昇し、投資も順調です。
テンセントは米テスラ株を約17.8億ドル購入し、
同社の5%の株を保有しています。
アリババはEコマースとして東南アジア最大の
LAZADA(ラザダ)に約10億ドル投資しています。

上場企業の時価総額ランキングでも、
アリババとテンセントがトップ10に食い込んでいます。
10年前は日本企業として唯一、トヨタが名を連ねていましたが、
今トップ10入りしている日本企業はありません。
かつても中国企業がトップ10入りしたことがありましたが、
その時は国営企業でした。
アリババもテンセントも純粋なICT企業であり、
両社が競いやって成長してきました。
一昔前の中国企業とは全く状況が違います。



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▼スプリントは黒字転換しても、いまだにソフトバンクにとっての重荷
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日経新聞は先月17日、
「一人負けスプリント Tモバイルと「5G再編」の現実味」
と題する記事を掲載しました。

米国の携帯電話事業者の2017年第2四半期決算が出そろい、
スプリントが3年ぶりの黒字を計上したものの、
新規獲得数は前年同期比の約10分の1に減少したと紹介。
一方、業界では次世代モバイルサービス「5G」の整備競争を念頭に、
衛星放送との提携・買収も加速しており、
こうした背景からスプリントの経営統合の相手として
TモバイルUSが候補として上がっているとのことです。

5Gはものすごくお金がかかりますが、
一度プラットフォームが出来上がってしまうと、
携帯やスマホでサクサク映画を観られるようになるので、
非常に魅力的です。5Gが実現すると、通話で稼ぐのではなく、
5Gというプラットフォームの上で動かすことができる
プログラム・コンテンツで稼ぐことが主流になります。

それゆえに、ベライゾンはアメリカンオンラインやヤフーを買収し、
AT&TはディレクTV、タイムワーナーを買収したのです。
ベライゾンもAT&Tも、順調に勢力を拡大している状況です。

つまり、5Gの導入により投資がいっそう大変になります。
新しい帯域に対応する必要があるので、免許の獲得も必要です。
そして5Gを生かせるコンテンツがないと意味がありません。
ちょっとしたコンテンツであれば、
今の携帯・スマホでも十分ですから、
5Gだから動かせるコンテンツが必要です。
スプリントがその投資を行うのか?
スプリントは経営改善の結果、黒字にはなりましたが、
大きな課題が残っていると言えます。

ソフトバンクの孫正義社長はコンテンツを獲得するため、
ケーブルテレビと交渉していると言っていましたが、
どうやらその買収の交渉は破断したようです。
今後、Tモバイルと合弁で5Gを展開するのか。
その場合、コンテンツをどのように用意するのか。
問題は山積しています。
スプリントの買収は、ソフトバンクにとって
未だに重荷の状態から脱していないと私は見ています。



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▼ローソンを経営できない三菱商事と、ドンキを上手に活用した伊藤忠の手腕
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サンケイビズは先月22日、コンビニエンスストア3位のローソンが
今年2月に三菱商事の子会社となってから、ほぼ半年が経過したものの、
今のところ目立った成果は出ていないと指摘。
三菱商事グループのスーパーとの連携強化や
コンビニ4位のミニストップとの経営統合観測も浮上する一方、
目に見えたせいかを示せなければ、個人株主を含め社の内外から
三菱商事への風当たりも強くなるとしています。

新浪氏、玉塚氏を追い出して、
三菱商事は自社から役員を派遣したわけですが、
成果を出せていません。ローソンの業績推移をみると、
営業利益は伸びていますが、純利益が伸び悩んでいます。

三菱商事全体で見ると、そこそこ利益は出ています。
セグメント別には金属で大失敗したのを除けば、
それほど大きな損失はありませんが、
逆に大きく伸びているものもありません。
結局、ローソンの経営もうまくいかないとすると、
何のためにローソンを支配しているのか?と言う話になるでしょう。
私は何度か指摘したことがありますが、
成城石井を買収しておきながら、
ローソンと相互関係がないというのも問題です。
ローソンの中に成城石井コーナーを作るなど、
打てる手立てはいくらでもあるはずです。

三菱商事には小売業界を理解できている人がいません。
同じ商社でも、アパレルや小売を理解できている人が多い
伊藤忠と大きく異なる点です。
その伊藤忠の手腕が発揮されたのが、
ドンキホーテとユニーの提携です。

ドンキホーテホールディングスと
ユニー・ファミリーマートホールディングスは、
資本・業務提携すると発表しました。
ドンキホーテがユニーの株式40%を取得し、
ユニーの店舗をドンキホーテなどに転換するもので、
商品の共同開発や仕入れ、人事交流にも取り組み、
競争力の強化を図る考えです。

これは業界としても驚きの提携でした。
ドンキホーテはユニークな商品を沢山持っているので、
それをユニーのテコ入れに活用しようという、
伊藤忠の戦略だと思います。



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※この記事は8月27日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、中国の企業の話題を中心にお届けいたしました。

ファーウェイやアリババ、テンセントなど
中国企業の強さが目立つようになり、
一昔前の中国企業と状況が変わってきていると
大前は記事中で指摘しています。

戦略の基本的な手法として3Cがありますが、
インターネットの普及とそれに続くデジタル化や
グローバル化など経営を取り巻く要素が非常に複雑になり、
今まで見えてない競争相手がはいってくるなど、
3Cはより流動的なものになってきています。

安定していた競争相手、安定したお客さん、
ビジネスモデルが確立している安定した会社、
というモデルから大きく変わり、
3Cは常に変転しています。

このような今だからこそ、
本当の「カスタマー」というのは誰なのか?
自社にとっての本当の「競合相手」というのは誰なのか?
ということを新たに考える意味でも、
この3つのCというのはより一層重要になってきています。

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