2017年12月29日(金) 
◆ 世の中どうなってんの…?大前さん!━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『 大前研一 ニュースの視点 』

2017/12/29 #706
発行部数 168,278部(自社配信+まぐまぐ)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

おはようございます。
ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ
問題解決力トレーニングプログラム事務局の石野です。

今週のニュースの視点は、
「北朝鮮情勢/サイバー攻撃/米韓関係/イスラエル情勢」
の話題について大前研一が解説します。


─────────────────────────  
【1】今週の 〜大前研一ニュースの視点〜
─────────────────────────

≫北朝鮮情勢/サイバー攻撃/米韓関係/イスラエル情勢 〜エルサレム問題で米国に反対の立場を貫いたのは正解

北朝鮮情勢 追加制裁決議案を全会一致で採択
サイバー攻撃 北朝鮮の関与を断定
米韓関係 米韓合同軍事演習延期をアメリカに提案
イスラエル情勢 エルサレム首都認定撤回求める決議案を採択

─────────────────────────
【2】問題解決力トレーニングプログラム より
─────────────────────────

≫【奨学還付金制度実施】第2期 戦略的思考トレーニング 

アウトプットトレーニングを拡充してリニューアル
2018年4月開講の締め切りは【2018年3月26日(月)15時まで】

─────────────────────────
【3】問題解決力トレーニングプログラム より
─────────────────────────

≫「問題解決ベーシック思考コース」2018年2月開講クラス生募集中

考える/ 表現するための基本となる国語を見直すところからはじめ、
問題解決に必要な思考力を鍛える!お申込は【2018年1月25日(木)15時まで】

─────────────────────────
【4】BBT×PRESIDENTエグゼクティブセミナー より
─────────────────────────

>【締切間近!】第12回 BBT×PRESIDENTエグゼクティブセミナーのご案内

大前研一直伝!〜経営者のための戦略思考〜
右脳と左脳を刺激し、世界基準の発想力を育てる。

─────────────────────────
【5】クリックアンケートのお願い
─────────────────────────

─────────────────────────
【6】あとがき
─────────────────────────



■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

北朝鮮情勢/サイバー攻撃/米韓関係/イスラエル情勢 〜エルサレム問題で米国に反対の立場を貫いたのは正解

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

北朝鮮情勢 追加制裁決議案を全会一致で採択
サイバー攻撃 北朝鮮の関与を断定
米韓関係 米韓合同軍事演習延期をアメリカに提案
イスラエル情勢 エルサレム首都認定撤回求める決議案を採択

─────────────────────────
▼北朝鮮はソフト面での攻撃力も備えてきている
─────────────────────────
国連安全保障理事会は22日、北朝鮮に対する追加制裁決議を
全会一致で採択しました。北朝鮮への石油精製品の輸出を
年間50万バレルに制限することで、輸出の約9割を禁止するほか、
北朝鮮からの出稼ぎ労働者を24ヶ月以内に送還する
ことなどを求めたものになっています。

北朝鮮の脅威が増す情勢を鑑みて、この採択は正解だと思います。
また、米政府は19日、今年5月に世界で被害をもたらした
ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「WannaCry(ワナクライ)」
を使ったサイバー攻撃について、北朝鮮が関与したと断定しています。

北朝鮮の脅威という意味では、
北朝鮮は核ミサイルによる物理的な攻撃能力だけでなく、
ソフト面での攻撃力も備えてきつつあることを忘れてはいけないでしょう。

ソニーピクチャーズは、北朝鮮を揶揄するような映画を作ったために、
未公開映画や個人情報を漏洩させられ、
韓国では原発の設計図が盗まれそうになっています。
バングラディシュの中央銀行にいたっては、約8100万ドルを強奪されています。

実際に北朝鮮によるソフト面での攻撃力=サイバー攻撃は、
成果につながるレベルにまで達していると見て良いと思います。


─────────────────────────
▼文在寅大統領がいる限り、日韓関係は良好にならない
─────────────────────────
韓国の文在寅大統領は19日、平昌冬季五輪期間中の
米韓合同軍事演習の延期を米国に提案し、
米国側も検討していることを明らかにしました。
これにより、文在寅大統領は北朝鮮選手の五輪への参加を促し、
対話への気運を高めたい考えです。
一方、米国のティラーソン国務長官は
「予定されている定例の軍事演習を変更する計画は承知していない」と語りました。

韓国の国内でも指摘されていますが、文在寅大統領は全く信用に値しません。
文在寅大統領は、かつて金正日に挨拶に行ったこともあり、
「自分が赴いて挨拶をすれば何とかなる」という思いがあります。

米国のティラーソン国務長官は、文在寅大統領が求めている
「軍事演習の延期」については全く知らないと発言し、
また中国は吉林省に難民キャンプを準備し始めたと言われています。
これは半島の有事を想定した対応でしょう。

こうした米国や中国の動きに反して、文在寅大統領は相変わらず
反米・親北の態度を示しています。日本も米国や中国と同様、
北朝鮮への圧力を強化しようという流れに乗っていますから、
文在寅大統領の韓国と良い関係は築けないでしょう。
しばらくの間、日韓関係については期待しないほうが良いと私は見ています。


─────────────────────────
▼エルサレム問題で米国に反対の立場を貫いたのは正解
─────────────────────────
国連総会の緊急特別会合が21日開催され、
エルサレムをイスラエルの首都に認定した
米国の決定撤回を求める決議案を賛成多数で採決しました。
賛成は日本を含む128カ国で、トランプ大統領は決議案に賛成した国には
経済援助を打ち切ると表明しており、
カナダ、豪州など一部の国は棄権しました。

このニュースを聞いて、
「米国がいかに下品な国に成り下がったのか。
リーダーシップがなくなったのか」
と感じました。トルコのチャウショール外相は、
「お金で我々の威厳を買えると思うのなら、それは間違いだ」
と演説しましたが、まさにその通りです。

私に言わせれば、トルコにここまで言われるほど、
今の米国はお粗末な国になってしまったと感じます。
米国からの援助受けている国に対し、
反対したら援助をしないというのは、脅しも同然であり、
大国・米国の大統領がこのような発言をするのは前代未聞です。

米国のエルサレム首都認定に対して、米国側についたのは、以下の国々です。
米国、イスラエル、グアテマラ、ホンジュラス、マーシャル諸島、
ミクロネシア、ナウル、パラオ、トーゴ。

一方、カナダ、メキシコ、豪州、コロンビア、ハイチ、
ポーランド、フィリピンなどは「棄権」を表明しました。
カナダ、豪州、メキシコが棄権の立場を取れるのは、
自国内に資源があるので、中近東の国に遠慮しないで良い、
ということが背景にあるのでしょう。

しかし、日本は資源国ではないので、中近東の国々と関係が悪化して、
油を輸入できなくなったら致命的です。
ゆえに、安易に「棄権」の立場を取ることはできません。

正直、トランプ大統領から安倍首相に電話があって
「棄権しろ」と要求されたら、
安倍首相は簡単に首肯してしまうのではないかと懸念していましたが、
ここは河野太郎外相がふんばってくれたのだと思います。

結果としてみると、カナダ、豪州、メキシコなど産油国で
米国との距離を考慮したところは棄権の立場をとり、
日本含め欧州のほとんどの国は、
(米国のエルサレム首都認定に反対する)国連決議に「賛成」を示しました。
この日本の決断は正しかったと思います。

米国にベッタリの立場で、中近東の国を敵に回して、
これまでの中近東との関係性を台無しにしてしまうのではないかと、
心配していました。このような形に落ち着いて、
私の率直な感想はホッとしているというところです。



---
※この記事は12月24日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


─────────────────────────
▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
─────────────────────────

今週は、エルサレム問題の話題を中心にお届けいたしました。

エルサレム問題で米国に反対の立場を貫いた日本。
これに対して大前は、日本の決断は正しかったと指摘しています。

世界にはエルサレムのような問題がたくさん存在しています。

混迷する中東で問われているのは「国家」とは何か
という根源的な問題です。

民族対立、宗教対立が紛争の根源的な火種となっており、
国民国家のフレームワークの論理では
簡単に解決できない問題となっています。

これらの問題から「国家とは何か」ということが問われ、
国民国家の定義や枠組みが揺さぶられるという意味で、
大きな変化が予感されます。

2017年12月22日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

米税制改正/ロシアゲート/天然資源開発/ロシア情勢 〜米税制改正の影響は極めて大。2.5兆ドルが米国に戻る可能性

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

米税制改正 法人税率21%で大筋合意
ロシアゲート 厄介なシナリオ
天然資源開発 LNG初出荷で記念式典
ロシア情勢 2018年大統領選への出馬表明

─────────────────────────
▼米税制改正の影響は極めて大。2.5兆ドルが米国に戻る可能性
─────────────────────────
与党共和党指導部は13日、上下両院の一本化へ向け
協議していた連邦法人税率について、
21%に引き下げる案で大筋合意しました。
両院とも20%に引き下げる案でそれぞれ可決していましたが、
実施時期を2018年で統一する一方、税収減を懸念する議員を配慮し、
減税幅を1%縮小したもので、週明け早々にも上下両院で採決する見通しです。

おそらく今年中にはトランプ大統領がサインをして成立する予定です。
共和党としてはこれでトランプ大統領の役割は終わりと考え、
後は決別してもいいという気持ちだと思いますが、
これは極めて重要な案件です。

連邦法人税率を21%に引き下げるということですが、
実際には各州税が加わるため、20%台後半の税率になります。
また個人所得税については、最高税率が39.6%→37%に引き下げられます。
こちらは、あまり効果を期待できないでしょう。

一方、大きな影響を期待できるのが、
海外子会社からの配当課税の廃止です。
これにより、企業は海外留保資金を米国に戻しやすくなります。
これは非常に影響力が大きく、うまくすれば、
海外に置いている2.5兆ドル規模の資金が米国に戻ってくる可能性があり、
米国は「お金でジャブジャブ」状態と言えるレベルになるでしょう。

この政策が実施されると、米国はクリントン政権の後期のように、
盆と正月が一緒に来たような状態になるかもしれません。
米国経済は株価も上がり、さらに海外からの資金も流入してくる可能性があり、
日本経済への影響も極めて大きいものになると私は見ています。



─────────────────────────
▼トランプ大統領に弾劾を乗り切る能力はない
─────────────────────────
ザ・エコノミストは13日、「ロシアゲート、厄介なシナリオ」
と題する記事を掲載しました。
大統領選当時のトランプ陣営幹部らが出版した回顧録からは、
陣営の混乱状況とことごとくルールを破る厚かましさが見て取れると指摘。
現在捜査を進めているモラー特別検察官が
コミー氏解任による司法妨害の罪をあげたとしても、
おそらくトランプ氏はニクソン氏のようには辞任せず、
議会もトランプ氏を追い落とすには分断されすぎているとしています。

私は少し異なる意見を持っています。共和党は完全に分裂しており、
トランプ大統領を支持するのはわずか10%程度です。
大統領の弾劾の可能性も大いにあると思います。
そして、もしトランプ大統領が弾劾される立場になったとき、
彼の言語能力ではその状況に耐えられないと見ています。

トランプ大統領の発言を見ていると、文章は短く、
バラバラでしかモノが言えない人だと感じます。
弾劾される立場になって厳しい問答に1時間も2時間も耐えられるとは思いません。
クリントン元大統領、ニクソン元大統領とも違います。
その意味でも、トランプ大統領が辞任する可能性は大いにあると思います。

ただ、トランプ大統領が辞任したとしても
トランプファミリーにとっては何も痛いところはないでしょう。
大統領を何年務め上げたかは関係なく、
元大統領という経験と肩書きがあれば十分でしょう。



─────────────────────────
▼プーチン大統領とメドベージェフの役割と関係性
─────────────────────────
ロシアのヤマル半島に設置したプラントで8日、
液化天然ガス(LNG)の生産が始まり
初出荷に合わせた記念式典が開かれました。
これは、ロシア天然ガス大手・ノバテクを中心に、
総額約3兆円を投じて進められるプロジェクトで
これによりロシアは従来のパイプラインによる輸出だけでなく、
北極海航路を利用したアジアや欧州向けの
LNG輸出を拡大したい考えとのことです。

このヤマル半島というのは、現地ネネツ語で
「ヤ(世界)マル(終わり)=最果て」の意味を持つ、
非常に気候条件が厳しい地域です。
1年のうち約8ヶ月は冬で、氷点下60度まで気温が下がります。
一方、夏にあると30度まで気温が上がり永久凍土が溶け、
蚊や虻が大量発生するという地域です。
天然ガスの埋蔵量は世界有数の地域として有名です。

ロシアはこのヤマル半島に港をつくる計画を立てています。
一般的に天然ガスはパイプライン経由で輸送されますが、
今回の計画は、天然ガスを液化してLNG船で輸送するというものです。
液化した天然ガスをのせたLNG船で、
北極海を通じて日本や中国に運ぶという壮大な計画です。

この日、プーチン大統領は3箇所の異なる場所に顔を出して、
挨拶・演説をしていました。
ヤマル半島という寒い場所にも赴いて、達者な人だと感じました。

そのプーチン大統領は、2018年3月に予定される
次期大統領選挙への出馬を表明しました。
自動車企業の従業員らとの会合で、
参加者からの立候補の要請に応える形で明らかにしたもので、
再選され任期満了の24年まで務めれば
約四半世紀にわたってトップに君臨することになります。

プーチン大統領は2000年に大統領に就任し、
一度首相を経て、また大統領に就任しました。
その間に大統領の任期を6年に延ばし、
6年×2期=12年できる体制を確立しています。

プーチン大統領に対するロシア国内の支持率は、約80%です。
ロシア国民の政府に対する不満は高いのですが、
その不満はメドベージェフ首相に向けられていて、
プーチン大統領には影響していません。

政府の代表はメドベージェフ首相であり、
政府に対する不満は首相に向けられるようになっているのです。
この構図は中国も全く同じです。
習近平は総書記であり、中国政府に対する不満は
国務院総理である李克強に向けられます。
私は以前、「李克強がメドベージェフ化した」
と説明したことがありますが、まさにこの構図のことを指しています。

それにしても、メドベージェフ首相をおとしめて、
プーチン大統領は安全な立場で信任を得ているという、
このイカサマのロジックにロシア国民は気づいていないのでしょうか?
おそらくロシア国民は、みんな気づいていると私は思います。

それでも、今のロシアから強力なリーダーシップを発揮する
プーチン大統領がいなくなってしまうと、
米国や欧州からも馬鹿にされてしまうので、
どうしようもないと感じているのだと思います。
すなわち、プーチン大統領は「必要悪」であり、
強いロシアを作るためには必要な人物だと認められているということです。

日本にとってみれば、プーチン大統領の再任はチャンスです。
プーチン大統領は親日派です。
一方のメドベージェフ首相は日本を好きではありません。
プーチン大統領が再任されたとして、任期は6年です。
日本としては、その6年間でロシアとの問題を解決しないと、
さらに厄介な状況になってしまうでしょう。


---
※この記事は12月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


─────────────────────────
▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
─────────────────────────

今週は、アメリカやロシアの話題を中心にお届けいたしました。

年内にも税制改正が成立しそうなアメリカ。
減税法案が成立すれば、約30年ぶりの大型税制改革となります。

これに対して大前は、日本経済への影響も
極めて大きいものになると指摘しています。

自社を取り巻くマクロ環境(外部環境)が、
現在または将来にどのような影響を与えるかを
把握・予測することは、事業を成功に導くために不可欠です。

今回の税制改正のように、政治・法律的環境要因は
企業では制御できない前提条件となってきます。

新たな法律が施行された場合は、
市場や自社に対してどのような影響が与えられるかを
事前にシミュレーションしておくことが重要です。

2017年12月15日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

税制改正/法人税率 〜年収850万円=高所得者というのが、世界標準からズレている

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

税制改正 所得税改革案で合意
法人税率 賃上げ、革新投資で法人税20%

─────────────────────────
▼年収850万円=高所得者というのが、世界標準からズレている
─────────────────────────
政府与党は6日、自民党税制調査会の所得税改革案で合意しました。
基礎控除を一律10万円引き上げる一方、
給与所得や公的年金の控除は減額するもので、
これによりフリーランスで働く人は減税、
年収850万円超の会社員は増税になるということです。

そもそも年収850万円は、世界的に先進国で見ると、
決して高所得とは言えません。
それを日本では高所得者と位置づけてしまうのは
根本的な認識が間違っていると思います。
その上、年収850万円以上の人は、
私立高校の授業料の無償化の対象にならないなど、
増税で負担が重くなった上にこれでは大変な人も出てくるはずです。

政府がこのような政策に出るのであれば、
サラリーマンとしては致し方なく対応せざるを得ないでしょう。
例えば、サラリーマンを辞めて会社とフリーランスとして
契約するという方法があります。
会社からのお金は、事業体としての収入になりますから、
その後自分の給与を年収250万円に設定することも可能です。
その上で、自宅の一部費用を経費として計上することもできます。

使用人としての会社員という考え方をやめて、
プロ野球と同じように「契約」するという考え方や方策を研究していかないと、
サラリーマンとしては政府の政策にいい様にやられてしまいます。

サラリーマンの給与所得について言えば、
連合が来春闘の基本構想として「4%」を主張していますが、
春闘なども新しい考え方に移行していくべきでしょう。
連合側が政府側に立って経営陣に対立するなど、
春闘そのものがすでに形骸化していて、意味をなしていません。
私としてはコメントする価値すらないと感じています。


─────────────────────────
▼法人税という人参で人を操るのは愚策
─────────────────────────
政府は積極的な賃上げなどに加え、
「IoT」など革新的な技術に投資した企業の法人税負担を
実質20%程度に引き下げる方針を固めました。
米仏などの減税の動きをにらみ、
当初想定していた25%程度からさらに引き下げるもので、
日本の立地競争力を高めつつ、企業がため込む資金の活用を促す考えです。

「よくもこんなことが言えるな」というのが率直な感想です。
そもそも、こんな人参を目の前にぶら下げるような方法で
人間を操作しようとすること自体がおかしいのです。
もっと客観的な判断をもとに、手を打つべきです。

日本企業の競争力を上げるためには、賃上げではなく、
企業の利益そのものを上げることが重要です。
つまり、法人税率を20%に下げても、
全体の納税額は増えるように持っていくべきなのです。
これはかつて米レーガン元大統領が行った政策です。

革新的な投資かどうかを政府に判断できるのか?というのも大いに疑問です。
また、革新的投資というと、「設備投資」や「IoT」を
想定しているものと思いますが、
日本企業に最も足りない「革新的投資」は「人間」だと私は思います。
世界に冠たる仕事ができる優秀で尖った人材。
こういう人を年俸1億円でも2億円でもいいから
採用することにお金を使うべきだと思います。
どうせこのままだと、誰もが実態をごまかして、
「革新的投資」「IoT」に見えるように整えるだけで終わります。
そして、政府にはそれを見抜く目もありません。

私に言わせれば、政府や役所がこのようなふざけたことを言ったら、
企業としては声を大にして反発するべきだと思います。
「経営もわかっていないくせに余計なこと言うな」と、
なぜその一言が出てこないのか私には不思議でなりません。

首相も副総理も家業は政治家です。
経営の経験もないのですからわからなくて当たり前です。
人間を人参で操るようなとんでもない発想に基づいた政策だと思います。
企業どころか経団連すらこれに対して反発しないのは、
情けないし非常にみっともないことだと私は感じています。



---
※この記事は12月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


─────────────────────────
▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
─────────────────────────

今週は、税制改正や法人税率の話題を中心にお届けいたしました。

所得税改革案で合意した政府与党。
これに対して大前は、サラリーマンとしては
政府の政策にいい様にやられてしまうと指摘しています。

使用人としての会社員という考え方をやめて、
プロ野球と同じように「契約」するという考え方や
方策を研究するべきと大前が指摘しているように、
一人一人が「稼ぐ力」を身につけることが大切です。

会社に所属することが不利になるのであれば、
新しい働き方を模索する必要があります。

さらに、従来の仕事がなくなるならば、それに代わって
これから必要とされる仕事を見いだし、自分で仕事を創っていく。

そういう発想こそが、求められています。

2017年12月01日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

東芝/三菱航空機/三菱マテリアル/日本ペイントHD 〜塗料メーカーとして世界トップレベルを目指す日本ペイント

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

東芝 約6000億円の資本増強を決議
三菱航空機 MRJ、7年前の痛恨
三菱マテリアル 子会社3社で品質データ改ざん発覚
日本ペイントHD 米アクサルタに買収提案

─────────────────────────
▼40年間「東芝ブランド」使用許諾は、致命的な失態
─────────────────────────
経営再建中の東芝は、先月19日、
約6000億円の資本増強を実施すると発表しました。
海外の投資ファンドなど60社を対象に第三者割当増資を行うもので、
旧村上ファンド出身者が設立した「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント」
が11.34%を保有し、筆頭株主になる見通しです。

旧村上ファンドと表現されていますが、今でも村上氏も大きく影響しており、
村上氏の娘が運営しています。

そのファンドが東芝の筆頭株主としてトップに踊り出てくることになるのか、
その理由の1つには、このファンドが最近ゴルフ関連企業絡みで
潤沢なキャッシュを手に入れ、資金があるということです。

また東芝の再建にあたり非常に懸念しているのが、
中国ハイセンスに対して映像関連機器における
東芝ブランド使用権を許諾期間40年間として付与したことです。
レグザ(REGZA)ブランドのみなら理解できますが、
なぜ東芝ブランドを40年という長期間使用許諾を
与えることにしたのか、信じられない気持ちです。

今後東芝が復活を遂げるときが来ても、
東芝(TOSHIBA)ブランドを全然系統の違う企業が使い続けている
という状況を認めなければいけません。
米国におけるシャープブランドを美的集団に売却してしまったのと同様、
将来痛い目をみる可能性が高いでしょう。

IBMはパソコン事業の譲渡にあたり、
「IBM」ブランドの使用許諾は5年に設定し、
その後はレノボ(lenovo)ブランドを使用させるという形をとりました。
これが通常の対応だと思います。
なぜ40年という長期間を設定したのか、未だに信じられません。


─────────────────────────
▼三菱マテリアル子会社の不正が、三菱グループ全体に影響を与える怖さ
─────────────────────────
日経新聞は、先月22日「初のキャンセル濃厚 MRJ、7年前の痛恨」
と題する記事を掲載しました。
これまでに計450機を積み重ねてきたMRJの受注が
初めて減少する可能性が濃厚とのことです。

7年間にあれだけ延期を繰り返せば、
このような事態になるのもやむを得ないでしょう。
経産省としては全面的にバックアップしてきたので、
体面上はまずいと思いますが、それも致仕方ないという事態です。
個人的にはMRJが日の目を見るのかどうかさえ、
疑わしい状況だと感じています。

三菱には、さらに逆風が吹いています。
三菱マテリアルは先月23日、三菱電線工業、三菱伸銅、
三菱アルミニウムなど子会社の3社で検査データの改ざんなどの
不正があったと発表しました。
不正に出荷した顧客は258社以上にのぼると見られ、
国内の素材業界の品質管理が改めて問われそうとのことです。

三菱マテリアルの不正そのものは、
それほど驚くべきことではありません。
しかしこのニュースを伝えている海外の報道を見ると、
今後の影響が懸念されます。というのは、
海外のメディアでは「Mitsubishi subsidiaries faked data」
というタイトルで報じているからです。

すなわち、三菱マテリアル、及びその子会社の話ではなく、
三菱自動車も含め三菱全体の不正として認識されるような
報道になっているのです。
これはかなり、インパクトが大きいと思います。

かつて東芝機械ココム違反事件があったとき、
米国で東芝のラジオを議員がハンマーで破壊するという事態を招きました。
東芝と(問題を起こした)東芝機械は、随分前に別れた会社であり、
別々に上場している「全く別の会社」だったにも関わらず、
東芝はその悪影響を受けました。

ほとんど縁もゆかりもなく、株の持ち合い比率も低いのに、
社名に同じ名前を冠するというのは、
世界的には非常に珍しいことです。
通常は、全く違う社名にします。
ところが、日本企業はこの点に甘く、
今回の事件も三菱全体に影響してしまう可能性があります。

国内で事業を展開するだけなら、
「三菱」という名称を冠するのは良いですし、
それほど問題もないでしょうが、
世界に展開する際には会社名の付け方は、
もっと慎重に大事に考えるべきでしょう。
三菱からすれば孫会社でも何でもない会社の不正について、
世界規模で悪影響を受けてしまうというのは、馬鹿馬鹿しい話です。


─────────────────────────
▼塗料メーカーとして世界トップレベルを目指す日本ペイント
─────────────────────────
ロイター通信は先月21日、日本ペイントホールディングスが
米塗料大手アクサルタ・コーティング・システムズに
全額現金による買収を提案したと報じました。
アクサルタの時価総額は82億ドル(約9200億円)で、
日本ペイントは提案が合意に至るかは不透明としています。

日本ペイントは、取締役を務めているゴー・ハップジン氏によって、
アジアにおけるポジションを確立することに成功しました。
ゴー・ハップジン氏は日本の大学出身で、
日本語も非常に堪能な人物です。

おかげで日本ペイントはアジアでは強くなれましたが、
まだ米国では弱いという課題を抱えています。
世界の塗料会社の売上高を見ると、
米国のPPG、オランダのアクゾ・ノーベル、
そして米国シャーウィンが日本ペイントよりも上位にいます。
世界レベルで見ると日本ペイントも、低迷しているという状況です。

今回9200億円もの大金を使うのは、
アクサルタ・コーティングを買収することで、
せめてシャーウィンを上回るくらいの規模なりたい、ということでしょう。
ただ、シャーウィンも日本ペイントに次ぐ規模である
バルスパーの買収を決めているので、
3位と4位のポジションはさらに入れ替わるかも知れません。
いずれにしても、買収が成立すれば確固たる
世界トップ4の位置は確実だと思います。

関西ペイントの方が国内では強かったのですが、
ゴー・ハップジン氏のおかげで世界的には日本ペイントが上回り、
今回もさらに上を目指して大きくなろうとしています。

---
※この記事は11月26日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


─────────────────────────
▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
─────────────────────────

今週は、注目企業の話題を中心にお届けいたしました。

塗料業界では合従連衡が相次ぎ、
世界大手によるM&A(合併・買収)が加速しています。

記事中、大前が指摘しているように、
海外市場に進出するにあたって、M&Aは有効な手立てとなり、
その地域で必要となる顧客基盤・事業基盤を持つ企業を買収することで、
海外事業の強化をすることができます。

しかし、その一方で、巨額の資金調達が必要となったり、
これまで買収した企業の買収額と純資産の差額である
「のれん」も積み上がることとなります。

とりあえずM&Aをしようという考え方ではなく、
M&Aのためのノウハウを蓄積したり、
統合後にシナジーを生むための経営力や実行力を
鍛えていく必要があります。

過去ログ 2010年12月 
2011年01月 02月 03月 04月 05月 
2012年05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2013年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2014年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2015年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2016年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2017年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2018年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月