2018年01月26日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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北米国際自動車ショー/米ゼネラル・エレクトリック/米アマゾン・ドットコム/米グーグル/中国市場/日本ペイントHD〜グーグルが認めたテンセントのレベルと価値

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北米国際自動車ショー 米デトロイトで開幕
米ゼネラル・エレクトリック 名門GE、解体も覚悟
米アマゾン・ドットコム 第2本社候補地を20都市・地域に絞り込み
米グーグル クラウドAIサービスを開始
中国市場 中国テンセントと長期特許共有で合意
日本ペイントHD 取締役6人専任求める株主提案

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▼自動車業界は中国市場・EV車が勝負の鍵
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北米国際自動車ショーが14日、米デトロイトで開幕しました。
米フォード・モーターは2022年までに電気自動車(EV)など
電動車40モデルに最大で110億ドル(約1兆2200億円)を
投資する方針を表明しています。

欧米勢を中心に全体的にEV車に対して、
かなり前のめりの姿勢を示しています。
欧州勢・VWに対して、中国勢とGMが手を組んで対抗する構図です。
日本車のような「精巧な作り」を目指すのではなく、
今はいち早いEV車への対応が最重要と感じているのでしょう。

日本車のピークは去年で終わり、
今年からはどこが中国市場を取れるのか、
すなわちEV車で優位に立てるのか、
という点が勝負になってきたと感じます。
今回の自動車ショーの発表内容を見ていても、
日本勢は今までのものに改善する提案が多く、
未来志向が感じられませんでした。
提案力が乏しく、残念な結果だったと私は思います。


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▼GEは解体を繰り返してきた歴史がある
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日経新聞は17日、「名門GE、解体も覚悟」と題する記事を掲載しました。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、保険事業で
62億ドル(約7,000億円)の特別費用を計上したと紹介。
前任者ジェフ・イメルト氏の負の遺産を洗い出す過程で
明らかになったとのことですが、前任者を否定する
ジョン・フラナリー最高経営責任者(CEO)の求心力が高まれば、
GE解体もそう遠くない時期に実現するかもしれない、とのことです。

GEはこれまでにも何回かにわたって解体されてきました。
今回フラナリー氏は、7000億円もの引当金を必要とする
金融事業をやっている場合ではないと主張し、
前任者であるイメルト氏を批判していますが、
実際にはイメルト氏がやってきたことも、
それほど大きな違いはありません。

イメルト氏も、2000年当時、売上高の50%を占めていた
金融事業を売却し縮小させました。
そして、2016年には売上高の構成比を電力システム(22%)、
航空機エンジン(21%)、医療機器(15%)、
金融(9%)にまで変更させています。

フラナリー氏としては「自分の色」を出したいという意向があって、
今回のような発表をしているのだと思います。
今後、フラナリー氏がGEを解体するとして、
照明・エネルギーコネクション関連は、
スマートシティ・スマートハウスの需要も高くなるので
切り離すことはできるかも知れませんが、
電力システムや航空機エンジンは難しいでしょう。

金融事業の切り離しだけでは、大きな顔をできるほどではない、
と私は思います。いずれにせよ、
解体されても価値が高いというのがGEという会社の特徴なので、
今回の件を受けてGEの行く末を心配する必要はないかも知れません。


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▼アマゾン5万人の社員を受け入れられる都市は、それほど多くない
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米アマゾン・ドットコムは新設予定の第2本社について、
候補地をニューヨーク、シカゴなど
北米の20の都市と地域に絞り込んだと発表しました。
今後さらに提案内容を精査し、2018年中に最終的な地域を決めるということです。

アマゾンは、本社新設に5500億円の投資をして、5万人の雇用を計画しています。
5万人のうち7割がエンジニアになる見込みとのことですが、
これだけの規模に対応できる都市はそれほど多くはありません。

候補地が20箇所と発表されていますが、
現実的にはボストンではないかと私は見ています。
カナダの候補地として唯一トロントが挙げられていますが、
バンクーバーのほうが良いかもしれません。

最終的にはトランプ政権が長続きすればボストン、
そうでなければカナダのトロントに行く可能性もあると私は見ています。
いずれにせよ、平均給与10万ドルを超える人が5万人ですから、
受け入れる都市にとってはかなり大きなインパクトです。
どの都市も自分のところへ来て欲しいと思っているでしょう。
米国が広いと言っても、この規模の受け入れができる都市はそれほど多くありません。


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▼グーグルが認めたテンセントのレベルと価値
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米グーグルは同社が提供するクラウドAIサービスを
ユーザー企業が容易にカスタマイズできるサービスを開始すると発表しました。
専門家がいない企業でも、自社のニーズに適したAIシステムを作ることが可能で、
まずは画像検索に絞った機能を提供するとのことです。

グーグルだけでなく、IBMなど他の企業も同じようなことをすでに発表をしています。
どこも専門家がいなくても利用できるという点を推していますが、
詳しい人がいたほうが効率的にAIを利用し事業化できるはずです。
逆に、素人だけではサービスを「利用」できるかも知れませんが、
きちんと「活用」して事業として成功させられるかは疑問だと私は感じます。

またグーグルは、将来の協業も視野に入れ、
中国ネットサービス大手のテンセントと
長期にわたる特許の共有で合意したと発表しました。
グーグルは2010年に中国市場から撤退しましたが、
最近に新たに研究拠点を設けており、
テンセントとの合意をきっかけに中国市場へ再参入を目指す可能性が出てきました。

これはグーグルがテンセントのレベルを高く評価した結果だと思います。
テンセントにしてみれば、グーグルが持つ特許を共有できるのは、
相当大きなメリットです。グーグルからすれば、
テンセントはそれだけのものを提供してでも
組むに値するレベルの企業だと判断したということです。
AIやIoTの技術、4億人のWeChatPay会員などが評価されたのでしょう。


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▼日本ペイントの現在の業績は、ゴー・ハップジン氏に負うところが大
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日本ペイントホールディングスの筆頭株主であるシンガポール塗料大手、
ウットラムグループは19日、日本ペイントHDに送り込む取締役を増員し、
取締役会の過半を握る株主提案を出しました。
日本ペイントHDは反発するとみられ、
3月の定時株主総会に向けて委任状の争奪戦に発展する可能性があります。

委任状争奪戦になっても、ウットラムグループが
株式の38.99%を保有しているので、金融機関などに働きかければ、
50%に達するのはそれほど難しくないかも知れません。

ウットラムグループを率いるゴー・ハップジン氏は
日本ペイントの取締役でもあります。
今はシンガポールにいますが、東京大学出身です。
日本ペイントが今アジアで強さを発揮し、
シェアを伸ばすことができているのも含め、
現在の日本ペイントの実績は彼の功績が非常に大きいと言えます。

ゴー・ハップジン氏はおかしな人ではなく、
非常にオーソドックスな経営をする人物です。
逆に今の日本ペイントの他の取締役だけでは、
銀行対策など取締役会を取りまとめることは難しいのではないかと思います。


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※この記事は1月21日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、注目企業の話題を中心にお届けいたしました。

将来の協業も視野に入れ、中国ネットサービス大手のテンセントと
長期にわたる特許の共有で合意したと発表したグーグル。
テンセントとの合意をきっかけに、
中国市場へ再参入を目指す可能性が出てきました。

グローバル化、競争激化、技術革新のスピードが上がり、
企業が自社の経営資源のみで成長を目指すことが
難しくなっていることから、戦略的提携が加速しています。

提携の際には、「提携先は有限だ」ということを認識し、
優良な提携先を先取りする必要があります。

連携や提携で補完的な機能分担や価値提供を行うことで、
高い競争力を獲得し、競合に対する持続的な優位を確保することができます。

2018年01月19日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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安倍首相/日韓関係/朝鮮半島情勢〜安倍首相が、バルト三国訪問で本当にやるべきだったことは?

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安倍首相 ラトビア・クチンスキス首相と会談
日韓関係 慰安婦問題めぐる日韓合意で新方針発表
朝鮮半島情勢 北朝鮮の平昌五輪参加合意で「南北対話が再開」

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▼安倍首相が、バルト三国訪問で本当にやるべきだったことは?
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安倍首相は13日、ラトビアのクチンスキス首相と会談し、
その後の記者会見で「法の支配に基づく国際秩序が挑戦を受ける中、
これを維持・強化すべく緊密に協力」すると表明しました。
日本は北方領土交渉に絡み、ロシアに融和的と見られる恐れがあることから、
あらためて厳しい姿勢を示しました。

安倍首相のバルト三国の訪問ほどみじめで意味が無いものはない、
と私は感じます。バルト三国はロシアと対立しています。
プーチン大統領に何度も会って、
ロシアに寄り添う姿勢を見せている日本の首相が
1回会いに行ったところで、何がどうなるものでもありません。

あまつさえ、そこで北朝鮮のミサイルが射程圏内にある
という脅威を訴えたというのですから、呆れるばかりです。
パリやロンドンでさえ射程圏内なので、
そんなことは言われなくてもわかります。

そもそもエストニアやラトビアの人たちにとっては、
北朝鮮の長距離ミサイルよりも、数千発のロシアの短距離ミサイルのほうが
よほど問題であり脅威です。
バルト三国もNATOの加盟国ですから、
ますますロシアとの緊張関係は高まっていると言えます。
このような背景があるにも関わらず、北朝鮮を話題に出すのは、
外交のセンスが欠如していると思います。

また安倍首相は、各国をそれぞれ半日程度で回ってきたそうですが、
これもまたセンスがないと私は感じます。
例えばエストニアであれば、電子政府の技術は世界最先端を誇ります。
日本のマイナンバーなど比べ物になりません。
なぜ、エストニアに行ってそれを学ぼうとしないのか?私には理解できません。
さらに言えば、エストニアをベンダーとして考えて、
ライセンス提供を受けて電子政府の立ち上げを任せるくらいのことを
検討するべきだと私は思います。

ラトビアなら、港湾として北欧に入っていく拠点になり得ますから、
ビジネスの拠点として活用できるか検討することもできたでしょう。

安倍首相にしても外務省にしても、
せめてこのくらいのことは背景として理解し、
外交に臨んでもらいたいところです。



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▼文在寅大統領は全く信用に値しない
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韓国の康京和外相は9日、2015年の日韓合意について
公式な合意であった事実は否定できないとして
日本政府に再交渉は求めない一方、
日本政府が拠出した10億円の代わりに
韓国政府の予算を充てる新たな方針を発表しました。
また文在寅大統領は10日、慰安婦問題の解決には
「日本が真実を認識し、被害者に心から謝罪」
することが必要と指摘しました。

韓国側と日本側の認識がそもそも異なっています。
日本政府はこれまでにも公式に何度も謝罪をしてきましたし、
お金も出しているという認識です。
しかし韓国側が求めているのは、お金ではなく、「直接の」謝罪です。
つまり、マイクに向かって話す「公式の」謝罪ではなく、
日本のトップが直接慰安婦の人たちに会って謝罪する、
ということを求めています。

今となっては直接の謝罪などすると、
またさらに文在寅大統領から何を要求されるかわかりませんから、
この問題は触れないようにしておくのがよいと思います。
私は何度も言っていますが、文在寅大統領は
信頼に値しないのであてにしてはいけない人物です。

9日に開催された南北閣僚級会談で、
北朝鮮が平昌五輪に参加することに合意したことを受け、
韓国の文在寅大統領は10日、行き詰まっていた南北対話が
再開されたと述べ成果として強調しました。

しかしここで言う成果というのも、まったくあてにできません。
北朝鮮が平昌五輪に参加することに合意したとのことですが、
さっそく北朝鮮側は「核の放棄」を前提とするのであれば、
五輪への派遣はしない、と言い始めています。まさしくこれが北朝鮮です。
北朝鮮という国がそんなに簡単に変わるわけがありません。
韓国としても、日米あるいは国連の手前、
「核の放棄」を前提とするというのは言わざるを得ないことですが、
北朝鮮はそこに怒りを覚えています。

また、北朝鮮が五輪に送り込む約500人の選手の滞在費を誰が捻出するのか?
という別の問題もあります。北朝鮮にはお金がありませんから、
韓国が負担するということになりますが、これは国連の制裁決議違反です。
北朝鮮を金銭面で援助することになるからです。
この点から見ても、文在寅大統領の思惑はすでに詰んでいます。

文在寅大統領が本当に何をやりたいのか?全く理解できません。
日本としては文在寅大統領の行動・発言を真に受けず、
そして信用もせずに対応していくことが重要だと思います。



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※この記事は1月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、安倍首相や韓国の話題を中心にお届けいたしました。

バルト三国に訪問した安倍首相。
それに対して大前は、各国の背景をしっかり理解した上で、
外交に臨んでもらいたいと指摘しています。

例えば、世界最先端のエストニアの電子政府の技術を学ぶなど、
成功した事例とその理由を具体的に読み解くことが重要です。

事例を学ぶ際には、成功事例だけを学ぶだけでなく、
失敗事例も探し、その理由を探ることも大切です。

ノウハウを積み重ねることで、
自分が応用できるパターンとして認識し、
ビジネスの勝率を高めることができます。

2018年01月12日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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世界10大リスク/中国情勢/日中関係〜中国はまだ「大国」としての立ち振る舞いが板についていない

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世界10大リスク 2018年の首位は「中国の影響力拡大」
中国情勢 新年メッセージで大国の責任果たす考え
日中関係 与党、中国の「一帯一路」協力に前のめり

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▼中国はまだ「大国」としての立ち振る舞いが板についていない
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米調査会社ユーラシア・グループは2日、
2018年の世界における「10大リスク」を発表しました。
それによると1位は、「米国不在の間隙をついて中国が影響力を拡大すること」で、
AIなど最新テクノロジー分野において中国が世界的に影響力を行使する機会が増えると予測。
また2位は、「偶発的なアクシデント」で先進国の影響力が弱まっている中、
北朝鮮やシリアなどで国際的な紛争が起きるリスクが高まっていると指摘しました。

このユーラシア・グループによる発表は毎年恒例のもので、
昨年の上位は「我が道を行くアメリカ」「中国の過剰反応」
「弱体化するメルケル」などでした。
トランプ米大統領に対する中国の過剰反応はそれほどではありませんでしたが、
他の2つは比較的予測しやすいもので、予測通りの結果だったと言えます。

今年の予測にある「偶発的なアクシデント」というのは、
その通りですが、北朝鮮を含めてこうしたアクシデントは
常に存在するものだと私は思います。
かつてジョージ・W・ブッシュ元大統領は「悪の枢軸」として、
北朝鮮・イラン・イラクを名指しで批判しましたが、
イラクが収束すればシリアで同じような問題が発生しています。

対米国という意味では、メキシコも見逃せない状況です。
国を挙げて全面的に米国と対立することはないでしょうが、
選挙においては国民感情も候補者も「反米」の姿勢を見せていますし、
不安定要素になっています。

今年の1位である「中国の影響力が拡大する」という予測については、
衆目の一致するところでしょう。
中国の南シナ海における進出経緯に如実に現れており、
新植民地政策の様相を呈しています。

その中国においては、習近平国家主席が先月31日、
国民に向けた新年のメッセージを発表し
「責任ある大国として国連の権威と地位を断固として守り、
果たすべき国際的な義務と責任を積極的に履行する」と述べました。
国連重視の姿勢を示し、北朝鮮への対応で軍事力の行使をちらつかせる
トランプ米大統領をけん制するねらいがあったとみられています。

私の中国に対する率直な感想は、
「巨大な経済力と人口を抱えながらも、大国になりきれない国」というものです。
大国としての立ち振る舞いがまだ板についていないという印象です。
例えば、二酸化炭素の排出量問題についても、
パリ条約は守ると宣言しているものの、
未だに中国の二酸化炭素排出量は増加し、
飛び抜けた数字になっています。

米国や日本はすでに対策を打っており、
今後爆発的に二酸化炭素の排出量が伸びることはないでしょう。
かつて60年代〜70年代の日本は今の中国と同じような状況でしたが、
投資をして、その状況を打開しました。

もちろん対策を講じるとなると、経済的には業界に大きな負担になりますが、
「大国」として中国にはそれを実行することが求められます。
現状では、住民が公害状況について告訴し、
それを国が認めると、必要に応じて罰則を課す、
あるいは工場の閉鎖などを指示しています。

中国では住民が公害に対して非常に敏感になっているので、
住民主導で住民がガードマンの役割を果たすという形態になっています。
その結果として、数十万人規模で逮捕者が出るなど、一定の効果が出ています。
この動きは昨年1年間でかなり前進したと感じます。



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▼中国の一帯一路は、新植民地政策そのもの
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産経新聞は先月28日、「与党、中国の「一帯一路」協力に前のめり」
と題する記事を掲載しました。
これは自民党の二階俊博幹事長が12月に日本の財界関係者を引き連れて中国を訪れ、
習近平国家主席と面会したと紹介。
5月に続く2回目の面会で、与党の幹事長としては異例の厚遇を受けたものですが、
安倍総理は透明性の確保を協力の条件とするなど、
慎重姿勢を崩しておらず、政府・与党間で温度差が生まれているとのことです。

私は二階幹事長が前のめりの姿勢を見せるのは、大いに問題だと思っています。
一帯一路の本質は新植民地主義です。
鉄鋼などの自国で生産キャパシティに余りがあるものを、
他国に買い取らせようとするものです。
このとき、多少のお金が上乗せされることもあり、
世界中で約100カ国が期待して、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟しました。
しかし、とても機能している状況とは言えません。

さらに中国は、その間隙を縫って、パキスタンやモルジブなど
軍港として利用できる箇所に次々と楔を打っています。
この点に特に私は問題を感じています。

したがって、日本が前のめりになって中国に同調するのは話が違います。
二階幹事長が前のめりになると、中国にあらぬ期待を抱かせることになりますし、
大きな失望を招く可能性も大いにあります。
二階幹事長は勝手な行動を控えるべきだと私は思います。


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※この記事は1月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、世界10大リスクの話題を中心にお届けいたしました。

今年の1位である「中国の影響力が拡大する」という予測については、
中国の南シナ海における進出経緯に如実に現れており、
新植民地政策の様相を呈していると大前は記事中で指摘しています。

現代社会では、自然災害、テロなど、
起こる確率が低いと思われた想定外の事態が次々と起こっています。

このようなリスクを最小限に抑えるためには、
現在世界中で起こっていることや、今後起こりそうなことに注意を払い、
重要な変化を迅速に認識し、変化に適応することです。

もちろん、これは経営においても同じです。

事前に複数のシナリオを想定し、
どの状況にも耐えうるようにすることで、
想定外の出来事でも慌てずに意思決定を行うことができます。

2018年01月06日(土) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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2017年の人気記事をピックアップ〜ロシア情勢/英EU離脱/ブレグジット/トヨタ/自動車産業

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ロシア情勢 危険度増すプーチン大統領の「奇妙な戦争」
ブレグジット イギリスのEU離脱交渉
トヨタ 電動化で揺らぐ3万社のピラミッド
自動車産業 EVや自動運転の時代に主役が変わる

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▼国家に対するサイバー攻撃を仕掛けるロシア
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※2017/11/24 KON701で解説した記事を一部抜粋し編集しています。

ロシアは、旧ソ連の時代からスパイや宣伝工作員を使って
他国の政治を動かそうとしてきており、
情報操作の技術を発達させています。

ロシアは軍事力だけでなく、フェイクニュース、
サイバー戦争などを仕掛けています。

ロシアとドイツの例を見ても、これは明らかです。
メルケル首相も対応し、プーチン大統領に警告を発しています。

知らないうちに潜り込んで情報を抜き出すスパイウェアや
他者のデータベースやプログラムを意図的に操作したり、
相手の国の選挙に干渉して自分たちに都合のよいリーダーが
選ばれるように世論を操作したりすることもできます。

例えば、英国の欧州連合(EU)離脱を決めた昨年6月の国民投票で、
ロシア政府とのつながりが疑われるツイッターの
多数のアカウントが離脱を支持する投稿を
繰り返していたと報じられています。
また、英紙タイムズもロシア関連の15万以上のアカウントが
自動投稿の仕組みを使い、離脱投票の呼びかけを
行っていたと報じています。

ロシアとしてはEU弱体化を狙い、
英国に離脱してもらう方が得策だと感じたのかも知れません。
かなり本格的な情報操作が行われています。

ロシアトゥデイやスプートニクニュースなどを使いながら、
対象国のシンクタンクに資金拠出し、クレムリンの意向に沿った見解を流布。
また映像も大いに活用しつつ、SNSやフェイクニュース作成集団を使い、
マルチメディアでクレムリンを利する情報を浸透させ、
自分たちに有利な政治議論が起こるように仕向けていると言われています。

米大統領選挙においても暗躍したように、
ロシアは相手の情報に入り込んで操作するのが非常にうまいと思います。

日本の対ロシア感情は必ずしも好意的ではありませんから、
日本に対する情報操作はそれほど上手く機能していないようですが、
欧米ではかなり成功していると言えるでしょう。


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▼メイ首相は、自分の認識間違いに気づき、やり直せ
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※KON668(17/4/7)、KON679(17/6/23)、KON701(17/11/24)で解説した記事を一部抜粋し編集しています。

2016年6月23日にイギリスがEU離脱、ブレグジット
を選択した国民投票から1年が経過しました。

離脱の手順についてはEUの基本条約であるリスボン条約の50条に
規定されていますが、2017年3月29日にメイ首相は
EUのドナルド・トゥスク議長にブレグジットを正式通告。

ここから2年のうちに離脱交渉がまとまれば円満離脱、
交渉が難航して脱退協定が締結できなければ、
離脱通告から2年でEU法が適用されなくなり、
自動的にイギリスはEUから切り離されます。

メイ政権は一度崩壊して、もう一度国民投票をやり直すべきでしょう。
再度国民投票を実施すれば、EU離脱に反対の国民が
過半数以上いるということが判明するのではないかと思います。
その結果をもって、EUも胸を撫で下ろすというシナリオを私は予想します。

そもそも、英国民はEUの離脱について
正確な情報を知らされないまま投票してしまった、というのが実情です。
「EUに帰属していることで、難民が来る」
「その結果、自分たちの職が奪われている」
というような「デメリット」ばかりを伝えられていました。
結局のところ、現在の英国は完全雇用に近い状況であり、
こうした情報も事実ではありませんでした。

移民問題を取り上げていますが、これもメイ首相の認識間違いです。
欧州の若者の失業率を見ると、スペインやイタリアは
20%近くの高い水準にありますが、英国はEU内で低い部類なのです。
「移民が仕事を奪ったために失業率が高くなっている、ゆえにブレグジットが必要だ」
というのは政治のレトリックであり、正しい認識ではありません。

客観的に見て、メイ首相がいう
「ハード・ブレグジット」はまず実現不可能です。
もし、EUから離脱するにしても、
移民問題だけは条件付きで認めてもらいつつ、
他の貿易などの条件は現状のままでなければ、
交渉が成立することはないと思います。

EU離脱に伴い発生する莫大な手切れ金のことや、
多数の外資系企業が、英国がEU離脱するなら
国外へ出ていくということなど、
EU離脱に伴うマイナス情報を知らされないまま
投票した人がほとんどだと思います。


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▼トヨタは全方位ではなく迷走している/急速なEV化は日本の自動車産業の裾野を破壊する
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※KON686(2017/8/11)、KON692(2017/9/22)で解説した記事を一部抜粋し編集しています。

トヨタ自動車とマツダは資本提携を正式に発表しました。
電気自動車(EV)の共同開発や米国内で
新工場の建設を今後検討するとのことで、
自動車技術や排ガス規制など競争環境が大きな転換点を迎える中、
トヨタは全方位の提携で生き残りを図る考えです。

私は今、トヨタは迷走していると感じています。
ハイブリッド車が成功したので、現状は悪くありませんが、
将来に懸念を感じます。電気自動車の開発で遅れを取り、
自動運転、水素自動車の分野では、さらに遅れています。
テスラが新モデルを発売するなど、電気自動車市場で躍進し、
すでにこの分野では勝負あったという状況です。
では、将来の水素自動車はどうするのか?
未来を考えなくてはいけません。

今さら電気自動車で、マツダと提携して共同開発では遅すぎます。
トヨタはハイブリッド車が上手く行き過ぎて、
電気自動車の開発が遅れたことが今になって影響が出ています。
全方位戦略と言えば耳あたりは良いですが、
私に言わせれば「方向感覚」を失っていると思います。

今後のトヨタにとって大きな課題、考えるべきことは大きく3つあります。
1つは「電気自動車」について、どう考えるか。
もう1つは「シェアリング・アイドル」で、
自分で持たない市場が大きくなると、
自動車販売台数は3分の1程度になると予想されます。
この需要の減退について、どう考えるか。
そして最後は「自動運転」で、レベル4の自動運転が実現すると、
同じく自動車の数は激減すると思います。
スマホで予約して自動運転の車が来てくれる、という世界になるからです。
これをどう考えるか。

さらに言えば、電気自動車になると使用する部品の数も大きく減ります。
モーターと電池のシンプルな仕組みで動くEVは、
極端に言うと、10分の1程度になり、3000点の部品で済むため、
コストや組み立て工数は激減します。
この部品需要の激減に対して、トヨタを頂点とした3万社はどう対処すべきか。
トヨタはどう責任を取るつもりなのか。

また、中国政府がガソリン車やディーゼル車の製造・販売禁止
の検討を始めたことが分かりました。
フランスと英国が2040年までに禁止を表明したことに追随し、
導入時期の検討に入ったものです。
EVを中心とする新エネルギー車に自動車産業の軸足を移し、
環境問題などに対応する考えです。

中国の自動車産業は今でも2500万台規模ですが、
仮にこれが実現すれば中国の電気自動車は
世界最大規模になるでしょう。カリフォルニア州と中国は、
EVのみを許可するとも言われていますが、
中国はフランスと同じようにプラグインハイブリッド車も
認めるのではないかと私は見ています。

EV化の波は、2017年に急速にトレンドが形成されました。
日本も対応を誤ると、大変な事態を迎えることになると思います。
ただ厄介なのは、EV化対策に成功し、上手にシフト出来た場合にも、
日本が世界に誇る部品産業が大打撃を受けるという課題があります。
EV化は数十年かけてやるくらいで考えないと、
日本にとっては自動車産業の裾野の部分が
大きく壊されるリスクがあると私は感じています。


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※この記事は昨年のクリックアンケートで反響が大きかった号をピックアップし編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、2017年の人気記事をお届けいたしました。

今回ピックアップした記事以外でも、
世界のニュースでは、「アメリカ第一主義」の姿勢を強調する
トランプ米大統領の就任やトランプ政策の話題、
5年ごとに開かれる共産党大会で、2期目に入った習近平体制
に関する解説が人気記事でした。

また、国内の注目ニュースでは、
「働き方改革」「人手不足」の話題、
「豊洲市場移転問題」「衆院選」や「希望の党」
の話題が人気記事となりました。

大前は、1日500本、1週間3500本のニュースをチェックし、
国内外のメディアを通じて常に新しい情報や知識をインプットしながら、
いま世界で何が起きているのかを分析しています。

業績の好調な企業は何をやっているのか?
優れた経営者というのはどのように意思決定し、
その人たちはどんな特徴を持っているのか?など、
自分なりに考えたり推測したりすることで、
情報感性や読み筋を鍛えることができます。

過去ログ 2010年12月 
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