2018年07月27日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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旭化成/外資系スーパー/ポーラ・オルビスHD/配車サービス/セブン-イレブン・ジャパン〜ウォルマート日本撤退は既定路線

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旭化成 セージ・オートモーティブを買収
外資系スーパー 「黒船」、相次ぐ日本撤退
ポーラ・オルビスHD 内紛泥沼化で汚れるブランド
配車サービス 日本市場参入へ合弁会社設立
セブン-イレブン・ジャパン コンビニ「ちょい生」中止騒動

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▼旭化成の買収は合理的
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旭化成は、自動車の内装材などを製造する
米セージ・オートモーティブ・インテリアズを
約7億ドル(約791億円)で買収すると発表しました。

旭化成は人工皮革の商品などを
セージ・オートモーティブ・インテリアズに納入しているので、
すでに両社に関係性はあるのでしょう。
自動車業界が衰退していく潮流において、
この値段で買収に踏み切ったのは思い切った決断だと思います。
自動運転や電気自動車になっても、
座席などの需要は減るわけではないので、
この買収はある程度合理的だと言えるでしょう。

残念なのは、もう少し早く買収していれば、
それこそ自動車業界の最盛期を謳歌できたでしょう。
買収に合理性は見られますが、
タイミングはもったいない点があると感じます。


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▼ウォルマート日本撤退は既定路線
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時事通信は14日、『「黒船」、相次ぐ日本撤退』と
題する記事を掲載しました。
2000年前後に鳴り物入りで日本市場に参入し、
「黒船」と呼ばれた海外の大手スーパーが
相次ぎ撤退しているとのこと。

カルフールやテスコはすでに撤退しています。
ウォルマートは、撤退の決定はしていないものの、
撤退に向けて動いている事実は確認されています。
コストコやメトロは独自に健闘していて、
特にコストコは根強いファンを獲得しています。
ユニークな商品開発にも成功しています。
そのようなことができなければ、
「Everyday low price」だけでは
生き残れない時代になったということでしょう。

ウォルマートの海外店舗数を見ると、
日本の店舗数は300店を超えていますが、
それでも4年前と比べると、100以上も
店舗数を減らしています。
ブラジルも同様に4年前と比べて、
店舗数を減らしています。
日本もブラジルも撤退するというのは、
当然の流れでしょう。


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▼ポーラの内紛は残念の極み
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ビジネスジャーナルは20日、
「化粧品のポーラ、内紛泥沼化で汚れるブランド」
と題する記事を掲載しました。今年2月、
各週刊誌がポーラ・オルビスのお家騒動を報じました。
鈴木郷史社長の元側近が鈴木氏の不正を暴くメールを
取締役などに宛てて一斉に送信したというもの。
これをきっかけに2000年に亡くなった
ポーラ2代目社長の千壽夫人が、
遺産相続をめぐり鈴木社長を提訴したとのことです。

不正を暴くメールを送信した人という元側近の一人も、
社長になる約束だったのに反故にされた
という話があるとも聞きます。
何ともレベルが低すぎる話で呆れるばかりです。
ポーラ・オルビスは、海外比率は低いものの、
営業利益率も高く、非常に優秀な経営をしていました。
それだけに、残念でなりません。


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▼ライドシェア規制は日本だけではない
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ソフトバンクは19日、中国配車アプリ大手の滴滴出行と
タクシー配車サービスを手掛ける合弁会社を設立したと
発表しました。新会社はスマホアプリで
タクシーを呼ぶことができるサービスを展開する他、
AIを活用しどの場所にどのくらいの乗車需要があるかを
事前に予測するシステムをタクシー会社に提供します。
滴滴出行はアリババから出資を受けていて、
ご存知のとおりそのアリババに
ソフトバンクは投資しています。

孫社長が日本政府による
ライドシェア(白タク)サービスの規制に対して
「こんなバカな国はない」と批判したことが
報じられていますが、これは孫社長の発言が
間違っています。世界の主要国の
ライドシェア(白タク)への
対応状況を見ると、すぐに理解できます。

米国はカリフォルニア州など一部で
許可しているだけで基本的に禁止、
英国・フランス・ドイツ・日本・韓国・台湾・シンガポールは
すべて禁止です。孫社長は日本だけがバカなことを
やっていると批判したわけですが、他の国も同様です。
逆に中国だけが実質無法状態で、
旅客運送に関する法整備が
追いついていないだけです。それゆえ、滴滴出行が
シェアの9割を獲得することができたのです。

私も個人的には市場を開放しても
良いのではないかと感じますが、
今回の発言は別問題です。
滴滴出行、グラブ、ウーバーなど
自分が配車アプリの企業に投資したからといって、
それを正当化するために、
国を批判するのはおかしな話ですし、
経営者としてあるまじき姿勢でしょう。
この点では孫社長ももっと勉強してから
発言するべきだと思います。


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▼セブンイレブンの生ビールサービスは勇み足
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まぐまぐニュースは20日、
『コンビニ「ちょい生」中止騒動。
セブンイレブンは何を誤ったのか』と
題する記事を掲載しました。
セブンイレブンの一部店舗で17日から試験販売が
始まる予定だった「生ビールサーバー」が
想定を大幅に上回る反響で
中止になったとのことです。

コーヒーを販売している横で、
ジョッキで飲めるビールを販売するというのは
非常に魅力的に感じます。
日本はアルコール類の販売について
他の国に比べると規制は緩やかです。
日本に来た外国人の多くは、
自販機でアルコール類が売っていることに驚きます。

しかし、今回のようにコンビニの店内で、
気軽に飲めるような形でアルコール類の
販売をするとなると、未成年者や運転手への販売など
考慮すべきことが多々あります。
セブンイレブンとしても、今回のことは調子に乗りすぎて
事前の調整などを怠って進めてしまったのでしょう。



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※この記事は7月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、注目企業の話題を中心にお届けいたしました。

2000年前後に鳴り物入りで日本市場に参入し、
「黒船」と呼ばれた海外の大手スーパーが
相次ぎ撤退しています。

コストコやメトロのような、
根強いファンの獲得やユニークな商品開発に成功している
海外の大手スーパーもありますが、
「Everyday low price」だけでは、
生き残れない時代になったと大前は指摘しています。

将来の環境を見通して、今後どのような市場が伸びるのか、
どういう差別性をとればよいのかを考えることは非常に重要です。

どこまで将来を見通すかは業界によって変わりますが、
ベースとなる環境変化を合理的に想定しておくことが大切です。

2〜3つ違う未来を予想し、それぞれの未来について話し合うだけでも、
その環境が出現したときに素早く対応することができます。

どのような差別性をとればよく売れるのか?
今後、競合に勝つための事業のKFSはなにか?
など、競合より先を見通すことが重要です。

2018年07月20日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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民泊/在日外国人/財政健全化〜外国人観光客を4000万人レベルで受け入れるには、民泊以外の道はない

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民泊 民泊営むと課税4倍も
在日外国人 日本で暮らす外国人が過去最多
財政健全化 中長期の経済財政試算提示

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▼外国人観光客を4000万人レベルで受け入れるには、民泊以外の道はない
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日経新聞は7日、「民泊営むと課税4倍も」と題する記事を
掲載しました。これは民泊新法が6月15日に施行され、
民泊が本格的に解禁されたものの税金については
注意が必要だと指摘しています。民泊で得た収入は
「雑所得」となるため、他の所得区分と損益通算が
できないことや居住する家の半分以上を
民泊で使用する場合、固定資産税の特例措置が受けられず、
場合によっては納付税額が4倍以上になることも
あるとのことです。

民泊新法が制定されても、
税金の問題については浮いていましたが、
正直、ここまで「いじめる必要があるの?」
と言いたくなります。不動産所得ではなく、
雑所得とするため赤字が出たときには損益通算ができない、
半分以上を民泊として利用すると
居住用として認められないため、
固定資産税や相続税の軽減措置が適用外となる、
など厳しすぎると感じます。

そもそも、インバウンド(訪日外国人旅行)を
3000万人、4000万人に増やしたい、ゆくゆくは
6000万人まで増やしたいと言っておきながら、
このような対処をするのは矛盾しています。
インバウンドを3000万人、さらには6000万人まで
増やす唯一の道は、民泊です。

新しい民泊などを叩くばかりで、結局のところは、
大したこともやっていない既得権益の旅館やホテルを
守ろうとしているだけです。既存の旅館やホテルだけでは、
1900万人までしか対応できないことは既に判明しています。
本当にインバウンドを3000万人、4000万人、
あるいはそれ以上受け入れたいなら、その体制を整えるべきです。

将来に対する正しい道を示せていないという点では、
日本で暮らす外国人の数においても同様で、
政府の行き当たりばったりの対応が見て取れます。
総務省が11日発表した人口動態調査によると、
日本で暮らす外国人の数が1月1日時点で
249万7000人と過去最多を更新しました。
全国で最も増加率が高かったのは、
北海道夕張市で訪日客への対応強化のため、
観光施設での採用が増えたことが背景にあります。

ポリシーもルールもないままに人数だけが増えてきて、
すごい状況になってきています。
外国住民の比率は、東京都全体で見ると約3.8%ですが、
一部の区では異常に高い水準になっています。
新宿区の外国人比率は、20〜24歳では約62%に達します。
15〜30歳で見ても、約30%が外国人です。
新大久保や大久保だけではなく、
全体的に外国人が増えています。
そして、東京都全体で見ても10代に限れば、約1割が外国人です。


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▼2025年でもプライマリーバランスは黒字化の見通しなし
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内閣府は9日の経済財政諮問会議で、
中長期の経済財政に関する試算を示しました。
これは今後高い成長率が続いても、
国と地方を合わせた基礎的財政収支は2025年度に
2兆4000億円の赤字となり、政府が目標とする黒字化には、
同程度の歳出削減か歳入の増加が必要としたもので、
これを受けて安倍首相は茂木経済再生担当相に対し、
目標達成に向けて歳出削減の工程表を取りまとめるように
指示したとのことです。

プライマリーバランスは2020年に黒字化の予定でしたが、
いつの間にか2025年に変更になっています。
その2025年でさえも、2兆4,000億円も
足りないというのですから、まったく話になりません。
2025年に黒字化するためには、
政府が定めた「成長実現ケース」としての
経済成長が見込まれています。
その「成長実現ケース」では、GDP成長率が
毎年3%と定めているのですから驚きです。
何を根拠に毎年3%のGDP成長率を
見込めるというのでしょうか。

はっきり言えば、役人も政治家もわかった上で
嘘をついているとしか思えません。
今一時的に税収が増えていますが、その増えた税収を
借金返済に使うという話にはなっていません。
私に言わせれば、選挙を見据えた
「無駄遣い」の議論ばかりを繰り返しています。

2025年になってもプライマリーバランスを
黒字化できないのは明白です。
そして、GDP成長率が2%以下では、
永遠に達成することは不可能でしょう。
しかし、この本音を言った途端に
日本の国債が暴落してしまいます。
GPIFも日銀も、内部から爆発することになり、
とんでもない状況を招いてしまうことになります。

GDPに対する国債の割合でみると、
日本は最悪でイタリアよりも悪い状況です。
一般会計歳出の内訳を見ると、社会保障費が
約33兆円あります。この費用は膠着化していて、
なかなか減らすことができません。
減らすとなると、高齢者の反発にあって
選挙に影響することになります。

公共事業などの費用は削減傾向にありますが、
国債費と社会保障費という膠着化して減らせない費用で
約50%に達していますから、
日本の財政はかなり危機的な状況だと思います。


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※この記事は7月15日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、民泊の話題を中心にお届けいたしました。

民泊新法が6月15日に施行されました。

民泊が本格的に解禁されたものの税金については
場合によっては納付税額が4倍以上になったり、
赤字が出た時には損益通算が出来ないなど、
インバウンドを増やしたい政府の意向と
矛盾した対処となっていると大前は指摘しています。

選択した解決策の効果や影響を考えなければ、
本末転倒になる恐れがあります。

影響の連鎖の探求を行った上で、
何に取り組むべきなのかを取捨選択する必要があります。

2018年07月13日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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メキシコ大統領/米朝関係〜北朝鮮の本性が再び。金王朝崩壊後のシナリオは?

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メキシコ大統領 ロペスオブラドール氏が勝利
米朝関係 「アメリカ側の態度は遺憾」

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▼メキシコ新大統領には、トランプ大統領の牽制などを期待したい
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メキシコ大統領選挙が1日行われ、新興左派の野党、
「国家再生運動」のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドールが
2位に大差をつけて勝利しました。
ロペスオブラドール氏は米トランプ大統領にも通じる
ポピュリズムの政策を主張、規制政治の打破を訴え、
汚職や治安悪化に対する国民の不満を取り込みました。

ロペスオブラドール氏は、
左派のトランプ大統領と言われる人物です。
基本的な主張はほぼ同じで、ロペスオブラドール氏の場合は
「メキシコファースト」が主張の柱になります。
知名度は高かったのですが、
これまで2度大統領選には敗北してきました。
今回は「メキシコファースト」の主張を軸に、
トランプ大統領を批判することで、選挙に勝ちきりました。

ロペスオブラドール氏が見事に53%の得票率を獲得しました。
ロペスオブラドール氏が大統領になったことで、
めずらしくトランプ米大統領の腰が引けています。
「おめでとう、一緒に仕事をできることを楽しみにしている」
という趣旨のことをTwitterで発言しています。

ロペスオブラドール氏が大統領になることで、
トランプ大統領の牽制につながると思います。
また、北米自由貿易協定(NAFTA)を維持するためにも、
重要な役割を果たしてくれるかも知れません。

OECDのジニ係数を見ると、
メキシコはチリに次いで高い水準となっていて、
貧富の格差が激しくなっています。
石油の埋蔵量も生産量も減ってきています。
代わりに自動車産業など期待できる分野もあります。
国別のメキシコへの直接投資を見ると、
米国が圧倒的にナンバーワンです。
貿易相手国でも、輸出入ともに米国がトップ。
輸入は中国、日本と続きます。

メキシコへの直接投資が大きいということは、
すなわち、米国企業がメキシコに来て
ビジネスを展開しているということです。
この事実をトランプ大統領は正しく認識せず、
メキシコを批判しています。

ロペスオブラドール氏は大統領になって、
汚職や麻薬などの腐敗にメスを入れることを公言しています。
メキシコは今回の選挙期間中にも、
約130人の政治家や立候補者が殺害されています。
メキシコという国は、本当に危険な国です。
ロペスオブラドール氏にとっても、
大変なことは多いと思いますが、
トランプ米大統領への姿勢も含め、
期待してみたいと思います。




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▼北朝鮮の本性が再び。金王朝崩壊後のシナリオは?
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北朝鮮外務省は7日夜、
非核化を巡って平壌で行った2日間にわたる
米朝高官協議に関して「米国側の態度は遺憾極まりない」
とする報道官談話を発表しました。
北朝鮮側が米朝間の交流拡大や
朝鮮戦争の終戦宣言などを変更して扱うことを
提案したのに対し、米国側は完全で検証可能かつ
不可逆的な非核化(CVID)などに言及し、
「一方的で強盗のような非核化要求だけを持ち出した」
と非難しています。

ようやく私たちがよく知っている北朝鮮が戻ってきた、
と感じます。シンガポールでの両首脳会談では
表面的なことしか語られませんでした。
トランプ大統領としてのパフォーマンスとしては
良かったのかもしれませんが、その後はそうはいきません。
具体的なことを話していかなければ、何1つ前に進みません。

今回その役割を担ったのはポンペオ米国務長官でした。
北朝鮮側はポンペオ氏を相手にしない、
という姿勢を見せています。
しかし、ポンペオ米国務長官がやらなければ、
ボルトン大統領補佐官が登場するでしょうし、
背後にはマティス国防長官が控えています。
北朝鮮の思惑通りにはいかないでしょう。

シンガポールでの首脳会談を受けて米国内のマスコミからは、
北朝鮮はまた騙すつもりだ、という指摘がありました。
ポンペオ氏としても、
より具体的な指摘をしていくしかない状況です。
それゆえ、非核化のプロセスやステップを明確にし、
どのような順序で進めていくのかを明示しろ、
という話になったのだと思います。

具体的に言えば、第三者が検証できるように、
北朝鮮が保有する核開発の施設、
開発リストをすべて提出すること。
完成したと言われる核弾頭は20基あると言われていますが、
責任を持ってそれらを破壊するので、
すべて引き渡すこと、など。

このような具体的な話になると、
北朝鮮は「強盗のような要求だ」と非難してきます。
北朝鮮がどのような国なのか、
ということをあらためて十分に理解できたはずです。
トランプ大統領は、話題を提供することしか頭になく、
具体的に話を進めることは何1つ考えていません。
結局、具体的に落とし込もうとすれば、
すぐに北朝鮮は態度を変化させますし、
関係性も悪化します。

シンガポールでの首脳会談は曖昧なまま終わりましたが、
唯一期待できるのは、トランプ大統領は金正恩氏に
「何かあったら、直接電話しろ」と、
自身の携帯電話の番号を伝えたと言われていることです。
もしこのまま事態が進み、
金正恩氏がトランプ大統領に直接相談しなければ、
トランプ大統領のことですから、
「相談がなかった」ということで
強硬手段に出る可能性も大いにあります。
本来なら、シンガポールの首脳会談で
もっと具体的に話を詰めておくべきですが、
今はこのトランプ大統領への直接電話という切り札が、
北朝鮮の抑止力になってくれることを期待したいところです。

もし北朝鮮の金王朝が崩壊するとしたら、
どのようなことが予想できるでしょうか。
韓国、中国、ロシアはが虎視眈々と
その機会を狙っていると思います。
韓国は南北朝鮮の統一をすぐには望んでいないでしょう。
統一すれば、韓国側の財政負担が大きいからです。
一人あたりGDPで1000ドル未満の国と、
2万ドル近い国では差が大きすぎます。
この差がある程度埋まるまでは、
植民地のように安い値段で労働力を活用し、
自国の力をつけることに専念するはずです。

中国もすでに人件費は北朝鮮より高くなっているので、
北朝鮮が倒れたら、その安い労働力を活用したいと考えているでしょう。
ロシアも極東ロシアの開発で人員が足りておらず、
北朝鮮の労働力を手に入れたいという思惑です。

隣国はすべて北朝鮮の崩壊を絶好の機会として狙っており、
邪魔なのは金王朝だけという状況になっています。
そして崩壊しても、北朝鮮国民は職もあるし、
恐怖から開放されて安心して過ごせるはずです。
その後、段々と生活レベルが上がってきて、
韓国と同じレベルの待遇を求めるようになってきたら、
ドイツのように統合する道が見えてきます。
かつてドイツのコール首相は西ドイツを主力として、
統合を実現しました。これは大英断だったと私は思います。
韓国と北朝鮮が統合するなら、
誰かがかつてのコール首相の役割を果たす必要があるでしょう。



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※この記事は7月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、米朝関係の話題を中心にお届けいたしました。

非核化を巡り、米朝高官会議が平壌で行われました。

シンガポールの両首脳会談で、
非核化の共同声明にサインした北朝鮮。
しかし、具体的な話になった今回の米朝高官協議に関しては、
「強盗のような要求だ」と態度を変化させました。

これに対して大前は、シンガポールの首脳会談では
トランプ大統領のパフォーマンスとしてはよかったかもしれないが、
非核化に向けて具体的な話をしていかなければ
前には進まないと指摘しています。

記事中で、非核化のステップなどを
具体的に提示していますが、
問題解決にあたっては、課題を定義した上で
一つ一つのステップに取り組む必要があります。

問題解決のステップを具体的に進めていくことで
大きな成果につながります。

2018年07月07日(土) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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安倍内閣 〜安倍政権は、何1つとして政策の成果を上げていない

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安倍内閣 支持率52%、不支持率42%

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▼安倍政権は、何1つとして政策の成果を上げていない
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日本経済新聞社が6月末に行った世論調査によると、
安倍内閣の支持率は前月比10ポイント上昇し
52%となったことがわかりました。
一方、不支持率は11ポイント低下し、42%に下がり、
4ヶ月ぶりに支持が不支持を上回りました。
支持の理由としては、「国際感覚がある」「安定感がある」
「指導力がある」などが挙がったとのことです。

現在、大きく支持に傾いているように聞こえますが、
3年前にも似たような状況がありましたし、
支持と不支持は拮抗している状況です。

「国際感覚がある」と言っても、政府専用機を使って
海外に出掛けていく回数は多いものの、
取り立てて成果は上がっていません。
「安定感がある」というのも、
私に言わせれば「森友・加計問題」において、
堂々とブレずに嘘を突き通す安定感はありますが、
皮肉以外の何物でもありません。

今の安倍政権は何1つ、今の日本が抱えている
本当の問題に手を付けていません。3本の矢、憲法改正など、
次々と口先だけの発表をしていますが、何1つ形になっていません。
今は働き方改革やIR法を取り上げて重要法案などと言っていますが、
冗談もほどほどにしてほしいと思います。
これらが今の日本にとって重要法案のはずがありません。
もっと日本にとって重要な問題は山ほどあります。

中央集権の体制を克服し、どのように地方に権限を与えるのか、
という問題。労働人口が圧倒的に足らず、毎年減っているという問題。
AIを始めとした新しい領域における人材が育っておらず、
以前にも増して国際競争力を失っているという問題。

過去の首相の成功事例を振り返ると、
こうした重要な問題に対してシングルイシューで取り組むことが
必要だと私は思います。池田勇人元首相の所得倍増計画、
田中角栄元首相の日本列島改造論、
中曽根康弘元首相の三公社の民営化など、
1つのことに絞って徹底的に実行しました。
小泉純一郎元首相の郵政民営化も同様でしょう。
小泉進次郎氏が進めていた農業改革に私は期待していましたが、
農協の民営化に対して手綱を緩めてしまいました。
残念ながら、父親のように徹底することはできないようです。


それでも、今回の調査で国民が安倍政権を
「支持する」割合が高かったというのは、
文科省の勝利かも知れません。
先生の言うことを忠実に聞く、
という教育が徹底された結果とも言えるでしょう。



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▼野党が奮起しなければ、自民党は長期政権・独裁化の道を歩む
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しかし一方で、安倍政権が信用され支持を受けているのではなく、
野党がだらしなく空中分解している結果という見方もあり、
私もまさにそう感じています。実際、世論調査の結果では
「支持政党なし」が約30%になっています。
この人たちは「都市型のサイレントマジョリティー」です。

民主党や民進党の調子が良かった時代には、
彼らを取り込むことに成功し、いわゆる、
「1区現象」を引き起こしました。
そして、政権奪取にまで成功しました。
しかし、その政権運営があまりに酷すぎました。
それが未だに影響しています。

あのときの失政を認めて反省し、
国民に詫びた上で新しい態度を示さない限り、
民主党などの野党が再び力を持つことは難しいと思います。
小池都知事が優勢だと思えば、
踏み絵を踏んで希望の党に身を寄せ、
小池都知事の人気に陰りが見えれば、
手のひらを返したり、このようなことを繰り返していて
国民から支持されるわけがありません。

今の自民党ではダメだと思っている国民は多いはずです。
「森友・加計問題」への対応などを見ていても、
自民党は嘘ばかりを並べ立てて、国民も野党も
バカにしています。そのような状況を
許してしまっていることが、最大の問題の1つです。

9月に総裁選が予定されていますが、
再び安倍首相が選ばれるとなると、
さらに状況は悪化していくことになると思います。

長期政権で独裁化し、掲げた政策は何1つとして
まともに完了せず、空中分解で成果ゼロ。それでも、
それを追求し指摘するマスコミはほとんどいません。
マスコミも、手痛いしっぺ返しを恐れていて、
「長いものには巻かれろ」という姿勢になっているからです。
特に、産経新聞と読売新聞はそのように感じます。

朝日新聞と毎日新聞は、若干、抵抗していますが、
それも限界が見えています。朝日新聞が最後のあがきで、
「森友・加計問題」関連の資料を掲載していますが、
最終的には黙認したまま力技で押し切られることになりそうです。

自民党と共に政権を担っている公明党にしても、
かつては明確な役割や思想がありました。
しかし、政権政党の旨味を味わった今、
真っ向から自民党を批判することはできず、
やはり「長いものには巻かれろ」状態です。
自民党からすれば、最も御しやすい党に成り下がってしまいました。

今の自民党への支持は、本当の意味での支持ではなく、
野党の失速が生み出してしまったものです。
このままでは、長期政権・独裁化という道を
自民党は進んでいくでしょう。
野党は過去を反省した態度を国民に示し、
野党としての役割を果たしてもらいたいと強く思います。


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※この記事は7月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、安倍政権の話題を中心にお届けいたしました。

日本経済新聞社が6月末に行った世論調査によると、
安倍内閣の支持率は52%、不支持率は42%となり、
4ヶ月ぶりに支持が不支持を上回りました。

「国際感覚がある」「安定感がある」「指導力がある」
などが支持理由として挙げられたとのことですが、
大前は記事中で、今の安倍政権は、労働人口減少など、
今の日本が抱えている重要な問題に手を付けておらず、
何1つとして政策の成果を上げていないと指摘しています。

問題解決に取り組むにあたって最も重要なことは、
目の前に起きている問題をやみくもに対処するのではなく、
「何を解決すべき課題とするのか」を決めることです。

記事中でも、過去の首相の成功事例を大前が紹介していますが、
本質的な問題を徹底的に分析した上で、
解決策の立案や解決策の実行に取り組むことが大切です。

過去ログ 2010年12月 
2011年01月 02月 03月 04月 05月 
2012年05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2013年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2014年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2015年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2016年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2017年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月 
2018年01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月 12月