2018年08月31日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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原子力産業/福島第一原発〜原子力事業は日本全体で1つの事業体で担うべき

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原子力産業 膨らむ費用、再編迫る
福島第一原発 足りない廃炉人材

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▼原子力事業は日本全体で1つの事業体で担うべき
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日経新聞は23日、「原発 膨らむ費用、再編迫る」と
題する記事を掲載しました。
東京電力と中部電力、日立製作所、東芝が
原子力事業で提携協議に入ったと紹介。
原発事業は世界的にコストが膨らむ傾向にあり、
4社とも「1社では事業を担えない」という共通の焦りがあり、
今回の提携をきっかけに国内の原発は
もう一つの連合との2陣営時代を迎える
可能性もあるとしています。

確かに一昔前は、BWR(沸騰水型軽水炉)と
PWR(加圧水型軽水炉)の2つの陣営に
別れていましたが、今ではそれほど明確に
分かれてはいないと私は見ています。

BWR陣営には、日立、東芝、東京電力、
中部電力、東北電力、中国電力、北陸電力。
そしてPWR陣営には、三菱重工、関西電力、
九州電力、四国電力、北海道電力。
これがかつての2陣営の構図でした。

PWRを世界で初めて商用化したのは
ウエスチングハウスで、かつて日本国内では
三菱重工が提携し、PWR陣営の一翼を担っていました。
しかし、東芝がウエスチングハウスを
傘下におさめたことで、東芝はBWRもPWRも
どちらも対応できるようになっています。
一方、三菱重工は仏アレバと提携しました。
現在、全体として見ればBWR陣営、
PWR陣営という区分けに敏感ではなくなっています。

また「1社では無理なので4社で」
原子力事業を担っていこうとのことですが、
4社でも不十分だと思います。

私は東日本大震災が発生した3月11日の直後、
すでに次のように提案していました。
すなわち、9電力会社の原子力部分を全て切り離し、
そこに日立、東芝、三菱重工を加えて、
「日本原子力機構」という組織を作るべきだ、と。
このように提案した理由は明確です。
とても1社だけでは無理ですし、
日本全体で1つにならなければ対応できないからです。

東京電力は相当大きな企業ですが、
それでも福島の原発だけで持て余す状態になっています。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構が資金を注入しなければ、
存在できない状況です。中部電力は、浜岡原発を
当時の菅直人首相に閉鎖させられて困り果てています。

フランスでも実質的にアレバ1社に
原子力事業が集約されているように、
日本も「とりあえず4社で」などと言わず、
全体として1つに集約されなければ
原子力の体制を立て直すことは難しいと思います。

福島第一原発事故もあって、日本国内で
新しい原子炉を作るのはほぼ不可能な状況にあります。
これから先は海外に出ていくしかありません。
その意味でも、日本全体でまとまらないと
企業体力の面でも厳しいことは目に見えています。



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▼廃炉のイメージを払拭し、環境産業として位置づけて人材を確保せよ
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日刊工業新聞の情報サイトは21日、
「東京電力と大学の思惑一致せず…足りない廃炉人材」と
題する記事を掲載しました。
福島第一原発の廃炉作業を支える人材育成について、
大学が廃炉技術の研究者を育てている一方、
実際に現場で求められるのは
日々発生するトラブルに対応しながら
計画管理ができるプロジェクトマネージャーであると紹介。
こうした人材を育てるには、
自身の専門以外の基礎を働きながら学べる仕組みや
大学と現場をつなぐ場が必要としています。

かつて私がMITで原子力工学を学んだときには、
同級生が130人もいました。
しかしスリーマイル島原発事故が起こって
状況が一変しました。97年頃私がMITに訪れたときには、
原子力工学を学ぶ生徒は1学年で15人くらいに激減していました。
しかも、その15人の中に米国人は一人もいませんでした。
ほとんどは奨学金をもらって
アフリカから来ていた留学生でした。

私が学んでいた時代には、
原子力工学には夢がありました。
マンハッタン計画の後は、
原子力の平和利用だと誰もが思っていましたし、
MITでも非常に有名な先生が教鞭を執っていました。
ところが、スリーマイル島原発事故の後、
米国人の中に原子力を学ぶという発想はなくなりました。

福島第一原発事故で、同じことが日本でも
起こってしまいました。当時の米国でもそうでしたが、
今、日本で原子力を学んでいると言ったら
「将来性がない」と思われるでしょう。
だから誰も学ぶ人がいなくなります。

この問題は廃炉人材がいなくなることになるので、
極めて重要な問題です。
廃炉のために外国人を雇用して
危険な環境の中で仕事をさせるのは、
国際的な批判も受けるでしょうし、難しい点があります。
とは言え、廃炉は絶対にやらなければいけないことです。

私は「廃炉」という言葉も、
その印象が良くないと思います。
グリーン技術の1つとして環境学科の科目にするなど
工夫するのも1つの策でしょう。
「グリーン」「環境」という言葉で表現すれば、
興味関心を持ってくれる生徒も増える可能性があります。
実はMITでもそのようにしています。

また考え方次第では、これは成長産業です。
なぜなら、先程も述べたように廃炉は
「絶対にやらなくてはいけないこと」だからです。
完全なニーズがあります。
「廃炉」という見せ方ではなく、
成長が約束された環境産業として位置づけて
人材を確保して欲しいと思います。


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※この記事は8月26日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、原子力産業の話題をお届けいたしました。

東京電力と中部電力、日立製作所、東芝の4社が
原子力事業で提携協議に入りました。

これに対して大前は、東京電力でさえも
福島の原発だけで持て余す状態になっており、
日本全体として1つに集約されなければ
原子力の体制を立て直すことは難しいと指摘しています。

原発事業は、コストの問題、廃炉の問題、
人材確保の問題など、様々な問題を抱えており、
どの課題も電力会社が単独でマネジメントできる
範疇を超えてしまっています。

また、日本国内で新しい原子炉を建設することが難しく、
これから先、海外に出ていくしかないということを考えても、
日本全体でまとまらないと企業体力の面でも厳しいとも
大前は記事中で指摘しています。

問題を解決するにあたっては、
現在の延長として解決策を考えるのではなく、
未来がどうなるかを推測し、その中で、
どうあるべきかを考えることが大切となってきます。
大局観や長期的な視野を持ち、物事を考えることが大切です。

2018年08月24日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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IHI/事務機器メーカー大手/パイオニア〜かつて世界に君臨した日本の造船業が、今は見る影もない

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IHI 造船所・愛知工場を閉鎖
事務機器メーカー大手 複合機に「複合不振」
パイオニア 車載特価裏目、再建へ支援要請

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▼かつて世界に君臨した日本の造船業が、今は見る影もない
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IHIは10日、愛知工場で最後の工事となった
液化天然ガス(LNG)タンクの完工式を開きました。
愛知工場は1973年に当時最新鋭の造船所として開設。
造船日本の象徴的存在でしたが、
近年は中国や韓国の攻勢で受注増加が見込めなくなっており、
9月にタンクを引き渡し完全に閉鎖するとのことです。

かつて十数年に渡って造船会社のコンサルティングを
やっていた私にとっても、
これは非常にショッキングなニュースです。
当時は100万トン級の造船ドッグの建設ブームで、
三菱重工業、IHIなどを筆頭に「造船日本」と
言われた時代でした。世界シェアの約50%を
日本企業で占めていました。

ところが、日本国内の労働賃金が上昇し、
ノウハウが海外に流出しました。
現代重工業を中心に韓国勢に取って代わられてしまい、
今ではその韓国勢も中国勢に押されて
守勢に回っている状況になりました。

世界の造船企業別の竣工量を見ると、
まだ韓国勢が上位を占め、現代重工業がトップで、
大宇造船、現代三湖重工業でトップ3になっています。
そして4位に日本の今治造船が入り、
サムスン重工業、JMUと続きます。
JMUはユニバーサル造船
(=日立造船と日本鋼管造船部門)と
IHIマリンユナイテッド
(=IHIと住友重機械工業の関連部門)が
統合した企業です。これだけの会社が
一緒になっても世界6位という状況です。

日本国内では今治造船が1位で、JMUが2位、
名門の三菱重工業は国内でも7位になっています。
日本は造船業界が旺盛の頃、
敢えて過当競争にならないように、
造船ドッグを潰していく時代がありました。
一方の韓国と中国は、収益が伸びているうちに
ボリュームを追求しました。
結果として、この20年間で日本勢は
手も足も出ない状況になってしまった、というのが現状です。

IHIのセグメント別業績を見ると、
ボリュームが大きいのは、資源・エネルギー・環境、
そして航空・宇宙・防衛です。
海洋部門はボリュームも小さく利益も出ていないし、
衰退しています。では、資源・エネルギー・環境などが
牽引してくれるおかげで安泰か?というと、
全くそんなことはありません。
資源・エネルギー・環境部門は売上ボリュームが大きいですが赤字です。

また航空・宇宙・防衛などをメインでやっていけるかも
確証が持てません。会社全体として見たとき、
IHIは非常に運営が難しい状況に置かれていると思います。



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▼デジタル革命の影響による複合機、AV機器業界の苦しさ
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日経新聞は10日、『複合機に「複合不振」』と
題する記事を掲載しました。
ペーパーレス化が進み需要が伸び悩むなか、
トナーなど消耗品で稼ぐモデルにも
影が差し始めていると紹介。
また市場関係者も今後の技術革新や市場拡大は
見込めないと分析しており、
各社は生き残りの道を探り時間との戦いを
続けているとのことです。

以前はパソコンでプリントアウトするというのが
当たり前の光景でしたが、今ではすっかり
そんなことはしなくなり、複合機・プリンター
ニーズが減ってきています。
また、様々なメーカーの機械を統合的に管理する
MPS(マネージド・プリント・サービス)が
幅を利かせるようになってきて、
なおさら厳しい状況になっています。

業界最大手の1つであるキヤノンの
セグメント別業績を見ると、複写機の売上は下降、
イメージングシステム(カメラ等)は
まだ強さはあるものの減少傾向です。
買収したメディカル関連が
ようやく黒字化してきたという状況です。

あれほど収益が高かったキヤノンにしても、
CTなど画像診断装置などで
躍進する可能性はありますが、
現状は非常に苦しい状況です。
富士フイルムなど、このような
逃げ出したくなる業界で
よく米ゼロックスの買収に踏み切ったものだと思います。

キヤノンにしても富士フイルムにしても、
デジタル革命の影響を受けて、
今後しばらくの間、非常につらい思いをすることは
間違いないでしょう。


同じように、スマホにAV機器が吸収されて
衰退していく状況も加速しています。
日経新聞は9日、「車載特価裏目、再建へ支援要請」と
題する記事を掲載しました。
パイオニアは近年、カーナビなど車載機器事業に
経営資源を集中してきましたが、
スマートフォン(スマホ)の普及など需要が急速に減少。
今後は自動運転車のセンサーや
高精度地図の開発に着手する方針で、
そのためにはまず他社からの支援を受け入れ
財務の改善を目指す考えとしています。

AV機器が衰退していく中、GPSのカーナビに
特化したものの、グーグルマップなどに
見事に持っていかれてしまいました。
いまだにトラックに付いている専用の
GPS機能(車の大きさに合わせて道路の選択をする機能など)は
スマホが対応していませんが、
普通の乗用車を運転する限りでは
代替されてしまうでしょう。

パイオニアの業績推移を見ると、
非常に苦しい状況を見て取れます。
売上は3000億円台に減少し、
2014年100億円を超えていた営業利益は
20億円を下回っています。
純損益はすでに赤字に転落していて、
しかも50億円を超えています。
今後も苦しい状況が続いていくと思います。


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※この記事は8月19日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、注目企業の話題を中心にお届けいたしました。

1973年に当時最新鋭の造船所として開設された
IHIの愛知工場が、9月にタンクを引き渡し、
工場を完全に閉鎖するとしています。

IHIの市場セグメント別の業績では、
航空・宇宙・防衛などはボリュームが大きいものの、
メインでやっていけるかも確証が持てず、
会社全体として見たとき、IHIは非常に運営が難しい状況に
置かれていると大前は指摘しています。

戦略の中でも市場の選択は戦略の中心となり、
どの市場に経営資源を投入するかは重要となります。

選択している産業や市場が衰退をしている場合には、
別の新たな産業や市場を選択していくのか?
はたまた、衰退産業の中でも、伸びているセグメントはあるか?
などを考えることが必要となってきます。

2018年08月03日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米ゴールドマン・サックス/米ゼネラル・エレクトリック/九州観光〜GEは医療事業を手放すべきではない

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米ゴールドマン・サックス 次期CEOにデービッド・ソロモン氏
米ゼネラル・エレクトリック 照明事業から年内に撤退
九州観光 観光客誘致で戦略的提携

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▼ゴールドマンの収益構造の変化
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米金融機関大手のゴールドマン・サックスは先月17日、
ロイド・ブランクファイン最高経営責任者の後任として、
デービッド・ソロモン最高執行責任者を
指名したと発表しました。ブランクファイン氏の
在職期間は10年を超えていますが、近年は
フィンテックを活用した個人向け融資事業を
立ち上げるなど、新たな収益基盤を構築。
後任のソロモン氏がこれを引き継ぎ、
成長戦略を加速させる考えです。

ゴールドマンのブランクファイン氏が
辞任するというのは、投資銀行業界にとっては
1つのエポックでしょう。
この10年間でゴールドマンは大きく
業態を変えました。10年前は純収入の約7割は
トレーディングでしたが、
今後は機関投資家向けサービスで
牽引していく方向性です。その意味でも、
投資銀行部門で高い利益を出した実績を持つ
ソロモン氏が後任として選ばれたのでしょう。
有名な話ですが、ゴールドマンはかつて、
ニューヨーク本社の現物株式取引部門に
600人ほど抱えていたトレーダーが今では2人になっていて、
トレーディングは機械(AI)が行っています。

当面ゴールドマンが目指すべき存在になるのが、
JPモルガンでしょう。現状、収益で比較すると
JPモルガンが圧倒的に上回っています。
かつては高い収益を誇ったゴールドマンですが、
現在はJPモルガンの方が安定した基盤を
構築していると言えます。ソロモン氏がCEOに就任し、
JPモルガンに追いつき、追い越すために、
どのように収益を伸ばしていけるでしょうか。


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▼GEは医療事業を手放すべきではない
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日経新聞が報じたところによると、
米ゼネラル・エレクトリックが先月20日、
祖業である照明事業から年内に撤退すると
表明したことがわかりました。
7つの主要事業のうち4つを分離・売却し、
電力、航空、再生エネルギーの3部門に集中し、
過去の複合経営と決別し、「シンプルなGE」として
再起する考えとのことです。

私はこの方針に全く納得ができません。
祖業とはいえ照明事業はすでにかなり縮小していますし、
撤退するのも全く問題ないでしょう。
理解に苦しむのは、なぜ再生可能エネルギーを選択し、
医療事業を分離・売却対象とするのか?ということです。

GEのセグメント別業績を見ると、
電力、航空事業は大きく今後も主力事業として
位置づけていくのは頷けます。
しかし再生可能エネルギー事業は、
それほど利益を生んでいません。
再生可能エネルギーに力を入れていく理由がわかりません。
一方で、GEはシーメンス、フィリップスと並び、
世界3大メディカルエレクトロニクスのメーカーです。
MRI、CT、X線などGEは米国の医者の信頼を勝ち得ています。

たしかに医療分野が今後飛躍的に
伸びていくことはないでしょうが、
それでもGEがこの事業から
撤退する理由もないと思いますし、
実際、そうなるとかなり困る人が出てくるはずです。
この事業を諦める理由は私には全く思いつきません。

また、もしGEが発表のとおりに
交通事業も分離・売却対象とするなら、
日立などには買収のチャンスかも知れません。
GEは交通事業で強い領域を持っています。
日立は特に欧州で交通事業に力を入れています。
GEの交通事業を買収できれば、
世界で戦うための大きな武器になる可能性はあります。
日立としては目を光らせておくべきでしょう。


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▼JR九州とアリババの提携の意義/ネット企業の旅行事業参入のKFSは?
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JR九州と中国・アリババ集団は先月23日、
訪日観光客の誘致で戦略的提携を結んだと発表しました。
アリババの旅行予約サイトを通じて
九州の観光地を紹介する一方、JR九州は九州内で
アリババのスマートフォン決済サービス
「支付宝(アリペイ)」の導入を
促進するというもの。2023年度に中国から九州へ
100万人の送客を目指すとのことです。

九州は今、日本で唯一明るい話題で
あふれている地域です。
私は月2回程度九州に行きますが、
目に見える景色が全く東京などとは違います。
ホテルの周辺や商店街など、
出会う人の2人に1人は中国からの観光客です。
JR九州とアリババが手を組むことで、
九州経済はガラッと変わっていく可能性があります。
そしてその九州から、日本全体に対しても
大きな影響があるでしょう。
JR九州とアリババが提携する意義は
非常に大きいと思います。

さて、そのアリババなど中国勢が牽引する
スマホ決済ですが、
日本においてもスマホ決済への流れは
止めることはできないでしょう。
これまでクレジットカードで、
ぬくぬくと利益を上げていた企業にとっては、
デビットカード方式は苦手です。
実現するにはいくつかの課題がありますが、
まずはできるところから実践するしかありません。

また、LINE、DMM、メルカリなどのベンチャー企業が
旅行市場に参入しています。
これはデスティネーションツーリズム
という市場を狙ったものでしょう。
1泊2日程度の短い旅行が多い日本では
あまり馴染みがないのですが、1ヵ月以上など
長い期間旅行する市場のことを言います。
実は、観光の輸出額の規模は、
世界的に見ると自動車産業よりも大きく、
今後も非常に期待できる市場です。

これまで旅行では、ホテル、飛行機、
そして現地のレストランの予約など、
全て縦割りで別々に手配する必要がありました。
エクスペディアなどが統合したサービスの展開を
試みていましたが、なかなか上手くいっていません。
ところが、LINE、DMM、メルカリなどネット企業にとっては、
統合サービスを提供することはお手の物です。

かつて私も辞書のように
分厚いガイドブックを片手に、
欧州を一周したことがあります。
数ドルで泊まれるユースホテルが
紹介されていたり、非常に重宝しました。
今は旅行中も常にスマホで
ネットに繋がっていますから、
これをさらに精度を高めて
実現することができるでしょう。
単に統合サービスとして提供するにとどまらず、
コンシェルジュ的なコンテンツまで
提供してほしいところです。
例えるなら、JTBのエキスパートガイドが
自分のポケットにいるという感覚です。

LINE、DMM、メルカリにとって、
技術的な問題はほとんどないと思います。
重要なことは、内容をどれだけ
エキスパートにできるかということです。
中国人の観光客は、中国人留学生が
百度にアップしている大量の観光情報や案内を
参考にしているそうです。最終的には、
内容をどれだけ充実したものにできるか。
ここができないと片手落ちの
サービスになってしまうでしょう。



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※この記事は7月29日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、注目企業の話題を中心にお届けいたしました。

米ゼネラル・エレクトリックは、
医療機器や輸送など7つの主要事業のうち4つを分離・売却し、
電力、航空、再生エネルギーの3部門に集中することで、
「シンプルで強固なGEを目指す」と宣言しました。

利益をそれほど生んでいない再生可能エネルギー
を選択し、医療事業を手放す対象とする
ことに対して大前は疑問視をしていますが、
選択と集中を実行する際は、組織の中核となる
事業は何かを見極めることが重要となります。

選択と集中は、経営の効率化や企業価値を高めるなど
メリットがある反面、リスクも伴う戦略となります。

現在の自社の状況や今後の市場成長の予測などを
客観的に分析した上で、意思決定をしていく必要があります。

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