2018年10月19日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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モビリティ事業/独排ガス規制〜トヨタとソフトバンクの提携に見る両社の立場と重要性とは?

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モビリティ事業 新モビリティサービス構築へ
独排ガス規制 旧型ディーゼル車に新対策

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▼トヨタとソフトバンクの提携に見る両社の立場と重要性とは?
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トヨタ自動車とソフトバンクは4日、
新たなモビリティサービスの構築に向けて新会社
「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)株式会社」
を共同で設立すると発表しました。
両者のプラットフォームを連携させ、配車サービスや
自動運転技術を使った新事業で協業をするとのことです。

日本企業の時価総額1位と2位が提携したとマスコミが騒いでいますが、
私はそれほど大きな意味を持つ提携とは捉えていません。
この分野においてトヨタがあまりにも出遅れている状況で、
1位と2位が手を組んだと騒ぐほどのインパクトが
ないかもしれないからです。

トヨタが出遅れている一方で、ソフトバンクは
トヨタと提携しなくても十分にやっていけるだけの
様々な仕掛けを作ってきています。ARMの買収など
ソフトバンクがこれまでに投資してきた実績を考えると、
トヨタに限らずどの自動車メーカーと手を組んでも
上手くいくはずです。ソフトバンクとしては、
トヨタと排他的な提携を結ぶよりも
オープンな状況にしておいたほうがいいと私は思います。

もちろんトヨタとしては排他的な提携を望むと思いますが、
今後モビリティ事業がメインになってくるときには、
車を持たずにファンドなどを通じて
仕掛けの展開に注力してきたソフトバンクのほうが
フレキシビリティは高くなります。
ソフトバンクの立場から考えれば、
トヨタ1社との提携にこだわらずに、
今まで構築してきたネットワークを活用するほうが便利でしょう。

モビリティサービスの時代を見据えて、
ダイムラーやBMWなどはとにかく車を数多くばら撒いて、
新車が売れなくても使ってもらえるような状況を
構築する動きを見せています。
「Car2Go」(ダイムラー)と「DriveNow」(BMW)
というカーシェアリングサービスの統合などもこの動きの一貫です。

このような時代の流れにおいて、
トヨタはようやく4つの販売チャネルの統合を
発表したばかりで遅れに遅れています。
豊田章男社長は自社の遅れを認識し、
トヨタがモビリティカンパニーに変革する必要性を訴えていますが、
未だに会社としては「FUN TO DRIVE」
と言っている段階なので懸念を覚えます。

またそもそも今回の提携について言えば、
トヨタとソフトバンクのいずれからも
「本気」を感じられません。新会社を設立するということは、
両社とも「本体」同士は関係ないということです。
どちらも、会社の総力をあげて取り組む
ということにはならないと思います。

新会社の出資比率を見ると、過半数を超えている
ソフトバンクが優位に見えますが、
本気で取り組むなら「縛り」を入れるべきです。
お互いこの事業分野のことに取り組む場合には、
新会社以外では禁止するなど、
「浮気」を抑制する仕掛けが必要でしょう。
そうでなければ、いずれ破綻する可能性が高いと思います。

この提携が上手くいくかどうかに関係なく、
トヨタには大改革が必要だということも重大な事実です。
豊田章男社長のスピーチを聞いて社員がどれだけ危機感を持てるか。
社員の意識が大きく変わることがあれば、
力がある企業ですから大丈夫だと思いますが、
そうでなければ、このまま取り残されてしまう可能性もあるでしょう。



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▼ディーゼル車への逆風は、嘘の代償の大きさを物語っている
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ドイツ政府は2日、大気汚染の原因となっている旧型の
ディーゼル車の買い替えと改修を促す新対策を決めました。
14都市の最大140万台が対象で、
奨励金最大130万円を受け取って車を買い替えるか、
環境性能を高める改修を受けるように保有者に求めるもので、
費用はいずれも自動車メーカーが負担するというものです。

ベルリン市などでは道路ごとに
ディーゼル車の規制を定めているそうですが、
そこまで細かく見るのは現実的には難しい気がします。
中途半端な形に終わるのではないかとも感じます。

買い替えの際にメーカーが100万円程度を
負担しなければいけないということですから、
メーカーはかなり悲惨な状況に追い込まれた
と言えるでしょう。ディーゼル車への逆風は、
排ガス不正という「嘘」をついた代償が
いかに大きいのかを物語っていると思います。



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※この記事は10月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、モビリティ事業の話題を中心にお届けいたしました。

新たなモビリティサービスの構築に向けて
新会社を共同で設立すると発表した
トヨタ自動車とソフトバンク。

ライドシェアなどの移動サービス事業を
統合するダイムラーとBMW。

モビリティサービスの時代の流れにおいて、
自動車業界は、作って売るというビジネスモデルから
かつてない変化に直面しています。

しかし、これらは自動車業界に限ったことではありません。

グローバル化や技術革新のスピードが上がり、
自社の経営資源のみで成長を目指すことが
難しくなってきています。

連携や提携で補完的な機能分担や価値提供を行うことで、
高い競争力を獲得し、競合に対する持続的な優位を
確保することができます。

2018年10月12日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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沖縄県知事選/朝鮮半島情勢/日韓関係〜この数週間で極東アジアの地政学は大きく変化し、日本は孤立無援に

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沖縄県知事選 玉城デニー氏が初当選
朝鮮半島情勢 共同警備区域の地雷除去に着手
日韓関係 韓国・国際観艦式への護衛艦派遣を中止

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▼沖縄返還は民政のみで、軍事は返還されていないという事実
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翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選が先月30日行われ、
無所属新人の玉城デニー氏が初当選しました。
米軍普天間基地の辺野古への移設反対を訴えており、
政府が進める移設計画に影響を与えそうとのことです。

普天間からの移転に反対する人はいません。
基地の近くに学校などもあり、トラブルも多く、
誰もが普天間からの移設を望んでいるのは間違いないでしょう。
しかしだからといって、辺野古への移設まで反対となると、
根本的な前提が変わってしまいます。

普天間からの移設を検討したとき、
沖縄県内での移設先としていくつか検討された上で
辺野古が選定されました。それを否定するとなると、
そもそも「米軍は沖縄から出て行け」と言うのと同じです。
辺野古市民はすでに一度は基地の移設に賛成しています。
沖縄県民がこの議論をするとき
「本当に米軍の全面的な退去を望んでいるのかどうか」
という点まで考えるべきです。
2つの議論を一緒に考えてしまうから、
混乱しているのだと思います。

ただし、「もし辺野古への移設はやはり反対だ」となっても、
今の日米地位協定からすれば米軍が
沖縄から退去することはあり得ません。
普天間基地が継続されるだけでしょう。
沖縄返還は民政のみに限ったことであり、
軍事に関しては返還していないからです。
だからオスプレイが墜落して問題になっても
日本政府はまともに文句1つ言えないのです。

沖縄返還の条件は米軍が軍事基地として
好きなように使い続けることであり、
それが日米地位協定に定められています。
もちろん日本側もこの内容に納得した形になっています。
少なくとも安倍首相の叔父であり、
当時の佐藤栄作首相が理解していなかったとは思えません。

結局、沖縄返還のときの条件について
政府が国民に真実を隠して嘘をついてきたことが、
大きな誤解を生む原因になっています。
このまま嘘をつきつづけるなら、
北方領土と同じ道を辿ることになると私は懸念しています。

法的な側面だけでなく米国の戦略的な側面から考えても、
米軍が沖縄を手放すことは考えられません。
米海兵隊の拠点としてはグアム、ハワイ、ダーヴィンがありますが、
中国を封じ込めるためには沖縄は非常に重要な位置にあります。
最大の抑止力になるのも間違いありません。

ゆえに、どう考えても「辺野古への移設反対」を訴え、
米軍の退去を望むようなことをしても無駄です。
政府が正直になって過去の経緯を明らかにして、
その上で沖縄に負担がかかりすぎているなら、
対処方法を考えるべきです。沖縄に対して
「日本全体のために沖縄が果たすべき役割」を説明し、
逆に「日本全体として沖縄に何ができるのか?」
を考えていく態度が大事だと思います。

正直に事実を伝えずにいるから、
沖縄県民を怒らせるばかりになっています。
これでは何回知事選があっても、
辺野古への移設反対を主張する人が当選するでしょう。
現在の差し迫った課題は、辺野古移設の反対・賛成ではなく、
一刻も早く危険な普天間から基地を取り除くことです。



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▼この数週間で極東アジアの地政学は大きく変化し、日本は孤立無援に
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政府もマスコミも真実を伝えずに、
相変わらず日本国内の議論が迷走している中、
日本周辺の国際環境は大きく変化してきています。
国内で意味のない議論をしている暇などなく、
中国、韓国・北朝鮮、ロシアの動向に注目すべきです。
特に、この数週間で韓国と北朝鮮が急激に接近したことは、
日本への影響も非常に大きいと思います。

北朝鮮と韓国は1日から、軍事境界線がある
板門店(パンムンジョム)の共同警備区域(JSA)
にある地雷除去に着手しました。
先月、双方の国防相が署名した
「軍事分野合意書」履行の第1弾とのことです。
これは文在寅大統領と金国務委員長も
同意していることですから、両者の距離は
かなり大きく接近していると見るべきです。

韓国の文在寅大統領は国連総会で、
金委員長を信頼できる人物だとし、
北朝鮮との祖国統一について熱弁しました。
国連は、北朝鮮が対する完全かつ検証可能な非核化をしない限り、
制裁を継続するとしていますが、それも棚上げにして
「祖国統一・民族統一」を信じて欲しいと訴えました。
もちろん、国連の北朝鮮に対する制裁決議には
文在寅大統領も賛成したのですが、
手の平をひっくり返したのですから驚くばかりです。

米トランプ大統領は北朝鮮への制裁は
継続するという姿勢です。しかし
「非核化はスケジュールを決めてやるものでもない」
と発言し、そのタイミングは急がないとしました。
その間に韓国と北朝鮮は急接近しました。
先日の国連総会で日本の河野太郎外相は、
北朝鮮の制裁解除について
「完全かつ検証可能な非核化が絶対条件」と演説しましたが、
このような意思表示をしたのは日本だけでした。
2ヶ月前までは各国の意志は一致していたのに、
状況がガラッと変わってしまいました。

北朝鮮と親密になる一方で、
文在寅大統領は「反日」の姿勢を強めています。

韓国南部・済州島で11日に開かれる国際観艦式で
韓国側が日本の海上自衛隊の護衛艦に
旭日旗を掲げないように求めていた問題について、
岩屋毅防衛相は5日、護衛艦の派遣を中止すると発表しました。

日本側の対応は当然です。
小渕恵三元首相の頃に解決したはずの問題を、
今頃になって持ち出してきています。
自衛艦旗の旭日旗を日本軍国主義の象徴
などと難癖をつけているのです。
たしかに韓国国内に旭日旗に反対する人はいましたが、
船が寄港できないというような
問題になったことはありませんでした。

また従軍慰安婦問題についても、
最終的かつ不可逆的な解決をしていたはずが、
文在寅大統領はひっくり返しました。
日本が10億円を拠出した従軍慰安婦のための財団を、
日本に断りもなく勝手に解散させました。
文在寅大統領曰く「国民の理解が得られない」
とのことですが、国と国が約束をし、
資金の一部もすでに支払われているものを、
勝手に反故にするのは理解できません。

もう文在寅大統領は完全に向こう側(北朝鮮側)
の人物であり、説得しても無駄だと私は思います。
もはや「日米韓」という発想は
文在寅大統領の頭にはないでしょう。
逆に、いかにして米国を騙して
「祖国統一」を実現するかを考えているはずです。

現状、このような韓国の動向に対して
中国とロシアは静観しています。
米国は長期的に見れば日本側ですが、
この2〜3週間で極東において日本は
孤立無援状態になっています。
極東アジアにおいて、大きく地政学的状況が
変化したことは非常に重要だと思います。

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