2019年09月27日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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サウジアラビア情勢〜ドローンが変える世界の軍事バランス

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サウジアラビア情勢 サウジアラムコ施設をドローン攻撃

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▼ドローン攻撃によって、世界の軍事バランスが大きく変わる
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サウジアラビア東部で14日、
国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が
無人機の攻撃を受け、出火したことが明らかになりました。

イエメンの反政府武装組織ホーシー派が
犯行声明を出しましたが、サウジアラビア国防省は18日、
攻撃に使用されたとする無人機や巡航ミサイルの破片を公開。

ホーシー派の犯行可能性を否定するとともに、
イランが関与したことの証拠だと主張しました。

今回使用されたドローンは、
航続距離1200kmとも言われています。

しかも、価格はわずか150万円程度で
製作可能というのですから、驚きです。

このドローンの活用は、世界の軍事バランスを
大きく変える可能性があると私は思います。

それほどに今回のニュースは重大な事件です。

例えば、日本は北朝鮮のミサイル攻撃対策として、
米国の陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)を、
萩と秋田に設置する方針を検討しています。

しかし、今回のドローンを使われたら、
イージス・アショアを無力化することが可能でしょう。

ドローンは低空で飛行するため、レーダーに引っかからず、
さらにステルス化することもできます。

イージス・アショアでミサイルを検知することはできても、
ドローンを検知して対抗することは難しいでしょう。

今回攻撃を受けたサウジアラムコの石油施設の様子を見ると、
攻撃力も十分にあるとわかります。

しかもドローンは、最後の瞬間に目視で操作できるため
攻撃の的中率が高くなります。

今回のサウジアラムコの石油施設への攻撃でも、
ミサイルの的中率は80%ほどでしたが、
ドローンからの攻撃は100%命中しています。

米国は日本に北朝鮮の驚異を煽って、
イージス・アショアを売りつけようと試みていますが、
それを根底からひっくり返す事態です。

価格も安く、若干知識があれば
組み立ててプログラムできてしまうのですから、
恐ろしい限りです。

現在、世界中で防衛策の基本となっているのは
ミサイル防衛システムです。

ドローンにはミサイルほどの圧倒的な破壊力は
期待できませんが、それでも今回のように、
軍事的に重要な拠点・施設をピンポイントで狙うには十分です。

今後は、世界中の国が軍事的に大きな変更を
余儀なくされることになると思います。

高額なミサイルの開発は不要になり、
ドローンを中心とした攻撃・防衛に
切り替わっていく可能性が高いでしょう。



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▼戦争も辞さない強気のイラン、話し合い決着を望む日和気味のトランプ大統領
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今回のサウジアラビアの石油施設の破壊を受けても、
世界的に原油価格はあまり上がっていません。

サウジアラビアだけでなく、
ロシアや米国も多くの原油を産出できる時代だからでしょう。

実際、米国のトランプ大統領は備蓄している原油を出してきて、
この機会に一儲けしようという動きを見せています。

今回のドローン攻撃について、
ホーシー派はイエメン方面から飛行してきたと述べていますが、
サウジアラビアはイラン側から飛来してきたと主張し、
真っ向から否定しています。

シーア派の盟主・イラン、
スンニ派の盟主・サウジアラビアとしての対立そのものです。

イラクはフセイン大統領の頃には、
同大統領がスンニ派であったこともあり、
イランと戦争をする立場でしたが、
今では人口比率で多数派であるシーア派が名実ともに
マジョリティになりイランに取り込まれている状態です。

その他、シリアやイエメンについて見ると、
アサド元大統領はアラウィー派ですが、
現在のシリアのマジョリティはスンニ派。

イエメンはサウジアラビアの侵攻に対して、
イランのバックアップを得たホーシー派が対抗している状況です。

イランの遠隔操作にも関わらず、想像以上にホーシー派が
善戦しているため、実はサウジアラビアは
軍事的に弱いのではないか?と言われています。

そんな中東情勢において、今回の事件が発生しました。

イランは否定していますが、
イランが裏で糸を引いていると思っている人が多いでしょう。

イランは、もし戦争になるならそれも辞さず、という
強い姿勢を見せています。

意外にも、そんなイランの態度に及び腰になっているのが
米国トランプ大統領です。

今のタイミングで開戦してしまったら、
トランプ大統領の選挙期間中も
戦争が続くことになるのは間違いありません。

それは避けたいので、
何とか話し合いで決着するように促しています。

仮にイランに制裁を加えるとなっても、
トランプ大統領にできることは
「イランへの送金をできなくする」
「イランへの輸出を制限する」などの
間接的なことだけです。

そのため、いつもあれだけ強気なトランプ大統領が、
珍しく日和った態度を示しています。



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※この記事は9月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はサウジアラビア情勢について大前が解説しました。

的中率が高く、価格も安いドローンによる攻撃は
世界の軍事バランスを大きく変える可能性があります。

ビジネスの場面でも、技術の発展によって
世の中の流れががらっと変わってしまうことがあります。

タイミングを見極めたうえで
有効な一手を素早く打てるかどうかが、
そのビジネスの今後を左右します。

2019年09月20日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米トランプ大統領/米大型ハリケーン〜トランプ大統領の支持率低下は当然

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米トランプ大統領 ボルトン大統領補佐官を解任
米大型ハリケーン ロス商務長官が進路予報の打消しを要請
米トランプ大統領 支持率38%で前回比6pt低下

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▼補佐官を糾弾する前に、自らのリーダーシップを発揮しろ
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米トランプ大統領は10日、ツイッターで
「ボルトン大統領補佐官を解任した」と発表しました。

理由について、
「彼の提案の多くに私は強く反対してきた。
他の政権メンバーも同意しなかった」と説明。

ボルトン氏はこれまで北朝鮮やイランに対して
強硬姿勢をとっており、これらの政策への影響は必至です。

トランプ大統領は全てボルトン氏の過失だったという論調ですが、
私には全く理解ができません。

そもそも、大統領ならば
補佐官と意見が違えば議論して説得すれば良いはずです。

自分の意見を述べ、
まともに議論をして説得することすらできないのなら、
大統領として必要なリーダーシップの欠片もありません。

ボルトン氏の北朝鮮やロシア、
アフガニスタンへの対応を非難していますが、
元々ボルトン氏はそういう思想の持ち主ですから、
そんなことは容易に予想できます。

これは、中国に関するピーター・ナヴァロ氏に対しても
全く同様です。

そういう人たちとわかった上で役職につけておいて、
自分は何もせずに「彼らがミスをした」と糾弾するのは
おかしな話です。

就任から2年半で国家安全保障問題担当大統領補佐官が
3人も政権を去ることになります。

この異常性を見ても、
トランプ大統領に問題があると私は思います。



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▼トランプ大統領の支持率低下は当然
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トランプ米大統領が大型ハリケーン「ドリアン」の
誤った進路予想をツイートした問題で、
ロス商務長官が商務省の米海洋大気局(NOAA)に、
トランプ氏の発言と矛盾する予報を打ち消すよう
迫っていたことが判明しました。

また、ロス氏は担当者の解雇まで示唆していたとのことで、
民主党議員からは脅しが事実なら
ロス氏は辞任すべきとの声も上がっています。

もしロス氏が解雇まで示唆していたのなら、
私もロス氏は辞任すべきだと思います。

ロス氏と言えば「物言う株主」として一財を成した人物です。

今回の件など、ロス氏自身の仕事では
決してやらないようなことでしょう。

なぜ、そんな人物がトランプ大統領の下に就いた途端、
こんなみっともないことをやってしまったのか?

私には不思議で仕方ありません。

大型ハリケーン「ドリアン」の進路について、
トランプ大統領が気象当局と異なる予想をしたことから始まり、
このような大袈裟な事態に発展しています。

もはや「これが大統領のやることなのか?」と
言いたくなるレベルの話です。

米国では、主に民主党支持者で
反トランプ大統領の人たちが集まるサイトが
盛り上がっています。

トランプ大統領の顔写真などに、
シャーピー(マジックマーカー)で落書きをして、
トランプ大統領やその政策を揶揄するサイトです。

そのような流れもあり、
トランプ大統領の支持率も低下しています。

米紙ワシントン・ポストは10日、
トランプ大統領の支持率が38%で、
前回調査から6ポイント低下したとする
世論調査結果を発表しています。

中国との貿易戦争の結果も芳しくなく、
米国内の物価は高くなるのは確実ですから、
国民の警戒心も強くなっていると思います。

自分では何も理解していないのに、議会すら通さず、
勝手にツイッターで指示・命令を出す、という
強引すぎる物事の進め方にさすがに国民も
嫌気がさしてきたのでしょう。

全てのことを「ディール」として片付けようとする姿勢も、
大統領として相応しいものではありません。

本来、米国の大統領選挙は長期間に渡るため、
トランプ大統領ほど資質に問題がある人は
選ばれることはありません。

しかし、トランプ大統領は横車を押して、
ネットで情報操作を行い、
選挙戦を乗り切ってしまいました。

今では、そんな裏の事実も明らかになってきていて、
ここに来て、信用がガタ落ちして
急速に支持率が落ち込む結果となっています。

民主党側に魅力的な候補者がいないため、
トランプ大統領が再選される可能性もあると
言われていますが、私はそうはならないと見ています。

これだけ自分自身の意見も安定していない状態ですから、
さすがに息切れするのではないかと思います。

中国などはトランプ大統領が信用できないのは
しょうがないと諦めています。

次の大統領を待つしかないという態度です。



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※この記事は9月15日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はトランプ政権のニュースを大前が解説しました。

国家安全保障問題担当大統領補佐官の解任や
ハリケーンの誤った進路予想など、
トランプ大統領の迷走が続いています。

トランプ大統領の支持率はここに来て急速に落ち込んでおり、
大前は
「再選は難しいのではないか」
と述べています。

「何が何でも自分は悪くない」という姿勢は、
いくら情報を操作しても
周りの人々に伝わってしまうものです。

2019年09月13日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米中貿易/香港情勢/人民元相場
〜香港市民のアイデンティティは中国人ではなく香港人

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米中貿易 対中関税第4弾の正当性主張
香港情勢 「逃亡犯条例」改正案を正式撤回
人民元相場 中国、資金流出を警戒

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▼トランプ大統領は経済を引っ掻き回しているだけ
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米トランプ大統領は1日、
中国製品への制裁関税「第4弾」について、
「中国は自国通貨を切り下げているので、
実際は米国の関税を中国が払っている」と主張。

また「中国に対する高関税からの収入で
巨額のお金を手に入れている。
一部を農家に補助金として支給している」とし、
関税政策の正当性を主張しました。

関税を引き上げたことで
米国政府だけが丸儲けしている状態です。

トランプ大統領は「農家に補助金を」などと発言していますが、
選挙対策・アピールにすぎないでしょう。

トランプ大統領が行った関税政策は
ほとんど効き目を失ってきていて、
単に経済を引っ掻き回しているだけです。

それどころか、経済を理解していないトランプ大統領が、
五月雨に政策を実施し、経済に対して悪影響を与える
結果になっています。

さすがに、金融市場も「トランプ・リスク」を
明確に認識するようになってきていると感じます。

これから、米国では製造業も農業も、
さらに大変な状況を迎えることになると思います。



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▼香港市民のアイデンティティは中国人ではなく、香港人
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香港の林鄭月娥行政長官は4日、
「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回したと発表しました。

また林鄭氏は政府と市民の対話の枠組みや
社会問題を討議する専門家の委員会を作ることも表明しましたが、
デモ隊側は他にも「暴動認定の撤回」や「デモ参加者の釈放」など
5項目の要求を掲げており、収束は見通せない現状です。

これに先立って、林鄭氏とビジネスパーソンの
私的会合の録音データが出回りました。

その中で林鄭氏は、自分だけの意見ならすぐに辞任して
香港の人に謝罪する気持ちがあるが、
「香港と中国」の2つに仕える身として
自分には自由度がない、と語っています。

今回の林鄭氏の「逃亡犯条例」改正案撤回の背景には、
こうした事態を受けて中国政府が撤回許可を出した結果でしょう。

実際、欧州にいた中国の李克強首相も
それに類する発言をしています。

事態が膠着したままだと、
米国のトランプ大統領が貿易問題に絡めて
中国への交渉材料とする可能性があるので、
中国としてはそれを避けたいという思いもあるはずです。

すぐに「逃亡犯条例」改正案を撤回していればよかったのですが、
タイミングとしては遅かったと思います。

すでに1000人以上の人がデモ隊と衝突して
逮捕される事態も発生してしまい、林鄭氏の辞任を含め、
さらに4つの要求を突きつけられる結果になっているからです。

香港市民へのアイデンティティ認識調査の結果を見ると、
「私は香港人」という認識を持つ人が増加しています。

つまり、香港と中国は違うと考えている人たちです。

現在、一国二制度の下、香港は1997年から50年間は
資本主義の継続が認められていますが、
それ以降は中国1国に統一される予定です。

1997年からすでに22年経過し、あと28年。

今、20代の香港の若者は
40代で社会主義の中国に統一される状況を迎えます。

香港の若者がお金のあるうちに
国外に脱出しようと考えるのは、自然なことでしょう。

そんな人たちを台湾が受け入れる姿勢を見せていますが、
台湾も「ネクスト香港」になると考えている人も多いですし、
実際どうなるかはわかりません。

そういう意味では、国外脱出先としては
カナダやオーストラリアのほうが無難でしょう。

もしかすると、近いうちに
香港から大量に若者が出ていくかもしれません。

そうなれば、デモ隊は下火になりますが、
より本質的な問題が残されることになります。

そのような状況で、中国自体は元安によって、
資金が海外へ流出する恐れが出てきています。

日経新聞は先月30日、
「中国、資金流出を警戒」と題する記事を掲載しました。

中国政府は海外送金や外貨売却が多い銀行の
評価を引き下げる新たな規制を導入しました。

米中貿易戦争が長期化するなか、
人民元相場では8月に1ドル=7元を突破し
11年ぶりとなる安値となったことを受けたものです。

現段階で、当局はこの水準を容認しているものの、
元安に歯止めがかからない状況は回避したい考えです。

安くなる前に人民元を外貨に替える人が続出するでしょう。

外貨で保有していれば、外国で運用することもできますし、
将来海外に高飛びするときの資金としても活用できます。



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※この記事は9月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、香港情勢について大前が解説しました。

大前は
「近いうちに香港から大量に若者が出ていくかもしれない」
と述べています。

現在起きていることを考察することで、
次に何が起きるのか、ある程度合理的に
予測することができます。

未来は全く分からないという態度ではなく、
将来はこうなるのではないかと複数の選択肢をつくり
中長期的な視点をもって最善の一手を見極めることが大切です。

2019年09月06日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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原子力政策/原発事業〜原子炉開発は9電力とメーカーがすべて一緒にやるべき

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原子力政策 2019年の再稼働はゼロ
原発事業 原発共同事業化で提携へ

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▼高速増殖炉の開発が中止になると、日本がプルトニウムを抱える理由がなくなる
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日経新聞が報じたところによると、
2019年の国内原発再稼働数はゼロになる見通しが
明らかになったとのことです。

再稼働の審査に合格しても、地元の同意を得るための調整や
テロ対策などの工事に時間がかかっているもので、
温暖化対策やエネルギー戦略にも影響を及ぼしかねない状況です。

新たに再稼働できる見通しがたたないというだけでなく、
原子力規制委員会のテロ対策への対応などで、
すでに稼働済みの4基が停止するということですから、
非常に影響は大きいと思います。

かつて、日本の総発電量の約30%が原子力発電でしたが、
今では10%を割り込み、
来年はさらに半減する見通しになっています。

このような状況で日本にとって追い打ちをかけているのが、
フランスが日本と共同研究を進めていた高速炉実証炉
「アストリッド(ASTRID)」の開発中止を発表したことです。

高速増殖炉もんじゅの廃炉が決まり、
国内で高速増殖炉を稼働させることはできない日本にとって、
フランスとの共同プロジェクトは重要な意味を持っていました。

高速増殖炉のプロジェクトに関わっているという理由があれば、
日本は国内にプルトニウムを保有・保存する
大義名分が成り立ちます。

これは日本にとってメリットが大きく、
経産省の狙いもここにあったと私は見ています。

フランスがプロジェクトを中止した今、
日本がプルトニウムを抱える理由がないため、
大量のプルトニウムを保有していれば、
何かしらの疑念を抱かせることになってしまうでしょう。

これは、日本にとっては非常に厳しい状況です。

高速増殖炉のプロジェクトを中止とするという、
今回のフランスの原子力・代替エネルギー庁の発表は
的を射たものでした。

それは、今世界的にはプルトニウムが余っているのだから、
その技術は温存するにしても、今すぐに資金を投じて
無理にプロジェクトを進める必要はない、というものです。

使用した燃料以上の燃料を生み出すことができる
夢の原子炉と言われる高速増殖炉とは言え、これは正論です。

日本がこの意見をひっくり返すことは難しいと思います。

原子炉が停止していくと、
まず二酸化炭素排出量への影響が懸念されます。

近年、二酸化炭素排出量は大きく伸びることなく横ばい状態ですが、
この先はどうなるのか注意したいところです。

また、原子炉以外の発電になると、
鉱物性燃料すなわち化石燃料を輸入する必要が出てきます。

これは輸入の増加と貿易不均衡を招きますが、
もはやこの道を避けることはできないでしょう。



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▼原子炉開発には、9電力とメーカーがすべて一緒にやるべき
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東京電力ホールディングス、中部電力、
日立製作所、東芝は先月28日、
原子力発電事業の共同事業化に向けた基本合意書を
結んだと発表しました。

「原発の建設や運営、保守、廃炉を
効率的に実施する体制の構築」を目指す方針で、
共同出資会社の設立も検討するとのことです。

私は東日本大震災が発生した当時から、
今後日本で原子炉の開発を進めていくなら、
日本にある9つの電力会社がすべて一緒にやるべきだと
主張してきました。

そして電力会社だけでなく、
日立、東芝、三菱などのメーカーも共同で取り組むべきだと。

特に、輸出産業として維持したいのであれば、
このくらいの体制を整えられなければ無理だと思います。

正直言って、東京電力、中部電力、
日立、東芝が手を組むくらいでは、効果は薄いでしょう。

福島第一原発事故において
東京電力の対応は世界中から非難を浴びました。

しかし、東京電力のエンジニアスキル、
オペレーションレベルは日本では随一であり、
東京電力だったからあの事故は何とか収束したとも言えます。

もし、他の電力会社だったら
もっとひどいことになっていたと私は思います。

電力会社もメーカーもすべて一緒にやるべきです。

今はどのメーカーも沸騰水型炉(BWR)と
加圧水型炉(PWR)のいずれも開発していますし、
メーカーが一緒にやるメリットは大きいと思います。

また、今の原子炉は輸出した場合、
オペレーションも同時に依頼されますから、
メーカーだけでなく電力会社も一緒にやるメリットも
大きいはずです。

フランスは政府主導で
1つの原子力開発体制を確立しましたが、
それでもまだ頼りないと感じるところがあります。

今から振り返ってみると、
日本では9電力それぞれに任せていたというのは、
とんでもないことだと感じます。



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※この記事は9月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は原発事業のニュースを大前が解説しました。

大前は
「今後日本で原子炉の開発を進めていくなら、
日本にある9つの電力会社とメーカーがすべて一緒にやるべき」
と述べています。

問題を解決する際には、
最終目標をしっかり見据えたうえで
誰が主体となって取り組むのか
「主語」を意識することが大切です。

大きな問題に取り組む時こそ、
意識する必要があります。

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