2015年02月16日(月)09:30
|
┌───────今日の注目の人─────────┐
「将らず、迎えず、応じて而して蔵めず」
牛尾治朗(ウシオ電機会長)
※『致知』2015年3月号 連載「巻頭の言葉」より
└───────────────────────┘
日本がいま直面している変化は、 かつて経験したことがないほど大きなものといえます。
この変化によって日本が今後どうなっていくかを 見通すことは至難の業です。
いまリーダーに求められるのは、 この困難な状況を前向きに捉え、 チャレンジする姿勢を堅持し続ける以外にありません。
『荘子』に、
「将(おく)らず、迎えず、 応じて而(しか)して蔵(おさ)めず」
という言葉があります。
過去を追わず、将来に取り越し苦労をせず、 その時機に応じて適切な措置を取り、 その結果は淡々と受け止めて心に留めない指導力です。
過去に囚われ、将来を憂えているばかりでは 事態は好転しません。
当面の変化にはその都度的確に対応し、 しかもいつまでもそこに留まることなく、 速やかに次に備える。
要は各々が基本に立ち返り、淡々と、着実に、 為すべきことを実行していくことこそが、 いまは一番大事だと私は考えます。
試練に見舞われているのは、日本ばかりではなく、 世界の他の国々も同様です。
数年前には、世界経済の約50%を握っている日米欧が、 間もなくBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ) などの新興国に駆逐されるだろうと盛んに言われていました。
ところがこれらの国々もインフレで軒並み成長が鈍化し、 新世紀の世界秩序はいまだ混沌の中にあります。
いまはすべての国、すべての分野に 明るいチャンスがある一方で、 一歩間違えれば奈落の底に転落する危険性も 孕んでいるという状況です。
ここから活路を見出していくには、 やはり、
「将らず、迎えず、応じて而して蔵めず」
というプロフェッショナルな対応力を、 現実の場でどれだけ実践できるかが 大きな鍵を握ることになるでしょう。
基本を疎かにせず、どのような状況にも きちんと対応し続けること。
また、その力をしっかりと養うこと。
このことによって道は必ず開けてくるはずです。 | | |