2019年01月11日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米中関係/中国ファーウェイ問題/中国サイバースパイ/中国外資規制〜米中新冷戦の幕開けが日本に及ぼす影響は?

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米中関係 新冷戦に備えはあるか
中国ファーウェイ問題 中国政府がカナダ人13人拘束
中国サイバースパイ 「APT10」、暗躍の背景は
中国外資規制 外商投資法案の審議開始

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▼米中新冷戦の幕開けが日本に及ぼす影響は?
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日経新聞は先月24日、「新冷戦に備えはあるか」
と題する記事を掲載しました。これは米国が
5Gインフラの整備から中国のファーウェイを排除するなど
米国と中国が新たな冷戦に突入したと紹介。
こうした中、日本政府にとって重要なのは、
日本企業が誤って米国の規制を受けないよう情報提供することや
日米防衛産業の秘密保持を徹底することなどとする
専門家の見方を紹介しています。

この新冷戦の幕開けは、ペンス副大統領が
ハドソン研究所で行ったスピーチでした。
このスピーチは米中冷戦の宣戦布告と言っても過言ではない内容で、
米国で最も中国嫌い・台湾好きな
ピーター・ナバロ大統領補佐官の戦略を
下敷きにしたものでした。

ペンス副大統領のスピーチは、かつて英国チャーチル元首相が、
「鉄のカーテン」と称してソ連を批判して押し込んだのと
同じような影響があるとも言われています。

今後日本企業としては、不用意に中国企業と協業するだけでも要注意です。
日本企業経由で何かしらの米国の情報などが盗まれて中国側に渡った、
ということがあれば日本企業が米国から制裁を受ける立場になるからです。

かつての「東芝機械ココム違反事件」では、
日本から輸出された工作機械の取引が
対共産圏輸出統制委員会(ココム)の協定に違反している
として大問題に発展しました。同様のことが今後は、
「日米中」の間で起こる可能性があるということです。

世間を騒がせているファーウェイ問題は
顕在化したごく一部に過ぎず、
他にも潜在的に問題に発展する要素はたくさんあります。
日本としては常に注意する必要があると思います。

そのファーウェイ問題では
カナダが非常に困った立場に追い込まれています。

カナダ政府は3日、中国ファーウェイの孟晩舟副会長を
米国の要請に基づいて逮捕した昨年12月以降、
13人のカナダ人が中国当局に拘束されたと明らかにしました。
このうち少なくとも8人は解放されたとのことですが、
これに対して中国外務省は4日の会見で、
「提供できる情報はない」として明言を避けています。

こうした報復措置は中国の常套手段です。
日本バッシングが旺盛だった頃は、
日本企業の従業員が工事をしていただけで、
不審な測量をしているとして逮捕されたこともあります。
今現在の中国の報復対象はカナダと米国ですが、
今後はどこまで発展するのかはわかりません。

カナダとしては米国に依頼されたので逮捕したものの、
ここまで大きな問題になるなら手を引けば良かった
と思っているでしょう。とは言え、
米国に逆らうのも問題ですし、
中国も怖いし非常に困っていると思います。

まさに、今は米中の冷戦の入り口であり、
ここから始まっていくことになるでしょう。



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▼中国の監視の目は世界各国よりも、国内に向いている
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日経新聞は先月28日、
「中国サイバースパイ集団「APT10」、暗躍の背景は」
と題する記事を掲載しています。
これは米国司法省が先月20日起訴した中国人2人を
「APT10」のメンバーと断定し、
サイバー攻撃に関与したとして訴追したと紹介。
この集団の活動は、遅くとも2009年から確認されており、
各国の機密情報や先端技術を狙い、
これまで日本を含む12カ国が被害を受けたとのことです。

中国人2名が指名手配となり、FBIによって顔と名前、
簡単なプロフィールなどが公表されています。
これに対して、現在のところ中国側は無視しています。

実際のところ、中国政府とこのサイバースパイ集団の関わりは不明です。
中国政府がお尻を叩いて支援していたのか、
あるいはその情報を中国政府が活用していたのか、
判明していません。

ただし、1つ確実なのは中国政府の監視の目は
「外側」よりも「内側」に向いているということでしょう。
中国政府・共産党が最も恐れているのは、国内の暴動や扇動です。
共産党政府が崩壊するとしたら、国民が立ち上がったときです。
ゆえに中国政府は世界よりも、国内の監視に意識を向けています。
実際に予算上も、外側を監視する予算よりも
内部を締め付ける公安予算のほうが大きいと言われています。

日本も被害をうけたものの、その対応は呑気に過ぎます。
防衛予算の中で、サイバー防衛隊を150人から220人へ拡充する
とのことですが、少なすぎると思います。
北朝鮮でさえ、同様の部隊に3000人規模の人数を割り当てています。
電力システム、政府系システム、我々国民のクレジット情報のシステムなど、
国として守るべき重要なシステムがたくさんあります。
防衛省はもっと予算を要求して、しっかり整備してほしいところです。



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▼米トランプ大統領の圧力の成果!?
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中国の全国人民代表大会常務委員会は先月23日、
外資投資を保護する外商投資法案の審議を開始しました。
これは外資の技術を行政手段で強制的に
移転することを禁じることなどを盛り込んだもので、
2019年3月1日までの対中協議で米国が技術移転強制の改善を
強く求めていることを受けたものと見られています。

「今さら何を言ってるんだ!?」というのが率直な感想です。
自動車メーカーなどが中国に進出するときには
中国企業との合弁じゃなければ認めないなど、
今までの方針は何だったのでしょうか。

中国がWTOに加盟したときから、
この方針を貫いていれば良かったですが、
今になって言われても遅すぎます。
なぜ中国が今になって方針を転換したのかと思うと、
この点においてはトランプ大統領の圧力が
効果的だったのかも知れません。



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※この記事は1月6日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、米中関係の話題を中心にお届けいたしました。

米国と中国が新たな冷戦に突入しようとしています。

この話題に対して大前は、ファーウェイ問題は
顕在化したごく一部に過ぎず、他にも潜在的に問題に
発展する要素はたくさんあるため、日本としては
常に注意する必要があると言及しています。

大前の指摘のように、日本や日本企業もかじ取りを誤れば
かつての「東芝機械ココム違反事件」のように
自らの首を絞める事態に直面しかねません。

このような環境の中、重要なことは、
世界中で起きていることや、起こりそうなことに注意を払い、
環境変化を迅速に認識し、変化に適応することです。

情報感度を常に高く持ち、
環境の変化や事業活動に影響を与える要因を探ることで、
将来の環境に基づいて戦略を立案することができます。

2019年01月04日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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2018年の人気記事をピックアップ〜日産自動車/日ロ関係/米中ロ関係

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日産自動車 逮捕のゴーン会長を解任
日ロ関係 一切の前提条件設けず日ロ平和条約締結を提案
米中ロ関係 プーチン氏、打算の中国接近

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▼ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方
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※KON754(18/11/30)で解説した記事を一部抜粋し編集しています。

東京地検特捜部は12月21日、
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長を
会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕しました。

国内の各メディアによると、ゴーン前会長は2008年10月ごろ、
自身の資産管理会社による投資で生じた
約18億5000万円の損失を負担する義務を
日産側に負わせた疑いで、同容疑者の逮捕は3度目。
関係者によると、「日産に損害を与えていない」
などと容疑を否認しているといいます。

ゴーン前会長と同社のグレッグ・ケリー前代表取締役は11月19日、
金融商品取引法違反容疑で特捜部に逮捕され、
12月10日に同法違反の罪で起訴。

また、特捜部は12月10日、同法違反の容疑で
ゴーン前会長とケリー元代表取締役を再逮捕し、
勾留期限だった12月20日に勾留延長を請求したが、
東京地裁は同日、12月21日以降の勾留延長を
認めない決定を行っていました。

今回の逮捕劇で、「ゴーン氏が悪い」というのは
すでに「過去形」で語られることであり、
今後の重要事項ではありません。
この問題はもっと色々な角度から見ることが必要です。

特に重要なのは、日産がルノーに対して
どのような「交渉」ができるか、ということです。
現状、ルノーは日産の大株主であり、
株式の43.7%(2018年9月30日現在。四半期報告書)
を保有していて圧倒的な主導権を持っています。
取締役会に役員も送り込んでいますし、
帳簿閲覧権も持っています。

私が日産側に立って交渉するなら、
まずルノーに大株主としての監督責任を強く追及します。
さらには、ゴーン氏はルノーが送り込んだ役員の一人ですから、
その点も強調して交渉に臨むでしょう。

そして同時に、昨年までの予定だった
ゴーン氏のルノーにおける任期が
2022年まで延びた理由も追及します。
マクロン仏大統領と会ってから、
急にゴーン氏の任期が2022年まで延びて、明らかに
ゴーン氏の態度がフランス政府寄りに傾き始めました。
昨年の5月に私が週刊ポストに寄稿した記事でも書きましたが、
ゴーン氏とマクロン大統領の間に何かしらの
「密約」があったのではないかと私は見ています。
ズバリ言えば、その内容はルノーによる
日産の完全統合だと思います。

マクロン大統領は、かつて経済・産業・デジタル大臣だった頃から
フランスに世界一の自動車メーカーを誕生させたい
と考えている人物です。ドイツ、日本、米国、
そして将来的には中国にも世界一の覇権を争う
自動車メーカーが存在します。これまでのフランスでは
その争いに参加することは難しい状況でしたが、
ルノー・日産・三菱連合となり、
それが視野に入ってきた今、マクロン大統領としては
長年の夢を実現させるべく動いていると思います。

これまでにもゴーン氏はフランス政府からルノーによる
日産の完全統合の打診は受けていたはずですが、
ずっとそれを拒否してきました。ところが、
昨年になって自分の人事と引き換えに
それを受け入れた可能性があります。

日産側はこの点を理解した上で交渉に臨まないと、
フランス政府・ルノー側の思うままに
完全統合されてしまうかもしれません。

この問題について世耕経済産業相も何やら発言していますが、
日産は政治家や役人の動きには特に注意すべきでしょう。
1980年代に東芝の子会社でもなく、独立した上場会社であった
東芝機械が不祥事を起こしたことがあります。
本来、東芝が責任を問われる必要はありませんでしたが、
当時の通産省は米国に媚を売って東芝の会長と
社長の首を差し出すような真似をしました。
政治家・役人というのは、こういうことをやりかねないのです。

こうした背景も理解しつつ、
日産は完全統合される道を避けるために、
どのような交渉のシナリオを描くのか?
非常に重要であり、かつ極めて難しい交渉が予想されます。

では、日産はどのような交渉を持ちかけるべきか?

今現在、ゴーン氏は日産の会長職と代表取締役を解任され、
ここまでは日産の取締役会の決議で可能でしたが、
取締役も解任するとなれば株主総会の決議が必要で、
臨時株主総会を招集しなければいけません。

株主総会の決議となったときに厄介なのは、
ルノーの持株比率です。ルノーは日産株の
43.7%を保有しています。過半数を超えるためには、
通常は株主総会を開いて委任状争奪戦
(プロキシーファイト)になりますが、今回の場合、
ルノーは43.7%でも過半数になれる可能性があります。

というのは、日産ほどの大企業になると
全発行株式を集めるのは難しいので、
かき集めたとしても80%程度になります。
そうなると、ルノーの持ち分43.7%で
過半数ということになってしまいます。
ルノーの賛成を得られなければ、
日産はゴーン氏もケリー氏も取締役を解任することはできません。

日産がこのシナリオを防ぐためには、
ルノーの株式を買い増し、ルノーの日産への
議決権を停止させることが必要でしょう。

また、ルノー側がゴーン氏とケリー氏の解任動議に
賛成したとしても、安心はできません。
代わりに新たにルノーから2人の取締役が送り込まれたら、
元の木阿弥だからです。日産側としては、
ルノーからの取締役は1人までにしてもらい、
代わりに会長職を渡すなどの交渉が必要でしょう。

そうなると、ルノー側から派遣する取締役の人数が減って、
日産によるルノー株の買い増しを
取締役会で決議されるかも知れません。
ルノーとしてはそのような事態を避けたいはずですから、
事前にそれだけは認めない契約を締結するように
求めてくる可能性があります。

私がルノー側の人間ならば、
日産の取締役会でマイノリティになるような事態は
何が何でも避けるように動きます。
逆に日産側の人間ならば、日産に対する完全子会社化をしない
という契約を取り付けるように動くでしょう。
それができないなら、今回の責任を大株主であるルノーに問い、
国際的な場で「争う」姿勢を見せます。
ルノーが送り込んだゴーン氏がどれだけ悪さをして、
日産の株主に被害を及ぼしたのかを交渉材料にするでしょう。

責任問題という意味では、ルノーから日産側の監督責任を
問われる可能性も十分にあります。そうなると、
西川社長も無傷ではいられないと思います。
そこまで見据えて、シナリオを描いて交渉していく必要があります。
繰り返しになりますが、これは非常に難易度が高い交渉になると思います。



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▼北方4島について、日本政府はずっと国民を騙している
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※KON744(18/9/12)、KON753 (18/11/23)で解説した記事を一部抜粋し編集しています。

ロシアのプーチン大統領は2018年9月、安倍首相に対して、
一切の前提条件を設けずに2018年末までに
日ロ平和条約を締結するよう提案しました。
これは安倍首相が平和条約や領土問題の解決について
「アプローチを変えなければならない」と述べたのに対し、
プーチン大統領が賛同したもので、
まず平和条約を締結した上で
友人同士として意見の隔たりがある問題について
解決していこうというものです。

このプーチン大統領の提案について、日本のマスコミは
「なぜ安倍首相は反論しないのか?」と指摘していますが、
安倍首相としては「真実」を理解しているだけに
歯がゆい思いをしていることでしょう。
河野外相は日本とロシアの北方領土に関する真実について、
どこまで理解しているのかわかりませんが、
安倍首相はプーチン大統領との20回を超える
ミーティングなどを通して理解しているはずです。

日本の方針は
「北方4島の返還を前提にして平和条約を締結すること」
であり、これは以前からずっと変わらないもの。
菅官房長官などもこの趣旨の発言をしていますが、
そもそもこの認識が間違いであり、
日本政府がずっと隠してきている「嘘」なのです。

ロシア側の認識は
「北方4島は第二次大戦の結果、ソ連に与えられたもの」であり、
日本は敗戦国としてその条件を受け入れたわけだから、
固有の領土かどうかは関係がない、というもの。
ラブロフ外相もプーチン大統領も、
このような見解を示しています。
そして、このロシア側の主張が「真実」です。

終戦時にソ連と米国の間で交わされた
電報のやり取りが残っています。
ソ連のスターリンが北海道の北半分を
求めたのに対して、米国側は反発。
代わりに北方4島などをソ連が領有することを認めました。

この詳細は拙著「ロシア・ショック」の中でも紹介していますが、
長谷川毅氏の「暗闘」という本に書かれています。
米国の図書館などにある精密な情報を研究した本で、
先ほどの電報などをもとに当時の真実を
見事に浮かび上がらせています。

すなわち、北海道の分割を嫌い、
北方4島をソ連に渡したのは米国なのです。
今でもロシア(ソ連)を悪者のように糾弾する人もいますが、
犯人は米国ですからロシアを非難すること自体がお門違いです。

さらに言えば、日本が「北方4島の返還を前提」
に固執するようになったのも、米国に原因があります。
1956年鳩山内閣の頃、重光外相がダレス国務長官と会合した際、
日本はソ連に対して「2島の返還を前提」
に友好条約を締結したいと告げました。
しかし、ダレス国務長官がこれを受け入れず、
「(ソ連に対して)4島の返還」を求めない限り、
沖縄を返還しないと条件を突きつけました。

つまり、米国は沖縄の返還を条件にしつつ、
日本とソ連を仲違いさせようとしたのでしょう。
この1956年以降、日本では「北方4島の返還」が前提になり、
それなくしてロシア(ソ連)との平和条約の締結はない、
という考え方が一般的になりました。
1956年までの戦後10年間においては「4島の返還」
を絶対条件とする論調ではありませんでしたが、
この時を境にして一気に変わりました。

プーチン大統領の提案に対して、
マスコミも識者も随分と叩いているようですが、
1956年以降日本の外務省を中心に
政府がずっと国民に嘘をついてきた結果、
真実を理解せずに批判している人がほとんどでしょう。
プーチン大統領の提案は理にかなっています。
日本政府の「嘘」を前提にするのではなく、
とにかくまず平和条約を締結することから
始めようということです。

プーチン大統領の提案通り、まず平和条約を締結すれば、
おそらく「2島の返還」はすぐに実現すると思います。
残りの2島については、折り合いがつくときに返還してもらう、
というくらいで考えればいいでしょう。
相手がプーチン大統領であれば、
このように事を運ぶことはできるでしょうが、
別の人間になったら「1島」も返還されない可能性も大いにあります。

今、安倍首相は「とぼけた」態度を貫いています。
真実を理解しながらも、周りにはそれを知らず
理解していない人も多いでしょうし、
長い間日本を支配してきた自民党が国民に嘘をついていた
という事実をどう説明するか、
など悩ましい状況にあるのだと思います。

安倍首相に期待したいのは、
ロシアに対して経済協力などを続けながら、
とにかくいち早くロシアとの平和条約を締結して欲しい、
ということです。
それが実現できれば、安倍首相にとって
最大のレガシーになると私は思います。

北方4島の全てが返還されなくても、
それによってどれほどマスコミから叩かれても、
安倍首相とプーチン大統領の間で、
平和条約の締結を実現すべきです。
菅官房長官などは知ったかぶりをして、
4島返還について日本政府の方針に変わりはない
などと発言していますが、全く気にする必要はありません。

プーチン大統領の「どちらの主権になるかは明記されていない」
という発言は、日本に対する嫌がらせではなく、
日米安保条約の対象になるか否かを見据えたものです。
返還された島の主権が日本になると、
当然のことながら日米安保条約の対象になり、
米軍基地が置かれる可能性が出てきます。
そうなるとロシア国民に納得してもらえませんから、
プーチン大統領は困ります。

一方、北方4島は日米安保条約の「対象にならない」とすると、
今度は米国が許容できないはずです。
中国との尖閣諸島問題では日米安保条約の対象として
米国に庇護を求めていますから、
北方4島は対象外というのは虫が良すぎるということになります。

ロシアと米国のどちらも納得できる理屈が必要です。
例えば、沖縄返還と同様に「民政」のみ返還し、
「軍政」は返還しないという方法です。
この形であれば、米軍基地が置かれることはなく
プーチン大統領も国民に説明できるでしょう。
ただ、現実的に島民のほとんどがロシア人なのに民政だけ返還されても、
ほとんど意味がないという意見もあります。
いずれにせよ、北方4島の返還にあたっては、
日米安保条約の対象にならないような
プロセスや理屈が絶対に必要になってくると思います。

プーチン大統領の次を誰が担うのかわかりませんが、
仮にメドベージェフ氏が大統領になれば、
2島返還ですら絶対に容認しないでしょう。
プーチン大統領が在任中にまず平和条約を締結することは、
極めて重要だと私は思います。

というのも、中国がロシアに接近しつつあるので、
ロシアにとって日本の必要性が低下し、
このままだと日本にとってさらに厳しい状況になるからです。
東方経済フォーラムを見ていても、
プーチン大統領と中国は明らかに接近したと私は感じました。

中国は巨大な人口を抱える東北三省の経済状況がよろしくありません。
その対策として、極東ロシアへの投資に向けて動いています。
中国とロシアの国境を流れる黒竜江(アムール川)をまたいで、
現在両国を結ぶ橋を建設しています。
中国側とロシア側でそれぞれ資金を出し合っていて、
橋の建設には中国の技術が活用されています。

中国とロシア間の動きが活発化し、
中国から極東ロシアへの投資が拡大すると、
その貢献度はかなり大きなものになります。

日本も目を覚まさないと、全て中国に持っていかれてしまいます。
少なくともプーチン大統領は内心では親日派なので、
今のうちに早く動くべきです。
最後にもう1度述べておきます。安倍首相には、
どんな批判を受けても悪役になろうとも、
何が何でもロシアとの平和条約の締結を
実現させて欲しい、と思います。



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※この記事は2018年のクリックアンケートで反響が大きかった号をピックアップし編集しています




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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、2018年の人気記事をお届けいたしました。

今回ピックアップした記事以外でも、
世界の注目ニュースでは、「米朝首脳会談」
「北朝鮮情勢」「日韓関係」など朝鮮半島情勢の話題、
「Facebook」の個人情報流出問題に関する
解説などが人気記事でした。

また、国内の注目ニュースでは、
「働き方改革」「外国人労働者」の話題、
「トヨタ自動車」「信越化学工業」や
「沖縄県知事選」の話題が人気記事となりました。

大前は、1日500本、1週間3500本のニュースをチェックし、
国内外のメディアを通じて常に新しい情報や知識をインプットしながら、
いま世界で何が起きているのかを分析しています。

業績の好調な企業は何をやっているのか?
優れた経営者というのはどのように意思決定し、
その人たちはどんな特徴を持っているのか?など、
自分なりに考えたり推測したりすることで、
情報感性や読み筋を鍛えることができます。

2018年12月28日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米中貿易戦争/中国諜報活動/台湾・鴻海精密工業〜ファーウェイが諜報活動に与せず、グローバル化する唯一の方法とは?

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米中貿易戦争 米中摩擦、衣料大国に恩恵
中国諜報活動 中国「国家情報法」、米に衝撃
台湾・鴻海精密工業 中国に最新鋭半導体工場新設へ

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▼電子部品などの製造は簡単に中国からバングラデシュなどに移せない
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日経新聞は13日、「米中摩擦、衣料大国に恩恵」
と題する記事を掲載しました。
世界のアパレル各社が中国から周辺国に
生産拠点を移す動きが加速しています。
昨今の人件費の高騰に加え、
米国が中国の通信会社に課した制裁が
各社の工場移転を後押ししており、
バングラデシュ、ベトナムの衣料品輸出のシェアが
急拡大しているとのことです。

と言っても、基本的に急拡大しているのは衣料関係のみで、
その他への広がりは期待できないと思います。
衣料関係の業務はミシンをかけるような労働集約型で、
このような業務については、バングラデシュ、ベトナム、
ミャンマー、最近ではエチオピアにも中国企業が進出しています。

しかし、部品を組み立てるような業務、
特に発注から出荷までの時間(ターンアラウンド)が
短い電子製品などになると、バングラデシュや
ミャンマーなどでは技術的に対応できないと思います。
加えて港湾施設の処理能力が中国ほど高いわけではありません。
中国は大連を皮切りに上海や深センに港湾施設を建設しましたが、
同じようなものを用意することはできないでしょう。

実際バングラデシュの輸出品目を見れば、
織物とニットが圧倒的に多くなっています。
日本も途上国のときには、絹織物など労働集約型のものが中心でした。
最初の日米貿易戦争は、日米繊維交渉だったのも、
その事実を物語っています。

中国は米国と激しい貿易戦争を繰り広げている中、
「中国製造2025」という目標を明文化し、
火に油を注いでいるような印象を受ける人もいるかも知れません。
しかし私に言わせれば、大半の経営者は数字目標を掲げるものであり、
それ自体は問題ではありません。

問題は、目標が現実に着実に進んでいることです。
時価総額が高い企業が続々と現れ、AI技術も発達し、
米国の予想をはるかに上回るスピードで成長しています。
この中国の成長そのものが米国の反感を買っているのだと思います。



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▼ファーウェイが諜報活動に与せず、グローバル化する唯一の方法とは?
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日経新聞は20日、『中国「国家情報法」米に衝撃』
と題する記事を掲載しました。
米国がファーウェイ製品などの締め出しを強化する背景には
2017年中国で施行された「国家情報法」に絡む危機感があります。
この法律には「いかなる組織及び個人も、
国の情報活動に協力する義務を有する」と明記されており、
通信機器などのハード面と人的情報活動の脅威に対し、
米国は中国への警戒をかつてないほど強めているとのことです。

ZTEやファーウェイの問題も絡んでいることですが、
そもそもこれは中国国内で実施されていることです。
中国では中国共産党が、国内の企業や反政府勢力の
台頭を抑えるために、国内の電子機器やサーバーから
直接データを取得できるようになっています。
ファーウェイなどがそのような施設を作り、
政府による諜報活動を可能とする
「仕組み」を提供しているということです。

こういう企業がグローバル化してしまうと、
「その仕組み」もそのまま世界に展開されてしまいます。
これを防ぐのは非常に難しいでしょう。
ファーウェイは非常に能力が高い企業ですが、
それでも一筋縄ではいきません。

もしファーウェイがグローバル化しようとするなら、
国内部門はZTEと合併し、残った部分をファーウェイグローバルとして、
ボードメンバーをグローバル化すること
(中国人だけにしないこと)が必須だと私は思います。

なお、中国政府が施行する「国家情報法」に対して米国は
「衝撃」を受けたとありますが、そんなはずはありません。
米国にしても、中国に負けず劣らず
同じようなことをやっているはずです。
サーバーも監視しているでしょうし、
エシュロンという仕組みもあります。
米国内ではテロ対策として常時監視は当たり前のはずです。

米国がやるのはいいが中国はダメ、
というのもおかしな話で、米国も中国も
どっちもどっちだと思います。



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▼鴻海が新設する巨大な半導体工場
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台湾・鴻海精密工業は、広東省の珠海市に
大規模な半導体工場を新設する見通しが明らかになりました。
新工場には子会社のシャープが持つ
半導体技術を活用すると見られ、
総事業費は1兆円規模にのぼる見通しです。

補助金や税金の減免などを通じて、
大半を珠海市政府などが負担する方向で協議しているそうで、
かなり巨大な工場になると思います。
珠海市は上海市と橋でつながり、
製造関連が活発化しているので今後も楽しみな地域です。

鴻海はTSMCやサムソンからも膨大な量の半導体を購入しています。
そんな中、シャープは鴻海グループの中で
唯一半導体を製造していたので、
このプロジェクトの声がかかったのでしょう。
鴻海が上手くシャープを立ててあげた形です。




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※この記事は12月23日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、米中貿易戦争の話題を中心にお届けいたしました。

中国は米国と激しい貿易戦争を繰り広げています。

この話題に対して大前は、問題は、
「中国製造2025」という目標を明文化したことではなく、
米国の予想をはるかに上回るスピードで成長し、
中国の成長そのものが米国の反感を買っている
と記事中で言及しています。

米中対立の激しさが増す中、日本や日本企業も
かじ取りを誤れば自らの首を絞める事態に直面しかねません。

このような不確実な状況では、
PEST分析のようなマクロ環境分析を行い、
大局観を掴むことが大切となってきます。

環境の変化や事業活動に影響を与える要因を探り、
現在の環境とともに将来の環境に基づいて
戦略を立案することが重要となってきます。

2018年12月21日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日欧貿易/憲法改正/税制改正/国内景気〜関税を下げても経済効果は期待できない

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日欧貿易 日欧EPAを承認
憲法改正 自民党の憲法形成案提示見送り
税制改正 2019年度税制改正大綱を決定
国内景気 景気回復が「いざなぎ景気」超え

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▼日欧EPAのインパクトは極めて小さい
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欧州議会は12日、仏ストラスブールで開いた本会議で、
日本とEUの経済連携協定(EPA)を賛成多数で承認しました。

日本は8日に国会承認を済ませており、
これにより日欧EPAは2019年2月1日の発効が固まりました。

この日欧EPAには、トランプ米大統領への対抗心もあって
欧州側も大いに喜んでいています。

欧州と日本を合わせると世界第2位の経済圏となり、
世界の自由貿易の4割に達するということで、
大きな影響を期待させる報道もあります。

しかし私は、この日欧EPAはそれほど大きな効果は期待できないと思います。

たしかに日欧EPAの対象で関税が低くなるものはありますが、
関税率などたかが知れています。

例えば20ユーロのワインの関税は、270円前後といったところです。
ところが、このワインが日本国内に流通するときには、
7〜8倍の価格に跳ね上がります。

これは、関税のせいではなく、独占的な輸入商社が価格を上乗せしているからです。

つまり本質的な問題は、特定の輸入商社に輸入業の独占を許していることです。
私が好きなルーチェというワインなど、現地にて19ユーロで売っているものが
あるECサイトでは18,000円ほどの値段になっています。
さらにそれが、高級レストランでは値段が上がって6万円程度になります。

その一方、港区のあるインターナショナルスーパーマーケットでは、
ワインなどのお酒の値段はかなり安くなっています。
これは、独占的な輸入商社を介さずに直接仕入れを行っているからです。

せっかく関税も下がるのなら、このお店のように、現地価格に輸送費を加えて
多少の利益を上乗せする程度で提供して欲しいものだと思います。
問題は関税ではないのです。


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▼日本の国会議員は、憲法改正をゼロから構想できるレベルではない
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臨時国会会期末の10日、衆議院で憲法審査会が開かれましたが、
安倍首相が意欲を示してきた「自衛隊の明記」などを含む
自民党の憲法改正案の提示は見送られました。

先月の憲法審査会で、与党側が合意を得ないまま開催を強行したとして、
野党側が反発したことを受けたものです。
国民投票法改正案の審議も再び次の国会に持ち越しとなりました。

自民党案を見ても反対している野党を見ても、何とレベルが低いことかと思います。
私は「平成維新」という本で今から約30年まえに、
「ゼロベースで憲法を構想するなら、こうすべきだ」というのを示しました。

憲法の議論をするなら、自分がゼロベースで構想を練ることが
できるくらいでなければお話にならない、と私は思います。

今回、安倍首相が指摘している憲法改正の4項目など、誤文訂正のレベルに過ぎません。

その上、それに反対している野党側も、手続き上の問題を指摘するくらいで、
どちらにしても全く憲法に対する構想を示すことができていません。

「自分たちなら憲法をこうする」という提案があるべきです。

このような状況では、今後憲法改正が俎上に載ってくることはないでしょう。
強引に進めることも可能ですが、最終的に国民投票で否決されるのがオチです。

おそらく能力的な問題として、今の日本の国会議員に任せることが無理なのだと思います。

憲法改正を実現できる方法があるとすれば、オンブズマンを作って原案を提出させ、
その原案を与党と野党が国会で審議・検討し、
そして最終的に国民投票にかける、という方法でしょう。

一度、オンブズマンに戻して原案を提出してもらわないと、
まともな議論が始まらないと思います。


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▼政府がすべきなのは、増税の目的を国民に説明すること
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自民党と公明党は14日、「2019年度与党税制改正大綱」をまとめました。
10月の消費増税に伴う駆け込み需要や反動への対策に重点を置いたもので、
自動車と住宅は消費増税後に購入すればメリットを得られる措置を拡充。
単年度ベースで自動車と住宅で1670億円の減税となる見通しです。

参議院選挙を睨んだ対策なのでしょうが、あまりに細かく複雑にやりすぎています。
飲食店で普通に購入したものは減税対象で8%になるのに、
それを店内で食べると外食扱いで10%が適用されるとか、
コンビニのイートインスペースはその適用範囲なのかとか、
細かい問題がありすぎて、誰も正確には理解できていないと思います。

自動車や住宅の減税策にしても、そんなことをするなら、
そもそも税率を上げた効果が薄れてしまって意味がないと思います。

政府がやるべきことは、意味不明に細かい規則や減税策を考えることではなく、
国民に「なぜ消費増税が必要なのか?」という理由をきちんと説明することです。

増税を契機にキャッシュレス化を進めるという話も出ていますが、
これも全体を複雑にしているだけです。

アジェンダが増えすぎて、狙いが多すぎて、意味不明になっています。
私に言わせれば、余計なことばかりやっています。

選挙対策とは言え、あまりにひどい状況に陥っていると感じます。


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▼平成の30年間は、失われた30年。景気回復など全くしていない
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内閣府は13日、有識者による景気動向指数研究会を開き、
2012年12月から続く景気拡大局面が高度成長期の「いざなぎ景気」を超えて、
昨年9月で戦後2番目の長さになったと認定しました。

またさらに景気回復が今月まで続いていることが確認されれば、
戦後最長に並ぶことになり、政府や民間エコノミストの間では
来年1月には戦後最長を更新するとの見方が強まっているとのことです。

それほど良い景気が続いているという感覚を持っている国民は、
誰もいないでしょう。

これは利用している「指標」が間違っているので、
これほど実態とかけ離れた発表になってしまっています。

平成になってからの30年間の事実は、日本は失われた30年と言っても良いほど、
世界の中で日本が最も衰退した期間だということです。

例えば、平成元年における世界の企業時価総額ランキングでは、
トップ10のうちエクソンモービルとIBM以外は全て日本企業でした。

それが2018年のランキングでは、トップ10のうち中国企業が2社で残りは全て米国の企業になっています。

この30年間の株価指数で見ると、ダウ工業株は同じ期間で価格が2倍になっているのに、
日本は2倍どころかマイナスになっています。

名目賃金でも、米国やユーロが2倍に上昇したのに、日本はマイナス7%です。
平成元年からの30年で見ると、日本経済で「上がった」ものなど1つもありません。

景気回復と言っても、30年前から比べればマイナスなのですから、意味がないことがわかります。

この平成の30年間は戦後経験したことがない30年間になりました。
企業でいえば、日本のトップであるトヨタ自動車が世界では26位です。

あれだけ強かった企業も世界から姿を消した日本において、
いざなぎ景気に匹敵する景気回復などとよく言えたものだと思います。


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※この記事は12月16日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日欧貿易の話題を中心にお届けいたしました。

国会承認を経て来年の発効が固まった日欧EPA。
経済効果が期待されるとの声があがるなか、
大前はワインの例を挙げてそれに疑問を呈しています。

本当に関税が下がれば販売価格も下がるのか?
どのようなプロセスを経て販売価格は決定されているのか?

今回のケースに関しては、このような視点で冷静に考えることで
関税減のインパクトを想像することができます。

構造把握を通じて最も効果の出る箇所を理解し、
それに対して打ち手を検討することが問題解決において重要です。

2018年12月14日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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ニセコリゾート/ハウステンボス〜ニセコ開発が進むのは再開発の自由度が高いから

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ニセコリゾート 外資に買われる「ニセコ」
ハウステンボス 復星集団(フォースン・グループ)から出資受け入れ

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▼ニセコ開発が進むのは再開発の自由度が高いから
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日経新聞は2日、『外資に買われる「ニセコ」』
と題する記事を掲載しました。
北海道の倶知安町とニセコ町にまたがる
ニセコ地区の不動産投資が加熱しています。
パウダースノーを求めて世界中から
スキーヤーが集まることに加え、
ホテルやスキー場で働く外国人も増加し、
ペンションやアパートが次々に建てられています。
地元ではインバウンド消費は歓迎するものの、
過度な開発が豊かな自然を損なう
との懸念も浮上しているとのことです。

倶知安町は地価上昇率が高く注目を集めている地域ですが、
私は現在の地価は「上がり過ぎ」だと感じています。
ニセコ以外にも北海道の中に良いスキー場はたくさんあります。
もっと東京に近い地域に目を向ければ、
越後湯沢、志賀高原、野沢なども、
ニセコに負けず劣らず良いスキー場だと思います。

その中で、なぜニセコがこれだけ注目を集めて開発されているのか?
というと、再開発の自由度が高いというのが大きな理由です。
ニセコは千歳から移動に2時間近くもかかりますし、
その途中非常に気温が下がる場所もあり、
利便性が高いわけではありませんが、
比較的自由に開発できるという点が
他のスキーリゾート地に優っています。

逆に、越後湯沢、志賀高原、野沢などの従来のスキー場は、
山の上の方にぐちゃぐちゃに固まってしまっていて、
全体を作り直すのが非常に難しい状態です。
ゆえに再開発の自由度が低く、ニセコを超える
ポテンシャルを持ちながら活かせていません。

越後湯沢駅の周辺など複数のスキー場がありますが、
バラバラに運営されていて、
お客を引っ張り合っている状況です。
だからそれぞれが行き詰まり、経営も傾いている状態です。
もし再開発が可能なら、私は200億円くらいあれば、
越後湯沢の町をまとめて再開発することができると思います。
2015年に北陸新幹線が開通した飯山駅の近隣にある
野沢温泉スキー場も、せっかくの新幹線開通という機会を
活かすことなく終わっています。

もしこれらの地域で再開発を自由にやらせてくれるなら、
1000億円規模の資金を投じても良いという人はいるはずです。
そうすると、カナダのウィスラーや
オーストリアのアールベルクのような
ハイエンドのスキーリゾートまで
視野に入れて開発できるでしょうし、
ニセコのみに開発が集中することもないはずです。

現在のニセコの地価やマンション価格は高すぎて、
私に言わせれば、全くお勧めできませんが、
マレーシアや香港などの外国人が資金を持ち込んでいるので、
日本としては外からお金が入ってくる
という点では良いのかも知れません。



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▼ハウステンボスも星野リゾートトマムと同様、経営主体は変わらず
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ハウステンボスは3日、中国の投資会社、
復星集団(フォースン・グループ)から
約25%の出資を受け入れると発表しました。
フォースンがHISや福岡企業5社から株式を取得するもので、
観光事業で世界展開をするフォースンと組み、
ハウステンボスは中国人観光客の取り込みなどを強化する考えです。

フォースンは2015年には星野リゾートから
星野リゾートトマムを買収している非常に積極的な企業です。
ヘルスケア事業を中心に大きな資金を作り、
今はレジャー関連事業に進出してきています。

星野リゾートトマムを買収した後も、
実際の運営は星野リゾートに委託するという方法を取っており、
今回のハウステンボスへの出資にあたっても
同様の方法を採用するのではないかと思います。

星野リゾートトマム(当時の名称は「アルファリゾート・トマム」)は
関光策氏が開発に着手してその歴史をスタートさせました。
気温はマイナス20度に達することもある厳しさで、
山の作りもスキー場としてそれほど優れているとは思えません。
それを星野リゾートが大規模な資金を投じてリニューアルしました。

星野リゾートトマムにしてもハウステンボスにしても、
フォースンが資金を肩代わりしてくれるのであれば、
経営は今まで通り自分たちでやれば良いのですから、
ありがたいことでしょう。



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※この記事は12月9日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、観光産業の話題を中心にお届けいたしました。

地価上昇率が高く注目を集めているニセコ。

ニセコが注目を集めて開発が進んでいることについて、
他のスキーリゾート地と比較し、
再開発の自由度が高いというのが
大きな理由だと大前は記事中で言及しています。

地域活性化の打ち手の一つとして考えられるのが
「リゾート開発」です。

しかし、記事中で紹介している従来のスキー場のように、
せっかくのポテンシャルがあっても
点で考え、バラバラと解決策を打ち出しても、
「インバウンド需要」を取り込むことはできません。

日本にある観光地のメリットを活かしながら、
世界の富裕層を日本国内に呼び込むことができるかが、
日本の地方振興にとって重要な鍵になると考えられます。

2018年12月08日(土) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日仏原発開発/中国原発市場/武田薬品工業/LINE/飲食店業界〜キャッシュレス決済で遅れをとる日本の現状。日本はまずシステムを構築せよ

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日仏原発開発 フランス政府が次世代原子炉開発を凍結
中国原発市場 中国、新型原発の稼働ラッシュ
武田薬品工業 シャイアー買収「賛成できない」
LINE スマホ決済で中国テンセントと提携
飲食店業界 「無断キャンセル」防止へ議論

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▼日本の原発計画はすでに詰んでいる。今後の原発の中心は途上国へ
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日本がフランスと進めている次世代原子炉開発について、
仏政府が2020年以降、計画を凍結する方針を
日本側に伝えたことがわかりました。
建設コストが増加したことや、原発依存度を引き下げる
フランス政府の方針などを受けたもの。
日本は2016年に高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決め、
今後の研究開発にはこの原発のデータを活用する計画で、
日本の原子力計画への影響は必至と見られています。

日本がプルトニウムの備蓄を増やしていることについて、
かねてから欧州や米国から注意勧告を受けてきました。
日本としては高速増殖炉の開発を続けている
という大義名分を掲げてきたものの、
「もんじゅ」の廃炉が決定したことで
それも通用しなくなりました。

そこで、フランスの実証炉「アストリッド」に資金を投じて
一緒に開発を進める立場を取ろうとしていたのです。
しかし、フランスは原子力依存度を
現状の約70%から50%程度に落とすことを決定し、
この思惑も失敗に終わることになりました。

フランスはすでに「ラプソディ」「フェニックス」
「スーパーフェニックス」という
1000メガワット級の高速増殖炉の開発に成功していますから、
無理に「アストリッド」を開発する必要がありません。
「日本が資金を出すなら一緒にやってもいい」
くらいの考えだったのでしょう。
それを急に止めると言い出すあたりは、
マクロン大統領らしいなと思います。

日本では「日本の原子力計画に打撃」と一部で報道されていますが、
こんな都合がいいだけの便乗政策が中止になって
「打撃」と解釈するのは、私には理解できません。
プルトニウム備蓄の大義名分となる日本の全原子力政策が、
全面的にフランスに依存していたというのも悲しい話です。

結局、日本の原子力政策という意味では、
高速増殖炉もんじゅの失敗で
ゲームオーバーだったということです。
日本のプルトニウムの備蓄については
世界中から注目されていますが、この事態に至っては
備蓄し続ける正当な理由付けをすることは難しいでしょうから、
不要なものは返却するしかないと私は思います。

日本とは対象的に開発が進んでいるのが中国です。
日経新聞が報じたところによると、中国では9月から11月にかけて、
加圧水型軽水炉(PWR)「AP1000」を採用した
原発3基が商業運転を開始しました。
事故で電源が失われても自動で原子炉が停止可能な
次世代型の原子炉「第3世代プラス」と呼ばれるもので、
習近平指導部が打ち出す産業政策「中国製造2025」を背景に、
2030年には最大で現状の4倍近くの
1億5千万キロワットまで発電能力を引き上げる計画です。

この「AP1000」という原子炉は
米ウエスチングハウスが開発したものです。
もし今も東芝がウエスチングハウスを保有していれば、
ライセンス料だけで相当なことになっていたでしょう。
東芝としては泣くに泣けない事態でしょう。

世界各国の原子炉の建設状況、計画状況を見ると、
メインはロシアと中国、それに次ぐのがインドで、
ほぼこの3国に集中しています。結局、
発展途上国が原子炉の主力建設地域になってきています。
日本は計画中としているものがいくつかありますが、
実際に開発されることはないでしょう。

中国の原発開発状況を見ていると、
日本の川崎重工が開発した新幹線が
いつの間にか中国製として輸出されるようになっていた
パターンを想起してしまいます。
中国が原子炉の開発をマスターすると、
同じようなことが起こってくると思います。



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▼武田薬品のシャイアー買収は下手をすると「ルノー・日産化」する
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武田薬品工業の創業家で社長・会長を務めた
武田国男氏がアイルランドの製薬大手シャイアーの買収に
反対していることがわかりました。
武田氏は「医薬業界にはM&Aは必要」としながらも、
独自に分析した結果、シャイアーの案件は
リスクが高いと判断したとのことです。

武田国男氏は偉大な経営者ですが、
すでに海外(シンガポール)にいる身ですから、
負け犬の遠吠えのように見えてしまいます。
シャイアーは買収に次ぐ買収で大きく成長した企業ですが、
業績推移を見ると純利益の乱高下が激しいのがわかります。
今のタイミングは「高値づかみ」したような形になっています。
こういう点も買収に賛成できない理由になっているのだと思います。
とは言え武田国男氏を含め、創業家の株式保有比率は3%程度なので、
まず委任状争奪戦(プロキシーファイト)には影響しないレベルです。

武田薬品の社長は、武田国男氏から長谷川氏、
そして長谷川氏から同社初の外国人社長になった
クリストフ・ウェバー氏へ引き継がれています。
このシャイアー買収問題は、下手をすると
「ルノー・日産化」する可能性があるので、
その点は注意するべきでしょう。



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▼LINEはアント・フィナンシャルを目指せ
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LINEは中国ネットサービス大手のテンセントと提携し、
2019年から訪日中国人客にスマートフォン決済サービスを
開始する見通しが明らかになりました。
また、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)
と提携し銀行業に参入する計画も発表しています。

実務的なことで言えば、みずほとの提携は要らないでしょう。
アリババのアント・フィナンシャルと同じようなことをすれば、
LINE自体が金融機関のような仕事をすることは難しくありません。
おそらく、顧客の取引DBの情報などを
狙っているだけだと私は見ています。



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▼キャッシュレス決済で遅れをとる日本の現状。日本はまずシステムを構築せよ
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飲食店の無断キャンセル防止へ向けて、業界団体や弁護士、
経産省などが参加する検討会が開かれました。
会議ではコース料理を予約して
無断キャンセルした場合は全額を、
席だけを予約した場合も平均客単価の5割程度を
請求することなどが指針としてまとめられました。

年間被害総額は約2000億円ですから、
もちろんこの問題を解決すべく取り組むのは良いことです。
しかし、「指針をまとめる」よりも
「システムを構築」するほうが先だと私は思います。
というのは、すでに中国ではアント・フィナンシャルが
構築したシステムのおかげで解決しているからです。

お客さんは飲食店を予約すると同時に、
アント・フィナンシャルのシステムで
電子決済が完了してしまいます。キャンセルされても、
すでにお金を払ってもらっているので飲食店としては特に困りません。
実際には、このシステムが構築されたことで、
中国では飲食店の予約キャンセル数が激減しました。
日本にとっては羨ましい話です。

2018年11月30日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日産自動車〜ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方

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日産自動車 逮捕のゴーン会長を解任

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▼ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方
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日産自動車のカルロス・ゴーン会長と
グレッグ・ケリー代表取締役が金融商品取引法違反容疑で、
東京地検特捜部に逮捕されたことを受けて、
日産は22日臨時取締役会を開き、
両容疑者の解任を決定しました。
金融商品取引法などでは役員報酬を将来受け取る場合でも、
受取額が確定した年度に有価証券報告書に記載する
と規定しており、東京地検特捜部は、
ゴーン容疑者が高額報酬批判を避けるため、
過少記載を指示したと見て調べを進めています。

今回の逮捕劇を見ると、日産側が周到に
準備を進めていたことがわかります。
西川社長の記者会見ではゴーン氏による
会社の私物化について言及されていましたが、
私に言わせれば「ゴーン氏が悪い」というのは
すでに「過去形」で語られることであり、
今後の重要事項ではありません。
この問題はもっと色々な角度から見ることが必要です。

特に重要なのは、日産がルノーに対して
どのような「交渉」ができるか、ということです。
現状、ルノーは日産の大株主であり、
株式の43.7%(2018年9月30日現在。四半期報告書)
を保有していて圧倒的な主導権を持っています。
取締役会に役員も送り込んでいますし、
帳簿閲覧権も持っています。

私が日産側に立って交渉するなら、
まずルノーに大株主としての監督責任を強く追及します。
さらには、ゴーン氏はルノーが送り込んだ役員の一人ですから、
その点も強調して交渉に臨むでしょう。

そして同時に、今年までの予定だったゴーン氏の任期が
2022年まで延びた理由も追及します。
今年になってマクロン仏大統領と会ってから、
急にゴーン氏の任期が2022年まで延びて、明らかに
ゴーン氏の態度がフランス政府寄りに傾き始めました。
今年の5月に私が週刊ポストに寄稿した記事でも書きましたが、
ゴーン氏とマクロン大統領の間に何かしらの
「密約」があったのではないかと私は見ています。
ズバリ言えば、その内容はルノーによる
日産の完全統合だと思います。

マクロン大統領は、かつて経済・産業・デジタル大臣だった頃から
フランスに世界一の自動車メーカーを誕生させたい
と考えている人物です。ドイツ、日本、米国、
そして将来的には中国にも世界一の覇権を争う
自動車メーカーが存在します。これまでのフランスでは
その争いに参加することは難しい状況でしたが、
ルノー・日産・三菱連合となり、
それが視野に入ってきた今、マクロン大統領としては
長年の夢を実現させるべく動いていると思います。

これまでにもゴーン氏はフランス政府からルノーによる
日産の完全統合の打診は受けていたはずですが、
ずっとそれを拒否してきました。ところが、
今年になって自分の人事と引き換えに
それを受け入れた可能性があります。

日産側はこの点を理解した上で交渉に臨まないと、
フランス政府・ルノー側の思うままに
完全統合されてしまうかもしれません。

この問題について世耕経済産業相も何やら発言していますが、
日産は政治家や役人の動きには特に注意すべきでしょう。
1980年代に東芝の子会社でもなく、独立した上場会社であった
東芝機械が不祥事を起こしたことがあります。
本来、東芝が責任を問われる必要はありませんでしたが、
当時の通産省は米国に媚を売って東芝の会長と
社長の首を差し出すような真似をしました。
政治家・役人というのは、こういうことをやりかねないのです。

こうした背景も理解しつつ、
日産は完全統合される道を避けるために、
どのような交渉のシナリオを描くのか?
非常に重要であり、かつ極めて難しい交渉が予想されます。



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▼日産はどのような交渉を持ちかけるべきか?
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今現在、ゴーン氏は会長職と代表取締役を解任されました。
ここまでは日産の取締役会の決議で可能でしたが、
取締役も解任するとなれば株主総会の決議が必要で、
臨時株主総会を招集しなければいけません。

株主総会の決議となったときに厄介なのは、
ルノーの持株比率です。ルノーは日産株の
43.7%を保有しています。過半数を超えるためには、
通常は株主総会を開いて委任状争奪戦
(プロキシーファイト)になりますが、今回の場合、
ルノーは43.7%でも過半数になれる可能性があります。

というのは、日産ほどの大企業になると
全発行株式を集めるのは難しいので、
かき集めたとしても80%程度になります。
そうなると、ルノーの持ち分43.7%で
過半数ということになってしまいます。
そうなると、ルノーの賛成を得られなければ、
日産はゴーン氏もケリー氏も取締役を解任することはできません。

日産がこのシナリオを防ぐためには、
現在約15%保有しているルノーの株式を
25%まで買い増すことが必要です。
25%まで保有率を高めると日本の法律によって、
ルノーの議決権が停止するからです。

また、ルノー側がゴーン氏とケリー氏の解任動議に
賛成したとしても、安心はできません。
代わりに新たにルノーから2人の取締役が送り込まれたら、
元の木阿弥だからです。日産側としては、
ルノーからの取締役は1人までにしてもらい、
代わりに会長職を渡すなどの交渉が必要でしょう。

そうなると、ルノー側から派遣する取締役の人数が減って、
日産によるルノー株の買い増しを
取締役会で決議されるかも知れません。
ルノーとしてはそのような事態を避けたいはずですから、
事前にそれだけは認めない契約を締結するように
求めてくる可能性があります。

私がルノー側の人間ならば、
日産の取締役会でマイノリティになるような事態は
何が何でも避けるように動きます。
逆に日産側の人間ならば、日産に対する完全子会社化をしない
という契約を取り付けるように動くでしょう。
それができないなら、今回の責任を大株主であるルノーに問い、
国際的な場で「争う」姿勢を見せます。
ルノーが送り込んだゴーン氏がどれだけ悪さをして、
日産の株主に被害を及ぼしたのかを交渉材料にするでしょう。

責任問題という意味では、ルノーから日産側の監督責任を
問われる可能性も十分にあります。そうなると、
西川社長も無傷ではいられないと思います。
そこまで見据えて、シナリオを描いて交渉していく必要があります。
繰り返しになりますが、これは非常に難易度が高い交渉になると思います。



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▼ゴーン氏が居なくなっても、日産が傾くことはない
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世間ではゴーン氏が居なくなった後、日産は大丈夫なのか?
と心配する声もありますが、私は、全く問題はないと思っています。
そもそもゴーン氏がボロボロだった日産を
立て直したという認識が間違いです。
確かにゴーン氏は日産の「まずい部分」を直しました。
当時の日産には、官僚主義的な組合が多く存在しました。
また、関連会社、工場、あるいは下請け会社のトップには
日産本社社員の先輩たちがいたため、
本社が強い影響力を発揮することができない状況でした。
そうした「しがらみ」が日産を押しつぶそうとしていたのです。

当時の日産の社長だった塙義一氏は、
ゴーン氏を日産に連れてきた張本人ですが、
ある資料を読むと、ゴーン氏が実行したことは
塙氏も実行することは「可能」だったと述べています。
ただし、日産内部の人間である自分が実行すると
血を見ることになる、と。それゆえ、
日産内部の人間関係的な「しがらみ」がない
ゴーン氏のような部外者が必要だったのです。

そして、現実的に日産がV字回復を果たした
一番大きな要因は、日産の技術力が非常に高く、
元々日産が高いポテンシャルを持っていたからです。
ゴーン氏の経営手腕が優れていたからではありません。
その証拠に、ゴーン氏は同じように
ルノーの経営再建を図りましたが
日産のように上手く行っていません。

おそらくほとんどの人が、この事実を理解していないと思います。
ゴーン氏がいなくなったら日産が
オンボロ会社に戻るなどというのは、大間違いです。
今の日産は販売台数も伸びていますし、
かつてのように「しがらみ」にがんじがらめにもなっていません。

ゴーン氏が日本国内を軽視した結果、
今や日産の国内シェアは5位に落ちていて、
どちらかと言えば、日産は「世界の日産」
としての立場が強くなっています。
ルノーの利益に対しても、単純計算で、
2017年度の最終利益の約4割は日産が貢献しています。
このままルノーと日産が仲良くやっていけるのであれば、
それに越したことはありません。しかし、
そう簡単に話がまとまるのか、まだわかりません。

日産としては、受け身にならずに
「攻め」の姿勢を持つことが重要だと私は思います。
ゴーン氏が不正を働いたのは、本当に日産だけなのか?
ルノーでも同じようなことがないのか?
私ならすぐにルノーに調べるように要請するかもしれません。
非常に難しい交渉になる可能性が高いので、
日産としては自らのシナリオを持ち、
「攻め」の姿勢で臨んで欲しいと思います。

2018年11月23日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日ロ関係〜安倍首相は何よりも平和条約締結を重視すべき

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日ロ関係 ロシア・プーチン大統領と会談

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▼北方4島の返還は日米安保条約の対象にならない理屈が必要
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安倍首相とロシアのプーチン大統領は14日、
平和条約締結後に北方四島のうち歯舞群島と色丹島を
日本に引き渡すことを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に、
日ロ平和条約交渉を加速させることで合意しました。
安倍首相は会談後、「次の世代に先送りすることなく、
私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという
強い意志を大統領と完全に共有した」と語りましたが、
プーチン大統領はその後「日ソ共同宣言には、
引き渡す根拠やどちらの主権になるかは明記されていない」
と述べ、交渉には時間がかかる認識を示しました。

安倍首相もようやく日ロの歴史的な背景などを理解したので、
プーチン大統領の在任中に日本とロシアの問題を解決し
自らの功績を残しておきたいという思いで動いているのだと思います。

そもそもプーチン大統領は数年前にも「2島返還」については
承諾する姿勢を見せていましたが、外務省の谷内氏が
「(2島返還された場合)日米安保条約の対象になって
米軍基地が置かれる可能性」があると発言したために
交渉が行き詰まってしまったのです。
私は当時から諸悪の根源は谷内氏であると指摘していましたが、
今回初めて朝日新聞がこのことに言及する記事を掲載しました。

安倍首相はロシア問題について、
不思議なことに外務省・谷内氏に頼るところがあります。
私に言わせれば、そもそも日ロ関係について国民に嘘をついて
混乱させる事態を招いた張本人は外務省であり、
頼るべき相手ではありません。当時の重光外相は、
ダレス米国務長官から沖縄返還の条件として、
ロシアに対して4島一括返還を求めるように恫喝されました。
米国の意向によって日本は4島一括返還を主張するようになったのです。
このような背景を外務省は国民に明らかにしていません。

プーチン大統領の「どちらの主権になるかは明記されていない」
という発言は、日本に対する嫌がらせではなく、
日米安保条約の対象になるか否かを見据えたものです。
返還された島の主権が日本になると、
当然のことながら日米安保条約の対象になり、
米軍基地が置かれる可能性が出てきます。
そうなるとロシア国民に納得してもらえませんから、
プーチン大統領は困ります。

一方、北方4島は日米安保条約の「対象にならない」とすると、
今度は米国が許容できないはずです。
中国との尖閣諸島問題では日米安保条約の対象として
米国に庇護を求めていますから、
北方4島は対象外というのは虫が良すぎるということになります。

ロシアと米国のどちらも納得できる理屈が必要です。
例えば、沖縄返還と同様に「民政」のみ返還し、
「軍政」は返還しないという方法です。
この形であれば、米軍基地が置かれることはなく
プーチン大統領も国民に説明できるでしょう。
ただ、現実的に島民のほとんどがロシア人なのに民政だけ返還されても、
ほとんど意味がないという意見もあります。
いずれにせよ、北方4島の返還にあたっては、
日米安保条約の対象にならないような
プロセスや理屈が絶対に必要になってくると思います。




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▼安倍首相は何よりも平和条約締結を重視すべき
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ロシアとの2島返還の交渉が進んだ場合、
対象となるのは歯舞群島と色丹島でしょうが、
この2島は日本にとってそれほど利用価値は高くありません。
現実的に最もメリットがあるのは
国後島と色丹島の間にある「漁場」です。
歯舞群島と色丹島の2島返還であっても、
この漁場を使えるとなると
日本にとっては大いにメリットがあります。

ということであれば、政府の交渉もこの流れに乗りたいところですが、
地元の漁民が反対しているという話もあります。
国後島と色丹島の間にある漁場が使えるのはありがたいけれど、
日本中から漁師が押し寄せることになったら、
地元の漁師としてはデメリットが大きくなるということです。
日本側も一枚岩とはなっていません。

先日、私は網走から近い漁港で「ロシア産ウニ」
というものを見かけて、「なるほど」と思いました。
つまり、そのウニはロシアの漁師に獲らせて、
それを買っているということです。
北洋漁業は寒く危険ですから、ロシアから輸入するほうが
日本にとってもメリットが大きいかも知れません。

返還交渉が進むと、元住民の人たちが戻るのかどうかという
現実的な問題も出てくると指摘されていますが、
私はかなり限定的なものになると見ています。
今も約1万人の元住民が島の返還を求めていますが、
年齢はほぼ90歳近い人たちですから、
実際に移り住む人は少ないはずです。
また先ほど述べたように、
ロシアが軍政を残したまま返還するとなったら、
なおさら新たに島に移り住む日本人は少ないでしょう。
5〜10年後、住民の大半はロシア人というのが現実だと思います。
その人たちの福利厚生まで日本が考えるべきとなると、
日本側の負担も馬鹿にできません。

どうしても日本人は現実的な島の返還を求めがちですが、
ロシアと日本との関係性を改善していくことを考えれば、
象徴的な問題として平和条約を締結することのほうが重要であり、
安倍首相にとってもそれを実現できれば大きな功績になると思います。

もちろん2島を返還してもらうのは
象徴的な意味合いとしても良いですが、
例えば鈴木宗男氏が言うように
「2島先行返還で、残り2島についても継続交渉」
にこだわる必要はないと思います。
むしろ平和条約を締結すれば、その後しばらくの間は
ロシア人が島に残っているのも認めるくらいの
オプションを付けても良いと感じます。

領土よりも平和条約を締結し
ロシアと正常な関係性を築いていくことが、
何よりも重要だと私は思います。
ようやく安倍首相もこの重要性に気づいて交渉を進めています。
自らの実績にもなりますし、ぜひ実現して欲しいところです。




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※この記事は11月18日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日ロ関係の話題を中心にお届けいたしました。

安倍首相とロシアのプーチン大統領が、
日ロ平和条約交渉を加速させることで合意しました。

この話題に対して大前は、
ロシアと日本との関係性を改善していくことを考えれば、
北方4島の返還よりも、象徴的な問題として
平和条約を締結することのほうが重要だと
大前は記事中で言及しています。

交渉は双方の問題解決を目指した対話であり、
双方の満足度を高めるような生産的な交渉を
目指すことが大切となってきます。

交渉の過程では何かしらの歩み寄りが必要となり、
相手にも同等の譲歩を求めながら、
ゆっくりと譲歩するのがよい交渉です。

互いの利害が尊重され、やり方がフェアで、
合意事項を守ると互いに信じられる交渉こそが、
双方に納得感をもたらすことができます。

2018年11月02日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日中関係/対中ODA〜新たな時代の3原則よりも、対中ODA終了が持つ重要性

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日中関係 7年ぶりに中国を公式訪問
対中ODA 日本のODA積極報道を指導

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▼新たな時代の3原則よりも、対中ODA終了が持つ重要性
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安倍首相は先月25日、日本の総理大臣として
7年ぶりに中国を公式訪問しました。
総理はまず李克強首相と対談し、東南アジアなど
第三国でのインフラ整備を通じた日中協力を強化し、
関係の改善を進める考えで一致。
また習近平国家主席とは約1時間20分会談し、
新たな時代の日中関係について
「競争から協調へ」などの3原則を確認しました。

最近中国における日本企業の活動も
円滑になってきたとも聞きます。
合わせて今回の安倍首相への「歓待」を見ると、
中国の日本に対する態度が全体的に軟化しているのでは?
と感じる人も多いでしょうが、
これが今後も続くのかどうかはわかりません。

中国はその時々・状況に応じて、政府がどのような態度で
受け入れるかという方針を決めて、
全員が忖度するという形を取ります。
もしかすると、何かまた日中間で問題が起これば
中国企業の態度も一変し、中国国民が日本企業に
投石するようなこともあり得ると私は思います。
とは言え、現時点で言えば
今回の安倍首相の訪中には意味がありました。

第三国でのインフラ開発協力に対する認識においては、
中国側の「日本が一帯一路構想に協力してくれる」
というものに対して、日本はそれだけは同意できない
と考えています。中国との間ですから、
こうした多少のズレは出てきますが、
それでも今回様々な取り決めができたことは評価して良いでしょう。

その中で安倍首相は新たな時代の3原則
(「競争から協調へ」
「お互いパートナーとして脅威にならない」
「自由で公正な貿易体制の発展」)を強調していましたが、
私がさらに重要だと感じたのは
「対中ODAの終了」というテーマです。

今回の首脳会談において、中国に対する
政府開発援助(ODA)を日中両政府は
2018年度の新規案件を最後に終了することになりました。
円借款供与額が上位の国を見ると、
トップにはインド、2位にインドネシア。
かつてトップだった中国は現在3位になっています。
さすがにこれだけ経済発展を遂げた中国に、
これ以上ODAを継続するのはおかしい
ということで「終了」することが決定しました。



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▼中国ODAの裏にあった歴史的な因縁と自民党内の利権問題
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日本によるODAの終了を受けて、
中国政府は共産党・政府系メディアに対し、
中国の経済発展に対する日本の政府開発援助(ODA)の貢献を
積極的に報じるよう指導したことがわかりました。

これは歴史的なことで、これまで中国は日本のODAに対して
感謝を示したことは一度もありません。
例えば、ベトナムであればODAで橋が完成すれば、
必ず「日本のODAで作られた橋」だと報道し、
日本からも誰かお祝いに駆けつけます。
しかし中国の場合には、「日本のODA」という発表はなく、
まるで中国共産党が作ったもののように報道してきました。

このような中国側の態度には理由があります。
中国は日本のODAを戦争に対する
「償い」として受け止めてきたため、
「当然」の権利だと認識してきたから、
日本に対する感謝を示そうとはしなかったのです。

田中角栄氏が日中関係を正常化する交渉を進める中で、
中国側から戦争に対する償いを求められました。
本来この要望そのものがおかしいものです。
というのは、中国共産党は戦争時の当事者ではなく、
当事者であった蒋介石は日本の償いは
不要という意見だったからです。

それを承知の上で、当時の田中角栄氏と周恩来氏などが
一計を案じて、ODAという形で中国を支援することで、
中国側の要望に対応することにしました。
中国からすれば、償いのために資金援助をするのは
当然だと思っていますから感謝するわけがありません。
また、このODAは自民党・田中派の利権としても活用され、
ODAが行われると、自民党・田中派に資金が流れるような
仕掛けがあったとも言われています。
このような事実を多くの日本人は知らないと思います。

こうした歴史的な因縁や自民党内の
利権に絡むドロドロしたものなど、
国民には表立って知らされない事実があり、
それがずっと継続されてきていました。
今回のODA終了によって、このようなものに
終止符が打たれるのは非常に良いことですし、
非常に意味があることだと私は感じています。



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※この記事は10月28日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、対中関係の話題を中心にお届けいたしました。

日本の総理大臣として7年ぶりに
中国を公式訪問した安倍首相。

安倍首相は新たな時代の日中関係について
「競争から協調へ」などの3原則を強調していましたが、
それ以上に「対中ODAの終了」というテーマの重要性に
ついて大前は記事中で言及しています。

交渉はビジネスを行う上で、
避けては通れない永遠のテーマであり、
交渉は双方の問題解決を目指した対話です。

「勝ち負け」として捉えられがちな交渉ですが、
駆け引きによって勝ち負けを決定するコンテストではなく、
当事者双方が意思決定者になり、
双方に納得感のある交渉こそがよい交渉です。

また、論理的な思考と明瞭な表現を行い、
相手の主張や考え方を知るための積極的な傾聴や
歴史的知識を知るなど事前準備を十分に行うことによって、
交渉力を高めることができます。

2018年10月26日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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世界経済/英中央銀行/欧州環境規制/ナウル情勢〜英国ブレクジットから派生する金融問題は、世界的な金融危機につながる可能性も

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世界経済 世界の企業、家計の債務総額
英中央銀行 デリバティブ元本6000兆円に不安定化リスク
欧州環境規制 乗用車のCO2排出規制を協議
ナウル情勢 "盛者必衰"ナウルの転落

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▼英国ブレクジットから派生する金融問題は、世界的な金融危機につながる可能性も
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国際通貨基金(IMF)が公表した世界金融安定報告によると、
政府や金融機関を除く民間企業、家計が抱える
全世界の債務総額が167兆ドル(約1京9000兆円)となり、
リーマン・ショックが起きた10年前と比べ
5割近く増えたことが分かりました。危機に対応するため
日米欧の中央銀行が大規模な緩和策を実施したことで、
経済成長を上回るペースで債務が拡大したとのことです。

金融経済が実体経済よりも5割ほど
大きくなっているということは、
ブラックマンデーが起こった時と極めて似ている状況です。
世界中が金融拡大をしてしまった結果、
不安定な状況が生まれたのです。
今年になってから米国は2回ほど大きな株価の下落があり、
他の国も同様に下落しましたが、
まだまだ「下げ足りない」ということでしょう。

この問題も重要ではありますが、
短期的にはさらに世界経済を揺さぶるリスクが大きいのが、
英国のEU離脱(ブレクジット)に絡む経済問題です。

英中央銀行のイングランド銀行はブレクジットが
条件合意なしの「無秩序離脱」となった場合、
最大で41兆ポンド(約6000兆円)のデリバティブが
不安定な状態に置かれると警告しました。
これらは2019年3月末のEU離脱後に満期を迎えるものの、
EUの法体系から切り離された場合、
既存の契約がどう扱われるか定まっていないためで、
イングランド銀行は混乱を回避するため
国内の銀行に離脱後の数日間、
6時間ごとにバランスシートの状況を
チェックするよう求めたとのことです。

問題なのは、デリバティブ取引の中央清算機関として、
ロンドン証券取引所のLCHクリアネットが
そのほとんどを取り扱っていることです。
英国が合意なしの離脱をした場合、欧州の金融機関は
LCHクリアネットを利用することができなくなってしまいます。

欧州の中には、デリバティブの清算拠点など
金融センター機能を英国から奪う思惑を
抱いている国もあるようですが、
一朝一夕にはいかないでしょう。
今は完全にLCHクリアネットに依存しています。
この機能を他の国に移すと言っても、
経験と信用も非常に重要であり、
6000兆円ものクリアリング機能を一気に移すことは、
極めて難しいと私は感じます。

さらにもう1つ、英国の保険会社の問題も重要です。
EU市民向けに提供している保険契約の扱いが
どうなるのかも不透明な状態です。

このような状況を見れば見るほど、
もう1度英国でEU離脱について国民投票をしたほうがいいのでは?
と思います。前回の投票時には、
今回のような恐ろしい話は表に出ておらず、
国民は理解していなかったはずです。

先日も英国内ではEU離脱に反対する
大規模なデモが行われていました。
英国メイ首相は迷走状態に陥っています。
欧州のトップが集合する場に居合わせても、
「合意」を得るのではなく、「同情」を買うばかりです。

英国の金融問題は極めて重要です。
ここから世界的な金融危機が
トリガーされる可能性も十分に考えられます。
かなり神経質に注意しておく必要があると私は見ています。



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▼欧州のCO2規制、2030年までの目標が間もなく決まる
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欧州連合(EU)は9日、加盟28カ国の環境相理事会を開き、
域内で販売する乗用車の二酸化炭素(CO2)排出量を
2030年までに21年目標に比べて35%削減する環境規制案で合意しました。
今後、欧州委員会と欧州議会と3者で法制化への交渉に入り、
年内にも合意したい考えです。

自動車メーカーが多いドイツなどは、
30%程度に抑えてほしいという要望を出していて、
一方で北方の国は40%程度まで引き上げたい思惑があり、
間を取って35%での合意に至ったのでしょう。
35%削減では足らないという人もいますが、
とりあえずは28カ国が合意しないと始まりません。
あと数ヶ月のうちに、2030年までの目標が決定されることになります。

この欧州の動きに対して米国政府は「知ったことか」
という態度ですが、米国は州別に規制をしていて、
カリフォルニア州など複数の州では
EUよりもはるかに厳しい制限を設けています。
トランプ大統領は、州に勝手に規制を作られるのは困る
などと発言して牽制していますが、
カリフォルニア州などがこの件に関して
トランプ大統領に屈することはないだろうと思います。



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▼ナウルに残された希望の道は、台湾にあり
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共同通信は10日、「採り尽くし、経済破綻 “盛者必衰”ナウルの転落」
と題する記事を掲載しました。南太平洋に浮かぶ
世界で最も小さい島国ナウルの現状を紹介しています。
かつては貴重な農業肥料となるリン鉱石を採掘し輸出することで
莫大な富を得て中東の産油国と比べられるほどの財政力を誇ったものの、
現在はリン鉱石をほぼ取り尽くし経済も破綻しているとのことですが、
この記事内容はやや浅い部分があると私は思います。

ナウルは大西洋、ミクロネシアの南に位置する島国。
ナウル島はサンゴ礁の上に海鳥の糞が積み重なってできた島で、
糞の化石にリンが含まれていたため、
莫大なリン鉱石の採掘が可能になっていましたが、
20世紀になり英・豪・ニュージーランドが搾取し、
また独立後もリン鉱石の輸出に過度に依存したため、
リン鉱石は事実上枯渇し、経済は破綻状態に陥っています。

そんなナウルの将来について私が提案したいのは
台湾による買収です。ナウルは独立国として
国連に加盟しています。台湾はずっと前から国連の席を
欲してきましたが、いまだに実現していません。

一昔前なら、国連に加盟したいならパラオを買収すればいいと
私は台湾に提言していましたが、人口2万人のパラオよりも
人口1.4万人のナウルのほうが「お買い得」です。
またパラオは中国になびく可能性も見せていますが、
ナウルにはそのような動きも見られません。
パラオと違って観光業もなく、打つ手もない状況です。



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※この記事は10月21日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、世界経済の話題を中心にお届けいたしました。

全世界の債務総額が167兆ドル(約1京9000兆円)となり、
経済成長を上回るペースで債務が拡大しています。

大前はこの金融経済の状況について、
ブラックマンデーが起こった時と極めて似ている
と記事中で指摘しています。

また、英国の金融問題にも触れ、
ブレクジットから世界的な金融危機が
トリガーされる可能性も十分に考えられるため、
かなり神経質に注意しておく必要があるとも言及しています。

このように、起きている現象に対して、
ファクトをしっかり把握し、なぜそのような現象が起きたかを
冷静な視点で俯瞰して考察することが大切です。

同じように見える現象でも、構造の本質は異なってきます。
問題の構造分析を行い、それがどのような影響を与えるのかを
過去の歴史などから予測することが重要です。

2018年10月19日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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モビリティ事業/独排ガス規制〜トヨタとソフトバンクの提携に見る両社の立場と重要性とは?

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モビリティ事業 新モビリティサービス構築へ
独排ガス規制 旧型ディーゼル車に新対策

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▼トヨタとソフトバンクの提携に見る両社の立場と重要性とは?
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トヨタ自動車とソフトバンクは4日、
新たなモビリティサービスの構築に向けて新会社
「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)株式会社」
を共同で設立すると発表しました。
両者のプラットフォームを連携させ、配車サービスや
自動運転技術を使った新事業で協業をするとのことです。

日本企業の時価総額1位と2位が提携したとマスコミが騒いでいますが、
私はそれほど大きな意味を持つ提携とは捉えていません。
この分野においてトヨタがあまりにも出遅れている状況で、
1位と2位が手を組んだと騒ぐほどのインパクトが
ないかもしれないからです。

トヨタが出遅れている一方で、ソフトバンクは
トヨタと提携しなくても十分にやっていけるだけの
様々な仕掛けを作ってきています。ARMの買収など
ソフトバンクがこれまでに投資してきた実績を考えると、
トヨタに限らずどの自動車メーカーと手を組んでも
上手くいくはずです。ソフトバンクとしては、
トヨタと排他的な提携を結ぶよりも
オープンな状況にしておいたほうがいいと私は思います。

もちろんトヨタとしては排他的な提携を望むと思いますが、
今後モビリティ事業がメインになってくるときには、
車を持たずにファンドなどを通じて
仕掛けの展開に注力してきたソフトバンクのほうが
フレキシビリティは高くなります。
ソフトバンクの立場から考えれば、
トヨタ1社との提携にこだわらずに、
今まで構築してきたネットワークを活用するほうが便利でしょう。

モビリティサービスの時代を見据えて、
ダイムラーやBMWなどはとにかく車を数多くばら撒いて、
新車が売れなくても使ってもらえるような状況を
構築する動きを見せています。
「Car2Go」(ダイムラー)と「DriveNow」(BMW)
というカーシェアリングサービスの統合などもこの動きの一貫です。

このような時代の流れにおいて、
トヨタはようやく4つの販売チャネルの統合を
発表したばかりで遅れに遅れています。
豊田章男社長は自社の遅れを認識し、
トヨタがモビリティカンパニーに変革する必要性を訴えていますが、
未だに会社としては「FUN TO DRIVE」
と言っている段階なので懸念を覚えます。

またそもそも今回の提携について言えば、
トヨタとソフトバンクのいずれからも
「本気」を感じられません。新会社を設立するということは、
両社とも「本体」同士は関係ないということです。
どちらも、会社の総力をあげて取り組む
ということにはならないと思います。

新会社の出資比率を見ると、過半数を超えている
ソフトバンクが優位に見えますが、
本気で取り組むなら「縛り」を入れるべきです。
お互いこの事業分野のことに取り組む場合には、
新会社以外では禁止するなど、
「浮気」を抑制する仕掛けが必要でしょう。
そうでなければ、いずれ破綻する可能性が高いと思います。

この提携が上手くいくかどうかに関係なく、
トヨタには大改革が必要だということも重大な事実です。
豊田章男社長のスピーチを聞いて社員がどれだけ危機感を持てるか。
社員の意識が大きく変わることがあれば、
力がある企業ですから大丈夫だと思いますが、
そうでなければ、このまま取り残されてしまう可能性もあるでしょう。



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▼ディーゼル車への逆風は、嘘の代償の大きさを物語っている
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ドイツ政府は2日、大気汚染の原因となっている旧型の
ディーゼル車の買い替えと改修を促す新対策を決めました。
14都市の最大140万台が対象で、
奨励金最大130万円を受け取って車を買い替えるか、
環境性能を高める改修を受けるように保有者に求めるもので、
費用はいずれも自動車メーカーが負担するというものです。

ベルリン市などでは道路ごとに
ディーゼル車の規制を定めているそうですが、
そこまで細かく見るのは現実的には難しい気がします。
中途半端な形に終わるのではないかとも感じます。

買い替えの際にメーカーが100万円程度を
負担しなければいけないということですから、
メーカーはかなり悲惨な状況に追い込まれた
と言えるでしょう。ディーゼル車への逆風は、
排ガス不正という「嘘」をついた代償が
いかに大きいのかを物語っていると思います。



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※この記事は10月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、モビリティ事業の話題を中心にお届けいたしました。

新たなモビリティサービスの構築に向けて
新会社を共同で設立すると発表した
トヨタ自動車とソフトバンク。

ライドシェアなどの移動サービス事業を
統合するダイムラーとBMW。

モビリティサービスの時代の流れにおいて、
自動車業界は、作って売るというビジネスモデルから
かつてない変化に直面しています。

しかし、これらは自動車業界に限ったことではありません。

グローバル化や技術革新のスピードが上がり、
自社の経営資源のみで成長を目指すことが
難しくなってきています。

連携や提携で補完的な機能分担や価値提供を行うことで、
高い競争力を獲得し、競合に対する持続的な優位を
確保することができます。

2018年10月12日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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沖縄県知事選/朝鮮半島情勢/日韓関係〜この数週間で極東アジアの地政学は大きく変化し、日本は孤立無援に

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沖縄県知事選 玉城デニー氏が初当選
朝鮮半島情勢 共同警備区域の地雷除去に着手
日韓関係 韓国・国際観艦式への護衛艦派遣を中止

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▼沖縄返還は民政のみで、軍事は返還されていないという事実
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翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選が先月30日行われ、
無所属新人の玉城デニー氏が初当選しました。
米軍普天間基地の辺野古への移設反対を訴えており、
政府が進める移設計画に影響を与えそうとのことです。

普天間からの移転に反対する人はいません。
基地の近くに学校などもあり、トラブルも多く、
誰もが普天間からの移設を望んでいるのは間違いないでしょう。
しかしだからといって、辺野古への移設まで反対となると、
根本的な前提が変わってしまいます。

普天間からの移設を検討したとき、
沖縄県内での移設先としていくつか検討された上で
辺野古が選定されました。それを否定するとなると、
そもそも「米軍は沖縄から出て行け」と言うのと同じです。
辺野古市民はすでに一度は基地の移設に賛成しています。
沖縄県民がこの議論をするとき
「本当に米軍の全面的な退去を望んでいるのかどうか」
という点まで考えるべきです。
2つの議論を一緒に考えてしまうから、
混乱しているのだと思います。

ただし、「もし辺野古への移設はやはり反対だ」となっても、
今の日米地位協定からすれば米軍が
沖縄から退去することはあり得ません。
普天間基地が継続されるだけでしょう。
沖縄返還は民政のみに限ったことであり、
軍事に関しては返還していないからです。
だからオスプレイが墜落して問題になっても
日本政府はまともに文句1つ言えないのです。

沖縄返還の条件は米軍が軍事基地として
好きなように使い続けることであり、
それが日米地位協定に定められています。
もちろん日本側もこの内容に納得した形になっています。
少なくとも安倍首相の叔父であり、
当時の佐藤栄作首相が理解していなかったとは思えません。

結局、沖縄返還のときの条件について
政府が国民に真実を隠して嘘をついてきたことが、
大きな誤解を生む原因になっています。
このまま嘘をつきつづけるなら、
北方領土と同じ道を辿ることになると私は懸念しています。

法的な側面だけでなく米国の戦略的な側面から考えても、
米軍が沖縄を手放すことは考えられません。
米海兵隊の拠点としてはグアム、ハワイ、ダーヴィンがありますが、
中国を封じ込めるためには沖縄は非常に重要な位置にあります。
最大の抑止力になるのも間違いありません。

ゆえに、どう考えても「辺野古への移設反対」を訴え、
米軍の退去を望むようなことをしても無駄です。
政府が正直になって過去の経緯を明らかにして、
その上で沖縄に負担がかかりすぎているなら、
対処方法を考えるべきです。沖縄に対して
「日本全体のために沖縄が果たすべき役割」を説明し、
逆に「日本全体として沖縄に何ができるのか?」
を考えていく態度が大事だと思います。

正直に事実を伝えずにいるから、
沖縄県民を怒らせるばかりになっています。
これでは何回知事選があっても、
辺野古への移設反対を主張する人が当選するでしょう。
現在の差し迫った課題は、辺野古移設の反対・賛成ではなく、
一刻も早く危険な普天間から基地を取り除くことです。



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▼この数週間で極東アジアの地政学は大きく変化し、日本は孤立無援に
─────────────────────────
政府もマスコミも真実を伝えずに、
相変わらず日本国内の議論が迷走している中、
日本周辺の国際環境は大きく変化してきています。
国内で意味のない議論をしている暇などなく、
中国、韓国・北朝鮮、ロシアの動向に注目すべきです。
特に、この数週間で韓国と北朝鮮が急激に接近したことは、
日本への影響も非常に大きいと思います。

北朝鮮と韓国は1日から、軍事境界線がある
板門店(パンムンジョム)の共同警備区域(JSA)
にある地雷除去に着手しました。
先月、双方の国防相が署名した
「軍事分野合意書」履行の第1弾とのことです。
これは文在寅大統領と金国務委員長も
同意していることですから、両者の距離は
かなり大きく接近していると見るべきです。

韓国の文在寅大統領は国連総会で、
金委員長を信頼できる人物だとし、
北朝鮮との祖国統一について熱弁しました。
国連は、北朝鮮が対する完全かつ検証可能な非核化をしない限り、
制裁を継続するとしていますが、それも棚上げにして
「祖国統一・民族統一」を信じて欲しいと訴えました。
もちろん、国連の北朝鮮に対する制裁決議には
文在寅大統領も賛成したのですが、
手の平をひっくり返したのですから驚くばかりです。

米トランプ大統領は北朝鮮への制裁は
継続するという姿勢です。しかし
「非核化はスケジュールを決めてやるものでもない」
と発言し、そのタイミングは急がないとしました。
その間に韓国と北朝鮮は急接近しました。
先日の国連総会で日本の河野太郎外相は、
北朝鮮の制裁解除について
「完全かつ検証可能な非核化が絶対条件」と演説しましたが、
このような意思表示をしたのは日本だけでした。
2ヶ月前までは各国の意志は一致していたのに、
状況がガラッと変わってしまいました。

北朝鮮と親密になる一方で、
文在寅大統領は「反日」の姿勢を強めています。

韓国南部・済州島で11日に開かれる国際観艦式で
韓国側が日本の海上自衛隊の護衛艦に
旭日旗を掲げないように求めていた問題について、
岩屋毅防衛相は5日、護衛艦の派遣を中止すると発表しました。

日本側の対応は当然です。
小渕恵三元首相の頃に解決したはずの問題を、
今頃になって持ち出してきています。
自衛艦旗の旭日旗を日本軍国主義の象徴
などと難癖をつけているのです。
たしかに韓国国内に旭日旗に反対する人はいましたが、
船が寄港できないというような
問題になったことはありませんでした。

また従軍慰安婦問題についても、
最終的かつ不可逆的な解決をしていたはずが、
文在寅大統領はひっくり返しました。
日本が10億円を拠出した従軍慰安婦のための財団を、
日本に断りもなく勝手に解散させました。
文在寅大統領曰く「国民の理解が得られない」
とのことですが、国と国が約束をし、
資金の一部もすでに支払われているものを、
勝手に反故にするのは理解できません。

もう文在寅大統領は完全に向こう側(北朝鮮側)
の人物であり、説得しても無駄だと私は思います。
もはや「日米韓」という発想は
文在寅大統領の頭にはないでしょう。
逆に、いかにして米国を騙して
「祖国統一」を実現するかを考えているはずです。

現状、このような韓国の動向に対して
中国とロシアは静観しています。
米国は長期的に見れば日本側ですが、
この2〜3週間で極東において日本は
孤立無援状態になっています。
極東アジアにおいて、大きく地政学的状況が
変化したことは非常に重要だと思います。

2018年09月28日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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福山通運/キャッシュレス決済/NTT/中国EV大手/韓国・現代自動車〜NTTグループの見直しをするべき時期が来た

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福山通運 日曜の集荷・配達を中止
キャッシュレス決済 QR決済さらに多様化
NTT グループ一体で資材調達へ
中国EV大手 中国新興EV、生存競争激しく
韓国・現代自動車 鄭義宣氏が総括主席副会長へ

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▼日曜の配達中止は英断
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日経新聞が21日報じたところによると、福山通運は10月から順次、
日曜日の企業向け荷物の配達を取りやめるとのことです。
総務省も郵便物の配達を平日のみとする検討に入るなど、
働き方改革の動きが広がってきているとしています。

福山通運の配達も郵便局の配達も、
土日を取りやめるというのは良い判断だと思います。
引受郵便は今でも年間数億通ありますが、
その中には年賀状や暑中見舞いなども含まれています。

私の実感としては、郵便で配達されるものの中に
「受け取ることが絶対に必要」というものがほとんどありません。
以前は電力使用の明細などを郵便で受け取る必要がありましたが、
今はそうではありません。こうした実態を考えても、
土日の配達をやめるというのは英断だと思います。


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▼キャッシュレスでATM不要は当然の流れ
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日経新聞は22日、「QR決済さらに多様化」と題する記事を掲載しました。
スマホを使ったキャッシュレス決済について
特徴ある機能を打ち出す新規参入組が増えています。
これらはポイント還元率よりも入出金方法などで特徴を打ち出していて、
対応店舗が増えれば利用者の選択肢はさらに増えていくとのことです。

みずほFGの坂井社長は、インタビューで
「ATMは公衆電話のように消えていく」と答えたそうですが、
まさにその通りです。ただし私に言わせれば、
「銀行も消えていく」と付け加えたくなりますが。

ATMの設置台数は横ばい状態です。キャッシュレス化が進めば、
当然のことながらATMは不要になります。
現状はセブンイレブンが積極的にATM設置を進めた結果、
他の銀行は自社のATMではなく、ほとんどが
セブンイレブンのATMを利用する形になっています。

最近になってローソン銀行が開業しましたが、
「20年遅い」と思います。ATMの機械は高額ですし、
散々セブンイレブンが活用してしまっています。
端末によっては今から設置しても
しばらく使えるものはあると思いますが、
それほど寿命は長くないでしょう。
なぜ、20年前にやらなかったのか?
ローソンの親会社である三菱商事の時代感覚が、
それだけ遅れているということだと私は思います。


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▼NTTグループの見直しをするべき時期が来た
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NTTは12日、パソコンやサーバーなどの資材を
グループ一体で調達するための専門会社を
米国に設立すると正式発表しました。
NTTは1999年の再編時の政府方針で、
持ち株会社とNTT東日本、NTT西日本が
資材を共同調達することはできないことになっていますが、
次世代通信方式「5G」を巡る競争が本格化するなか、
グループ会社の調達をまとめてコストを削減する見通しです。

かつてNTTを分割した頃とは時代背景も違います。
当時は、米国に「資材調達を海外に公開しろ」と指摘を受けたり、
分割後に共同購買ができてしまうと「競争力が強すぎる」
と禁止されましたが、今は状況が異なります。
専門会社を米国に置くことで米国側からも文句は出ないでしょうし、
今回のスキームは1つの抜け穴となると思います。

NTTの売上と利益を見ると、相変わらずNTTドコモが稼ぎ頭で、
光ファイバー、フレッツ光なども利益を上げています。
全体的には悪くない業績ですが、世界に目を向けると、
アマゾンやAT&Tなどの売上高はNTTを凌駕しています。

米国も、かつては分割がありましたが、
今ではベライゾンとAT&Tに集約されるようになりました。
日本でもそろそろNTTについて見直す時期だと思います。
もちろん、KDDIやソフトバンクからの反対は予想されますし
一筋縄ではいかないでしょうが、NTTをまとめることで
コスト削減を図れるようにすることは重要だと思います。
行政が主導権を握って推し進めて欲しいところです。


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▼中国EVメーカーも数社に絞られるのは必然
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日経新聞は13日、「中国新興EV 生存競争厳しく」
と題する記事を掲載しました。中国の新興EVメーカーで
最も高い企業価値を誇る威馬汽車の沈暉CEOのインタビューを掲載。
沈暉氏は「中国の約60社に上るEVメーカーのうち、生き残るのは3社」
と指摘するとともに品質と価格の両立を追求した結果、
今月発売する同社初のEV車は価格や航続距離を
ガソリン車並みの水準で実現したと紹介しています。

米国でも多くの自動車メーカーがありましたが、
今は3社に落ち着きましたし、日本の二輪車業界でも
かつて250社以上もあったメーカーが、今は4社に集約されています。
そして国内競争で生き抜いた数社が世界に打って出て成功しています。

中国のEVメーカーでも同じようなことが起こるのは必然でしょう。
60社のうち国内競争に勝ち抜くのが3〜4社。
その数社が世界化していくというフェーズに入っていく、
ということです。

これは、例えばパソコン業界にしても、
多くの産業が同じ道を辿っていることで
特に驚くことではありません。


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▼韓国は経営者の引き継ぎが遅い
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韓国の現代自動車は14日、創業家出身の鄭義宣副会長が
現代自グループナンバー2の総括首席副会長に就任したと発表しました。
鄭義宣氏は、グループを率いる鄭夢九会長の長男で、
韓国メディアが会長の健康悪化観測を報じる中、
鄭義宣氏が次期総帥の最有力候補だと明確に示す人事となりました。

もともと鄭義宣氏が後継者と言われていたので、
特に驚くことではありませんが、
特徴的なのは今回のニュースを契機として、
鄭夢九会長の体調不良について報じられていることです。

韓国の場合には、後継者に早い段階で引き継ぐ
ということがほとんどありません。
例えば、サムソン電子の李健熙会長は心筋梗塞で倒れ、
健康状態を心配する声は絶えませんが、
未だに正式に引き継いでいません。
最も不幸な例は、ロッテでしょう。

こうした韓国企業の通例があるため、
今回の場合には早い段階でナンバー2に指名したことで、
かえって鄭夢九会長の健康問題を
懸念されることになったのでしょう。


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※この記事は9月23日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、注目企業の話題を中心にお届けいたしました。

NTTは、パソコンやサーバーなどの資材を
グループ一体で調達する専門会社を
米国に設立すると正式発表しました。

大前はNTTに対して記事中で、まとめることで
コスト削減を図れるようにすることは重要であり、
行政が主導権を握って推し進めて欲しいと言及しています。

NTTは、次世代通信方式「5G」を巡る競争の本格化など
取り巻く環境や市場、競争環境が大きく変化しています。

このような状況の中、新たな顧客価値を創造し
グループ成長を構築していくために重要なことは、
制約条件に制約されないことです。

自分で変えられるもの(変数)と制約条件の2つに分けて考え、
与えられた環境の中で、自分が動かせる変数を目一杯使って
最大の利益を目指すことが大切です。

2018年09月21日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日ロ関係/米中ロ関係〜プーチン大統領といち早く平和条約を締結することが、安倍首相の唯一最大の貢献

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日ロ関係 一切の前提条件設けず日ロ平和条約締結を提案
米中ロ関係 プーチン氏、打算の中国接近

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▼北方4島について、日本政府はずっと国民を騙している
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ロシアのプーチン大統領は12日、安倍首相に対して、
一切の前提条件を設けずに2018年末までに
日ロ平和条約を締結するよう提案しました。
これは安倍首相が平和条約や領土問題の解決について
「アプローチを変えなければならない」と述べたのに対し、
プーチン大統領が賛同したもので、
まず平和条約を締結した上で
友人同士として意見の隔たりがある問題について
解決していこうというものです。

このプーチン大統領の提案について、日本のマスコミは
「なぜ安倍首相は反論しないのか?」と指摘していますが、
安倍首相としては「真実」を理解しているだけに
歯がゆい思いをしていることでしょう。
河野外相は日本とロシアの北方領土に関する真実について、
どこまで理解しているのかわかりませんが、
安倍首相はプーチン大統領との20回を超える
ミーティングなどを通して理解しているはずです。

日本の方針は
「北方4島の返還を前提にして平和条約を締結すること」
であり、これは以前からずっと変わらないもの。
菅官房長官などもこの趣旨の発言をしていますが、
そもそもこの認識が間違いであり、
日本政府がずっと隠してきている「嘘」なのです。

ロシア側の認識は
「北方4島は第二次大戦の結果、ソ連に与えられたもの」であり、
日本は敗戦国としてその条件を受け入れたわけだから、
固有の領土かどうかは関係がない、というもの。
ラブロフ外相もプーチン大統領も、
このような見解を示しています。
そして、このロシア側の主張が「真実」です。

終戦時にソ連と米国の間で交わされた
電報のやり取りが残っています。
ソ連のスターリンが北海道の北半分を
求めたのに対して、米国側は反発。
代わりに北方4島などをソ連が領有することを認めました。

この詳細は拙著「ロシア・ショック」の中でも紹介していますが、
長谷川毅氏の「暗闘」という本に書かれています。
米国の図書館などにある精密な情報を研究した本で、
先ほどの電報などをもとに当時の真実を
見事に浮かび上がらせています。

すなわち、北海道の分割を嫌い、
北方4島をソ連に渡したのは米国なのです。
今でもロシア(ソ連)を悪者のように糾弾する人もいますが、
犯人は米国ですからロシアを非難すること自体がお門違いです。

さらに言えば、日本が「北方4島の返還を前提」
に固執するようになったのも、米国に原因があります。
1956年鳩山内閣の頃、重光外相がダレス国務長官と会合した際、
日本はソ連に対して「2島の返還を前提」
に友好条約を締結したいと告げました。
しかし、ダレス国務長官がこれを受け入れず、
「(ソ連に対して)4島の返還」を求めない限り、
沖縄を返還しないと条件を突きつけました。

つまり、米国は沖縄の返還を条件にしつつ、
日本とソ連を仲違いさせようとしたのでしょう。
この1956年以降、日本では「北方4島の返還」が前提になり、
それなくしてロシア(ソ連)との平和条約の締結はない、
という考え方が一般的になりました。
1956年までの戦後10年間においては「4島の返還」
を絶対条件とする論調ではありませんでしたが、
この時を境にして一気に変わりました。


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▼プーチン大統領といち早く平和条約を締結することが、安倍首相の唯一最大の貢献
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今回のプーチン大統領の提案に対して、
マスコミも識者も随分と叩いているようですが、
1956年以降日本の外務省を中心に
政府がずっと国民に嘘をついてきた結果、
真実を理解せずに批判している人がほとんどでしょう。
プーチン大統領の提案は理にかなっています。
日本政府の「嘘」を前提にするのではなく、
とにかくまず平和条約を締結することから
始めようということです。

プーチン大統領の提案通り、まず平和条約を締結すれば、
おそらく「2島の返還」はすぐに実現すると思います。
残りの2島については、折り合いがつくときに返還してもらう、
というくらいで考えればいいでしょう。
相手がプーチン大統領であれば、
このように事を運ぶことはできるでしょうが、
別の人間になったら「1島」も返還されない可能性も大いにあります。

今、安倍首相は「とぼけた」態度を貫いています。
真実を理解しながらも、周りにはそれを知らず
理解していない人も多いでしょうし、
長い間日本を支配してきた自民党が国民に嘘をついていた
という事実をどう説明するか、
など悩ましい状況にあるのだと思います。

安倍首相に期待したいのは、
ロシアに対して経済協力などを続けながら、
とにかくいち早くロシアとの平和条約を締結して欲しい、
ということです。今回の自民党総裁選に勝利した場合、
それが実現できれば、安倍首相にとって唯一にして
最大の貢献になると私は思います。

北方4島の全てが返還されなくても、
それによってどれほどマスコミから叩かれても、
安倍首相とプーチン大統領の間で、
平和条約の締結を実現すべきです。
菅官房長官などは知ったかぶりをして、
4島返還について日本政府の方針に変わりはない
などと発言していますが、全く気にする必要はありません。
プーチン大統領の次を誰が担うのかわかりませんが、
仮にメドベージェフ氏が大統領になれば、
2島返還ですら絶対に容認しないでしょう。
プーチン大統領が在任中にまず平和条約を締結することは、
極めて重要だと私は思います。

というのも、中国がロシアに接近しつつあるので、
ロシアにとって日本の必要性が低下し、
このままだと日本にとってさらに厳しい状況になるからです。
今回の東方経済フォーラムを見ていても、
プーチン大統領と中国は明らかに接近したと私は感じました。

中国は巨大な人口を抱える東北三省の経済状況がよろしくありません。
その対策として、極東ロシアへの投資に向けて動いています。
中国とロシアの国境を流れる黒竜江(アムール川)をまたいで、
現在両国を結ぶ橋を建設しています。
中国側とロシア側でそれぞれ資金を出し合っていて、
橋の建設には中国の技術が活用されています。

中国とロシア間の動きが活発化し、
中国から極東ロシアへの投資が拡大すると、
その貢献度はかなり大きなものになります。
今回、安倍首相とプーチン大統領で見学に行った
と言われているマツダのエンジン工場のレベルではないでしょう。
また中国とロシアは、同じく米国にいじめられている立場として、
ボストーク2018で巨大な軍事演習を予定しています。

日本も目を覚まさないと、全て中国に持っていかれてしまいます。
少なくともプーチン大統領は内心では親日派なので、
今のうちに早く動くべきです。最後にもう1度述べておきます。
安倍首相には、自民党総裁選に勝利したら、
どんな批判を受けても悪役になろうとも、
何が何でもロシアとの平和条約の締結を
実現させて欲しい、と思います。


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※この記事は9月16日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日ロ関係の話題を中心にお届けいたしました。

安倍首相に対して、一切の前提条件を設けずに
2018年末までに日ロ平和条約を締結するよう
提案したロシアのプーチン大統領。

これに対して大前は、
どんな批判を受けても悪役になろうとも、
何が何でもロシアとの平和条約の締結を
実現させて欲しい、と言及しています。

交渉はビジネスを行う上で、
避けては通れない永遠のテーマであり、
交渉は双方の問題解決を目指した対話です。

「勝ち負け」として捉えられがちな交渉ですが、
駆け引きによって勝ち負けを決定するコンテストではなく、
当事者双方が意思決定者になり、
双方に納得感のある交渉こそがよい交渉です。

論理的な思考と明瞭な表現を行い、
相手の主張や考え方を知るための積極的な傾聴や
事前準備を十分に行うことによって、
交渉力を高めることができます。

2018年09月14日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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信越化学工業/日本電産/米エアビーアンドビー/クックパッド〜信越化学工業の金川氏、日本電産の永守氏。日本を代表する経営者の手腕

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信越化学工業 シリコーン5割増産へ
日本電産 「永守流」分権型シフト
米エアビーアンドビー 別府市旅館ホテル組合と提携
クックパッド ウミーベを買収

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▼信越化学工業の金川氏、日本電産の永守氏。日本を代表する経営者の手腕
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信越化学工業は3日、車の樹脂部品や化粧品などに
幅広く使うシリコーンの生産を増強するため、
日本、米国、タイなどの工場設備に
1100億円を投じると発表しました。
シリコーンは増産していた中国勢が
環境規制で工場の操業を停止したほか、
米国が中国に追加で制裁関税を課したことで
価格が上昇するなど需給がひっ迫しています。
信越化学はこれらに対応するため、
世界の拠点から供給できる体制を
整える考えとのことです。

信越化学工業といえば、金川千尋氏が90歳を超えて
代表取締役会長を務めています。
最高齢の経営者の一人であり、
今回の対応然り、今なお鋭い経営判断力を
持っていると思います。
信越化学工業の業績を見ると、
塩ビ・化成品、半導体シリコン、電子・機能材料、シリコーンなど
いずれの部門でも利益が出ていて、
また全てが前年を上回っています。
特に、塩ビ・化成品、半導体シリコンの
2つの部門の伸びは素晴らしい状況です。

米トランプ大統領が騒ぐために、米国でシェールガスを使った
塩ビ新工場を設立するなど、柔軟に対応しています。
塩ビ事業は、良い時と悪い時が非常にはっきりしていて
難しい局面もあるはずですが、見事に乗り切っています。
限界サプライヤーであれば憂き目を見る一方で、
トップサプライヤーとして安定しています。

90歳を超えても、周囲から金川氏に対する辞任要求などの話は
聞いたことがありません。
米トランプ大統領への対応なども含め、
不連続リスクを抱えない経営手腕は見事だと感じます。


日経新聞は4日、『「永守流」 分権型シフト』と
題する記事を掲載しました。
日本電産はドイツの産業ロボット部品メーカー、
MSグレスナーを買収すると発表しました。
今回は子会社の日本電産シンポが
買収を主導するとのことで、
世代交代や事業規模の拡大をにらみ、
「永守流」経営を伝授しながら
権限を委譲する新たな段階に入ったとしています。

永守氏と言えば、これまでに60社を超える企業を買収し、
その全てを黒字化させたという驚くべき実績を持っています。
一般的に、M&Aの成功率は10〜15%程度ですから、
60社全てが黒字化というのは世界でも例を見ません。
さらに、全てを1年以内に黒字化させているのですから驚異的です。

日本電産の売上高を見ると、
主力事業の精密小型モータなどは伸び悩んでいます。
ゆえに、車載・家電などその他あらゆる事業を
付け加えていかないと、
永守氏が目指す成長は達成できないでしょう。
1兆円を達成し、次は2兆円を目指すということですから、
M&Aしか実現の道はありません。
今回のグレスナー買収も、その一貫です。

日産自動車から日本電産へうつり、
2社の企業再生に携わった川勝宣昭氏の話を聞く機会がありました。
川勝氏曰く、日産が10年単位で考えるようなことを
日本電産ではその何分の1で
実行するように求められる、とのことでした。
買収した会社に、「一人で行って立て直してこい」
「しかも1年以内に黒字化」と言われるのです。

川勝氏が言うには、永守氏は相当細かいところまで
要点を詰め指示を出すそうです。
私もそこまで細かい点について指示をしていたとは、
初めて知って驚きました。
日産では10年かかっていたかもしれない企業の立て直しも、
永守氏のプレッシャーのもとで「永守流」でやってみたら
2社とも1年で黒字化できたということでした。

今回買収を発表したグレスナーの傘下には6社が入っています。
1社ずつ別の人間に担当させるのかも知れませんが、
今まで以上にハードルが高く、
新しいチャレンジになると思います。
これまで通り、見事に成功をおさめるのか楽しみです。

「永守流」が素晴らしい成果をあげている一方で、
永守氏が居なくなった後、
同じように細かい視点を持って指示できる人はいるかどうか。
これは非常に難しいところだと思います。



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▼エアビーアンドビーが、一時的に民泊法を回避する手段に出た
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米エアビーアンドビーは先月27日、
別府市旅館ホテル組合連合会と提携したと発表しました。
別府市は2019年に開催される
ラグビーワールドカップの公認キャンプ地となっており、
宿泊施設のエアビーアンドビー登録で
海外からの集客の拡大につなげたいとのことです。

日本では民泊法が施行されてから、
エアビーアンドビーへの登録は激減していました。
一方で、エアビーアンドビーのシステムは
よく出来ていますし、海外からの旅行者は変わらず
エアビーアンドビーを利用したいと思っている人が多いのです。

そうであれば、伝統的なホテルや旅館も
エアビーアンドビーを経由して、
一般旅行客を取り込んだ方が早い、ということになります。
旅行会社と提携しても、さほど集客効果がないことも多いですから、
エアビーアンドビー経由のほうが確実です。
別府市旅館ホテル組合連合会には
111軒の旅館やホテルが加盟しているそうですから、
結果がどのようになるのか、
私としても非常に興味があります。

エアビーアンドビーとしては、日本において
一時的に民泊法を掻い潜るための方法だと思います。
私に言わせれば、民泊法自体が理不尽なもので、
いずれは民泊を認可するようにならなければ
3000万人を超える外国人観光客を受け入れる体制は整いません。
以前、訪日外国人観光客数が3000万人を超えたときには、
エアビーアンドビーで600万人を吸収しました。
日本としては、普通に民泊ができるように
前向きに進んでいくべきです。



─────────────────────────
▼クックパッドと連携し、釣り情報サイトの圧倒的ナンバーワンの地位を目指す
─────────────────────────
クックパッドは先月24日、
釣り情報サイト「ツリホウ」などを運営する
ウミーベを買収したと発表しました。
ウミーベは渡部一紀CEOが2014年に創業。
月間200万回以上閲覧されるサイトをわずか4日で作り上げました。
クックパッドは渡部氏の手腕を評価し、
今回の買収に至ったとのことです。

クックパッドは主に主婦や独身の人が、
閲覧・引用する回数が多いメディアサイトです。
このメディアから釣り情報サイトに
アクセスを流すこともできるでしょう。
釣り情報サイトは、まだ圧倒的なメディアサイトが
誕生していないので、クックパッドと連携させることで
一気に地位を確立することを狙えます。

逆に釣った魚などをどのように料理するのかという視点で、
クックパッドを強化することもできるので、
いろいろな形でシナジーを発揮できる可能性があります。

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