2019年10月18日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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人口動態統計/消費増税/ベンチャー投資/デジタル課税
〜市場が利益を得られる「新しい枠組み」

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人口動態統計 1-7月の出生数51万8590人
消費増税 キャッシュレス急拡大
ベンチャー投資 官民ファンド、遠い累損解消
デジタル課税 国際課税の枠組み案公表

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▼日本の人口減は構造的な問題
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厚生労働省の統計によると、
2019年1〜7月の出生数は前年同期に比べて5.9%減り、
51万8590人となったことがわかりました。

2016年に100万人を下回ってからわずか3年で、
90万人を割る公算が大きくなっているもので、
第二次ベビーブーマーや団塊ジュニアと呼ばれる
世代の女性が45歳以上になったのに対し、
20代、30代の女性が減少していることなどが
要因と見られています。

これは日本にとって深刻な問題です。

2025年までに700万人の人口減が予想されていて、
これは埼玉県の人口に匹敵します。

2005年に死亡数が出生数を上回り、
それ以降も死亡数は増加を続け、
出生数は減少し続けています。

日本の人口減は物理的な現象と言えます。

また婚姻件数も減っていて、
出生年齢が上がっている点も心配な要素です。

母の年齢別出生数を見ると、
かつては25〜29歳の年齢層が70万人を超える出生数で
トップでしたが、今では30万人弱まで大きく減っています。

現在は30〜35歳の年齢層が最も多くなっています。

日本は戸籍の問題があり、事実婚を阻害しています。

日本の人口減は構造的な問題であり、
政府が正面から取り組む必要があると思います。

例えば、フランスは結婚しないで子供を生む女性が非常に多いです。

こうした状況を許容する少子化対策によって、
フランスは1994年には1.65まで下がっていた出生率を、
2010年には2人を超える水準まで改善させています。

日本でも、フランスと同じくらい
抜本的な対策を打つ必要があると思います。



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▼まだ日本はキャッシュレス化後進国の水準
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日経新聞は8日、
「キャッシュレス急拡大」と題する記事を掲載しました。

1日の消費増税にあわせて政府主導で始まった
キャッシュレス決済のポイント還元制度を追い風に、
現金を使わない決済が急増しています。

しかし、還元される時期が各社で異なるなど、
様々なキャンペーンが乱立して消費者にわかりにくいといった
課題もあり、定着には一段の周知が必要としています。

もちろんわかりやすく周知することは必要ですが、
それ以前の問題があります。

日本のキャッシュレスが6割増加したと言っても、
全体のわずか30%弱に過ぎず、まだまだ低いということです。

キャッシュレス決済が96%になっている韓国はもちろん、
いまだにインドより低い水準です。

まずこの認識を持って、もっとキャッシュレス決済の割合を
増加させていくことを考えるべきでしょう。



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▼官民ファンドの実態は「官」ファンド、成功するわけがない
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日経新聞は7日、
「官民ファンド、遠い累損解消」と題する記事を掲載しました。

スタートアップ企業などに投資して産業を振興する
官民ファンドで、コンテンツ分野や農林水産分野など
4機構の累積損失が膨らんでいて、2018年度末までの1年間だけで
6割増えて合計367億円になりました。

事業の実態を知らない役員が
出資先に無理な要求を突きつけているなどの問題も発覚しており、
官民ファンドが適度な利益を出していくためには
長期的に取り組む人材が欠かせないとしています。

経産省のクールジャパン機構は179億円、
農水省のA-FIVEは92億円の累積損失を計上しています。

彼らは予算を確保するのは上手かもしれませんが、
ビジネスセンスやビジネスの判断能力はありません。

だから、こんな累積損失を計上する結果を招くのだと私は思います。

産業革新機構にしても全く同じです。

官民ファンドなどと言われますが、
実際のところは「官」の力が強く、「民」の影響力はありません。

「官」主導になっているため、出資した値よりも安い場合には
上場させない、といったおかしなルールも適用されています。

私も彼らと関わった経験がありますが、
最後に助けてくれる味方なのか、それとも手を離して
見放す敵なのかわからない、といった印象があります。

最初は良い顔をしていても、
最終的に「恥をかきたくない」という行動が多いと感じます。

ベンチャー投資には、特にリスクがつきものです。

リスクを低減するには、選別能力や経営者を見極める
能力が必要ですが、彼らにはほとんどありません。

ゆえに、官民ファンドという名の
「ほぼ官ファンド」にベンチャー投資を任せること自体に、
大きな問題があると私は思います。



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▼デジタル課税=外形標準課税を世界的に合意すべき
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経済協力開発機構(OECD)は9日、
GAFAなど巨大IT企業を念頭に置いたデジタル課税について
国際ルールの原案を公表しました。

本社や工場などの拠点がなくても
利用者がいる国で一定の売上があれば、
それに応じて法人税を課せられるようにするもので、
来年1月に大枠合意し来年末までに正式合意を目指す考えです。

これは、外形標準課税という方法です。

サイバー企業は様々な国でサービスを展開します。

例えば、ウーバーなら、法人税率が低いオランダに
世界の事業を統括する本社を置き、それにタックス・ヘイブンの
バーミューダを組み合わせて節税しています。

それに対して外形標準課税では、日本で操業している
割合を算出し、それに比例して再配分をします。

つまり、操業の割合=外形として課税する、というわけです。

全てのビジネスはお客さんがいて成立するのだから、
それに比例して利益を払うべき、という考え方です。

GAFAなどの他のサイバー企業も、アイルランドと
オランダを組み合わせるなどして節税をしていますが、
同様の考え方を適用するべきだと私は思います。

利益を得る権利があるのは、市場です。

現在の状況では、サービスが提供されている市場ではなく、
税率が安い国が利益を得ています。

正しく市場が利益を得られるような
「新しい枠組み」を固めることは非常に重要ですし、
世界的に合意するべきことだと思います。



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※この記事は10月13日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はデジタル課税のニュースを大前が解説しました。

サイバー社会が前提となったいま、
税金のルールが変わろうとしています。

税金だけでなく、
たとえば個人情報に関するルールなど
ビジネス環境では常に変化が起きています。

ルールが変わる中で、いかにチャンスを見つけるのか。

リスクを減らしながらも、積極的なチャレンジをしなければ、
生き残っていくことはできません。

2019年10月12日(土) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米ウィーカンパニー/ソフトバンクグループ/
ベンチャー投資/米ウーバーテクノロジーズ〜株式市場の存在意義とは

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米ウィーカンパニー アダム・ニューマンCEOが辞任
ソフトバンクグループ 孫正義が狙うLINE買収
ベンチャー投資 「上場で成長」今は昔
米ウーバーテクノロジーズ サブスクリプションを本格開始

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▼投資先の雲行きが怪しいソフトバンク・ビジョン・ファンドの打開策は?
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米ウィーカンパニーの共同創業者、アダム・ニューマン氏は
先月24日、最高経営責任者(CEO)を辞任すると発表しました。

当初、9月中の新規株式公開(IPO)を目指していましたが、
赤字が続く事業や企業統治について、
機関投資家から疑問の声が相次ぎ、IPOを延期。

米メディアは、筆頭株主であるソフトバンクグループが、
ニューマン氏の辞任を求めていたと報じています。

赤字ではあっても将来性を期待され高い時価総額を設定された
ウィーカンパニーには、筆頭株主でもあるソフトバンクも
大いに期待していたはずです。

しかし、近年この類の企業が上場しても、
その後の調子が良くない状況があります。

ウィーカンパニーも赤字のまま、
競合に対する明確な差別化もできない状態で、
企業価値もピーク時の1/3に下落し、
さすがに不安を払拭できなくなったのだと思います。

安売りをやめ、黒字化の目処が立つまで上場を延期するように、
ソフトバンク・ビジョン・ファンドが強制したと言われています。

そのソフトバンク・ビジョン・ファンドの
投資先企業の一覧を見ると、有望と言われるユニコーン企業が
たくさん並んでいます。

しかし、3兆円規模の投資を受けている半導体テクノロジーの
アームについて、当時取締役を務めていた日本電産の永守氏が
「自分なら3000億円でも買わない」と話していたこともあるなど、
その投資価値については疑問視する声もありました。

そして、ユニコーン企業のチャンピオンとも言われる立場だった
ウィーカンパニーの問題が起こってしまいました。

そんな中、文春オンラインは4日、
「ソフトバンクグループの窮地で孫正義が狙うLINE買収」
と題する記事を掲載しました。

ウィーカンパニーの上場延期などを受けて、
ビジョンファンドが投資する他のユニコーン企業にも
疑念が持たれ始めています。

この危機を乗り切る奇策として、
孫正義氏が狙っているのがLINEで、
もし買収が実現すればアマゾンにも対抗できるとする
関係者の見方を紹介しています。

Weibo(ウェイボー)とも親しいソフトバンクの孫正義社長なら、
韓国系の企業であるLINEとも話をまとめられる
可能性がある、ということが背景にあるのでしょう。

たしかに、その可能性はありますし、
実際ソフトバンクがLINEを買収しSNSを手に入れると
大きなプラスになると思います。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドに多額の出資をしている
みずほ銀行も背中を押していると言われています。



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▼未公開時に高い時価総額を想定された企業が収益化しない現実
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日経新聞は6日、『「上場で成長」今は昔』と題する記事を
掲載しました。

世界の未公開企業がベンチャーキャピタルから
調達した資金額は、2018年2580億ドルとなり、
上場時の調達額2236億ドルを上回りました。

金余りの中、利回りに飢えた投資家が
成長著しいベンチャー企業への投資に殺到していることが
要因です。

こうした投資は過剰評価になりやすく、
企業が生む富も特定の人間に集中しかねない問題もあり、
資本主義を支えてきた株式市場の存在意義が
あらためて問われているとしています。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは
10兆円規模の大きなファンドです。

他にも、ブラックストーン、ベインキャピタルなど
ベンチャー企業に多額の投資をするベンチャーキャピタルが
多数あります。

これらのベンチャーキャピタルには、資金も情報も
集まってくるため、Cラウンド、Dラウンドの
ベンチャー企業に多額の資金を投じます。

これが上場前のベンチャー企業に
異常に高い企業価値が想定される要因です。

最終的な上場前の想定時価総額は、
最後に投資した人の1株あたりの価格で決まるため、
金余り状態のベンチャーキャピタルが高値で投資すると
そのまま高い時価総額が設定されてしまうわけです。

このように機関投資家の「金余り現象」のために、
実態以上に時価総額が上がり上場しますが、
いざ上場すると今度は一般投資家が相手になります。

一般投資家から見れば、収益が出ていないなど
価値を感じない場合が多く、
一気に株価が下落するというのが典型的なパターンです。

日本でもNTTの上場時に言われたことですが、
一般投資家が上場直後の株を買うと損をすると言われる
所以です。

今は、世界的にこういう現象が多発しています。

上場後の時価総額の伸びを見ると、
1990年上場のシスコシステムズ、
1997年のアマゾン、2002年のネットフリックスまでは、
上場前に比べて上場後の伸びが大きくなっています。

しかし、2004年アルファベットの上場以降は、
未公開市場での企業価値の伸びが大きく、
上場後は伸び悩むパターンになっています。

これは株式市場の存在意義を問われる
由々しき問題だと思います。

現状としては、株式市場は、
巨大なファンドが素人の一般投資家に売り逃げするために
使われているに過ぎないと言われても仕方ありません。

上場前に大きく期待されながら苦戦している
ユニコーン企業の代表例が、米ウーバーテクノロジーズです。

そんなウーバーテクノロジーズは先月26日、
「サブスクリプション(継続課金)」型のサービスを
本格的に始めると発表しました。

月24.99ドル(約2700円)を支払うと、
ライドシェアを使うたびに割引が受けられたり、
ウーバーイーツの配達手数料が無料になったりするとのことで、
まずサンフランシスコなど米国内の10都市で始める
見込みです。

この施策は、競合であるリフトも
すでに実施していることです。

結局、現時点で言えば配車アプリで
収益を上げることができず、
ウーバーイーツ、そしてサブスクリプションモデルで
現状を打開したいということでしょう。

サブスクリプションモデルで定額支払いをしてくれた人には、
割引サービスの提供、ウーバーイーツの配達料の無料化などを
考えているそうで、実現すれば一定の評価は得られると思います。

しかし、問題はトータルで黒字にできるかどうかでしょう。

黒字の目処が立たなければ、
また新しい企業が収益の見通しもないまま
終わっていくことになるかもしれません。

時価総額が数兆円を超えるともてはやされても、
実際には収益化しないという
お粗末な話の1つになる可能性もあるでしょう。

これは、GAFAが乗り越えてきた道でもあります。

苦戦が続くウィーカンパニー、ウーバーテクノロジーズなどが、
この壁を乗り越えることが出来るのかどうか
注目したいと思います。



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※この記事は10月6日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はベンチャー投資について大前が解説しました。

大前は
「機関投資家の『金余り現象』によって、
ベンチャー企業が過剰評価されやすくなっている」
と述べています。

ベンチャー企業の企業価値とは何か?
その価値を見極めるためには、どのような情報が必要なのか?

正しい価値を見極めるためには、
日頃から情報収集に力をいれる必要があります。

2019年10月04日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米ウクライナ関係/2020年米大統領選/米トランプ大統領
〜米大統領選の先行き

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米ウクライナ関係 トランプ氏がゼレンスキー氏に圧力
2020年米大統領選 「ウォーレン大統領」実現に警戒
米トランプ大統領 会計事務所とバンス検事を提訴

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▼トランプ大統領とバイデン氏、ダブルノックアウトの様相
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複数の米メディアは先月20日、トランプ米大統領が
野党・民主党のバイデン前副大統領の息子に関する
調査に協力するようウクライナのゼレンスキー大統領に
繰り返し求めていたと報じました。

バイデン氏はオバマ前政権の副大統領だった2016年、
ウクライナの民間ガス会社を捜査していた
同国の検事総長を解任させようとしました。

このガス会社の役員にはバイデン氏の息子が名を連ねており、
トランプ氏はバイデン氏が何らかの理由で
息子をかばう目的があったと見ているとのことです。

トランプ大統領弾劾に向けて、
民主党はこの1点に絞っていく模様です。

モラー検事が担当したロシア疑惑に比べて、
トランプ大統領とゼレンスキー大統領との対話記録など
明確な証拠が出ているのが特徴です。

その上、一度ホワイトハウスの命令で消去、
隠蔽しようとしたことまで密告者によって明らかにされ、
トランプ大統領とゼレンスキー大統領の
オリジナル会話データも提出されているようです。

それによると、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対して
軍事援助をネタに、6回にわたって
「バイデン氏の息子の疑惑を調べろ」と命じていたそうです。

そして、トランプ大統領の顧問弁護士の
元ニューヨーク市長ジュリアーニ氏と
米国務省ウクライナ問題特別代表のカート・ヴォルカ氏が、
具体的に指示を出したことも明らかになっています。

自らの政敵を蹴落とすために、国費を使い
外国の大統領に条件を突きつけているわけですから、
これは非常に大きな問題です。

来年の大統領選挙に向けて、
選挙民のトランプ大統領に対する心証が
著しく悪化する可能性は高いでしょう。

しかし、同時に民主党の筆頭候補であるバイデン氏も
外国の政府に圧力をかけていたとされていて、
トランプ大統領とバイデン氏がダブルノックアウトになる状況も
現実味を帯びてきています。



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▼根強いトランプ氏の支持層がどのような動きを見せるのか?
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そうなると、民主党の有力候補になるのが
エリザベス・ウォーレン氏です。

ウォーレン氏は名うての富裕層嫌いで知られていて、
大統領になったら「増税」「GAFA分割」を実施するのではないかと
見られています。

ビジネス業界からみると、最悪の人物が
民主党から立候補してくる可能性が高まっています。

そして、早くも株式市場は反応を示し、
ウォーレン相場と称される乱高下の動きを見せています。

このウクライナ問題を巡って、トランプ大統領が
弾劾されるのではないかという意見もありますが、
現実的には可能性は低いと私は思います。

これまでにも、アンドリュー・ジョンソン氏、
ビル・クリントン氏、リチャード・ニクソン氏など、
弾劾されそうになった大統領はいました。

しかし、最終的には誰も弾劾を受けていません。

大統領弾劾には、上院の2/3の賛同を得る必要があり、
現実的にクリアするのは至難の業です。

今回も、共和党内で激しい分裂が起こらない限り
不可能でしょう。

弾劾を受けないにしても、これだけの問題が
明らかになっているので、トランプ大統領の支持者たちが
変わらず熱狂的に支持してくれるのかはわからないと思います。

また、もしかすると支持層から大きな反発を
受ける可能性があるのは、ウクライナ問題よりも
トランプ大統領の納税申告に関する問題かもしれません。

トランプ大統領は先月20日までに、
トランプ氏や一族の会計処理を担うマザーと
ニューヨーク地検のサイラス・バンス検事に対して、
会計記録や納税申告書を検察に提出しないよう求める
訴訟を起こしています。

ポルノ女優らへの口止め料支払いをめぐる捜査の一環として、
バンス検事がマザーに対し納税申告書の提出を命じていたもので、
バンス氏の行動にはトランプ氏の再選に打撃を与える
政治的な動機があるとともに、現職大統領に対する捜査の試みは
違憲と主張しているというものです。

これまでの大統領で納税申告書の開示を求められて
拒否した人物など、一人もいません。

このような対応を見ると、やはりトランプ大統領は
脱税もどきのことをやっていたのではないか?と怪しまれるのも
当然でしょう。

トランプ大統領の支持母体である「プアーホワイト」層の中には、
脱税していたとなると快く思わない人も出てくるでしょう。

その結果、反トランプになるのかどうかわかりませんが、
注目したいところです。



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※この記事は9月29日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は2020年米大統領選のニュースを大前が解説しました。

エリザベス・ウォーレン氏が大統領になる可能性に伴い、
株式市場は乱高下の動きを見せています。

一つの出来事がきっかけとなり、
次々に影響を及ぼしていくことがあります。

その影響を先読みすることができれば、
ビジネスを優位に進めることができます。

2019年09月27日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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サウジアラビア情勢〜ドローンが変える世界の軍事バランス

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サウジアラビア情勢 サウジアラムコ施設をドローン攻撃

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▼ドローン攻撃によって、世界の軍事バランスが大きく変わる
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サウジアラビア東部で14日、
国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が
無人機の攻撃を受け、出火したことが明らかになりました。

イエメンの反政府武装組織ホーシー派が
犯行声明を出しましたが、サウジアラビア国防省は18日、
攻撃に使用されたとする無人機や巡航ミサイルの破片を公開。

ホーシー派の犯行可能性を否定するとともに、
イランが関与したことの証拠だと主張しました。

今回使用されたドローンは、
航続距離1200kmとも言われています。

しかも、価格はわずか150万円程度で
製作可能というのですから、驚きです。

このドローンの活用は、世界の軍事バランスを
大きく変える可能性があると私は思います。

それほどに今回のニュースは重大な事件です。

例えば、日本は北朝鮮のミサイル攻撃対策として、
米国の陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)を、
萩と秋田に設置する方針を検討しています。

しかし、今回のドローンを使われたら、
イージス・アショアを無力化することが可能でしょう。

ドローンは低空で飛行するため、レーダーに引っかからず、
さらにステルス化することもできます。

イージス・アショアでミサイルを検知することはできても、
ドローンを検知して対抗することは難しいでしょう。

今回攻撃を受けたサウジアラムコの石油施設の様子を見ると、
攻撃力も十分にあるとわかります。

しかもドローンは、最後の瞬間に目視で操作できるため
攻撃の的中率が高くなります。

今回のサウジアラムコの石油施設への攻撃でも、
ミサイルの的中率は80%ほどでしたが、
ドローンからの攻撃は100%命中しています。

米国は日本に北朝鮮の驚異を煽って、
イージス・アショアを売りつけようと試みていますが、
それを根底からひっくり返す事態です。

価格も安く、若干知識があれば
組み立ててプログラムできてしまうのですから、
恐ろしい限りです。

現在、世界中で防衛策の基本となっているのは
ミサイル防衛システムです。

ドローンにはミサイルほどの圧倒的な破壊力は
期待できませんが、それでも今回のように、
軍事的に重要な拠点・施設をピンポイントで狙うには十分です。

今後は、世界中の国が軍事的に大きな変更を
余儀なくされることになると思います。

高額なミサイルの開発は不要になり、
ドローンを中心とした攻撃・防衛に
切り替わっていく可能性が高いでしょう。



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▼戦争も辞さない強気のイラン、話し合い決着を望む日和気味のトランプ大統領
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今回のサウジアラビアの石油施設の破壊を受けても、
世界的に原油価格はあまり上がっていません。

サウジアラビアだけでなく、
ロシアや米国も多くの原油を産出できる時代だからでしょう。

実際、米国のトランプ大統領は備蓄している原油を出してきて、
この機会に一儲けしようという動きを見せています。

今回のドローン攻撃について、
ホーシー派はイエメン方面から飛行してきたと述べていますが、
サウジアラビアはイラン側から飛来してきたと主張し、
真っ向から否定しています。

シーア派の盟主・イラン、
スンニ派の盟主・サウジアラビアとしての対立そのものです。

イラクはフセイン大統領の頃には、
同大統領がスンニ派であったこともあり、
イランと戦争をする立場でしたが、
今では人口比率で多数派であるシーア派が名実ともに
マジョリティになりイランに取り込まれている状態です。

その他、シリアやイエメンについて見ると、
アサド元大統領はアラウィー派ですが、
現在のシリアのマジョリティはスンニ派。

イエメンはサウジアラビアの侵攻に対して、
イランのバックアップを得たホーシー派が対抗している状況です。

イランの遠隔操作にも関わらず、想像以上にホーシー派が
善戦しているため、実はサウジアラビアは
軍事的に弱いのではないか?と言われています。

そんな中東情勢において、今回の事件が発生しました。

イランは否定していますが、
イランが裏で糸を引いていると思っている人が多いでしょう。

イランは、もし戦争になるならそれも辞さず、という
強い姿勢を見せています。

意外にも、そんなイランの態度に及び腰になっているのが
米国トランプ大統領です。

今のタイミングで開戦してしまったら、
トランプ大統領の選挙期間中も
戦争が続くことになるのは間違いありません。

それは避けたいので、
何とか話し合いで決着するように促しています。

仮にイランに制裁を加えるとなっても、
トランプ大統領にできることは
「イランへの送金をできなくする」
「イランへの輸出を制限する」などの
間接的なことだけです。

そのため、いつもあれだけ強気なトランプ大統領が、
珍しく日和った態度を示しています。



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※この記事は9月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はサウジアラビア情勢について大前が解説しました。

的中率が高く、価格も安いドローンによる攻撃は
世界の軍事バランスを大きく変える可能性があります。

ビジネスの場面でも、技術の発展によって
世の中の流れががらっと変わってしまうことがあります。

タイミングを見極めたうえで
有効な一手を素早く打てるかどうかが、
そのビジネスの今後を左右します。

2019年09月20日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米トランプ大統領/米大型ハリケーン〜トランプ大統領の支持率低下は当然

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米トランプ大統領 ボルトン大統領補佐官を解任
米大型ハリケーン ロス商務長官が進路予報の打消しを要請
米トランプ大統領 支持率38%で前回比6pt低下

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▼補佐官を糾弾する前に、自らのリーダーシップを発揮しろ
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米トランプ大統領は10日、ツイッターで
「ボルトン大統領補佐官を解任した」と発表しました。

理由について、
「彼の提案の多くに私は強く反対してきた。
他の政権メンバーも同意しなかった」と説明。

ボルトン氏はこれまで北朝鮮やイランに対して
強硬姿勢をとっており、これらの政策への影響は必至です。

トランプ大統領は全てボルトン氏の過失だったという論調ですが、
私には全く理解ができません。

そもそも、大統領ならば
補佐官と意見が違えば議論して説得すれば良いはずです。

自分の意見を述べ、
まともに議論をして説得することすらできないのなら、
大統領として必要なリーダーシップの欠片もありません。

ボルトン氏の北朝鮮やロシア、
アフガニスタンへの対応を非難していますが、
元々ボルトン氏はそういう思想の持ち主ですから、
そんなことは容易に予想できます。

これは、中国に関するピーター・ナヴァロ氏に対しても
全く同様です。

そういう人たちとわかった上で役職につけておいて、
自分は何もせずに「彼らがミスをした」と糾弾するのは
おかしな話です。

就任から2年半で国家安全保障問題担当大統領補佐官が
3人も政権を去ることになります。

この異常性を見ても、
トランプ大統領に問題があると私は思います。



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▼トランプ大統領の支持率低下は当然
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トランプ米大統領が大型ハリケーン「ドリアン」の
誤った進路予想をツイートした問題で、
ロス商務長官が商務省の米海洋大気局(NOAA)に、
トランプ氏の発言と矛盾する予報を打ち消すよう
迫っていたことが判明しました。

また、ロス氏は担当者の解雇まで示唆していたとのことで、
民主党議員からは脅しが事実なら
ロス氏は辞任すべきとの声も上がっています。

もしロス氏が解雇まで示唆していたのなら、
私もロス氏は辞任すべきだと思います。

ロス氏と言えば「物言う株主」として一財を成した人物です。

今回の件など、ロス氏自身の仕事では
決してやらないようなことでしょう。

なぜ、そんな人物がトランプ大統領の下に就いた途端、
こんなみっともないことをやってしまったのか?

私には不思議で仕方ありません。

大型ハリケーン「ドリアン」の進路について、
トランプ大統領が気象当局と異なる予想をしたことから始まり、
このような大袈裟な事態に発展しています。

もはや「これが大統領のやることなのか?」と
言いたくなるレベルの話です。

米国では、主に民主党支持者で
反トランプ大統領の人たちが集まるサイトが
盛り上がっています。

トランプ大統領の顔写真などに、
シャーピー(マジックマーカー)で落書きをして、
トランプ大統領やその政策を揶揄するサイトです。

そのような流れもあり、
トランプ大統領の支持率も低下しています。

米紙ワシントン・ポストは10日、
トランプ大統領の支持率が38%で、
前回調査から6ポイント低下したとする
世論調査結果を発表しています。

中国との貿易戦争の結果も芳しくなく、
米国内の物価は高くなるのは確実ですから、
国民の警戒心も強くなっていると思います。

自分では何も理解していないのに、議会すら通さず、
勝手にツイッターで指示・命令を出す、という
強引すぎる物事の進め方にさすがに国民も
嫌気がさしてきたのでしょう。

全てのことを「ディール」として片付けようとする姿勢も、
大統領として相応しいものではありません。

本来、米国の大統領選挙は長期間に渡るため、
トランプ大統領ほど資質に問題がある人は
選ばれることはありません。

しかし、トランプ大統領は横車を押して、
ネットで情報操作を行い、
選挙戦を乗り切ってしまいました。

今では、そんな裏の事実も明らかになってきていて、
ここに来て、信用がガタ落ちして
急速に支持率が落ち込む結果となっています。

民主党側に魅力的な候補者がいないため、
トランプ大統領が再選される可能性もあると
言われていますが、私はそうはならないと見ています。

これだけ自分自身の意見も安定していない状態ですから、
さすがに息切れするのではないかと思います。

中国などはトランプ大統領が信用できないのは
しょうがないと諦めています。

次の大統領を待つしかないという態度です。



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※この記事は9月15日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はトランプ政権のニュースを大前が解説しました。

国家安全保障問題担当大統領補佐官の解任や
ハリケーンの誤った進路予想など、
トランプ大統領の迷走が続いています。

トランプ大統領の支持率はここに来て急速に落ち込んでおり、
大前は
「再選は難しいのではないか」
と述べています。

「何が何でも自分は悪くない」という姿勢は、
いくら情報を操作しても
周りの人々に伝わってしまうものです。

2019年09月13日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米中貿易/香港情勢/人民元相場
〜香港市民のアイデンティティは中国人ではなく香港人

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米中貿易 対中関税第4弾の正当性主張
香港情勢 「逃亡犯条例」改正案を正式撤回
人民元相場 中国、資金流出を警戒

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▼トランプ大統領は経済を引っ掻き回しているだけ
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米トランプ大統領は1日、
中国製品への制裁関税「第4弾」について、
「中国は自国通貨を切り下げているので、
実際は米国の関税を中国が払っている」と主張。

また「中国に対する高関税からの収入で
巨額のお金を手に入れている。
一部を農家に補助金として支給している」とし、
関税政策の正当性を主張しました。

関税を引き上げたことで
米国政府だけが丸儲けしている状態です。

トランプ大統領は「農家に補助金を」などと発言していますが、
選挙対策・アピールにすぎないでしょう。

トランプ大統領が行った関税政策は
ほとんど効き目を失ってきていて、
単に経済を引っ掻き回しているだけです。

それどころか、経済を理解していないトランプ大統領が、
五月雨に政策を実施し、経済に対して悪影響を与える
結果になっています。

さすがに、金融市場も「トランプ・リスク」を
明確に認識するようになってきていると感じます。

これから、米国では製造業も農業も、
さらに大変な状況を迎えることになると思います。



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▼香港市民のアイデンティティは中国人ではなく、香港人
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香港の林鄭月娥行政長官は4日、
「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回したと発表しました。

また林鄭氏は政府と市民の対話の枠組みや
社会問題を討議する専門家の委員会を作ることも表明しましたが、
デモ隊側は他にも「暴動認定の撤回」や「デモ参加者の釈放」など
5項目の要求を掲げており、収束は見通せない現状です。

これに先立って、林鄭氏とビジネスパーソンの
私的会合の録音データが出回りました。

その中で林鄭氏は、自分だけの意見ならすぐに辞任して
香港の人に謝罪する気持ちがあるが、
「香港と中国」の2つに仕える身として
自分には自由度がない、と語っています。

今回の林鄭氏の「逃亡犯条例」改正案撤回の背景には、
こうした事態を受けて中国政府が撤回許可を出した結果でしょう。

実際、欧州にいた中国の李克強首相も
それに類する発言をしています。

事態が膠着したままだと、
米国のトランプ大統領が貿易問題に絡めて
中国への交渉材料とする可能性があるので、
中国としてはそれを避けたいという思いもあるはずです。

すぐに「逃亡犯条例」改正案を撤回していればよかったのですが、
タイミングとしては遅かったと思います。

すでに1000人以上の人がデモ隊と衝突して
逮捕される事態も発生してしまい、林鄭氏の辞任を含め、
さらに4つの要求を突きつけられる結果になっているからです。

香港市民へのアイデンティティ認識調査の結果を見ると、
「私は香港人」という認識を持つ人が増加しています。

つまり、香港と中国は違うと考えている人たちです。

現在、一国二制度の下、香港は1997年から50年間は
資本主義の継続が認められていますが、
それ以降は中国1国に統一される予定です。

1997年からすでに22年経過し、あと28年。

今、20代の香港の若者は
40代で社会主義の中国に統一される状況を迎えます。

香港の若者がお金のあるうちに
国外に脱出しようと考えるのは、自然なことでしょう。

そんな人たちを台湾が受け入れる姿勢を見せていますが、
台湾も「ネクスト香港」になると考えている人も多いですし、
実際どうなるかはわかりません。

そういう意味では、国外脱出先としては
カナダやオーストラリアのほうが無難でしょう。

もしかすると、近いうちに
香港から大量に若者が出ていくかもしれません。

そうなれば、デモ隊は下火になりますが、
より本質的な問題が残されることになります。

そのような状況で、中国自体は元安によって、
資金が海外へ流出する恐れが出てきています。

日経新聞は先月30日、
「中国、資金流出を警戒」と題する記事を掲載しました。

中国政府は海外送金や外貨売却が多い銀行の
評価を引き下げる新たな規制を導入しました。

米中貿易戦争が長期化するなか、
人民元相場では8月に1ドル=7元を突破し
11年ぶりとなる安値となったことを受けたものです。

現段階で、当局はこの水準を容認しているものの、
元安に歯止めがかからない状況は回避したい考えです。

安くなる前に人民元を外貨に替える人が続出するでしょう。

外貨で保有していれば、外国で運用することもできますし、
将来海外に高飛びするときの資金としても活用できます。



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※この記事は9月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、香港情勢について大前が解説しました。

大前は
「近いうちに香港から大量に若者が出ていくかもしれない」
と述べています。

現在起きていることを考察することで、
次に何が起きるのか、ある程度合理的に
予測することができます。

未来は全く分からないという態度ではなく、
将来はこうなるのではないかと複数の選択肢をつくり
中長期的な視点をもって最善の一手を見極めることが大切です。

2019年09月06日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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原子力政策/原発事業〜原子炉開発は9電力とメーカーがすべて一緒にやるべき

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原子力政策 2019年の再稼働はゼロ
原発事業 原発共同事業化で提携へ

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▼高速増殖炉の開発が中止になると、日本がプルトニウムを抱える理由がなくなる
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日経新聞が報じたところによると、
2019年の国内原発再稼働数はゼロになる見通しが
明らかになったとのことです。

再稼働の審査に合格しても、地元の同意を得るための調整や
テロ対策などの工事に時間がかかっているもので、
温暖化対策やエネルギー戦略にも影響を及ぼしかねない状況です。

新たに再稼働できる見通しがたたないというだけでなく、
原子力規制委員会のテロ対策への対応などで、
すでに稼働済みの4基が停止するということですから、
非常に影響は大きいと思います。

かつて、日本の総発電量の約30%が原子力発電でしたが、
今では10%を割り込み、
来年はさらに半減する見通しになっています。

このような状況で日本にとって追い打ちをかけているのが、
フランスが日本と共同研究を進めていた高速炉実証炉
「アストリッド(ASTRID)」の開発中止を発表したことです。

高速増殖炉もんじゅの廃炉が決まり、
国内で高速増殖炉を稼働させることはできない日本にとって、
フランスとの共同プロジェクトは重要な意味を持っていました。

高速増殖炉のプロジェクトに関わっているという理由があれば、
日本は国内にプルトニウムを保有・保存する
大義名分が成り立ちます。

これは日本にとってメリットが大きく、
経産省の狙いもここにあったと私は見ています。

フランスがプロジェクトを中止した今、
日本がプルトニウムを抱える理由がないため、
大量のプルトニウムを保有していれば、
何かしらの疑念を抱かせることになってしまうでしょう。

これは、日本にとっては非常に厳しい状況です。

高速増殖炉のプロジェクトを中止とするという、
今回のフランスの原子力・代替エネルギー庁の発表は
的を射たものでした。

それは、今世界的にはプルトニウムが余っているのだから、
その技術は温存するにしても、今すぐに資金を投じて
無理にプロジェクトを進める必要はない、というものです。

使用した燃料以上の燃料を生み出すことができる
夢の原子炉と言われる高速増殖炉とは言え、これは正論です。

日本がこの意見をひっくり返すことは難しいと思います。

原子炉が停止していくと、
まず二酸化炭素排出量への影響が懸念されます。

近年、二酸化炭素排出量は大きく伸びることなく横ばい状態ですが、
この先はどうなるのか注意したいところです。

また、原子炉以外の発電になると、
鉱物性燃料すなわち化石燃料を輸入する必要が出てきます。

これは輸入の増加と貿易不均衡を招きますが、
もはやこの道を避けることはできないでしょう。



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▼原子炉開発には、9電力とメーカーがすべて一緒にやるべき
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東京電力ホールディングス、中部電力、
日立製作所、東芝は先月28日、
原子力発電事業の共同事業化に向けた基本合意書を
結んだと発表しました。

「原発の建設や運営、保守、廃炉を
効率的に実施する体制の構築」を目指す方針で、
共同出資会社の設立も検討するとのことです。

私は東日本大震災が発生した当時から、
今後日本で原子炉の開発を進めていくなら、
日本にある9つの電力会社がすべて一緒にやるべきだと
主張してきました。

そして電力会社だけでなく、
日立、東芝、三菱などのメーカーも共同で取り組むべきだと。

特に、輸出産業として維持したいのであれば、
このくらいの体制を整えられなければ無理だと思います。

正直言って、東京電力、中部電力、
日立、東芝が手を組むくらいでは、効果は薄いでしょう。

福島第一原発事故において
東京電力の対応は世界中から非難を浴びました。

しかし、東京電力のエンジニアスキル、
オペレーションレベルは日本では随一であり、
東京電力だったからあの事故は何とか収束したとも言えます。

もし、他の電力会社だったら
もっとひどいことになっていたと私は思います。

電力会社もメーカーもすべて一緒にやるべきです。

今はどのメーカーも沸騰水型炉(BWR)と
加圧水型炉(PWR)のいずれも開発していますし、
メーカーが一緒にやるメリットは大きいと思います。

また、今の原子炉は輸出した場合、
オペレーションも同時に依頼されますから、
メーカーだけでなく電力会社も一緒にやるメリットも
大きいはずです。

フランスは政府主導で
1つの原子力開発体制を確立しましたが、
それでもまだ頼りないと感じるところがあります。

今から振り返ってみると、
日本では9電力それぞれに任せていたというのは、
とんでもないことだと感じます。



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※この記事は9月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は原発事業のニュースを大前が解説しました。

大前は
「今後日本で原子炉の開発を進めていくなら、
日本にある9つの電力会社とメーカーがすべて一緒にやるべき」
と述べています。

問題を解決する際には、
最終目標をしっかり見据えたうえで
誰が主体となって取り組むのか
「主語」を意識することが大切です。

大きな問題に取り組む時こそ、
意識する必要があります。

2019年08月30日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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カジノ構想〜横浜にカジノを誘致するならノースピアを活用すべき

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カジノ構想 統合型リゾート(IR)を誘致方針

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▼大阪よりも横浜のほうがカジノ誘致に向いている
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横浜市の林文子市長は22日午後、
カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を正式に表明しました。

敷地面積47ヘクタールの山下ふ頭に整備し、
2020年代後半の開業を目指します。

林市長は「将来に渡り成長発展を続けていくためには、
IRを実現する必要がある」との結論に達したと
説明しました。

横浜港運協会会長・藤木氏は、
「賭博場にはしない」「ギャンブル依存症になったら大変」などと
山下ふ頭へのカジノ誘致に反対しています。

以前、林市長も藤木氏の勢いに押されて、
カジノ誘致については「未定」としていましたが、
横浜の将来を考えて必要だと考えを変えたのでしょう。

横浜にカジノが誕生する可能性を聞いて、
メルコリゾーツや米ラスベガス・サンズなども
興味を示しているとのことです。

メルコリゾーツの会長兼最高経営責任者であるローレンス・ホーは
マカオのカジノ王と言われるスタンレー・ホーの息子です。

彼らは近い将来
マカオのカジノライセンスを失う可能性もあるので、
カジノを移せる地域を探しているとのことです。

そうであれば、
日本の横浜は申し分ない地域だと思います。

トランプ大統領の後ろ盾であるアデルソン氏が経営する
ラスベガス・サンズ。

当初、大阪に進出する予定でしたが、
東京もしくは横浜に考えを改めたのでしょう。

大阪では夢洲という
非常に交通の便が悪いところにカジノを誘致予定でしたが、
横浜の山下ふ頭なら羽田からの利便性も高いですし、
大阪よりも魅力を感じるのは当然でしょう。

大阪は夢洲に万博もIRも持ってくると騒いでいましたが、
どうやら実現しそうにありません。

埋立地で余っている土地を使おうというのが、
そもそも考えとして甘いと思います。

大阪は2030年には人口1000万人を割り込み、
いわゆるメガシティから陥落する可能性があります。

府と市が一体となって取り組むぐらいでは意味がなく、
関西全体として一体になる必要があると私は思います。

例えば、関空からの利便性などを考えて
和歌山と協力して関西全体を盛り上げる施策を考えるなど、
できることはたくさんあります。



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▼横浜にカジノを誘致するなら、ノースピアを活用する
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横浜港運協会会長の藤木氏は
山下ふ頭にカジノを誘致することに渋っているようですが、
私が20年前に提案したように瑞穂ふ頭を使えば
この問題は解決できます。

瑞穂ふ頭はノースピアと呼ばれ、
いまだに米軍が占領している地域です。

かつて米軍は、海軍を横須賀、空軍を横田、
陸軍を三ツ沢(岸根基地)に置いていました。

この岸根基地からまっすぐ来ると
ノースピアに辿り着きます。

米陸軍は撤退したため、
今ノースピアは使われていません。

ここを活用すれば良いのです。

私が20年以上前に横浜の商工会議所に提案したのは、
ノースピアにカジノを作り、かつ
その際にパスポートを必須にするという方法です。

米軍が自ら占領している形を継続し、
パスポートで入場させます。

こうすると、入場する人の管理もできますし、
外国から来た人はそのまま入場することができます。

マリーナベイ・サンズも総工費は5,000億円ですが、
カジノの部分は200億円程度の規模ですから、
それほど大きくありません。

ノースピアでも十分に対応できるはずです。

藤木氏は山下ふ頭には国際展示場のようなものを作りたいと
思っているようですが、それは無謀だと私は思います。

国際展示場は、世界中に溢れているからです。

日本でも幕張、ビッグサイトにありますし、
ドイツでもミュンヘン、フランクフルト、
ハノーバーなど多くの地域にあります。

世界的に見て、
もはや国際展示場に行く時代ではありません。

もう少し現状を調べて出直してほしいと思います。

瑞穂ふ頭・ノースピアを使うというのは
奇抜なアイディアに思えるかもしれませんが、
構想力を発揮して考えれば、
実はオーソドックスな方法だとわかります。

藤木氏が心配しているギャンブル依存症や
人間の管理も全てパスポートで対応することができますし、
理にかなっているはずです。

こうした施設や都市計画を考える際には、
ぜひ構想力を持って新しいものを考えてほしいと思います。

どこか外国の施設をそのまま真似するようなものではなく、
もう一歩踏み込んだユニークな発想が重要です。

例えば、カナダのウィスラーは非常に良い例です。

ウィスラーの街を構想した人は
ノルウェーから来た方でしたが、
決してノルウェーを真似したわけではありません。

ウィスラーは素晴らしいスキー場になる山を持つ一方、
ゴミが溢れていました。

そこで、単にゴミを埋めてしまうのではなく、
表面を覆って建物を建て、
その下を駐車場にするという方法を取りました。

街の下全体に駐車場が広がっているのです。

もちろん駐車場は雪に埋もれないので、
出入りが楽になります。

これは非常に素晴らしいアイディアだと思います。

そして、冬などは夕方4時以降になると、
みんなが街の下に降りてきます。

そこには、ホテルもディスコも映画館も食堂もあって
賑わっています。

世界には例がないようなユニークな街になっています。

寒い山の上のみにホテルがあって
誰も下には降りてこない日本のスキー場とは対照的です。

かつて私が提案した横浜構想も、
誰の真似をしたものでもありません。

横浜へのカジノ誘致についても、
ぜひユニークな発想力を持って考えてもらいたいと思います。



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※この記事は8月25日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はカジノ構想のニュースを大前が解説しました。

IRについては、様々な利害関係が絡んでおり、
意見の対立も起きています。

こういった問題を解決するには、視点を変えて、
これらの問題を一網打尽にできる打ち手はないか、
考えてみることも大切です。

複雑な問題だからこそ、
考える力を発揮することができます。

2019年08月23日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米ウォルマート/米ゼネラル・エレクトリック/
韓国サムスン電子/世界石油大手〜小売業界の巨大な戦い

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米ウォルマート 最終利益3800億円
米ゼネラル・エレクトリック GEの不正会計を指摘
韓国サムスン電子 ベルギーから半導体材料調達
世界石油大手 サウジアラムコの出資受け入れで合意

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▼ウォルマートVSアマゾンという巨大な戦いの分かれ目
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米国のウォルマートが発表した2019年5月〜7月期決算は、
最終損益が36億1000万ドル(約3800億円)となりました。

生鮮食品や飲料の販売が好調だったほか、
成長分野のインターネット通販部門の売上高が
約37%増加したことなどが寄与したとのことです。

これはウォルマートにとって
久しぶりに良いニュースだと思います。

最近の業績推移をみると、
四半期ごとの売上純利益も落ち込んでいましたが、
ここに来て盛り返してきています。

特に、今回は通販部門の売上が好調だったという点が
重要だと思います。

量よりも質を重視していくというウォルマートの戦略が、
結果的に量にも反映されることを証明した形に
なったからです。

アマゾンのようにディスカウントで量を取りに行くのではなく、
自分たちの売りたい値段で質を追求しながらも
量を確保していくという戦略が功を奏しました。

ウォルマートとしては
久しぶりに手応えを感じているのではないかと思います。

長期的に株価を見ても、
アマゾンの株価が急騰してきたのに対し、
ウォルマートの株価は堅調に上げてきています。

これまでも継続していたアマゾン対策が
ようやく実を結んだ結果と言えます。

株式市場では、ウォルマートが
アマゾンの犠牲者になるというのが近年の定番でしたが、
今回の結果を受けてやはりウォルマートのように
自主店舗を持っているところが強いという風潮も
出てきています。

すなわち、現在の状況はウォルマートによって
アマゾンに歯止めがかかったという形です。

今まさにアマゾンとウォルマートによる
巨大な戦いにおける勝負の分かれ目が
訪れているのかもしれません。

そのように感じさせられる決算だったと私は思います。



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▼不正会計疑惑に、GEはどう答えるのか?
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米国の著名会計専門家ハリー・マルコポロス氏が15日、
ゼネラル・エレクトリックが巨額の損失を隠すため
不正会計を行っているとする報告書を公表しました。

報告書は175ページにのぼり、
ヘッジファンドと協力して7ヶ月かけて調査したということで、
不正額は発見できただけでも380億ドルに上るとのことです。

当然のことながら、
GE側は「解釈の違い」と否定しています。

詳細な分析結果として発表されている不正額は、
約4兆円ということですから、
これはかなり深刻な問題です。

これを受けてGEの株価は大きく下落しています。

数年前まで約30ドルだった株価は、
今では10ドルを下回る水準に落ち込んでいます。

レポート作成に協力したのがヘッジファンドですから、
株価の下落を受けて売り浴びせて儲けようという
目論見もあると思います。

しかし、これだけ詳細なレポートを提出されると、
ヘッジファンドの思惑はともかくとして、
今はGEが4兆円の不正額を掃き出して、
不正を白状するのかどうか注目されています。



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▼サムスンには、日本が輸出規制の抜け穴を提示
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韓国のサムスン電子が
日本からの輸出管理が厳格化されたフォトレジスト(感光剤)を
ベルギーから調達していることがわかりました。

調達先は2016年に日本の化学大手JSRと
ベルギーの研究センターIMECが設立した合弁会社とみられ、
半年から10ヶ月分を購入し、最先端の半導体チップ製造工程で
使用しているとのことです。

韓国に直接半導体を輸出するのを厳しく取り締まる一方で、
サムスンのように関係性を維持したいと思うところには、
日本が抜け道を作ってあげているという事でしょう。

サムスンはベルギーの会社から半導体を購入したそうですが、
航空機で送ってもらえばあっという間ですから、
日本の輸出規制という制裁は実質的に意味がないことになります。



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▼サウジアラビアの戦略の方向性が明確になってきた
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インドの財閥大手リライアンス・インダストリーズは12日、
サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコが
リライアンスの石油関連事業に20%出資することで
合意したと発表しました。

出資額は150億ドル(約1兆5750億円)に上り、
これによりリライアンスは原油を安定的に確保する一方、
サウジアラムコは高まるインドの需要を取り込む考えです。

インド最大の財閥であるリライアンスは
最近業績が大きく低迷していました。

インドにとってみると非常に助かる話で、
リライアンスにとっても渡りに船といったところでしょう。

このようなサウジアラビアの動きを見ていると、
「他国に深く関与していく」という国家戦略が
はっきり見えてきたと私は感じています。



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※この記事は8月18日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はウォルマートのニュースを大前が解説しました。

ウォルマートとアマゾンの戦いに変化が出ています。

世の中のデジタル化が進む中、
店舗も含めて、いかに顧客に価値を提供するのか、
改めて考えさせられます。

小売店舗をどう生かすのか?
顧客データをどう生かすのか?

小売業界にさらなる進化が求められています。

2019年08月16日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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NTT/インバウンド消費/JR九州高速船〜NTTの次の戦略は「金融」しかない

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NTT 見えぬ携帯の次
インバウンド消費 訪日客は西へ、消費は東へ
JR九州高速船 福岡-韓国・釜山航路に新型高速船導入へ

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▼NTTの次の戦略は、明確に「一手」しかない
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日経新聞は先月29日、
「NTT、孝行息子の衰え 見えぬ携帯の次」と題する記事を
掲載しました。

2019年3月期の時価総額で、
NTTが3年ぶりにNTTドコモを上回ったと紹介。

政府主導で進められた携帯電話の値下げが響くものですが、
5Gなど次世代技術の競争が激化する中、
ドコモの稼ぐ力は弱まっており、昨年6月に就任した澤田純社長が
グループの再構築を図れるか手腕が試されるとしています。

NTTの業績を見ると、
売上は約10兆円、営業利益は約1兆円です。

悪くない数字ですが、伸びてはいません。

これまで移動通信が伸びてきましたが、
今後は難しい状況が目に見えています。

世界化にも挑戦しましたが、
結果としては実を結びませんでした。

澤田純社長は
「ゲーム・チェンジを仕掛ける」と述べていましたが、
その方向性は1つしか考えられません。

それは、NTTが銀行になることです。

世界を見渡せば、資産運用、決済業務に
乗り出している企業がたくさんあります。

世界中の金融市場を直接相手にできる環境が整っています。

通信の次の戦略が見えないなどと
日経新聞には書かれていましたが、
戦略は明確で、金融の道しかないと私は思います。

ところが、現状ではNTT法があるために
NTTは銀行業務を行うことができません。

私ならまずこの法律を改正することから始めます。

NTT法は、かつて市内通話、市外通話など分かれていて
長距離通話という概念があった時代のものです。

現在の状況に合わせて改正することは
何ら不自然ではないでしょう。

ソフトバンクは投資会社になって、
PayPayなど金融業に乗り出しているのですから、
NTTも同じような道を歩むことができるはずです。

古い時代の民営化、分割の呪縛から解放されるべきです。

しかもNTTの場合には、
数十年分の電話料金の支払いデータを保有しています。

中国のアント・フィナンシャルと同じように、
個人の信用情報をガッチリ握っているということですから、
非常に大きなアドバンテージです。

料金回収の代行もできるでしょうし、
NTT法を改正してNTTを解放すればできることは無限です。

澤田社長流に言えば、
こうした過去の呪縛から「解き放して」くれれば、
簡単に「ゲーム・チェンジ」ができると思います。

私なら、中国と同レベルの自由度、
最低でもソフトバンクと同レベルの自由度を求めて動きます。



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▼訪日客を受け入れる西日本
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日経新聞は4日、「訪日客は西へ、消費は東へ」と題する
記事を掲載しました。

これは訪日外国人の数の伸び率で
東日本、中日本の伸び率が20%台だったのに対し、
西日本が41%だったと紹介。

一方で都道府県別の消費額では、
東京都が53.4%のシェアだったとのこと。

空港別の出入国数に照らすと、関空から入国し、
東京で買い物した後に成田・羽田から出国するという流れが
見て取れるとのことです。

もう1つ西に訪日客が多いのは、
福岡などに大規模な船に乗って観光客が訪れるからです。

数千人規模の乗客を運べる船もあるので馬鹿にできません。

インバウンド経済にも影響を与えうる存在です。

その意味でJR九州が発表した新型高速船
「クリーンビートル」も注目したいところです。

JR九州高速船は来年4月、福岡と韓国・釜山を結ぶ航路に
新型高速船「クリーンビートル」を導入すると発表しました。

1日2往復のうち、1往復を大型船に乗り換えることで、
1日あたりの定員を増やす計画で、JR九州の青柳社長は
「この船に乗ってオリンピックを見に来て貰えれば嬉しい」と
語りました。

以前のビートルが
鯨のようなものにぶつかるという事故を起こしたことも影響し、
新型ビートルは大型になっています。

現在、日本と韓国との関係性が悪化していて、
渡航注意情報も出ているので、
そもそも韓国から日本に来てくれる観光客が減るかもしれません。

その意味では、発表のタイミングが悪かったと思います。



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※この記事は8月11日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週はNTTのニュースを大前が解説しました。

大前は
「世界を見渡せば、金融の道に進んでいる通信企業はたくさんある」
と述べています。

今後の戦略を考える際には
同業種の世界の企業の戦略が参考になります。

例えば、アリババやテンセントという名前はよく聞きますが、
知らないことも多いように感じます。

「これまでにどんなサービスを出しているのか?」
「そのために、どんな投資をしてきているのか?」

このお盆休みに、彼らのここ5年くらいの動きを
研究してみるのは、いかがでしょうか。

2019年08月09日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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安倍政権/ホルムズ海峡問題〜レガシー外交が失敗した理由は「順序」を守らなかったから

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安倍政権 「レガシー外交」は前途多難
ホルムズ海峡問題 有志連合3回目の会合

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▼安倍外交が何1つ上手くいかなかったのは、「順序」を間違えたから
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日経新聞は先月31日、
『「レガシー外交」は前途多難』と題する記事を掲載しました。

安倍政権は今回の参院選で勝利したものの、
残された2年あまりで処理するには壁の高い難題が多いと指摘。

ロシアとの北方領土問題、韓国との一連の対立などに加え、
今後本格化する日米貿易交渉では
大統領選挙を控えたトランプ大統領が攻勢に出ると見られ、
安倍外交はいよいよ正念場を迎えるとしています。

安倍首相は頻繁に海外に出かけてきましたが、
何も残らなかったと言えます。

2度目の首相指名を受けたときには、
北朝鮮との拉致問題とロシアとの北方領土問題という
2つを最大の課題として挙げていましたが、
結局2つとも解決する見込みはなくなってしまいました。

あれだけ動き回ったのは、
一体何だったのか?という気持ちになります。

私が思うに、理由ははっきりしています。

安倍首相には、米国のヘンリー・キッシンジャー氏のような
交渉官がいなかったからです。

キッシンジャー氏のような人がいればこそ、
ニクソン大統領のような人物でも、中国の周恩来と
交渉を上手くまとめられたのだと私は思います。

安倍首相の周りにいるのは、
外務省出身の谷内氏のような人物ばかりです。

これが最大の問題です。

このような状況の中で、外交交渉を上手くまとめるためには、
例えばロシアのプーチン大統領と
命がけで自ら交渉するしかない、と思います。

その場合には、同様に米国のトランプ大統領とも命がけで、
北方領土が返還されたときには
日米安保条約の対象外とする点について
交渉する必要があるでしょう。

米国からこの言質をとっておかなければ、
米軍の駐留を嫌うロシアは
絶対に首を縦に振ってくれないからです。

そして、これを実行するなら「順序」が大切です。

まず、中国との関係を良好にして
尖閣諸島など領土問題を解決します。

尖閣諸島を日米安保条約の対象として
米軍に守ってもらっておきながら、
返還された北方領土は別扱いとするのは無理があります。

谷内氏などは、
「北方領土に米軍駐留を求められたら、論理的に断れない」
ということをロシアに言ってしまうのですから、
話になりません。

そうではなく、まず中国との関係を良好にして、
その上で米国に交渉をするのです。

米国からは何かしらの「お願い」をされる
可能性もありますが、それも可能な範囲で
受け止める必要があると思います。

そして米国と話をつけてから、
ロシアに日ソ共同宣言に戻りましょうと
提案すれば良いのです。

全てをバラバラに行っているから上手く行かないのであって、
順序立てて実施していけば、上手く交渉できる可能性は
大いにあると私は思います。

北朝鮮について言えば、小泉元首相と同じように、
就任したらすぐに訪問するべきだったと思います。

何も出てこなければ、
国民に素直に謝るしかありません。

それでもすぐに動いていれば納得感はあるでしょう。

それをズルズルと後回しにして、北朝鮮との関係性も悪化し、
間を取り持ってくれる可能性があった韓国とも揉めてしまい、
もはや手がつけられません。

トランプ大統領に口を利いてもらうなどと
他人任せにするのはあり得ないと思います。

レガシー外交が失敗した理由は、
安倍首相が物事を進めていく「順序」を守らなかったからです。

この順序が違うだけで微妙に全てが変わってしまいます。

徒労が多かったと言わざるを得ないでしょう。

それを今さら再構築しようとしても、
もう遅いでしょう。

振り返ってみると、安倍外交の最大の問題は、
中国との関係性をこじらせたことです。

この件については民主党政権にも責任はありますが、
安倍首相としてはそれを踏まえて
何とかするべきだったと思います。



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▼海上自衛隊をホルムズ海峡に派遣するのは愚策
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米国が各国に参加を求める
ホルムズ海峡の安全確保に向けた有志連合構想について、
先月31日、中東バーレーンの米軍基地内で
3回目の会合が開かれました。

こうした中、日本政府は自衛隊を派遣する場合の
法的枠組みの整理に着手していますが、参加した場合、
イランが反発し友好関係が失われることへの懸念も強く、
まずは外交努力を重視しつつ現地の情勢や各国の動向を
注視していく構えです。

日本として大いに参考になるのは、
ドイツの選んだ方法です。

ドイツは、イランと交渉する余地があり、
ドイツの船を拿捕しないと約束させれば、
米国主導の有志連合に参加する必要はない、という
姿勢を示しました。

日本が米国に誘われるまま法律を整備して、
海上自衛隊の派遣をするという方法を取れば、
イランとの関係性は悪化します。

しかし、まだ日本とイランの関係性には「脈」があるので、
ドイツの方法を参考にすべきです。

「今は油を買うことはできないが、
トランプ大統領が退くのを待っている」など、
イランとの友好関係を維持することは可能だと思います。

米国に言われるがまま
海上自衛隊を派遣するのは愚策でしょう。

米国に強く要請されても
後方支援くらいに抑えられると思います。

米国には何か別の形で
要求を突きつけられる可能性もありますが、
それでもホルムズ海峡の問題については
米国との場外でイランとの信頼関係を維持していくのが
良いと私は思います。



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※この記事は8月4日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は安倍政権のニュースを大前が解説しました。

大前は
「外交交渉を上手くまとめるためには、順序が大切」
と述べています。

複数の問題が絡み合っているとき、
それぞれを独立事象として考えてしまうと
その取組の多くが徒労に終わる可能性があります。

ステークホルダーの利害関係をもとに各問題の絡み方を分析し、
どの問題から順に対処するべきか整理した上で
行動することが大切です。

2019年08月02日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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個人情報保護/東京電力HD〜現代における「優越的地位の乱用」は何か

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個人情報保護 「優越的地位の乱用」で指針案
東京電力HD 福島第二原発廃炉を正式決定へ

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▼個人情報の利用、ハッキングなどを対象にした新しい法案が必要
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IT大手による個人データの不適切な収集・利用を防ぐため、
公正取引委員会が検討している規制の指針案が先月16日、
明らかになりました。

これは、サイトでの購買履歴や位置情報を含め、
個人データを同意なく利用した場合、
独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたると
規定するもので、公正取引委員会は8月にも指針案を公表し
年内にも実施する方針です。

これは重要かつ必要なことだと私も思います。

現代における「優越的地位の乱用」は何かと言えば、
収集したデータの勝手な使い回しです。

GAFAについては米国内でも問題視されていますが、
データを結びつけ、それを活用してポイントマーケティングを
仕掛けていくのは、とんでもない個人情報の侵犯です。

今現在においては、法律がずさん過ぎて対応できていません。

もっとルールを明確にし、必要に応じて
「反トラスト法」「独占禁止法」「個人情報保護法」など
何でも構いませんから、本格的に法律で縛るべきでしょう。

また同様に、法律が対応しきれていない問題の1つである
ハッキング行為についても、この機会に法律で
より厳密に規制することを検討するべきだと思います。

専門家の中には、ハッカーにやられたと認識している企業と
ハッキングされているのに認識していない企業しかない、と
話す人もいるほど、多くの企業がハッキングを
受けているとのことです。

個人情報の取扱いとともに、大きな犯罪でもある
ハッキングについても厳罰化するなど、
まとめて法案を作って欲しいと思います。



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▼1兆円という常識外の安全対策費を求められるのは、政府の対応に問題がある
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東京電力ホールディングスは先月24日、
福島第二原子力発電所の廃炉を近く決定すると
正式に表明しました。

また、この原発にある使用済み核燃料を保管する貯蔵施設を
敷地内に設置する考えも表明。

原発事故を起こした福島第一以外で
東電が廃炉を決めるのは初めてで、今後一般的な廃炉と同様に
1基あたり30年程度の工程で作業をすすめることになります。

福島第二原発は機能的には問題ありませんから、
使おうと思えば明日からでも稼働させることができます。

しかし、福島県民の感情を考えれば、
福島県知事が承諾する可能性はないでしょう。

そのようなことは、
東日本大震災直後からわかりきっていたことです。

他にやるべきことが山積みで遅くなったとはいえ、
今になってしまった東電の決定は
遅いと言わざるを得ないでしょう。

廃炉が決まれば、今後は燃料を取り出し解体し、
何もなかったように更地に戻します。

そこまでに約30〜40年の時間と、
2000〜3000億円の費用がかかると言われています。

それが4基あるわけですから、お金は全く足りません。

最近、東電は柏崎刈羽原子力発電所の6号機と7号機を
何とか稼働させたいと躍起になっています。

しかし、万一に備えて
「テロリストに襲われても冷却できるように」という
設備強化を迫られ、安全対策費として
約1兆1690億円もかかるとする新たな試算を出しています。

1基当たり約5500億円となると、
新しい原子炉を作るのと変わらない費用です。

今、中国ではウェスチングハウス社製の
加圧水型原子炉「AP1000」を何十基も建設中です。

この新型はどんなことがあっても、
最後まで冷却可能な設計になっています。

1基5500億円あれば、中国と同じ新しい原子炉を
作ったほうが安く上がるかもしれません。

安全対策費だけで総額1兆円超えというのは、
常識外の金額です。

このような事態を招いてしまったのは、
国民の不安・心配という感情があるため、
原子力規制委員会も厳しすぎるとも言える基準を
設けているからです。

例えば、対処すべきテロリスト攻撃も
定義があいまいなまま、最後には
「9.11のように飛行機が突撃してきたらどうするのか?」
というレベルまで対応することになり、その結果、
あり得ないほどの金額に膨らんでしまいました。

今の状況を見ていると、日本で原子炉を再稼働させるのは
もはや「経済的に」難しいと思います。

私は原子炉を稼働させられるなら、
そうするべきだと思っています。

原子炉を稼働させるメリットは無視できません。

一方で、国民が感情的に反対する気持ちもよくわかります。

そして、これは政府が福島第一原発事故で
何が起きたのか、という真実を国民に
真正面から説明していないからだと思います。

私はこのことを政府に何度も話し、
また原子炉を稼働させた場合、
どのように最終的な安全体制を構築するべきかという
方法についても説明しました。

地元、当事者、政府の3者間でどのような役割を果たし、
どのような組織を作れば良いのか。

政府には担当組織を作るように助言しましたが、
それすら担当者が変わり、今でも実現していませんし、
その他のことも何1つ形になっていません。

これではダメです。

福島原発事故と同じような状況になったら、
また混乱に陥るだけです。

私は基本的に原発賛成論者ですが、今の政府を見ていると
彼らに任せるのは不安だと感じてしまいます。

残念ですが、政府が今のままなら
やめたほうが良いと言うしかありません。



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※この記事は7月28日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は個人情報保護のニュースについて、
大前が解説しました。

大前は
「現代における『優越的地位の乱用』は何か」
と述べています。

過去に決められた規則は、
あくまでもその時代背景をもとに作られています。

その内容を現在もそのまま参考にするのではなく、

「現代にとっての○○は何か」

というところまで思考し、物事の本質を捉えることが大切です。

2019年07月26日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米経済/米移民政策/日米関係/ホルムズ海峡問題
〜批判をするだけでは何も生まれない

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米経済 トランプ政権の財政放棄
米移民政策 帰って犯罪がはびこる国家を立て直したらどうか
日米関係 ハガティ在日大使が7月中に辞任
ホルムズ海峡問題 ホルムズ通過、迫る踏み絵

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▼米国の株価が上がっているのは、景気が良いからではなく、単なる供給不足
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英フィナンシャル・タイムズは12日、
「トランプ政権、財政規律を放棄」と題する記事を掲載しました。

トランプ政権の大型景気刺激策により、
短期的に米国経済は加速したものの、
この好況が長く続く可能性は低いと指摘。

失業率が低下したとは言え、
働き盛りの労働参加率は過去最高のときよりも低く、
企業の設備投資も歴史的に見て突出して高いとは言えません。

一方、連邦政府の歳入のGDP比率は2年前から低下しているとし、
どこかの時点で高インフレ高金利時代が訪れ、財政と金融への
信任が損なわれる事態に至るかも知れないとしています。

トランプ大統領は減税を推し進めていますが、
その減少した歳入に見合う経済の膨らみを
生み出すことはできていません。

米国の財政収支の推移は悪化の一途を辿っています。

これは、大きな問題だと思います。

それでも米国の株式市場で株価は上がっている、という
主張もあるかもしれませんが、この米国の株高は
経済が上向いているからではありません。

株式を発行するコストが高くなってきて、
企業は融資や社債によって資金調達する方向へ流れています。

そのため、株の数そのものが少ないのです。

この状況に超金融緩和が追い打ちをかけて、
限られた少数の株を求めることになり、
値上がりしているに過ぎません。

つまり、株の供給不足という理由であって、
米国の景気が良いから株価が上がったわけではないのです。

実際、米国企業の業績は悪化する見通しです。

こうした米国経済の実態を見ると、トランプ大統領は
来年の大統領選挙まで持ちこたえることができるのか、
疑問に感じるほどです。



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▼トランプ大統領の移民への発言で、「覚醒」した識者もいる
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民主党の移民系の女性議員グループが、トランプ政権の
移民政策を批判していることを受け、トランプ大統領は14日、
「国に帰って犯罪がはびこる国家を立て直したらどうか」と
ツイートしました。

これに対して民主党だけでなく、与党共和党からも
批判の声が上がりましたが、トランプ氏は
「米国が嫌いで不満があるなら出ていけばいい」と主張しました。

多くの人がトランプ大統領に対して、
何様のつもりだと反感を抱いたと思います。

独メルケル首相なども女性議員グループに賛同の意を示しました。

一方この発言で「覚醒」した識者もいます。

外国人が米国籍を取得するときには、
米国への愛情を宣言し、口頭試問も受けます。

それにも関わらず、舌の根の乾かぬうちに
米国を批判するというのは、おかしいのではないか?というのが
トランプ大統領の主張です。

「ここまで言ってしまうの?」というトランプ大統領らしい
物言いは、決して褒められたものではありません。

しかし、米国を批判するばかりの民主党の一部の若手議員は
バランスを持つべきだ、というのは一理あります。

そして、これは日本の政治家にも当てはまることです。

私はトランプ大統領を決して好きではありませんが、
こういう議論が生まれて活性化するのは良いことだと思います。

国の在り方について、
批判をするだけなら簡単ですが何も生まれません。

解決策を提案するなら良いですが、
批判のための批判を繰り返している人が大勢います。

私は拙著「新・国富論」以来、数十年にわたって
日本という国の在り方について問題を提起し提案してきました。

しかし、日本全体でこうした議論が
活発になっているとは言えません。

今回の参議院選挙でも、結局、
日本という国の基本的な問題をどうすべきか、という点について
何も議論が進まなかったのは、非常に残念です。



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▼ハガティ在日大使の辞任発表について、日本は強く抗議するべき
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在日米大使館は16日、
ハガティ駐日大使が7月中に辞任すると発表しました。

2020年の上院選に南部テネシー州から
立候補することを受けた動きとみられています。

当面は、ヤング首席公使が臨時代理大使を務めるとのことです。

トランプ大統領もハガティ在日大使も、
これは絶対にやってはいけないことをやってしまいました。

同時に、それに対して日本政府が抗議をしていないのも
おかしいと思います。

一国の大使の任命について、本人にも相手国にも知らせず、
大統領が「ツイッター」で発表するなど前代未聞です。

ハガティ在日大使が赴任した際には、
天皇陛下にも挨拶をしていますから、日本からすれば
「日本政府」「外務省」「皇室」まで
全てが無視されたということです。

これは明らかに外交上の儀礼に反しています。

しかし、安倍首相はトランプ大統領に文句を言えない人ですから、
いまだに何も発言をしていません。

日本政府は強く抗議をすべきですし、
そうしないのは100%おかしいと私は思います。



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▼ホルムズ海峡でイランを追い込みすぎるのは危険
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日経新聞は20日、「ホルムズ通過、迫る踏み絵」と題する
記事を掲載しました。

中東のホルムズ海峡を通過する原油への依存度が高いインドが6月、
タンカー護衛のため独自に艦船2隻をペルシャ湾に派遣した一方、
同じく依存度が高い中国はイランとの友好関係から
米国主導の有志連合から距離を置く姿勢を見せています。

米国にはホルムズ海峡での協調を大義に
イラン包囲網につなげる思惑も透けて見え、米国、イランの狭間で
日本を含めた関係国は結束を試されるとしています。

イランは自由に動ける部隊を保有しており、
影響力が大きいため、非常に厄介な状況が生まれつつあります。

ジブラルタル海峡の外側で
シリアに向かっているイランの原油輸送船を
英国が拿捕したことを受け、
今度はイランが英国タンカーを拿捕しました。

話し合いだけで解決できるのか、不安になります。

来年、大統領選挙を控えたトランプ大統領が、
今、本格的にイランと事を構えるとも思えませんし、
簡単に決着はつかないと思います。

イエメン、シリアでもイランの影響力は大きいため、
サウジアラビアが不安定化することもあり得ます。

あまりイランを追い込みすぎると、
イランには反発力があるので
大きな事態に発展してしまう可能性があります。

特にお互いに1隻ずつ拿捕している
英国とイランの動きには要注意でしょう。



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※この記事は7月21日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は米移民政策について、大前が解説しました。

物事を批判的に考えることは悪いことではありません。

ただ、その批判は、
物事が好転に向かってほしいと考えての内容なのか、
それとも、単に相手の評判を落とすための内容なのかで大きく違います。

ある提案に対して批判的な意見を持った際には

「なぜそう思うか」
「自分ならどうするか」

自分の中で分解したうえで、論理的に提示することが大切です。

2019年07月19日(金) 
[1]〜大前研一ニュースの視点〜
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ドラッグストア業界/医療費問題/かんぽ生命保険/
 ホテルオークラ/HIS〜業界を俯瞰する視野を持つ

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ドラッグストア業界 始動、ドラッグ大型再編
医療費問題 病院処方の医薬品 2016年度で総額5469億円
かんぽ生命保険 不適切な保険販売で改善策
ホテルオークラ アエオン社のホテル運営を受託
HIS ユニゾHDにTOB実施

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▼どうせ統合するなら、コンビニへの対抗まで見据えて業界トップを狙え
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日経新聞は4日、
「始動・ドラッグ大型再編」と題する記事を掲載しました。

ドラッグストア、食品スーパー、コンビニの商材の重なりが
顕著になっていると紹介。

出店に飽和感が出始めた各業種がお互いの領域に進出するため、
プライベートブランドの供給や店舗の融合を進めているためで、
今夏にはマツキヨとスギ薬局によるココカラファイン争奪戦の
結論が出るなど、業界の大型再編が始まる見通しとしています。

ドラッグストア市場の売上高や店舗数を見ると、
どちらも伸びています。

売上高は7兆円に迫る規模です。

このような状況の中、2社でココカラファインの争奪戦を
繰り広げるというのはもったいないと思います。

私なら、スギ薬局、ココカラファイン、マツキヨの全てが
一緒になることを画策します。

業界5位、6位、7位の3社が一緒になることで、
一気に1位のウエルシア、2位のツルハなどを超える規模に
なれるからです。

薬ジャンルの商品で利益を出せるため、
他の商品価格をコンビニよりも安く設定できるのが
ドラッグストアのメリットですが、このくらいの規模になると、
さらにコンビニに対して一定の力を持つことができるはずです。

小さくまとまるのではなく、
これくらい大きな視野で考えて欲しいと思います。



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▼日本の将来を考えても、市販薬の購入を促すことが重要
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市販薬があるにも関わらず、
利用者が病院に通って処方される医薬品の総額が
2016年度で5000億円にのぼることがわかりました。

処方薬は自己負担が原則3割と市販薬より割安なことが
要因と見られますが、残りは税金や保険料で賄われるため
医療費の膨張につながっています。

風邪をひいて風邪薬を買うとき、
市販されていても、安く購入できるので、
わざわざ病院で処方してもらう人がたくさんいます。

こうしたことを抑制する必要があり、
そこで検討されているのが保険給付の見直しです。

例えば、テニスなどで痛めた部位に貼るような湿布薬、
アトピー性皮膚炎等ではない皮膚乾燥症に対する保湿剤など、
治療の根本に関わるものでないなら、
保険適用から除外するというものです。

主要国のGDPに占める医療費の割合を見ると、
米国がダントツに高く約16%、
欧州と日本は約10%に抑えられています。

しかし、日本の場合にはGDPが伸びておらず、
今後高齢者が増えていくので、この割合を維持するのが
難しくなっていくはずです。

こうした日本の状況を考えれば、
なおさら普通に市販薬で購入できるものを、
わざわざ病院に行って購入するのは避けるべきでしょう。



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▼かんぽ生命不正販売の根本的な原因は、過剰なノルマではなく経営陣
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かんぽ生命と日本郵便は10日、
不適切な保険販売が相次いで発覚した問題を受けて、
改善策を発表しました。

郵便局員への過剰なノルマが不正につながったと見て、
新たな契約を取った販売員に対する評価体系や報酬を見直す方針で、
二重に徴収していた保険料の返還も進めるとのことです。

営業ノルマでドライブをかけたことが不正につながったとのことですが、
かんぽ生命で起こっていたことは、本当に驚くべきことです。

結果、かんぽ生命は、保険料収入と経常利益が減少しているのに、
当期純利益は伸びているという異常な状態になっています。

どうしてこれほどひどいことが起こったのか?

かんぽ生命の役員構成を見ると、
約30名のうち16名は旧郵政省から、いわば天下りしてきた人たちです。

金融機関出身者もいますが、大半は金融の素人でありプロではなく、
まともな経営者がいないのです。

もともと単なる天下り先と思っている人たちですから、
売上を伸ばすとなっても、営業ノルマを課すことしか
考えられなかったのでしょう。

問題の根本はここにあります。

謝罪会見では頭を下げても、何も解決しません。

こうした素人経営陣は退き、
再出発するべきだと私は思います。



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▼今度こそ海外での成功を目指して欲しいホテルオークラ
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ホテルオークラは
ロシアの投資会社アエオンコーポレーションの建設するホテルの
運営を受託したと発表しました。

モスクワのシェレメーチエボ国際空港の近くに
300室規模の大型ホテルを建設する計画で、
和食レストランの他、温泉風の温浴施設も設け
日本流のサービスを提供するとのことです。

ウラジオストク、ハバロフスクなどを見ても、
ロシアにはあまり良いホテルがないので、
これは大きなチャンスだと思います。

モスクワ近辺なら、日本式サービスは受け入れられる可能性は
大いにあるでしょう。

ぜひここで成功してロシア全土に展開することを
期待したいところです。

ホテルオークラはこれまでにも中国上海、アムステルダムなど
積極的に海外進出を図ってきましたが、
大半は上手くいきませんでした。

今回は、同じ轍を踏まないように頑張ってほしいと思います。



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▼HISが敵対的TOBを仕掛けた背景・理由は?
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旅行大手HISは、ホテル事業などを展開するユニゾHDに対して
TOBを実施すると発表しました。

現在の保有比率4.5%から大幅な引き上げを目指すものですが、
ユニゾが提携協議に応じなかったとしており、
敵対的TOBに発展する可能性もあります。

ユニゾHDは興銀系の企業で、
不動産などをたくさん保有しています。

HISはすでに筆頭株主で、
その他は興銀系の企業が多くなっています。

借入が5000億円ありますが、含み益が2000億円ほどあるため、
株価が不当に安くなっていて、村上ファンド的に言えば
「狙い目」の案件と言えます。

HISの澤田会長が、
村上ファンド的な判断をしたということだと思います。

HISが展開している事業の伸び悩みが背景にあるのでしょう。

旅行事業などは値段が上がらずに過当競争に陥っていますし、
またハウステンボスも一時期の勢いがおさまり、
頭打ち状態になっています。

こうした状況を打開するために、HISの将来を考えたとき、
やらざるを得ないと澤田会長が判断したのだと思います。

ホテルそのものはインバウンド需要も高く、
圧倒的に数も不足していますから、リスクはそれほど高くありません。

しかし、敵対的TOBになったとき、
残り40%をHISが買い増していけるのかが問題です。

すでに値段が跳ね上がっているので、
私は難しいのではないかと見ています。



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※この記事は7月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、ドラッグストア大型再編のニュースについて
大前が解説しました。

大前は

「私なら、スギ薬局、ココカラファイン、マツキヨの
 全てが一緒になることを画策する」

と述べています。

業界内の競合他社とは、対立するだけでなく、
同じ方向をむいて共に進んでいく、という選択肢をとることもできます。

広い視野を持ち、
他の業界にひそむ真の競合に気付くことが大切です。

2019年07月12日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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参院選〜参院選はすでに政策を論じる段階ではない

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参院選 21日投開票へ選挙戦開始

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▼すでに選挙戦では、政策を論じる段階ではない
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令和時代で初の国政選挙となる参院選が4日、
告示され選挙戦が始まりました。

与党は秋の臨時国会で憲法改正議論を進めるため、
3分の2の議席獲得を目指します。

野党は老後資金が2000万円不足するとの報告書で噴出した
年金問題や10月に予定されている消費増税などを
争点とする見通しです。

21日の投開票に向けて論戦が繰り広げられると
報道されていますが、私に言わせれば、
すでに政策の議論をする段階ではなく、
もう「間に合わない」状況です。

今さら、野党が何を言っても
国民はそれほど耳を傾けないでしょう。

消費増税はもちろん、
年金問題であっても争点にはならないと思います。

金融庁さえ正しく理解できていない問題なので、
まともに議論できる人は誰一人としていないからです。

選挙戦に突入したら21日の投開票まで、あっという間です。

どの政党も印象勝負に出ますから、
政策の議論をする暇はありません。

安倍首相ですら、改憲の内容を提示していませんし、
本気で改憲を実行する気があるのか、
私は疑問に感じています。

そもそも、もしやる気になれば、
現状でも3分の2以上の議席を確保しているのですから、
改憲の発議はできたはずです。

それでも、もし安倍首相が本気で改憲に乗り出すなら、
第9条を対象とするだけでなく、憲法の根本から
見直してほしいと強く思います。

トランプ大統領によって、
日米安全保障条約は片務的だと批判されていますが、
ここまで踏み込んで考えるべきでしょう。

そもそも今の日本国憲法は、
GHQが日本を占領していた時代に作り上げたものです。

憲法を書き上げた中心人物は、
チャールズ・ケーディス民政局次長という人物で、
当時39歳の弁護士です。

マッカーサーからは、「天皇制の保持」
「戦争の放棄」「封建制の廃止」という3点について
明確な指示があったと言われています。

率直に言って、日本国憲法を見ると、
ケーディス氏の日本に対する理解は非常に浅かったと思います。

例えば、日本国憲法第8章では「地方自治」について
規定していますが、項目が並んでいるだけでほとんど
中身がない、と私は思います。

地方自治の章にも関わらず、地方自治体の定義もなければ、
地方議会の権限も定義されていません。

そのため、地方自治とは程遠く、地方は中央政府が定めた法律の
範囲内で条例を作ることしかできません。

細かい点を挙げればきりがありませんが、
今日本国憲法について私が最大の問題だと感じているのは、
先進国となった日本が世界で果たすべき役割について
何も書かれていない、ということです。

第二次大戦の直後でしたから、当時の最大のテーマとして
「二度と戦争はしない」「軍隊を放棄する」と書いたのは
良いとしても、今は時代が違います。

今の日本そのものの状況も、日本を取り巻く環境も、
そして世界が遭遇している問題も大きく変わっています。

そのような中で、日本は世界に対して、
どんな役割を果たしていくべきなのか。

私は、これこそ憲法で規定すべきだと思います。

今の日本国憲法は、内向き、下向き、後ろ向きの憲法です。

そうではなく、これからの未来を見据えて、
世界の中の日本を位置付けた前向きな憲法であるべきだと思います。

私は拙著「平成維新」「新・国富論」、
そして「君は憲法第8章を読んだか」の中でも、
ずっと私なりの憲法を提言してきています。

今回の選挙で改憲を争点とするといわれても、
自民党が提示しているのは、
憲法9条という非常に狭い範囲のことでしかありません。

それではお粗末に過ぎます。

野党はさらにお粗末な対案しか持ちあわせていません。

本当に改憲を争点とするなら、
国民を巻き込みながら4〜5年は議論するべきです。

今回の選挙で軽々しく改憲論を展開するのは無理があるし、
全く意味がないと思います。



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▼日本の政治レベルを低下させた要因は?
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日本の政治レベルが著しく低くなった要因はいくつかありますが、
その1つが日本の役人の影響力が低下し、
レベルが下がったことです。

これは役人の人事権を取り上げてしまった
安倍政権にも責任があります。

従来なら、事務次官が握っていた人事権が
政治家に移ってしまったため、役人が政治家に頭が上がらなくなり、
その結果、数多くの「忖度」が生まれることになっています。

かつての誇り高き日本の役人なら、
政治家の言いなりにならなかったのですが、
今の役人はすっかり牙を抜かれてしまった状態です。

そして、日本の政治レベルを低下させた最大の要因は
小選挙区制です。

以前の中選挙区制なら1つの選挙区から
複数人の議員が選出されましたが、
小選挙区制では1人のみです。

約人口30万人に議員が1人という割合になります。

1つの選挙区から複数人選ばれていたときなら、
余裕がある人は金融や外交といった「広い」「外側」のことに
目を向けることもできました。

しかし、小選挙区制になったことで、
議員は広いビジョンなどを語っている場合ではなくなりました。

端的に言えば、
「おらが村にいくつの米びつを持ってきてくれるのか」というような
非常に小さいレベルの話に終始するしかなくなったのです。

小選挙区制により、
国会議員が矮小化してしまったと私は思います。

小選挙区制を変えない限り、
日本には大きな発想を持てる議員は現れないでしょうし、
現れても選挙で選ばれません。

小選挙区制によって、
日本という国が不可逆的に矮小化してしまったのは
本当に残念です。



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※この記事は7月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、参院選のニュースについて大前が解説しました。

大前は

「改憲するならば憲法第9条を対象とするだけでなく、
 憲法の根本から見直してほしい」

「日本が世界に対してどんな役割を果たしていくべきなのか、
 憲法で規定すべき」

と述べています。

問題を解決するときには、現状の争点にとらわれず、
広い視野と高い視座をもつことで、
物事の全体像を把握することができます。

物事の本質は、争点の奥に眠っていることもあります。

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