2019年03月15日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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ライドシェア大手/自動運転〜自動運転の世界で勝ち残るカギとは?

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ライドシェア大手 ウーバージャパンと第一交通産業 タクシー配車で提携
自動運転 グーグル系独走

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▼ライドシェアでは、自動車メーカーのブランドが通用しない
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タクシー大手の第一交通産業とウーバー・ジャパンは4日、
タクシーの配車サービスで提携したと発表しました。

国内の配車アプリを巡っては、日本交通系のジャパンタクシーが
先行していますが、ウーバーは第一交通との提携でサービスの
提供地域を拡大し、日本での影響力を高める考えです。

第一交通は北九州に本社を置く企業です。

私はよく九州に出掛けますが、
第一交通のタクシーを指名することも多いです。

というのは、QRコードやSuicaの決済に対応していて
利便性が高いからです。(地域によっては利用不可)

ウーバーは日本進出で苦戦しています。

日本の法律ではウーバーの運転手になるには、第2種免許が必要です。

ゆえに第1種・第2種免許を持たないと、
日本では白タク扱いを受けますが、世界的に見れば、
「空いている人」が運転してくれるというだけで
特に大きな問題とならない国もあります。

こうした規制があるために広がらない、日本における
ライドシェアの問題も、第一交通のような企業が介在すると、
少しは前進する可能性があるので、期待したいところです。

ユニコーン企業の時価総額ランキングを見ても、
ライドシェア企業の躍進が目立ちます。

滴滴出行が3位、楽天が投資している米リフトも
上位に食い込んでいます。

また、ライドシェアと自動車メーカーの時価総額を見ても、
ライドシェア市場の将来性を感じます。

現在の時価総額ではトヨタが断トツですが、
米自動車メーカービッグ3(GM、フォード、クライスラー)の
時価総額合計と、ウーバーとリフト2社の時価総額に類する
推計企業価値が接近してきています。

そして、ライドシェア市場が大きく成長していこうとしている傾向は、
自動車メーカーが多い日本にとっては、脅威以外の何者でもありません。

オーストラリアのライドシェアサービスでは、
ほとんど日本製の自動車を使っていないように見受けられます。

値段が半額で性能にそれほど大きな差がないため、
韓国製や中国製の自動車のほうが選ばれているのでしょう。

実際、お客さんもライドシェアを使うときに
自動車のブランドを気にする人は少ないでしょう。

私がよく見かけるオーストラリアで走っている
ウーバー車の多くは、韓国のヒュンダイ製です。

これからのMaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)の時代、
日本車は相当苦労することになると思います。

今後、車を作るメーカーはトラブルを抱える立場として、
一層厳しい状況を迎えることになるでしょう。



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▼自動運転では、走って実績を作った人が勝つ
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日経新聞は8日、「自動運転 グーグル系独走」と題する
記事を掲載しました。

米カリフォルニア州で公道試験を行う各社の報告を
集計したところ、昨年1年間の走行距離は、
ウェイモが地球50周分に相当する約202万キロメートルでトップでした。

実用化を控えた競争が激しさを増しているとのことです。

自動運転の世界では、「走って実績を作った人が勝つ」ことになります。

たくさん走行していれば、もちろん事故は起こります。

しかし、そのたびにその事故から学び、AIは賢くなっていきます。

その点で、グーグルのウェイモは、
グーグルストリートビューを撮影するために、
世界中を「自動運転」で走行していて、その実績は圧倒的です。

地球何周目かに相当する距離を走っているときに事故を起こしていますが、
それは目の前の車が急にUターンをしたといった「例外」的な状況に
対応できなかった事故でした。

この事故から、またウェイモのAIは一段賢くなったはずです。

このような例外的な事例のデータがたまらないと、
自動運転は安全にはなりません。

だから、頭で考えるだけでなく、とにかく走りまくった人が勝ちます。

昨年1年間のグーグルのウェイモの走行距離は200万キロで断トツです。

その他自動運転の走行距離の上位を見ると、
上位7位までは米国企業が占めていて、中国企業が
続いているという状況です。

すでに、相当遅れている日本ですが、
いまだに自動運転の危険性ばかりが強調され、
自動運転で走らせる場所すらありません。

ところが、中国などは国が奨励して
積極的に自動運転で走らせようとしています。

深センではバスの自動運転の実験が行われているなど、
省や市町村単位で許可しているところもあります。

日本は車を製造する技術は世界一かも知れませんが、
自動運転のトラックレコードには
トヨタや日産でさえも上位に食い込めていません。

いくらトヨタや日産の優秀な人が、
研究室で頭をひねって自動運転のシステムを作ったとしても、
間違いなく事故はおきるでしょう。

飛行機などの過去を振り返って見ても、
事故がないものは安全にはなりません。

だからこそ、実績が重要です。

今からグーグルのウェイモに追いつくのは、至難の業でしょう。

ウェイモが自動運転技術を盗まれたとして
ウーバーと裁判になり、大きな話題になりました。

ある意味、実績に基づいたデータと
技術の貴重さを物語っていると言えるでしょう。

自動運転において出来上がった新しい序列を見ると、
上位にいるのは自動車メーカーではなかったという
状況になっています。

米GMは善戦していますが、
それでもウェイモの3分の1の実績に過ぎません。

日本勢は絶望的です。

自動運転は、「石橋を叩いて渡っていて」は
絶対にうまくいきません。

まず、この事実を認識してほしいと思います。



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※この記事は3月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、自動運転の実用化に向けた各社・各国の動きについて
大前が解説しました。

記事の中で大前は、
自動運転は走って実績を作った人が勝つ、と述べています。

自動運転における走行実績のように、
「その業界で勝ち残るために必要なカギ」のことを
「KFS(Key Factor for Success)」とよびます。

そして現状、テクノロジーが変化する中で、
ビジネスのKFSは時々刻々と変化していきます。

自動運転において出来上がった序列のトップに
自動車メーカーがいないところにも、
KFSの変化がよく表れています。

このような状況下でKFSを強化するためには、
自社の能力を高めるだけでなく、
他社との提携も含めて自社がとるべき戦略の選択肢を洗い出し、
動いていく必要があります。

2019年03月08日(金) 
[1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日産自動車/コンビニエンスストア/日本郵船〜世の中の変化は追い風にも逆風にもなる

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日産自動車 ゴーン前会長勾留100日
コンビニエンスストア コンビニ、「24時間」転機
日本郵船 豪華客船「飛鳥2」後継船建造へ

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▼ゴーン氏は絶対権力を手にしてから、おかしくなった
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毎日新聞は先月26日、「ゴーン前会長勾留100日」と題する
記事を掲載しました。

日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が、
最初に逮捕・勾留されてから100日が経過したと紹介。

東京地検特捜部は引き続き捜査を続けており、
前会長の指示でオマーンの販売代理店に約35億円が
送金された目的は、前会長の私的な借金返済目的だったと
見ているとのことです。

日産の西川社長は、「日産の改革を行ったのは
ゴーン前会長の力だけではなく、それぞれの現場の力もあった」
などと発言していますが、これは不要な発言だと私は思います。

ゴーン前会長の就任最初の5年間の成果は
素晴らしいものでしたし、それは認めるべきです。

問題とすべきなのは、その素晴らしい成果に安住して、
日産の会長になり、そしてルノー会長にもなって、
絶対権力を手にした後のことです。

ゴーン氏の悪事が始まったのは、そこからです。

日産としても、絶対権力を手にしたゴーン氏を
あまりにも信用して任せすぎたというのは問題です。

日産も訴えられている立場なので、
西川社長自身も本当に何も知らなかったのかどうか、
しっかりと検証する必要があります。

西川社長は決して傍観者ではなく、当事者の1人であり
言い訳できる立場ではありません。

フランス側は、ゴーン氏の個人的な、
あるいはルノーを巻き込んだ悪事が明らかになるにつれて、
事件発覚当初とは違い、日産に協力する態度に変わってきました。

ゴーン氏の悪事もこれだけ出てくると、
さすがに全てが嘘ということはないでしょう。

また、ゴーン氏が行ってきた悪事を見ていると、
自らの生い立ちと関係しているものが多いと気づきます。

ブラジルで生まれたゴーン氏は、幼少期をブラジルで過ごし、
その後レバノンのベイルートで中等教育を受けています。

ブラジル、フランス、ニューヨークなど日産を通じて
多額の資金を投資させていますが、特にレバノンの
ベイルートに対する投資額は異常です。

また、この地域の人との付き合いの様子を見ても
異常だと私は感じます。

完全に日産のガバナンスが効いていない
状況だったことを物語っています。

ゴーン氏は陳述において、
「日産や日本を愛している」と述べていました。

しかし、結局のところ、
「一番愛していたのは自分だけ」だと感じてしまいます。



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▼コンビニ本部による契約を盾にしたゴリ押しは通用しない時代になってきた
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日経新聞は先月27日、「転機の24時間営業 コンビニ、
一部加盟店の反対先鋭化」と題する記事を掲載しました。

加盟店オーナーらが作るコンビニ加盟店ユニオンが、
終夜営業を見直すよう、最大手のセブン―イレブン・ジャパンに
要求したと紹介。

コンビニ各社は利便性と収益の基盤となる24時間を
維持する考えですが、人手不足や働き方改革の流れを受けて
逆風は強まっており、フランチャイズチェーン(FC)方式で
店舗を拡大してきたコンビニの急所にもなりかねない、としています。

コンビニは、本部が圧倒的に強い力を持ち、統制しています。

各店舗の商品の陳列についても本部の意向に逆らうことができません。

そうした契約書にフランチャイズオーナーはサインをしているからです。

先日、東大阪のセブンイレブンのオーナーが、
2月から営業時間を19時間に短縮すると公表しました。

当然、契約に従うなら違約金の支払いが発生し、
本部は時短営業を一切認めることはないでしょう。

ところが、セブンイレブン本部は一旦従来通りの対応を見せましたが、
方針を変更したかのように、24時間営業の見直しに向け、
時短営業の実証実験を開始しました。

これは、ブラック企業が世間で話題になり、人手不足で夜間に
働いてくれる人も少なくなってきている状況を踏まえ、
従来のような対応をすると「炎上」すると判断したからだと思います。

私も従来通りの対応のままだと「炎上」するだろうと感じましたし、
実際に「炎上」しかけました。

本部の統制だけでなく、現場の経営者の判断が入る余地を作らないと、
今後は上手く機能しないでしょう。

本部の命令で命に関わるような過剰労働を強いられるというのは、
やはり改善されるべきことだと思います。

有効求人倍率を見ても、商品販売の職種は2.5倍の数値になっていて、
特に人手不足が激しい状況です。

セブンイレブン本部は、今後も炎上しないように
丁寧に対応する必要があると思います。



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▼クルーズ船市場は、日本式にすることでまだまだ伸びていく市場
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日経新聞が先月27日報じたところによると、日本郵船が
豪華客船『飛鳥2』の後継船を建造し、2020年代半ばにも
投入する見通しが明らかになりました。

建造費は最大600億円になる見込みで、国内でも
クルーズ旅行の市場が広がっていることを受け、
既存船も運行を継続し、2隻体制にするとのことです。

日本郵船は三菱系の企業なので、
従来であれば三菱重工が製造するという流れです。

しかし、火事やトラブルを起こしたこともあり、
三菱重工そのものが大型客船製造から事実上撤退するので、
今回の豪華客船をどの企業に発注するかも気になります。

発注先の課題が残る一方で、
クルーズ船市場には大きな魅力があるのは確かです。

日本人のクルーズ乗客数の推移をみると、2002年の約15万人から、
2016年には25万人、そして2017年には30万人と増加しています。

私はさらに伸びると感じていて、
おそらく100万人を突破することはそれほど難しくないと思います。

というのは、今運行しているクルーズ船の多くは、
日本人のニーズを捉えておらず、そこを改善すれば
もっと多くの集客が見込めるからです。

今、日本人が乗っているクルーズ船のほとんどは、
イタリアやノルウェーなどの欧州系の豪華客船、
またはアメリカ系の豪華客船です。

ところが、これら欧米の豪華客船は、
日本人には「向かない」ところが多いのです。

例えば、夜になると正装して食事に行きますが、日本人は
ドレスアップするよりも、夜は浴衣を着てドレスダウンしたい、
という人も多いはずです。

またキャビアから始まるような豪華な食事をお腹いっぱい食べて、
その後ダンスに興じるというのも日本人には向かないと思います。

お風呂も大浴場で広々したものに入りたいと思うのが日本人です。

欧米の豪華客船とは違う、日本式の豪華客船で日本人らしいニーズを
汲み取ることができれば、さらに市場は拡大すると思います。

豪華客船の旅は、歩き回る必要もなく、
ボケッとしていても気持ちよく過ごせるので、
その意味でもポテンシャルが非常に大きい市場です。

ぜひ、日本人らしい過ごし方ができる
日本式の豪華客船を製造して欲しいと思います。



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※この記事は3月3日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、セブンイレブンやクルーズ船のニュースについて
大前が解説しました。

セブンイレブンのニュースの裏側には、
慢性的な人手不足と働き方改革の流れがあります。

クルーズ船のニュースの背景には、クルーズ旅行の
市場拡大があり、大前はさらなる市場の伸びについて、
理由とともに言及していました。

事業運営では、世の中の変化にあわせて常に進化するだけでなく、
世の中の変化を先取りして動くことが求められます。

そのためには、マクロな変化だけでなく、
日々の仕事で発見する新たな変化の兆しも見逃してはいけません。

次にとるべき行動のヒントは、
意外にも身近なところで見つかるものです。

2019年03月02日(土) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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ホンダ/イギリス情勢〜ホンダの決断と英国のEU離脱に関係はあるのか

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ホンダ 2022年までにイギリス工場を閉鎖
イギリス情勢 最大野党・労働党8人が離党

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▼ホンダのイギリス工場閉鎖は、EU離脱の影響ではない
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ホンダは英国工場を2022年までに閉鎖すると発表しました。

欧州の四輪事業は販売低迷から赤字が続き、
工場の稼働率も低迷していました。

英国の欧州連合(EU)離脱に伴い欧州事業の不透明感が一段と
増したことから、英国における生産撤退に踏み切る考えです。

今回のホンダの発表は、「タイミングが悪かった」と思います。

日産が数週間前に、欧州市場向けのエクストレイルの生産拠点を、
当初計画の英国から日本の九州工場に変更すると発表していたため、
ホンダが工場を閉鎖して約4000名を解雇するということが、
より大きな事態として受け止められてしまいました。

そして何より、英国のEU離脱のタイミングと重なったことです。

英国メイ首相にも「ホンダの決定には深く失望している」と
言われてしまいましたが、今回のホンダの工場閉鎖は
英国のEU離脱とは本質的に関係ありません。

ホンダの世界戦略の中で欧州の事業展開が上手くいかないので
撤退する、というだけの話です。

実はホンダの車はあまり欧州では売れていません。

ホンダにしては珍しく買収なども仕掛けて、積極的に
欧州市場の開拓を試みましたが、英国での生産台数は
わずか年間16万台でトップのジャガー・ランドローバーが
約44万台、2位の日産もほぼ同じくらいの数字ですから、
半分以下の水準です。

ホンダが、発表のタイミングをずらして、
英国のEU離脱が何かしらの形で落ち着く3月29日以降にしていたら、
報じられているほど“衝撃”として受け止められることは
なかったでしょう。



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▼EU離脱の期限が迫る中、まず時間を止めることが大事
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英最大野党、労働党の穏健派議員8人は、党指導部が
EU離脱を支持していることや党内で人種差別、威嚇、暴言の
文化が拡大しているとして、先月19日までに離党しました。

一方、与党の保守党もメイ首相の離脱方針への反発から
議会採決への造反が相次いでおり、3月末に予定する
離脱に向けて、英国政界の混乱は一段と深まってきました。

最初に離党した7人に続いて1名加わり、合計で8人が
離党する事態になり、コービン党首には全く指導力がない
ということが判明してしまいました。

離党した8人が主張しているのは、
「再投票をやるべき」ということです。

同じ考えを持つ人は保守党の中にもいて、同様に3人が
離党しています。

議員全体の割合から見れば、11人はわずかですが、
今後この11人の勢いが増していく可能性は大いにある
と思います。

メイ首相を批判するコービン党首ですが、
もう1歩踏み込んで決断できていません。

「再投票する」とは明言せず、とりあえずメイ首相を
辞任まで追い込む動きを見せていますが、要するに
伝統的な野党のやり方を踏襲しているだけです。

また、他の内閣のメンバーも、日々意見が変わっている
ような様子で頼りになりません。

誰もが苦労しているメイ首相を目の当たりにしています。

しかし、メイ首相をクビにして自分が代わりに首相になろう
という人はいません。

誰も火中の栗を拾いたくないと思っているのでしょう。

メイ首相は、何度もEUに足を運んで相談していますが、
まともに取り合ってもらえていません。

メイ首相自身が英国議会で通せないものを、他国の人間が
合意したところで意味がない、とでも言われているのでしょう。

このような状況で、EU離脱の期限である3月29日は
刻一刻と迫ってきています。

期限を延長するなり、離党の届け出を撤回するなり、
何かしら時計の針を止める動きを取るべきだと私は思います。

とても期限までに事態を収拾できるとは思えません。

一方でEUから見ると、英国がEU離脱で苦しめば苦しむほど、
他の国の結束が強くなるという良い側面もあります。

例えば、デンマークなどは英国に続いてEUから離脱を
考えていた国の1つですが、これだけ苦労している姿を見て、
今はEU離脱はやめておこうという気持ちになっていると思います。

先日のフォーチュン誌に「アイルランドが冠をかぶる?」
という趣旨の記事が掲載されていました。

英国がEUを離脱した場合、アイルランドが取って代わって
漁夫の利を得るシナリオになるのではないか、ということです。

これは大いにあり得ると思います。

英国がEUを離脱するとなったら、スコットランド、
北アイルランド、ウェールズが英国から独立して、
それぞれがEUに残りたいというでしょう。

つまり、イングランドだけがEUを離脱するという構図です。

そのとき、中心勢力になるのは、アイルランドです。

しかし、もしその状況になると分かれば、そもそも
イングランドもEU離脱をするのをやめたいとなるでしょう。

何とも冗談でやっているのかと思うほど、おかしな事態になっています。



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※この記事は2月24日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、ホンダの英国工場の閉鎖について大前が解説しました。

EU離脱の議論が大きく注目されている中でのホンダの発表に
英国では衝撃が走っています。

ただし、ホンダの撤退と英国のEU離脱を結び付けて考える前に、
なぜこのような決断をしたのか、冷静に考えることが大切です。

実際、ホンダのヨーロッパ戦略という文脈で読み解くと、
今回の発表は英国のEU離脱とは本質的に関係なく、
ホンダの世界戦略を踏まえた決断である、という事実が見えてきます。

目の前で起きている事象を本質的に理解するためには、
キーワードから身近なニュースに短絡的に紐づけるのではなく、
背景に何が存在するのか、丁寧に見極める必要があります。

2019年02月22日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日本マクドナルドHD/ニューロ/ドン・キホーテ〜データが語る深刻な現状

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日本マクドナルドHD 連結営業利益250億円
ニューロ ソフトバンクグループから約1040億円出資
ドン・キホーテ ドンキ社名変更、創業者復帰のワケ

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▼マクドナルドの実態は、営業利益が横ばいで売上は半減
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日本マクドナルドホールディングスが12日発表した
2018年12月期連結決算は、営業利益が前期比約32%増の
250億円でした。

夕食の時間帯の新サービス「夜マック」が好調だったほか、
既存店の改装などでファミリー層が増えたことなどが寄与した
とのことです。

私はカサノバ氏が社長に就任したとき、マクドナルドは簡単に
上手くいかないだろうと思っていました。

日本の中食マーケットは、コンビニ、牛丼チェーン店などの
競合が多く、厳しい市場だからです。

マクドナルドの業績をV字回復させたのは見事ですし、
十分な功績だと思います。

しかし、そのV字回復も過去の話であり、現状はすでに
純利益は減少傾向にあります。

マクドナルド全店で業績の好調さをアピールしていますが、
それはちょっと違います。

また、売上高は約10年前の売上高4000億円から2000億円に
半減しています。

夜マックのヒットなどがあり、一部利益が回復しているものがあっても、
売上が低迷しているのはかなり深刻だと言わざるを得ません。

結局のところ、日本の中食マーケットは、うどん、そば、
牛丼チェーンを始め、相変わらず厳しい状況が続いている
というのが実態です。



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▼宅配事業の難しさ。再配達問題に画期的な解決策はない。
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自動運転技術を開発する米新興企業のニューロは11日、
ソフトバンクグループから9億4000万ドル(約1040億円)
の出資を受けたと発表しました。

ニューロは米国内で自動運転車を使った食料品などの
宅配サービスを始めており、調達した資金をサービス提供地域
の拡大などに使う計画とのことです。

率直な私の感想を言えば、「10兆円という潤沢な資金があるので、
やりたければやればいい」といったところです。

孫正義会長は”人の金でリスクを取る”のが上手いと言われますが、
今回もまさにその事例でしょう。

今回ソフトバンクグループが出資したニューロが手がける
宅配サービスというのは非常に難しいものです。

私自身、生鮮食品の宅配事業を15年間経験しました。

最終的に黒字の事業に成長させましたが、
苦労も多くありました。

特に「再配達」の問題には悩まされました。

いまだに革新的な良い解決方法はない状態です。

施錠ができる限定された場所があれば良いのですが、
例えば新しいマンションにある宅配ボックスなども
圧倒的に数が不足しています。

ゆえに、現実には再配達を避けるために荷物を玄関先などに
置いておく、という方法が取られます。

しかし、これは非常に危険です。

例えば、悪意を持った人が「毒物」を入れることさえあり得ます。

そこまで危険ではなくても、第三者が荷物を持って行って
しまう可能性があります。

実際、米国では置かれた荷物の約1割はそうなっているそうです。

確実に安全に荷物を置いておくための場所として、
ガソリンスタンドやコンビニなどを活用することなども、
私は考えたこともありますが、都心の店舗は狭く、
荷物を置く場所を確保しきれないなど問題がありました。

結局、再配達の問題を解決する唯一の方法は、
「再配達しない」ことです。

すなわち、配達をする前に確実に本人と連絡を取って
手渡すことです。

今回ソフトバンクが出資をした配車サービスも、自動運転車で
配達に行く前に、スマホで本人に連絡を取るのではないかと思います。

そもそも、受け取る人がいないのに、自動運転車で配達に
行ってしまったらせっかく自動運転車を利用するメリットも
ありません。

再配達という問題にどのように対処できるサービスになっているのか
という点は、重要なポイントでしょう。



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▼ドン・キホーテに大転換の必要性があるのか?
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日経ビジネスは12日、「ドンキ社名変更、創業者復帰のワケ」
と題する記事を掲載しました。

ドン・キホーテホールディングスが1日、社名を
「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」
に変更するとともに、2015年にCEOを退任した創業者の
安田隆夫氏が取締役に復帰しました。

安田氏は近年、シンガポールなどの海外事業を統括し、
同社の店舗は現地でも知名度を上げてきているとのことで、
大企業病や管理職の慢心が懸念される中、今回の動きは
「異端児」としての気風を取り戻すための大転換
と見る関係者が多いとしています。

安田氏が復帰し、社名が「パン・パシフィック・
インターナショナルホールディングス」になるということですが、
私はどうしてもこの社名にしっくりきません。

こう感じるのは私だけでないはずです。

おそらく「ドン・キホーテ」という名称のほうが業界の人には
畏敬の念を持ってもらえると思います。

ユニー・ファミリーマートホールディングスが、ユニーの経営を
ドン・キホーテに託したのも、「ドン・キホーテ」という
“名前が持つ力”にも期待していたはずです。

「パンパシフィック」という名前は、かつて東急ホテルが
展開していたものです。

この名前が、ドン・キホーテが目指すものと相容れるのかどうか
私には疑問です。

そもそも、異端児の気風を取り戻す「大転換」をする
必要があるのでしょうか。

私はその必要性も感じません。



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※この記事は2月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日本マクドナルドHDの業績について大前が解説しました。

新聞などのニュースでは、V字回復が取り上げられていますが、
実際のデータを見ると、純利益はすでに減少傾向で、
売上高も約10年前から半減していることがわかります。

このように、関連するデータまで確認することで、
周囲の言葉に惑わされることなく、正しく現状を認識することができます。

また、短期的な変化だけでなく、
10〜20年の長期スパンでデータを見ることも重要になってきます。

問題解決の基本は事実ベースで考えることです。

ニュースをそのまま受け取るのではなく、
関連データまで確認し、事実ベースで考えることが問題解決の第一歩です。

2019年02月15日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米朝首脳会談/INF全廃条約〜他人事ではないミサイルの脅威

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米朝関係 日本にも影響及ぶ朝鮮戦争「終戦宣言」の現実味
INF全廃条約 核条約の死、日本の選択は

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▼終戦宣言は、日本に対する北朝鮮の脅威を意味する
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東洋経済オンラインは4日、『日本にも影響及ぶ朝鮮戦争
「終戦宣言」の現実味』と題する記事を掲載しました。

これは2月下旬に行われる2回目の米朝首脳会談で、
トランプ大統領が「終戦宣言」をする可能性が高い
と指摘しています。

トランプ氏がこれまで朝鮮半島に張り付かせていた米軍を
撤退したいと考えていることが要因で、実現した場合には
日本にも駐留米軍や安保体制の見直し、及び北朝鮮との関係改善を
迫られる可能性があるとしています。

韓国の文在寅大統領も米トランプ大統領も、ノーベル平和賞に
取り憑かれている状態だと思います。

文在寅大統領の頭にあるのは、かつての上司であった
金大中元大統領です。

金大中元大統領は金正日総書記と南北首脳会談を実現して、
ノーベル平和賞を受賞しました。

自分も同じようになりたい、と考えているのだと思います。

そして、米トランプ大統領も朝鮮戦争の「終戦宣言」を行い、
その功績でノーベル平和賞を狙っているのでしょう。

それが自らの大統領続投へつながると考えているはずです。

朝鮮戦争は、1953年に休戦したまま、実はまだ「終戦」していません。

南北の平和条約は締結されていない状況です。

米国の大統領に、朝鮮戦争の「終戦宣言」を行う権利が
あるのか?と言うと、上院の3分の2の同意と助言があれば、
憲法に抵触しない限り可能となっています。

もちろん、民主党は反対すると思いますが、
上院では共和党が有利ですから、トランプ大統領としては
終戦宣言をして平和条約の締結に結びつけたいところでしょう。

先の中間選挙で大敗したので、ここで朝鮮戦争の終戦宣言と
平和条約の締結によって、自分の功績を残し、大統領を継続する
資格があることを周囲に示したいからです。

日本への影響という点で、日本周辺の兵力を見ていると、
朝鮮半島の北側にロシア・北朝鮮・中国が非常に大きな軍備を
抱えていて、韓国・在韓米軍が南側で対抗する形をとっています。

そして周辺の兵力として、日本・在日米軍・台湾軍が存在し、
にらみ合っている状況です。

このような状況で韓国が抜けるとなると、在韓米軍は一気に減少します。

そうなると、沖縄が北朝鮮に対する最前線基地になると同時に、
日本全体にとっても非常に大きな問題が生じます。

それは北朝鮮のミサイルの脅威が日本に向かってくる可能性が高いからです。

今の状況だと米国に対する長距離弾道ミサイルは、遠慮して
発射する可能性は低いと思います。

短距離ミサイルの射程圏内にある韓国が、北朝鮮と平和条約を締結して
ミサイルの危機を回避すれば、残るのは「中距離弾道ミサイル」の脅威です。

中距離弾道ミサイルの射程圏内のターゲットはまさに日本ですから、
この問題は決して他人事ではありません。

日本の防衛費は対GDP比1%を下回っています。

貧弱ではありませんが、他の国に比べると明らかに米国の
軍備に頼っています。

日本だけでは、北朝鮮の脅威を回避するのは難しいでしょう。




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▼INF全廃条約の破棄は、日本と欧州がロシアのターゲットになることを意味する
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日経新聞は8日、「核条約の死、日本の選択は」と題する記事を
掲載しました。

これは米国とロシアが、中距離核戦力(INF)全廃条約の履行を
停止したと紹介。

日本がやるべきことは、現在進めているロシアとの平和条約交渉に
アジア極東への中距離ミサイル配備を控えるように要請すること、
米国の「核の傘」が揺らがないように日米の連携を強化することだ
としています。

米ロ間では、戦略兵器削減条約において大陸間弾道ミサイルの
保有数などが全体的に制限されています。

そして、中距離弾道ミサイルについては、ゴルバチョフ書記長と
レーガン大統領の時代に中距離核戦力(INF)全廃条約が締結されました。

ところが、実質的にこの条約は「ほぼ破棄」されたも同然の
状況になっています。

米国はトマホークを開発し、いつでも中距離以上の核弾頭ミサイルに
応用することが可能な状況です。

一方ロシアも、地上発射型巡航ミサイル「9M729」を開発していて、
シリアの軍事介入でも巡航ミサイル「カリブル」を使用、その威力は
証明されています。

そして今、米国もロシアも相手が条約を破棄するのであれば、
それを受け入れる姿勢を示しつつあります。

INF全廃条約が破棄されれば、核兵器開発競争及び
ミサイル開発競争が再開されます。

これは日本にとって決して他人事ではありません。

ロシアからの中距離弾道ミサイルの射程圏内500キロというのは、
欧州と日本がターゲットになるからです。

INF全廃条約を破棄させないように、日本としては全面的に動くべきです。

今の日本の対応は静かすぎます。

もっと強く主張するべきです。

決して米国とロシアの問題ではありません。

日本と欧州がターゲットになる戦いにつながっていくのだということを
理解して、もっと重く受け止めるべきだと私は思います。




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※この記事は2月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、米朝首脳会談やINF全廃条約など、
日本を取り巻く世界情勢とその脅威について、大前が解説しました。

北朝鮮・ロシアからの中距離弾道ミサイルの射程圏内に位置している日本。
一見、他国の問題にみえていても、これらが日本に大きな影響を及ぼす
可能性は十分にあり、決して他人事ではありません。

近い将来、大きな変化が起きる可能性があるのであれば、
まずは自身や周りへの影響を冷静に分析する必要があります。

そのためには、定量情報だけでなく、
その背景に存在する定性情報も掴んでおくことが大切です。

日頃から視野を広く持ち、情報に対する感度を高めることが、
突然訪れる危機への対応力を上げていきます。

2019年02月08日(金) 
[1]〜大前研一ニュースの視点〜
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国内経済/統計不正問題/野村HD/曙ブレーキ工業〜データの裏にある本当の理由

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国内経済 景気回復が「戦後最長の可能性」
統計不正問題 2018年の実質賃金伸び率
野村HD 最終赤字1012億円
曙ブレーキ工業 事業再生ADRを申請

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▼数値と手取り収入の違いが、根本的な問題となっている
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政府は先月29日に公表した1月の月例経済報告で、
景気の総括判断を「緩やかに回復している」に据え置き、
2012年12月から始まった景気回復の期間が戦後最長となった
可能性があるとしました。

回復を牽引しているのは、収益が過去最高水準にある
企業業績で、人手不足を背景に企業が省力化・電動化の投資を
増やす一方、女性や高齢者の労働参加が進み、個人消費を
支えている現状とのことです。

景気回復の期間が戦後最長と言われても、
ピンと来ない人も多いと思います。

ここには統計上の問題があり、私たちが感じる実態とは
かけ離れているからです。

一例をあげれば、社会保障費の負担増です。

国民が受け取る可処分所得に置き換えるとマイナスに
なりえるからです。

実際、多くの人は給料が上がっている感覚はないでしょうし、
景気が良くなっているとも感じていないでしょう。

当然のことながら、物価も上がっていません。

統計上の問題は、毎月勤労統計でも別の形で露見しています。

毎月勤労統計の不適切調査問題を巡り、厚生労働省は
先月30日の野党合同ヒアリングで、2018年1〜11月の実質賃金の
伸び率が大半でマイナスになるとの見方を示しました。

これまでは1月〜11月のうち5ヶ月はプラスでしたが、
野党側が示した専門家による試算ではプラスはわずか
1ヶ月のみで、これを受けて野党側は物価の変動を考慮しない
名目賃金の参考値だけでなく、生活実感に近い実質賃金の
参考値を公表するよう厚生労働省に求めました。

厚生労働省も、野党側が算出した計算で合っていると
認めてしまいました。

安倍首相はアベノミクスの効果は出ていると主張していますが、
これを見ても成果が出ていないのは火を見るより明らかです。

政府の能天気さには呆れるばかりですが、それ以上に
統計上の問題としても重大に受け止めて対処すべきだと思います。

これだけ統計数値に問題が出ているのは、
数値算出の方法などに根本的な問題があるからです。

本来は実地調査すべきものを郵送ですませたり、
全数で算出すべきものを少ないサンプル数ですませたり、
統計を取る方法にも杜撰な点があるはずです。

今回問題になったことを良い契機として、学者も合わせて
何が実態を表しているのかをあらためて議論して、
再度計算し直すべきだと思います。

そして過去に遡って数値を再計算してほしいと思います。
そうしなければ日本の実態は見えてきません。

この手の統計上の問題は、日本に限らず各国が
抱えているものですが、日本は今後きちんとした数値を
出して欲しいと強く思います。



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▼野村の減損処理と曙ブレーキのADR申請には、本当の理由が隠れている可能性がある
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野村ホールディングスが先月31日発表した2018年4〜12月期の
連結決算は、最終損益が1012億円の赤字となりました。

米中貿易摩擦など市場環境が不透明な中、個人向けの営業が
落ち込んだほか、2008年に買収した米リーマン・ブラザーズ
などの資産評価見直しに伴い、814億円の減損損失を
計上したことが響いたとのことです。

インスティネットとリーマン・ブラザーズの減損処理が
大きかったとのことですが、私は「怪しさ」を感じます。

どちらも、すでに10年以上前から保有しているわけですから、
もし減損処理が必要なら、もっと前にのれん償却を
しているべきです。

それを「なぜ、今なのか?」と考えると、昨年の12月に大きく
落ち込んで損失が出たので、それを言い訳にして全て
まとめて処理してしまおう、ということだと思います。

おそらく、これまでの経営陣が先延ばしにしてきた減損処理を、
会計事務所も合意の上で厄介払いしたのでしょう。

同じように、本当の理由を隠しているという「怪しさ」を
感じたのが、曙ブレーキ工業の事業再生ADR申請のニュースです。

曙ブレーキ工業は先月30日、事業再生実務家協会に対して、
私的整理の一種「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」の
申請を行い、受理されたと発表しました。

曙ブレーキは自動車のブレーキ製品を手がけ、売上高の半分を
米国市場が占めていますが、リーマン・ショック後の景気回復で
各社から増産要請が相次いだ一方、負荷の増大による設備の故障や
人材不足などで事業の混乱が続き、収益が悪化していたとのことです。

GMの次モデルの失注が大きく影響したと発表していますが、
そもそも国内の自動車生産は落ち込み、曙ブレーキの業績は
営業損益マイナスの状況が常態化していました。

曙ブレーキの業態を考えれば、本来、ここまで経営が
おかしくなることはありません。

しかし、GMに目をかけてもらって米国で大きくなって、
米国でまともに経営できるボリュームを超えた結果、
ミス・マネージメントが起きたのでしょう。

つまり、米国において巨大化した会社を、
まともに経営管理できる人材がおらず、また機能させるシステム
がなかったことが、本当の問題だったと私は見ています。

米国で管理不能状態に陥っていた事情を
トヨタもよく知っていたのでしょう。

ゆえに、救済もせずに今回のADRに踏み切ったのだと思います。



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※この記事は2月3日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、月例経済報告や毎月勤労統計、連結決算や
ADR申請の発表など、政府・企業が公開したデータやニュース
の裏側にある可能性について、大前が解説していました。

政府や企業の主張に対して、個々のデータやこれまでの
経緯に目を向けていくことで、その裏側にある背景や、
別の可能性が見えてくることがあります。

「景気が回復しているというが、なぜ実感できない人が多いのか?」
「10年前に買収した企業の減損処理がなぜ今行われたのか?」
「GMの次期モデル失注の影響で全体の資金繰りが悪化するほど、
 依存度が高かったのか?そもそも売上構成・財務体質は
 どうなっていたのか?」

報道されるニュースや政府・企業の発表に対して、少しでも
疑問を持ったら、統計や決算書・財務諸表、企業情報などを
集めて、読み解いていくことで、別の側面が見えてきます。

ただし、情報収集と分析を行うには、情報の集め方や見るべき
ポイントを理解するなどの「コツ」があり、それらを習得するには、
実践を交えた継続的な訓練が必要となります。

まずは日々入ってくる情報をそのまま受け入れず、
「本当にそうなのか?」と疑問を持つ習慣づけからはじめて
みることで、ニュースやデータの見方が変わり始めます。

日々報道されるニュースやデータには、意図的な「狙い」や
「思惑」が入ったものも多いため、常に疑ってかかる姿勢を
持つことが重要です。

2019年01月25日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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奨学金制度/転職市場/国内金融業界/モラトリアム法〜キャリア向上と日本の金融機関が置かれた状況

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奨学金制度 保証制度の見直しに着手
転職市場 デジタル革命、越境転職促す
国内金融業界 金融×IT、銀行巻き返し
モラトリアム法 モラトリアム法、負の遺産

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▼奨学金は普通に銀行から借りるようにすべき
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日本学生支援機構が実施する貸与型奨学金について、
文部科学省が保証制度の見直しに着手することが分かりました。

長期の延滞が増加し、制度を圧迫している現状を踏まえ、
奨学金を借りるすべての学生から借入額に応じて
一定額を保証料として徴収する検討に入ったもので、
これにより制度は安定する一方、学生の負担は増える見通しです。

まず私が思うのは、奨学金の対象を大学と考えるのであれば
義務教育ではないのですから、本来は国が支援する必要はない、
ということです。

必要な人は銀行から普通にお金を借りれば良いのです。

そして、大学に通うことに価値があり、その価値が
上がったことで給与も高くなり、その分で返済ができるという
認識を持つことが大事だと思います。

そうなれば、銀行側としても貸出先がなくて困っていますから、
受け入れてくれるはずです。

公的な奨学金だと思うから返済が甘くなるのであって、
銀行であれば取り立ても行うでしょうから
返済率も改善するでしょう。

公的な就職先であれば返済を免除するなどの条件も
私は不要だと思います。



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▼異業種間の転職は、給与・キャリアの向上にも良い
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日経新聞は15日、「転職市場 デジタル革命、越境転職促す」
と題する記事を掲載しました。

2017年度に同じ業種の中で転職した人は、
2009年に比べて2.07倍だった一方、異業種への転職は
2.98倍にのぼったと紹介。

IoTやAIなどデジタル技術で事業を変革する動きが
各業種で広がり、データの取得や分析を行うエンジニアの
需要が高まっていることが要因で35歳を超えると就職先が
見つかりにくくなる年齢の壁も崩れ始めているとのことです。

これは非常に健全で良い傾向だと思います。

エンジニアの人がサービス業や銀行などの異業種に転職すれば、
そういう人材が不足していますから、大いに活躍が期待できますし
給与も上がり、キャリアも広がっていくと思います。

一方、サービス業などの業界にいた人がエンジニア業界に
転職しても、実際のサービスとして実現する内容などを
エンジニアに明確に伝えられるようになるので、
これも意味があると思います。

これまでの転職というと同業種間が多かったのですが、
このような異業種間の転職は非常に効果的だと思います。



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▼稚拙なAI融資から始まる日本/モラトリアム法は日本が抱え込んだ爆弾
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3メガ銀行と地銀など18社はベンチャー企業と新会社を
設立し、人工知能(AI)を駆使した中小企業向け融資に
参入する共通のデータ基盤をつくる見通しだと紹介。

日々の決済情報を審査に使えるよう解析するシステムを
開発する方針で、これによりAI融資で先行する
アマゾンやリクルートなど異業種組みに追いつきたい考えです。

中国のアントフィナンシャルに比べると、
ほとんど幼稚園のレベルですが、それでもこういうことから
始めていかなければ金融業界も生き残れない、
ということでしょう。

とても「銀行の巻き返し」とまでは言えませんが、
今後に期待したいところです。

日経新聞は15日、「地銀波乱 モラトリアム法 負の遺産」
と題する記事を掲載しました。

リーマン危機後の2009年12月、民主党政権が中小企業の
借金返済を猶予するよう銀行に求めた
中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)の施行から
10年が経過したと紹介。

しかし、その後の稼ぐ力が回復せず、経営破綻に追い込まれる
企業が続出し地銀の不良債権処理損額は
2018年4-9月期に8年ぶりの高水準に達したとのことです。

2009年亀井静香元金融相がゴリ押しで主導したのが、
この中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)でした。

それまでは貸付先の企業の経営状況が悪ければ、
「破綻懸念先」への融資になり一定割合の貸倒引当金を
計上する必要がありました。

しかし、モラトリアム法を施行した貸出先については
「正常先」と見なして良いということで、貸倒引当金を
計上する必要もなくなり銀行の経営もずいぶんと楽になりました。

そして、企業も銀行から返済に追い立てられることがなくなりました。

しかし、40万社にのぼるモラトリアム法の対象企業のほとんどは
経営改善せず、まともに復活したところはほとんどありません。

こうなってくると銀行にも他人事ではありません。

今後、金利が上昇してくると不良債権を抱えて
大きな赤字を計上する銀行が増え、さらに取り立てできずに
倒産する銀行も出てくると思います。

これは日本が抱え込んだ大きな爆弾です。



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※この記事は1月20日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日本国内の話題を中心にお届けいたしました。

大前は記事の中で、奨学金や転職市場についてそれぞれ
言及していますが、私たちがこれからのキャリアを考える上での
大切なポイントが含まれています。

奨学金については「大学に通うことで上がった価値で給与を高くし、
その分で返済ができるという認識を持つことが大事」と、
転職については「異業種間の転職は給与・キャリア向上に効果的」
と述べていました。

大学に行くにせよ、転職をするにせよ、いずれも手段であり、
その手段を選んだ結果、自分の価値をどのように上げ、
どのように人生の糧にしていくかを考えなければなりません。

「とりあえず大学に行く」や「市場が活況だから転職する」
という考えだけでなく、進学・転職して得たものをどう活用して
キャリアを広げ、さらに稼いでいくかを考えることが大切です。

それらを考えることで初めて、「自分で上げた価値で返済する奨学金」
や「給与が上がり、キャリアが広がる異業種への転職」という
選択肢が選び取れるようになります。

これからの時代、どこの大学・企業に属していたかではなく、
自分自身に力をつけて、自らの価値を上げていくことが
重要となります。

2019年01月18日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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レーダー照射問題/徴用工問題〜韓国の反日感情はそれほど大きくはない。日本は大人の態度で接するべき

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レーダー照射問題 国際違反を知られたくなかった韓国
徴用工問題 「判決は尊重せざるを得ない」

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▼韓国国内でも「恥ずかしい」という意見が大半
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JBプレスは8日、「レーダー照射:国際法違反を知られたくなかった韓国」
と題する記事を掲載しました。
韓国軍が海上自衛隊の哨戒機にレーダーを照射した問題で、
防衛省が公開した映像から韓国海軍の軍艦と北朝鮮の漁船などが
日本の経済水域に集まっていたことが判明しました。
韓国海軍が北朝鮮の漁船に燃料を提供するのを見られたくなかったため、
射撃レーダーを照射して追い払った可能性があるとし、
日本はこの国連制裁決議に反する行為の有無を
引き続き監視すべきとしています。

日本の経済水域で北朝鮮の漁船にトラブルが発生した時、
北朝鮮には助ける力はありません。そこで今回は、
韓国海軍が北朝鮮の漁船を助けるべく動いたのでしょうが、
北朝鮮の漁船に給油している様子が写真に収められていました。
この行為は、国連の北朝鮮に対する制裁決議違反になるので
韓国側は慌てたのだと思います。

さらに、今回日本の海自の哨戒機に対してレーダー照射する行為は、
韓国も採択しているCUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)
にも違反しています。日本の海自からは3回ほど
周波数を変えて応答を促したそうですから、
当事者は違反を自覚しているのは間違いありません。

これを契機に安倍首相は韓国を責めるべきだ
という意見もありますが、私は放っておけばいいと思いますし、
文在寅政権は北朝鮮と一体化して統一コリアを目指す方向性ですから、
今さらこのような行為に驚くこともありません。

またこのような韓国の問題については、
国際社会はもちろん、実は韓国国内でも認識されています。
今回の事件について報じている中央日報の記事を見ると、
「韓国として恥ずかしい」という論調でした。
韓国の漁船がひっくり返っても韓国海軍が助けることはないのに、
北朝鮮の漁船を助けるためになぜ動いているのか全く理解できない、と。

ですから、日本があえてこれ以上追及してもそれほど意味がないと私は思います。

日本が韓国に期待するのは、
北朝鮮からの拉致被害者の奪還支援ですが、
文在寅政権になってからは完全に日韓の利害は一致していないので、
かなり難しいと思います。韓国自身も拉致被害者がいるのに
追及をしていないのですから、なおさらでしょう。

文在寅大統領が思い描くのは、
統一コリアを実現した上で韓国が主導し、
自分がその頂点に君臨することかもしれません。
金正恩委員長は北朝鮮でも尊敬されていませんから、
仮に統一コリアが実現したとしても
彼がトップに選ばれることはないと思います。

あるいは文在寅大統領はそこまで想定せず、
かつての上司でありノーベル平和賞を受賞した
金大中元大統領のようになりたいのかもしれません。



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▼韓国の反日感情はそれほど大きくはない。日本は大人の態度で接するべき
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韓国の文在寅大統領は10日、韓国大法院が日本企業に
元徴用工への賠償を命じる確定判決を出したことについて、
韓国は三権分立の国であり、韓国政府は司法判断を
尊重せざるを得ないとの認識を示しました。
また「日本の政治指導者が政治的な争点とし、
問題を拡散させているのは賢明ではない」
と述べ、日本側の対応を批判しました。

まず日本の報道では、文在寅大統領が「日本を批判した」
という点を大きく取り上げていますが、
実際の演説内容の9割は「経済問題について尽力する」
という内容でした。偶然、質疑応答の際に、
韓国語を話せるNHKの高野記者を指名してしまい、
そのような質問を受けたために回答したものでした。
むしろ文在寅大統領としては、
特に日本との問題に触れたいという意図はなかったはずです。

日本政府としては日韓基本条約の中で、
この問題はすでに解決済みと認識しています。
韓国側も日本から支払われた総額8億ドルの賠償金が
韓国の発展に貢献したということを、分かっている人は大勢います。

すでに終わっていることですから、取り立てて騒ぐ必要はなく、
この問題も放っておくのが一番良いと思います。
新日鉄住金が徴用工への賠償金支払いを命じられたと言っても、
はっきり言って蚊に刺された程度の影響しかありません。

文在寅大統領は日本との対立を煽るような態度を示すことがありますが、
実は韓国という国にとって最大の敵は韓国人です。
韓国で世論調査をすると、自国=韓国を嫌う人の割合はかなり高いのです。
韓国の社会は、良い大学を出て役人になるか
財閥に入るかしないと幸せになれないという構造になっています。
そのような構造に嫌悪感を持っている韓国人は大勢います。
日本人の話題を持ち出すのは、
この根本的な問題を解決することは出来ないので、
致し方なくやっているに過ぎません。

実際、韓国人のブログなどを見ると8割は
「韓国、いい加減にしろ」という論調で自国を批判しています。
政治の世界と一般人の感覚は大きく違います。

ですから、日本としてはあまり真剣に韓国に対して騒ぎ立てる必要はなく、
安倍首相も韓国を追及するような態度ではなく、
もっと大人な態度で落ち着くべきだと思います。
国籍別の訪日外国人の中で、韓国人は上位にランクします。
日本にとって韓国は「良いお客様」といえる面もあるので、
大事にするべきだと私は思います。



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※この記事は1月13日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日韓関係の話題を中心にお届けいたしました。

日韓関係の話題について様々な報道がされていますが、
日本としてはあまり真剣に韓国に対して騒ぎ立てる必要はなく、
安倍首相も韓国を追及するような態度ではなく、
もっと大人な態度で落ち着くべきだと
大前は記事中で指摘しています。

昨今の国際情勢や、国内政治の状況の中、
今を生き抜くために個人でできることは、
『情報を集め、自分の意見を形成する能力を磨く』ことです。

報道を鵜吞みにし、目先の結果を見て騒ぐのではなく、
まず、事実を把握し、前提となる法律や制度にも
疑問を持つことが重要です。

自分で疑問を持ち、自分で調べるという姿勢が身につけば、
それだけで強力な力を持つことができます。

疑問を持ち、自分で調べ、自分の判断で生きていく
工夫をするための「自分で考える力」が大切です。

2019年01月11日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米中関係/中国ファーウェイ問題/中国サイバースパイ/中国外資規制〜米中新冷戦の幕開けが日本に及ぼす影響は?

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米中関係 新冷戦に備えはあるか
中国ファーウェイ問題 中国政府がカナダ人13人拘束
中国サイバースパイ 「APT10」、暗躍の背景は
中国外資規制 外商投資法案の審議開始

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▼米中新冷戦の幕開けが日本に及ぼす影響は?
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日経新聞は先月24日、「新冷戦に備えはあるか」
と題する記事を掲載しました。これは米国が
5Gインフラの整備から中国のファーウェイを排除するなど
米国と中国が新たな冷戦に突入したと紹介。
こうした中、日本政府にとって重要なのは、
日本企業が誤って米国の規制を受けないよう情報提供することや
日米防衛産業の秘密保持を徹底することなどとする
専門家の見方を紹介しています。

この新冷戦の幕開けは、ペンス副大統領が
ハドソン研究所で行ったスピーチでした。
このスピーチは米中冷戦の宣戦布告と言っても過言ではない内容で、
米国で最も中国嫌い・台湾好きな
ピーター・ナバロ大統領補佐官の戦略を
下敷きにしたものでした。

ペンス副大統領のスピーチは、かつて英国チャーチル元首相が、
「鉄のカーテン」と称してソ連を批判して押し込んだのと
同じような影響があるとも言われています。

今後日本企業としては、不用意に中国企業と協業するだけでも要注意です。
日本企業経由で何かしらの米国の情報などが盗まれて中国側に渡った、
ということがあれば日本企業が米国から制裁を受ける立場になるからです。

かつての「東芝機械ココム違反事件」では、
日本から輸出された工作機械の取引が
対共産圏輸出統制委員会(ココム)の協定に違反している
として大問題に発展しました。同様のことが今後は、
「日米中」の間で起こる可能性があるということです。

世間を騒がせているファーウェイ問題は
顕在化したごく一部に過ぎず、
他にも潜在的に問題に発展する要素はたくさんあります。
日本としては常に注意する必要があると思います。

そのファーウェイ問題では
カナダが非常に困った立場に追い込まれています。

カナダ政府は3日、中国ファーウェイの孟晩舟副会長を
米国の要請に基づいて逮捕した昨年12月以降、
13人のカナダ人が中国当局に拘束されたと明らかにしました。
このうち少なくとも8人は解放されたとのことですが、
これに対して中国外務省は4日の会見で、
「提供できる情報はない」として明言を避けています。

こうした報復措置は中国の常套手段です。
日本バッシングが旺盛だった頃は、
日本企業の従業員が工事をしていただけで、
不審な測量をしているとして逮捕されたこともあります。
今現在の中国の報復対象はカナダと米国ですが、
今後はどこまで発展するのかはわかりません。

カナダとしては米国に依頼されたので逮捕したものの、
ここまで大きな問題になるなら手を引けば良かった
と思っているでしょう。とは言え、
米国に逆らうのも問題ですし、
中国も怖いし非常に困っていると思います。

まさに、今は米中の冷戦の入り口であり、
ここから始まっていくことになるでしょう。



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▼中国の監視の目は世界各国よりも、国内に向いている
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日経新聞は先月28日、
「中国サイバースパイ集団「APT10」、暗躍の背景は」
と題する記事を掲載しています。
これは米国司法省が先月20日起訴した中国人2人を
「APT10」のメンバーと断定し、
サイバー攻撃に関与したとして訴追したと紹介。
この集団の活動は、遅くとも2009年から確認されており、
各国の機密情報や先端技術を狙い、
これまで日本を含む12カ国が被害を受けたとのことです。

中国人2名が指名手配となり、FBIによって顔と名前、
簡単なプロフィールなどが公表されています。
これに対して、現在のところ中国側は無視しています。

実際のところ、中国政府とこのサイバースパイ集団の関わりは不明です。
中国政府がお尻を叩いて支援していたのか、
あるいはその情報を中国政府が活用していたのか、
判明していません。

ただし、1つ確実なのは中国政府の監視の目は
「外側」よりも「内側」に向いているということでしょう。
中国政府・共産党が最も恐れているのは、国内の暴動や扇動です。
共産党政府が崩壊するとしたら、国民が立ち上がったときです。
ゆえに中国政府は世界よりも、国内の監視に意識を向けています。
実際に予算上も、外側を監視する予算よりも
内部を締め付ける公安予算のほうが大きいと言われています。

日本も被害をうけたものの、その対応は呑気に過ぎます。
防衛予算の中で、サイバー防衛隊を150人から220人へ拡充する
とのことですが、少なすぎると思います。
北朝鮮でさえ、同様の部隊に3000人規模の人数を割り当てています。
電力システム、政府系システム、我々国民のクレジット情報のシステムなど、
国として守るべき重要なシステムがたくさんあります。
防衛省はもっと予算を要求して、しっかり整備してほしいところです。



─────────────────────────
▼米トランプ大統領の圧力の成果!?
─────────────────────────
中国の全国人民代表大会常務委員会は先月23日、
外資投資を保護する外商投資法案の審議を開始しました。
これは外資の技術を行政手段で強制的に
移転することを禁じることなどを盛り込んだもので、
2019年3月1日までの対中協議で米国が技術移転強制の改善を
強く求めていることを受けたものと見られています。

「今さら何を言ってるんだ!?」というのが率直な感想です。
自動車メーカーなどが中国に進出するときには
中国企業との合弁じゃなければ認めないなど、
今までの方針は何だったのでしょうか。

中国がWTOに加盟したときから、
この方針を貫いていれば良かったですが、
今になって言われても遅すぎます。
なぜ中国が今になって方針を転換したのかと思うと、
この点においてはトランプ大統領の圧力が
効果的だったのかも知れません。



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※この記事は1月6日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、米中関係の話題を中心にお届けいたしました。

米国と中国が新たな冷戦に突入しようとしています。

この話題に対して大前は、ファーウェイ問題は
顕在化したごく一部に過ぎず、他にも潜在的に問題に
発展する要素はたくさんあるため、日本としては
常に注意する必要があると言及しています。

大前の指摘のように、日本や日本企業もかじ取りを誤れば
かつての「東芝機械ココム違反事件」のように
自らの首を絞める事態に直面しかねません。

このような環境の中、重要なことは、
世界中で起きていることや、起こりそうなことに注意を払い、
環境変化を迅速に認識し、変化に適応することです。

情報感度を常に高く持ち、
環境の変化や事業活動に影響を与える要因を探ることで、
将来の環境に基づいて戦略を立案することができます。

2019年01月04日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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2018年の人気記事をピックアップ〜日産自動車/日ロ関係/米中ロ関係

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日産自動車 逮捕のゴーン会長を解任
日ロ関係 一切の前提条件設けず日ロ平和条約締結を提案
米中ロ関係 プーチン氏、打算の中国接近

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▼ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方
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※KON754(18/11/30)で解説した記事を一部抜粋し編集しています。

東京地検特捜部は12月21日、
日産自動車のカルロス・ゴーン前会長を
会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕しました。

国内の各メディアによると、ゴーン前会長は2008年10月ごろ、
自身の資産管理会社による投資で生じた
約18億5000万円の損失を負担する義務を
日産側に負わせた疑いで、同容疑者の逮捕は3度目。
関係者によると、「日産に損害を与えていない」
などと容疑を否認しているといいます。

ゴーン前会長と同社のグレッグ・ケリー前代表取締役は11月19日、
金融商品取引法違反容疑で特捜部に逮捕され、
12月10日に同法違反の罪で起訴。

また、特捜部は12月10日、同法違反の容疑で
ゴーン前会長とケリー元代表取締役を再逮捕し、
勾留期限だった12月20日に勾留延長を請求したが、
東京地裁は同日、12月21日以降の勾留延長を
認めない決定を行っていました。

今回の逮捕劇で、「ゴーン氏が悪い」というのは
すでに「過去形」で語られることであり、
今後の重要事項ではありません。
この問題はもっと色々な角度から見ることが必要です。

特に重要なのは、日産がルノーに対して
どのような「交渉」ができるか、ということです。
現状、ルノーは日産の大株主であり、
株式の43.7%(2018年9月30日現在。四半期報告書)
を保有していて圧倒的な主導権を持っています。
取締役会に役員も送り込んでいますし、
帳簿閲覧権も持っています。

私が日産側に立って交渉するなら、
まずルノーに大株主としての監督責任を強く追及します。
さらには、ゴーン氏はルノーが送り込んだ役員の一人ですから、
その点も強調して交渉に臨むでしょう。

そして同時に、昨年までの予定だった
ゴーン氏のルノーにおける任期が
2022年まで延びた理由も追及します。
マクロン仏大統領と会ってから、
急にゴーン氏の任期が2022年まで延びて、明らかに
ゴーン氏の態度がフランス政府寄りに傾き始めました。
昨年の5月に私が週刊ポストに寄稿した記事でも書きましたが、
ゴーン氏とマクロン大統領の間に何かしらの
「密約」があったのではないかと私は見ています。
ズバリ言えば、その内容はルノーによる
日産の完全統合だと思います。

マクロン大統領は、かつて経済・産業・デジタル大臣だった頃から
フランスに世界一の自動車メーカーを誕生させたい
と考えている人物です。ドイツ、日本、米国、
そして将来的には中国にも世界一の覇権を争う
自動車メーカーが存在します。これまでのフランスでは
その争いに参加することは難しい状況でしたが、
ルノー・日産・三菱連合となり、
それが視野に入ってきた今、マクロン大統領としては
長年の夢を実現させるべく動いていると思います。

これまでにもゴーン氏はフランス政府からルノーによる
日産の完全統合の打診は受けていたはずですが、
ずっとそれを拒否してきました。ところが、
昨年になって自分の人事と引き換えに
それを受け入れた可能性があります。

日産側はこの点を理解した上で交渉に臨まないと、
フランス政府・ルノー側の思うままに
完全統合されてしまうかもしれません。

この問題について世耕経済産業相も何やら発言していますが、
日産は政治家や役人の動きには特に注意すべきでしょう。
1980年代に東芝の子会社でもなく、独立した上場会社であった
東芝機械が不祥事を起こしたことがあります。
本来、東芝が責任を問われる必要はありませんでしたが、
当時の通産省は米国に媚を売って東芝の会長と
社長の首を差し出すような真似をしました。
政治家・役人というのは、こういうことをやりかねないのです。

こうした背景も理解しつつ、
日産は完全統合される道を避けるために、
どのような交渉のシナリオを描くのか?
非常に重要であり、かつ極めて難しい交渉が予想されます。

では、日産はどのような交渉を持ちかけるべきか?

今現在、ゴーン氏は日産の会長職と代表取締役を解任され、
ここまでは日産の取締役会の決議で可能でしたが、
取締役も解任するとなれば株主総会の決議が必要で、
臨時株主総会を招集しなければいけません。

株主総会の決議となったときに厄介なのは、
ルノーの持株比率です。ルノーは日産株の
43.7%を保有しています。過半数を超えるためには、
通常は株主総会を開いて委任状争奪戦
(プロキシーファイト)になりますが、今回の場合、
ルノーは43.7%でも過半数になれる可能性があります。

というのは、日産ほどの大企業になると
全発行株式を集めるのは難しいので、
かき集めたとしても80%程度になります。
そうなると、ルノーの持ち分43.7%で
過半数ということになってしまいます。
ルノーの賛成を得られなければ、
日産はゴーン氏もケリー氏も取締役を解任することはできません。

日産がこのシナリオを防ぐためには、
ルノーの株式を買い増し、ルノーの日産への
議決権を停止させることが必要でしょう。

また、ルノー側がゴーン氏とケリー氏の解任動議に
賛成したとしても、安心はできません。
代わりに新たにルノーから2人の取締役が送り込まれたら、
元の木阿弥だからです。日産側としては、
ルノーからの取締役は1人までにしてもらい、
代わりに会長職を渡すなどの交渉が必要でしょう。

そうなると、ルノー側から派遣する取締役の人数が減って、
日産によるルノー株の買い増しを
取締役会で決議されるかも知れません。
ルノーとしてはそのような事態を避けたいはずですから、
事前にそれだけは認めない契約を締結するように
求めてくる可能性があります。

私がルノー側の人間ならば、
日産の取締役会でマイノリティになるような事態は
何が何でも避けるように動きます。
逆に日産側の人間ならば、日産に対する完全子会社化をしない
という契約を取り付けるように動くでしょう。
それができないなら、今回の責任を大株主であるルノーに問い、
国際的な場で「争う」姿勢を見せます。
ルノーが送り込んだゴーン氏がどれだけ悪さをして、
日産の株主に被害を及ぼしたのかを交渉材料にするでしょう。

責任問題という意味では、ルノーから日産側の監督責任を
問われる可能性も十分にあります。そうなると、
西川社長も無傷ではいられないと思います。
そこまで見据えて、シナリオを描いて交渉していく必要があります。
繰り返しになりますが、これは非常に難易度が高い交渉になると思います。



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▼北方4島について、日本政府はずっと国民を騙している
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※KON744(18/9/12)、KON753 (18/11/23)で解説した記事を一部抜粋し編集しています。

ロシアのプーチン大統領は2018年9月、安倍首相に対して、
一切の前提条件を設けずに2018年末までに
日ロ平和条約を締結するよう提案しました。
これは安倍首相が平和条約や領土問題の解決について
「アプローチを変えなければならない」と述べたのに対し、
プーチン大統領が賛同したもので、
まず平和条約を締結した上で
友人同士として意見の隔たりがある問題について
解決していこうというものです。

このプーチン大統領の提案について、日本のマスコミは
「なぜ安倍首相は反論しないのか?」と指摘していますが、
安倍首相としては「真実」を理解しているだけに
歯がゆい思いをしていることでしょう。
河野外相は日本とロシアの北方領土に関する真実について、
どこまで理解しているのかわかりませんが、
安倍首相はプーチン大統領との20回を超える
ミーティングなどを通して理解しているはずです。

日本の方針は
「北方4島の返還を前提にして平和条約を締結すること」
であり、これは以前からずっと変わらないもの。
菅官房長官などもこの趣旨の発言をしていますが、
そもそもこの認識が間違いであり、
日本政府がずっと隠してきている「嘘」なのです。

ロシア側の認識は
「北方4島は第二次大戦の結果、ソ連に与えられたもの」であり、
日本は敗戦国としてその条件を受け入れたわけだから、
固有の領土かどうかは関係がない、というもの。
ラブロフ外相もプーチン大統領も、
このような見解を示しています。
そして、このロシア側の主張が「真実」です。

終戦時にソ連と米国の間で交わされた
電報のやり取りが残っています。
ソ連のスターリンが北海道の北半分を
求めたのに対して、米国側は反発。
代わりに北方4島などをソ連が領有することを認めました。

この詳細は拙著「ロシア・ショック」の中でも紹介していますが、
長谷川毅氏の「暗闘」という本に書かれています。
米国の図書館などにある精密な情報を研究した本で、
先ほどの電報などをもとに当時の真実を
見事に浮かび上がらせています。

すなわち、北海道の分割を嫌い、
北方4島をソ連に渡したのは米国なのです。
今でもロシア(ソ連)を悪者のように糾弾する人もいますが、
犯人は米国ですからロシアを非難すること自体がお門違いです。

さらに言えば、日本が「北方4島の返還を前提」
に固執するようになったのも、米国に原因があります。
1956年鳩山内閣の頃、重光外相がダレス国務長官と会合した際、
日本はソ連に対して「2島の返還を前提」
に友好条約を締結したいと告げました。
しかし、ダレス国務長官がこれを受け入れず、
「(ソ連に対して)4島の返還」を求めない限り、
沖縄を返還しないと条件を突きつけました。

つまり、米国は沖縄の返還を条件にしつつ、
日本とソ連を仲違いさせようとしたのでしょう。
この1956年以降、日本では「北方4島の返還」が前提になり、
それなくしてロシア(ソ連)との平和条約の締結はない、
という考え方が一般的になりました。
1956年までの戦後10年間においては「4島の返還」
を絶対条件とする論調ではありませんでしたが、
この時を境にして一気に変わりました。

プーチン大統領の提案に対して、
マスコミも識者も随分と叩いているようですが、
1956年以降日本の外務省を中心に
政府がずっと国民に嘘をついてきた結果、
真実を理解せずに批判している人がほとんどでしょう。
プーチン大統領の提案は理にかなっています。
日本政府の「嘘」を前提にするのではなく、
とにかくまず平和条約を締結することから
始めようということです。

プーチン大統領の提案通り、まず平和条約を締結すれば、
おそらく「2島の返還」はすぐに実現すると思います。
残りの2島については、折り合いがつくときに返還してもらう、
というくらいで考えればいいでしょう。
相手がプーチン大統領であれば、
このように事を運ぶことはできるでしょうが、
別の人間になったら「1島」も返還されない可能性も大いにあります。

今、安倍首相は「とぼけた」態度を貫いています。
真実を理解しながらも、周りにはそれを知らず
理解していない人も多いでしょうし、
長い間日本を支配してきた自民党が国民に嘘をついていた
という事実をどう説明するか、
など悩ましい状況にあるのだと思います。

安倍首相に期待したいのは、
ロシアに対して経済協力などを続けながら、
とにかくいち早くロシアとの平和条約を締結して欲しい、
ということです。
それが実現できれば、安倍首相にとって
最大のレガシーになると私は思います。

北方4島の全てが返還されなくても、
それによってどれほどマスコミから叩かれても、
安倍首相とプーチン大統領の間で、
平和条約の締結を実現すべきです。
菅官房長官などは知ったかぶりをして、
4島返還について日本政府の方針に変わりはない
などと発言していますが、全く気にする必要はありません。

プーチン大統領の「どちらの主権になるかは明記されていない」
という発言は、日本に対する嫌がらせではなく、
日米安保条約の対象になるか否かを見据えたものです。
返還された島の主権が日本になると、
当然のことながら日米安保条約の対象になり、
米軍基地が置かれる可能性が出てきます。
そうなるとロシア国民に納得してもらえませんから、
プーチン大統領は困ります。

一方、北方4島は日米安保条約の「対象にならない」とすると、
今度は米国が許容できないはずです。
中国との尖閣諸島問題では日米安保条約の対象として
米国に庇護を求めていますから、
北方4島は対象外というのは虫が良すぎるということになります。

ロシアと米国のどちらも納得できる理屈が必要です。
例えば、沖縄返還と同様に「民政」のみ返還し、
「軍政」は返還しないという方法です。
この形であれば、米軍基地が置かれることはなく
プーチン大統領も国民に説明できるでしょう。
ただ、現実的に島民のほとんどがロシア人なのに民政だけ返還されても、
ほとんど意味がないという意見もあります。
いずれにせよ、北方4島の返還にあたっては、
日米安保条約の対象にならないような
プロセスや理屈が絶対に必要になってくると思います。

プーチン大統領の次を誰が担うのかわかりませんが、
仮にメドベージェフ氏が大統領になれば、
2島返還ですら絶対に容認しないでしょう。
プーチン大統領が在任中にまず平和条約を締結することは、
極めて重要だと私は思います。

というのも、中国がロシアに接近しつつあるので、
ロシアにとって日本の必要性が低下し、
このままだと日本にとってさらに厳しい状況になるからです。
東方経済フォーラムを見ていても、
プーチン大統領と中国は明らかに接近したと私は感じました。

中国は巨大な人口を抱える東北三省の経済状況がよろしくありません。
その対策として、極東ロシアへの投資に向けて動いています。
中国とロシアの国境を流れる黒竜江(アムール川)をまたいで、
現在両国を結ぶ橋を建設しています。
中国側とロシア側でそれぞれ資金を出し合っていて、
橋の建設には中国の技術が活用されています。

中国とロシア間の動きが活発化し、
中国から極東ロシアへの投資が拡大すると、
その貢献度はかなり大きなものになります。

日本も目を覚まさないと、全て中国に持っていかれてしまいます。
少なくともプーチン大統領は内心では親日派なので、
今のうちに早く動くべきです。
最後にもう1度述べておきます。安倍首相には、
どんな批判を受けても悪役になろうとも、
何が何でもロシアとの平和条約の締結を
実現させて欲しい、と思います。



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※この記事は2018年のクリックアンケートで反響が大きかった号をピックアップし編集しています




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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、2018年の人気記事をお届けいたしました。

今回ピックアップした記事以外でも、
世界の注目ニュースでは、「米朝首脳会談」
「北朝鮮情勢」「日韓関係」など朝鮮半島情勢の話題、
「Facebook」の個人情報流出問題に関する
解説などが人気記事でした。

また、国内の注目ニュースでは、
「働き方改革」「外国人労働者」の話題、
「トヨタ自動車」「信越化学工業」や
「沖縄県知事選」の話題が人気記事となりました。

大前は、1日500本、1週間3500本のニュースをチェックし、
国内外のメディアを通じて常に新しい情報や知識をインプットしながら、
いま世界で何が起きているのかを分析しています。

業績の好調な企業は何をやっているのか?
優れた経営者というのはどのように意思決定し、
その人たちはどんな特徴を持っているのか?など、
自分なりに考えたり推測したりすることで、
情報感性や読み筋を鍛えることができます。

2018年12月28日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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米中貿易戦争/中国諜報活動/台湾・鴻海精密工業〜ファーウェイが諜報活動に与せず、グローバル化する唯一の方法とは?

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米中貿易戦争 米中摩擦、衣料大国に恩恵
中国諜報活動 中国「国家情報法」、米に衝撃
台湾・鴻海精密工業 中国に最新鋭半導体工場新設へ

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▼電子部品などの製造は簡単に中国からバングラデシュなどに移せない
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日経新聞は13日、「米中摩擦、衣料大国に恩恵」
と題する記事を掲載しました。
世界のアパレル各社が中国から周辺国に
生産拠点を移す動きが加速しています。
昨今の人件費の高騰に加え、
米国が中国の通信会社に課した制裁が
各社の工場移転を後押ししており、
バングラデシュ、ベトナムの衣料品輸出のシェアが
急拡大しているとのことです。

と言っても、基本的に急拡大しているのは衣料関係のみで、
その他への広がりは期待できないと思います。
衣料関係の業務はミシンをかけるような労働集約型で、
このような業務については、バングラデシュ、ベトナム、
ミャンマー、最近ではエチオピアにも中国企業が進出しています。

しかし、部品を組み立てるような業務、
特に発注から出荷までの時間(ターンアラウンド)が
短い電子製品などになると、バングラデシュや
ミャンマーなどでは技術的に対応できないと思います。
加えて港湾施設の処理能力が中国ほど高いわけではありません。
中国は大連を皮切りに上海や深センに港湾施設を建設しましたが、
同じようなものを用意することはできないでしょう。

実際バングラデシュの輸出品目を見れば、
織物とニットが圧倒的に多くなっています。
日本も途上国のときには、絹織物など労働集約型のものが中心でした。
最初の日米貿易戦争は、日米繊維交渉だったのも、
その事実を物語っています。

中国は米国と激しい貿易戦争を繰り広げている中、
「中国製造2025」という目標を明文化し、
火に油を注いでいるような印象を受ける人もいるかも知れません。
しかし私に言わせれば、大半の経営者は数字目標を掲げるものであり、
それ自体は問題ではありません。

問題は、目標が現実に着実に進んでいることです。
時価総額が高い企業が続々と現れ、AI技術も発達し、
米国の予想をはるかに上回るスピードで成長しています。
この中国の成長そのものが米国の反感を買っているのだと思います。



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▼ファーウェイが諜報活動に与せず、グローバル化する唯一の方法とは?
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日経新聞は20日、『中国「国家情報法」米に衝撃』
と題する記事を掲載しました。
米国がファーウェイ製品などの締め出しを強化する背景には
2017年中国で施行された「国家情報法」に絡む危機感があります。
この法律には「いかなる組織及び個人も、
国の情報活動に協力する義務を有する」と明記されており、
通信機器などのハード面と人的情報活動の脅威に対し、
米国は中国への警戒をかつてないほど強めているとのことです。

ZTEやファーウェイの問題も絡んでいることですが、
そもそもこれは中国国内で実施されていることです。
中国では中国共産党が、国内の企業や反政府勢力の
台頭を抑えるために、国内の電子機器やサーバーから
直接データを取得できるようになっています。
ファーウェイなどがそのような施設を作り、
政府による諜報活動を可能とする
「仕組み」を提供しているということです。

こういう企業がグローバル化してしまうと、
「その仕組み」もそのまま世界に展開されてしまいます。
これを防ぐのは非常に難しいでしょう。
ファーウェイは非常に能力が高い企業ですが、
それでも一筋縄ではいきません。

もしファーウェイがグローバル化しようとするなら、
国内部門はZTEと合併し、残った部分をファーウェイグローバルとして、
ボードメンバーをグローバル化すること
(中国人だけにしないこと)が必須だと私は思います。

なお、中国政府が施行する「国家情報法」に対して米国は
「衝撃」を受けたとありますが、そんなはずはありません。
米国にしても、中国に負けず劣らず
同じようなことをやっているはずです。
サーバーも監視しているでしょうし、
エシュロンという仕組みもあります。
米国内ではテロ対策として常時監視は当たり前のはずです。

米国がやるのはいいが中国はダメ、
というのもおかしな話で、米国も中国も
どっちもどっちだと思います。



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▼鴻海が新設する巨大な半導体工場
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台湾・鴻海精密工業は、広東省の珠海市に
大規模な半導体工場を新設する見通しが明らかになりました。
新工場には子会社のシャープが持つ
半導体技術を活用すると見られ、
総事業費は1兆円規模にのぼる見通しです。

補助金や税金の減免などを通じて、
大半を珠海市政府などが負担する方向で協議しているそうで、
かなり巨大な工場になると思います。
珠海市は上海市と橋でつながり、
製造関連が活発化しているので今後も楽しみな地域です。

鴻海はTSMCやサムソンからも膨大な量の半導体を購入しています。
そんな中、シャープは鴻海グループの中で
唯一半導体を製造していたので、
このプロジェクトの声がかかったのでしょう。
鴻海が上手くシャープを立ててあげた形です。




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※この記事は12月23日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、米中貿易戦争の話題を中心にお届けいたしました。

中国は米国と激しい貿易戦争を繰り広げています。

この話題に対して大前は、問題は、
「中国製造2025」という目標を明文化したことではなく、
米国の予想をはるかに上回るスピードで成長し、
中国の成長そのものが米国の反感を買っている
と記事中で言及しています。

米中対立の激しさが増す中、日本や日本企業も
かじ取りを誤れば自らの首を絞める事態に直面しかねません。

このような不確実な状況では、
PEST分析のようなマクロ環境分析を行い、
大局観を掴むことが大切となってきます。

環境の変化や事業活動に影響を与える要因を探り、
現在の環境とともに将来の環境に基づいて
戦略を立案することが重要となってきます。

2018年12月21日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日欧貿易/憲法改正/税制改正/国内景気〜関税を下げても経済効果は期待できない

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日欧貿易 日欧EPAを承認
憲法改正 自民党の憲法形成案提示見送り
税制改正 2019年度税制改正大綱を決定
国内景気 景気回復が「いざなぎ景気」超え

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▼日欧EPAのインパクトは極めて小さい
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欧州議会は12日、仏ストラスブールで開いた本会議で、
日本とEUの経済連携協定(EPA)を賛成多数で承認しました。

日本は8日に国会承認を済ませており、
これにより日欧EPAは2019年2月1日の発効が固まりました。

この日欧EPAには、トランプ米大統領への対抗心もあって
欧州側も大いに喜んでいています。

欧州と日本を合わせると世界第2位の経済圏となり、
世界の自由貿易の4割に達するということで、
大きな影響を期待させる報道もあります。

しかし私は、この日欧EPAはそれほど大きな効果は期待できないと思います。

たしかに日欧EPAの対象で関税が低くなるものはありますが、
関税率などたかが知れています。

例えば20ユーロのワインの関税は、270円前後といったところです。
ところが、このワインが日本国内に流通するときには、
7〜8倍の価格に跳ね上がります。

これは、関税のせいではなく、独占的な輸入商社が価格を上乗せしているからです。

つまり本質的な問題は、特定の輸入商社に輸入業の独占を許していることです。
私が好きなルーチェというワインなど、現地にて19ユーロで売っているものが
あるECサイトでは18,000円ほどの値段になっています。
さらにそれが、高級レストランでは値段が上がって6万円程度になります。

その一方、港区のあるインターナショナルスーパーマーケットでは、
ワインなどのお酒の値段はかなり安くなっています。
これは、独占的な輸入商社を介さずに直接仕入れを行っているからです。

せっかく関税も下がるのなら、このお店のように、現地価格に輸送費を加えて
多少の利益を上乗せする程度で提供して欲しいものだと思います。
問題は関税ではないのです。


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▼日本の国会議員は、憲法改正をゼロから構想できるレベルではない
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臨時国会会期末の10日、衆議院で憲法審査会が開かれましたが、
安倍首相が意欲を示してきた「自衛隊の明記」などを含む
自民党の憲法改正案の提示は見送られました。

先月の憲法審査会で、与党側が合意を得ないまま開催を強行したとして、
野党側が反発したことを受けたものです。
国民投票法改正案の審議も再び次の国会に持ち越しとなりました。

自民党案を見ても反対している野党を見ても、何とレベルが低いことかと思います。
私は「平成維新」という本で今から約30年まえに、
「ゼロベースで憲法を構想するなら、こうすべきだ」というのを示しました。

憲法の議論をするなら、自分がゼロベースで構想を練ることが
できるくらいでなければお話にならない、と私は思います。

今回、安倍首相が指摘している憲法改正の4項目など、誤文訂正のレベルに過ぎません。

その上、それに反対している野党側も、手続き上の問題を指摘するくらいで、
どちらにしても全く憲法に対する構想を示すことができていません。

「自分たちなら憲法をこうする」という提案があるべきです。

このような状況では、今後憲法改正が俎上に載ってくることはないでしょう。
強引に進めることも可能ですが、最終的に国民投票で否決されるのがオチです。

おそらく能力的な問題として、今の日本の国会議員に任せることが無理なのだと思います。

憲法改正を実現できる方法があるとすれば、オンブズマンを作って原案を提出させ、
その原案を与党と野党が国会で審議・検討し、
そして最終的に国民投票にかける、という方法でしょう。

一度、オンブズマンに戻して原案を提出してもらわないと、
まともな議論が始まらないと思います。


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▼政府がすべきなのは、増税の目的を国民に説明すること
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自民党と公明党は14日、「2019年度与党税制改正大綱」をまとめました。
10月の消費増税に伴う駆け込み需要や反動への対策に重点を置いたもので、
自動車と住宅は消費増税後に購入すればメリットを得られる措置を拡充。
単年度ベースで自動車と住宅で1670億円の減税となる見通しです。

参議院選挙を睨んだ対策なのでしょうが、あまりに細かく複雑にやりすぎています。
飲食店で普通に購入したものは減税対象で8%になるのに、
それを店内で食べると外食扱いで10%が適用されるとか、
コンビニのイートインスペースはその適用範囲なのかとか、
細かい問題がありすぎて、誰も正確には理解できていないと思います。

自動車や住宅の減税策にしても、そんなことをするなら、
そもそも税率を上げた効果が薄れてしまって意味がないと思います。

政府がやるべきことは、意味不明に細かい規則や減税策を考えることではなく、
国民に「なぜ消費増税が必要なのか?」という理由をきちんと説明することです。

増税を契機にキャッシュレス化を進めるという話も出ていますが、
これも全体を複雑にしているだけです。

アジェンダが増えすぎて、狙いが多すぎて、意味不明になっています。
私に言わせれば、余計なことばかりやっています。

選挙対策とは言え、あまりにひどい状況に陥っていると感じます。


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▼平成の30年間は、失われた30年。景気回復など全くしていない
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内閣府は13日、有識者による景気動向指数研究会を開き、
2012年12月から続く景気拡大局面が高度成長期の「いざなぎ景気」を超えて、
昨年9月で戦後2番目の長さになったと認定しました。

またさらに景気回復が今月まで続いていることが確認されれば、
戦後最長に並ぶことになり、政府や民間エコノミストの間では
来年1月には戦後最長を更新するとの見方が強まっているとのことです。

それほど良い景気が続いているという感覚を持っている国民は、
誰もいないでしょう。

これは利用している「指標」が間違っているので、
これほど実態とかけ離れた発表になってしまっています。

平成になってからの30年間の事実は、日本は失われた30年と言っても良いほど、
世界の中で日本が最も衰退した期間だということです。

例えば、平成元年における世界の企業時価総額ランキングでは、
トップ10のうちエクソンモービルとIBM以外は全て日本企業でした。

それが2018年のランキングでは、トップ10のうち中国企業が2社で残りは全て米国の企業になっています。

この30年間の株価指数で見ると、ダウ工業株は同じ期間で価格が2倍になっているのに、
日本は2倍どころかマイナスになっています。

名目賃金でも、米国やユーロが2倍に上昇したのに、日本はマイナス7%です。
平成元年からの30年で見ると、日本経済で「上がった」ものなど1つもありません。

景気回復と言っても、30年前から比べればマイナスなのですから、意味がないことがわかります。

この平成の30年間は戦後経験したことがない30年間になりました。
企業でいえば、日本のトップであるトヨタ自動車が世界では26位です。

あれだけ強かった企業も世界から姿を消した日本において、
いざなぎ景気に匹敵する景気回復などとよく言えたものだと思います。


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※この記事は12月16日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、日欧貿易の話題を中心にお届けいたしました。

国会承認を経て来年の発効が固まった日欧EPA。
経済効果が期待されるとの声があがるなか、
大前はワインの例を挙げてそれに疑問を呈しています。

本当に関税が下がれば販売価格も下がるのか?
どのようなプロセスを経て販売価格は決定されているのか?

今回のケースに関しては、このような視点で冷静に考えることで
関税減のインパクトを想像することができます。

構造把握を通じて最も効果の出る箇所を理解し、
それに対して打ち手を検討することが問題解決において重要です。

2018年12月14日(金) 
■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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ニセコリゾート/ハウステンボス〜ニセコ開発が進むのは再開発の自由度が高いから

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ニセコリゾート 外資に買われる「ニセコ」
ハウステンボス 復星集団(フォースン・グループ)から出資受け入れ

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▼ニセコ開発が進むのは再開発の自由度が高いから
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日経新聞は2日、『外資に買われる「ニセコ」』
と題する記事を掲載しました。
北海道の倶知安町とニセコ町にまたがる
ニセコ地区の不動産投資が加熱しています。
パウダースノーを求めて世界中から
スキーヤーが集まることに加え、
ホテルやスキー場で働く外国人も増加し、
ペンションやアパートが次々に建てられています。
地元ではインバウンド消費は歓迎するものの、
過度な開発が豊かな自然を損なう
との懸念も浮上しているとのことです。

倶知安町は地価上昇率が高く注目を集めている地域ですが、
私は現在の地価は「上がり過ぎ」だと感じています。
ニセコ以外にも北海道の中に良いスキー場はたくさんあります。
もっと東京に近い地域に目を向ければ、
越後湯沢、志賀高原、野沢なども、
ニセコに負けず劣らず良いスキー場だと思います。

その中で、なぜニセコがこれだけ注目を集めて開発されているのか?
というと、再開発の自由度が高いというのが大きな理由です。
ニセコは千歳から移動に2時間近くもかかりますし、
その途中非常に気温が下がる場所もあり、
利便性が高いわけではありませんが、
比較的自由に開発できるという点が
他のスキーリゾート地に優っています。

逆に、越後湯沢、志賀高原、野沢などの従来のスキー場は、
山の上の方にぐちゃぐちゃに固まってしまっていて、
全体を作り直すのが非常に難しい状態です。
ゆえに再開発の自由度が低く、ニセコを超える
ポテンシャルを持ちながら活かせていません。

越後湯沢駅の周辺など複数のスキー場がありますが、
バラバラに運営されていて、
お客を引っ張り合っている状況です。
だからそれぞれが行き詰まり、経営も傾いている状態です。
もし再開発が可能なら、私は200億円くらいあれば、
越後湯沢の町をまとめて再開発することができると思います。
2015年に北陸新幹線が開通した飯山駅の近隣にある
野沢温泉スキー場も、せっかくの新幹線開通という機会を
活かすことなく終わっています。

もしこれらの地域で再開発を自由にやらせてくれるなら、
1000億円規模の資金を投じても良いという人はいるはずです。
そうすると、カナダのウィスラーや
オーストリアのアールベルクのような
ハイエンドのスキーリゾートまで
視野に入れて開発できるでしょうし、
ニセコのみに開発が集中することもないはずです。

現在のニセコの地価やマンション価格は高すぎて、
私に言わせれば、全くお勧めできませんが、
マレーシアや香港などの外国人が資金を持ち込んでいるので、
日本としては外からお金が入ってくる
という点では良いのかも知れません。



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▼ハウステンボスも星野リゾートトマムと同様、経営主体は変わらず
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ハウステンボスは3日、中国の投資会社、
復星集団(フォースン・グループ)から
約25%の出資を受け入れると発表しました。
フォースンがHISや福岡企業5社から株式を取得するもので、
観光事業で世界展開をするフォースンと組み、
ハウステンボスは中国人観光客の取り込みなどを強化する考えです。

フォースンは2015年には星野リゾートから
星野リゾートトマムを買収している非常に積極的な企業です。
ヘルスケア事業を中心に大きな資金を作り、
今はレジャー関連事業に進出してきています。

星野リゾートトマムを買収した後も、
実際の運営は星野リゾートに委託するという方法を取っており、
今回のハウステンボスへの出資にあたっても
同様の方法を採用するのではないかと思います。

星野リゾートトマム(当時の名称は「アルファリゾート・トマム」)は
関光策氏が開発に着手してその歴史をスタートさせました。
気温はマイナス20度に達することもある厳しさで、
山の作りもスキー場としてそれほど優れているとは思えません。
それを星野リゾートが大規模な資金を投じてリニューアルしました。

星野リゾートトマムにしてもハウステンボスにしても、
フォースンが資金を肩代わりしてくれるのであれば、
経営は今まで通り自分たちでやれば良いのですから、
ありがたいことでしょう。



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※この記事は12月9日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



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▼ 今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
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今週は、観光産業の話題を中心にお届けいたしました。

地価上昇率が高く注目を集めているニセコ。

ニセコが注目を集めて開発が進んでいることについて、
他のスキーリゾート地と比較し、
再開発の自由度が高いというのが
大きな理由だと大前は記事中で言及しています。

地域活性化の打ち手の一つとして考えられるのが
「リゾート開発」です。

しかし、記事中で紹介している従来のスキー場のように、
せっかくのポテンシャルがあっても
点で考え、バラバラと解決策を打ち出しても、
「インバウンド需要」を取り込むことはできません。

日本にある観光地のメリットを活かしながら、
世界の富裕層を日本国内に呼び込むことができるかが、
日本の地方振興にとって重要な鍵になると考えられます。

2018年12月08日(土) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日仏原発開発/中国原発市場/武田薬品工業/LINE/飲食店業界〜キャッシュレス決済で遅れをとる日本の現状。日本はまずシステムを構築せよ

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日仏原発開発 フランス政府が次世代原子炉開発を凍結
中国原発市場 中国、新型原発の稼働ラッシュ
武田薬品工業 シャイアー買収「賛成できない」
LINE スマホ決済で中国テンセントと提携
飲食店業界 「無断キャンセル」防止へ議論

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▼日本の原発計画はすでに詰んでいる。今後の原発の中心は途上国へ
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日本がフランスと進めている次世代原子炉開発について、
仏政府が2020年以降、計画を凍結する方針を
日本側に伝えたことがわかりました。
建設コストが増加したことや、原発依存度を引き下げる
フランス政府の方針などを受けたもの。
日本は2016年に高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決め、
今後の研究開発にはこの原発のデータを活用する計画で、
日本の原子力計画への影響は必至と見られています。

日本がプルトニウムの備蓄を増やしていることについて、
かねてから欧州や米国から注意勧告を受けてきました。
日本としては高速増殖炉の開発を続けている
という大義名分を掲げてきたものの、
「もんじゅ」の廃炉が決定したことで
それも通用しなくなりました。

そこで、フランスの実証炉「アストリッド」に資金を投じて
一緒に開発を進める立場を取ろうとしていたのです。
しかし、フランスは原子力依存度を
現状の約70%から50%程度に落とすことを決定し、
この思惑も失敗に終わることになりました。

フランスはすでに「ラプソディ」「フェニックス」
「スーパーフェニックス」という
1000メガワット級の高速増殖炉の開発に成功していますから、
無理に「アストリッド」を開発する必要がありません。
「日本が資金を出すなら一緒にやってもいい」
くらいの考えだったのでしょう。
それを急に止めると言い出すあたりは、
マクロン大統領らしいなと思います。

日本では「日本の原子力計画に打撃」と一部で報道されていますが、
こんな都合がいいだけの便乗政策が中止になって
「打撃」と解釈するのは、私には理解できません。
プルトニウム備蓄の大義名分となる日本の全原子力政策が、
全面的にフランスに依存していたというのも悲しい話です。

結局、日本の原子力政策という意味では、
高速増殖炉もんじゅの失敗で
ゲームオーバーだったということです。
日本のプルトニウムの備蓄については
世界中から注目されていますが、この事態に至っては
備蓄し続ける正当な理由付けをすることは難しいでしょうから、
不要なものは返却するしかないと私は思います。

日本とは対象的に開発が進んでいるのが中国です。
日経新聞が報じたところによると、中国では9月から11月にかけて、
加圧水型軽水炉(PWR)「AP1000」を採用した
原発3基が商業運転を開始しました。
事故で電源が失われても自動で原子炉が停止可能な
次世代型の原子炉「第3世代プラス」と呼ばれるもので、
習近平指導部が打ち出す産業政策「中国製造2025」を背景に、
2030年には最大で現状の4倍近くの
1億5千万キロワットまで発電能力を引き上げる計画です。

この「AP1000」という原子炉は
米ウエスチングハウスが開発したものです。
もし今も東芝がウエスチングハウスを保有していれば、
ライセンス料だけで相当なことになっていたでしょう。
東芝としては泣くに泣けない事態でしょう。

世界各国の原子炉の建設状況、計画状況を見ると、
メインはロシアと中国、それに次ぐのがインドで、
ほぼこの3国に集中しています。結局、
発展途上国が原子炉の主力建設地域になってきています。
日本は計画中としているものがいくつかありますが、
実際に開発されることはないでしょう。

中国の原発開発状況を見ていると、
日本の川崎重工が開発した新幹線が
いつの間にか中国製として輸出されるようになっていた
パターンを想起してしまいます。
中国が原子炉の開発をマスターすると、
同じようなことが起こってくると思います。



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▼武田薬品のシャイアー買収は下手をすると「ルノー・日産化」する
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武田薬品工業の創業家で社長・会長を務めた
武田国男氏がアイルランドの製薬大手シャイアーの買収に
反対していることがわかりました。
武田氏は「医薬業界にはM&Aは必要」としながらも、
独自に分析した結果、シャイアーの案件は
リスクが高いと判断したとのことです。

武田国男氏は偉大な経営者ですが、
すでに海外(シンガポール)にいる身ですから、
負け犬の遠吠えのように見えてしまいます。
シャイアーは買収に次ぐ買収で大きく成長した企業ですが、
業績推移を見ると純利益の乱高下が激しいのがわかります。
今のタイミングは「高値づかみ」したような形になっています。
こういう点も買収に賛成できない理由になっているのだと思います。
とは言え武田国男氏を含め、創業家の株式保有比率は3%程度なので、
まず委任状争奪戦(プロキシーファイト)には影響しないレベルです。

武田薬品の社長は、武田国男氏から長谷川氏、
そして長谷川氏から同社初の外国人社長になった
クリストフ・ウェバー氏へ引き継がれています。
このシャイアー買収問題は、下手をすると
「ルノー・日産化」する可能性があるので、
その点は注意するべきでしょう。



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▼LINEはアント・フィナンシャルを目指せ
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LINEは中国ネットサービス大手のテンセントと提携し、
2019年から訪日中国人客にスマートフォン決済サービスを
開始する見通しが明らかになりました。
また、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)
と提携し銀行業に参入する計画も発表しています。

実務的なことで言えば、みずほとの提携は要らないでしょう。
アリババのアント・フィナンシャルと同じようなことをすれば、
LINE自体が金融機関のような仕事をすることは難しくありません。
おそらく、顧客の取引DBの情報などを
狙っているだけだと私は見ています。



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▼キャッシュレス決済で遅れをとる日本の現状。日本はまずシステムを構築せよ
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飲食店の無断キャンセル防止へ向けて、業界団体や弁護士、
経産省などが参加する検討会が開かれました。
会議ではコース料理を予約して
無断キャンセルした場合は全額を、
席だけを予約した場合も平均客単価の5割程度を
請求することなどが指針としてまとめられました。

年間被害総額は約2000億円ですから、
もちろんこの問題を解決すべく取り組むのは良いことです。
しかし、「指針をまとめる」よりも
「システムを構築」するほうが先だと私は思います。
というのは、すでに中国ではアント・フィナンシャルが
構築したシステムのおかげで解決しているからです。

お客さんは飲食店を予約すると同時に、
アント・フィナンシャルのシステムで
電子決済が完了してしまいます。キャンセルされても、
すでにお金を払ってもらっているので飲食店としては特に困りません。
実際には、このシステムが構築されたことで、
中国では飲食店の予約キャンセル数が激減しました。
日本にとっては羨ましい話です。

2018年11月30日(金) 

■ [1]〜大前研一ニュースの視点〜
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日産自動車〜ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方

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日産自動車 逮捕のゴーン会長を解任

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▼ゴーン氏の悪事は過去のこと。重要なのはルノー側との「交渉」の進め方
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日産自動車のカルロス・ゴーン会長と
グレッグ・ケリー代表取締役が金融商品取引法違反容疑で、
東京地検特捜部に逮捕されたことを受けて、
日産は22日臨時取締役会を開き、
両容疑者の解任を決定しました。
金融商品取引法などでは役員報酬を将来受け取る場合でも、
受取額が確定した年度に有価証券報告書に記載する
と規定しており、東京地検特捜部は、
ゴーン容疑者が高額報酬批判を避けるため、
過少記載を指示したと見て調べを進めています。

今回の逮捕劇を見ると、日産側が周到に
準備を進めていたことがわかります。
西川社長の記者会見ではゴーン氏による
会社の私物化について言及されていましたが、
私に言わせれば「ゴーン氏が悪い」というのは
すでに「過去形」で語られることであり、
今後の重要事項ではありません。
この問題はもっと色々な角度から見ることが必要です。

特に重要なのは、日産がルノーに対して
どのような「交渉」ができるか、ということです。
現状、ルノーは日産の大株主であり、
株式の43.7%(2018年9月30日現在。四半期報告書)
を保有していて圧倒的な主導権を持っています。
取締役会に役員も送り込んでいますし、
帳簿閲覧権も持っています。

私が日産側に立って交渉するなら、
まずルノーに大株主としての監督責任を強く追及します。
さらには、ゴーン氏はルノーが送り込んだ役員の一人ですから、
その点も強調して交渉に臨むでしょう。

そして同時に、今年までの予定だったゴーン氏の任期が
2022年まで延びた理由も追及します。
今年になってマクロン仏大統領と会ってから、
急にゴーン氏の任期が2022年まで延びて、明らかに
ゴーン氏の態度がフランス政府寄りに傾き始めました。
今年の5月に私が週刊ポストに寄稿した記事でも書きましたが、
ゴーン氏とマクロン大統領の間に何かしらの
「密約」があったのではないかと私は見ています。
ズバリ言えば、その内容はルノーによる
日産の完全統合だと思います。

マクロン大統領は、かつて経済・産業・デジタル大臣だった頃から
フランスに世界一の自動車メーカーを誕生させたい
と考えている人物です。ドイツ、日本、米国、
そして将来的には中国にも世界一の覇権を争う
自動車メーカーが存在します。これまでのフランスでは
その争いに参加することは難しい状況でしたが、
ルノー・日産・三菱連合となり、
それが視野に入ってきた今、マクロン大統領としては
長年の夢を実現させるべく動いていると思います。

これまでにもゴーン氏はフランス政府からルノーによる
日産の完全統合の打診は受けていたはずですが、
ずっとそれを拒否してきました。ところが、
今年になって自分の人事と引き換えに
それを受け入れた可能性があります。

日産側はこの点を理解した上で交渉に臨まないと、
フランス政府・ルノー側の思うままに
完全統合されてしまうかもしれません。

この問題について世耕経済産業相も何やら発言していますが、
日産は政治家や役人の動きには特に注意すべきでしょう。
1980年代に東芝の子会社でもなく、独立した上場会社であった
東芝機械が不祥事を起こしたことがあります。
本来、東芝が責任を問われる必要はありませんでしたが、
当時の通産省は米国に媚を売って東芝の会長と
社長の首を差し出すような真似をしました。
政治家・役人というのは、こういうことをやりかねないのです。

こうした背景も理解しつつ、
日産は完全統合される道を避けるために、
どのような交渉のシナリオを描くのか?
非常に重要であり、かつ極めて難しい交渉が予想されます。



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▼日産はどのような交渉を持ちかけるべきか?
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今現在、ゴーン氏は会長職と代表取締役を解任されました。
ここまでは日産の取締役会の決議で可能でしたが、
取締役も解任するとなれば株主総会の決議が必要で、
臨時株主総会を招集しなければいけません。

株主総会の決議となったときに厄介なのは、
ルノーの持株比率です。ルノーは日産株の
43.7%を保有しています。過半数を超えるためには、
通常は株主総会を開いて委任状争奪戦
(プロキシーファイト)になりますが、今回の場合、
ルノーは43.7%でも過半数になれる可能性があります。

というのは、日産ほどの大企業になると
全発行株式を集めるのは難しいので、
かき集めたとしても80%程度になります。
そうなると、ルノーの持ち分43.7%で
過半数ということになってしまいます。
そうなると、ルノーの賛成を得られなければ、
日産はゴーン氏もケリー氏も取締役を解任することはできません。

日産がこのシナリオを防ぐためには、
現在約15%保有しているルノーの株式を
25%まで買い増すことが必要です。
25%まで保有率を高めると日本の法律によって、
ルノーの議決権が停止するからです。

また、ルノー側がゴーン氏とケリー氏の解任動議に
賛成したとしても、安心はできません。
代わりに新たにルノーから2人の取締役が送り込まれたら、
元の木阿弥だからです。日産側としては、
ルノーからの取締役は1人までにしてもらい、
代わりに会長職を渡すなどの交渉が必要でしょう。

そうなると、ルノー側から派遣する取締役の人数が減って、
日産によるルノー株の買い増しを
取締役会で決議されるかも知れません。
ルノーとしてはそのような事態を避けたいはずですから、
事前にそれだけは認めない契約を締結するように
求めてくる可能性があります。

私がルノー側の人間ならば、
日産の取締役会でマイノリティになるような事態は
何が何でも避けるように動きます。
逆に日産側の人間ならば、日産に対する完全子会社化をしない
という契約を取り付けるように動くでしょう。
それができないなら、今回の責任を大株主であるルノーに問い、
国際的な場で「争う」姿勢を見せます。
ルノーが送り込んだゴーン氏がどれだけ悪さをして、
日産の株主に被害を及ぼしたのかを交渉材料にするでしょう。

責任問題という意味では、ルノーから日産側の監督責任を
問われる可能性も十分にあります。そうなると、
西川社長も無傷ではいられないと思います。
そこまで見据えて、シナリオを描いて交渉していく必要があります。
繰り返しになりますが、これは非常に難易度が高い交渉になると思います。



─────────────────────────
▼ゴーン氏が居なくなっても、日産が傾くことはない
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世間ではゴーン氏が居なくなった後、日産は大丈夫なのか?
と心配する声もありますが、私は、全く問題はないと思っています。
そもそもゴーン氏がボロボロだった日産を
立て直したという認識が間違いです。
確かにゴーン氏は日産の「まずい部分」を直しました。
当時の日産には、官僚主義的な組合が多く存在しました。
また、関連会社、工場、あるいは下請け会社のトップには
日産本社社員の先輩たちがいたため、
本社が強い影響力を発揮することができない状況でした。
そうした「しがらみ」が日産を押しつぶそうとしていたのです。

当時の日産の社長だった塙義一氏は、
ゴーン氏を日産に連れてきた張本人ですが、
ある資料を読むと、ゴーン氏が実行したことは
塙氏も実行することは「可能」だったと述べています。
ただし、日産内部の人間である自分が実行すると
血を見ることになる、と。それゆえ、
日産内部の人間関係的な「しがらみ」がない
ゴーン氏のような部外者が必要だったのです。

そして、現実的に日産がV字回復を果たした
一番大きな要因は、日産の技術力が非常に高く、
元々日産が高いポテンシャルを持っていたからです。
ゴーン氏の経営手腕が優れていたからではありません。
その証拠に、ゴーン氏は同じように
ルノーの経営再建を図りましたが
日産のように上手く行っていません。

おそらくほとんどの人が、この事実を理解していないと思います。
ゴーン氏がいなくなったら日産が
オンボロ会社に戻るなどというのは、大間違いです。
今の日産は販売台数も伸びていますし、
かつてのように「しがらみ」にがんじがらめにもなっていません。

ゴーン氏が日本国内を軽視した結果、
今や日産の国内シェアは5位に落ちていて、
どちらかと言えば、日産は「世界の日産」
としての立場が強くなっています。
ルノーの利益に対しても、単純計算で、
2017年度の最終利益の約4割は日産が貢献しています。
このままルノーと日産が仲良くやっていけるのであれば、
それに越したことはありません。しかし、
そう簡単に話がまとまるのか、まだわかりません。

日産としては、受け身にならずに
「攻め」の姿勢を持つことが重要だと私は思います。
ゴーン氏が不正を働いたのは、本当に日産だけなのか?
ルノーでも同じようなことがないのか?
私ならすぐにルノーに調べるように要請するかもしれません。
非常に難しい交渉になる可能性が高いので、
日産としては自らのシナリオを持ち、
「攻め」の姿勢で臨んで欲しいと思います。

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